1 00:00:33,605 --> 00:00:43,599 ♬~(テーマ曲) 2 00:00:43,599 --> 00:00:52,599 ♬~ 3 00:01:43,992 --> 00:01:47,329 (幸)これが ヤツデで。 (杏子 浩樹)うん。 4 00:01:47,329 --> 00:01:49,998 (幸)これが シャクナゲで。 うん。 5 00:01:49,998 --> 00:01:54,002 これが ハランで。 そう。 これが サツキ。 6 00:01:54,002 --> 00:01:57,939 (浩樹 杏子)わ~ すごいね! (笑い声) 7 00:01:57,939 --> 00:02:03,239 (冬吾)何年も前から 一緒に 暮らしてる家族みてえだな。 8 00:02:14,940 --> 00:02:21,363 (笛子)杏ちゃんは 患者さんに 尽くして 尽くして 尽くしまくる。 9 00:02:21,363 --> 00:02:25,934 男の人って どんなに 人間が できてるように見えても➡ 10 00:02:25,934 --> 00:02:31,934 結局 結婚したら 妻に 尽くしてもらいたいもんでしょう。 11 00:02:33,592 --> 00:02:37,329 鈴村さんは それを 我慢できますか? 12 00:02:37,329 --> 00:02:41,333 杏子さんの仕事が どんなに忙しくとも➡ 13 00:02:41,333 --> 00:02:43,935 家庭の事が 多少 おろそかになっても➡ 14 00:02:43,935 --> 00:02:46,004 文句を言うつもりは ありません。➡ 15 00:02:46,004 --> 00:02:49,925 僕は この前の空襲で 家族を亡くしました。 16 00:02:49,925 --> 00:02:53,278 杏子さんが 「生きろ」と 励ましてくれたから➡ 17 00:02:53,278 --> 00:02:55,664 今の僕が あるんです。➡ 18 00:02:55,664 --> 00:02:58,934 あの状況を 一緒に乗り越えたからこそ➡ 19 00:02:58,934 --> 00:03:03,655 心が 深く結び付いたんだと思います。 20 00:03:03,655 --> 00:03:06,658 ♬~ 21 00:03:06,658 --> 00:03:11,930 笛姉ちゃん 許して下さい。➡ 22 00:03:11,930 --> 00:03:17,269 大丈夫。 私 幸せになります。 23 00:03:17,269 --> 00:03:27,929 ♬~ 24 00:03:27,929 --> 00:03:30,932 杏ちゃん。 25 00:03:30,932 --> 00:03:35,670 決めるのは 結局 あんたなんだよ。➡ 26 00:03:35,670 --> 00:03:39,658 お姉ちゃんは はたで見て 心配して➡ 27 00:03:39,658 --> 00:03:44,613 幸せを祈ってやる事しか できやせんもんね。 28 00:03:44,613 --> 00:03:52,270 ♬~ 29 00:03:52,270 --> 00:03:59,611 鈴村さん 杏子の事 よろしくお願いします! 30 00:03:59,611 --> 00:04:02,330 ♬~ 31 00:04:02,330 --> 00:04:06,017 よろしくお願いします! 32 00:04:06,017 --> 00:04:09,271 ありがとう! 33 00:04:09,271 --> 00:04:16,328 ♬~ 34 00:04:16,328 --> 00:04:23,602 ♬~(徳治郎の「高砂」) 35 00:04:23,602 --> 00:04:27,606 (マサ)<その日 有森家では➡ 36 00:04:27,606 --> 00:04:31,593 ささやかな 祝いの宴が 開かれました。