1 00:00:34,663 --> 00:00:37,566 (竹)<関ヶ原の戦いの後➡ 2 00:00:37,566 --> 00:00:44,006 世は 徳川様の天下へと 変わりつつありました。➡ 3 00:00:44,006 --> 00:00:50,879 前田慶次様は 豊臣方にお味方した 上杉様の領国 米沢で➡ 4 00:00:50,879 --> 00:00:55,617 今は亡き石田三成様のお子を 育てておられました> 5 00:00:55,617 --> 00:00:59,555 (新九郎)ええ 何度でも言います。 この石頭の頑固親父! 6 00:00:59,555 --> 00:01:04,026 <そして 今 奥方様と 長女の華様が➡ 7 00:01:04,026 --> 00:01:06,695 米沢に向かっておられました> 8 00:01:06,695 --> 00:01:08,630 (慶次)ヘッ! 9 00:01:08,630 --> 00:02:32,330 ♬~ 10 00:02:33,849 --> 00:02:36,149 (馬のいななき) 11 00:02:37,986 --> 00:02:42,658 ♬~ 12 00:02:42,658 --> 00:02:49,531 「遊びせんとや生まれけむ➡ 13 00:02:49,531 --> 00:02:53,302 戯れせんとや」…。 14 00:02:53,302 --> 00:02:56,004 (馬のいななき) 15 00:02:56,004 --> 00:02:58,674 うわ~っ! (美津)旦那様 お覚悟! 16 00:02:58,674 --> 00:03:01,577 待て! 頼む! 話を聞いてくれ! 17 00:03:01,577 --> 00:03:04,546 問答無用! (華)父上! 往生際が悪うございます! 18 00:03:04,546 --> 00:03:07,246 (2人)きえ~っ! うわ~っ! 19 00:03:09,017 --> 00:03:11,920 夢か…。 ハハッ。 20 00:03:11,920 --> 00:03:14,220 (佐乃)きえ~っ! うわっ! 21 00:03:19,661 --> 00:03:21,661 やあ~っ! 22 00:03:23,565 --> 00:03:26,368 今朝は また一段と…。 23 00:03:26,368 --> 00:03:29,068 えい! きえ~っ! 24 00:03:32,174 --> 00:03:35,174 あれ? 私とした事が…。 25 00:03:42,651 --> 00:03:48,523 (よね)旦那様 もう炊けておりますが…。 え? 26 00:03:48,523 --> 00:03:53,295 竹さんも お膳は 出来とりますが…。 27 00:03:53,295 --> 00:03:55,230 あっ…。 28 00:03:55,230 --> 00:03:57,666 お代わり。 29 00:03:57,666 --> 00:04:03,005 佐乃 今朝の稽古 いつもより 気合いが入っていたが。 はい。 30 00:04:03,005 --> 00:04:06,675 母上と姉上が もうすぐ こちらに お着きになられるのです。 31 00:04:06,675 --> 00:04:10,545 腕がなまっていては 母上に叱られます。 32 00:04:10,545 --> 00:04:15,684 そうだったな 金沢を出られたとの 文が届いてから5日。 33 00:04:15,684 --> 00:04:18,020 もう お着きになられる頃だ。 34 00:04:18,020 --> 00:04:21,020 はい。 ヘッ! 35 00:04:24,359 --> 00:04:28,697 どうなさいました? 父上。 いや。 36 00:04:28,697 --> 00:04:31,967 お加減でも? そんな事はない。 37 00:04:31,967 --> 00:04:33,902 あっ! 38 00:04:33,902 --> 00:04:38,306 申し訳ございません! どうした? 竹まで。 39 00:04:38,306 --> 00:04:42,177 父上も竹も 心配で しかたないのでございましょう。 40 00:04:42,177 --> 00:04:45,981 ヘッ! 母上が来られるのですから。 41 00:04:45,981 --> 00:04:48,884 ヘッ! ヘッ! 42 00:04:48,884 --> 00:04:50,884 ヘッ! 43 00:04:52,654 --> 00:04:55,991 えい! えい! えい! 44 00:04:55,991 --> 00:05:00,662 兄上は 今日も 畑仕事でございますか? 45 00:05:00,662 --> 00:05:03,331 ああ。 46 00:05:03,331 --> 00:05:05,667 早く お城へ ご出仕し➡ 47 00:05:05,667 --> 00:05:09,337 武士として お務めなさって下さいませ。 48 00:05:09,337 --> 00:05:12,007 前田家の嫡男なので ございますから。 49 00:05:12,007 --> 00:05:14,910 分かっておる。 えい! 50 00:05:14,910 --> 00:05:19,347 それより そんなに 怖いお方なのか? は? 51 00:05:19,347 --> 00:05:22,250 金沢の母上の事だ。 52 00:05:22,250 --> 00:05:26,221 心に やましい事が あるからでございます。 53 00:05:26,221 --> 00:05:30,358 私には 優しき母でございます。 54 00:05:30,358 --> 00:05:35,964 母は 武術にたけ 特に薙刀は 神道流の名人。 55 00:05:35,964 --> 00:05:39,301 今まで 試合に負けた事はございません。 56 00:05:39,301 --> 00:05:42,204 そんなに すごいのか。 57 00:05:42,204 --> 00:05:48,643 若い頃は 自分を打ち負かした 殿方の嫁になると言い➡ 58 00:05:48,643 --> 00:05:52,514 妻にと望まれた方々を 打ち負かしたとか。 59 00:05:52,514 --> 00:05:56,985 では 父上が勝って めとったのだな。 60 00:05:56,985 --> 00:05:59,888 いいえ 負けました。 61 00:05:59,888 --> 00:06:01,857 あの父上が? 62 00:06:01,857 --> 00:06:07,329 はい。 ですが その負けっぷりに いたく同情され➡ 63 00:06:07,329 --> 00:06:11,199 哀れに思い 嫁いだと 聞いております。 64 00:06:11,199 --> 00:06:14,202 えい えい えい! 65 00:06:14,202 --> 00:06:17,339 竹さん 困りましたね。 66 00:06:17,339 --> 00:06:20,242 はい。 困った事に…。 67 00:06:20,242 --> 00:06:22,677 (ため息) 68 00:06:22,677 --> 00:06:27,349 何故 金沢に戻らぬかと 聞かれたら…。 69 00:06:27,349 --> 00:06:31,219 何故 お前まで こちらで 暮らすようになったのかと➡ 70 00:06:31,219 --> 00:06:33,622 聞かれたら…。 