1 00:00:33,834 --> 00:00:43,827 ♬~(テーマ曲) 2 00:00:43,827 --> 00:00:52,827 ♬~ 3 00:01:42,486 --> 00:01:44,488 (桜子)ご協力お願いします! 4 00:01:44,488 --> 00:01:48,225 西園寺先生の辞表撤回の 署名集めです。 お願いしま~す! 5 00:01:48,225 --> 00:01:52,496 (マサ)<桜子は 音楽学校での 署名活動を きっかけに➡ 6 00:01:52,496 --> 00:01:56,883 西園寺先生と秋山の 過去の いきさつを➡ 7 00:01:56,883 --> 00:02:00,554 知る事に なったのです> 8 00:02:00,554 --> 00:02:03,156 (西園寺)待ちなさい 秋山君! 9 00:02:03,156 --> 00:02:06,893 ♬~ 10 00:02:06,893 --> 00:02:09,193 お願いします。 (達彦)お願いします。 11 00:02:10,881 --> 00:02:15,886 秋山さん 前に 学校の前で サックスを吹いとったんです。 12 00:02:15,886 --> 00:02:18,572 先生に気付いてほしい気持ちが➡ 13 00:02:18,572 --> 00:02:20,574 ちょっとは あったんじゃないのかな。 14 00:02:20,574 --> 00:02:22,592 (マリ)ほっといた方が いいわよ。 15 00:02:22,592 --> 00:02:26,496 メンツとか 意地とか 大人は難しいからね。 16 00:02:26,496 --> 00:02:28,498 ほうかなあ…。 17 00:02:28,498 --> 00:02:31,798 (八重)あっ ハツ美ちゃん。 そうめん 食べる? 18 00:02:37,224 --> 00:02:41,895 (冬吾)難しいのは 大人だけでねえようだな。 19 00:02:41,895 --> 00:02:43,895 (戸が開く音) 20 00:02:47,884 --> 00:02:51,184 (八重)お帰り 八州さん。 そうめん 食べない? 21 00:02:55,892 --> 00:03:02,192 八州治。 本当に行くのが? 22 00:03:13,493 --> 00:03:18,164 何だか 住みづらくなってきたわね このアパートも。 23 00:03:18,164 --> 00:03:21,568 (八重)私は 八州さんの気持ち 分かるわ。 24 00:03:21,568 --> 00:03:27,223 売れない絵を 描いてると 自分が 東京の隅っこから➡ 25 00:03:27,223 --> 00:03:30,226 フッて 消えちゃうんじゃないか って思う時が あるの…。 26 00:03:30,226 --> 00:03:34,497 消えても 誰も 気付かないんじゃないかって➡ 27 00:03:34,497 --> 00:03:36,883 そんな感じ。 28 00:03:36,883 --> 00:03:42,583 だから冬吾さん。 八州さんを 責めないであげてくれる? 29 00:03:46,226 --> 00:03:50,830 俺は なんも あいつを 責めてるんではねえ。 30 00:03:50,830 --> 00:03:54,217 心配なんだ。 31 00:03:54,217 --> 00:03:59,889 描ぎたくない絵を描ぐと 心が すさむ。➡ 32 00:03:59,889 --> 00:04:05,895 描こうとしても 筆が 動がねぐなるんだ。 33 00:04:05,895 --> 00:04:10,250 「ああしろ こうしろ」と 上から言われて描く絵に➡ 34 00:04:10,250 --> 00:04:13,219 ろくなもんは ねえ。 35 00:04:13,219 --> 00:04:22,512 あんな 不器用で 我の強いやつが 大丈夫だべかと思ってな。 36 00:04:22,512 --> 00:04:25,565 ♬~ 37 00:04:25,565 --> 00:04:27,834 [ 回想 ] (西園寺)僕は 軍歌を書きますよ。 38 00:04:27,834 --> 00:04:32,534 軍部の要請どおり 勇壮なものをね。 39 00:04:34,174 --> 00:04:40,830 西園寺先生… 大丈夫かな? 40 00:04:40,830 --> 00:04:47,830 ♬~ 41 00:04:56,563 --> 00:05:00,817 (軍人 A)本日は どうも お招きに預かりまして。 42 00:05:00,817 --> 00:05:03,553 (軍人 B) 作曲が 難航していると聞いて➡ 43 00:05:03,553 --> 00:05:08,158 心配していたんだが 思いの外 早く仕上がりましたな。 