1 00:00:11,361 --> 00:00:15,961 <現代人で その恩恵を 受けていない者はいないはずだ> 2 00:00:18,368 --> 00:00:20,368 <これらの…> 3 00:00:25,041 --> 00:00:29,713 <これは とある貧しい侍が 現代の家電と出会い 4 00:00:29,713 --> 00:00:35,385 家族を幸せにしようと奮闘する 愛の物語である> 5 00:00:35,385 --> 00:00:37,387 (四十郎)おお… 6 00:00:37,387 --> 00:00:39,389 ツルツルで気持ちが良いの 7 00:00:39,389 --> 00:00:41,725 (静江)男前ですね ハハッ 8 00:00:41,725 --> 00:00:44,060 誠に 便利な道具である 9 00:00:44,060 --> 00:00:46,396 静江も 何か欲しいものがあったら 言いなさい 10 00:00:46,396 --> 00:00:49,399 いえ もう十分でございます 11 00:00:49,399 --> 00:00:51,399 ハハハッ (太郎)出来ました! 12 00:00:53,403 --> 00:00:56,406 あっ おお 静江か 13 00:00:56,406 --> 00:00:58,408 よく描けておる そっくりじゃ 14 00:00:58,408 --> 00:01:02,008 フハハ… よし 15 00:01:04,080 --> 00:01:06,080 ここに 張っておこう 16 00:01:10,020 --> 00:01:13,023 父は こんなにいい男か? 17 00:01:13,023 --> 00:01:16,693 (太郎)はい お顔がツルツルで かっこいいです! 18 00:01:16,693 --> 00:01:21,031 フッ お前! フフッ 太郎ちゃん! 19 00:01:21,031 --> 00:01:23,033 フハハッ かわいい! 20 00:01:23,033 --> 00:01:27,704 <このとき 四十郎は まだ知る由もなかった> 21 00:01:27,704 --> 00:01:33,043 <このツルツルが 一家を大騒動に巻き込むことを…> 22 00:01:33,043 --> 00:01:53,063 ♬~ 23 00:01:53,063 --> 00:01:56,063 ♬~ 24 00:02:09,012 --> 00:02:14,017 カージー殿 シェーバーは誠に便利であるな 25 00:02:14,017 --> 00:02:16,353 (カージー) おすすめして よかったです 26 00:02:16,353 --> 00:02:19,689 他に 必要な家電はございませんか? 27 00:02:19,689 --> 00:02:23,026 ああ いやいや 家電はもう十分 28 00:02:23,026 --> 00:02:26,029 カージー殿には 感謝しております 29 00:02:26,029 --> 00:02:30,367 では ミセス静江はどうでしょうか? 30 00:02:30,367 --> 00:02:32,369 静江も ゆとりができたようで 31 00:02:32,369 --> 00:02:36,373 朝から 好きな刺しゅうを楽しんでおる 32 00:02:36,373 --> 00:02:40,043 ちょうど 今朝 何か欲しいものは ないかと聞いたのだが 33 00:02:40,043 --> 00:02:42,045 特にないと言っておった 34 00:02:42,045 --> 00:02:47,050 ミセス静江は奥ゆかしいので 口にしないだけでは? 35 00:02:47,050 --> 00:02:50,720 うむ… そういえば 36 00:02:50,720 --> 00:02:55,392 静江が何かを欲しがったことは ないかもしれんな… 37 00:02:55,392 --> 00:02:57,394 10年前の今時分に 38 00:02:57,394 --> 00:02:59,396 櫛を贈ったきりである 39 00:02:59,396 --> 00:03:03,400 あの 髪をとく 櫛ですか? 40 00:03:03,400 --> 00:03:07,337 そうだ 一世一代の大奮発 41 00:03:07,337 --> 00:03:10,340 べっ甲の櫛だ 42 00:03:10,340 --> 00:03:13,009 それは もしかすると… 43 00:03:13,009 --> 00:03:17,013 ああ 求婚したときだ 44 00:03:17,013 --> 00:03:19,013 プロポーズですね 45 00:03:21,351 --> 00:03:25,355 <江戸時代 男性が女性にプロポーズするとき 46 00:03:25,355 --> 00:03:28,692 櫛を贈る習慣があった> 47 00:03:28,692 --> 00:03:30,692 <中でも…> 48 00:03:34,030 --> 00:03:37,033 雪の降る日でな 49 00:03:37,033 --> 00:03:41,033 静江は 頬を真っ赤にして… 50 00:03:44,040 --> 00:03:48,712 ハハッ 本当に美しかった~ 51 00:03:48,712 --> 00:03:52,048 私も 見てみたかったです 52 00:03:52,048 --> 00:03:54,348 あれから もう10年… 53 00:03:56,386 --> 00:04:01,391 しかし… あの櫛を使っておるのを 見かけたことがない 54 00:04:01,391 --> 00:04:04,060 気に入っておらんかったのかの… 55 00:04:04,060 --> 00:04:06,663 どうでしょう 56 00:04:06,663 --> 00:04:09,666 そうだ 57 00:04:09,666 --> 00:04:14,003 結婚10年の記念に 改めて 贈り物をしてみるか 58 00:04:14,003 --> 00:04:16,005 それは いいアイデアです 59 00:04:16,005 --> 00:04:19,008 とはいえ… 何を贈ればいいのか見当もつかん 60 00:04:19,008 --> 00:04:24,013 ミスター四十郎は 女心に疎いですからね 61 00:04:24,013 --> 00:04:27,613 えっ そうなのか? 無自覚でしたか 62 00:04:30,019 --> 00:04:32,619 では こうしたらいかがでしょう 63 00:04:38,695 --> 00:04:42,295 お留守番 頼みましたよ はい いってらっしゃい 64 00:04:54,043 --> 00:04:57,046 《ミセス静江を観察するんです》 65 00:04:57,046 --> 00:05:00,646 《彼女の欲しいものが きっと分かるはずですよ》 66 00:05:05,722 --> 00:05:07,991 (お春)静江さんが仕立てを? 67 00:05:07,991 --> 00:05:11,995 (お菊)見せてやりなよ フフフ… はい 68 00:05:11,995 --> 00:05:14,330 (お菊)ほら! ハハハッ (お春)わあ! すてき! 69 00:05:14,330 --> 00:05:16,666 (お菊)いい腕してんだろう? 70 00:05:16,666 --> 00:05:19,002 お菊さんには もう 内職仕事を回してもらって 71 00:05:19,002 --> 00:05:22,005 ホントに助かっております (お菊)フフッ 72 00:05:22,005 --> 00:05:25,675 《あれは 内職だったのか…》 73 00:05:25,675 --> 00:05:29,012 《拙者の稼ぎが悪いばかりに》 74 00:05:29,012 --> 00:05:31,681 (お菊)しわしわ? はい 75 00:05:31,681 --> 00:05:34,684 しわしわでした 76 00:05:34,684 --> 00:05:38,354 太郎には 私の顔が そう見えてるみたいで… 77 00:05:38,354 --> 00:05:41,357 でも 子供だから 悪気はないんでしょうけど 78 00:05:41,357 --> 00:05:45,028 しわしわ母ちゃんか アハハ… 79 00:05:45,028 --> 00:05:47,363 フフッ 80 00:05:47,363 --> 00:05:50,033 《いかん! いかん いかん いかん!》 81 00:05:50,033 --> 00:05:52,368 《おお 静江か》 82 00:05:52,368 --> 00:05:54,704 《よく描けておる そっくりじゃ》 83 00:05:54,704 --> 00:05:59,042 《ハハハ… よし》 84 00:05:59,042 --> 00:06:03,046 《拙者は あのとき… 褒めてしまった!》 85 00:06:03,046 --> 00:06:05,048 (お春)静江さん 86 00:06:05,048 --> 00:06:07,984 少し お手入れをしてみたら? お手入れ? 87 00:06:07,984 --> 00:06:10,320 (お菊)何もしてないのかい? 