1 00:00:36,139 --> 00:00:39,142 <時は幕末。➡ 2 00:00:39,142 --> 00:00:44,280 かつて 三代将軍 徳川家光が定めた➡ 3 00:00:44,280 --> 00:00:47,784 2年に一度の参勤交代の制度は➡ 4 00:00:47,784 --> 00:00:52,956 諸国の大名たちの財政を 圧迫し続けていた。➡ 5 00:00:52,956 --> 00:01:00,256 そのため 参勤交代の簡略化が 進んでいた時代である> 6 00:01:08,304 --> 00:01:10,974 <文久元年 初夏。➡ 7 00:01:10,974 --> 00:01:16,846 ここ 美濃国 西美濃田名部郡を 領分とした旗本 蒔坂家にも➡ 8 00:01:16,846 --> 00:01:20,546 参勤交代の期日が迫っていた> 9 00:01:22,585 --> 00:01:27,585 <そんな中 江戸から 国元に駆けつける男が一人> 10 00:01:35,165 --> 00:01:40,436 <参勤交代を差配する役目 道中御供頭であった➡ 11 00:01:40,436 --> 00:01:46,236 小野寺弥九郎が 失火により 不慮の死を遂げていた> 12 00:01:48,178 --> 00:01:52,949 <弥九郎の息子 小野寺一路。➡ 13 00:01:52,949 --> 00:01:59,149 父の訃報を受け この度 初めて 美濃国に入った> 14 00:02:10,500 --> 00:02:12,700 (一路)もし。 15 00:02:14,971 --> 00:02:17,640 もし。 へえ。 16 00:02:17,640 --> 00:02:20,977 父上… 父上は? 17 00:02:20,977 --> 00:02:23,880 父上は 本当に亡くなったのか? 18 00:02:23,880 --> 00:02:28,180 いや~ 浄願寺に葬られたと お聞きしましたがね。 19 00:02:32,589 --> 00:02:37,927 父上は… 本当に…。 20 00:02:37,927 --> 00:02:41,264 今回も 無事 道中御供頭の任を終え➡ 21 00:02:41,264 --> 00:02:43,199 ほっとしておる。 22 00:02:43,199 --> 00:02:48,999 一路 頼もしいぞ。 さすがは 我が息子だ。 23 00:03:04,954 --> 00:03:08,954 どうして こんなに突然…。 24 00:03:10,627 --> 00:03:15,627 私を… ただ一人残して…。 25 00:03:17,500 --> 00:03:20,637 何故…。 26 00:03:20,637 --> 00:03:24,337 小野寺一路様でございますか? 27 00:03:26,509 --> 00:03:28,511 いかにも。 28 00:03:28,511 --> 00:03:32,749 私 蒔坂家家中 道中御供頭添役➡ 29 00:03:32,749 --> 00:03:35,249 栗山真吾と申しまする。 30 00:03:38,921 --> 00:03:41,591 殿からのお達しでございます。 31 00:03:41,591 --> 00:03:44,494 すぐに参上せよとの事。 32 00:03:44,494 --> 00:03:46,794 殿が? はい。 33 00:03:51,267 --> 00:03:57,440 <5,000余りもある旗本の中には たった33家のみ➡ 34 00:03:57,440 --> 00:04:02,612 知行地に陣屋を構え 在国する事を許された者がおり➡ 35 00:04:02,612 --> 00:04:07,784 禄高も格式も高く 交代寄合と称され➡ 36 00:04:07,784 --> 00:04:12,955 特別に 参勤交代を命じられていた。➡ 37 00:04:12,955 --> 00:04:20,655 この7,500石の蒔坂家も その33家の一つであった> 38 00:04:22,298 --> 00:04:27,298 蒔坂左京大夫である。 39 00:04:31,107 --> 00:04:34,577 小野寺一路 入れ。 40 00:04:34,577 --> 00:04:36,777 はっ。 41 00:04:46,756 --> 00:04:49,258 小野寺一路でございまする。 42 00:04:49,258 --> 00:04:51,294 この度は このような旅支度で ご無礼を…。 43 00:04:51,294 --> 00:04:53,429 挨拶などはよい。 44 00:04:53,429 --> 00:04:58,267 面を上げよ。 はっ。 45 00:04:58,267 --> 00:05:01,604 こたび そなたの父 小野寺弥九郎は➡ 46 00:05:01,604 --> 00:05:06,442 火の不始末により 殿より賜った 大切な屋敷を灰にし➡ 47 00:05:06,442 --> 00:05:09,112 自らも 不覚にも焼死致した。 48 00:05:09,112 --> 00:05:11,047 失火は大罪。 49 00:05:11,047 --> 00:05:15,785 その責めは 家督を継ぐ そなた 小野寺一路が負うが筋。 50 00:05:15,785 --> 00:05:19,285 よって 切腹を申しつける。 51 00:05:32,235 --> 00:05:38,908 しかしながら こん年の参勤交代 江戸到着の期日まで➡ 52 00:05:38,908 --> 00:05:44,580 道中12日を含め 僅か18日しかござらぬ。 53 00:05:44,580 --> 00:05:48,751 道中御供頭の任を引き継ぐ 己の命を➡ 54 00:05:48,751 --> 00:05:51,587 今 落とさせる訳にはまいらぬ。 55 00:05:51,587 --> 00:05:57,460 よって 切腹の儀は 今回は見逃す。 