44 00:05:08,158 --> 00:05:15,882 身に余る光栄が 重圧となりまして 筆が 進まなかったもので。 45 00:05:15,882 --> 00:05:18,885 前回のような 軟弱なものは 困りますよ。➡ 46 00:05:18,885 --> 00:05:22,155 戦場で ショパンやブラームスを聴いても➡ 47 00:05:22,155 --> 00:05:26,159 兵隊の士気は 上がりませんからな~! ハハハハ! 48 00:05:26,159 --> 00:05:29,929 (笑い声) 49 00:05:29,929 --> 00:05:33,550 では 聴かせて頂こうか。 50 00:05:33,550 --> 00:05:37,850 表題は 「皇國ノ民」です。 51 00:05:43,159 --> 00:05:59,893 ♬~ 52 00:05:59,893 --> 00:06:06,499 申し訳ありません。 どうも 気分が すぐれなくて。 53 00:06:06,499 --> 00:06:10,887 どうしても 出だしが うまく いかないんです。 54 00:06:10,887 --> 00:06:14,491 やはり これは まだ お渡しできません。 55 00:06:14,491 --> 00:06:16,893 失礼します! (松尾)西園寺先生! 56 00:06:16,893 --> 00:06:18,895 秋山さん お願いします。 57 00:06:18,895 --> 00:06:22,499 秋山さんは 西園寺先生の 一番弟子だったんですよね。 58 00:06:22,499 --> 00:06:24,551 先生 言っとりました。 59 00:06:24,551 --> 00:06:28,238 「秋山さんが 音楽家になってて よかった」って。 60 00:06:28,238 --> 00:06:31,558 お願いします。 一度 先生に会って下さい。 61 00:06:31,558 --> 00:06:34,561 (秋山)会わせる顔が ないんだよ。 62 00:06:34,561 --> 00:06:37,897 金 持って トンズラしちゃったんだから。 63 00:06:37,897 --> 00:06:40,884 秋山さん…。 64 00:06:40,884 --> 00:06:45,584 俺には もう あの人に会う資格は ないんだよ。 65 00:06:47,557 --> 00:06:50,560 ≪(達彦)有森! (係員)ちょ ちょ ちょっと! 66 00:06:50,560 --> 00:06:52,879 あっ。 駄目だよ 勝手に! 67 00:06:52,879 --> 00:06:57,217 すぐ 済みますから。 有森! 大変だ 西園寺先生が! 68 00:06:57,217 --> 00:06:59,819 先生が どうしたの!? どうしたんだ!? 69 00:06:59,819 --> 00:07:06,159 ♬~ 70 00:07:06,159 --> 00:07:09,896 先生! あっ 来てくれたんですか。 71 00:07:09,896 --> 00:07:13,166 すいませんが 私は これから 上海に発ちます。 72 00:07:13,166 --> 00:07:16,886 とてもじゃないが こんな 息苦しい国には いられませんよ。 73 00:07:16,886 --> 00:07:20,156 先生! 僕は 体質的に駄目なんですよ! 74 00:07:20,156 --> 00:07:26,162 行進曲。 号令。 そして 自分達が この世で一番偉いかのように➡ 75 00:07:26,162 --> 00:07:29,833 振る舞いたがる あの人達が! ほいでも 行かんで下さい! 76 00:07:29,833 --> 00:07:31,835 おっしゃったじゃないですか。 77 00:07:31,835 --> 00:07:35,171 「私達がいるから 学校を辞められない」って。 78 00:07:35,171 --> 00:07:39,826 そうですね。 そうでした~! 79 00:07:39,826 --> 00:07:43,880 しかし 官学に身を置く者に とっては もう これ以上➡ 80 00:07:43,880 --> 00:07:47,167 学校に迷惑をかける訳には いきません! 81 00:07:47,167 --> 00:07:51,221 ♬~ 82 00:07:51,221 --> 00:07:57,827 秋山さん。 先生 御無沙汰しておりました! 83 00:07:57,827 --> 00:08:00,230 秋山君! 84 00:08:00,230 --> 00:08:03,216 松井君から ご窮状は 伺いました。 85 00:08:03,216 --> 00:08:05,885 どこですか? 先生の お作りになった曲は。 86 00:08:05,885 --> 00:08:09,885 ああ… これなんだが…。 