1 00:00:03,604 --> 00:00:06,506 (竹)<関ヶ原の戦いの後➡ 2 00:00:06,506 --> 00:00:12,946 世は 徳川様の天下へと 変わりつつありました。➡ 3 00:00:12,946 --> 00:00:19,820 前田慶次様は 豊臣方にお味方した 上杉様の領国 米沢で➡ 4 00:00:19,820 --> 00:00:24,558 今は亡き石田三成様のお子を 育てておられました> 5 00:00:24,558 --> 00:00:28,495 (新九郎)ええ 何度でも言います。 この石頭の頑固親父! 6 00:00:28,495 --> 00:00:32,966 <そして 今 奥方様と 長女の華様が➡ 7 00:00:32,966 --> 00:00:35,636 米沢に向かっておられました> 8 00:00:35,636 --> 00:00:37,571 (慶次)ヘッ! 9 00:00:37,571 --> 00:02:01,288 ♬~ 10 00:02:02,789 --> 00:02:05,092 (馬のいななき) 11 00:02:06,927 --> 00:02:11,598 ♬~ 12 00:02:11,598 --> 00:02:18,472 「遊びせんとや生まれけむ➡ 13 00:02:18,472 --> 00:02:22,242 戯れせんとや」…。 14 00:02:22,242 --> 00:02:24,945 (馬のいななき) 15 00:02:24,945 --> 00:02:27,614 うわ~っ! (美津)旦那様 お覚悟! 16 00:02:27,614 --> 00:02:30,517 待て! 頼む! 話を聞いてくれ! 17 00:02:30,517 --> 00:02:33,487 問答無用!(華)父上! 往生際が悪うございます! 18 00:02:33,487 --> 00:02:36,189 (2人)きえ~っ! うわ~っ! 19 00:02:37,958 --> 00:02:40,861 夢か…。 ハハッ。 20 00:02:40,861 --> 00:02:43,163 (佐乃)きえ~っ! うわっ! 21 00:02:48,602 --> 00:02:50,604 やあ~っ! 22 00:02:52,506 --> 00:02:55,308 今朝は また一段と…。 23 00:02:55,308 --> 00:02:58,011 えい! きえ~っ! 24 00:03:01,114 --> 00:03:04,117 あれ? 私とした事が…。 25 00:03:11,591 --> 00:03:17,464 (よね)旦那様 もう炊けておりますが…。え? 26 00:03:17,464 --> 00:03:22,235 竹さんも お膳は 出来とりますが…。 27 00:03:22,235 --> 00:03:24,171 あっ…。 28 00:03:24,171 --> 00:03:26,606 お代わり。 29 00:03:26,606 --> 00:03:31,945 佐乃 今朝の稽古 いつもより 気合いが入っていたが。 はい。 30 00:03:31,945 --> 00:03:35,615 母上と姉上が もうすぐ こちらに お着きになられるのです。 31 00:03:35,615 --> 00:03:39,486 腕がなまっていては 母上に叱られます。 32 00:03:39,486 --> 00:03:44,624 そうだったな 金沢を出られたとの 文が届いてから5日。 33 00:03:44,624 --> 00:03:46,960 もう お着きになられる頃だ。 34 00:03:46,960 --> 00:03:49,963 はい。 ヘッ! 35 00:03:53,300 --> 00:03:57,637 どうなさいました? 父上。 いや。 36 00:03:57,637 --> 00:04:00,907 お加減でも? そんな事はない。 37 00:04:00,907 --> 00:04:02,843 あっ! 38 00:04:02,843 --> 00:04:07,247 申し訳ございません! どうした? 竹まで。 39 00:04:07,247 --> 00:04:11,118 父上も竹も 心配で しかたないのでございましょう。 40 00:04:11,118 --> 00:04:14,921 ヘッ! 母上が来られるのですから。 41 00:04:14,921 --> 00:04:17,824 ヘッ! ヘッ! 42 00:04:17,824 --> 00:04:19,826 ヘッ! 43 00:04:21,595 --> 00:04:24,931 えい! えい! えい! 44 00:04:24,931 --> 00:04:29,603 兄上は 今日も 畑仕事でございますか? 45 00:04:29,603 --> 00:04:32,272 ああ。 46 00:04:32,272 --> 00:04:34,608 早く お城へ ご出仕し➡ 47 00:04:34,608 --> 00:04:38,278 武士として お務めなさって下さいませ。 48 00:04:38,278 --> 00:04:40,947 前田家の嫡男なので ございますから。 49 00:04:40,947 --> 00:04:43,850 分かっておる。 えい! 50 00:04:43,850 --> 00:04:48,288 それより そんなに 怖いお方なのか? は? 51 00:04:48,288 --> 00:04:51,191 金沢の母上の事だ。 52 00:04:51,191 --> 00:04:55,162 心に やましい事が あるからでございます。 53 00:04:55,162 --> 00:04:59,299 私には 優しき母でございます。 54 00:04:59,299 --> 00:05:04,905 母は 武術にたけ 特に薙刀は 神道流の名人。 55 00:05:04,905 --> 00:05:08,241 今まで 試合に負けた事はございません。 56 00:05:08,241 --> 00:05:11,144 そんなに すごいのか。 57 00:05:11,144 --> 00:05:17,584 若い頃は 自分を打ち負かした 殿方の嫁になると言い➡ 58 00:05:17,584 --> 00:05:21,454 妻にと望まれた方々を 打ち負かしたとか。 59 00:05:21,454 --> 00:05:25,926 では 父上が勝って めとったのだな。 60 00:05:25,926 --> 00:05:28,829 いいえ 負けました。 61 00:05:28,829 --> 00:05:30,797 あの父上が? 62 00:05:30,797 --> 00:05:36,269 はい。 ですが その負けっぷりに いたく同情され➡ 63 00:05:36,269 --> 00:05:40,140 哀れに思い 嫁いだと 聞いております。 64 00:05:40,140 --> 00:05:43,143 えい えい えい! 65 00:05:43,143 --> 00:05:46,279 竹さん 困りましたね。 66 00:05:46,279 --> 00:05:49,182 はい。 困った事に…。 67 00:05:49,182 --> 00:05:51,618 (ため息) 68 00:05:51,618 --> 00:05:56,289 何故 金沢に戻らぬかと 聞かれたら…。 