71 00:06:33,622 --> 00:06:36,958 その時は 旦那様 お助け下さいませ。 72 00:06:36,958 --> 00:06:39,294 えっ 私が? 73 00:06:39,294 --> 00:06:43,632 そうでございます。 私は 旦那様の背に隠れておりますゆえ。 74 00:06:43,632 --> 00:06:45,967 そんな 竹さんの事まで 私は…。 75 00:06:45,967 --> 00:06:49,638 (竹)そんな事 おっしゃらずに。 私は 何が怖いといって➡ 76 00:06:49,638 --> 00:06:53,975 あの奥方様に にらまれる事ほど この世で怖いものはございません。 77 00:06:53,975 --> 00:06:55,911 それは 私とて同じですよ。 78 00:06:55,911 --> 00:06:58,647 今朝も 夢を見て どれほど怖かった事か…。 79 00:06:58,647 --> 00:07:01,550 ですから 私は 奥方様だけにでも➡ 80 00:07:01,550 --> 00:07:04,319 新九郎様の あの秘密を 打ち明けた方がよいと➡ 81 00:07:04,319 --> 00:07:06,254 申しておりましたのに。 82 00:07:06,254 --> 00:07:09,191 それは 竹さんと私だけの秘密。 83 00:07:09,191 --> 00:07:13,328 だからこそ 今まで 隠し通せてきたんじゃないですか。 84 00:07:13,328 --> 00:07:17,999 ねえ? 分かってはおりますが…。 85 00:07:17,999 --> 00:07:23,872 きっと 女房殿の事 新九郎の事を いろいろ聞いてくるであろう。 86 00:07:23,872 --> 00:07:28,872 どうなさるおつもりですか? 菊 取って下さい。 87 00:07:33,481 --> 00:07:38,620 その後 米沢からの知らせは どうなっておるのじゃ? 88 00:07:38,620 --> 00:07:43,291 (忠常)上杉家中では 目下 2つの組が反目しており➡ 89 00:07:43,291 --> 00:07:48,463 一つは 徳川のもとで 家名を守っていこうとする➡ 90 00:07:48,463 --> 00:07:50,498 穏健派の与板組。 91 00:07:50,498 --> 00:07:57,472 もう一つは いま一度 乱世を望み 上杉の武名を取り戻さんとする➡ 92 00:07:57,472 --> 00:08:00,508 武闘派の馬廻組。 93 00:08:00,508 --> 00:08:07,182 我らとしては この馬廻組を 利用してはいかがかと存じます。 94 00:08:07,182 --> 00:08:10,986 その者たちが 騒ぎを起こしてくれれば➡ 95 00:08:10,986 --> 00:08:15,857 上杉をたたき潰す 格好の口実が出来るというもの。 96 00:08:15,857 --> 00:08:19,995 だが どのように その者たちを あおるのじゃ? 97 00:08:19,995 --> 00:08:24,666 三成の子でございます。 うん? 98 00:08:24,666 --> 00:08:29,337 米沢の地に いるという うわさを流すのです。 99 00:08:29,337 --> 00:08:34,175 さすれば 血気にはやる馬廻組の者どもは➡ 100 00:08:34,175 --> 00:08:38,947 その子を 何としても 探し出すはず。 101 00:08:38,947 --> 00:08:43,285 なるほどのう。 102 00:08:43,285 --> 00:08:48,623 徳川家に盾ついた 憎き石田三成。 103 00:08:48,623 --> 00:08:53,923 その子を担ぎ上げて 戦を仕掛けてくるか…。 104 00:08:58,633 --> 00:09:05,307 (掛け声) 105 00:09:05,307 --> 00:09:07,607 やあっ! (勝之進)やあ~っ! 106 00:09:09,177 --> 00:09:13,481 (勝之進)戦支度だ。 戦支度? 107 00:09:13,481 --> 00:09:17,319 今のままでは 徳川の天下に甘んじるしかない。 108 00:09:17,319 --> 00:09:20,221 だから 江戸にいるお屋形様に➡ 109 00:09:20,221 --> 00:09:24,192 我らの考えを じかに お伝えしに 行くのよ。 (一同)おう! 110 00:09:24,192 --> 00:09:31,266 この書状は 江戸のお屋形様から 届いたものである。 111 00:09:31,266 --> 00:09:33,201 「若き者ら 江戸に参り」…。 112 00:09:33,201 --> 00:09:35,937 (勝之進)前田様は えたいの知れぬ お方。➡ 113 00:09:35,937 --> 00:09:41,609 あの一件で 我らは お屋形様への 直訴は 断念させられた。 114 00:09:41,609 --> 00:09:44,946 その上 あの太刀さばき…。 115 00:09:44,946 --> 00:09:49,818 戦の世で 名をはせたという 剣の腕も いまだ 衰えは見えぬ。 116 00:09:49,818 --> 00:09:54,818 腕は確かだ。 俺など いつも ひよこ扱いだ。 117 00:09:56,558 --> 00:10:00,962 だが そんな父上を 打ち負かした おなごがいる。 118 00:10:00,962 --> 00:10:05,300 おなご? 金沢の母上だ。 119 00:10:05,300 --> 00:10:08,970 佐乃の母だ。 佐乃殿の? ああ。 120 00:10:08,970 --> 00:10:11,270 兄上。 121 00:10:13,308 --> 00:10:15,608 うわさをすれば…。 122 00:10:17,178 --> 00:10:20,648 勝之進様も ご一緒でございましたか。 123 00:10:20,648 --> 00:10:25,987 はい。 どうした? そなたも 稽古に来たのか? 124 00:10:25,987 --> 00:10:31,659 勝之進。 佐乃も 薙刀の腕前は なかなかのものだぞ。 125 00:10:31,659 --> 00:10:36,531 そのような事 人に言う事では…。 よいではないか。 本当の事だ。 126 00:10:36,531 --> 00:10:39,534 それに 勝之進は お前が おてんばだという事を➡ 127 00:10:39,534 --> 00:10:41,669 既に知っておる。 兄上! 128 00:10:41,669 --> 00:10:46,007 もう少し しとやかにせねば 嫁のもらい手が なくなるぞ。 129 00:10:46,007 --> 00:10:48,676 そのような心配は 無用です。 130 00:10:48,676 --> 00:10:53,348 金沢では 私を嫁にと望む殿方は おりませぬ。 131 00:10:53,348 --> 00:10:56,251 何故? 父上でございます! 132 00:10:56,251 --> 00:11:00,221 家長である父上が 好き勝手をしているおかげで➡ 133 00:11:00,221 --> 00:11:04,359 私を 嫁に迎え入れて下さる方など おりませぬ。 