1 00:00:11,804 --> 00:00:15,808 <現代人で その恩恵を 受けていない者はいないはずだ> 2 00:00:15,808 --> 00:00:17,810 (店員)いらっしゃい いらっしゃい 3 00:00:17,810 --> 00:00:20,810 <これらの…> 4 00:00:24,817 --> 00:00:29,488 <これは とある貧しい侍が 現代の家電と出会い 5 00:00:29,488 --> 00:00:34,493 家族を幸せにしようと 奮闘する物語である> 6 00:00:34,493 --> 00:00:54,513 ・~ 7 00:00:54,513 --> 00:00:57,813 ・~ 8 00:01:13,132 --> 00:01:17,470 お侍様 今晩のおかずに かば焼きはいかがです? 9 00:01:17,470 --> 00:01:19,805 (四十郎)おお うなぎか へい 10 00:01:19,805 --> 00:01:21,807 うまそうだな へい そりゃもちろん 11 00:01:21,807 --> 00:01:25,478 ハハッ では 3人前もらおう へい 毎度あり 12 00:01:25,478 --> 00:01:28,814 ・(お春)キャーッ! 13 00:01:28,814 --> 00:01:32,151 (ナンパ侍)よいではないか ほら 14 00:01:32,151 --> 00:01:35,488 減るものではないだろう さあ 顔を上げよ 15 00:01:35,488 --> 00:01:39,825 おのれ 武士の風上にも置けぬ 16 00:01:39,825 --> 00:01:42,828 はあ? 17 00:01:42,828 --> 00:01:45,828 お主 やる気か? 18 00:01:51,170 --> 00:01:53,172 えやっ! 19 00:01:53,172 --> 00:01:55,508 あっ あ痛! 痛った… 20 00:01:55,508 --> 00:01:57,508 ああ… あっ 21 00:01:59,845 --> 00:02:01,845 今回だけは許してやる! 22 00:02:04,517 --> 00:02:06,452 お助けいただき ありがとうございます 23 00:02:06,452 --> 00:02:08,454 礼には及ばぬ 24 00:02:08,454 --> 00:02:10,790 武士として 当然のことをしたまでだ 25 00:02:10,790 --> 00:02:13,793 お侍さん お名前だけでも 26 00:02:13,793 --> 00:02:16,796 名乗るほどの者ではござらん 27 00:02:16,796 --> 00:02:19,465 (お春)すてきなお侍様… ハッ 28 00:02:19,465 --> 00:02:23,803 <この男 名を兼梨四十郎というが 29 00:02:23,803 --> 00:02:28,140 主君を持つ武士でも侍でもない> 30 00:02:28,140 --> 00:02:30,810 <剣術の腕前は免許皆伝だが 31 00:02:30,810 --> 00:02:36,482 とある理由で仕官の口を失った いわゆる 浪人> 32 00:02:36,482 --> 00:02:38,484 <格好つけてはいるが 33 00:02:38,484 --> 00:02:42,488 現代でいえば リストラされ 失業したサラリーマン> 34 00:02:42,488 --> 00:02:45,491 (物売り)お待ちしておりました 150文になります 35 00:02:45,491 --> 00:02:47,493 ひゃ… 36 00:02:47,493 --> 00:02:50,830 <故に 金にも余裕がない> 37 00:02:50,830 --> 00:02:55,167 (物売り)お侍様? 150文 38 00:02:55,167 --> 00:03:00,167 悪いが うなぎは もう… 食い飽きた 39 00:03:02,842 --> 00:03:07,446 <住まいは 庶民の暮らす貧乏長屋> 40 00:03:07,446 --> 00:03:09,448 ただいま帰ったぞ 41 00:03:09,448 --> 00:03:12,448 (静江) 四十郎様 おかえりなさいませ 42 00:03:16,455 --> 00:03:21,127 <狭苦しい借家で 3人暮らしである> 43 00:03:21,127 --> 00:03:23,129 父上 おかえりなさい 44 00:03:23,129 --> 00:03:25,729 仕官先は見つかりましたか? 45 00:03:27,800 --> 00:03:31,470 太郎… 父上は お疲れなのです 46 00:03:31,470 --> 00:03:36,142 外で遊んできなさい 分かりました 母上 47 00:03:36,142 --> 00:03:38,442 夕飯までには帰ってくるんですよ 48 00:03:41,814 --> 00:03:45,151 その… 静江 仕官先だが… 49 00:03:45,151 --> 00:03:47,820 おなか すいてますよね? 