1 00:00:33,324 --> 00:00:43,401 ♬~(テーマ曲) 2 00:00:43,401 --> 00:00:52,401 ♬~ 3 00:01:42,894 --> 00:01:46,731 (桜子)仙吉さん。 野木山さん。 皆さん。 4 00:01:46,731 --> 00:01:52,337 私も この店を 私の力で支えられるものならと➡ 5 00:01:52,337 --> 00:01:55,723 心の底から 思っていました。 6 00:01:55,723 --> 00:02:00,728 女将さんを思い 達彦さんを思いながら➡ 7 00:02:00,728 --> 00:02:06,034 この「山長」で 皆さんと ずっと 一緒に暮らしていきたかった。 8 00:02:06,034 --> 00:02:12,056 でも… 達彦さんは 死んだんです。 9 00:02:12,056 --> 00:02:17,328 ♬~ 10 00:02:17,328 --> 00:02:20,681 申し訳ありません。 11 00:02:20,681 --> 00:02:22,717 ♬~ 12 00:02:22,717 --> 00:02:28,990 そして… 本当に ありがとうございました。 13 00:02:28,990 --> 00:02:32,727 (マサ)<達彦を愛し かねを愛し➡ 14 00:02:32,727 --> 00:02:36,064 それゆえに 支え続けてきた「山長」を➡ 15 00:02:36,064 --> 00:02:39,400 桜子は ついに 去ったのでした> 16 00:02:39,400 --> 00:02:43,004 (磯)桜ちゃん。 人生は これからだでね。 17 00:02:43,004 --> 00:02:45,056 (徳治郎)ほうだ。 ほうだぞ。 18 00:02:45,056 --> 00:02:51,062 桜ちゃん まだ若いだもんでね。 戦争は いつか 終わるし。 19 00:02:51,062 --> 00:02:54,665 ここは ひとつ 割り切って 自分の幸せを考えんと。 ねっ。 20 00:02:54,665 --> 00:02:57,001 ほうだ ほうだ。 ほんとおりだ。 21 00:02:57,001 --> 00:03:01,055 あっ お代わりは? 元気つけなね。 22 00:03:01,055 --> 00:03:06,060 お代わり お代わり…。 あっ ない。 叔母さんの 食べ。 23 00:03:06,060 --> 00:03:10,398 おじいちゃんのも ほら。 はい。 ありがとう。 24 00:03:10,398 --> 00:03:15,069 でも もう おなかいっぱい。 後片づけは 私が やるで。 25 00:03:15,069 --> 00:03:18,673 叔母さんも仕事があるだらあ? もう 行ったら? 26 00:03:18,673 --> 00:03:21,058 おじいちゃんも 畑仕事があるでしょう? 27 00:03:21,058 --> 00:03:23,060 あ… ほうだ。 28 00:03:23,060 --> 00:03:28,332 2人とも 私に 張り付いとらんで そろそろ 仕事始めた方がいいよ。 29 00:03:28,332 --> 00:03:32,720 私も 一人になりたいで。 30 00:03:32,720 --> 00:03:35,339 桜ちゃん…。 31 00:03:35,339 --> 00:03:45,399 ♬~ 32 00:03:45,399 --> 00:03:53,674 <その後の数日 桜子は たった一人で 家にいました> 33 00:03:53,674 --> 00:03:57,061 ♬~ 34 00:03:57,061 --> 00:04:03,334 <渇ききった心が 誰かに会う事で 崩れてしまうのを➡ 35 00:04:03,334 --> 00:04:06,334 恐れていたのかもしれません> 36 00:04:08,055 --> 00:04:11,325 <砂漠のような むなしさを 抱えたまま➡ 37 00:04:11,325 --> 00:04:16,330 ただ 毎日が過ぎていきました> 38 00:04:16,330 --> 00:04:24,630 ♬~ 39 00:04:26,324 --> 00:04:32,324 (物音) 40 00:04:34,081 --> 00:04:38,085 (冬吾)よう…。 冬吾さん。 41 00:04:38,085 --> 00:04:42,056 ちょっとの間 世話になるはんで。 42 00:04:42,056 --> 00:04:46,356 腹 減ったな。 何か食わせてけれじゃ。 43 00:04:53,000 --> 00:04:57,989 冬吾さん。 何しに来たんですか? 44 00:04:57,989 --> 00:05:02,393 東京から わざわざ来たんだから 大事な用があるんでしょう? 45 00:05:02,393 --> 00:05:06,397 米ばっかりの飯なんて 久しぶりだなあ。 46 00:05:06,397 --> 00:05:09,397 お代わりしてもいいべか? 