56 00:05:57,460 --> 00:06:02,932 そのかわり 父 弥九郎の後継として➡ 57 00:06:02,932 --> 00:06:05,835 江戸参府を 立派に成し遂げよ。 58 00:06:05,835 --> 00:06:09,035 あの…。 59 00:06:10,673 --> 00:06:14,644 私がでございますか? 60 00:06:14,644 --> 00:06:19,482 (将監) ほかに 誰がおるというのじゃ? 61 00:06:19,482 --> 00:06:23,619 それで よろしゅうございますかな? 殿。 62 00:06:23,619 --> 00:06:27,290 殿。 はい。 63 00:06:27,290 --> 00:06:31,160 ああ… はい 叔父上。 64 00:06:31,160 --> 00:06:33,563 殿。 65 00:06:33,563 --> 00:06:36,232 ああ… はい。 66 00:06:36,232 --> 00:06:38,732 よきに計らえ 将監。 67 00:06:48,244 --> 00:06:51,147 分かったな 小野寺。 68 00:06:51,147 --> 00:06:54,116 こたびの参勤交代が 無事に成就せねば➡ 69 00:06:54,116 --> 00:06:56,118 将軍家への大不忠。 70 00:06:56,118 --> 00:06:59,255 お家のお取り潰しという事に なるのじゃぞ。 71 00:06:59,255 --> 00:07:03,125 そなたの働きに 蒔坂家の命運は 懸かっておる。 72 00:07:03,125 --> 00:07:07,129 小野寺 近う。 73 00:07:07,129 --> 00:07:10,266 はっ。 74 00:07:10,266 --> 00:07:13,966 近う寄れ! はっ! 75 00:07:20,276 --> 00:07:26,616 お前 歌舞伎役者の河原崎権十郎に 似ておるのう。 76 00:07:26,616 --> 00:07:30,286 鼻と口元が よう似ておる。 77 00:07:30,286 --> 00:07:33,189 わしは 江戸の芝居が 何よりも好きじゃ。 78 00:07:33,189 --> 00:07:35,124 よいか 歌舞伎役者は 目が違う。 79 00:07:35,124 --> 00:07:38,094 (将監)小野寺 急げ。 80 00:07:38,094 --> 00:07:40,096 はっ。 81 00:07:40,096 --> 00:07:46,569 <一路は 江戸で 武術と学問を学ぶ身であり➡ 82 00:07:46,569 --> 00:07:52,569 参勤交代について まだ何も教わっていなかった> 83 00:07:54,443 --> 00:08:01,117 私が 参勤交代を…。 84 00:08:01,117 --> 00:08:07,117 たったの18日後までに 江戸へ…? 85 00:08:11,260 --> 00:08:15,598 頼もう! 頼もう! 86 00:08:15,598 --> 00:08:18,898 では 用の時は。 ああ。 87 00:08:20,469 --> 00:08:26,609 1年ぶりか 一路。 88 00:08:26,609 --> 00:08:32,214 はい。 叔父上 大変ご無沙汰しております。 89 00:08:32,214 --> 00:08:38,888 まさか 兄上が あのような不始末をするとはのう。 90 00:08:38,888 --> 00:08:43,559 その事ですが 叔父上。 うん? 91 00:08:43,559 --> 00:08:50,259 私 この度 道中御供頭の任を 授かりましてございます。 92 00:08:53,235 --> 00:08:55,571 ほう。 しかしながら➡ 93 00:08:55,571 --> 00:09:00,743 私は 何から手をつけていいものか。 94 00:09:00,743 --> 00:09:04,580 そもそも 参勤交代とは いかなるものか➡ 95 00:09:04,580 --> 00:09:06,515 さっぱり分かりませぬ。 96 00:09:06,515 --> 00:09:12,215 私に分かるのは 剣の道と学問の道だけ…。 97 00:09:15,591 --> 00:09:19,261 お前は 気楽な 江戸暮らしであったからのう。 98 00:09:19,261 --> 00:09:21,961 「身から出た錆」じゃ。 99 00:09:25,601 --> 00:09:31,407 兄上も兄上じゃ。 たった一人の跡取り息子に➡ 100 00:09:31,407 --> 00:09:39,148 己の家に代々伝わる務めの事を 教えておらんかったんじゃからな。 101 00:09:39,148 --> 00:09:42,551 優れた息子じゃと 常々 自慢しとったが➡ 102 00:09:42,551 --> 00:09:44,851 このざまじゃ。 103 00:09:46,422 --> 00:09:50,422 おっしゃる事は ごもっともかと。 104 00:09:52,895 --> 00:09:58,234 この地で しるべは 叔父上しかおりませぬ。 105 00:09:58,234 --> 00:10:02,905 叔父上は 例年 参勤交代に同行されております。 106 00:10:02,905 --> 00:10:06,575 是非 私に 知恵を授けて下さい。 107 00:10:06,575 --> 00:10:10,875 そして 共に 今回の参勤交代の儀を。 108 00:10:14,250 --> 00:10:16,585 嫌じゃ。 109 00:10:16,585 --> 00:10:22,925 それに わしは 腰を悪うしてしもうてのう。 110 00:10:22,925 --> 00:10:29,598 参勤交代なんか 無理じゃ。 無理 無理。 111 00:10:29,598 --> 00:10:34,270 しかし…。 (あくび) 112 00:10:34,270 --> 00:10:37,106 わしは もう眠い。 寝るぞ。 