1 00:00:02,202 --> 00:00:14,114 ♬~ (テーマ音楽) 2 00:00:14,114 --> 00:01:13,106 ♬~ 3 00:01:17,611 --> 00:01:24,117 宗俊の葬儀も滞りなく終わって その晩のことです。 4 00:01:24,117 --> 00:01:28,422 (元子)さあ 皆さん どうぞ 召し上がってくださいな。 はい。 5 00:01:28,422 --> 00:01:31,124 (幸之助)もういいから もっちゃんも ここ来て 一緒に飲まねえか。 6 00:01:31,124 --> 00:01:33,794 はい。 7 00:01:33,794 --> 00:01:38,432 彦さんも善さんも こっち入って みんなと一緒に飲んでちょうだいよ。 8 00:01:38,432 --> 00:01:44,137 (友男)どうしようもねえな。 さっきから全然動きやしねえよ。 9 00:01:44,137 --> 00:01:48,442 ねえ 飲んでやってよ。 供養なんだから。 10 00:01:48,442 --> 00:01:50,978 (洋三)そうだよ。➡ 11 00:01:50,978 --> 00:01:54,648 あんだけ急に逝っちまったんだ。 ショックは みんな おんなじだよ。➡ 12 00:01:54,648 --> 00:02:00,253 だけど にぎやかなことが 好きな人だったんだから。 ね。 13 00:02:00,253 --> 00:02:06,059 (善吉) けど… あんなに世話になったくせに➡ 14 00:02:06,059 --> 00:02:10,263 肝心の死に目に会えねえなんて あっしは もう…。 15 00:02:10,263 --> 00:02:14,101 (順平)本当に飲んでくれってば。 16 00:02:14,101 --> 00:02:17,604 メソメソしてたら おやじが化けて出るぞ。 17 00:02:17,604 --> 00:02:21,274 化けて出られたって構わねえ。 18 00:02:21,274 --> 00:02:26,780 あっしは もう一度 旦那に ぶん殴られた方がましだ…。 19 00:02:29,016 --> 00:02:31,985 (藤井)本当に遠いところ ご苦労さんです。 20 00:02:31,985 --> 00:02:35,822 (平八郎)まあ 私が最初に 電話に出ましたもんですけん➡ 21 00:02:35,822 --> 00:02:41,828 亡くなられたと聞いても 一瞬 誰のことだか分からんほどでしたわ。 22 00:02:44,498 --> 00:02:49,302 (友男)とぼけやがって。 23 00:02:49,302 --> 00:02:53,807 風呂と棺おけの小せえのは 大嫌いだと言ったくせに➡ 24 00:02:53,807 --> 00:02:58,512 こんな小さな箱に おさまりやがって。 25 00:03:08,455 --> 00:03:12,759 あっ 陽子さん あなたも遠くから来て 疲れてらっしゃるんだから➡ 26 00:03:12,759 --> 00:03:15,796 どうぞ もう向こうで 平八郎さんとご一緒に。 ねっ。 27 00:03:15,796 --> 00:03:21,101 (キンの泣き声) 28 00:03:25,772 --> 00:03:31,111 (トシ江) こんな急なことになるとは思わなかった。 29 00:03:31,111 --> 00:03:35,782 ただの風邪だとばっかり…。 30 00:03:35,782 --> 00:03:39,953 それが申し訳なくてね。 31 00:03:39,953 --> 00:03:42,989 (絹子)それ言わないでよ 義姉さん。 32 00:03:42,989 --> 00:03:50,297 (小芳) ゆんべも うちのが通夜から帰ってきて➡ 33 00:03:50,297 --> 00:03:57,804 考えてみたら 河内山らしい 死に方だったって そう言ってたよ。 34 00:03:59,439 --> 00:04:06,746 中の湯さんも うちに上がって 一緒に飲み始めたんだけど➡ 35 00:04:06,746 --> 00:04:17,557 しまいには 2人抱き合って オーオー泣いて…。 36 00:04:23,196 --> 00:04:25,499 (小芳)もっちゃん。 37 00:04:27,767 --> 00:04:33,940 あんた 初めて 新幹線にも乗せてあげたし➡ 38 00:04:33,940 --> 00:04:39,112 雑誌にも出してあげたし…。 39 00:04:39,112 --> 00:04:42,783 あんた 親孝行だよ。 40 00:04:42,783 --> 00:04:45,786 おばさん…。 