134 00:11:04,359 --> 00:11:08,696 では 金沢には 許嫁は おられないのですか? 135 00:11:08,696 --> 00:11:12,367 はい。 そのような方は おりませぬ。 136 00:11:12,367 --> 00:11:15,270 そうですか! 137 00:11:15,270 --> 00:11:20,708 いや てっきり そのような方が いらっしゃるものと…。 138 00:11:20,708 --> 00:11:24,579 そうだな。 佐乃も 17…。 139 00:11:24,579 --> 00:11:30,051 そろそろ 誰かに嫁いでも おかしくはない年頃だ。 140 00:11:30,051 --> 00:11:33,922 勝之進 誰か いい男がいたら 引き合わせてはくれぬか? 141 00:11:33,922 --> 00:11:36,324 えっ? そのような事➡ 142 00:11:36,324 --> 00:11:38,660 勝之進様に お頼みするものでは…。 143 00:11:38,660 --> 00:11:41,496 よいではないか。 お前も 誰かの妻となれば➡ 144 00:11:41,496 --> 00:11:43,832 そのおてんばも 少しは直るはずだ。 145 00:11:43,832 --> 00:11:46,668 また そのような事を! おお…。 146 00:11:46,668 --> 00:11:50,538 どうした? 失礼する。 147 00:11:50,538 --> 00:11:53,238 おい。 148 00:11:56,344 --> 00:11:59,344 兄上。 父上は? 149 00:12:03,017 --> 00:12:05,920 こんな時分から 逃げ込んでこられるなんて➡ 150 00:12:05,920 --> 00:12:08,690 大層 お困りのご様子で。 151 00:12:08,690 --> 00:12:11,359 はい 困っております。 152 00:12:11,359 --> 00:12:15,230 けれど 奥方様が 金沢にいらっしゃったなんて➡ 153 00:12:15,230 --> 00:12:19,701 お嬢様が こちらに来られて 初めて知りました。 154 00:12:19,701 --> 00:12:22,370 どうして 黙っていらしたんですか? 155 00:12:22,370 --> 00:12:25,039 すいません。 つい…。 156 00:12:25,039 --> 00:12:30,712 水くさいじゃありませんか! 私と慶さんの仲なのに。 157 00:12:30,712 --> 00:12:34,582 新九郎様の事も…➡ 158 00:12:34,582 --> 00:12:37,986 何か 隠してる事が あるんじゃないですか? 159 00:12:37,986 --> 00:12:40,321 言えないような事なんですか? 160 00:12:40,321 --> 00:12:43,321 いや そんな事は…。 161 00:12:45,994 --> 00:12:48,897 (鐘の音) 162 00:12:48,897 --> 00:12:52,867 ♬~ 163 00:12:52,867 --> 00:13:00,542 (三成)もし 万が一 我が身に 事が起こった折は➡ 164 00:13:00,542 --> 00:13:05,680 息子の事 お頼み申す。 165 00:13:05,680 --> 00:13:10,351 お味方である上杉景勝殿の ご領内であれば➡ 166 00:13:10,351 --> 00:13:15,351 徳川の手も やすやすとは届かぬはず。 167 00:13:34,542 --> 00:13:39,981 何とぞ その地で 一人前に育ててほしい。 168 00:13:39,981 --> 00:13:48,990 ♬~ 169 00:13:48,990 --> 00:13:52,660 三成様に救われた この命。 170 00:13:52,660 --> 00:13:58,333 お役目 しかと 承知つかまつりました。 171 00:13:58,333 --> 00:14:02,203 ♬~ 172 00:14:02,203 --> 00:14:06,203 私が お前の父だ。 173 00:14:09,944 --> 00:14:12,880 いや 思い過ごしです。 174 00:14:12,880 --> 00:14:18,880 あいつは まだ ふらふらしていて 目が離せないだけなんです。 175 00:14:21,022 --> 00:14:25,360 どのような お方なのです? え? 176 00:14:25,360 --> 00:14:30,231 奥方様。 あ… 女房殿ですか。 177 00:14:30,231 --> 00:14:32,634 何と申すか…➡ 178 00:14:32,634 --> 00:14:39,974 文武にたけ 見目麗しく 私には 過ぎた女房殿です。 179 00:14:39,974 --> 00:14:44,312 よくもまあ 私の前で ぬけぬけと。 180 00:14:44,312 --> 00:14:48,650 いや あなたも そうです。 私には 過ぎた人。 181 00:14:48,650 --> 00:14:53,988 こうして お酌をして頂いて 本当に感謝してる。 182 00:14:53,988 --> 00:14:57,859 本当 憎たらしい。 183 00:14:57,859 --> 00:15:03,331 ♬~ 184 00:15:03,331 --> 00:15:07,201 7年前 家督を継いだ兄から➡ 185 00:15:07,201 --> 00:15:12,340 意に沿わぬ縁談を勧められ 逃げ出した時➡ 186 00:15:12,340 --> 00:15:17,011 追っ手から助けてくれたのが 慶さん。 187 00:15:17,011 --> 00:15:23,311 私は その時 一目ぼれしたんです。 いや…。 188 00:15:25,353 --> 00:15:29,023 今では 兄も 越後に戻ってくるように➡ 189 00:15:29,023 --> 00:15:31,292 言ってくれてます。 190 00:15:31,292 --> 00:15:36,164 ですが 私は 慶さんのそばにいたくて➡ 191 00:15:36,164 --> 00:15:38,864 ここにいるんです。 192 00:15:40,968 --> 00:15:45,840 そんな私の気持ち 知らないとは言わせません。 193 00:15:45,840 --> 00:15:47,840 うっ 痛い…。 194 00:15:50,978 --> 00:15:56,317 安田様は 石田治部少輔三成という男を➡ 195 00:15:56,317 --> 00:15:58,252 ご存じでございますな? 196 00:15:58,252 --> 00:16:02,190 ああ もちろんだ。 先の関ヶ原の戦いで➡ 197 00:16:02,190 --> 00:16:05,326 我が上杉家と手を結び 西軍を率いて➡ 198 00:16:05,326 --> 00:16:07,995 徳川家に挑んだ男。 199 00:16:07,995 --> 00:16:12,867 負けたあと 京の六条河原で 首をはねられた。 200 00:16:12,867 --> 00:16:16,337 惜しいお人を亡くした。 201 00:16:16,337 --> 00:16:21,008 石田様が ご存命なら いま一度 我らと手を結び➡ 202 00:16:21,008 --> 00:16:25,346 徳川家に 戦を仕掛けられるものを…。 