87 00:08:17,180 --> 00:08:27,223 ♬~(小太鼓) 88 00:08:27,223 --> 00:08:31,160 それでは 西園寺先生作曲によります➡ 89 00:08:31,160 --> 00:08:35,164 「皇國ノ民」を演奏致します。 90 00:08:35,164 --> 00:09:07,897 ♬~(「皇國ノ民」) 91 00:09:07,897 --> 00:09:11,884 (拍手) 92 00:09:11,884 --> 00:09:16,889 すばらしいじゃないですか! 血湧き肉躍る名曲だ! 93 00:09:16,889 --> 00:09:19,225 褒めるなら 西園寺先生を褒めて下さい。 94 00:09:19,225 --> 00:09:23,229 先生の作曲ですから。 (ドアが開く音) 95 00:09:23,229 --> 00:09:28,501 (軍人 A)先生! 我が皇軍のために こんな名曲を! 96 00:09:28,501 --> 00:09:33,556 ありがとうございます! (軍人 B)先生 すばらしい! 97 00:09:33,556 --> 00:09:41,856 (拍手) 98 00:09:46,169 --> 00:09:52,158 先生。 よかったですね。 99 00:09:52,158 --> 00:09:55,158 よかったんでしょうか? 100 00:09:57,230 --> 00:10:02,485 僕は 君に あんな事をさせて よかったのか? 101 00:10:02,485 --> 00:10:07,785 いや 断じて あんな事を させるべきじゃなかった! 102 00:10:09,559 --> 00:10:13,896 悪いのは 僕です。 差し出がましい事を しました。 103 00:10:13,896 --> 00:10:16,196 おい 行くぞ。 104 00:10:17,884 --> 00:10:21,154 秋山君! 105 00:10:21,154 --> 00:10:23,556 (ドアが閉まる音) 106 00:10:23,556 --> 00:10:35,501 ♬~ 107 00:10:35,501 --> 00:10:39,172 (冬吾)今に 冬が来る。 108 00:10:39,172 --> 00:10:46,229 冬ですか? 冬の時代だ。 109 00:10:46,229 --> 00:10:52,885 外は嵐だ。 何しても 足 すくわれる。 110 00:10:52,885 --> 00:11:01,227 絵描きも 物書きも 音楽家も 息詰めで じっとしてねばなんね。 111 00:11:01,227 --> 00:11:06,849 こったな時は 動いたら 負けだ。 112 00:11:06,849 --> 00:11:08,885 ♬~ 113 00:11:08,885 --> 00:11:15,875 ほんでも 動きたくなる気持ちも 分かるような気がします。 114 00:11:15,875 --> 00:11:18,161 ♬~ 115 00:11:18,161 --> 00:11:21,914 八州治さんの壮行会 やってあげませんか? 116 00:11:21,914 --> 00:11:24,217 八州治さんだって➡ 117 00:11:24,217 --> 00:11:27,517 みんなから祝福されて 出ていきたいはずです。 118 00:11:34,227 --> 00:11:36,229 八州治君。 (八州治)はい! 119 00:11:36,229 --> 00:11:43,152 <数日後 西園寺先生を招いて 八州治の壮行会が 催されました> 120 00:11:43,152 --> 00:11:45,452 (一同)乾杯! 121 00:11:50,560 --> 00:11:54,163 (拍手) 122 00:11:54,163 --> 00:12:02,221 大陸は 冬が来るのが早い。 体に 気ぃ付けれ。 123 00:12:02,221 --> 00:12:04,891 ありがとう! 124 00:12:04,891 --> 00:12:09,896 (薫子)ごめんください! ちょっと遅れました。 125 00:12:09,896 --> 00:12:13,232 八州治さん おめでとう! あ~ どうもありがとう! 126 00:12:13,232 --> 00:12:15,885 社を代表して挨拶に参りました。 はい! 127 00:12:15,885 --> 00:12:18,221 この人は 記者の若槻 彰さん。 128 00:12:18,221 --> 00:12:21,224 「冬吾さんの絵が大好きだ」って 言うから 連れてきたの。 129 00:12:21,224 --> 00:12:23,893 (若槻)この度は おめでとうございます。 