41 00:04:50,657 --> 00:04:57,297 でもよ なんて いい天気だったんだい 今日の葬儀はよ。 42 00:04:57,297 --> 00:05:00,200 (正道)はい。 43 00:05:00,200 --> 00:05:03,103 日本晴れだよ。 44 00:05:03,103 --> 00:05:06,573 これが本当の日本晴れだ。 45 00:05:06,573 --> 00:05:11,745 からっと どこまでも真っ青でな➡ 46 00:05:11,745 --> 00:05:17,083 これ以上 河内山らしい花道が ほかにあるかい。 47 00:05:17,083 --> 00:05:19,920 それにしても 遺言一つ ねえなんて➡ 48 00:05:19,920 --> 00:05:22,956 あっけなさすぎるじゃないか え 河内山。 49 00:05:22,956 --> 00:05:28,595 僕もですね お義母さんのためにも それが何とも心残りで…。 50 00:05:28,595 --> 00:05:36,937 なぁに 女房なんてものは 毎日 遺言聞いてるようなもんだけどよ➡ 51 00:05:36,937 --> 00:05:40,607 竹馬の友なんだぜ 俺たちは。 52 00:05:40,607 --> 00:05:44,945 後を頼むとか お先に失礼とか何とか➡ 53 00:05:44,945 --> 00:05:47,614 ひと言 言ってくれたっていいじゃねえか 河内山よ。 54 00:05:47,614 --> 00:05:50,417 いけねえや 悪酔いしちゃったな 友ちゃん。 55 00:05:50,417 --> 00:05:53,620 てやんでぇ 俺ぁ 酔っちゃいねえよ。 56 00:05:53,620 --> 00:05:58,792 俺ぁな どうしても勘弁できねえんだよ。 57 00:05:58,792 --> 00:06:03,363 え 悔しかったら 何とか言ってみろ 河内山! 58 00:06:03,363 --> 00:06:06,066 いいかげんにしてくれませんか。 59 00:06:06,066 --> 00:06:08,902 それ以上 ガタガタ ガタガタ言ったら➡ 60 00:06:08,902 --> 00:06:11,371 仏だって 成仏できるわけねえじゃねえですか。 61 00:06:11,371 --> 00:06:13,440 できなかったら 迷って出てくりゃいいんだよ! 62 00:06:13,440 --> 00:06:18,245 誰に遠慮がいるもんか。 そうだろ! 63 00:06:18,245 --> 00:06:22,983 そうだよ… そうだよ そのとおりだ! 64 00:06:22,983 --> 00:06:27,787 (泣き声) 65 00:06:37,264 --> 00:06:41,101 宗俊の死を惜しんで 果てしのない集まりが➡ 66 00:06:41,101 --> 00:06:45,605 お開きになったのは その夜も更けてのことでした。 67 00:06:45,605 --> 00:06:49,409 あ~ お疲れになったでしょう。 最後まで つきあってもらったから。 68 00:06:49,409 --> 00:06:55,215 いんや。 私どもの方こそ 何のお手伝いもできんで。 69 00:06:55,215 --> 00:06:58,151 けど 陽子さんも驚かれたでしょう。 70 00:06:58,151 --> 00:07:00,887 何しろ めちゃめちゃな人の集まりでしたから。 71 00:07:00,887 --> 00:07:07,227 (陽子)いいえ そうだけ おとう様は 皆さんに好かれておられただなあって➡ 72 00:07:07,227 --> 00:07:09,896 そぎゃんふうに思っちょうましたよ。 73 00:07:09,896 --> 00:07:12,732 そのとおりなんだよ。 74 00:07:12,732 --> 00:07:16,236 あの人のことを悪く言う人なんか 一人もいなかった。 75 00:07:16,236 --> 00:07:19,572 はい…。 もう 切りがありませんから➡ 76 00:07:19,572 --> 00:07:21,508 どうぞ もう…。 77 00:07:21,508 --> 00:07:25,378 そげですか。 じゃあ 失礼して… 陽子。 78 00:07:25,378 --> 00:07:28,882 じゃ お先に おやすみなさい。 おやすみなさい。 79 00:07:36,122 --> 00:07:40,927 じゃ お先に おやすみなさい。 おやすみなさい。 80 00:08:02,882 --> 00:08:06,886 疲れただろう。 あなたこそ。 81 00:08:08,688 --> 00:08:14,694 しかしな… あっけないもんだねえ。 