1 00:00:33,209 --> 00:00:43,202 ♬~(テーマ曲) 2 00:00:43,202 --> 00:00:52,202 ♬~ 3 00:01:41,277 --> 00:01:46,599 (マサ)<昭和21年の春 桜子と達彦は➡ 4 00:01:46,599 --> 00:01:52,204 家族と店の人々に 祝福されて 結婚式を挙げました。➡ 5 00:01:52,204 --> 00:01:55,942 戦争という苦難を 乗り越えてきた2人の➡ 6 00:01:55,942 --> 00:02:00,563 互いへの思いが 結実した瞬間でした> 7 00:02:00,563 --> 00:02:04,917 (拍手) 8 00:02:04,917 --> 00:02:06,936 ♬~ 9 00:02:06,936 --> 00:02:12,275 <それから 1年3か月がたった 昭和22年の夏> 10 00:02:12,275 --> 00:02:14,277 (達彦)ありがとうございました。 (桜子)ありがとうございました。 11 00:02:14,277 --> 00:02:18,214 <「山長」の女将となった桜子は 達彦と共に➡ 12 00:02:18,214 --> 00:02:22,201 慌ただしい中にも 幸せな毎日を送っていました> 13 00:02:22,201 --> 00:02:24,203 おふみさん。 仙吉さん 呼んできてもらえる? 14 00:02:24,203 --> 00:02:26,539 (おふみ)はい。 15 00:02:26,539 --> 00:02:30,943 <国から支給された原料で 味噌や醤油を造って県に納める➡ 16 00:02:30,943 --> 00:02:33,946 統制経済は まだ 続いており➡ 17 00:02:33,946 --> 00:02:39,552 経営難を乗り切るための方策に 「山長」では四苦八苦していました> 18 00:02:39,552 --> 00:02:44,607 たまり醤油を使って 何か 新しいものが 出来ないかしら? 19 00:02:44,607 --> 00:02:48,611 (仙吉)「何か」っちゅうと 例えば? 20 00:02:48,611 --> 00:02:51,614 漬物とか 佃煮とか…。 21 00:02:51,614 --> 00:02:54,283 漬物なら 時々 味噌を卸している 漬物屋さんに➡ 22 00:02:54,283 --> 00:02:56,285 やり方を教えてもらって➡ 23 00:02:56,285 --> 00:02:58,888 近くの農家から 野菜を仕入れれば…。 24 00:02:58,888 --> 00:03:01,874 なんとかなるかもしれんな。 25 00:03:01,874 --> 00:03:06,574 やらまいか? はい! 26 00:03:14,603 --> 00:03:21,303 <そんな ある日 東京から 懐かしい友が 訪ねてきました> 27 00:03:24,613 --> 00:03:26,599 (達彦)いらっしゃいませ。 28 00:03:26,599 --> 00:03:33,299 あっ… 薫子! 久しぶり。 (薫子)久しぶり。 29 00:03:35,941 --> 00:03:40,546 ご結婚 おめでとうございます。 ありがとう。 30 00:03:40,546 --> 00:03:43,549 ほうか。 結婚してから 初めて会うんだね。 31 00:03:43,549 --> 00:03:45,551 ごめんね。 32 00:03:45,551 --> 00:03:49,939 仕事が忙しくて なかなか 東京を離れられなかったで。 33 00:03:49,939 --> 00:03:56,278 どう? 新婚生活は。 どうって… ねえ? 34 00:03:56,278 --> 00:03:59,265 新婚旅行も 行っとらんのだ。 忙しくてな。 35 00:03:59,265 --> 00:04:03,869 ほう。 そんな甘いもんじゃないよ。 ウフフ ほうか~? 36 00:04:03,869 --> 00:04:07,606 あっ お清に 早く お茶入れるよう 言ってこようか? 37 00:04:07,606 --> 00:04:10,606 あっ 私が。 どうぞ お構いなく。 38 00:04:12,945 --> 00:04:16,615 岡崎へは 何で? やっぱり 仕事か? 39 00:04:16,615 --> 00:04:19,935 ちょっと 取材に。 取材って? 40 00:04:19,935 --> 00:04:25,891 実は 私の 初めて書いた小説が 文芸誌で 新人賞を取ったんだ。 41 00:04:25,891 --> 00:04:28,778 へえ。 大したもんだわ。 42 00:04:28,778 --> 00:04:32,214 全然 知らんかった。 (薫子)小さな賞だからね。 43 00:04:32,214 --> 00:04:36,218 ほいでも そこの出版社から 「次回作を書いてみろ」って。 