➡ 37 00:04:31,593 --> 00:04:33,995 なんとも 簡素な宴でしたが➡ 38 00:04:33,995 --> 00:04:38,266 杏子にとっても 見守る家族にとっても➡ 39 00:04:38,266 --> 00:04:44,606 本当の幸福に包まれた 幸せな ひとときでした> 40 00:04:44,606 --> 00:04:53,932 (徳治郎) ♬「月もろともに 出汐の」 41 00:04:53,932 --> 00:04:57,936 (八州治) ♬「風は 春風」 42 00:04:57,936 --> 00:05:02,357 <そして 宴も たけなわとなった夕刻> 43 00:05:02,357 --> 00:05:09,347 (八州治)♬「中に 美の字の あの徽章 チャカホイ チャカホイ」 44 00:05:09,347 --> 00:05:12,667 ♬「新橋芸者と」 45 00:05:12,667 --> 00:05:16,004 ≪(郵便局員)花岡八州治さ~ん! 花岡八州治さんは➡ 46 00:05:16,004 --> 00:05:18,940 こちらに おいでですか~? 何だ? 47 00:05:18,940 --> 00:05:21,326 花岡八州治さんですか? はい。 48 00:05:21,326 --> 00:05:24,326 郵便です。 ああ 御苦労さま…。 49 00:05:27,933 --> 00:05:33,605 (桜子)何だった? とうとう来ちまった…。 50 00:05:33,605 --> 00:05:36,324 えっ? 51 00:05:36,324 --> 00:05:39,324 召集だ。 52 00:05:51,673 --> 00:05:56,695 ご武運を お祈りします! 53 00:05:56,695 --> 00:06:02,267 あれ? あれあれ!? 嫌だなあ! 54 00:06:02,267 --> 00:06:06,271 おい 何だよ? みんな 急に そんな 暗い顔しちゃってさ~。 55 00:06:06,271 --> 00:06:08,990 大丈夫だって~! 56 00:06:08,990 --> 00:06:10,992 赤紙なんか来たってさ➡ 57 00:06:10,992 --> 00:06:12,994 入隊する その日に こう➡ 58 00:06:12,994 --> 00:06:15,330 醤油をね 一升 ぐ~って飲んでったら➡ 59 00:06:15,330 --> 00:06:17,666 検査で 引っ掛かって 帰されるって話が あるし。➡ 60 00:06:17,666 --> 00:06:21,670 それからね… カラシをね たっぷり ケツの穴の所に塗っといたら➡ 61 00:06:21,670 --> 00:06:23,672 ひっどい痔に なっちゃって➡ 62 00:06:23,672 --> 00:06:26,992 塹壕の中で じっとして いられねえから 困るってんで➡ 63 00:06:26,992 --> 00:06:29,678 家 帰されるって そんな話もあるんだよ! 64 00:06:29,678 --> 00:06:32,998 大丈夫 大丈夫。 もう 手はね 手は いっぱいあるんだよ! 65 00:06:32,998 --> 00:06:36,668 いっぱい…。 66 00:06:36,668 --> 00:06:42,368 チクショー。 死にたくねえよ。 67 00:06:44,259 --> 00:06:49,047 でもね! もうね あの… もう しょうがない!➡ 68 00:06:49,047 --> 00:06:54,002 行く以上はね 潔く行きますよ! ね! 冬吾~! おい! 69 00:06:54,002 --> 00:06:56,271 「猫じゃ猫じゃ」やってくれ! なっ? 70 00:06:56,271 --> 00:06:59,991 (八州治)♬「猫じゃ猫じゃと」 71 00:06:59,991 --> 00:07:04,691 お前 少し黙れ。 しゃべり過ぎだ。 72 00:07:13,989 --> 00:07:23,999 冬吾。 お前… 生き延びて 絵 描けな。 73 00:07:23,999 --> 00:07:30,655 俺 ず~っと お前の才能に 嫉妬していた。➡ 74 00:07:30,655 --> 00:07:33,258 そのうち ヤキモチやくのも ばからしくなって➡ 75 00:07:33,258 --> 00:07:35,660 ただ 感心するようになって➡ 76 00:07:35,660 --> 00:07:40,665 しまいにゃ 誇りにさえ思うようになった…。 77 00:07:40,665 --> 00:07:46,338 だからさ 俺 赤紙が来て こんなふうに うろたえてるけど➡ 78 00:07:46,338 --> 00:07:52,944 これが お前に来たんじゃなくて 俺に来て よかったって…。 