82 00:08:16,429 --> 00:08:19,733 私が いけなかったんです。 83 00:08:19,733 --> 00:08:22,435 元子。 84 00:08:24,070 --> 00:08:26,973 背中が重いって言いだした時に➡ 85 00:08:26,973 --> 00:08:31,578 もっと早く お医者様に 診せるべきだったんです。 86 00:08:31,578 --> 00:08:35,081 ただの風邪だなんて 思ってたもんだから…。 87 00:08:35,081 --> 00:08:41,755 まさか… まさか あんなことになるなんて 思わなかったんです。 88 00:08:41,755 --> 00:08:43,690 私が殺したようなもんなんです。 89 00:08:43,690 --> 00:08:46,626 バカなことを言うもんじゃないよ。 でも…。 90 00:08:46,626 --> 00:08:51,931 そりゃね 僕だって 看病一つ する暇なく逝かれたんだから➡ 91 00:08:51,931 --> 00:08:53,967 それ どれだけ心残りか分からないよ。 92 00:08:53,967 --> 00:09:00,774 でもね 元子 それは 残された者の言い分だよ。 93 00:09:04,210 --> 00:09:07,213 中の湯さんだって言ってたじゃないか。 94 00:09:07,213 --> 00:09:11,951 お義父さんの告別式にふさわしい 日本晴れだって。 95 00:09:11,951 --> 00:09:18,758 (泣き声) 96 00:09:18,758 --> 00:09:21,628 俺は ぽっくり逝きたいって➡ 97 00:09:21,628 --> 00:09:25,331 それが お義父さんの口癖だったじゃないか。 98 00:09:27,901 --> 00:09:34,374 恐らく 心臓にショックがあったのも ほんの一瞬のことで➡ 99 00:09:34,374 --> 00:09:40,180 お義父さん 願いどおり 苦しまずに逝かれたんだよ。 100 00:09:43,917 --> 00:09:49,789 それは僕だってね もっともっと 長生きしてもらいたかったけれども➡ 101 00:09:49,789 --> 00:09:54,260 苦しまなかったっていうことを よしとするしか しょうがないじゃないか。 102 00:09:54,260 --> 00:09:58,765 (泣き声) 103 00:09:58,765 --> 00:10:03,636 惜しまれて逝かれたんだよ。 104 00:10:03,636 --> 00:10:10,477 お義父さん みんなに惜しまれて逝かれたんだよ。 105 00:10:10,477 --> 00:10:13,780 あなた…。 106 00:10:13,780 --> 00:10:19,486 ♬~ 107 00:10:25,959 --> 00:10:30,797 正月用の注文を抱え 秋の紺屋は戦同様。 108 00:10:30,797 --> 00:10:37,570 順平たちは 初七日を待たずに 仕事に取り組みました。 109 00:10:37,570 --> 00:10:39,806 (福代)皆さん お茶になりますけんど。 110 00:10:39,806 --> 00:10:43,643 お茶なら そこ置いときな。 手が空いたら 自分たちで勝手に飲む。 111 00:10:43,643 --> 00:10:46,679 はい。 112 00:10:46,679 --> 00:10:49,516 若旦那 そっち済んだら のり頼んまっせ。 113 00:10:49,516 --> 00:10:53,219 おう! 彦さんは少し休んでてくれ。 114 00:10:56,222 --> 00:10:59,459 お~し 善さん もうひと頑張りだ! へいよ! 115 00:10:59,459 --> 00:11:07,967 ♬~ 116 00:11:09,936 --> 00:11:12,839 その節は いろいろとご丁寧に ありがとう存じました。 117 00:11:12,839 --> 00:11:15,542 (福井)ご愁傷さまでした。 118 00:11:17,277 --> 00:11:21,948 で もう仕事には かかれるの? はい。 119 00:11:21,948 --> 00:11:25,618 じゃあ 早速だけれども サリドマイドをやってほしいの。 120 00:11:25,618 --> 00:11:29,422 はい。 いよいよ 被害者の28家族が➡ 121 00:11:29,422 --> 00:11:32,325 提訴することに決まったの。 122 00:11:32,325 --> 00:11:35,228 本来 人間の命を救うべき薬が➡ 123 00:11:35,228 --> 00:11:38,965 人間の五体の健全を その生涯にわたって奪い取っていく。 