1 00:00:02,202 --> 00:00:13,413 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:13,413 --> 00:01:13,407 ♬~ 3 00:01:13,407 --> 00:01:16,610 (元子)本当に お休みのところ どうもありがとう存じました。いえいえ。 4 00:01:16,610 --> 00:01:19,279 それで あの~…。 うん まあ 婚礼なんかがあって➡ 5 00:01:19,279 --> 00:01:21,615 少し疲れが出なさったもんでしょう。 6 00:01:21,615 --> 00:01:24,117 それと それまで 気が張っちょったもんの➡ 7 00:01:24,117 --> 00:01:26,420 つっかえ棒が 取れてしまったというかのう。 8 00:01:26,420 --> 00:01:29,289 はい。 まずは安静第一。 9 00:01:29,289 --> 00:01:34,161 あとは 食欲がないと言われても なるべく 口に合あもんを作って➡ 10 00:01:34,161 --> 00:01:37,164 栄養をとらせえことですわね。 はい。 11 00:01:37,164 --> 00:01:39,433 まあ 発作が心配なだけですけん。 12 00:01:39,433 --> 00:01:42,302 何かあったら 遠慮なく知らせてごしなはい。 13 00:01:42,302 --> 00:01:44,805 よろしくお願いいたします。 どうもありがとう存じました。 14 00:01:44,805 --> 00:01:48,308 じゃ 大事にしなはい。 はい どうも。 15 00:01:54,147 --> 00:01:56,650 (陽子)お義姉さん。 大丈夫よ。 16 00:01:56,650 --> 00:01:59,453 今 お注射のおかげで やっと落ち着いたところだから。 17 00:01:59,453 --> 00:02:01,455 よかった…。 18 00:02:01,455 --> 00:02:05,592 (平八郎)あ… 陽子 しっかりしなさい。 19 00:02:05,592 --> 00:02:09,463 大介君 知らせてごいて ありがとうね。 (大介)はい。 20 00:02:09,463 --> 00:02:12,933 あの お願いがあるんですけれど。 はい。 21 00:02:12,933 --> 00:02:15,769 ご病人に あんまり 私たちが ガタガタしてるところを➡ 22 00:02:15,769 --> 00:02:19,606 気付かれたくないんです。 ですから 今日は日曜日でもあるし➡ 23 00:02:19,606 --> 00:02:22,109 お二人で 顔を見せに来たとか…。 24 00:02:22,109 --> 00:02:25,779 大丈夫です。 気ぃ付けます。 お願いしますわ。 25 00:02:25,779 --> 00:02:28,682 ねえ 陽子さん 涙なんか見せないでね。 26 00:02:28,682 --> 00:02:31,651 幸せだって そのことだけ お話ししてくださいね。 27 00:02:31,651 --> 00:02:33,654 はい。 28 00:02:38,959 --> 00:02:41,428 お兄さん…。 29 00:02:41,428 --> 00:02:45,799 (正道)大丈夫だ。 はい。 30 00:02:45,799 --> 00:02:50,671 お式に出てごしなさって お父さん 無理なされたんじゃないかしら。 31 00:02:50,671 --> 00:02:55,142 (波津)たとえ そげだとしても そぎゃんことくらいで意気地のない。 32 00:02:55,142 --> 00:02:59,012 おばあさん。 順からいっても まだ早い。 33 00:02:59,012 --> 00:03:03,250 順からいえば この親の私が 先に行くもんだわね。 34 00:03:03,250 --> 00:03:05,552 おばあさん。 35 00:03:07,254 --> 00:03:14,861 ♬「田舎のバスはおんぼろ車」 36 00:03:14,861 --> 00:03:18,098 ♬「デコボコ道を」 37 00:03:18,098 --> 00:03:21,134 おい元子 何だ こんな時に そんな歌なんか歌って。 38 00:03:21,134 --> 00:03:25,272 (邦世)いんや 私も 子供たちが心配で来たけんね。 39 00:03:25,272 --> 00:03:30,410 こげん時だけん 歌でも歌ってやらんと 子供たちが 不安があだないですか。 40 00:03:30,410 --> 00:03:34,781 すいません。 子供がうるさくすると いけないと思ったもんですから。 41 00:03:34,781 --> 00:03:36,716 あっ… そうかそうか。 すまんな。 42 00:03:36,716 --> 00:03:41,121 大丈夫だわね。 大介が… ね お利口でいてごすと➡ 43 00:03:41,121 --> 00:03:44,024 おじいちゃまも 早こと元気になってごしなさあけんね。 