88 00:06:10,320 --> 00:06:12,989 いい年なんだからさ 89 00:06:12,989 --> 00:06:15,992 化粧くすりくらい ケチっちゃ駄目だよ 90 00:06:15,992 --> 00:06:19,329 内職してんだから買っちゃいなよ 91 00:06:19,329 --> 00:06:24,000 いえ… 他に 買わなくてはならないものが 92 00:06:24,000 --> 00:06:28,000 (お菊)あんたは ホントに 家族のことばっかりだね 93 00:06:43,686 --> 00:06:46,022 何でもあるんだな 94 00:06:46,022 --> 00:06:48,022 「傘や」なのに 95 00:06:50,026 --> 00:06:52,362 フッ まあ 奥様に化粧くすりを? 96 00:06:52,362 --> 00:06:56,032 あんた 最初に来たころとは 随分 変わったね 97 00:06:56,032 --> 00:06:59,035 そうか? アハハ… ハハハ… 98 00:06:59,035 --> 00:07:03,039 そうだ! だったら うぐいすの糞はどうだい? 99 00:07:03,039 --> 00:07:05,375 うぐいすの糞? (女将)ああ 100 00:07:05,375 --> 00:07:07,375 これこれ 101 00:07:09,312 --> 00:07:11,314 <これは…> 102 00:07:11,314 --> 00:07:15,985 <そんな物で お肌の悩みが 解決するはずないだろう… 103 00:07:15,985 --> 00:07:20,323 と思った そこのあなたのために 解説しよう> 104 00:07:20,323 --> 00:07:23,993 <女性が 美しくなりたいと願う気持ちは 105 00:07:23,993 --> 00:07:26,329 いつの時代も同じ> 106 00:07:26,329 --> 00:07:28,329 <しかし…> 107 00:07:35,338 --> 00:07:39,676 <当時 色白であることが 美人の代名詞とされ 108 00:07:39,676 --> 00:07:45,014 女性たちは こぞって おしろいを化粧品として使用> 109 00:07:45,014 --> 00:07:47,016 <今では信じ難いが 110 00:07:47,016 --> 00:07:51,020 当時 高価な美白アイテムとして 大人気だったのは 111 00:07:51,020 --> 00:07:57,026 なんと 乾燥させ粉末にした うぐいすの糞> 112 00:07:57,026 --> 00:08:01,030 <きめの細かい 美しい肌をつくると評判で 113 00:08:01,030 --> 00:08:03,032 当時の女性にとっては 114 00:08:03,032 --> 00:08:06,970 憧れのコスメだったのである> 115 00:08:06,970 --> 00:08:10,306 ああ いや しかし… 妻は しわに悩んでおるんだ 116 00:08:10,306 --> 00:08:13,309 美容の基本は美白から! 117 00:08:13,309 --> 00:08:15,645 色白は百難隠すって言うだろ! 118 00:08:15,645 --> 00:08:17,647 あっ ああ… なるほど そういうことか 119 00:08:17,647 --> 00:08:19,649 うん ハハハッ ならば これをくれ 120 00:08:19,649 --> 00:08:21,985 いくらだ? 2両 121 00:08:21,985 --> 00:08:25,321 えっ? に… 2両? 122 00:08:25,321 --> 00:08:27,323 うん? 2両? (女将)ああ はい 123 00:08:27,323 --> 00:08:31,995 えっ… いや… 2両? 124 00:08:31,995 --> 00:08:37,000 糞? 2両? そう 125 00:08:37,000 --> 00:08:39,000 やめとくか? いや… ちょっ あっ… 126 00:08:41,671 --> 00:08:43,671 2両? 127 00:08:47,010 --> 00:08:51,681 (うぐいすの鳴き声) 128 00:08:51,681 --> 00:08:54,017 (羽音) 129 00:08:54,017 --> 00:08:56,019 四十郎殿 しっ! 130 00:08:56,019 --> 00:08:58,021 (うぐいすの鳴き声) 131 00:08:58,021 --> 00:09:00,023 こんな所で何を? 132 00:09:00,023 --> 00:09:02,025 うぐいすを捕らえようと思ってな (平賀)うぐいす? 133 00:09:02,025 --> 00:09:04,027 ああ (うぐいすの鳴き声) 134 00:09:04,027 --> 00:09:05,962 (平賀)どうして また うぐいすなんかを? 