130 00:12:23,893 --> 00:12:26,896 (八州治)ありがとうございます! (八重)どうぞ お酒を。 131 00:12:26,896 --> 00:12:30,833 あっ… ありがとうございます。 132 00:12:30,833 --> 00:12:33,252 (ハツ美)小野寺ハツ美です! 133 00:12:33,252 --> 00:12:37,223 あの カタカナのハツに美しいと書いて ハツ美です。 134 00:12:37,223 --> 00:12:40,226 そうですか。 はい! かわいい名前ですね。 135 00:12:40,226 --> 00:12:42,228 えっ!? 136 00:12:42,228 --> 00:12:47,500 (西園寺)え~ 皆さん 私が 今日の はなむけに➡ 137 00:12:47,500 --> 00:12:52,221 皆さんに 一曲 弾かせて…。 (戸の開く音) 138 00:12:52,221 --> 00:12:54,221 ♬~ 139 00:12:55,892 --> 00:12:58,227 秋山君。 140 00:12:58,227 --> 00:13:01,898 お前が呼んだのかん? うん。 141 00:13:01,898 --> 00:13:07,553 先生。 本当に 申し訳ありませんでした! 142 00:13:07,553 --> 00:13:11,591 (西園寺)いやいやいや 秋山君。 いいんだよ もう。 143 00:13:11,591 --> 00:13:14,160 もう いいんだよ。 さあ! 144 00:13:14,160 --> 00:13:20,500 秋山君 今日は一緒に 音楽を 楽しみましょう! 145 00:13:20,500 --> 00:13:26,172 はい…。 はい! うん。 146 00:13:26,172 --> 00:13:39,502 ♬~ 147 00:13:39,502 --> 00:13:43,489 踊りましょうか? えっ? 私? 148 00:13:43,489 --> 00:13:46,492 ええ。 いいんですか? 149 00:13:46,492 --> 00:13:52,215 ♬~ 150 00:13:52,215 --> 00:13:55,885 踊ろう 八州さん。 えっ 俺は 踊り うまくねえぜ。 151 00:13:55,885 --> 00:13:59,171 そんな事 分かってるわよ。 ああ ヘヘヘヘヘ! 152 00:13:59,171 --> 00:14:02,174 そいだば 踊るが? うん。 153 00:14:02,174 --> 00:14:05,561 ♬~ 154 00:14:05,561 --> 00:14:07,914 踊ったら? 155 00:14:07,914 --> 00:14:15,838 ♬~ 156 00:14:15,838 --> 00:14:20,509 踊ろう。 うん。 157 00:14:20,509 --> 00:14:22,495 ♬~ 158 00:14:22,495 --> 00:14:25,848 踊りませんか? 159 00:14:25,848 --> 00:14:28,167 ♬~ 160 00:14:28,167 --> 00:14:33,506 <西園寺先生は 学校を辞めなくて済みました> 161 00:14:33,506 --> 00:14:36,158 ♬~ 162 00:14:36,158 --> 00:14:41,497 <桜子は 幸せでした。➡ 163 00:14:41,497 --> 00:14:47,219 まさか この時が 大切な人達との最後の集い➡ 164 00:14:47,219 --> 00:14:53,492 最後の幸せになる事など 夢にも思っていませんでした> 165 00:14:53,492 --> 00:14:56,562 ♬~ 166 00:14:56,562 --> 00:15:01,262 (セミの鳴き声) 167 00:15:04,270 --> 00:15:06,970 (郵便局員)じゃ 失礼します。 168 00:15:13,829 --> 00:15:16,832 どうしたの? 169 00:15:16,832 --> 00:15:21,832 (セミの鳴き声) 170 00:15:33,833 --> 00:15:37,853 ♬~ 171 00:15:37,853 --> 00:15:40,890 [ 回想 ] (水口)まだ17歳だろ? 172 00:15:40,890 --> 00:15:44,026 まだまだ知らない世界が ある訳じゃんか。 173 00:15:44,026 --> 00:15:47,426 君自身 無限の可能性を 秘めてる訳じゃんか。 174 00:15:49,682 --> 00:15:53,786 (ユイ)スカウトマンだからよ! (アキ)スカウトマン? 175 00:15:53,786 --> 00:15:59,592 そう 荒巻太一の事務所の社員 私たちを スカウトしに来たのよ。