44 00:03:44,024 --> 00:03:46,293 はい。 よし いい子だ 大介。 45 00:03:46,293 --> 00:03:48,228 はい。 うん。 46 00:03:48,228 --> 00:03:51,131 すんませんねえ 元子さん。 47 00:03:51,131 --> 00:03:53,066 とんでもありませんわ。 48 00:03:53,066 --> 00:03:56,436 あっ 今日 シチューにしましたから➡ 49 00:03:56,436 --> 00:03:59,973 温まりますし お義父様のスープもとれますし。 50 00:03:59,973 --> 00:04:03,276 あっ だんだん。 ありがとう。 51 00:04:04,811 --> 00:04:08,682 しかし その晩から 泰光の様子は➡ 52 00:04:08,682 --> 00:04:14,621 目を離せないままに 一進一退を繰り返しました。 53 00:04:14,621 --> 00:04:17,324 (泰光)ん…。 54 00:04:19,092 --> 00:04:21,928 何か ご用ですか? 55 00:04:21,928 --> 00:04:25,432 水を。 はい。 56 00:04:37,777 --> 00:04:41,281 お寒くありませんか? ああ。 57 00:04:41,281 --> 00:04:43,283 疲れたろう。 58 00:04:43,283 --> 00:04:46,953 いいえ。 今日は 道子を寝かしつけながら➡ 59 00:04:46,953 --> 00:04:49,623 つい 私までお昼寝してしまったんです。 60 00:04:49,623 --> 00:04:51,958 困った嫁です。 61 00:04:51,958 --> 00:04:55,796 道子も大介も元気にしちょうかや。 62 00:04:55,796 --> 00:05:01,101 ええ。 うるさすぎるくらいですので 遠慮させております。 63 00:05:04,237 --> 00:05:06,173 ねえ お義父様。 64 00:05:06,173 --> 00:05:08,108 うん? 65 00:05:08,108 --> 00:05:13,246 ご気分がよろしい時に 私 一度 申し上げたいと思ってたんですけれど。 66 00:05:13,246 --> 00:05:16,249 何のことだや? 今 よろしいんですか。 67 00:05:16,249 --> 00:05:20,754 ああ。 ちょんぼし眠ったけん。 68 00:05:22,923 --> 00:05:27,761 私とのお約束 守っていただきたいんです。 69 00:05:27,761 --> 00:05:31,631 約束? まあ もうお忘れですか。 70 00:05:31,631 --> 00:05:33,633 う~ん。 71 00:05:33,633 --> 00:05:38,772 ひどい。 本来なら 文句の一つも 申し上げたいところですが➡ 72 00:05:38,772 --> 00:05:41,608 今日のところは こんな時間でもありますので➡ 73 00:05:41,608 --> 00:05:44,945 特に勘弁して差し上げます。 74 00:05:44,945 --> 00:05:46,980 だんだん。 75 00:05:46,980 --> 00:05:50,617 では 申し上げます。 うん。 76 00:05:50,617 --> 00:05:55,288 お義父様は いつぞや 春になって 元気が出てきたら➡ 77 00:05:55,288 --> 00:05:57,791 一度 子供たちを連れて 東京へ帰ってこいって➡ 78 00:05:57,791 --> 00:06:00,360 おっしゃってくださいました。 79 00:06:00,360 --> 00:06:03,563 間もなく春ですよ お義父様。 80 00:06:03,563 --> 00:06:08,068 (泰光) そげだった。 本当にすまんことだわ。 81 00:06:08,068 --> 00:06:13,873 そうですとも。 あれは 東京の父と母が来た時でしたわ。 82 00:06:13,873 --> 00:06:18,578 元気が出てきたような気がするって お義父様 おっしゃってくださって➡ 83 00:06:18,578 --> 00:06:21,481 私 どんなに うれしかったか。 84 00:06:21,481 --> 00:06:26,920 わしも そぎゃんふうに思って 気張ってきただども。 85 00:06:26,920 --> 00:06:31,258 でしたら もっともっと気張ってくださいな。 86 00:06:31,258 --> 00:06:35,762 お義母様や陽子さんのためにも。 87 00:06:35,762 --> 00:06:38,064 元子さん…。 88 00:06:41,568 --> 00:06:47,374 あの時 お義父様 東京の父たちのように 元気になって➡ 89 00:06:47,374 --> 00:06:51,111 お義母様と一緒に 陽子さんのお子の顔を見に行かれるって➡ 90 00:06:51,111 --> 00:06:53,613 約束してくださったんですよ。 