44 00:04:36,218 --> 00:04:39,939 「出来がよければ 出版してもいい」って言われたの。 45 00:04:39,939 --> 00:04:44,543 ほいで 私 兄の事を 書いてみようと思って。 46 00:04:44,543 --> 00:04:49,882 ここには 兄との思い出が 一番 残っとるから。 47 00:04:49,882 --> 00:04:56,605 ほうか。 お兄さん 戦死されたんだね。 48 00:04:56,605 --> 00:05:03,612 兄の出征の時には 桜子にも お世話になったね。 覚えとる? 49 00:05:03,612 --> 00:05:09,218 覚えとるよ もちろん。 「きみ 死にたまふことなかれ」。 50 00:05:09,218 --> 00:05:11,270 あのころから 薫子は➡ 51 00:05:11,270 --> 00:05:15,541 「小説家になりたい」って 言っとったもんね。 52 00:05:15,541 --> 00:05:20,930 夢を貫いたんだね。 よかった。 53 00:05:20,930 --> 00:05:25,951 ♬~ 54 00:05:25,951 --> 00:05:28,270 ありがとう。 55 00:05:28,270 --> 00:05:44,270 ♬~ 56 00:05:57,733 --> 00:06:30,282 ♬~(ピアノ) 57 00:06:30,282 --> 00:06:33,869 あっ ごめん 仕事の途中に。 58 00:06:33,869 --> 00:06:36,605 ああ いいよ。 もうちょっと 弾いてろよ。 59 00:06:36,605 --> 00:06:41,944 ほいでも ピアノ触るの久しぶりだで 指が 全然 回らんわ。 60 00:06:41,944 --> 00:06:47,933 ごめんな。 店が忙しくて この一年 あんまり 弾く暇なかったもんな。 61 00:06:47,933 --> 00:06:51,937 「ごめん」なんて 夫婦で 水くさいよ。 何 言っとるの。 62 00:06:51,937 --> 00:06:56,542 いや 俺 「音楽を忘れるな」なんて 言ったくせに➡ 63 00:06:56,542 --> 00:07:01,547 そのために 何もしてやれてないなと思ってな。 64 00:07:01,547 --> 00:07:04,600 お前も 夢 持ってたんだよな。 65 00:07:04,600 --> 00:07:07,900 音楽家になりたいっちゅう 大きな夢を…。 66 00:07:12,208 --> 00:07:14,210 ねえ 達彦さん。 67 00:07:14,210 --> 00:07:18,614 小さい頃からの夢を実現して 仕事にできる人が➡ 68 00:07:18,614 --> 00:07:21,884 世の中に どいだけおると思う? 69 00:07:21,884 --> 00:07:27,606 私は やるだけの事は やった。 力が足りんかっただけだよ。 70 00:07:27,606 --> 00:07:32,306 ほいじゃ 私 帳場戻るね。 71 00:07:55,634 --> 00:08:01,634 ♬~(ピアノ) 72 00:08:10,883 --> 00:08:32,604 ♬~(ピアノ) 73 00:08:32,604 --> 00:08:36,608 <翌日 達彦は 「名古屋で➡ 74 00:08:36,608 --> 00:08:40,946 これからの味噌の統制について 会合がある」と言って➡ 75 00:08:40,946 --> 00:08:44,246 不意に出かけていきました> 76 00:08:46,902 --> 00:08:50,923 <そして その翌日の事です> 77 00:08:50,923 --> 00:08:53,942 ☎ 78 00:08:53,942 --> 00:08:56,945 はい 「山長」でございます。 79 00:08:56,945 --> 00:09:01,967 森山味噌さん 御無沙汰しております。 80 00:09:01,967 --> 00:09:05,537 主人は 味噌の統制についての 会合があって➡ 81 00:09:05,537 --> 00:09:07,940 名古屋に出かけておりますが。 82 00:09:07,940 --> 00:09:12,544 あっ いえ…。 83 00:09:12,544 --> 00:09:15,931 あ… 私の勘違いで 申し訳ありません。 84 00:09:15,931 --> 00:09:19,268 主人に そう伝えておきます。 ありがとうございました。 85 00:09:19,268 --> 00:09:21,268 失礼します。 86 00:09:24,273 --> 00:09:27,543 野木山さん。 (野木山)はい。 87 00:09:27,543 --> 00:09:31,947 達彦さん 名古屋で味噌屋の会合に 出とったじゃないの? 88 00:09:31,947 --> 00:09:33,882 えっ? は は… はあ。 