69 00:05:56,289 --> 00:06:00,160 何故 お前まで こちらで 暮らすようになったのかと➡ 70 00:06:00,160 --> 00:06:02,562 聞かれたら…。 71 00:06:02,562 --> 00:06:05,899 その時は 旦那様 お助け下さいませ。 72 00:06:05,899 --> 00:06:08,235 えっ 私が? 73 00:06:08,235 --> 00:06:12,572 そうでございます。 私は 旦那様の背に隠れておりますゆえ。 74 00:06:12,572 --> 00:06:14,908 そんな 竹さんの事まで 私は…。 75 00:06:14,908 --> 00:06:18,578 (竹)そんな事 おっしゃらずに。 私は 何が怖いといって➡ 76 00:06:18,578 --> 00:06:22,916 あの奥方様に にらまれる事ほど この世で怖いものはございません。 77 00:06:22,916 --> 00:06:24,851 それは 私とて同じですよ。 78 00:06:24,851 --> 00:06:27,587 今朝も 夢を見て どれほど怖かった事か…。 79 00:06:27,587 --> 00:06:30,490 ですから 私は 奥方様だけにでも➡ 80 00:06:30,490 --> 00:06:33,260 新九郎様の あの秘密を 打ち明けた方がよいと➡ 81 00:06:33,260 --> 00:06:35,195 申しておりましたのに。 82 00:06:35,195 --> 00:06:38,131 それは 竹さんと私だけの秘密。 83 00:06:38,131 --> 00:06:42,269 だからこそ 今まで 隠し通せてきたんじゃないですか。 84 00:06:42,269 --> 00:06:46,940 ねえ? 分かってはおりますが…。 85 00:06:46,940 --> 00:06:52,812 きっと 女房殿の事 新九郎の事を いろいろ聞いてくるであろう。 86 00:06:52,812 --> 00:06:57,817 どうなさるおつもりですか? 菊 取って下さい。 87 00:07:02,422 --> 00:07:07,560 その後 米沢からの知らせは どうなっておるのじゃ? 88 00:07:07,560 --> 00:07:12,232 (忠常)上杉家中では 目下 2つの組が反目しており➡ 89 00:07:12,232 --> 00:07:17,404 一つは 徳川のもとで 家名を守っていこうとする➡ 90 00:07:17,404 --> 00:07:19,439 穏健派の与板組。 91 00:07:19,439 --> 00:07:26,413 もう一つは いま一度 乱世を望み 上杉の武名を取り戻さんとする➡ 92 00:07:26,413 --> 00:07:29,449 武闘派の馬廻組。 93 00:07:29,449 --> 00:07:36,122 我らとしては この馬廻組を 利用してはいかがかと存じます。 94 00:07:36,122 --> 00:07:39,926 その者たちが 騒ぎを起こしてくれれば➡ 95 00:07:39,926 --> 00:07:44,798 上杉をたたき潰す 格好の口実が出来るというもの。 96 00:07:44,798 --> 00:07:48,935 だが どのように その者たちを あおるのじゃ? 97 00:07:48,935 --> 00:07:53,606 三成の子でございます。 うん? 98 00:07:53,606 --> 00:07:58,278 米沢の地に いるという うわさを流すのです。 99 00:07:58,278 --> 00:08:03,116 さすれば 血気にはやる馬廻組の者どもは➡ 100 00:08:03,116 --> 00:08:07,887 その子を 何としても 探し出すはず。 101 00:08:07,887 --> 00:08:12,225 なるほどのう。 102 00:08:12,225 --> 00:08:17,564 徳川家に盾ついた 憎き石田三成。 103 00:08:17,564 --> 00:08:22,869 その子を担ぎ上げて 戦を仕掛けてくるか…。 104 00:08:27,574 --> 00:08:34,247 (掛け声) 105 00:08:34,247 --> 00:08:36,549 やあっ! (勝之進)やあ~っ! 106 00:08:38,118 --> 00:08:42,422 (勝之進)戦支度だ。 戦支度? 107 00:08:42,422 --> 00:08:46,259 今のままでは 徳川の天下に甘んじるしかない。 108 00:08:46,259 --> 00:08:49,162 だから 江戸にいるお屋形様に➡ 109 00:08:49,162 --> 00:08:53,133 我らの考えを じかに お伝えしに 行くのよ。(一同)おう! 110 00:08:53,133 --> 00:09:00,206 この書状は 江戸のお屋形様から 届いたものである。 111 00:09:00,206 --> 00:09:02,142 「若き者ら 江戸に参り」…。 112 00:09:02,142 --> 00:09:04,878 (勝之進)前田様は えたいの知れぬ お方。➡ 113 00:09:04,878 --> 00:09:10,550 あの一件で 我らは お屋形様への 直訴は 断念させられた。 114 00:09:10,550 --> 00:09:13,887 その上 あの太刀さばき…。 115 00:09:13,887 --> 00:09:18,758 戦の世で 名をはせたという 剣の腕も いまだ 衰えは見えぬ。 116 00:09:18,758 --> 00:09:23,763 腕は確かだ。 俺など いつも ひよこ扱いだ。 117 00:09:25,498 --> 00:09:29,903 だが そんな父上を 打ち負かした おなごがいる。 118 00:09:29,903 --> 00:09:34,240 おなご? 金沢の母上だ。 119 00:09:34,240 --> 00:09:37,911 佐乃の母だ。 佐乃殿の?ああ。 120 00:09:37,911 --> 00:09:40,213 兄上。 121 00:09:42,248 --> 00:09:44,551 うわさをすれば…。 122 00:09:46,119 --> 00:09:49,589 勝之進様も ご一緒でございましたか。 123 00:09:49,589 --> 00:09:54,928 はい。どうした? そなたも 稽古に来たのか? 124 00:09:54,928 --> 00:10:00,600 勝之進。 佐乃も 薙刀の腕前は なかなかのものだぞ。 125 00:10:00,600 --> 00:10:05,472 そのような事 人に言う事では…。 よいではないか。 本当の事だ。 126 00:10:05,472 --> 00:10:08,475 それに 勝之進は お前が おてんばだという事を➡ 127 00:10:08,475 --> 00:10:10,610 既に知っておる。 兄上! 128 00:10:10,610 --> 00:10:14,948 もう少し しとやかにせねば 嫁のもらい手が なくなるぞ。 129 00:10:14,948 --> 00:10:17,617 そのような心配は 無用です。 130 00:10:17,617 --> 00:10:22,288 金沢では 私を嫁にと望む殿方は おりませぬ。 