135 00:09:05,962 --> 00:09:08,297 糞が欲しいのだ (平賀)糞? 136 00:09:08,297 --> 00:09:10,299 (うぐいすの鳴き声) 137 00:09:10,299 --> 00:09:13,302 あっ! あの 顔を洗う あれ… 138 00:09:13,302 --> 00:09:16,305 ああ… さすが 平賀殿 知っておったか 139 00:09:16,305 --> 00:09:18,975 はやってますからね (羽音) 140 00:09:18,975 --> 00:09:20,977 いた! いた! えっ! 141 00:09:20,977 --> 00:09:22,979 (鳥の鳴き声) (平賀)あっ! 142 00:09:22,979 --> 00:09:24,981 あれ すずめじゃないですか? えっ? いや うぐいすだ! 143 00:09:24,981 --> 00:09:26,983 平賀殿 手伝ってくれ えっ? えっ いや あれ 144 00:09:26,983 --> 00:09:28,985 どう見ても すずめ… いや… 145 00:09:28,985 --> 00:09:30,987 えっ ちょっと… えっ! 登れっていうんですか? 146 00:09:30,987 --> 00:09:32,987 登れ 登れ… 無理ですよ 147 00:09:38,327 --> 00:09:40,329 静江さん いるかい? 148 00:09:40,329 --> 00:09:42,331 ≪は~い 149 00:09:42,331 --> 00:09:44,331 あっ 150 00:09:46,335 --> 00:09:49,005 これ使いな え… えっ? 151 00:09:49,005 --> 00:09:51,340 (お菊) 化粧くすりだよ 化粧くすり 152 00:09:51,340 --> 00:09:53,342 ああ… (お菊)ちょっと安く手に入ってさ 153 00:09:53,342 --> 00:09:55,344 お裾分け い… いいんですか? 154 00:09:55,344 --> 00:09:57,680 試してみな えっ? 155 00:09:57,680 --> 00:09:59,680 ありがとうございます 156 00:10:06,355 --> 00:10:08,357 (お菊)あっ あら 旦那 157 00:10:08,357 --> 00:10:10,359 今 帰りかい? お菊さん 158 00:10:10,359 --> 00:10:13,029 それにしても あんた いい女房 もらったね 159 00:10:13,029 --> 00:10:15,698 えっ? ああ… どうも フフッ 160 00:10:15,698 --> 00:10:19,035 ハハッ あんまり 苦労かけんじゃないよ 161 00:10:19,035 --> 00:10:21,035 フフフ… 162 00:10:23,039 --> 00:10:27,710 そんなことは 言われなくても分かっておる 163 00:10:27,710 --> 00:10:29,710 ハァー 164 00:10:36,052 --> 00:10:38,052 (障子戸の閉まる音) 165 00:10:49,398 --> 00:10:51,398 《ふがいない…》 166 00:10:55,404 --> 00:10:59,075 静江 まだ終わらんのか? 167 00:10:59,075 --> 00:11:01,077 もう少しだけ 168 00:11:01,077 --> 00:11:03,677 四十郎様は 先にお休みください 169 00:11:05,748 --> 00:11:07,748 うん… 170 00:11:21,697 --> 00:11:24,367 ああ… 171 00:11:24,367 --> 00:11:27,036 まだ やっておるのか 172 00:11:27,036 --> 00:11:32,041 ≪(うめき声) うん? な… 何だ? 173 00:11:32,041 --> 00:11:35,044 ≪ああ… ハァ ハァ 何だ? 