203 00:16:25,346 --> 00:16:31,152 その願い かなうやもしれませぬぞ。 204 00:16:31,152 --> 00:16:35,623 実は この米沢の地に➡ 205 00:16:35,623 --> 00:16:40,962 その三成の子が おるやもしれんのです。 206 00:16:40,962 --> 00:16:43,631 それは まことか!? 207 00:16:43,631 --> 00:16:46,300 はい。 208 00:16:46,300 --> 00:16:50,171 (風で戸が揺れる音) おっ! ああ…。 209 00:16:50,171 --> 00:16:53,174 ふう~。 210 00:16:53,174 --> 00:16:57,311 そんなに心配なさらなくても このような所まで➡ 211 00:16:57,311 --> 00:16:59,981 武家の奥方様が 来るはずもありません。 212 00:16:59,981 --> 00:17:03,651 まあ それは そうでしょうけれども…。 213 00:17:03,651 --> 00:17:06,554 先ほどは はぐらかされましたが➡ 214 00:17:06,554 --> 00:17:09,524 お気持ちを お聞かせ願いとうございます。 215 00:17:09,524 --> 00:17:12,994 いや まあ それは…。 216 00:17:12,994 --> 00:17:18,332 ちゃんと お話し頂くまで 帰しませんから。 217 00:17:18,332 --> 00:17:20,268 もう…。 218 00:17:20,268 --> 00:17:22,203 雪夜殿! ≪女将さん。 219 00:17:22,203 --> 00:17:25,206 ごめんくだされ。 220 00:17:25,206 --> 00:17:29,343 うお~っ 女房殿! 奥方様!? 221 00:17:29,343 --> 00:17:32,613 やはり こちらに いらしたのですね 父上。 222 00:17:32,613 --> 00:17:35,116 お久しぶりでございます 父上。 223 00:17:35,116 --> 00:17:39,616 えっ 佐乃! 華もか! 224 00:17:42,290 --> 00:17:47,628 ♬~ 225 00:17:47,628 --> 00:17:50,298 いやいやいや まあまあまあ…。 226 00:17:50,298 --> 00:17:52,298 ヘッ! 227 00:17:53,968 --> 00:18:00,641 私 前田慶次の妻 美津にございます。 228 00:18:00,641 --> 00:18:04,512 いつも 夫が お世話になっております。 229 00:18:04,512 --> 00:18:07,315 はあ…。 230 00:18:07,315 --> 00:18:10,015 華。 (華)はい。 231 00:18:11,652 --> 00:18:15,323 これは つまらぬものでございますが➡ 232 00:18:15,323 --> 00:18:21,195 金沢から持ってまいりましたもの。 どうぞ お納めを。 233 00:18:21,195 --> 00:18:24,999 これはこれは ご丁寧に。 234 00:18:24,999 --> 00:18:31,272 では 旦那様 私とご一緒に お戻りを。 235 00:18:31,272 --> 00:18:33,572 …はい。 236 00:18:35,142 --> 00:18:38,842 母上に 何と言えばよいのだ? 237 00:18:40,615 --> 00:18:45,286 お初に お目にかかります。 息子の新九郎でございます。 238 00:18:45,286 --> 00:18:47,622 …で よいのか? 239 00:18:47,622 --> 00:18:50,958 う~ん 何か それも おかしいと思うが…。 240 00:18:50,958 --> 00:18:56,297 そのような事より 旦那様の次は 私でございます。 241 00:18:56,297 --> 00:18:59,597 何と申し開きしたらよいか…。 242 00:19:01,168 --> 00:19:03,638 (又吉)あの~➡ 243 00:19:03,638 --> 00:19:07,975 そこまで ビクビクなさらずとも。 そうでございますよ。➡ 244 00:19:07,975 --> 00:19:10,311 なんも 取って食われる訳で ねえんですから。 245 00:19:10,311 --> 00:19:14,181 あんたたちは 奥方様を知らないから。 246 00:19:14,181 --> 00:19:16,183 (戸が開く音) 247 00:19:16,183 --> 00:19:21,923 ♬~ 248 00:19:21,923 --> 00:19:25,860 あの~ 奥方様➡ 249 00:19:25,860 --> 00:19:32,934 こちらの者は 下働きの 又吉と よねでございます。 250 00:19:32,934 --> 00:19:35,603 又吉は 旦那様とは➡ 251 00:19:35,603 --> 00:19:38,272 京に おられた頃から お仕えしており➡ 252 00:19:38,272 --> 00:19:42,610 こちらに連れてこられた者で…。 はい。 あの~➡ 253 00:19:42,610 --> 00:19:47,949 京で 危ういところを 旦那様に助けて頂いて➡ 254 00:19:47,949 --> 00:19:52,620 それから 旦那様のかぶきぶりに すっかり ほれ込んでしまい➡ 255 00:19:52,620 --> 00:19:56,958 お仕えさせて頂いております。 (竹)よくやってくれています。➡ 256 00:19:56,958 --> 00:20:00,828 旦那様の身の回りのお世話から 庭仕事まで。 257 00:20:00,828 --> 00:20:03,828 釣りのお供なども…。 258 00:20:05,967 --> 00:20:10,838 で よねは この米沢で雇いました 百姓の娘でして…。 259 00:20:10,838 --> 00:20:14,838 それで こちらのお方は? 260 00:20:18,546 --> 00:20:24,652 いや あの… 佐乃が もう 文で知らせたとは思うが➡ 261 00:20:24,652 --> 00:20:27,989 息子の新九郎です。 262 00:20:27,989 --> 00:20:31,325 お初に お目にかかります。 263 00:20:31,325 --> 00:20:38,325 母上様 姉上様。 新九郎でございます。 264 00:20:43,904 --> 00:20:50,678 あの~ 何と申しましょうか…。 265 00:20:50,678 --> 00:20:56,017 私も 金沢に身内がいるとは 知らずに➡ 266 00:20:56,017 --> 00:20:59,687 その…。 いや 全く そうなんだ。 267 00:20:59,687 --> 00:21:03,357 私が つい その~ 言いそ…。 (華)母上は➡ 268 00:21:03,357 --> 00:21:08,696 新九郎殿に お会いできて うれしいのでございます。 え? 269 00:21:08,696 --> 00:21:16,370 前田の家には 私 そして 佐乃と おなごしかおりませぬ。 