113 00:10:37,106 --> 00:10:39,942 お~い 布団敷いてくれ。 114 00:10:39,942 --> 00:10:41,877 お待ち下さい! 115 00:10:41,877 --> 00:10:46,282 もし 参勤交代がなされなければ その時は この…。 116 00:10:46,282 --> 00:10:50,982 お前が 腹を切ればいいだけの 話ではないか。 117 00:10:55,958 --> 00:11:00,830 恨むなら 失火などして死んだ父を恨め。 118 00:11:00,830 --> 00:11:17,646 ♬~ 119 00:11:17,646 --> 00:11:20,549 あっ いらっしゃいませ。 どうぞ。 120 00:11:20,549 --> 00:11:25,321 はい どうぞ。 お一人様 ご案内~。 121 00:11:25,321 --> 00:11:30,159 あっ ちょいと にいさん。 今なら お風呂も沸いております。 122 00:11:30,159 --> 00:11:32,128 55文で いかがでしょう。 123 00:11:32,128 --> 00:11:34,430 じゃあ。 ありがとう。 どうぞ。➡ 124 00:11:34,430 --> 00:11:37,933 おいしいお食事も ご用意しますね。➡ 125 00:11:37,933 --> 00:11:41,804 お一人様 ご案内~。 126 00:11:41,804 --> 00:11:45,608 あ~ あの大火事の…。 127 00:11:45,608 --> 00:11:49,445 それはそれは 大変でございましたね。➡ 128 00:11:49,445 --> 00:11:53,783 さあさあ こちらでございます。 どうぞ どうぞ。 129 00:11:53,783 --> 00:11:56,285 ≪よ~し いくぜ いくぜ。 130 00:11:56,285 --> 00:11:58,220 ≪半! ≪丁だ。 131 00:11:58,220 --> 00:12:00,220 ≪勝負。 132 00:12:01,957 --> 00:12:05,294 あ~ すいませんね。 ちょいと静かにな。 133 00:12:05,294 --> 00:12:07,594 すぐ 明かりを持ってまいります。 134 00:12:09,965 --> 00:12:11,901 あ~。 135 00:12:11,901 --> 00:12:15,601 [ 心の声 ] 参勤交代…。 136 00:12:19,308 --> 00:12:23,979 父上 今年も 参勤交代 遠路はるばる➡ 137 00:12:23,979 --> 00:12:27,179 まことに ご苦労さまでございます。 138 00:12:28,818 --> 00:12:33,789 一路。 今回も 無事 道中御供頭の任を終え➡ 139 00:12:33,789 --> 00:12:35,925 ほっとしておる。 140 00:12:35,925 --> 00:12:41,597 お家のため そして 何よりも 殿のため➡ 141 00:12:41,597 --> 00:12:44,266 苦労とは思わぬわ。 142 00:12:44,266 --> 00:12:46,202 ≪丁。 ≪半。 143 00:12:46,202 --> 00:12:48,938 ≪半。 ≪丁。 144 00:12:48,938 --> 00:12:50,973 ≪丁。 145 00:12:50,973 --> 00:12:54,810 ≪シソウの半。 ≪うわ~ 半目か。 146 00:12:54,810 --> 00:12:58,280 ≪半と出ました。 ≪しょうがねえ。 147 00:12:58,280 --> 00:13:01,280 お前も 一人か。 148 00:13:03,118 --> 00:13:05,618 叔父上。 149 00:13:07,289 --> 00:13:10,626 面構えはよいですが➡ 150 00:13:10,626 --> 00:13:17,299 あんな若造に 道中御供頭の任が 務まりまするか? 151 00:13:17,299 --> 00:13:21,170 期日までに江戸に着かねば➡ 152 00:13:21,170 --> 00:13:26,308 市村座の芝居の楽日に 間に合いませぬ。 153 00:13:26,308 --> 00:13:31,280 こたびの芝居には 妻と一太郎も 連れていきたいのです。 154 00:13:31,280 --> 00:13:34,917 3人で 町人に身をやつして それで 隠密に。 155 00:13:34,917 --> 00:13:37,253 殿のご心配は ごもっとも。 156 00:13:37,253 --> 00:13:40,589 私とて このお家の行方を➡ 157 00:13:40,589 --> 00:13:43,926 あのような若造に 託すしかない事に➡ 158 00:13:43,926 --> 00:13:46,595 心を痛めておりまする。 159 00:13:46,595 --> 00:13:53,769 しかしながら 道中御供頭の任は 小野寺家のお役目。 160 00:13:53,769 --> 00:13:56,605 曲げる訳にはまいりませぬ。 161 00:13:56,605 --> 00:14:02,278 私と致しましても 苦渋の決断でござりまする。 162 00:14:02,278 --> 00:14:06,615 まあ 叔父上が ついて下さるのですから➡ 163 00:14:06,615 --> 00:14:10,286 心配はないと思いますよ。 164 00:14:10,286 --> 00:14:13,188 その件ですが➡ 165 00:14:13,188 --> 00:14:19,795 こたび 私は 国元にとどまろうと存じまする。 166 00:14:19,795 --> 00:14:24,300 えっ ここに? 何故です? 167 00:14:24,300 --> 00:14:27,202 何が起こるか分からぬ事態。 168 00:14:27,202 --> 00:14:32,107 誰かが 国元を守らねばなりますまい。 