何だ? 174 00:11:35,044 --> 00:11:37,713 何だ! 175 00:11:37,713 --> 00:11:40,049 ああ… 静江? うん? 176 00:11:40,049 --> 00:11:42,385 うう… うう~ 静江! 177 00:11:42,385 --> 00:11:46,985 おわ~っ! 178 00:12:51,020 --> 00:12:53,022 何だ! 179 00:12:53,022 --> 00:12:55,024 ああ… 静江? うん? 180 00:12:55,024 --> 00:12:57,360 うう… うう~ 静江! 181 00:12:57,360 --> 00:13:02,031 おわ~っ! 182 00:13:02,031 --> 00:13:04,367 ああ~… 183 00:13:04,367 --> 00:13:07,036 かゆい… かゆい! 184 00:13:07,036 --> 00:13:09,038 か… かゆい? 185 00:13:09,038 --> 00:13:11,040 か… かゆい! かゆい? 186 00:13:11,040 --> 00:13:13,042 か… かゆいです か… かゆい? 187 00:13:13,042 --> 00:13:15,044 ちょ… ちょっ… ちょっと ちょっと待っていなさい 188 00:13:15,044 --> 00:13:18,047 あっ ああ… かゆい かゆい… うう~… 189 00:13:18,047 --> 00:13:20,049 (水音) 190 00:13:20,049 --> 00:13:22,051 もう 一体 どうしたっていうんだ? 191 00:13:22,051 --> 00:13:25,051 あっ ああ… かゆい かゆい これ… これを 192 00:13:28,057 --> 00:13:31,060 ハァ… ハァー 193 00:13:31,060 --> 00:13:33,729 大丈夫か? 194 00:13:33,729 --> 00:13:37,066 すみません こんなことに… 195 00:13:37,066 --> 00:13:39,735 何をしていたのだ? 196 00:13:39,735 --> 00:13:44,073 お菊さんから頂いた 化粧くすりを試していたんですが 197 00:13:44,073 --> 00:13:47,373 私には… 合わなかったようです 198 00:13:50,680 --> 00:13:55,351 <静江が顔に塗りたくっていたのは 代用品> 199 00:13:55,351 --> 00:14:00,651 <高価なうぐいすの糞を買えない 庶民に出回った粗悪品であった> 200 00:14:07,363 --> 00:14:09,365 ハァー 201 00:14:09,365 --> 00:14:20,042 ♬~ 202 00:14:20,042 --> 00:14:24,714 どうしました? ミスター四十郎 203 00:14:24,714 --> 00:14:27,049 ああ いや… 204 00:14:27,049 --> 00:14:30,386 拙者が浪人でなければ 205 00:14:30,386 --> 00:14:32,388 うぐいすの糞くらい 206 00:14:32,388 --> 00:14:37,059 買ってやれたのにと思ってな… 207 00:14:37,059 --> 00:14:41,359 それは ミセス静江も ご理解されているはずでは? 208 00:14:44,400 --> 00:14:47,670 静江は 拙者と結婚して 209 00:14:47,670 --> 00:14:50,970 本当に幸せだったのだろうか… 210 00:14:53,676 --> 00:14:57,013 妻の悩みにも気付かない 211 00:14:57,013 --> 00:14:59,313 こんな男と… 212 00:15:01,350 --> 00:15:03,686 ミスター四十郎 213 00:15:03,686 --> 00:15:05,688 うん? 214 00:15:05,688 --> 00:15:11,360 こんなときは 家電アドバイザーの カージーにお任せください 215 00:15:11,360 --> 00:15:14,363 こちらはどうでしょう? 216 00:15:14,363 --> 00:15:17,366 何やら 不思議な形をしておる 217 00:15:17,366 --> 00:15:21,037 これはね フェイススチーマーっていうの 218 00:15:21,037 --> 00:15:24,040 超おすすめよ! 219 00:15:24,040 --> 00:15:26,042 カージー殿 急にどうした? 220 00:15:26,042 --> 00:15:28,377 何か乗り移ったか? 221 00:15:28,377 --> 00:15:31,714 …で ご案内しています 222 00:15:31,714 --> 00:15:35,051 ほら~ いいから 見て見て! 223 00:15:35,051 --> 00:15:37,386 あっ 煙! 煙! 燃えちゃう! 