50 00:03:47,820 --> 00:03:49,822 ああ… これから支度しますので 51 00:03:49,822 --> 00:03:52,822 四十郎様は お休みください うん 52 00:04:03,169 --> 00:04:05,169 (ため息) 53 00:04:10,776 --> 00:04:14,447 太郎 どうして食べないのです? 54 00:04:14,447 --> 00:04:18,451 冷や飯は嫌いです 太郎は あったかい御飯がいい 55 00:04:18,451 --> 00:04:22,788 《確かに 拙者も冷や飯は嫌いだ しかし…》 56 00:04:22,788 --> 00:04:26,125 朝炊いた御飯ですから しかたないでしょう 57 00:04:26,125 --> 00:04:29,128 《そうだ 薪代の節約のためにも 58 00:04:29,128 --> 00:04:32,798 飯は日に一度 朝にしか炊けぬのだ》 59 00:04:32,798 --> 00:04:35,801 では 母上 おかずは ないのですか? 60 00:04:35,801 --> 00:04:38,804 《おかずだと! おかずなど…》 61 00:04:38,804 --> 00:04:40,806 ありません 62 00:04:40,806 --> 00:04:43,142 (太郎)うなぎが食べたいです ありません! 63 00:04:43,142 --> 00:04:45,144 《そうだ》 64 00:04:45,144 --> 00:04:48,147 《金に余裕のない我が家では うなぎなど…》 65 00:04:48,147 --> 00:04:50,149 (たくあんをかむ音) 66 00:04:50,149 --> 00:04:53,819 御飯が食べられるだけで ありがたいと思いなさい 67 00:04:53,819 --> 00:04:56,155 (たくあんをかむ音) 68 00:04:56,155 --> 00:05:08,434 ・~ 69 00:05:08,434 --> 00:05:12,771 ああ… 寝相の悪いやつめ 70 00:05:12,771 --> 00:05:14,771 ハァー 71 00:05:23,782 --> 00:05:26,785 《まだ起きているのか…》 72 00:05:26,785 --> 00:05:37,463 ・~ 73 00:05:37,463 --> 00:05:39,463 《もう起きているのか》 74 00:05:42,468 --> 00:05:46,138 おはようございます 今朝は お早いですね 75 00:05:46,138 --> 00:05:48,140 ああ おはよう 76 00:05:48,140 --> 00:05:52,811 《静江 お主は 一体 いつ寝ているのだ》 77 00:05:52,811 --> 00:05:58,150 そうでした 四十郎様に見せたいものが 78 00:05:58,150 --> 00:06:03,750 手ごろな反物が手に入ったので 新しい着物を縫ってみたんです 79 00:06:06,091 --> 00:06:11,096 《遅くまで縫い物をしていたのは このため…》 80 00:06:11,096 --> 00:06:13,432 お召しになってくださいませ 81 00:06:13,432 --> 00:06:15,432 うん 82 00:06:17,770 --> 00:06:21,440 <侍だったころのプライドを いまだ捨てきれず 83 00:06:21,440 --> 00:06:27,040 亭主関白を気取り 妻と子に 苦労をさせている四十郎だが…> 84 00:06:34,787 --> 00:06:38,123 お役目を失い もう3年近く 85 00:06:38,123 --> 00:06:42,795 そんな私めを 静江は責めもしません 86 00:06:42,795 --> 00:06:46,799 <己のふがいなさを吐露するのは いつもここ 87 00:06:46,799 --> 00:06:50,135 お稲荷様の前> 88 00:06:50,135 --> 00:06:54,807 願わくば 一刻も早く仕官先が見つかり 89 00:06:54,807 --> 00:07:01,146 少しでも 静江の暮らしを 楽にさせてあげられますように 90 00:07:01,146 --> 00:07:05,484 <四十郎の願いは ただ一つ> 91 00:07:05,484 --> 00:07:08,754 <最近 目にすることが少なくなった 92 00:07:08,754 --> 00:07:13,425 静江の心からの笑顔を見たい> 93 00:07:13,425 --> 00:07:17,763 <そんな願かけを 浪人になってから毎日続け 94 00:07:17,763 --> 00:07:21,767 それも 今夜で ちょうど千日目> 95 00:07:21,767 --> 00:07:23,767 願いたもう 96 00:07:25,771 --> 00:07:29,441 (羽音) 97 00:07:29,441 --> 00:07:32,111 (鳥の鳴き声) 98 00:07:32,111 --> 00:07:37,449 (雷鳴) 99 00:07:37,449 --> 00:07:39,749 何だ… 何だ? 100 00:07:43,122 --> 00:07:45,122 うわっ! 101 00:07:52,131 --> 00:07:55,731 <四十郎に ありえない奇跡が起きた> 102 00:08:59,131 --> 00:09:19,151 ・~ 103 00:09:19,151 --> 00:09:22,154 ・~ 104 00:09:22,154 --> 00:09:27,493 はて? 面妖なり 105 00:09:27,493 --> 00:09:29,793 (カージー)聞き取れませんでした 106 00:09:33,832 --> 00:09:36,502 何やつだ! あやかしか? 107 00:09:36,502 --> 00:09:38,504 はじめまして 108 00:09:38,504 --> 00:09:42,841 私は家電アドバイザーの カージーです 109 00:09:42,841 --> 00:09:46,779 かでん? あ… あどばい…? 110 00:09:46,779 --> 00:09:49,448 カージーとお呼びください 111 00:09:49,448 --> 00:09:53,118 か… かっ か… かあじい? 112 00:09:53,118 --> 00:09:59,792 あなたの暮らしを楽にする 最適な家電をご紹介いたします 113 00:09:59,792 --> 00:10:02,795 暮らしを… 楽に? 114 00:10:02,795 --> 00:10:04,797 もしや… 115 00:10:04,797 --> 00:10:09,468 お稲荷様が拙者のために 遣わしてくれたものか? 116 00:10:09,468 --> 00:10:14,139 どうぞ 何でもご相談ください 117 00:10:14,139 --> 00:10:18,477 <江戸の世には存在しない タブレット端末> 118 00:10:18,477 --> 00:10:21,146 <この人知を超えた目の前の物を 119 00:10:21,146 --> 00:10:25,818 神の遣いと思い込む四十郎> 120 00:10:25,818 --> 00:10:29,818 拙者 兼梨四十郎と申す 121 00:10:32,157 --> 00:10:37,830 刀を抜くなど無礼をいたした 許してくださるか 122 00:10:37,830 --> 00:10:39,832 お気になさらず 123 00:10:39,832 --> 00:10:44,169 ご用のときは 「ヘイ カージー」とお呼びください 124 00:10:44,169 --> 00:10:46,171 おお 125 00:10:46,171 --> 00:10:50,509 どうぞ 何でもご相談ください 126 00:10:50,509 --> 00:10:55,848 妻を 少しでも 楽にさせてやりたいと 127 00:10:55,848 --> 00:10:57,850 願っております 128 00:10:57,850 --> 00:11:00,853 例えば? 例えば? 129 00:11:00,853 --> 00:11:06,525 例えば… ああ 飯炊きにございます 130 00:11:06,525 --> 00:11:12,531 静江は毎朝 大変な思いをして 飯を炊いているのです 131 00:11:12,531 --> 00:11:16,869 <飯炊きで そこまで深刻に 悩むこともないだろうと思った 132 00:11:16,869 --> 00:11:18,871 そこのあなたのために 133 00:11:18,871 --> 00:11:23,876 この時代の飯炊きが いかに大変だったかを解説しよう> 134 00:11:23,876 --> 00:11:30,549 <この時代 江戸では 朝 飯炊きをするのが一般的であった> 135 00:11:30,549 --> 00:11:32,885 <夜も明けきらぬ薄暗い中 136 00:11:32,885 --> 00:11:37,556 飯を炊くために まずは薪割り> 137 00:11:37,556 --> 00:11:39,892 <米をとぐにも 炊くにも 138 00:11:39,892 --> 00:11:41,894 共同井戸から水を汲み上げ 139 00:11:41,894 --> 00:11:44,194 運んでこなければ ならない> 140 00:11:46,164 --> 00:11:48,166 <次は火起こし> 141 00:11:48,166 --> 00:11:52,504 <もちろん この時代に ライターなどなく火打ち石を使う> 142 00:11:52,504 --> 00:11:57,509 <更に 火が付いても 放っておくことはできない> 143 00:11:57,509 --> 00:12:00,846 <おいしく炊くには 耳を頼りに 144 00:12:00,846 --> 00:12:03,181 火加減を調節せねばならず 145 00:12:03,181 --> 00:12:09,521 飯を炊く者は 一瞬たりとも かまどを離れられない> 146 00:12:09,521 --> 00:12:12,858 <これは 江戸の主婦の一例ではあるが 147 00:12:12,858 --> 00:12:14,860 飯を炊くだけのために 148 00:12:14,860 --> 00:12:19,860 なんと 年間 およそ 700時間もの 時間を割いていたのだ> 149 00:12:21,867 --> 00:12:24,870 なるほど ミスター四十郎の家は 150 00:12:24,870 --> 00:12:28,540 伝統的なかまどを ご使用なんですね 151 00:12:28,540 --> 00:12:30,542 いかにも 152 00:12:30,542 --> 00:12:35,213 それでは こちらの家電はいかがでしょう 153 00:12:35,213 --> 00:12:37,883 かでん? 154 00:12:37,883 --> 00:12:42,483 こちらは ふっくら おいしい御飯が炊ける家電… 155 00:12:44,890 --> 00:12:47,826 これで 飯炊きが? 156 00:12:47,826 --> 00:12:51,163 炊きむらを抑えることで 弾力を保ちながら 157 00:12:51,163 --> 00:12:54,166 ふっくら おいしい御飯が 炊き上がります 158 00:12:54,166 --> 00:12:57,836 なんと! この小さな箱で 159 00:12:57,836 --> 00:13:01,840 このような うまそうな飯が 炊けてしまうのか? 160 00:13:01,840 --> 00:13:06,511 しかも こちらは かまどで炊く御飯を研究して 161 00:13:06,511 --> 00:13:09,514 激しく複雑な対流を再現し 162 00:13:09,514 --> 00:13:15,854 高温の熱を 米 一粒一粒に伝える その名も… 163 00:13:15,854 --> 00:13:21,193 おお… 炎が舞うと書いて 炎舞炊きか 164 00:13:21,193 --> 00:13:23,528 いや待て 待て待て! あの… 165 00:13:23,528 --> 00:13:26,865 火は… 火は どうしておるのだ? 166 00:13:26,865 --> 00:13:28,867 火は使っていません 167 00:13:28,867 --> 00:13:31,870 火を… 使わないだと? 168 00:13:31,870 --> 00:13:36,208 こちらの家電は 電気を使って炊飯しています 169 00:13:36,208 --> 00:13:38,877 うん? で… でんき? 170 00:13:38,877 --> 00:13:42,881 電気もご存じない? まみえたことはない 171 00:13:42,881 --> 00:13:44,883 そもそも 電気とは 172 00:13:44,883 --> 00:13:48,820 電荷の移動や 相互作用によって発生する 173 00:13:48,820 --> 00:13:52,120 さまざまな物理現象の総称です 174 00:13:54,159 --> 00:13:58,830 これには 雷 静電気といった現象の他… 175 00:13:58,830 --> 00:14:04,836 《雷… なるほど 電気とは雷のことか》 176 00:14:04,836 --> 00:14:06,838 《どういう理屈か分からんが 177 00:14:06,838 --> 00:14:10,175 雷を使い 米炊きをしているというのだな》 178 00:14:10,175 --> 00:14:12,175 《とすれば…》 179 00:14:15,847 --> 00:14:17,849 《あ… あの小さい箱の中で 180 00:14:17,849 --> 00:14:20,849 そのような とんでもないことが!》 181 00:14:22,854 --> 00:14:26,191 《にわかに信じられぬが…》 182 00:14:26,191 --> 00:14:28,191 ご理解いただけましたか? 183 00:14:30,195 --> 00:14:32,197 合点承知だ 184 00:14:32,197 --> 00:14:38,870 その 炊飯器なるものがあれば さぞ静江が楽になる 185 00:14:38,870 --> 00:14:42,874 ご注文でよろしいですか? よろしいでござる 186 00:14:42,874 --> 00:14:46,478 かしこまりました お急ぎでしょうか? 