131 00:10:22,288 --> 00:10:25,191 何故? 父上でございます! 132 00:10:25,191 --> 00:10:29,162 家長である父上が 好き勝手をしているおかげで➡ 133 00:10:29,162 --> 00:10:33,299 私を 嫁に迎え入れて下さる方など おりませぬ。 134 00:10:33,299 --> 00:10:37,637 では 金沢には 許嫁は おられないのですか? 135 00:10:37,637 --> 00:10:41,307 はい。 そのような方は おりませぬ。 136 00:10:41,307 --> 00:10:44,210 そうですか! 137 00:10:44,210 --> 00:10:49,649 いや てっきり そのような方が いらっしゃるものと…。 138 00:10:49,649 --> 00:10:53,520 そうだな。 佐乃も 17…。 139 00:10:53,520 --> 00:10:58,992 そろそろ 誰かに嫁いでも おかしくはない年頃だ。 140 00:10:58,992 --> 00:11:02,862 勝之進 誰か いい男がいたら 引き合わせてはくれぬか? 141 00:11:02,862 --> 00:11:05,265 えっ? そのような事➡ 142 00:11:05,265 --> 00:11:07,600 勝之進様に お頼みするものでは…。 143 00:11:07,600 --> 00:11:10,436 よいではないか。 お前も 誰かの妻となれば➡ 144 00:11:10,436 --> 00:11:12,772 そのおてんばも 少しは直るはずだ。 145 00:11:12,772 --> 00:11:15,608 また そのような事を! おお…。 146 00:11:15,608 --> 00:11:19,479 どうした? 失礼する。 147 00:11:19,479 --> 00:11:22,182 おい。 148 00:11:25,285 --> 00:11:28,288 兄上。 父上は? 149 00:11:31,958 --> 00:11:34,861 こんな時分から 逃げ込んでこられるなんて➡ 150 00:11:34,861 --> 00:11:37,630 大層 お困りのご様子で。 151 00:11:37,630 --> 00:11:40,300 はい 困っております。 152 00:11:40,300 --> 00:11:44,170 けれど 奥方様が 金沢にいらっしゃったなんて➡ 153 00:11:44,170 --> 00:11:48,641 お嬢様が こちらに来られて 初めて知りました。 154 00:11:48,641 --> 00:11:51,311 どうして 黙っていらしたんですか? 155 00:11:51,311 --> 00:11:53,980 すいません。 つい…。 156 00:11:53,980 --> 00:11:59,652 水くさいじゃありませんか! 私と慶さんの仲なのに。 157 00:11:59,652 --> 00:12:03,523 新九郎様の事も…➡ 158 00:12:03,523 --> 00:12:06,926 何か 隠してる事が あるんじゃないですか? 159 00:12:06,926 --> 00:12:09,262 言えないような事なんですか? 160 00:12:09,262 --> 00:12:12,265 いや そんな事は…。 161 00:12:14,934 --> 00:12:17,837 (鐘の音) 162 00:12:17,837 --> 00:12:21,808 ♬~ 163 00:12:21,808 --> 00:12:29,482 (三成)もし 万が一 我が身に 事が起こった折は➡ 164 00:12:29,482 --> 00:12:34,621 息子の事 お頼み申す。 165 00:12:34,621 --> 00:12:39,292 お味方である上杉景勝殿の ご領内であれば➡ 166 00:12:39,292 --> 00:12:44,297 徳川の手も やすやすとは届かぬはず。 167 00:13:03,483 --> 00:13:08,921 何とぞ その地で 一人前に育ててほしい。 168 00:13:08,921 --> 00:13:17,930 ♬~ 169 00:13:17,930 --> 00:13:21,601 三成様に救われた この命。 170 00:13:21,601 --> 00:13:27,273 お役目 しかと 承知つかまつりました。 171 00:13:27,273 --> 00:13:31,144 ♬~ 172 00:13:31,144 --> 00:13:35,148 私が お前の父だ。 173 00:13:38,885 --> 00:13:41,821 いや 思い過ごしです。 174 00:13:41,821 --> 00:13:47,827 あいつは まだ ふらふらしていて 目が離せないだけなんです。 175 00:13:49,962 --> 00:13:54,300 どのような お方なのです? え? 176 00:13:54,300 --> 00:13:59,172 奥方様。 あ… 女房殿ですか。 177 00:13:59,172 --> 00:14:01,574 何と申すか…➡ 178 00:14:01,574 --> 00:14:08,915 文武にたけ 見目麗しく 私には 過ぎた女房殿です。 179 00:14:08,915 --> 00:14:13,252 よくもまあ 私の前で ぬけぬけと。 180 00:14:13,252 --> 00:14:17,590 いや あなたも そうです。 私には 過ぎた人。 181 00:14:17,590 --> 00:14:22,929 こうして お酌をして頂いて 本当に感謝してる。 182 00:14:22,929 --> 00:14:26,799 本当 憎たらしい。 183 00:14:26,799 --> 00:14:32,271 ♬~ 184 00:14:32,271 --> 00:14:36,142 7年前 家督を継いだ兄から➡ 185 00:14:36,142 --> 00:14:41,280 意に沿わぬ縁談を勧められ 逃げ出した時➡ 186 00:14:41,280 --> 00:14:45,952 追っ手から助けてくれたのが 慶さん。 187 00:14:45,952 --> 00:14:52,258 私は その時 一目ぼれしたんです。 いや…。 188 00:14:54,293 --> 00:14:57,964 今では 兄も 越後に戻ってくるように➡ 189 00:14:57,964 --> 00:15:00,233 言ってくれてます。 190 00:15:00,233 --> 00:15:05,104 ですが 私は 慶さんのそばにいたくて➡ 191 00:15:05,104 --> 00:15:07,807 ここにいるんです。 192 00:15:09,909 --> 00:15:14,781 そんな私の気持ち 知らないとは言わせません。 193 00:15:14,781 --> 00:15:16,783 うっ 痛い…。 194 00:15:19,919 --> 00:15:25,258 安田様は 石田治部少輔三成という男を➡ 195 00:15:25,258 --> 00:15:27,193 ご存じでございますな? 196 00:15:27,193 --> 00:15:31,130 ああ もちろんだ。 