224 00:15:37,386 --> 00:15:39,722 危ない 危ない! 225 00:15:39,722 --> 00:15:43,059 ノン ノン ノン! これはね 水蒸気 226 00:15:43,059 --> 00:15:45,061 顔に当てるだけで 227 00:15:45,061 --> 00:15:46,996 お肌が潤いで満たされるのよ! 228 00:15:46,996 --> 00:15:50,666 ほら もっちもち! 229 00:15:50,666 --> 00:15:53,002 《肌が もちもちの潤いに 230 00:15:53,002 --> 00:15:56,338 満たされるほどの蒸気だと?》 231 00:15:56,338 --> 00:15:58,338 《とすれば まさか…》 232 00:16:02,011 --> 00:16:06,682 《こ… こ… 今度は ろくろ首か》 233 00:16:06,682 --> 00:16:09,018 《蛸入道から 小豆洗い…》 234 00:16:09,018 --> 00:16:11,020 《次から次へと… 235 00:16:11,020 --> 00:16:16,025 カージー殿は 一体 何体の妖怪を 飼い慣らしておるのだ?》 236 00:16:16,025 --> 00:16:19,028 これを使えば ハリ感あふれる豊潤肌! 237 00:16:19,028 --> 00:16:22,328 しわの悩みなんて バイバイよ~! 238 00:16:24,366 --> 00:16:26,702 しわも なくなるのか! 239 00:16:26,702 --> 00:16:30,706 カージー殿 是非とも これを静江に! 240 00:16:30,706 --> 00:16:35,306 オッケーイ! じゃあ表を ルックルックしちゃって~! 241 00:16:43,052 --> 00:16:45,652 カージー殿~! 242 00:16:56,665 --> 00:16:59,668 静江 帰ったぞ 243 00:16:59,668 --> 00:17:01,670 おかえりなさいませ 244 00:17:01,670 --> 00:17:05,674 フッ これを えっ? 245 00:17:05,674 --> 00:17:09,011 静江と一緒になり もう10年 246 00:17:09,011 --> 00:17:12,681 これは 拙者からの贈り物である 247 00:17:12,681 --> 00:17:15,351 ああ… 248 00:17:15,351 --> 00:17:26,028 ♬~ 249 00:17:26,028 --> 00:17:28,697 あっ! 大変 煙が 250 00:17:28,697 --> 00:17:31,367 あっ 火事… 火事になります! 251 00:17:31,367 --> 00:17:33,702 静江… 静… 静江! あっ! 252 00:17:33,702 --> 00:17:35,704 落ち着くんだ うん ああ… 253 00:17:35,704 --> 00:17:40,376 これは煙ではない 水蒸気である 254 00:17:40,376 --> 00:17:42,378 顔に当てるんだ 255 00:17:42,378 --> 00:17:44,713 顔に? うん 256 00:17:44,713 --> 00:17:49,313 熱くはないのですか? うん 心配ない さあ 257 00:17:53,656 --> 00:17:55,656 ああ… どうだ? 258 00:17:57,660 --> 00:18:00,996 とっても気持ちが良いです 259 00:18:00,996 --> 00:18:21,016 ♬~ 260 00:18:21,016 --> 00:18:27,022 ♬~ 261 00:18:27,022 --> 00:18:30,322 まあ! しっとり… 262 00:18:34,363 --> 00:18:37,700 そうか では次に 263 00:18:37,700 --> 00:18:40,000 これで 頬をたたくのだ 264 00:18:42,037 --> 00:18:44,707 これは あの… シェーバーに似ておるが? 265 00:18:44,707 --> 00:18:47,007 ノンノン! これは… 266 00:18:48,978 --> 00:18:53,649 ほっぺを 1秒間に 100万回たたくのよ 267 00:18:53,649 --> 00:18:55,985 《100万回もたたくだと!》 268 00:18:55,985 --> 00:18:58,285 《すると その中では…》 269 00:19:00,990 --> 00:19:02,992 (たたく音) 270 00:19:02,992 --> 00:19:06,662 《この震えは なまずをムチで…》 271 00:19:06,662 --> 00:19:09,262 《なんとも残酷な!》 