79 00:07:52,944 --> 00:07:54,946 ♬~ 80 00:07:54,946 --> 00:08:01,670 絵 描けよ…。 生きて…。 81 00:08:01,670 --> 00:08:05,640 俺の分まで生き延びて! 82 00:08:05,640 --> 00:08:08,660 絵 描けよ! 83 00:08:08,660 --> 00:08:12,998 ♬~ 84 00:08:12,998 --> 00:08:17,669 (泣き声) 85 00:08:17,669 --> 00:08:19,938 死ぬな。 86 00:08:19,938 --> 00:08:22,924 ♬~ 87 00:08:22,924 --> 00:08:26,661 死ぬな! (泣き声) 88 00:08:26,661 --> 00:08:32,617 バカ野郎。 俺はよ~ お前なんかに 抱かれたくねえよ。➡ 89 00:08:32,617 --> 00:08:34,669 何 やってんだよ。➡ 90 00:08:34,669 --> 00:08:38,606 どうせ 抱かれるんだったら 杏子さんの方が いいや! 91 00:08:38,606 --> 00:08:40,658 はっ! 92 00:08:40,658 --> 00:08:43,661 嘘です! 嘘です。 93 00:08:43,661 --> 00:08:50,602 ああ 俺… ずっと その人に 岡惚れしてたから…。 94 00:08:50,602 --> 00:08:53,605 ヘヘッ ヘヘッ! 冗談です。➡ 95 00:08:53,605 --> 00:08:55,905 すみません…。 96 00:09:03,665 --> 00:09:06,365 八州治さん…。 97 00:09:10,605 --> 00:09:14,305 生きて帰ってきて下さい! 98 00:09:18,947 --> 00:09:21,666 ありがとう…。 99 00:09:21,666 --> 00:09:27,272 俺 もう いつ死んでもいいや! ありがとうございます…。 100 00:09:27,272 --> 00:09:36,598 ♬~ 101 00:09:36,598 --> 00:09:44,939 <この翌日 八州治と杏子達は 東京へと去っていったのでした> 102 00:09:44,939 --> 00:09:55,316 ♬~ 103 00:09:55,316 --> 00:09:58,987 冬吾さん…? 104 00:09:58,987 --> 00:10:03,992 今日がら 俺は この部屋に 籠もる。➡ 105 00:10:03,992 --> 00:10:10,281 俺は こごで 好きなだげ絵を描ぐ。 八州治のいた部屋でな。 106 00:10:10,281 --> 00:10:13,601 ♬~ 107 00:10:13,601 --> 00:10:18,990 <冬吾は それから 部屋に籠もって 絵を描き始めました。➡ 108 00:10:18,990 --> 00:10:23,595 ろくに食事さえとらずに 描き続けたのです> 109 00:10:23,595 --> 00:10:28,595 ♬~ 110 00:10:37,992 --> 00:10:41,663 (笛子)「隣組の組長さんのところに 行ってきます。➡ 111 00:10:41,663 --> 00:10:44,663 冬吾に おにぎりを 持っていって下さい」。 112 00:10:50,688 --> 00:10:55,688 冬吾さん。 少し食べて下さい。 113 00:11:09,657 --> 00:11:15,597 食べて下さい。 ほいでないと 私 この部屋から出ていかんよ。 114 00:11:15,597 --> 00:11:21,336 桜ちゃん。 村山槐多って知ってるか? 115 00:11:21,336 --> 00:11:26,324 22歳で 結核で死んだ絵描ぎだ…。 116 00:11:26,324 --> 00:11:30,995 そいつの書いた詩に こんなのがある。