先の関ヶ原の戦いで➡ 197 00:15:31,130 --> 00:15:34,267 我が上杉家と手を結び 西軍を率いて➡ 198 00:15:34,267 --> 00:15:36,936 徳川家に挑んだ男。 199 00:15:36,936 --> 00:15:41,808 負けたあと 京の六条河原で 首をはねられた。 200 00:15:41,808 --> 00:15:45,278 惜しいお人を亡くした。 201 00:15:45,278 --> 00:15:49,949 石田様が ご存命なら いま一度 我らと手を結び➡ 202 00:15:49,949 --> 00:15:54,287 徳川家に 戦を仕掛けられるものを…。 203 00:15:54,287 --> 00:16:00,092 その願い かなうやもしれませぬぞ。 204 00:16:00,092 --> 00:16:04,564 実は この米沢の地に➡ 205 00:16:04,564 --> 00:16:09,902 その三成の子が おるやもしれんのです。 206 00:16:09,902 --> 00:16:12,572 それは まことか!? 207 00:16:12,572 --> 00:16:15,241 はい。 208 00:16:15,241 --> 00:16:19,111 (風で戸が揺れる音) おっ! ああ…。 209 00:16:19,111 --> 00:16:22,114 ふう~。 210 00:16:22,114 --> 00:16:26,252 そんなに心配なさらなくても このような所まで➡ 211 00:16:26,252 --> 00:16:28,921 武家の奥方様が 来るはずもありません。 212 00:16:28,921 --> 00:16:32,592 まあ それは そうでしょうけれども…。 213 00:16:32,592 --> 00:16:35,495 先ほどは はぐらかされましたが➡ 214 00:16:35,495 --> 00:16:38,464 お気持ちを お聞かせ願いとうございます。 215 00:16:38,464 --> 00:16:41,934 いや まあ それは…。 216 00:16:41,934 --> 00:16:47,273 ちゃんと お話し頂くまで 帰しませんから。 217 00:16:47,273 --> 00:16:49,208 もう…。 218 00:16:49,208 --> 00:16:51,143 雪夜殿! ⚟女将さん。 219 00:16:51,143 --> 00:16:54,146 ごめんくだされ。 220 00:16:54,146 --> 00:16:58,284 うお~っ 女房殿! 奥方様!? 221 00:16:58,284 --> 00:17:01,554 やはり こちらに いらしたのですね 父上。 222 00:17:01,554 --> 00:17:04,056 お久しぶりでございます 父上。 223 00:17:04,056 --> 00:17:08,561 えっ 佐乃! 華もか! 224 00:17:11,230 --> 00:17:16,569 ♬~ 225 00:17:16,569 --> 00:17:19,238 いやいやいや まあまあまあ…。 226 00:17:19,238 --> 00:17:21,240 ヘッ! 227 00:17:22,909 --> 00:17:29,582 私 前田慶次の妻 美津にございます。 228 00:17:29,582 --> 00:17:33,452 いつも 夫が お世話になっております。 229 00:17:33,452 --> 00:17:36,255 はあ…。 230 00:17:36,255 --> 00:17:38,958 華。 (華)はい。 231 00:17:40,593 --> 00:17:44,263 これは つまらぬものでございますが➡ 232 00:17:44,263 --> 00:17:50,136 金沢から持ってまいりましたもの。 どうぞ お納めを。 233 00:17:50,136 --> 00:17:53,940 これはこれは ご丁寧に。 234 00:17:53,940 --> 00:18:00,212 では 旦那様 私とご一緒に お戻りを。 235 00:18:00,212 --> 00:18:02,515 …はい。 236 00:18:04,083 --> 00:18:07,787 母上に 何と言えばよいのだ? 237 00:18:09,555 --> 00:18:14,226 お初に お目にかかります。 息子の新九郎でございます。 238 00:18:14,226 --> 00:18:16,562 …で よいのか? 239 00:18:16,562 --> 00:18:19,899 う~ん 何か それも おかしいと思うが…。 240 00:18:19,899 --> 00:18:25,237 そのような事より 旦那様の次は 私でございます。 241 00:18:25,237 --> 00:18:28,541 何と申し開きしたらよいか…。 242 00:18:30,109 --> 00:18:32,578 (又吉)あの~➡ 243 00:18:32,578 --> 00:18:36,916 そこまで ビクビクなさらずとも。 そうでございますよ。➡ 244 00:18:36,916 --> 00:18:39,251 なんも 取って食われる訳で ねえんですから。 245 00:18:39,251 --> 00:18:43,122 あんたたちは 奥方様を知らないから。 246 00:18:43,122 --> 00:18:45,124 (戸が開く音) 247 00:18:45,124 --> 00:18:50,863 ♬~ 248 00:18:50,863 --> 00:18:54,800 あの~ 奥方様➡ 249 00:18:54,800 --> 00:19:01,874 こちらの者は 下働きの 又吉と よねでございます。 250 00:19:01,874 --> 00:19:04,543 又吉は 旦那様とは➡ 251 00:19:04,543 --> 00:19:07,213 京に おられた頃から お仕えしており➡ 252 00:19:07,213 --> 00:19:11,550 こちらに連れてこられた者で…。 はい。 あの~➡ 253 00:19:11,550 --> 00:19:16,889 京で 危ういところを 旦那様に助けて頂いて➡ 254 00:19:16,889 --> 00:19:21,560 それから 旦那様のかぶきぶりに すっかり ほれ込んでしまい➡ 255 00:19:21,560 --> 00:19:25,898 お仕えさせて頂いております。 (竹)よくやってくれています。➡ 256 00:19:25,898 --> 00:19:29,769 旦那様の身の回りのお世話から 庭仕事まで。 257 00:19:29,769 --> 00:19:32,772 釣りのお供なども…。 258 00:19:34,907 --> 00:19:39,779 で よねは この米沢で雇いました 百姓の娘でして…。 259 00:19:39,779 --> 00:19:43,783 それで こちらのお方は? 260 00:19:47,486 --> 00:19:53,592 いや あの… 佐乃が もう 文で知らせたとは思うが➡ 261 00:19:53,592 --> 00:19:56,929 息子の新九郎です。 