272 00:19:11,667 --> 00:19:14,003 ちょっと 何 拝んでるのよ! 273 00:19:14,003 --> 00:19:18,007 これはね 目元のしわや 口元のほうれい線とか 274 00:19:18,007 --> 00:19:22,007 顔全体を トータルケアできちゃうの! 275 00:19:24,013 --> 00:19:27,613 これで たたくのですか? うん そうだ 276 00:19:34,023 --> 00:19:36,025 おお… あっ あっ ああ… 277 00:19:36,025 --> 00:19:40,029 ハハハ… 静江 な… 何をしてる 何してる? 278 00:19:40,029 --> 00:19:42,698 何してる! 何して… どうした? 279 00:19:42,698 --> 00:19:44,700 ええ… たたく? あれ? 違う… 280 00:19:44,700 --> 00:19:46,635 違… 違う 違う 281 00:19:46,635 --> 00:19:50,973 ここを押して 頬に当てるんだ ああ… 282 00:19:50,973 --> 00:19:52,975 (電子音) そっとな 283 00:19:52,975 --> 00:19:54,975 そっと… うん 284 00:19:57,980 --> 00:20:01,317 特に 何も… 大丈夫だ 285 00:20:01,317 --> 00:20:04,987 中では 女のろくろ首が なまずをしばき倒しており 286 00:20:04,987 --> 00:20:07,990 その震えが伝わっておるのだ 287 00:20:07,990 --> 00:20:11,327 どんな状況か 全く想像がつきませぬが… 288 00:20:11,327 --> 00:20:28,010 ♬~ 289 00:20:28,010 --> 00:20:30,010 どうだ? 290 00:20:32,014 --> 00:20:37,019 おお… 肌にハリが出ておるではないか 291 00:20:37,019 --> 00:20:39,021 出会ったころのままである 292 00:20:39,021 --> 00:20:43,692 まあ ホントですか! フフッ 293 00:20:43,692 --> 00:20:45,692 ハァー 294 00:20:48,364 --> 00:20:51,700 静江が ようやく笑った 295 00:20:51,700 --> 00:20:54,703 えっ? 296 00:20:54,703 --> 00:20:56,703 私のために… 297 00:20:59,375 --> 00:21:01,975 ありがとうございます フッ 298 00:21:07,716 --> 00:21:09,716 (引き出しの閉まる音) 299 00:21:12,388 --> 00:21:15,057 贈り物でございます 300 00:21:15,057 --> 00:21:18,060 私から 四十郎様への 301 00:21:18,060 --> 00:21:20,060 えっ? 302 00:23:28,957 --> 00:23:31,293 贈り物でございます 303 00:23:31,293 --> 00:23:34,296 私から 四十郎様への 304 00:23:34,296 --> 00:23:36,296 えっ? 305 00:23:40,969 --> 00:23:43,639 この香り… 306 00:23:43,639 --> 00:23:46,239 伽羅の油ではないか はい 307 00:23:48,977 --> 00:23:51,980 <髪やひげを整える びんつけ油で 308 00:23:51,980 --> 00:23:54,316 当時の高級品> 309 00:23:54,316 --> 00:23:57,986 <現在でいう ヘアオイルである> 310 00:23:57,986 --> 00:24:00,586 どうして こんな高価な品を? 311 00:24:02,658 --> 00:24:07,996 四十郎様の髪が ぼさぼさなので… 312 00:24:07,996 --> 00:24:10,996 えっ… ぼさぼさ? 313 00:24:13,001 --> 00:24:17,673 実は 以前より ずっと気になっていたのです 314 00:24:17,673 --> 00:24:20,342 <実は このときの静江 315 00:24:20,342 --> 00:24:23,345 自分の似顔絵のしわではなく 316 00:24:23,345 --> 00:24:27,345 四十郎の ぼさぼさ頭が 気になっていたのである> 317 00:24:31,286 --> 00:24:34,623 もしや… このために内職を? 