270 00:21:16,370 --> 00:21:19,707 男子がいなければ 家は断絶。➡ 271 00:21:19,707 --> 00:21:23,577 ですから 新九郎殿がいてくれたおかげで➡ 272 00:21:23,577 --> 00:21:26,380 我が家は 安泰。 273 00:21:26,380 --> 00:21:31,218 その事を 心から喜んでおられるのです。 274 00:21:31,218 --> 00:21:33,187 はあ…。 275 00:21:33,187 --> 00:21:38,659 よかったな 新九郎。 のう。 ハハハ! 276 00:21:38,659 --> 00:21:43,330 それでは 女房殿も華も 旅の疲れがあるだろうから➡ 277 00:21:43,330 --> 00:21:47,001 今日は このぐらいで。 うん! 278 00:21:47,001 --> 00:21:51,672 まだ 話は終わっておりませぬ。 279 00:21:51,672 --> 00:21:53,672 はい。 280 00:21:56,343 --> 00:22:02,016 ところで 新九郎殿 いくつにおなりに? 281 00:22:02,016 --> 00:22:04,919 年は 18でございます。 282 00:22:04,919 --> 00:22:09,919 18…。 とすると 佐乃が 17…。 283 00:22:11,692 --> 00:22:16,363 その時分は 確か 京に行ったきりで 旦那様が➡ 284 00:22:16,363 --> 00:22:22,036 金沢には お戻りに なられなかった頃にございますな。 285 00:22:22,036 --> 00:22:25,372 あ いや… そうでしたかね? 286 00:22:25,372 --> 00:22:32,980 それで 新九郎殿の母上は どのようなお方で? 287 00:22:32,980 --> 00:22:37,318 京で 父上と知り合ったと 聞かされております。 288 00:22:37,318 --> 00:22:41,989 ですが 私を産んですぐに はやり病で亡くなったと…。 289 00:22:41,989 --> 00:22:46,861 まあ それは お気の毒に。 290 00:22:46,861 --> 00:22:52,333 して いかなる お家柄で? 291 00:22:52,333 --> 00:22:58,205 それは…。 それは 私から話そう。 292 00:22:58,205 --> 00:23:07,681 実は 九条家の流れで さる やんごとなき家の娘での➡ 293 00:23:07,681 --> 00:23:12,019 それで 京の文人たちが集う➡ 294 00:23:12,019 --> 00:23:16,357 「源氏物語」を読む会というので 知り合うて➡ 295 00:23:16,357 --> 00:23:21,028 それで 仲ようなったのが 事の始め。 296 00:23:21,028 --> 00:23:25,900 そうでございますか。 「源氏物語」を通じて。 297 00:23:25,900 --> 00:23:34,575 さよう。 光源氏が愛した 紫の上に どことのう似ておったか。 ハッ。 298 00:23:34,575 --> 00:23:41,315 では 大層 おきれいなお方で ございましょうな。 299 00:23:41,315 --> 00:23:44,652 いや まあ…。 (華)そのような高貴なお方が➡ 300 00:23:44,652 --> 00:23:48,989 新九郎殿の母上なら 前田家の嫡男として➡ 301 00:23:48,989 --> 00:23:52,860 堂々と金沢に連れてこられれば よかったのではないかと➡ 302 00:23:52,860 --> 00:23:55,663 母上は 申されたいのでございます。 303 00:23:55,663 --> 00:23:59,333 そうでございます。 母上も 私たちも➡ 304 00:23:59,333 --> 00:24:02,236 喜んで お迎え致しました。 それは そうなのだが…。 305 00:24:02,236 --> 00:24:04,205 (華)どうして お戻りにならなかったのです? 306 00:24:04,205 --> 00:24:07,208 私も それを聞きとうございます。 307 00:24:07,208 --> 00:24:09,677 だから それは…。 もしかして➡ 308 00:24:09,677 --> 00:24:12,346 ほかに 訳がおありなのでは ございませぬか? 309 00:24:12,346 --> 00:24:18,018 金沢に帰らず この米沢に いなくてはならぬ訳。 310 00:24:18,018 --> 00:24:21,355 私は 一つしか 思い当たりません。 311 00:24:21,355 --> 00:24:24,692 (華)では やはり 先ほどの? はい。 312 00:24:24,692 --> 00:24:28,362 柳町の女将。 313 00:24:28,362 --> 00:24:32,132 ハッハッハッハ! それはありません。 (華)では どうして!? 314 00:24:32,132 --> 00:24:36,303 父上! 母上の前で まことの事を お話し下さい。 315 00:24:36,303 --> 00:24:39,303 (華)父上! 父上! 316 00:24:47,314 --> 00:24:50,985 竹。 はい。 317 00:24:50,985 --> 00:24:53,888 そこに座りなさい。 318 00:24:53,888 --> 00:25:00,327 あ… あの~。 (美津)よいから 座りなさい。 319 00:25:00,327 --> 00:25:02,627 はい。 320 00:25:13,340 --> 00:25:18,679 そなた どうして 戻ってこなかった? 321 00:25:18,679 --> 00:25:24,351 旦那様を連れて帰るのが そなたの役目ではなかったのか? 322 00:25:24,351 --> 00:25:26,287 そうなのでございますが…。 323 00:25:26,287 --> 00:25:32,960 なのに そなたまで この米沢の地で 暮らしだすとは。 324 00:25:32,960 --> 00:25:36,297 申し訳ございません。 325 00:25:36,297 --> 00:25:38,966 訳を申せ。 326 00:25:38,966 --> 00:25:42,966 それは…。 申せと言っておる! 327 00:25:46,307 --> 00:25:51,979 竹さんが恐れるのも分かるな。 おっかねえ~。 