1 00:00:32,299 --> 00:00:36,503 (起動音) 2 00:01:02,930 --> 00:01:05,966 <真っ黒なガラスの板の上に➡ 3 00:01:05,966 --> 00:01:11,939 限りない宝石をまき散らして 凍らせたようだ。➡ 4 00:01:11,939 --> 00:01:17,811 宇宙は これ以上の表情を作らない。➡ 5 00:01:17,811 --> 00:01:21,949 その星々のかすかな光が集まって➡ 6 00:01:21,949 --> 00:01:28,956 この殺風景な小さな惑星の上に 薄暗さをもたらしていた> 7 00:01:30,624 --> 00:01:36,964 <静寂の中で ここでは 全てが静止していた> 8 00:01:36,964 --> 00:02:02,923 ♬~ 9 00:02:02,923 --> 00:02:08,929 この星に 僕以外のロボットがいるとは 思わなかったよ。 10 00:02:10,797 --> 00:02:14,267 ここからは 地球は見えないんだね。 11 00:02:14,267 --> 00:02:24,277 ♬~ 12 00:02:24,277 --> 00:02:30,951 君は… 僕より1つ前の世代の型だね。 13 00:02:30,951 --> 00:02:37,958 もっとも… 世代と耐久性が 必ずしも一致するわけじゃないし…。 14 00:02:39,960 --> 00:02:44,665 僕たちが この星に着いたのは どういうわけだろう? 15 00:02:46,733 --> 00:02:50,237 偶然としか言いようがないな。 16 00:02:52,139 --> 00:02:55,809 古くなったロボットは 宇宙に放り出されたあげく➡ 17 00:02:55,809 --> 00:02:59,679 ほとんどが 太陽の熱で燃え尽きるんだ。 18 00:02:59,679 --> 00:03:03,083 工場で分解すればいいのに。 19 00:03:03,083 --> 00:03:06,386 そこが謎なんだよね…。 20 00:03:06,386 --> 00:03:12,092 長く使ってきたロボットに対して 人間は それができないらしいんだ。 21 00:03:12,092 --> 00:03:16,897 こっちの方が 残酷って感じがするけどね。 22 00:03:20,267 --> 00:03:27,140 僕らの存在意義って 何だろう? 23 00:03:27,140 --> 00:03:35,816 そんなこと考えちゃ駄目だよ。 僕たちは もう考える必要がないんだよ。 24 00:03:35,816 --> 00:03:39,820 ただ 待っているだけでいいんだ。 25 00:03:55,435 --> 00:04:00,740 さて 散歩でもしてこようかな。 26 00:04:00,740 --> 00:04:06,079 散歩だって? この星は何もないのに。 27 00:04:06,079 --> 00:04:09,950 体が動くうちに歩いてこようと思って。 28 00:04:09,950 --> 00:04:14,654 なるほど。 それは一理ある。 29 00:04:17,591 --> 00:04:20,093 僕も つきあうよ。 30 00:04:20,093 --> 00:04:47,187 ♬~ 31 00:04:47,187 --> 00:04:53,193 僕たちも… こんなふうに 終わっていくんだろうか? 32 00:04:55,295 --> 00:05:00,567 そうだと思う。 僕の友達みたいに。 33 00:05:00,567 --> 00:05:02,569 友達? 34 00:05:04,437 --> 00:05:07,741 あそこに倒れてる彼だよ。 35 00:05:07,741 --> 00:05:15,248 この星のガスには 金属を腐食させる 成分が含まれているんだ。 36 00:05:15,248 --> 00:05:20,921 彼は まだ生きてるのかな? 37 00:05:20,921 --> 00:05:24,591 どうだろうね…。 38 00:05:24,591 --> 00:05:28,461 命令されたら起き上がるかもしれないよ。 39 00:05:28,461 --> 00:05:31,765 そんなこと できるはずないのにね。 40 00:05:39,606 --> 00:05:42,409 あっ…。 41 00:05:42,409 --> 00:05:44,911 逝っちゃった。 42 00:06:06,900 --> 00:06:09,936 何… してるの? 43 00:06:09,936 --> 00:06:13,573 埋葬するんだよ。 44 00:06:13,573 --> 00:06:18,245 僕のご主人様が これの前で お祈りしながら泣いているところを➡ 45 00:06:18,245 --> 00:06:20,247 見たことあるんだ。 46 00:06:23,583 --> 00:06:27,454 これ… 全部 君が作ったの? 47 00:06:27,454 --> 00:06:33,927 ああ… 暇だったからね。 48 00:06:33,927 --> 00:06:38,798 僕が もし こうなったら 君にも作ってほしいな。 49 00:06:38,798 --> 00:07:11,765 ♬~ 50 00:07:11,765 --> 00:07:16,503 君のご主人様は どんな人だったの? 51 00:07:16,503 --> 00:07:21,241 うん… 気難しくて➡ 52 00:07:21,241 --> 00:07:28,248 結構 人使い… いや ロボット使いが荒い人だったな。 53 00:07:31,251 --> 00:07:33,253 どうぞ。 54 00:07:47,600 --> 00:07:51,471 何だよ この まずいコーヒーは! 