187 00:14:46,478 --> 00:14:49,815 ああ できれば 早い方が助かりまするが 188 00:14:49,815 --> 00:14:52,818 表をご覧ください 189 00:14:52,818 --> 00:14:54,820 早っ! 190 00:14:54,820 --> 00:14:57,120 最速便でお届けしました 191 00:15:03,161 --> 00:15:05,761 明日が楽しみだな 192 00:15:13,171 --> 00:15:16,842 静江 待つのだ 193 00:15:16,842 --> 00:15:18,844 はい 194 00:15:18,844 --> 00:15:23,849 今日からは かまどで飯炊きをする必要はない 195 00:15:23,849 --> 00:15:25,849 どういうことですか? 196 00:15:28,854 --> 00:15:31,189 四十郎様… これは? 197 00:15:31,189 --> 00:15:35,861 電気炊飯器 飯を炊く道具である 198 00:15:35,861 --> 00:15:39,865 ああ… この小さい箱で? 199 00:15:39,865 --> 00:15:42,534 どのようにして? 火はどうするのです? 200 00:15:42,534 --> 00:15:45,804 まあまあ 落ち着け 静江 201 00:15:45,804 --> 00:15:51,104 今から披露してみせるゆえ 太郎も起こしてきなさい 202 00:15:53,812 --> 00:15:56,815 いいか 見ておれ 203 00:15:56,815 --> 00:16:02,154 この内釜に といだ米と水を張り 204 00:16:02,154 --> 00:16:06,158 この炊飯器なるものに入れる 205 00:16:06,158 --> 00:16:08,160 蓋をして 206 00:16:08,160 --> 00:16:12,497 この 炊飯ボタンなるものを押す 207 00:16:12,497 --> 00:16:14,833 飯炊きは これで終わりじゃ 208 00:16:14,833 --> 00:16:17,836 終わり? これだけですか? 209 00:16:17,836 --> 00:16:20,836 後は 半刻ばかり 寝て待っておればよい 210 00:16:25,844 --> 00:16:29,844 よ~く見ておれ 驚くなよ 211 00:16:31,850 --> 00:16:33,850 フッ 212 00:16:41,526 --> 00:16:43,862 四十郎様? 213 00:16:43,862 --> 00:16:47,132 開けるのが 早かったのかもしれぬな 214 00:16:47,132 --> 00:16:49,132 (蓋の閉まる音) 215 00:16:52,804 --> 00:16:54,804 ハハハ… 216 00:17:00,478 --> 00:17:02,778 よし! もういいだろう 217 00:17:05,150 --> 00:17:07,150 (蓋の開く音) 218 00:17:10,155 --> 00:17:14,492 なぜだ? なぜ 炊けぬのだ! 219 00:17:14,492 --> 00:17:17,495 父上 太郎は おなかが減りました 220 00:17:17,495 --> 00:17:20,832 いつになったら 御飯が食べられるのですか? 221 00:17:20,832 --> 00:17:24,502 四十郎様 かまどで 炊いてもよろしいでしょうか? 222 00:17:24,502 --> 00:17:27,802 しばし… しばし そのまま待っておれ! 223 00:17:38,183 --> 00:17:40,852 ヘイ カージー殿 224 00:17:40,852 --> 00:17:44,189 お呼びでしょうか? (荒い息遣い) 225 00:17:44,189 --> 00:17:47,459 ミスター四十郎 どうしましたか? 226 00:17:47,459 --> 00:17:52,130 ハァ… ああ 届けてくださった この炊飯器 227 00:17:52,130 --> 00:17:56,134 いくら待っても 米が炊けぬのです 228 00:17:56,134 --> 00:17:58,136 一つ 確認ですが 229 00:17:58,136 --> 00:18:01,473 電源プラグは コンセントに差しましたか? 230 00:18:01,473 --> 00:18:05,143 えっ? こ… こん… こんせんと? 231 00:18:05,143 --> 00:18:07,812 このように 壁に取り付けられている 232 00:18:07,812 --> 00:18:10,815 差し込み口です 233 00:18:10,815 --> 00:18:15,153 何だ? この豚っ鼻のごとき穴は 234 00:18:15,153 --> 00:18:17,822 江戸の長屋に そのような物はござらん 235 00:18:17,822 --> 00:18:22,827 それでは 直ちに 代わりになる物をご用意します 236 00:18:22,827 --> 00:18:24,827 うお~! 