328 00:25:51,979 --> 00:25:58,652 ♬~ 329 00:25:58,652 --> 00:26:09,296 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 今日の修羅の敵は誰そ 330 00:26:09,296 --> 00:26:17,004 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] なに能登の守 教経とや 331 00:26:17,004 --> 00:26:20,674 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] あらものものしや 332 00:26:20,674 --> 00:26:24,011 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 手なみは知りぬ 333 00:26:24,011 --> 00:26:32,619 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 思いぞいづる壇の浦の 334 00:26:32,619 --> 00:26:38,492 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 其船軍 今は早 335 00:26:38,492 --> 00:26:43,263 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 其船軍 今は早 336 00:26:43,263 --> 00:26:47,968 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 閻浮にかえる生死の 337 00:26:47,968 --> 00:26:57,644 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 海山一同に 震動して 338 00:26:57,644 --> 00:27:03,984 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 舟よりは 鬨の声 339 00:27:03,984 --> 00:27:09,323 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 陸には 波の楯 340 00:27:09,323 --> 00:27:15,996 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 月に白むは 剣の光 341 00:27:15,996 --> 00:27:27,007 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 潮に映るは 兜の星の影 342 00:27:27,007 --> 00:27:33,280 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 水や空空 343 00:27:33,280 --> 00:28:21,662 ♬~ 344 00:28:21,662 --> 00:28:27,000 それにしても 先ほどの舞…。 345 00:28:27,000 --> 00:28:32,272 見事でした。 私も 今夜は みんなで➡ 346 00:28:32,272 --> 00:28:35,943 父上を とことん 問い詰めようとしていたのに➡ 347 00:28:35,943 --> 00:28:39,243 その気も うせるほど。 348 00:28:40,814 --> 00:28:43,617 2度目じゃ。 349 00:28:43,617 --> 00:28:49,957 あの舞を見て その気が うせたのは。 350 00:28:49,957 --> 00:28:55,295 母上? あの舞に 何かあるのですか? 351 00:28:55,295 --> 00:29:00,167 フフフ…。 せっかく こうして 3人で眠るのじゃ。 352 00:29:00,167 --> 00:29:03,170 話して聞かせようかのう。 353 00:29:03,170 --> 00:29:05,305 はい! 354 00:29:05,305 --> 00:29:08,976 是非 お聞かせ願います。 355 00:29:08,976 --> 00:29:13,647 旦那様と 婚儀を挙げる事になった訳は➡ 356 00:29:13,647 --> 00:29:17,317 話した事があろう? はい。 357 00:29:17,317 --> 00:29:22,656 あまりの父上の負けっぷりに 哀れに思い 妻になったと。 358 00:29:22,656 --> 00:29:26,527 旦那様は おなご相手に➡ 359 00:29:26,527 --> 00:29:30,330 本気で向かってくる お方ではない。 360 00:29:30,330 --> 00:29:34,601 わざと負けたのじゃ。 え? 361 00:29:34,601 --> 00:29:40,274 それが腹立たしく 再度 試合を申し込んだ。 362 00:29:40,274 --> 00:29:50,284 そして 決められた場所に行くと そこには 大きな桜の木があり➡ 363 00:29:50,284 --> 00:29:59,626 そこで あの舞を舞っておられたのじゃ。 364 00:29:59,626 --> 00:30:05,499 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 浮き沈むとせし程に 365 00:30:05,499 --> 00:30:10,971 [外:3BCE2A06A6A8557082543A6C90A42FE0] 春の夜の浪より明けて 366 00:30:10,971 --> 00:30:17,311 (美津)春… 満開の桜の木の下で➡ 367 00:30:17,311 --> 00:30:23,984 それはもう なんと麗しい殿御だと。 368 00:30:23,984 --> 00:30:30,324 ♬~ 369 00:30:30,324 --> 00:30:38,324 (美津)このお方の妻になりたい。 そう思うたのじゃ。 370 00:30:40,000 --> 00:30:47,341 では あの舞は 思い出の舞? 371 00:30:47,341 --> 00:30:52,212 旦那様も 覚えていてくれたのであろう。 372 00:30:52,212 --> 00:31:08,212 ♬~ 373 00:31:14,568 --> 00:31:17,568 もう少し。 374 00:31:21,241 --> 00:31:25,379 あなたには 大変な思いをさせてしまい➡ 375 00:31:25,379 --> 00:31:28,282 申し訳なかった。 本当ですよ。 376 00:31:28,282 --> 00:31:31,051 もう二度と あのような目には…。 377 00:31:31,051 --> 00:31:35,656 竹さん。 女房殿は 怒らせると怖いが➡ 378 00:31:35,656 --> 00:31:38,558 ほほ笑まれると なんとも愛らしい。 379 00:31:38,558 --> 00:31:41,328 昔と変わらんのう。 380 00:31:41,328 --> 00:31:44,998 今でも ほれているのでございますね。 381 00:31:44,998 --> 00:31:47,698 まあ…。 382 00:31:51,672 --> 00:31:54,574 さあ どうぞ。 383 00:31:54,574 --> 00:31:57,344 (美津)頂きます。 (一同)頂きます。 384 00:31:57,344 --> 00:32:03,344 あ~ 10年ぶりの旦那様の手料理。 385 00:32:07,354 --> 00:32:12,693 う~ん おいしいのう! 386 00:32:12,693 --> 00:32:20,367 (華)あ~ 懐かしい。 金沢では よ~く作ってくれた味。 387 00:32:20,367 --> 00:32:25,038 はい。 父上の味です。 