262 00:19:56,929 --> 00:20:00,266 お初に お目にかかります。 263 00:20:00,266 --> 00:20:07,273 母上様 姉上様。 新九郎でございます。 264 00:20:12,845 --> 00:20:19,618 あの~ 何と申しましょうか…。 265 00:20:19,618 --> 00:20:24,957 私も 金沢に身内がいるとは 知らずに➡ 266 00:20:24,957 --> 00:20:28,627 その…。 いや 全く そうなんだ。 267 00:20:28,627 --> 00:20:32,298 私が つい その~ 言いそ…。 (華)母上は➡ 268 00:20:32,298 --> 00:20:37,636 新九郎殿に お会いできて うれしいのでございます。え? 269 00:20:37,636 --> 00:20:45,311 前田の家には 私 そして 佐乃と おなごしかおりませぬ。 270 00:20:45,311 --> 00:20:48,647 男子がいなければ 家は断絶。➡ 271 00:20:48,647 --> 00:20:52,518 ですから 新九郎殿がいてくれたおかげで➡ 272 00:20:52,518 --> 00:20:55,321 我が家は 安泰。 273 00:20:55,321 --> 00:21:00,159 その事を 心から喜んでおられるのです。 274 00:21:00,159 --> 00:21:02,128 はあ…。 275 00:21:02,128 --> 00:21:07,600 よかったな 新九郎。 のう。 ハハハ! 276 00:21:07,600 --> 00:21:12,271 それでは 女房殿も華も 旅の疲れがあるだろうから➡ 277 00:21:12,271 --> 00:21:15,941 今日は このぐらいで。 うん! 278 00:21:15,941 --> 00:21:20,613 まだ 話は終わっておりませぬ。 279 00:21:20,613 --> 00:21:22,615 はい。 280 00:21:25,284 --> 00:21:30,956 ところで 新九郎殿 いくつにおなりに? 281 00:21:30,956 --> 00:21:33,859 年は 18でございます。 282 00:21:33,859 --> 00:21:38,864 18…。 とすると 佐乃が 17…。 283 00:21:40,633 --> 00:21:45,304 その時分は 確か 京に行ったきりで 旦那様が➡ 284 00:21:45,304 --> 00:21:50,976 金沢には お戻りに なられなかった頃にございますな。 285 00:21:50,976 --> 00:21:54,313 あ いや… そうでしたかね? 286 00:21:54,313 --> 00:22:01,921 それで 新九郎殿の母上は どのようなお方で? 287 00:22:01,921 --> 00:22:06,258 京で 父上と知り合ったと 聞かされております。 288 00:22:06,258 --> 00:22:10,930 ですが 私を産んですぐに はやり病で亡くなったと…。 289 00:22:10,930 --> 00:22:15,801 まあ それは お気の毒に。 290 00:22:15,801 --> 00:22:21,273 して いかなる お家柄で? 291 00:22:21,273 --> 00:22:27,146 それは…。 それは 私から話そう。 292 00:22:27,146 --> 00:22:36,622 実は 九条家の流れで さる やんごとなき家の娘での➡ 293 00:22:36,622 --> 00:22:40,960 それで 京の文人たちが集う➡ 294 00:22:40,960 --> 00:22:45,297 「源氏物語」を読む会というので 知り合うて➡ 295 00:22:45,297 --> 00:22:49,969 それで 仲ようなったのが 事の始め。 296 00:22:49,969 --> 00:22:54,840 そうでございますか。 「源氏物語」を通じて。 297 00:22:54,840 --> 00:23:03,515 さよう。 光源氏が愛した 紫の上に どことのう似ておったか。 ハッ。 298 00:23:03,515 --> 00:23:10,256 では 大層 おきれいなお方で ございましょうな。 299 00:23:10,256 --> 00:23:13,592 いや まあ…。 (華)そのような高貴なお方が➡ 300 00:23:13,592 --> 00:23:17,930 新九郎殿の母上なら 前田家の嫡男として➡ 301 00:23:17,930 --> 00:23:21,800 堂々と金沢に連れてこられれば よかったのではないかと➡ 302 00:23:21,800 --> 00:23:24,603 母上は 申されたいのでございます。 303 00:23:24,603 --> 00:23:28,274 そうでございます。 母上も 私たちも➡ 304 00:23:28,274 --> 00:23:31,176 喜んで お迎え致しました。 それは そうなのだが…。 305 00:23:31,176 --> 00:23:33,145 (華)どうして お戻りにならなかったのです? 306 00:23:33,145 --> 00:23:36,148 私も それを聞きとうございます。 307 00:23:36,148 --> 00:23:38,617 だから それは…。 もしかして➡ 308 00:23:38,617 --> 00:23:41,287 ほかに 訳がおありなのでは ございませぬか? 309 00:23:41,287 --> 00:23:46,959 金沢に帰らず この米沢に いなくてはならぬ訳。 310 00:23:46,959 --> 00:23:50,296 私は 一つしか 思い当たりません。 311 00:23:50,296 --> 00:23:53,632 (華)では やはり 先ほどの? はい。 312 00:23:53,632 --> 00:23:57,303 柳町の女将。 313 00:23:57,303 --> 00:24:01,073 ハッハッハッハ! それはありません。 (華)では どうして!? 314 00:24:01,073 --> 00:24:05,244 父上! 母上の前で まことの事を お話し下さい。 315 00:24:05,244 --> 00:24:08,247 (華)父上! 父上! 316 00:24:16,255 --> 00:24:19,925 竹。 はい。 317 00:24:19,925 --> 00:24:22,828 そこに座りなさい。 318 00:24:22,828 --> 00:24:29,268 あ… あの~。 (美津)よいから 座りなさい。 319 00:24:29,268 --> 00:24:31,570 はい。 320 00:24:42,281 --> 00:24:47,619 そなた どうして 戻ってこなかった? 321 00:24:47,619 --> 00:24:53,292 旦那様を連れて帰るのが そなたの役目ではなかったのか? 322 00:24:53,292 --> 00:24:55,227 そうなのでございますが…。 323 00:24:55,227 --> 00:25:01,900 なのに そなたまで この米沢の地で 暮らしだすとは。 