55 00:07:51,471 --> 00:07:54,274 すいません。 56 00:07:54,274 --> 00:07:58,144 そもそも 僕がやるより コーヒーマシンで作った方が簡単に…。 57 00:07:58,144 --> 00:08:03,350 俺は 人の手でいれた コーヒーが好きなんだよ。 58 00:08:03,350 --> 00:08:08,555 ああ… 人じゃなかったか。 59 00:08:08,555 --> 00:08:12,359 まあいい。 早く いれ直せ。 60 00:08:12,359 --> 00:08:16,896 かしこまりました ご主人様。 61 00:08:16,896 --> 00:08:22,402 でも 何だかんだ言って 地球での暮らしは楽しかったな。 62 00:08:25,905 --> 00:08:32,579 僕のご主人様は 何だか 寂しそうな人だったな。 63 00:08:32,579 --> 00:08:41,755 もちろん こき使われたりはした。 でも いつも夜中に泣いていたよ。 64 00:08:41,755 --> 00:08:46,393 さみしかったのかな… 事情は知らないけど。 65 00:08:46,393 --> 00:08:53,933 (すすり泣き) 66 00:08:53,933 --> 00:08:58,805 優しいところもあって 僕に オルゴールをくれたよ。 67 00:08:58,805 --> 00:09:05,211 …で 僕は毎晩 それを聴きながら 眠りについていたんだ。 68 00:09:05,211 --> 00:09:14,521 ♬~(オルゴール) 69 00:09:18,558 --> 00:09:21,361 これが そのオルゴール。 70 00:09:21,361 --> 00:09:25,064 体の内部に保管していたから まだ動くよ。 71 00:09:25,064 --> 00:09:29,903 それにしても 随分 原始的な仕組みだよね。 72 00:09:29,903 --> 00:09:34,774 あっ でも これが 僕らの祖先ってことなのかな? 73 00:09:34,774 --> 00:09:38,578 どっちでもいいや。 とにかく聴いてみて。 74 00:09:38,578 --> 00:09:42,248 (ネジを巻く音) 75 00:09:42,248 --> 00:10:07,273 ♬~(オルゴール) 76 00:10:07,273 --> 00:10:14,147 オルゴールって いいものだねえ。 だろ? 77 00:10:14,147 --> 00:10:19,853 これ聴いてると 地球にいた頃のことを 思い出しちゃってね。 78 00:10:19,853 --> 00:10:25,625 でも… ロボットに こんな感覚があるなんて知らなかったよ。 79 00:10:25,625 --> 00:10:29,929 何だか ノスタルジックな気分に…。 80 00:10:36,636 --> 00:10:42,308 あっ…。 手 落ちちゃった。 81 00:10:42,308 --> 00:10:46,145 君 大丈夫? 82 00:10:46,145 --> 00:10:51,951 幸いなことに ロボットだから痛みはないよ。 83 00:10:51,951 --> 00:10:57,757 でも… 何だか 眠くなってきちゃったな。 84 00:10:57,757 --> 00:11:03,263 思ってたより 突然来るもんなんだね…。 85 00:11:08,935 --> 00:11:13,273 意識は まだある。 大丈夫だよ。 86 00:11:13,273 --> 00:11:19,145 でも…。 あっ。 87 00:11:19,145 --> 00:11:23,616 地球が見えるな。 88 00:11:23,616 --> 00:11:29,923 緑… いや 青色かな? 89 00:11:34,627 --> 00:11:40,500 あっ… 何だろう? これ。 90 00:11:40,500 --> 00:11:46,239 もしかして… 涙? 91 00:11:46,239 --> 00:11:53,646 おかしいな… 僕らには そんな機能がついているはずないのに。 92 00:11:53,646 --> 00:12:01,087 君 目の機能が低下してないか? 93 00:12:01,087 --> 00:12:04,757 何だか…➡ 94 00:12:04,757 --> 00:12:07,560 僕も眠くなってきた。 95 00:12:10,930 --> 00:12:13,733 もう駄目なのかな? 96 00:12:15,802 --> 00:12:21,641 これじゃあ お互いに お墓 作れそうにないね。 97 00:12:21,641 --> 00:12:23,843 そうだね。 98 00:12:26,946 --> 00:12:33,286 君は… 全て 止まってしまうことが 怖くないの? 99 00:12:33,286 --> 00:12:37,790 僕らに そんな感情が あるわけないじゃないか。 100 00:12:37,790 --> 00:12:47,133 いや… 人間たちは 何で死を怖がってるのかなあと思って。 101 00:12:47,133 --> 00:12:51,337 変わってるなあ 君は。 102 00:12:56,843 --> 00:13:06,386 いよいよ 終わりなんだな…。 もう少し時間があると思ってた。 103 00:13:06,386 --> 00:13:13,926 じゃあ 今のうちに 挨拶しておくよ。 104 00:13:13,926 --> 00:13:19,732 この星で 君に会えてよかった。 105 00:13:21,801 --> 00:13:24,103 さようなら。 106 00:13:49,729 --> 00:14:25,231 ♬~(オルゴール) 107 00:14:34,607 --> 00:14:55,294 ♬~