388 00:32:25,038 --> 00:32:29,910 父上が作るものは いつ食べても うまい。 389 00:32:29,910 --> 00:32:33,847 家族そろってする食事は いいものですな 父上。 390 00:32:33,847 --> 00:32:36,147 そうだな! 391 00:32:39,319 --> 00:32:41,655 でしたら 父上➡ 392 00:32:41,655 --> 00:32:46,326 ここは 母上たちとご一緒に お帰りになられるのが よいかと。 393 00:32:46,326 --> 00:32:50,197 それとこれとは別だ。 別の事ではございませぬ。 394 00:32:50,197 --> 00:32:52,999 私の事なら 大丈夫でございます。 395 00:32:52,999 --> 00:32:55,902 竹がおります。 何? 396 00:32:55,902 --> 00:33:01,675 母上も 姉上も 佐乃も 金沢から迎えに来られたのです。 397 00:33:01,675 --> 00:33:04,010 ここは 父上も一緒に戻られ➡ 398 00:33:04,010 --> 00:33:06,680 私のお城への出仕を お認め下されば➡ 399 00:33:06,680 --> 00:33:09,015 あとの事は 何の心配もないかと。 400 00:33:09,015 --> 00:33:11,351 己のために言っておるな? 401 00:33:11,351 --> 00:33:14,688 私は 父上のためにも その方がよいのかと。 402 00:33:14,688 --> 00:33:17,357 うそをつけ。 うそではございませぬ。 403 00:33:17,357 --> 00:33:21,657 やかましい! お前の指図は受けん! 404 00:33:24,698 --> 00:33:27,601 (小声で)石頭の頑固親父…。 405 00:33:27,601 --> 00:33:31,037 聞こえたぞ。 もう一度 言ってみろ。 406 00:33:31,037 --> 00:33:36,309 「この石頭の頑固親父」とですか? 407 00:33:36,309 --> 00:33:39,646 旦那様も 新九郎様も おやめ下さい。 408 00:33:39,646 --> 00:33:43,517 奥方様たちも いらっしゃるんですよ。 409 00:33:43,517 --> 00:33:49,656 いつも こうでございます。 まあ 親子げんかとは…。 410 00:33:49,656 --> 00:33:52,325 それだけ かわいいのでございますな➡ 411 00:33:52,325 --> 00:33:55,228 新九郎殿の事が。 412 00:33:55,228 --> 00:34:00,528 だが 嫡男とはいえ ほかのおなごに産ませた子。 413 00:34:09,876 --> 00:34:11,876 ヘッ! 414 00:34:15,015 --> 00:34:18,315 えやっ! えいっ! えやっ! 415 00:34:19,886 --> 00:34:23,886 今朝は 姉上もご一緒ですか? はい。 416 00:34:25,659 --> 00:34:29,362 きえ~っ! なにが 実家へ戻れじゃ! 417 00:34:29,362 --> 00:34:32,632 それが 妻をめとった男の言う言葉か! 418 00:34:32,632 --> 00:34:36,970 情けない! ほんに 情けない! 419 00:34:36,970 --> 00:34:41,308 姉上は 婚家から 実家に戻されたのでございます。 420 00:34:41,308 --> 00:34:45,178 えっ! では それも 父上のせい? はい。 421 00:34:45,178 --> 00:34:48,181 なにが 実家へ戻れじゃ! 情けない! 422 00:34:48,181 --> 00:34:52,652 ほんに 情けない! フッ! 423 00:34:52,652 --> 00:34:55,989 姉上も おつらい事じゃ。 424 00:34:55,989 --> 00:35:03,663 (華の掛け声) 425 00:35:03,663 --> 00:35:07,534 新九郎。 新九郎! 426 00:35:07,534 --> 00:35:11,004 勝之進。 どうした? こんな朝早くから。 427 00:35:11,004 --> 00:35:14,674 (勝之進) 朝稽古をしていると聞いてな。 428 00:35:14,674 --> 00:35:18,512 佐乃殿。 私も稽古をさせて頂いても➡ 429 00:35:18,512 --> 00:35:21,348 よろしいでしょうか? もちろんでございます。 430 00:35:21,348 --> 00:35:23,348 (美津)新九郎殿。 431 00:35:25,018 --> 00:35:27,921 母上。 432 00:35:27,921 --> 00:35:30,357 お相手願います。 433 00:35:30,357 --> 00:35:35,195 え? 私がですか? そうです。 434 00:35:35,195 --> 00:35:40,166 前田家の嫡男の腕を しかと見たい。 435 00:35:40,166 --> 00:35:44,871 ですが 母上相手になど…。 436 00:35:44,871 --> 00:35:49,871 遠慮はいらぬ。 さあ! 437 00:36:08,194 --> 00:36:10,494 きえ~っ! 438 00:36:12,666 --> 00:36:16,002 お強い…。 は? 439 00:36:16,002 --> 00:36:19,673 さすが嫡男。 440 00:36:19,673 --> 00:36:23,543 きえ~っ! きえ~っ! 441 00:36:23,543 --> 00:36:27,013 (竹)奥方様が やられています。 442 00:36:27,013 --> 00:36:30,884 新九郎様 あったに お強かったっけ? 443 00:36:30,884 --> 00:36:33,286 わざとでしょう。 444 00:36:33,286 --> 00:36:37,624 新九郎のやつ 後で 大変な事になりますよ。 445 00:36:37,624 --> 00:36:39,624 (美津)きえ~っ! 446 00:36:44,965 --> 00:36:49,665 参りました。 はあ…。 447 00:36:51,638 --> 00:36:54,638 あちらの方は? 448 00:36:56,309 --> 00:37:00,180 勝之進様です。 朝稽古に いらして。 449 00:37:00,180 --> 00:37:02,880 そうですか。 450 00:37:07,921 --> 00:37:12,659 では 勝之進殿 お相手願います。 451 00:37:12,659 --> 00:37:23,303 ♬~ 452 00:37:23,303 --> 00:37:25,238 えいっ! 453 00:37:25,238 --> 00:37:36,616 ♬~ 454 00:37:36,616 --> 00:37:39,519 ああ~ 勝之進様が! 455 00:37:39,519 --> 00:37:42,489 本気を出したんでしょ 女房殿は。 456 00:37:42,489 --> 00:37:45,189 ハハハハハハ! 457 00:37:46,960 --> 00:37:52,298 (掛け声) 458 00:37:52,298 --> 00:37:55,969 (雫)又吉さん。 