169 00:14:32,107 --> 00:14:37,846 そんな事ある訳ないでしょう。 ハハハ! 170 00:14:37,846 --> 00:14:44,253 <参勤交代を命じられる 大名 旗本の妻子たちは➡ 171 00:14:44,253 --> 00:14:46,288 江戸住まいを強いられていた> 172 00:14:46,288 --> 00:14:48,924 お方様。 何じゃ? 173 00:14:48,924 --> 00:14:52,261 <つまりは 人質である> 174 00:14:52,261 --> 00:14:56,061 江戸家老様がお見えに。 堀江が? 175 00:15:00,936 --> 00:15:03,636 失礼つかまつる。 176 00:15:07,276 --> 00:15:09,211 下がれ。 177 00:15:09,211 --> 00:15:11,613 構わぬ。 178 00:15:11,613 --> 00:15:15,117 堀江 どうしました? こんな夜分に。 179 00:15:15,117 --> 00:15:17,953 たった今 国元より 文が参りまして➡ 180 00:15:17,953 --> 00:15:20,622 こたびの道中御供頭は➡ 181 00:15:20,622 --> 00:15:24,493 小野寺一路が務める事に 相なったそうでございます。 182 00:15:24,493 --> 00:15:29,298 小野寺一路? あの ここにいた若者か? 183 00:15:29,298 --> 00:15:31,233 はい。 184 00:15:31,233 --> 00:15:37,033 あのような若き者に 御供頭を…。 185 00:15:50,252 --> 00:15:52,921 母上。 186 00:15:52,921 --> 00:15:56,792 もうすぐ 父上に お会いできるのですね。 187 00:15:56,792 --> 00:15:59,595 父上に。 188 00:15:59,595 --> 00:16:02,095 (すず)そうですね。 189 00:16:04,466 --> 00:16:09,166 (2人)わ~! わ~! 190 00:16:12,608 --> 00:16:18,280 あと17日。 191 00:16:18,280 --> 00:16:20,949 小野寺一路と申します。 192 00:16:20,949 --> 00:16:24,649 小野寺一路? あの大火事の。 193 00:16:26,288 --> 00:16:28,223 はい。 194 00:16:28,223 --> 00:16:34,096 わしは 当家 蔵役 佐久間勘十郎。 195 00:16:34,096 --> 00:16:39,234 そなたは 御供頭の任を 引き継いだのであろう。 196 00:16:39,234 --> 00:16:41,904 蔵に 一体 何の用がある。 197 00:16:41,904 --> 00:16:46,575 ここならば 参勤交代の覚書が 収められていないかと。 198 00:16:46,575 --> 00:16:51,246 覚書? そんなものは ここにはない。 199 00:16:51,246 --> 00:16:53,582 そうですか。 200 00:16:53,582 --> 00:16:57,282 作法が記してあるものを 探しておりました。 201 00:16:58,921 --> 00:17:02,591 出立まで あと5日であろう。 202 00:17:02,591 --> 00:17:05,494 それなのに 作法を知らぬと申すか? 203 00:17:05,494 --> 00:17:08,931 それにつきましては 返す言葉もありませぬ。 204 00:17:08,931 --> 00:17:12,231 やり方をご存じなら お教え下さい。 205 00:17:13,802 --> 00:17:16,605 わしは蔵役じゃ。 206 00:17:16,605 --> 00:17:21,276 江戸参府の御供は 務めぬお役よ。 207 00:17:21,276 --> 00:17:23,946 そんな事すら分からず聞くか。 208 00:17:23,946 --> 00:17:28,283 役立たずが! 申し訳ございませぬ! 209 00:17:28,283 --> 00:17:32,554 貴様ごときに お家の行く末が…。 210 00:17:32,554 --> 00:17:36,225 わしが代わりたいくらいじゃ! 211 00:17:36,225 --> 00:17:38,894 さっさと腹を切れ。 212 00:17:38,894 --> 00:17:41,594 それが お家のため。 213 00:17:44,566 --> 00:17:51,240 貴様の命が 一日延びるごとに お江戸が 一日遠ざかるのじゃ。 214 00:17:51,240 --> 00:17:54,240 潔く 腹を切れ! 215 00:17:56,578 --> 00:17:59,378 わしが 介錯してやる。 216 00:18:03,752 --> 00:18:08,752 うむ… ならば それへ直れ! 217 00:18:13,262 --> 00:18:16,165 ほ~れ ほれほれほれ。 218 00:18:16,165 --> 00:18:20,435 何? こたびは わしを乗せるのが うれしいか。 219 00:18:20,435 --> 00:18:23,272 おおお~ ほほほ。 これが好きか。 これが うまいか。 220 00:18:23,272 --> 00:18:25,941 うまいか。 うん? うん? 221 00:18:25,941 --> 00:18:29,444 お殿様は ま~た お馬とお話し中じゃ。 222 00:18:29,444 --> 00:18:32,714 あの殿が ひょっこり お生まれにならねば➡ 223 00:18:32,714 --> 00:18:38,220 ご養子だった将監様が 立派に お家を継げたというのにのう。 224 00:18:38,220 --> 00:18:41,557 ハハハ。 もっと食え もっと食え~。 