237 00:20:29,788 --> 00:20:31,788 (車輪の音) 238 00:20:33,792 --> 00:20:36,792 まだでござるか? こぎ続けてください 239 00:20:39,464 --> 00:20:44,135 炊飯器を使用するには まだ不十分です 240 00:20:44,135 --> 00:20:46,137 カージー殿 241 00:20:46,137 --> 00:20:50,141 拙者の静江への思いを 試されておるのですな? 242 00:20:50,141 --> 00:20:53,144 聞き取れませんでした 243 00:20:53,144 --> 00:20:58,444 分かり申した この試練も静江のため! 244 00:21:01,152 --> 00:21:04,752 うおお~! 245 00:21:09,828 --> 00:21:12,163 ハァ… よし 246 00:21:12,163 --> 00:21:16,501 四十郎様 どうされたのですか? 247 00:21:16,501 --> 00:21:21,506 何でもない 今度こそ 飯を炊くぞ 248 00:21:21,506 --> 00:21:38,790 (荒い息遣い) 249 00:21:38,790 --> 00:21:40,792 (差し込む音) 250 00:21:40,792 --> 00:21:44,129 (太郎)あっ 光った! 251 00:21:44,129 --> 00:21:47,465 よし これで もう大丈夫だ 252 00:21:47,465 --> 00:21:51,803 ああ… 静江 ここを押してみなさい 253 00:21:51,803 --> 00:21:55,807 いえ 四十郎様が押してください 静江が 254 00:21:55,807 --> 00:21:58,143 四十郎様が 静江… 255 00:21:58,143 --> 00:22:03,815 (炊飯ボタンのメロディー音) 256 00:22:03,815 --> 00:22:05,815 うん… うん… 257 00:22:12,157 --> 00:22:14,157 いざ! 258 00:22:17,162 --> 00:22:19,831 わあ! あっ ハハッ 259 00:22:19,831 --> 00:22:35,513 ・~ 260 00:22:35,513 --> 00:22:39,851 炊けた! ついに炊けたぞ~っ! ハハハッ 261 00:22:39,851 --> 00:22:42,151 わあ! やった~! 262 00:22:44,189 --> 00:22:49,861 艶っ艶だ はい 輝いております 263 00:22:49,861 --> 00:22:52,864 もう食べていい? 父上からですよ 264 00:22:52,864 --> 00:22:54,866 いや 皆で一緒に 265 00:22:54,866 --> 00:23:06,544 ・~ 266 00:23:06,544 --> 00:23:11,216 しみる… うまさが しみる 267 00:23:11,216 --> 00:23:13,551 もちもちです! 268 00:23:13,551 --> 00:23:17,851 こんなにおいしい御飯だったら おかずなど要りません! 269 00:23:21,559 --> 00:23:24,562 本っ当においしい 270 00:23:24,562 --> 00:23:28,833 こんなにおいしい御飯が こんなに簡単に炊けるなんて… 271 00:23:28,833 --> 00:23:33,838 静江 これからは この炊飯器を使いなさい 272 00:23:33,838 --> 00:23:35,840 四十郎様 273 00:23:35,840 --> 00:23:39,177 ちなみに この炊飯器なるもの 保温ができる 274 00:23:39,177 --> 00:23:41,179 保温? 275 00:23:41,179 --> 00:23:45,850 朝 炊いた米が 夕刻まで 熱々のまま食べられるのだ 276 00:23:45,850 --> 00:23:49,854 えっ! 熱々のまま? 277 00:23:49,854 --> 00:23:53,858 太郎 もう冷や飯を食わずに済むぞ 278 00:23:53,858 --> 00:23:56,158 やった~! 279 00:23:59,864 --> 00:24:05,870 四十郎様 この炊飯器なる道具 280 00:24:05,870 --> 00:24:09,540 私のために お持ちくださったんですよね? 