89 00:09:33,882 --> 00:09:35,884 森山味噌さん➡ 90 00:09:35,884 --> 00:09:38,871 「名古屋で 味噌屋の会合なんて ない」って言っとった。 91 00:09:38,871 --> 00:09:43,609 一体 どういう事だらあ? さあ どういう事だらあ? 92 00:09:43,609 --> 00:09:47,613 怪しいね。 いえ 私は 別に。 93 00:09:47,613 --> 00:09:50,883 嘘つきに なりたくはない…。 (達彦)ただいま。 94 00:09:50,883 --> 00:09:56,555 あっ 大将! お帰んなさい。 桜子 お茶入れてくれるか。 95 00:09:56,555 --> 00:10:02,611 ♬~ 96 00:10:02,611 --> 00:10:08,884 達彦さん。 味噌屋の会合に 行っとらんかっただね? 97 00:10:08,884 --> 00:10:11,270 ♬~ 98 00:10:11,270 --> 00:10:16,208 一体 どういう事? いや 味噌屋の…。 99 00:10:16,208 --> 00:10:20,612 男には 一つや二つの隠し事は ありますよ。 ねえ 大将。 ねえ! 100 00:10:20,612 --> 00:10:24,266 隠し事? やめてくれよ 野木山さん。 101 00:10:24,266 --> 00:10:26,268 そんな事 言ったら 俺が 何か 間違いでも➡ 102 00:10:26,268 --> 00:10:28,270 起こしとるみたいじゃないか。 (野木山)間違いなんて そんな! 103 00:10:28,270 --> 00:10:30,272 大将は そういう方じゃ ありませんよ。 女将。 104 00:10:30,272 --> 00:10:34,276 大将は 女将一筋! それは この私が 保証します。 105 00:10:34,276 --> 00:10:37,596 ちゃんと 話してみん。 一体 何? 106 00:10:37,596 --> 00:10:45,270 ♬~ 107 00:10:45,270 --> 00:10:49,641 東京で 西園寺先生に 会っとったんだ。 108 00:10:49,641 --> 00:10:53,228 西園寺先生に? 109 00:10:53,228 --> 00:10:55,230 事が うまく運んだら➡ 110 00:10:55,230 --> 00:10:57,883 お前に知らせて 喜ばせようと思ってな。 111 00:10:57,883 --> 00:11:00,886 それまでは ないしょにしとこうと 思ったんだけど。 112 00:11:00,886 --> 00:11:03,539 何? 113 00:11:03,539 --> 00:11:07,209 「お前の作品を発表する機会が 持てないか」って➡ 114 00:11:07,209 --> 00:11:09,545 お願いしてきたんだ。 115 00:11:09,545 --> 00:11:15,551 私の作品? 私の作曲したものを? (達彦)ああ そうだ。 116 00:11:15,551 --> 00:11:21,206 あ… そんな! 恥ずかしいよ。 そんな事ないよ。 117 00:11:21,206 --> 00:11:24,209 俺 自分で 弾いてみて えらく いい曲だと思ったんだ。 118 00:11:24,209 --> 00:11:27,546 駄目だよ あんなの。 つまらんもんだよ。 119 00:11:27,546 --> 00:11:30,215 お前 自分の曲に 誇りが持てんのか? 120 00:11:30,215 --> 00:11:32,551 そりゃ 私にとっては➡ 121 00:11:32,551 --> 00:11:35,604 一つ一つが いとおしいし 大切なものだよ。 122 00:11:35,604 --> 00:11:37,606 ほいでも 人から見たら➡ 123 00:11:37,606 --> 00:11:39,942 あんなもん 石ころみたいなもんだよ。 124 00:11:39,942 --> 00:11:43,612 達彦さんに そこまでしてもらって ありがたいと思う。 125 00:11:43,612 --> 00:11:47,266 ほいでも 西園寺先生に そんな お願いするなんて➡ 126 00:11:47,266 --> 00:11:50,602 どう考えても おこがましい。 ご迷惑に決まっとるわ。 127 00:11:50,602 --> 00:11:53,605 先生は 「やってみる」って 楽譜を預かって下さったよ。 128 00:11:53,605 --> 00:11:56,875 そりゃ 岡崎から わざわざ 訪ねてきて 頼まれたら➡ 129 00:11:56,875 --> 00:11:58,944 先生だって 「嫌だ」とは 言えんだら。 130 00:11:58,944 --> 00:12:01,930 私 先生に 電話する。 電話して 謝るわ。 131 00:12:01,930 --> 00:12:05,551 「余計な事で お手を煩わせて 申し訳ありませんでした」って。 