225 00:18:41,557 --> 00:18:45,894 弥九郎殿のせがれか。 226 00:18:45,894 --> 00:18:48,797 いや~ 教えろと言われてもなあ。 227 00:18:48,797 --> 00:18:52,768 しきたり 仕切り 一夜漬けでは 無理でございます。 228 00:18:52,768 --> 00:18:56,538 わしは 小野寺家とは あまり つきあいとうないのだ。 229 00:18:56,538 --> 00:18:58,473 すまん。 230 00:18:58,473 --> 00:19:14,756 ♬~ 231 00:19:14,756 --> 00:19:18,927 小野寺様。 232 00:19:18,927 --> 00:19:21,627 急な御用とは? 233 00:19:25,801 --> 00:19:31,873 栗山殿は まだ18ながらも 道中御供頭添役でしたな? 234 00:19:31,873 --> 00:19:33,809 はい。 235 00:19:33,809 --> 00:19:38,547 ならば 力を貸して頂きたい。 236 00:19:38,547 --> 00:19:41,450 私には 恥ずかしながら➡ 237 00:19:41,450 --> 00:19:45,053 御供頭とは何か 何も分からないのだ。 238 00:19:45,053 --> 00:19:47,556 一から教えてほしい。 239 00:19:47,556 --> 00:19:52,256 私には 誰にも味方がおらぬ。 240 00:19:54,229 --> 00:19:59,568 頼む! もう 時がないのだ。 241 00:19:59,568 --> 00:20:02,068 栗山殿! 242 00:20:04,439 --> 00:20:08,439 すみません! どうされた? 243 00:20:11,580 --> 00:20:20,922 私も 昨年 卒中で父を失いまして➡ 244 00:20:20,922 --> 00:20:23,592 急きょ 跡目を継ぎましてございます。 245 00:20:23,592 --> 00:20:30,092 ですから 参勤交代に加わった事も ございません。 246 00:20:35,604 --> 00:20:40,304 私も 何も分からないのです。 247 00:20:43,478 --> 00:20:47,678 お役に立てず 申し訳ございません。 248 00:21:07,536 --> 00:21:13,236 小野寺様 これから どうされるおつもりで。 249 00:21:15,277 --> 00:21:23,477 「行く川の流れは絶えずして しかも 元の水にあらず」。 250 00:21:25,654 --> 00:21:33,954 もう 私は流されている。 この川の流れのように。 251 00:21:43,605 --> 00:21:51,279 戻る事も とどまる事さえも 決して許されぬ流れよ。 252 00:21:51,279 --> 00:21:56,618 しょせん 人の道など➡ 253 00:21:56,618 --> 00:22:02,918 行き着く先は 一つしかないのだ。 254 00:22:17,906 --> 00:22:24,146 それが 早いか遅いか… それだけの事よ。 255 00:22:24,146 --> 00:22:45,934 ♬~ 256 00:22:45,934 --> 00:22:56,278 ♬~ 257 00:22:56,278 --> 00:23:05,954 ♬~ 258 00:23:05,954 --> 00:23:08,857 父上。 259 00:23:08,857 --> 00:23:15,297 一人で私を育てられ 生きる道を教えて下さった事➡ 260 00:23:15,297 --> 00:23:19,167 心から 感謝しております。 261 00:23:19,167 --> 00:23:26,641 しかし 私は 与えられたお役目を 全うする事ができませぬ。 262 00:23:26,641 --> 00:23:29,641 申し訳ございませぬ。 263 00:23:31,913 --> 00:23:35,213 私は ここまでかと。 264 00:23:37,586 --> 00:23:41,456 残された道は 一つ。 265 00:23:41,456 --> 00:23:47,456 私も… すぐに参ります。 266 00:23:57,906 --> 00:24:00,706 お武家様。 267 00:24:10,285 --> 00:24:18,159 ここで お腹を召される おつもりですかの? 268 00:24:18,159 --> 00:24:20,629 失礼つかまつった。 269 00:24:20,629 --> 00:24:28,303 拙僧は この寺の住職 空澄と申します。 270 00:24:28,303 --> 00:24:30,972 お見受けしたところ➡ 271 00:24:30,972 --> 00:24:35,243 小野寺弥九郎様のご子息 一路様かと。 272 00:24:35,243 --> 00:24:37,178 どうか お止めにならないで下さい。 273 00:24:37,178 --> 00:24:39,878 覚悟の上の事でございます。 ならぬ! 274 00:24:45,887 --> 00:24:48,687 なりませぬ。 275 00:24:50,792 --> 00:24:58,099 これは ご遺言です。 お父上から あなた様への。 276 00:24:58,099 --> 00:25:02,771 遺言? お父上は この書を抱き締めて➡ 277 00:25:02,771 --> 00:25:10,278 亡くなっておられた。 しっかりと 守るようにして。 278 00:25:10,278 --> 00:25:13,615 ですから この書は 焼かれずに済んだ。 279 00:25:13,615 --> 00:25:21,415 お父上が 一番 あなた様に 託したかったものかと存じまする。 280 00:25:31,900 --> 00:25:36,571 「行軍録」? はい。 