124 00:11:38,965 --> 00:11:42,635 それが どんなことなのか しっかりと追ってちょうだい。 はい。 125 00:11:42,635 --> 00:11:47,507 あの時 私たちが一生懸命頑張ったから 通った企画なのよ。➡ 126 00:11:47,507 --> 00:11:50,143 ママさんライターとして 頑張ってちょうだい。 127 00:11:50,143 --> 00:11:53,846 はい。 じゃ これ 資料。 128 00:11:56,916 --> 00:11:59,152 (トシ江)そう… 出来たの。 129 00:11:59,152 --> 00:12:01,588 これに お父さんの言ったことが出てんだね。 130 00:12:01,588 --> 00:12:05,091 そうよ ほら ここ。 131 00:12:05,091 --> 00:12:09,596 あ~ よく撮れてること。 132 00:12:09,596 --> 00:12:13,766 楽しそうな顔して。 うん。 133 00:12:13,766 --> 00:12:16,769 ありがとう 元子。 134 00:12:30,283 --> 00:12:36,155 松江の帰りにね 汽車ん中でさ。 ええ。 135 00:12:36,155 --> 00:12:41,628 お父さん お前は 俺より先に逝っちゃいけない➡ 136 00:12:41,628 --> 00:12:45,431 俺の方が 先に逝くからなって 笑ってたけどね。 137 00:12:45,431 --> 00:12:47,367 そうよ。 138 00:12:47,367 --> 00:12:50,136 うるさいのが いなくなったら お前は ゆっくりおいでって➡ 139 00:12:50,136 --> 00:12:52,438 お父さん そう言ってるわ。 140 00:12:52,438 --> 00:12:58,144 本当だね。 順平だって まだまだ半人前だし➡ 141 00:12:58,144 --> 00:13:01,581 福代さんだって 9代目吉宗のおかみとして➡ 142 00:13:01,581 --> 00:13:05,385 恥ずかしくないように 長い目で見てやらなきゃならないしね。 143 00:13:05,385 --> 00:13:07,920 そうよ… 本当にそうよ。 144 00:13:07,920 --> 00:13:10,590 けどね。 ええ。 145 00:13:10,590 --> 00:13:17,096 何やってても 「何してんだ トシ江」って➡ 146 00:13:17,096 --> 00:13:21,801 お父さん フッと そこから入ってくるような気がしてさ…。 147 00:13:23,870 --> 00:13:29,809 まあ 当分の間はしょうがないけど。 148 00:13:29,809 --> 00:13:37,483 としたら お父さん たった一つ 心残りがあるからだわ。 149 00:13:37,483 --> 00:13:40,319 心残り…? 150 00:13:40,319 --> 00:13:44,624 あの晩さ お父さん お母さんのこと…。 151 00:13:46,793 --> 00:13:57,804 (宗俊)今度 バス旅行やめた代わりによ ひとつ 温泉にでも連れてってやるかな。 152 00:13:57,804 --> 00:14:02,575 山の湯がいいかな。 153 00:14:02,575 --> 00:14:06,446 紅葉がきれいだぞ。 154 00:14:06,446 --> 00:14:12,085 そりゃ 楽しそうに言ってたわ。 155 00:14:12,085 --> 00:14:14,287 そう…。 156 00:14:16,255 --> 00:14:20,259 お父さん そんなことをね…。 157 00:14:20,259 --> 00:14:23,763 やっぱり 何てったって お母さんなのよね。 158 00:14:23,763 --> 00:14:26,666 そのくせ ちゃらんぽらんで➡ 159 00:14:26,666 --> 00:14:30,103 とうとう最後まで 調子のいいこと言って 逃げちゃったんだから。 160 00:14:30,103 --> 00:14:33,940 あっ… だって しょうがないじゃないか。 161 00:14:33,940 --> 00:14:36,976 本当に そういう人だったんだもの。 162 00:14:36,976 --> 00:14:39,278 お母さん。 163 00:14:44,283 --> 00:14:53,092 宗俊の死は やはり みんなの胸に ぽっかりと大きな穴を開けていました。