47 00:05:11,669 --> 00:05:14,055 <そんなふうにして➡ 48 00:05:14,055 --> 00:05:18,059 冬吾は しばらく 有森家で過ごしました。➡ 49 00:05:18,059 --> 00:05:22,359 何を目的に来たかも告げず> 50 00:05:26,050 --> 00:05:29,750 (郵便局員)有森さん 郵便です! 51 00:05:35,393 --> 00:05:38,693 笛姉ちゃん。 52 00:05:40,398 --> 00:05:43,050 (笛子)「桜子の様子は どうでしょうか。➡ 53 00:05:43,050 --> 00:05:45,052 早く東京へ来るように➡ 54 00:05:45,052 --> 00:05:48,322 私も杏子も 待っていると お伝え頂けたのでしょうか。➡ 55 00:05:48,322 --> 00:05:52,326 返事が遅いので 心配しています」。 56 00:05:52,326 --> 00:06:00,326 (ピアノの音) 57 00:06:04,739 --> 00:06:06,739 これ…。 58 00:06:20,655 --> 00:06:22,723 冬吾さん➡ 59 00:06:22,723 --> 00:06:27,995 私の事 東京へ呼び寄せるように 言われて来たんだね? 60 00:06:27,995 --> 00:06:30,998 うん。 61 00:06:30,998 --> 00:06:34,385 何で その事 早く言わんの? 62 00:06:34,385 --> 00:06:39,056 ピアノ 弾いでねえのか? 桜ちゃん。 63 00:06:39,056 --> 00:06:44,061 ず~っと 触ってねえんだべ? 埃が たまってるな。 64 00:06:44,061 --> 00:06:48,065 弾く気になれんのだもん もう。 65 00:06:48,065 --> 00:06:53,104 んだか。 もったいねえなあ。 66 00:06:53,104 --> 00:06:55,723 達彦君に 言われたんでねがったか!? 67 00:06:55,723 --> 00:06:58,392 「音楽を忘れるな」って…。 ほいだって➡ 68 00:06:58,392 --> 00:07:01,679 弾く気になれんのだもん。 しょうがないじゃん! 69 00:07:01,679 --> 00:07:19,397 ♬~ 70 00:07:19,397 --> 00:07:25,336 叔母さんも おじいちゃんも 亡くなったお母さんも➡ 71 00:07:25,336 --> 00:07:28,989 みんな 言う事は 一緒。 72 00:07:28,989 --> 00:07:31,992 「もう忘れろ。➡ 73 00:07:31,992 --> 00:07:36,292 お前の人生は これからだ。 頑張って生きろ」って…。 74 00:07:38,049 --> 00:07:43,337 何で みんな そんな事 言うの? 無責任だよ! 75 00:07:43,337 --> 00:07:45,389 ♬~ 76 00:07:45,389 --> 00:07:48,993 私の人生なんて 一体 どこにあるの!? 77 00:07:48,993 --> 00:07:50,995 ♬~ 78 00:07:50,995 --> 00:07:58,386 達彦さんも お母さんも 死んじゃった。 79 00:07:58,386 --> 00:08:05,676 お母さんが生きとる時は まだ 達彦さんが生きとるって思えた。 80 00:08:05,676 --> 00:08:07,728 ♬~ 81 00:08:07,728 --> 00:08:14,335 大事な人が 2人いっぺんに 私を置いていっちゃったんだよ! 82 00:08:14,335 --> 00:08:20,007 ♬~ 83 00:08:20,007 --> 00:08:22,059 (泣き声) 84 00:08:22,059 --> 00:08:26,063 何で いつも こうなの? 85 00:08:26,063 --> 00:08:32,686 好きな人が 何で いつも みんな 死んじゃうの!? 86 00:08:32,686 --> 00:08:39,326 ♬~ 87 00:08:39,326 --> 00:08:42,326 もう 駄目だよ。 88 00:08:45,399 --> 00:08:49,099 音楽が 何だっちゅうの? 89 00:08:52,723 --> 00:08:56,727 もう 何にも やりたくない。 90 00:08:56,727 --> 00:08:59,727 んだが。 91 00:09:08,989 --> 00:09:15,289 へば みんな 焼いちまうが? 潔く。 92 00:09:32,396 --> 00:09:38,096 何するの? みんな 焼ぐんだ。 93 00:10:07,331 --> 00:10:16,073 ♬~ 94 00:10:16,073 --> 00:10:20,094 ほれ。 これもだ 桜ちゃん。 