1 00:00:33,651 --> 00:00:43,594 ♬~(テーマ音楽) 2 00:00:43,594 --> 00:00:52,594 ♬~ 3 00:01:41,586 --> 00:01:43,586 (沖田徳治郎)とう! 4 00:01:47,592 --> 00:01:50,094 (有森桜子)おじいちゃん! おじいちゃん。 5 00:01:50,094 --> 00:01:52,146 ああ? オルガン 弾かして。 6 00:01:52,146 --> 00:01:55,583 いかん! あんな… 埃っぽいわ。 あんなとこ こもっとったら➡ 7 00:01:55,583 --> 00:01:58,083 病気になるで。 弾かして。 駄目だ! 8 00:02:03,090 --> 00:02:06,093 桜子…。 9 00:02:06,093 --> 00:02:10,081 ♬~(オルガン) 10 00:02:10,081 --> 00:02:13,584 ♬「埴生の宿も わが」 11 00:02:13,584 --> 00:02:17,154 (有森マサ)<父の お見合いの日に オルガンを見つけてからというもの➡ 12 00:02:17,154 --> 00:02:21,158 桜子は おじいちゃんの納屋に 入り浸っていました> 13 00:02:21,158 --> 00:02:26,147 ♬「玉のよそい」 14 00:02:26,147 --> 00:02:29,584 <おじいちゃんも また 内心では 桜子が 来るのを➡ 15 00:02:29,584 --> 00:02:32,086 楽しみにしていたようです> 16 00:02:32,086 --> 00:02:36,086 ♬「うらやまじ」 17 00:02:41,579 --> 00:02:44,582 あ~っ とう! ねえ おじいちゃん。 18 00:02:44,582 --> 00:02:48,152 これ お母さんの? うん? うん…。 19 00:02:48,152 --> 00:02:51,656 これ 持って帰っていい? 納屋の中だと 暗くて➡ 20 00:02:51,656 --> 00:02:54,656 よう 見えへんの。 やあ 勝手にせい! 21 00:03:01,148 --> 00:03:04,669 ≪(一同)いただきま~す! 22 00:03:04,669 --> 00:03:07,722 (桜子の歌声) (有森笛子)桜ちゃん。 23 00:03:07,722 --> 00:03:10,691 いいかげんに しりんよ。 もう 晩ごはん! 24 00:03:10,691 --> 00:03:13,594 は~い! 25 00:03:13,594 --> 00:03:18,149 あ~あ うちにも オルガン 欲しいな。 おじいちゃんに 頼んだら➡ 26 00:03:18,149 --> 00:03:20,651 オルガン くれんかな。 ねえ お父さん。 27 00:03:20,651 --> 00:03:23,654 (有森源一郎)うん? どうかな。 (有森 磯)くれるでしょ。➡ 28 00:03:23,654 --> 00:03:26,657 桜ちゃんが 頼めば。 もともと お母さんのものなんだし➡ 29 00:03:26,657 --> 00:03:29,644 納屋なんかに 埃かぶってるより このうちで 桜ちゃんが➡ 30 00:03:29,644 --> 00:03:32,146 弾いてくれたほうが オルガンだって 喜ぶわよ。 31 00:03:32,146 --> 00:03:34,649 磯! お前は 余計な事を…。 そうかなあ。 32 00:03:34,649 --> 00:03:38,152 私は 困るわ。 桜ちゃんの 下手くそなオルガン➡ 33 00:03:38,152 --> 00:03:41,656 毎日 聞かされたんじゃ 勉強 はかどらんもんね。 34 00:03:41,656 --> 00:03:45,660 (有森杏子)ほいでも 私…。 うん? 杏ちゃん どしたの。➡ 35 00:03:45,660 --> 00:03:50,164 珍しいわね。 なあに? あ。 ううん 何でもない。 36 00:03:50,164 --> 00:03:53,164 杏子 言ってごらん。 37 00:03:55,586 --> 00:04:00,591 私も うちに オルガンあったらいいなって 思う。 