324 00:25:01,900 --> 00:25:05,237 申し訳ございません。 325 00:25:05,237 --> 00:25:07,906 訳を申せ。 326 00:25:07,906 --> 00:25:11,910 それは…。 申せと言っておる! 327 00:25:15,247 --> 00:25:20,919 竹さんが恐れるのも分かるな。 おっかねえ~。 328 00:25:20,919 --> 00:25:27,593 ♬~ 329 00:25:27,593 --> 00:25:38,237 〽 今日の修羅の敵は誰そ 330 00:25:38,237 --> 00:25:45,944 〽 なに能登の守 教経とや 331 00:25:45,944 --> 00:25:49,615 〽 あらものものしや 332 00:25:49,615 --> 00:25:52,951 〽 手なみは知りぬ 333 00:25:52,951 --> 00:26:01,560 〽 思いぞいづる壇の浦の 334 00:26:01,560 --> 00:26:07,433 〽 其船軍 今は早 335 00:26:07,433 --> 00:26:12,204 〽 其船軍 今は早 336 00:26:12,204 --> 00:26:16,909 〽 閻浮にかえる生死の 337 00:26:16,909 --> 00:26:26,585 〽 海山一同に 震動して 338 00:26:26,585 --> 00:26:32,925 〽 舟よりは 鬨の声 339 00:26:32,925 --> 00:26:38,263 〽 陸には 波の楯 340 00:26:38,263 --> 00:26:44,937 〽 月に白むは 剣の光 341 00:26:44,937 --> 00:26:55,948 〽 潮に映るは 兜の星の影 342 00:26:55,948 --> 00:27:02,221 〽 水や空空 343 00:27:02,221 --> 00:27:50,602 ♬~ 344 00:27:50,602 --> 00:27:55,941 それにしても 先ほどの舞…。 345 00:27:55,941 --> 00:28:01,213 見事でした。 私も 今夜は みんなで➡ 346 00:28:01,213 --> 00:28:04,883 父上を とことん 問い詰めようとしていたのに➡ 347 00:28:04,883 --> 00:28:08,187 その気も うせるほど。 348 00:28:09,755 --> 00:28:12,558 2度目じゃ。 349 00:28:12,558 --> 00:28:18,897 あの舞を見て その気が うせたのは。 350 00:28:18,897 --> 00:28:24,236 母上? あの舞に 何かあるのですか? 351 00:28:24,236 --> 00:28:29,107 フフフ…。 せっかく こうして 3人で眠るのじゃ。 352 00:28:29,107 --> 00:28:32,110 話して聞かせようかのう。 353 00:28:32,110 --> 00:28:34,246 はい! 354 00:28:34,246 --> 00:28:37,916 是非 お聞かせ願います。 355 00:28:37,916 --> 00:28:42,588 旦那様と 婚儀を挙げる事になった訳は➡ 356 00:28:42,588 --> 00:28:46,258 話した事があろう? はい。 357 00:28:46,258 --> 00:28:51,597 あまりの父上の負けっぷりに 哀れに思い 妻になったと。 358 00:28:51,597 --> 00:28:55,467 旦那様は おなご相手に➡ 359 00:28:55,467 --> 00:28:59,271 本気で向かってくる お方ではない。 360 00:28:59,271 --> 00:29:03,542 わざと負けたのじゃ。 え? 361 00:29:03,542 --> 00:29:09,214 それが腹立たしく 再度 試合を申し込んだ。 362 00:29:09,214 --> 00:29:19,224 そして 決められた場所に行くと そこには 大きな桜の木があり➡ 363 00:29:19,224 --> 00:29:28,567 そこで あの舞を舞っておられたのじゃ。 364 00:29:28,567 --> 00:29:34,439 〽 浮き沈むとせし程に 365 00:29:34,439 --> 00:29:39,911 〽 春の夜の浪より明けて 366 00:29:39,911 --> 00:29:46,251 (美津)春… 満開の桜の木の下で➡ 367 00:29:46,251 --> 00:29:52,924 それはもう なんと麗しい殿御だと。 368 00:29:52,924 --> 00:29:59,264 ♬~ 369 00:29:59,264 --> 00:30:07,272 (美津)このお方の妻になりたい。 そう思うたのじゃ。 370 00:30:08,940 --> 00:30:16,281 では あの舞は 思い出の舞? 371 00:30:16,281 --> 00:30:21,153 旦那様も 覚えていてくれたのであろう。 372 00:30:21,153 --> 00:30:37,169 ♬~ 373 00:30:43,508 --> 00:30:46,511 もう少し。 374 00:30:50,182 --> 00:30:54,319 あなたには 大変な思いをさせてしまい➡ 375 00:30:54,319 --> 00:30:57,222 申し訳なかった。 本当ですよ。 376 00:30:57,222 --> 00:30:59,991 もう二度と あのような目には…。 377 00:30:59,991 --> 00:31:04,596 竹さん。 女房殿は 怒らせると怖いが➡ 378 00:31:04,596 --> 00:31:07,499 ほほ笑まれると なんとも愛らしい。 379 00:31:07,499 --> 00:31:10,268 昔と変わらんのう。 380 00:31:10,268 --> 00:31:13,939 今でも ほれているのでございますね。 381 00:31:13,939 --> 00:31:16,641 まあ…。 382 00:31:20,612 --> 00:31:23,515 さあ どうぞ。 383 00:31:23,515 --> 00:31:26,284 (美津)頂きます。 (一同)頂きます。 384 00:31:26,284 --> 00:31:32,290 あ~ 10年ぶりの旦那様の手料理。 385 00:31:36,294 --> 00:31:41,633 う~ん おいしいのう! 386 00:31:41,633 --> 00:31:49,307 (華)あ~ 懐かしい。 金沢では よ~く作ってくれた味。 387 00:31:49,307 --> 00:31:53,979 はい。 父上の味です。 388 00:31:53,979 --> 00:31:58,850 父上が作るものは いつ食べても うまい。 389 00:31:58,850 --> 00:32:02,788 家族そろってする食事は いいものですな 父上。 390 00:32:02,788 --> 00:32:05,090 そうだな! 391 00:32:08,260 --> 00:32:10,595 でしたら 父上➡ 392 00:32:10,595 --> 00:32:15,267 ここは 母上たちとご一緒に お帰りになられるのが よいかと。 