281 00:25:36,571 --> 00:25:43,244 200年以上前から 小野寺家に受け継がれてきた➡ 282 00:25:43,244 --> 00:25:48,116 参勤交代の儀について書かれた 書物でございます。 283 00:25:48,116 --> 00:25:51,586 200年以上…? 284 00:25:51,586 --> 00:25:55,457 あなた様のお父上は➡ 285 00:25:55,457 --> 00:26:01,096 お母上が 大変な難産の末に➡ 286 00:26:01,096 --> 00:26:04,132 あなた様をお産みになり 亡くなられた時➡ 287 00:26:04,132 --> 00:26:08,837 こう おっしゃられた。 288 00:26:08,837 --> 00:26:16,277 「私は 妻を心の底から めでていた。➡ 289 00:26:16,277 --> 00:26:19,614 後添えなど要らぬ。➡ 290 00:26:19,614 --> 00:26:22,651 妻が 命懸けで産んだ この男の子を➡ 291 00:26:22,651 --> 00:26:26,287 立派に育て上げるのみ」。 292 00:26:26,287 --> 00:26:33,728 そして 「この子は 将来 道中御供頭の任を➡ 293 00:26:33,728 --> 00:26:36,564 任される立場になる。➡ 294 00:26:36,564 --> 00:26:41,436 その命を必ずや達成できる武士に 育つよう➡ 295 00:26:41,436 --> 00:26:48,576 一つの路を行く 一路と名付けよう」と。 296 00:26:48,576 --> 00:26:55,276 一路 頼もしいぞ。 さすがは 我が息子だ。 297 00:26:57,252 --> 00:27:04,592 一路様 一つの路を行きなされ。➡ 298 00:27:04,592 --> 00:27:08,263 お父上は いつも仰せであった。➡ 299 00:27:08,263 --> 00:27:14,135 いつか 先祖伝来の書どおりの➡ 300 00:27:14,135 --> 00:27:19,135 古式ゆかしいやり方を 成し遂げたいものと。 301 00:27:21,276 --> 00:27:27,949 「参勤交代のお行列は 行軍なり。➡ 302 00:27:27,949 --> 00:27:29,884 平時たるといえども➡ 303 00:27:29,884 --> 00:27:34,222 戦備え おさおさ怠りなく 相務めるべし。➡ 304 00:27:34,222 --> 00:27:39,728 御大将 蒔坂左京大夫様 お乗り物 おかご。➡ 305 00:27:39,728 --> 00:27:44,899 ただし 必ず お手馬 お替え馬 2匹伴い➡ 306 00:27:44,899 --> 00:27:50,572 先達は 東照権現様 お賜りの 朱槍2筋。➡ 307 00:27:50,572 --> 00:27:53,872 お行列 粛々と」。 308 00:27:55,443 --> 00:28:01,943 「御供頭心得 一所懸命」。 309 00:28:11,760 --> 00:28:22,760 (祈る声) 310 00:28:39,554 --> 00:28:44,225 あの家紋は 小野寺家の…。 311 00:28:44,225 --> 00:28:46,225 もしや…。 312 00:28:57,238 --> 00:29:05,580 お武家様 そこで お腹を召されるおつもりなら…。 313 00:29:05,580 --> 00:29:08,249 参ります。 314 00:29:08,249 --> 00:29:10,749 江戸へ参ります。 315 00:29:17,258 --> 00:29:20,595 それが 今 私の➡ 316 00:29:20,595 --> 00:29:23,498 歩かなければならない道で ございます。 317 00:29:23,498 --> 00:29:26,267 一路様。 318 00:29:26,267 --> 00:29:32,073 父が授けてくれた この名に 恥じぬように生きる事➡ 319 00:29:32,073 --> 00:29:37,212 それが たった一つの 父への恩返し。 320 00:29:37,212 --> 00:29:41,212 そして 私のすべき事。 321 00:29:42,884 --> 00:29:48,223 生きて 務めを全うすると決めました。 322 00:29:48,223 --> 00:29:52,560 だから 参ります。 何があっても。 323 00:29:52,560 --> 00:29:59,434 和尚様は 私に この「行軍録」をお授け下さった。 324 00:29:59,434 --> 00:30:04,172 私は この書に書いてあるとおりの 200年前と同じ➡ 325 00:30:04,172 --> 00:30:08,576 古式ゆかしい参勤交代を 致しとうございます。 326 00:30:08,576 --> 00:30:14,876 父が これを守って亡くなったのは 私に これを果たせとの事。 327 00:30:17,252 --> 00:30:24,452 私が この書と巡り合えたのは 運命ではなく 宿命なのです。 328 00:30:26,261 --> 00:30:32,600 しかし ただでさえ 参勤交代は苦行。 329 00:30:32,600 --> 00:30:39,274 その上をいくなど いばらの道ですぞ。 330 00:30:39,274 --> 00:30:41,974 覚悟の上。 331 00:30:43,945 --> 00:30:49,284 もはや 失うものなど 何もございません。 332 00:30:49,284 --> 00:30:53,154 参勤交代とは 行軍。 333 00:30:53,154 --> 00:30:58,154 私にとって これは 戦なのでございます。 334 00:31:03,631 --> 00:31:10,131 (空澄)これらは 神君家康公から 賜った ご家宝だとか。 