38 00:04:00,591 --> 00:04:05,579 ほいでね 桜ちゃんが お母さんの よう弾いとった曲とか➡ 39 00:04:05,579 --> 00:04:09,116 弾いてくれたら 懐かしいし きっと うれしい。 40 00:04:09,116 --> 00:04:12,586 ♬~ 41 00:04:12,586 --> 00:04:15,156 分かった! ほんじゃ 行ってくる。 42 00:04:15,156 --> 00:04:19,160 え? 桜子! 桜子! 43 00:04:19,160 --> 00:04:24,648 ♬~ 44 00:04:24,648 --> 00:04:27,651 何だって? オルガン ちょうだい。 45 00:04:27,651 --> 00:04:32,656 こんな時間に来て… 何を言うかと思ったら。 46 00:04:32,656 --> 00:04:35,092 くだらん事 言っとらんで 帰りんさい! 47 00:04:35,092 --> 00:04:38,646 あのオルガン 私に ください。 ふん! 48 00:04:38,646 --> 00:04:41,649 ほいだって おじいちゃん 自分で弾かんだらあ。 49 00:04:41,649 --> 00:04:44,652 私が弾いたほうが オルガンだって 喜ぶって。 50 00:04:44,652 --> 00:04:46,654 みんな うちにも オルガンあったほうが いいって➡ 51 00:04:46,654 --> 00:04:50,591 言ってるよ。 帰りんさい。 今 メシの時間だ。 52 00:04:50,591 --> 00:04:53,644 くれんの? ねえ どうして? ツベコベ 言うな! 53 00:04:53,644 --> 00:04:57,644 あのオルガンは マサのものなんだ! 54 00:05:01,152 --> 00:05:03,152 おじいちゃんの ドケチ! 55 00:05:07,091 --> 00:05:16,150 ≪(汽笛) 56 00:05:16,150 --> 00:05:18,150 ただいま…。 57 00:05:21,589 --> 00:05:23,589 いただきます。 58 00:05:37,588 --> 00:05:43,611 どうした? 桜子。 おじいちゃんに どじかられたか? 59 00:05:43,611 --> 00:05:47,648 ♬~ 60 00:05:47,648 --> 00:05:54,655 あのオルガンは おじいちゃんにとって お母さんの形見みたいなもんだ。 61 00:05:54,655 --> 00:05:58,676 特別なんだよ。 ほいでも 私だって➡ 62 00:05:58,676 --> 00:06:07,151 お母さんの形見なら 欲しいもん。 うちには お父さんも いる。 63 00:06:07,151 --> 00:06:13,090 笛子も 杏子も 勇太郎も いる。 たまに 寂しくなったって➡ 64 00:06:13,090 --> 00:06:17,161 みんなで お母さんのことを 話し合ったり 思い出したり➡ 65 00:06:17,161 --> 00:06:23,083 出来るだろう? でも… おじいちゃんは 独りだからさ。 66 00:06:23,083 --> 00:06:25,102 独り? うん。 67 00:06:25,102 --> 00:07:06,594 ♬~ 68 00:07:06,594 --> 00:07:09,597 <その日から 桜子は ぱったり➡ 69 00:07:09,597 --> 00:07:12,597 徳治郎の家に 足を向けなくなりました> 70 00:07:17,087 --> 00:07:23,087 (先生)有森さん はよ お帰りんよ。 先生 お願いが あるだけど。 71 00:07:25,646 --> 00:07:29,149 <そして 数日が たちました> 72 00:07:29,149 --> 00:07:32,149 ≪ごめんくださ~い! ごめんくださ~い! 73 00:07:39,643 --> 00:07:42,646 桜子ちゃん! (女の子)お父ちゃんから。 74 00:07:42,646 --> 00:07:44,646 寄り合いの お知らせだって。 75 00:07:50,588 --> 00:07:56,644 ごめんください。 …ちょっと 納屋に入らしてもらって➡ 76 00:07:56,644 --> 00:07:59,144 いいですか? 納屋? はい。 77 00:08:02,650 --> 00:08:05,586 こうすれば 中の片づけや 掃除が 楽になるでしょう? 78 00:08:05,586 --> 00:08:10,591 納屋に そんなに 明かりつけて どうするだ。 まったく…➡ 79 00:08:10,591 --> 00:08:13,093 帝大出の考えることは 訳 分からんな。 80 00:08:13,093 --> 00:08:15,593 でも 便利になりますよ。 81 00:08:21,085 --> 00:08:25,585 桜子は どうしとる? え? 何ですか? 82 00:08:27,591 --> 00:08:29,591 何でもないわ。 83 00:08:38,652 --> 00:08:45,152 <明くる日曜日は 私… つまり マサの 月命日でした> 84 00:08:53,584 --> 00:09:00,591 みんな どこ 行っちまっただ。 うん? マサの月命日だちゅうに。 85 00:09:00,591 --> 00:09:05,095 出かけちゃったんですよ。 何だか 忙しそうに。 86 00:09:05,095 --> 00:09:11,095 何が 忙しいんだ。 うん? かめるか? こわいなあ。 87 00:09:25,649 --> 00:09:30,087 (有森勇太郎)おじいちゃん! 88 00:09:30,087 --> 00:09:32,587 おう 勇太郎 どうした? 89 00:09:55,579 --> 00:10:06,079 (拍手) 90 00:10:08,142 --> 00:10:12,646 私が 作ったんだわ あの洋服。 かわいいでしょう? 91 00:10:12,646 --> 00:10:17,646 今日は 私の 初めての発表会に 来てくれて ありがとう…。 92 00:10:21,655 --> 00:10:23,655 おじいちゃん 座ろう。 93 00:10:26,593 --> 00:10:31,648 そいでは お母さんの大好きだった 「埴生の宿」を 弾きます。 94 00:10:31,648 --> 00:10:37,148 (拍手) 95 00:10:39,089 --> 00:10:54,088 ♬~(「埴生の宿」) 96 00:10:54,088 --> 00:11:07,651 ♬「玉のよそい うらやまじ」 97 00:11:07,651 --> 00:11:15,592 ♬「のどかなりや」 98 00:11:15,592 --> 00:11:20,581 ♬「春のそら」 99 00:11:20,581 --> 00:11:27,588 ♬「花はあるじ 鳥は」 100 00:11:27,588 --> 00:11:36,096 <お客さんは 徳治郎 源一郎 笛子 杏子 勇太郎 磯。➡ 101 00:11:36,096 --> 00:11:40,651 桜子の 生まれて初めての 演奏会でした> 102 00:11:40,651 --> 00:11:47,658 ♬「おお わが宿よ」 103 00:11:47,658 --> 00:12:00,658 ♬「たのしとも たのもしや」 104 00:12:02,589 --> 00:12:04,591 (ウグイスの鳴き声) 105 00:12:04,591 --> 00:12:08,595 ♬~(オルガン) 106 00:12:08,595 --> 00:12:15,085 <昭和12年の春。 桜子は 女学校の5年生になり…> 107 00:12:15,085 --> 00:12:27,648 ♬~(「セントルイス・ブルース」) 108 00:12:27,648 --> 00:12:32,653 <長女の笛子は 奈良の女子高等師範学校を出て➡ 109 00:12:32,653 --> 00:12:37,658 岡崎の女学校の 教師になっていました> 110 00:12:37,658 --> 00:12:42,646 ♬~(オルガン) 111 00:12:42,646 --> 00:12:47,668 桜ちゃん! オルガンで大きな音出すの やめてくれん!? 家中に響くわ。 112 00:12:47,668 --> 00:12:51,672 いいじゃん たまの日曜くらい。 ジャズは やめてちょうだい。 