393 00:32:15,267 --> 00:32:19,137 それとこれとは別だ。 別の事ではございませぬ。 394 00:32:19,137 --> 00:32:21,940 私の事なら 大丈夫でございます。 395 00:32:21,940 --> 00:32:24,843 竹がおります。 何? 396 00:32:24,843 --> 00:32:30,615 母上も 姉上も 佐乃も 金沢から迎えに来られたのです。 397 00:32:30,615 --> 00:32:32,951 ここは 父上も一緒に戻られ➡ 398 00:32:32,951 --> 00:32:35,620 私のお城への出仕を お認め下されば➡ 399 00:32:35,620 --> 00:32:37,956 あとの事は 何の心配もないかと。 400 00:32:37,956 --> 00:32:40,292 己のために言っておるな? 401 00:32:40,292 --> 00:32:43,628 私は 父上のためにも その方がよいのかと。 402 00:32:43,628 --> 00:32:46,298 うそをつけ。 うそではございませぬ。 403 00:32:46,298 --> 00:32:50,602 やかましい! お前の指図は受けん! 404 00:32:53,638 --> 00:32:56,541 (小声で)石頭の頑固親父…。 405 00:32:56,541 --> 00:32:59,978 聞こえたぞ。 もう一度 言ってみろ。 406 00:32:59,978 --> 00:33:05,250 「この石頭の頑固親父」とですか? 407 00:33:05,250 --> 00:33:08,587 旦那様も 新九郎様も おやめ下さい。 408 00:33:08,587 --> 00:33:12,457 奥方様たちも いらっしゃるんですよ。 409 00:33:12,457 --> 00:33:18,597 いつも こうでございます。 まあ 親子げんかとは…。 410 00:33:18,597 --> 00:33:21,266 それだけ かわいいのでございますな➡ 411 00:33:21,266 --> 00:33:24,169 新九郎殿の事が。 412 00:33:24,169 --> 00:33:29,474 だが 嫡男とはいえ ほかのおなごに産ませた子。 413 00:33:38,817 --> 00:33:40,819 ヘッ! 414 00:33:43,955 --> 00:33:47,259 えやっ! えいっ! えやっ! 415 00:33:48,827 --> 00:33:52,831 今朝は 姉上もご一緒ですか? はい。 416 00:33:54,599 --> 00:33:58,303 きえ~っ! なにが 実家へ戻れじゃ! 417 00:33:58,303 --> 00:34:01,573 それが 妻をめとった男の言う言葉か! 418 00:34:01,573 --> 00:34:05,911 情けない! ほんに 情けない! 419 00:34:05,911 --> 00:34:10,248 姉上は 婚家から 実家に戻されたのでございます。 420 00:34:10,248 --> 00:34:14,119 えっ! では それも 父上のせい? はい。 421 00:34:14,119 --> 00:34:17,122 なにが 実家へ戻れじゃ! 情けない! 422 00:34:17,122 --> 00:34:21,593 ほんに 情けない! フッ! 423 00:34:21,593 --> 00:34:24,930 姉上も おつらい事じゃ。 424 00:34:24,930 --> 00:34:32,604 (華の掛け声) 425 00:34:32,604 --> 00:34:36,474 新九郎。 新九郎! 426 00:34:36,474 --> 00:34:39,945 勝之進。 どうした? こんな朝早くから。 427 00:34:39,945 --> 00:34:43,615 (勝之進) 朝稽古をしていると聞いてな。 428 00:34:43,615 --> 00:34:47,452 佐乃殿。 私も稽古をさせて頂いても➡ 429 00:34:47,452 --> 00:34:50,288 よろしいでしょうか? もちろんでございます。 430 00:34:50,288 --> 00:34:52,290 (美津)新九郎殿。 431 00:34:53,959 --> 00:34:56,861 母上。 432 00:34:56,861 --> 00:34:59,297 お相手願います。 433 00:34:59,297 --> 00:35:04,135 え? 私がですか? そうです。 434 00:35:04,135 --> 00:35:09,107 前田家の嫡男の腕を しかと見たい。 435 00:35:09,107 --> 00:35:13,812 ですが 母上相手になど…。 436 00:35:13,812 --> 00:35:18,817 遠慮はいらぬ。 さあ! 437 00:35:37,135 --> 00:35:39,437 きえ~っ! 438 00:35:41,606 --> 00:35:44,943 お強い…。 は? 439 00:35:44,943 --> 00:35:48,613 さすが嫡男。 440 00:35:48,613 --> 00:35:52,484 きえ~っ! きえ~っ! 441 00:35:52,484 --> 00:35:55,954 (竹)奥方様が やられています。 442 00:35:55,954 --> 00:35:59,824 新九郎様 あったに お強かったっけ? 443 00:35:59,824 --> 00:36:02,227 わざとでしょう。 444 00:36:02,227 --> 00:36:06,564 新九郎のやつ 後で 大変な事になりますよ。 445 00:36:06,564 --> 00:36:08,566 (美津)きえ~っ! 446 00:36:13,905 --> 00:36:18,610 参りました。 はあ…。 447 00:36:20,578 --> 00:36:23,581 あちらの方は? 448 00:36:25,250 --> 00:36:29,120 勝之進様です。 朝稽古に いらして。 449 00:36:29,120 --> 00:36:31,823 そうですか。 450 00:36:36,861 --> 00:36:41,599 では 勝之進殿 お相手願います。 451 00:36:41,599 --> 00:36:52,243 ♬~ 452 00:36:52,243 --> 00:36:54,179 えいっ! 453 00:36:54,179 --> 00:37:05,557 ♬~ 454 00:37:05,557 --> 00:37:08,460 ああ~ 勝之進様が! 455 00:37:08,460 --> 00:37:11,429 本気を出したんでしょ 女房殿は。 456 00:37:11,429 --> 00:37:14,132 ハハハハハハ! 457 00:37:15,900 --> 00:37:21,239 (掛け声) 458 00:37:21,239 --> 00:37:24,909 (雫)又吉さん。 あっ! 459 00:37:24,909 --> 00:37:28,780 雫さん。 あっ… けがの方は? 