335 00:31:14,976 --> 00:31:17,879 あなた様のお父上が お亡くなりになる➡ 336 00:31:17,879 --> 00:31:22,317 ひとつきほど前でしたか。 ここで 預かってほしいと。 337 00:31:22,317 --> 00:31:24,252 父が? 338 00:31:24,252 --> 00:31:28,656 持ってみなされ。 はい。 339 00:31:28,656 --> 00:31:51,612 ♬~ 340 00:31:51,612 --> 00:31:53,612 ああ…。 341 00:31:56,951 --> 00:31:59,620 あっ… あ…。 342 00:31:59,620 --> 00:32:03,491 相当な 力自慢が要るようですな。 343 00:32:03,491 --> 00:32:05,491 はい。 344 00:32:13,167 --> 00:32:18,306 小野寺様 お客様が。 客? 345 00:32:18,306 --> 00:32:20,806 どうぞ。 346 00:32:33,788 --> 00:32:37,592 私 勘定役 国分七左衛門が娘➡ 347 00:32:37,592 --> 00:32:39,927 薫と申します。 348 00:32:39,927 --> 00:32:47,227 国分? 国分様といえば 確か 父の友…。 349 00:32:56,477 --> 00:32:59,677 どうぞ こちらへ。 350 00:33:03,951 --> 00:33:06,651 ありがとうございます。 351 00:33:20,802 --> 00:33:25,640 もしや あなたは…。 352 00:33:25,640 --> 00:33:28,543 はい。 353 00:33:28,543 --> 00:33:33,843 あなた様のいいなずけの 薫でございます。 354 00:33:37,585 --> 00:33:42,256 あの… 八幡様に お参りに参りまして➡ 355 00:33:42,256 --> 00:33:45,756 お宿の前を 通りましたゆえ。 356 00:33:52,600 --> 00:33:57,300 父から いいなずけの件は 聞いた事が…。 357 00:33:59,474 --> 00:34:02,274 ですが 私は…。 358 00:34:04,946 --> 00:34:07,946 私は…。 359 00:34:12,620 --> 00:34:21,320 その件は 明日にでも 正式に お断りに参る所存です。 360 00:34:26,634 --> 00:34:28,934 どうして…。 361 00:34:31,239 --> 00:34:34,939 江戸に 思い人がおります。 362 00:34:39,914 --> 00:34:45,114 父が亡くなった今となっては めおとの約束など…。 363 00:34:50,558 --> 00:34:55,763 もう遅い。 送りましょう。 364 00:34:55,763 --> 00:35:22,623 ♬~ 365 00:35:22,623 --> 00:35:25,123 ここで。 366 00:35:40,107 --> 00:35:43,911 では 私は。 367 00:35:43,911 --> 00:36:09,136 ♬~ 368 00:36:09,136 --> 00:36:12,836 [ 心の声 ] 道連れにはできぬのです。 369 00:36:14,875 --> 00:36:18,613 ≪うわ~! 370 00:36:18,613 --> 00:36:21,949 (どなり声) 371 00:36:21,949 --> 00:36:25,820 ごめんなさい! 待て こら~! 372 00:36:25,820 --> 00:36:29,820 おりゃ~! おやめ下さい。 373 00:36:31,759 --> 00:36:34,059 何をしている! 374 00:36:35,896 --> 00:36:37,832 何だ 若造。 375 00:36:37,832 --> 00:36:40,234 何をしていると言っておる! 376 00:36:40,234 --> 00:36:42,169 何 見てやがる! 377 00:36:42,169 --> 00:36:44,105 お侍さんには 関わりねえこった! 378 00:36:44,105 --> 00:36:46,574 こっちとら 腹の虫が治まらねえんだよ! 379 00:36:46,574 --> 00:36:49,274 (丁太)何だ? その目は。 380 00:36:55,249 --> 00:36:57,949 うりゃ~! 381 00:36:59,920 --> 00:37:02,256 やる気かい? 382 00:37:02,256 --> 00:37:08,929 俺たち兄弟は ならず者だぜ。 しかも 2人だぜ。 383 00:37:08,929 --> 00:37:12,600 ここに来る間も 何人やったか。 なあ? 384 00:37:12,600 --> 00:37:14,535 おう! 385 00:37:14,535 --> 00:37:17,535 いくぞ! 386 00:37:20,474 --> 00:37:23,274 あっ… あ…。 387 00:37:31,552 --> 00:37:37,425 我が名は 小野寺一路。 名を名乗れ。 388 00:37:37,425 --> 00:37:42,563 丁太。 半次。 それがどうした! こら~! 389 00:37:42,563 --> 00:37:48,436 お主ら 流れ者か。 あるじは 持たぬ身か。 390 00:37:48,436 --> 00:37:51,736 それが どうした! 391 00:37:53,574 --> 00:37:57,912 ならば いざ 勝負! 392 00:37:57,912 --> 00:38:03,250 ハハハハハハッ! そんなモヤシみたいな体で 俺たち相手にかい? 393 00:38:03,250 --> 00:38:07,121 そんなに 死にてえのかよ! 