91 00:06:53,613 --> 00:06:56,116 ああ…。 92 00:06:56,116 --> 00:07:01,721 幸いというか あいにくなのか 陽子さんの新居はお近くて➡ 93 00:07:01,721 --> 00:07:07,594 はるばる汽車で お訪ねになるっていう 楽しみがないのは残念ですけれど➡ 94 00:07:07,594 --> 00:07:11,231 これからは 暖かくなってきます。 95 00:07:11,231 --> 00:07:17,904 お元気にさえなれば 毎日だって 娘の嫁ぎ先へ おいでになられるんです。 96 00:07:17,904 --> 00:07:20,573 ああ…。 ええ。 97 00:07:20,573 --> 00:07:23,476 毎日だって 孫の顔を見に行けるんですよ。 98 00:07:23,476 --> 00:07:26,446 うん…。 ほら よく➡ 99 00:07:26,446 --> 00:07:32,585 娘の産んだ子は また格別かわいいって いうじゃありませんか。 100 00:07:32,585 --> 00:07:36,256 大介や道子を 抱いてくだすったんですもの。 101 00:07:36,256 --> 00:07:41,094 陽子さんのお子も 元気に抱いてくださるって➡ 102 00:07:41,094 --> 00:07:43,997 もう一つ 私と お約束してくださいな。 103 00:07:43,997 --> 00:07:48,268 お願いします。 104 00:07:48,268 --> 00:07:52,939 だんだん。 元子さん。 105 00:07:52,939 --> 00:07:54,874 お義父様。 106 00:07:54,874 --> 00:08:13,259 ♬~ 107 00:08:13,259 --> 00:08:17,230 (ノック) 吉宗さ~ん! 電報です! 108 00:08:17,230 --> 00:08:19,733 吉宗さ~ん! 電報! 109 00:08:19,733 --> 00:08:22,936 (トシ江)はい ただいま。 110 00:08:24,604 --> 00:08:26,606 はい。 111 00:08:28,908 --> 00:08:31,745 まあまあ ご苦労さまでございます。 はい 電報です。 112 00:08:31,745 --> 00:08:33,947 どうもありがとう存じます。 113 00:08:39,386 --> 00:08:45,925 「十四ヒ ヨル チチ シス マサミチ」。 114 00:08:45,925 --> 00:08:47,927 (宗俊)おい。 115 00:08:52,799 --> 00:08:57,103 なんてこった…。 116 00:08:57,103 --> 00:09:00,874 陽子さん 嫁に出したばかりじゃねえか。 117 00:09:00,874 --> 00:09:03,710 お父っつぁん ちいと早すぎたぜ。 118 00:09:03,710 --> 00:09:06,045 それで どうします? 119 00:09:06,045 --> 00:09:09,549 とにかく 明日の朝一番で 悔やみの電報を打つんだ。 120 00:09:09,549 --> 00:09:14,721 葬式に出なきゃなるめえ。 はい。 121 00:09:14,721 --> 00:09:18,058 (順平)あ~ うるせえな。 何ガタガタやってんだよ こんな時によ。 122 00:09:18,058 --> 00:09:21,728 バカ野郎 松江で不幸があったんだ。 松江で? 123 00:09:21,728 --> 00:09:24,364 正道さんのお父さんがね お亡くなりになったんだよ。 124 00:09:24,364 --> 00:09:26,733 (宗俊) ほら 巳代子たちに声かけてこねえか。 125 00:09:26,733 --> 00:09:28,735 うん 分かった。 126 00:09:36,443 --> 00:09:40,246 ⚟お願いしま~す。 はい。 じゃあすいません。 127 00:09:42,215 --> 00:09:44,217 どうも。 128 00:09:49,756 --> 00:09:53,092 どうしたの? 129 00:09:53,092 --> 00:09:55,929 あっ 大介 お手伝いする? うん。 130 00:09:55,929 --> 00:09:59,432 じゃあ ここ座んなさい。 これ 持って。 131 00:10:19,786 --> 00:10:24,624 帰ってて よかったんだよな。 (トシ江)はい? 132 00:10:24,624 --> 00:10:28,795 正道っつぁんがだよ。 (トシ江)ええ…。 133 00:10:28,795 --> 00:10:31,431 こう 急なことじゃ おめえ 東京にいたんじゃ➡ 134 00:10:31,431 --> 00:10:34,801 通夜にも間に合わねえやな。 135 00:10:34,801 --> 00:10:38,138 ええ。 136 00:10:38,138 --> 00:10:42,442 やっぱり 松江は遠いんだよな。 