113 00:12:51,672 --> 00:12:54,591 調子 狂っちゃうで。 114 00:12:54,591 --> 00:12:57,594 ≪(磯)♬「月が鏡で あったなら」 115 00:12:57,594 --> 00:13:04,151 <杏子は 女学校を 3年前に卒業。 磯叔母さんに 洋裁を習うなど➡ 116 00:13:04,151 --> 00:13:06,653 花嫁修業中でした> 117 00:13:06,653 --> 00:13:10,157 ♬「こんな気持ちで いるわたし」 (2人)♬「ねえ」 118 00:13:10,157 --> 00:13:16,647 ♬「忘れちゃいやヨ 忘れないでネ」 119 00:13:16,647 --> 00:13:20,651 どう どう? 杏ちゃん。 渡辺はま子のマネ! 120 00:13:20,651 --> 00:13:25,088 町内会の余興に 出せるずら? 出せると思うよ。 121 00:13:25,088 --> 00:13:29,159 ♬「昼はまぼろし 夜は夢」 122 00:13:29,159 --> 00:13:33,659 ああ あっちはあっちで もう! 頭 変になりそう。 123 00:13:36,583 --> 00:13:39,586 <そして あの弱虫だった勇太郎も➡ 124 00:13:39,586 --> 00:13:42,656 今や 中学の4年生。➡ 125 00:13:42,656 --> 00:13:45,158 なかなかの 秀才です> 126 00:13:45,158 --> 00:13:48,645 やった! 127 00:13:48,645 --> 00:13:51,648 あれ? 何だい? 春休みなのに 制服なんか着て。 128 00:13:51,648 --> 00:13:54,651 学校へ行くの。 新入生歓迎会の 出し物の練習。 129 00:13:54,651 --> 00:13:57,154 出し物って? 滝 廉太郎の「花」と➡ 130 00:13:57,154 --> 00:14:00,657 今中楓渓の「乙女の唄」。 「乙女の唄」か…。 131 00:14:00,657 --> 00:14:03,644 お姉ちゃん 乙女ってガラじゃないだらあに。 132 00:14:03,644 --> 00:14:05,644 (たたく音) イテッ! 133 00:14:15,088 --> 00:14:17,088 お父さん。 134 00:14:20,093 --> 00:14:24,593 お父さん! 行ってきます。 あ。 ああ 休みなのに お前…。 135 00:14:27,584 --> 00:14:32,589 ああ そうか。 アハハ 行ってきなさい。 136 00:14:32,589 --> 00:14:36,093 はい! 137 00:14:36,093 --> 00:14:40,147 <昭和12年といえば 二・二六事件の翌年。➡ 138 00:14:40,147 --> 00:14:45,652 そして 日中戦争の 始まろうとする年です。➡ 139 00:14:45,652 --> 00:14:48,655 けれど 世の中の そんな きなくさい動きには➡ 140 00:14:48,655 --> 00:14:55,155 かかわりなく 岡崎の町も我が家も まだ 平和そのものでした> 141 00:14:57,647 --> 00:15:03,153 <桜子は 16歳。 結婚して 幸せな家庭をつくることも➡ 142 00:15:03,153 --> 00:15:06,106 さっそうとした 職業婦人に なることも➡ 143 00:15:06,106 --> 00:15:08,642 どんな未来も 自分で選び取れる➡ 144 00:15:08,642 --> 00:15:14,598 かなわぬ夢などないと信じている 無敵の16歳でした> 145 00:15:14,598 --> 00:15:25,598 ♬~ 146 00:15:33,650 --> 00:15:36,603 (夏)最初のうちは 足ヒレつけた方が➡ 147 00:15:36,603 --> 00:15:38,989 深く潜れっからな。 よし! 148 00:15:38,989 --> 00:15:44,689 <ようやく アキは 新人海女として スタート地点に立ったのです> 149 00:15:46,263 --> 00:15:51,263 ♬~(テーマ音楽)