あっ! 459 00:37:55,969 --> 00:37:59,839 雫さん。 あっ… けがの方は? 460 00:37:59,839 --> 00:38:03,843 ええ もう すっかりよくなって。 あ~ よかった。 461 00:38:03,843 --> 00:38:07,313 本当に その節は ありがとうございました。 462 00:38:07,313 --> 00:38:09,983 いやいや とんでもないですよ。 とんでもないです。 463 00:38:09,983 --> 00:38:12,886 これ お礼にと。 464 00:38:12,886 --> 00:38:18,324 あの~ そんな 気ぃ遣って頂…。 頂きます。 ありがとうございます。 465 00:38:18,324 --> 00:38:25,665 (掛け声) 466 00:38:25,665 --> 00:38:28,568 前田慶次の奥方までもが? 467 00:38:28,568 --> 00:38:31,271 はい。 468 00:38:31,271 --> 00:38:37,143 ほう… 金沢に 身内を残し➡ 469 00:38:37,143 --> 00:38:43,283 新九郎と この米沢で 10年近く住んでいた。 470 00:38:43,283 --> 00:38:49,155 その上 奥方にも 事情を隠していたとなると➡ 471 00:38:49,155 --> 00:38:51,855 何かある。 472 00:38:54,894 --> 00:38:58,631 もしや…。 473 00:38:58,631 --> 00:39:01,968 (美津)新九郎殿は お強い。➡ 474 00:39:01,968 --> 00:39:06,840 さすが前田家の嫡男でございます。 のう 華。 475 00:39:06,840 --> 00:39:12,612 (華)はい。 母上の おっしゃるとおりでございます。 476 00:39:12,612 --> 00:39:15,515 いや。 あの… 佐乃には いつも➡ 477 00:39:15,515 --> 00:39:17,984 もっと しっかりせよと 叱られております。 478 00:39:17,984 --> 00:39:22,655 佐乃! このような立派な兄上に なんという事を! 479 00:39:22,655 --> 00:39:26,526 はい。 申し訳ございません。 480 00:39:26,526 --> 00:39:30,330 いえ よいのでございます。 そのとおりなのですから。 481 00:39:30,330 --> 00:39:34,601 (美津)まあ 謙虚なところが ますます ご立派。 482 00:39:34,601 --> 00:39:41,601 大したものじゃ。 フフッ。 まこと 大したご嫡男。 ええ。 483 00:39:44,277 --> 00:39:50,577 褒め殺しのようでございます。 はい。 ハハハ…。 484 00:39:55,288 --> 00:39:57,223 ≪兄上には かないません。 485 00:39:57,223 --> 00:40:00,627 ≪(華)うん。 ほんに 新九郎殿は お強い。 486 00:40:00,627 --> 00:40:02,627 ≪(佐乃と華の笑い声) 487 00:40:04,297 --> 00:40:07,597 奥方様が。 うん。 488 00:40:12,172 --> 00:40:16,872 これは 女房殿 我が隠れがへ ようこそ。 489 00:40:18,645 --> 00:40:22,982 さあ お座りなされ。 490 00:40:22,982 --> 00:40:27,654 よい若者でございますな 新九郎殿は。 491 00:40:27,654 --> 00:40:30,990 はい。 少し無鉄砲なところが ありますが。 492 00:40:30,990 --> 00:40:33,893 で その新九郎殿を➡ 493 00:40:33,893 --> 00:40:39,332 この米沢の地で 育てなければならない…➡ 494 00:40:39,332 --> 00:40:42,669 訳がおありで? 495 00:40:42,669 --> 00:40:48,007 そうとしか考えられませぬ。 496 00:40:48,007 --> 00:40:54,347 女房殿。 私は 必ず帰ります。 497 00:40:54,347 --> 00:40:59,347 ですから 金沢で待っていて下さい。 498 00:41:03,022 --> 00:41:08,695 いつも 待っておりました。 499 00:41:08,695 --> 00:41:12,565 戦場に向かわれる その背に➡ 500 00:41:12,565 --> 00:41:18,705 いま一度 そのお姿を見せてほしい。 501 00:41:18,705 --> 00:41:29,349 一日一日を 無事生きて また お目にかかれる日をと…。 502 00:41:29,349 --> 00:41:39,325 この度 こうして また お会いできて…➡ 503 00:41:39,325 --> 00:41:45,325 本当に よかったと 思っております。 504 00:41:50,937 --> 00:41:53,873 私もです。 505 00:41:53,873 --> 00:42:01,573 こたび 再び 生きて あなたに会えて よかった。 506 00:42:04,350 --> 00:42:09,050 旦那様。 うん。 507 00:42:12,025 --> 00:42:17,897 ですが このまま帰る訳には まいりません。 508 00:42:17,897 --> 00:42:23,636 しばらく 私も こちらに とどまりとうございます。 509 00:42:23,636 --> 00:42:25,571 え…。 510 00:42:25,571 --> 00:42:31,044 旦那様のお世話を致します。 511 00:42:31,044 --> 00:42:35,648 よろしいですね? いや それは…。 512 00:42:35,648 --> 00:42:40,948 ウフフ…。 よろしいですね? 513 00:42:43,523 --> 00:42:48,227 はい。 お世話になります。 514 00:42:48,227 --> 00:42:52,527 では そのように。 515 00:42:56,669 --> 00:43:00,006 (せきこみ) まあ。 アハハ…。 516 00:43:00,006 --> 00:43:01,941 まあまあまあ…。 無礼つかまつった。 517 00:43:01,941 --> 00:43:03,941 (せきこみ) 518 00:43:06,346 --> 00:43:09,682 石田三成様のお子が この米沢の地に? 519 00:43:09,682 --> 00:43:12,018 (一左衛門)そのうわさで 持ちきりでございます。 520 00:43:12,018 --> 00:43:14,687 誰かが うわさを流しているんじゃ ないでしょうかね? 521 00:43:14,687 --> 00:43:17,357 お前 まさか 佐乃の事…。 522 00:43:17,357 --> 00:43:21,694 新九郎殿は 前田殿の お子でござりましょうか? 523 00:43:21,694 --> 00:43:23,629 え? 524 00:43:23,629 --> 00:43:26,329 大きなお世話ですぞ!