132 00:12:05,551 --> 00:12:09,271 待てよ! 133 00:12:09,271 --> 00:12:16,612 なあ 桜子。 俺が 誰のために 頭を下げたと思うんだ? 134 00:12:16,612 --> 00:12:21,266 俺のメンツを 潰さんでくれよ。 135 00:12:21,266 --> 00:12:27,606 達彦さん…。 とにかく 先生の返事を 待とう。 なっ。 136 00:12:27,606 --> 00:12:35,306 ♬~ 137 00:12:47,943 --> 00:12:51,943 (西園寺)ごめんください。 ≪はい ただいま! 138 00:12:54,233 --> 00:12:57,936 あ… 西園寺先生! 139 00:12:57,936 --> 00:13:02,236 お久しぶりでした 桜子君。 140 00:13:12,935 --> 00:13:15,203 いいですね。 141 00:13:15,203 --> 00:13:20,275 2人が 並んでるのを見てるだけで 幸せな気持ちになります。 142 00:13:20,275 --> 00:13:24,596 桜子君。 ホントによかったですね。 143 00:13:24,596 --> 00:13:26,882 はい。 144 00:13:26,882 --> 00:13:31,270 昨日 大阪で 演奏会がありまして その帰りに お寄りしたんです。 145 00:13:31,270 --> 00:13:35,223 今日は 是非 桜子君に お話ししたい事がありまして。 146 00:13:35,223 --> 00:13:37,276 はい。 147 00:13:37,276 --> 00:13:41,280 松井君から あなたの作品を預かりました。 148 00:13:41,280 --> 00:13:44,600 「専門家の目から見たら どれだけの価値があるか➡ 149 00:13:44,600 --> 00:13:47,536 分からないが 妻が 苦しい暮らしの中で➡ 150 00:13:47,536 --> 00:13:52,874 懸命に 書きためたもの。 どうか 光をあててほしい」と。 151 00:13:52,874 --> 00:13:57,279 申し訳ありません 先生。 主人が 勝手なお願いをして➡ 152 00:13:57,279 --> 00:14:01,950 さぞ ご迷惑だったじゃないかと 気になっていたんです。 153 00:14:01,950 --> 00:14:04,936 迷惑なんて とんでもない。 154 00:14:04,936 --> 00:14:09,207 僕は 全ての作品に 目を通しました。 155 00:14:09,207 --> 00:14:12,961 すばらしいと思いましたよ。 156 00:14:12,961 --> 00:14:20,202 どれも 短い作品ですが 実に 心を打つ旋律がある。 157 00:14:20,202 --> 00:14:23,605 これを このまま 埋もれさせるには もったいない。 158 00:14:23,605 --> 00:14:30,562 世に出すべき作品です。 今日は 僕は お願いしに来たんです。 159 00:14:30,562 --> 00:14:34,566 これを 是非 発表させてほしい。 160 00:14:34,566 --> 00:14:36,935 先生…。 161 00:14:36,935 --> 00:14:42,541 ただし 1つだけ 条件があります。 何でしょうか? 162 00:14:42,541 --> 00:14:46,895 桜子君。 この作品は あなたが 弾いて下さい。 163 00:14:46,895 --> 00:14:48,897 私が? 164 00:14:48,897 --> 00:14:51,266 僕が 自分の演奏会で➡ 165 00:14:51,266 --> 00:14:54,886 あなたの作品を紹介して弾くのは 簡単な事です。 166 00:14:54,886 --> 00:14:58,940 しかし それでは 面白くない。 167 00:14:58,940 --> 00:15:02,544 あなた自身の演奏会を 開きませんか? 168 00:15:02,544 --> 00:15:05,297 ♬~ 169 00:15:05,297 --> 00:15:11,937 あなたが あなた自身の手で 自分の作った作品を披露する➡ 170 00:15:11,937 --> 00:15:15,540 松井桜子の演奏会を! 171 00:15:15,540 --> 00:15:24,840 ♬~ 172 00:15:33,208 --> 00:15:40,115 (鈴鹿) 「寄せては返す 波のように➡ 173 00:15:40,115 --> 00:15:45,470 来てよ その火を 飛び越えて➡ 174 00:15:45,470 --> 00:15:49,274 飛び越えて」。 175 00:15:49,274 --> 00:15:54,274 ♬~(テーマ音楽)