281 00:24:09,540 --> 00:24:15,880 もちろん あっ いや… たまたま 手に入って 282 00:24:15,880 --> 00:24:21,180 四十郎様 静江は 幸せ者でございます 283 00:24:30,495 --> 00:24:32,830 《願わくば 少しでも 284 00:24:32,830 --> 00:24:36,834 静江の暮らしを 楽にさせてあげられますように》 285 00:24:36,834 --> 00:24:46,844 ・~ 286 00:24:46,844 --> 00:24:48,846 ハハハッ 287 00:24:48,846 --> 00:25:05,530 ・~ 288 00:25:05,530 --> 00:25:09,200 (すすり泣き) 289 00:25:09,200 --> 00:25:11,536 ミスター四十郎 290 00:25:11,536 --> 00:25:15,206 炊飯器に また何か問題が? (すすり泣き) 291 00:25:15,206 --> 00:25:17,875 ああ いや… 292 00:25:17,875 --> 00:25:23,214 カージー殿のおかげで うまい飯が炊けました 293 00:25:23,214 --> 00:25:27,819 それはよかったです では なぜ? 294 00:25:27,819 --> 00:25:32,156 あっ これは うれし涙です 295 00:25:32,156 --> 00:25:46,170 ・~ 296 00:25:46,170 --> 00:25:51,509 武士たるもの 妻の前で涙は見せられません 297 00:25:51,509 --> 00:25:56,109 ですから… ここで泣かせてください 298 00:26:02,186 --> 00:26:10,862 (すすり泣き) 299 00:26:10,862 --> 00:26:20,872 ・~ 300 00:26:20,872 --> 00:26:25,810 では 出かけてくる 四十郎様 これをお持ちください 301 00:26:25,810 --> 00:26:28,146 弁当の用意などよいのに 302 00:26:28,146 --> 00:26:33,446 いえ 炊飯器のおかげで ゆとりができましたから 303 00:26:40,825 --> 00:26:46,831 静江 今日こそ 拙者は 仕官先を見つけてまいる 304 00:26:46,831 --> 00:26:50,131 はい いってらっしゃいませ 305 00:27:01,179 --> 00:27:05,183 カージー殿を遣わしていただき 感謝いたします 306 00:27:05,183 --> 00:27:10,521 おかげで 静江の笑顔が増えました 307 00:27:10,521 --> 00:27:15,821 <これにて 一件落着… と思いきや> 308 00:27:24,535 --> 00:27:28,473 (平賀) 奥様 それは何という道具で? 309 00:27:28,473 --> 00:27:32,143 あら どちら様でしょう? 310 00:27:32,143 --> 00:27:34,145 申し遅れました 311 00:27:34,145 --> 00:27:38,145 私 隣に越してきた平賀と申します 312 00:27:40,151 --> 00:27:42,820 <この先 兼梨一家は 313 00:27:42,820 --> 00:27:44,820 とんでもない事件に 巻き込まれることに!> 314 00:27:57,835 --> 00:27:59,837 <次回は…> 315 00:27:59,837 --> 00:28:02,173 《静江は 昼寝などしていなかった!》 316 00:28:02,173 --> 00:28:05,843 《これまで ちり一つないのが 当たり前だと思っていたが 317 00:28:05,843 --> 00:28:07,845 拙者のいぬ間に 318 00:28:07,845 --> 00:28:10,515 あのような苦労を かけていたのだな…》 319 00:28:10,515 --> 00:28:13,851 はっ! 何をなさるんですか 四十郎様! 320 00:28:13,851 --> 00:28:16,854 そんなことしたら 掃除が大変です 321 00:28:16,854 --> 00:28:18,856 落ち着け 静江 322 00:28:18,856 --> 00:28:22,193 掃除は こやつがしてくれる (起動音) 323 00:28:22,193 --> 00:28:25,196 あっ 灰が… 灰が消えていきます! 324 00:28:25,196 --> 00:28:27,496 吸い込んでるんだ 誰が? 325 00:28:30,134 --> 00:28:33,804 えっ たこ入道! 落ち着け 静江 326 00:28:33,804 --> 00:28:36,474 カメキチ 早く来い 327 00:28:36,474 --> 00:28:40,144 太郎殿 それは? 328 00:28:40,144 --> 00:28:55,493 ・~ 329 00:28:55,493 --> 00:28:59,163 四十郎様? 静江… 330 00:28:59,163 --> 00:29:03,763 ・~