➡ 117 00:11:30,995 --> 00:11:36,334 「神よ 神よ この夜を 平安に すごさしめたまへ➡ 118 00:11:36,334 --> 00:11:42,273 われをして このまま この腕のまま この心のまま➡ 119 00:11:42,273 --> 00:11:46,611 この夜を 越させてください➡ 120 00:11:46,611 --> 00:11:52,333 あす一日 このままに置いて下さい➡ 121 00:11:52,333 --> 00:12:00,033 描きかけの画を あすも つづけることの出来ますやうに」。 122 00:12:02,660 --> 00:12:08,600 今になって この詩の意味が分がってきた。 123 00:12:08,600 --> 00:12:12,320 八州治に 赤紙が来たぐれえだ。 124 00:12:12,320 --> 00:12:15,657 俺にだって いつ来るか 分からねえもんな。➡ 125 00:12:15,657 --> 00:12:20,929 いや その前に 大きな爆弾で 町ごと焼かれてしまうかも…。 126 00:12:20,929 --> 00:12:24,666 ほんな怖い事 言わんで下さい! 127 00:12:24,666 --> 00:12:27,666 俺は もう 死ぬのは 怖くねえ。 128 00:12:29,337 --> 00:12:33,591 死んで 絵が描けねぐなる事が おっかねえ。 129 00:12:33,591 --> 00:12:38,329 ♬~ 130 00:12:38,329 --> 00:12:46,604 私は… 冬吾さんが 死ぬのが怖い。 131 00:12:46,604 --> 00:12:51,342 ♬~ 132 00:12:51,342 --> 00:12:54,662 あの がれきの下にいた時➡ 133 00:12:54,662 --> 00:12:58,666 桜ちゃんが 「生きろ」って しゃべってくれたから➡ 134 00:12:58,666 --> 00:13:01,619 俺は 今 生きてる。 135 00:13:01,619 --> 00:13:10,261 ♬~ 136 00:13:10,261 --> 00:13:16,000 んだども あの時… 桜ちゃんの顔を見ながら➡ 137 00:13:16,000 --> 00:13:24,258 俺は 一遍 「死んでもいいな」って 思ったんだ。 138 00:13:24,258 --> 00:13:26,661 ♬~ 139 00:13:26,661 --> 00:13:33,001 この世の 音も 光も な~んも なぐなって➡ 140 00:13:33,001 --> 00:13:41,926 俺は 暗い夜の空に 桜ちゃんと たんだ2人 浮かんでるんだ。 141 00:13:41,926 --> 00:13:52,337 そしたらな それは それで… いいような心持ちがした。 142 00:13:52,337 --> 00:13:58,259 地べたに 体 残して 2人とも 魂だけになって➡ 143 00:13:58,259 --> 00:14:03,264 桜ちゃんと どこまでも 空を飛んでぐ…。 144 00:14:03,264 --> 00:14:08,002 それはそれで 悪ぐはねえ! 145 00:14:08,002 --> 00:14:28,702 ♬~ 146 00:14:32,326 --> 00:14:35,930 冬吾さんは 生きなきゃいかん。 147 00:14:35,930 --> 00:14:41,930 加寿ちゃんや 亨ちゃん 笛姉ちゃんがおる。 148 00:14:47,592 --> 00:14:53,948 んだな。 頑張らねばな。 149 00:14:53,948 --> 00:14:56,968 ♬~ 150 00:14:56,968 --> 00:15:00,288 飯でも食うか。 151 00:15:00,288 --> 00:15:11,015 ♬~ 152 00:15:11,015 --> 00:15:17,321 <桜子と冬吾 2人が共に過ごせる時間は➡ 153 00:15:17,321 --> 00:15:23,021 少しずつ 終わりに近づいていました> 154 00:15:33,654 --> 00:15:37,091 (アキ)ママ! 155 00:15:37,091 --> 00:15:41,162 おら 岩手さ帰りでえ! 156 00:15:41,162 --> 00:15:43,648 北三陸さ帰りでえ! 157 00:15:43,648 --> 00:15:48,648 ♬~(テーマ音楽)