137 00:10:46,646 --> 00:10:54,320 まあしかし 元子のやつも 大任は果たしたものの➡ 138 00:10:54,320 --> 00:10:58,324 残るは 女年寄りだけだ。 139 00:10:58,324 --> 00:11:05,265 正道っつぁんも まあ 東京へは 帰っちゃこられねえだろうな。 140 00:11:05,265 --> 00:11:11,271 (汽笛) 141 00:11:25,118 --> 00:11:27,620 皆さん お帰りになったよ。 142 00:11:27,620 --> 00:11:31,791 どうも すいません。 いや いいんだよ。 143 00:11:31,791 --> 00:11:34,694 君も 今日は いろいろと忙しかっただろうし。 144 00:11:34,694 --> 00:11:39,299 おばあ様は? うん…。 145 00:11:39,299 --> 00:11:44,437 明日も大変なんですし おばあ様には ゆっくり休んでいただかないとね。 146 00:11:44,437 --> 00:11:47,307 うん。 147 00:11:47,307 --> 00:11:50,210 今は 気も張ってらっしゃるでしょうけど➡ 148 00:11:50,210 --> 00:11:53,980 日がたつにつれて おばあ様やお義母様➡ 149 00:11:53,980 --> 00:11:57,684 どんなにお寂しいかと思うと 私…。 150 00:12:00,253 --> 00:12:02,255 あなた…。 151 00:12:06,759 --> 00:12:10,597 君が言いだしてくれたおかげで➡ 152 00:12:10,597 --> 00:12:15,935 この2年半 とにかく おやじとは暮らせたけども➡ 153 00:12:15,935 --> 00:12:19,405 僕は とうとう 不肖の息子でしか ありえなかったよ。 154 00:12:19,405 --> 00:12:22,275 そんな…。 いや➡ 155 00:12:22,275 --> 00:12:27,146 今 祭壇の写真見て ずっと考えてたんだ。 156 00:12:27,146 --> 00:12:32,919 おやじにとって 僕は たった一人の息子なのに…➡ 157 00:12:32,919 --> 00:12:36,789 ゆっくりと 酒を酌み交わした記憶がないんだ。 158 00:12:36,789 --> 00:12:42,128 まあ ああいう時代だから 中学から すぐに軍人になって➡ 159 00:12:42,128 --> 00:12:45,632 終戦で なすすべもなく帰ってきた僕に➡ 160 00:12:45,632 --> 00:12:49,969 おやじは もう一度 男子一生の道を探せって➡ 161 00:12:49,969 --> 00:12:51,904 東京へ送り出してくれた。 162 00:12:51,904 --> 00:12:53,840 ええ。 163 00:12:53,840 --> 00:13:01,080 にもかかわらず 僕は 仕事に失敗して このうちへ帰ってきた。 164 00:13:01,080 --> 00:13:03,583 おやじが病気だっていうことで➡ 165 00:13:03,583 --> 00:13:08,921 人は それについて 何にも言わなかったけれども➡ 166 00:13:08,921 --> 00:13:12,592 ふがいない息子だって 自分でも思ってるよ。 167 00:13:12,592 --> 00:13:15,261 あなた…。 168 00:13:15,261 --> 00:13:21,768 親孝行らしいことは 何にもしてやれなかった。 169 00:13:25,972 --> 00:13:29,609 全てを許してくれただけに➡ 170 00:13:29,609 --> 00:13:36,916 男として これっていう仕事を 見せてやれなかったのは つらくてな。 171 00:13:40,953 --> 00:13:49,295 今から言っても愚痴だけれども もう少し元気でいてほしかった。 172 00:13:49,295 --> 00:13:56,002 それが心残りで… 心残りで たまらないんだよ。 173 00:14:00,740 --> 00:14:03,376 けど…➡ 174 00:14:03,376 --> 00:14:05,445 ありがとう 元子。 175 00:14:05,445 --> 00:14:08,214 いえ 私は。 176 00:14:08,214 --> 00:14:11,250 本当に よくやってくれたよ。 177 00:14:11,250 --> 00:14:17,757 君のおかげで おやじに 孫の顔も見てもらえたし➡ 178 00:14:17,757 --> 00:14:21,761 僕には それが最大の親孝行だったな。 179 00:14:24,097 --> 00:14:30,970 おやじに よくしてくれて 何て言っていいか分からないよ。 180 00:14:30,970 --> 00:14:35,475 本当に ありがとう 元子。 181 00:14:37,944 --> 00:14:40,279 あなた…。 182 00:14:40,279 --> 00:14:51,791 ♬~