460 00:37:28,780 --> 00:37:32,784 ええ もう すっかりよくなって。 あ~ よかった。 461 00:37:32,784 --> 00:37:36,254 本当に その節は ありがとうございました。 462 00:37:36,254 --> 00:37:38,923 いやいや とんでもないですよ。 とんでもないです。 463 00:37:38,923 --> 00:37:41,826 これ お礼にと。 464 00:37:41,826 --> 00:37:47,265 あの~ そんな 気ぃ遣って頂…。 頂きます。 ありがとうございます。 465 00:37:47,265 --> 00:37:54,606 (掛け声) 466 00:37:54,606 --> 00:37:57,509 前田慶次の奥方までもが? 467 00:37:57,509 --> 00:38:00,211 はい。 468 00:38:00,211 --> 00:38:06,084 ほう… 金沢に 身内を残し➡ 469 00:38:06,084 --> 00:38:12,223 新九郎と この米沢で 10年近く住んでいた。 470 00:38:12,223 --> 00:38:18,096 その上 奥方にも 事情を隠していたとなると➡ 471 00:38:18,096 --> 00:38:20,798 何かある。 472 00:38:23,835 --> 00:38:27,572 もしや…。 473 00:38:27,572 --> 00:38:30,909 (美津)新九郎殿は お強い。➡ 474 00:38:30,909 --> 00:38:35,780 さすが前田家の嫡男でございます。 のう 華。 475 00:38:35,780 --> 00:38:41,553 (華)はい。 母上の おっしゃるとおりでございます。 476 00:38:41,553 --> 00:38:44,455 いや。 あの… 佐乃には いつも➡ 477 00:38:44,455 --> 00:38:46,925 もっと しっかりせよと 叱られております。 478 00:38:46,925 --> 00:38:51,596 佐乃! このような立派な兄上に なんという事を! 479 00:38:51,596 --> 00:38:55,466 はい。 申し訳ございません。 480 00:38:55,466 --> 00:38:59,270 いえ よいのでございます。 そのとおりなのですから。 481 00:38:59,270 --> 00:39:03,541 (美津)まあ 謙虚なところが ますます ご立派。 482 00:39:03,541 --> 00:39:10,548 大したものじゃ。 フフッ。 まこと 大したご嫡男。ええ。 483 00:39:13,218 --> 00:39:19,524 褒め殺しのようでございます。 はい。 ハハハ…。 484 00:39:24,229 --> 00:39:26,164 ⚟兄上には かないません。 485 00:39:26,164 --> 00:39:29,567 ⚟(華)うん。 ほんに 新九郎殿は お強い。 486 00:39:29,567 --> 00:39:31,569 ⚟(佐乃と華の笑い声) 487 00:39:33,238 --> 00:39:36,541 奥方様が。 うん。 488 00:39:41,112 --> 00:39:45,817 これは 女房殿 我が隠れがへ ようこそ。 489 00:39:47,585 --> 00:39:51,923 さあ お座りなされ。 490 00:39:51,923 --> 00:39:56,594 よい若者でございますな 新九郎殿は。 491 00:39:56,594 --> 00:39:59,931 はい。 少し無鉄砲なところが ありますが。 492 00:39:59,931 --> 00:40:02,834 で その新九郎殿を➡ 493 00:40:02,834 --> 00:40:08,273 この米沢の地で 育てなければならない…➡ 494 00:40:08,273 --> 00:40:11,609 訳がおありで? 495 00:40:11,609 --> 00:40:16,948 そうとしか考えられませぬ。 496 00:40:16,948 --> 00:40:23,288 女房殿。 私は 必ず帰ります。 497 00:40:23,288 --> 00:40:28,293 ですから 金沢で待っていて下さい。 498 00:40:31,963 --> 00:40:37,635 いつも 待っておりました。 499 00:40:37,635 --> 00:40:41,506 戦場に向かわれる その背に➡ 500 00:40:41,506 --> 00:40:47,645 いま一度 そのお姿を見せてほしい。 501 00:40:47,645 --> 00:40:58,289 一日一日を 無事生きて また お目にかかれる日をと…。 502 00:40:58,289 --> 00:41:08,266 この度 こうして また お会いできて…➡ 503 00:41:08,266 --> 00:41:14,272 本当に よかったと 思っております。 504 00:41:19,877 --> 00:41:22,814 私もです。 505 00:41:22,814 --> 00:41:30,521 こたび 再び 生きて あなたに会えて よかった。 506 00:41:33,291 --> 00:41:37,995 旦那様。 うん。 507 00:41:40,965 --> 00:41:46,838 ですが このまま帰る訳には まいりません。 508 00:41:46,838 --> 00:41:52,577 しばらく 私も こちらに とどまりとうございます。 509 00:41:52,577 --> 00:41:54,512 え…。 510 00:41:54,512 --> 00:41:59,984 旦那様のお世話を致します。 511 00:41:59,984 --> 00:42:04,589 よろしいですね? いや それは…。 512 00:42:04,589 --> 00:42:09,894 ウフフ…。 よろしいですね? 513 00:42:12,463 --> 00:42:17,168 はい。 お世話になります。 514 00:42:17,168 --> 00:42:21,472 では そのように。 515 00:42:25,610 --> 00:42:28,946 (せきこみ) まあ。 アハハ…。 516 00:42:28,946 --> 00:42:30,882 まあまあまあ…。 無礼つかまつった。 517 00:42:30,882 --> 00:42:32,884 (せきこみ) 518 00:42:35,286 --> 00:42:38,623 石田三成様のお子が この米沢の地に? 519 00:42:38,623 --> 00:42:40,958 (一左衛門)そのうわさで 持ちきりでございます。 520 00:42:40,958 --> 00:42:43,628 誰かが うわさを流しているんじゃ ないでしょうかね? 521 00:42:43,628 --> 00:42:46,297 お前 まさか 佐乃の事…。 522 00:42:46,297 --> 00:42:50,635 新九郎殿は 前田殿の お子でござりましょうか? 523 00:42:50,635 --> 00:42:52,570 え? 524 00:42:52,570 --> 00:42:55,273 大きなお世話ですぞ!