95 00:10:20,094 --> 00:10:27,334 ♬~ 96 00:10:27,334 --> 00:10:30,004 (マッチを擦る音) やめて! 97 00:10:30,004 --> 00:11:08,659 ♬~ 98 00:11:08,659 --> 00:11:20,321 (泣き声) 99 00:11:20,321 --> 00:11:25,059 ひどいよ! 冬吾さん。 「やめて」って言ったのに! 100 00:11:25,059 --> 00:11:29,359 おかげで 大事なもんが何か 分かったべ? 101 00:11:33,334 --> 00:11:36,334 ほれ…。 102 00:11:55,723 --> 00:12:03,423 「私の人生は どこにある」って ちゃんと ここにあるんでねえか。 103 00:12:05,766 --> 00:12:08,385 冬吾さん…。 104 00:12:08,385 --> 00:12:12,389 お前の泣いだ顔は 何べんも 見てきたからなあ。 105 00:12:12,389 --> 00:12:17,344 東京の音楽学校の試験に 落ちた時も 泣いてたっけか。 106 00:12:17,344 --> 00:12:20,397 んだども あの時だって お前は➡ 107 00:12:20,397 --> 00:12:23,734 次の日には 涙 拭いて 立ち直ったな。 108 00:12:23,734 --> 00:12:27,071 お前は 強い 強い 女子だ。 109 00:12:27,071 --> 00:12:31,342 俺は 分かってるはんで。 110 00:12:31,342 --> 00:12:40,718 ♬~ 111 00:12:40,718 --> 00:12:53,330 (泣き声) 112 00:12:53,330 --> 00:13:04,324 ♬~ 113 00:13:04,324 --> 00:13:14,068 私… 東京に行く。 行ってもいいよね? 114 00:13:14,068 --> 00:13:20,657 もちろんだ。 笛子も加寿子も亨も 桜ちゃんを待ってる。 115 00:13:20,657 --> 00:13:26,063 東京で もう一度 音楽やったらいいべ。 116 00:13:26,063 --> 00:13:34,655 うん。 ほうだね。 私には 音楽がある。 117 00:13:34,655 --> 00:13:38,392 んだ。 家族もいる。 118 00:13:38,392 --> 00:13:45,999 ♬~ 119 00:13:45,999 --> 00:13:51,989 今夜のお月さんは まんどろだな。 まんどろ? 120 00:13:51,989 --> 00:13:59,680 明るく光ってるっつう事だ。 明日は いい天気になるべ。 121 00:13:59,680 --> 00:14:15,996 ♬~ 122 00:14:15,996 --> 00:14:20,296 へばな。 ほいじゃあね。 123 00:14:33,330 --> 00:14:36,400 <冬吾は 去っていきました。➡ 124 00:14:36,400 --> 00:14:40,053 桜子は 身の回りの整理を済ませたら➡ 125 00:14:40,053 --> 00:14:45,709 すぐに東京に行く事を約束し 一人 岡崎に残りました。➡ 126 00:14:45,709 --> 00:14:48,996 3月9日の事でした。➡ 127 00:14:48,996 --> 00:14:51,999 そして 翌3月10日> 128 00:14:51,999 --> 00:14:58,055 (ラジオ)「大本営発表。 本3月10日 0時過ぎより 2時40分の間➡ 129 00:14:58,055 --> 00:15:05,729 B29 約130機 主力をもって 帝都に来襲。 市街地を盲爆せり。➡ 130 00:15:05,729 --> 00:15:09,833 右盲爆により 都内各所に 火災を生じたるも➡ 131 00:15:09,833 --> 00:15:13,320 宮内庁主馬寮は…」。 132 00:15:13,320 --> 00:15:18,392 <10万人に及ぶ死者を出した 未曽有の大空襲が➡ 133 00:15:18,392 --> 00:15:21,328 東京を襲ったのです> 134 00:15:21,328 --> 00:15:25,028 ♬~ 135 00:15:36,326 --> 00:15:38,328 (春子)いいから 事務所に戻って! 136 00:15:38,328 --> 00:15:40,831 [無線]今すぐ! お願い! 137 00:15:40,831 --> 00:15:48,055 ♬~ 138 00:15:48,055 --> 00:15:51,225 (水口)ちょっと 大将! 今日 あの若造 何で いないの!? 139 00:15:51,225 --> 00:15:53,727 (梅頭)えっ 種市? 9時であがったけど。 140 00:15:53,727 --> 00:15:56,496 何やってんだよ! すいません。 141 00:15:56,496 --> 00:16:00,400 (水口)あっ 正宗さん 今 どこ走ってます?