394 00:38:07,121 --> 00:38:09,924 死ぬ訳にはいかぬ。 395 00:38:09,924 --> 00:38:15,724 だが 死ぬ気で なさねばならぬ事もある。 396 00:38:19,100 --> 00:38:21,100 参れ。 397 00:38:24,271 --> 00:38:27,608 もし 私が勝ったら 我に仕えよ。 398 00:38:27,608 --> 00:38:31,879 (半次)仕えるだと? ふざけんじゃねえ! 399 00:38:31,879 --> 00:38:34,879 うりゃ~! 400 00:38:42,223 --> 00:38:44,558 うあ! うりゃ~! 401 00:38:44,558 --> 00:38:47,558 これまでだな。 402 00:38:49,897 --> 00:38:52,397 おりゃ~! 403 00:38:55,236 --> 00:38:58,139 勝負あった。 404 00:38:58,139 --> 00:39:05,639 よいな? 今日 この時から お主たちは 私に仕えるのだ。 405 00:39:15,556 --> 00:39:18,556 喜惣次でございます。 406 00:39:21,262 --> 00:39:26,934 入れ。 何用じゃ。 407 00:39:26,934 --> 00:39:31,205 首尾は いかがかと存じまして。 408 00:39:31,205 --> 00:39:36,205 伊東。 わしの思惑どおりよ。 409 00:39:37,878 --> 00:39:42,216 こたびの江戸参府は 失敗する。 410 00:39:42,216 --> 00:39:47,054 全ては あの若造 小野寺一路の失態と➡ 411 00:39:47,054 --> 00:39:53,561 小野寺などに全てを託した 左京大夫のせい。 412 00:39:53,561 --> 00:39:59,900 すると やっと 家督は 将監様の手に。 413 00:39:59,900 --> 00:40:07,575 やっと… やっと この わしのものになるのよ。 414 00:40:07,575 --> 00:40:11,412 17日後が 楽しみじゃ。 415 00:40:11,412 --> 00:40:15,583 同じく。 416 00:40:15,583 --> 00:40:20,254 その時 私は…。 417 00:40:20,254 --> 00:40:23,157 晴れて 家老じゃ。 418 00:40:23,157 --> 00:40:26,927 これまで以上に わしに尽くせばな。 419 00:40:26,927 --> 00:40:31,627 それはもう…。 では。 420 00:40:48,616 --> 00:40:53,616 負けたのは 久しぶりだな 半次。 そうだなあ 丁太。 421 00:40:56,957 --> 00:41:00,628 お~ 今夜は 月が 真ん丸じゃねえか。 422 00:41:00,628 --> 00:41:05,299 あっ まんじゅうが 食いたくなったなあ。 423 00:41:05,299 --> 00:41:08,135 何故 いざこざなど? 424 00:41:08,135 --> 00:41:11,171 (2人) メザシが 1本 少なかったんでい! 425 00:41:11,171 --> 00:41:16,644 メザシ? ハハッ そうか メザシか。 426 00:41:16,644 --> 00:41:23,317 笑い事じゃねえですよ。 そうだな。 メザシは大事だな。 427 00:41:23,317 --> 00:41:25,986 で お頭? 428 00:41:25,986 --> 00:41:28,889 お主たちには 江戸まで行ってもらう。 429 00:41:28,889 --> 00:41:32,189 江戸? (半次)一体 何しに? 430 00:41:34,595 --> 00:41:36,931 戦に行くのだ。 431 00:41:36,931 --> 00:41:39,600 戦? 432 00:41:39,600 --> 00:41:43,470 (2人)お~ 乗った! 433 00:41:43,470 --> 00:41:48,275 で… 俺たちのお手当は? 434 00:41:48,275 --> 00:41:51,946 そうだな…。 435 00:41:51,946 --> 00:41:55,282 好きなだけ食べさせよう。 それでどうだ? 436 00:41:55,282 --> 00:41:57,952 (2人)うん。 437 00:41:57,952 --> 00:42:00,854 江戸までは 中山道を行く。 438 00:42:00,854 --> 00:42:04,291 中山道か。 兄貴 兄貴 兄貴。 439 00:42:04,291 --> 00:42:07,194 中山道っつったらよ うまいもんだらけじゃねえかよ。 440 00:42:07,194 --> 00:42:10,097 おう。 俺たちゃ 中山道は初めてだ。 441 00:42:10,097 --> 00:42:12,967 きっと うまいもんが た~んと出てくるって訳だ。 442 00:42:12,967 --> 00:42:14,902 (半次)よ~し! 443 00:42:14,902 --> 00:42:20,641 <文久元年5月15日 満月の夜。➡ 444 00:42:20,641 --> 00:42:24,979 己の命を懸け 最初の仲間を得た一路。➡ 445 00:42:24,979 --> 00:42:30,651 それは 一路にとって 最初の光が見えた時だった> 446 00:42:30,651 --> 00:42:38,258 あの月が欠け みそか月になるまでに 江戸へ。 447 00:42:38,258 --> 00:42:41,161 <しかし 一路の行く先には➡ 448 00:42:41,161 --> 00:42:44,932 その光さえ 簡単に消し去ってしまうような➡ 449 00:42:44,932 --> 00:42:51,132 巨大な闇が潜んでいるのを 一路は 何も知らなかった>