318 00:24:34,623 --> 00:24:36,625 はい 319 00:24:36,625 --> 00:24:38,627 あ… いや その… 320 00:24:38,627 --> 00:24:42,965 拙者は 静江が しわで悩んでおると… 321 00:24:42,965 --> 00:24:45,965 しわ? いや すまん 勘違いだ 322 00:24:48,303 --> 00:24:54,643 10年前 四十郎様から頂いた櫛です 323 00:24:54,643 --> 00:24:58,981 肌身離さず いつも持っております 324 00:24:58,981 --> 00:25:00,983 そうだったのか 325 00:25:00,983 --> 00:25:04,319 これで 付けさせていただいても? 326 00:25:04,319 --> 00:25:06,319 うん 頼む 327 00:25:14,329 --> 00:25:19,001 結婚して もう10年になるのですね 328 00:25:19,001 --> 00:25:21,670 うむ… 329 00:25:21,670 --> 00:25:24,006 兄上の反対を押し切り 330 00:25:24,006 --> 00:25:26,606 よくぞ 拙者の元へ来てくれた 331 00:25:28,610 --> 00:25:30,610 いえ… 332 00:25:33,615 --> 00:25:36,952 しかし このような貧乏暮らし 333 00:25:36,952 --> 00:25:39,955 本当に すまない 334 00:25:39,955 --> 00:25:42,555 おやめください 四十郎様 335 00:25:48,964 --> 00:25:52,968 櫛の「く」は 苦労の「く」 336 00:25:52,968 --> 00:25:57,305 櫛の「し」は 死ぬまで一緒… 337 00:25:57,305 --> 00:25:59,307 共に死ぬまで 338 00:25:59,307 --> 00:26:01,643 寄り添いながら生きていく 339 00:26:01,643 --> 00:26:03,645 私は 340 00:26:03,645 --> 00:26:09,245 この櫛を頂いた 10年前のあの日 そう決めたのです 341 00:26:12,654 --> 00:26:15,991 静江… 342 00:26:15,991 --> 00:26:19,995 はい 出来ましたよ 343 00:26:19,995 --> 00:26:21,995 どうぞ 344 00:26:25,934 --> 00:26:31,234 このしわも 二人で年を取ってきた証し 345 00:26:39,281 --> 00:26:41,281 静江 346 00:26:46,621 --> 00:26:52,621 これからも拙者と 苦楽を共に歩んでまいろう 347 00:26:55,630 --> 00:26:57,966 はい 348 00:26:57,966 --> 00:26:59,968 フフッ 349 00:26:59,968 --> 00:27:03,972 すっかり 男っぷりが 上がりましたね 350 00:27:03,972 --> 00:27:08,977 ハハハッ 静江も 女っぷりが上々だ 351 00:27:08,977 --> 00:27:14,649 (静江・四十郎の笑い声) 352 00:27:14,649 --> 00:27:18,320 <江戸の世に現れた 令和の美容グッズ> 353 00:27:18,320 --> 00:27:21,323 <それは お肌だけでなく 354 00:27:21,323 --> 00:27:25,623 夫婦の気持ちにも 潤いを与えたのであった> 355 00:27:27,596 --> 00:27:31,196 <これにて 一件落着… と思いきや> 356 00:27:47,949 --> 00:27:50,952 こうしている今も 静江と太郎の身が心配でならん! 357 00:27:50,952 --> 00:27:53,955 私 カージーが 一肌脱ぎましょう 358 00:27:53,955 --> 00:27:58,627 <次回のSF時代劇 「家電侍」は> 359 00:27:58,627 --> 00:28:02,297 酒屋の奥様 最近 妙に きれいになってんだよね 360 00:28:02,297 --> 00:28:05,300 あんたも女房にゃ気を付けなよ 361 00:28:05,300 --> 00:28:11,973 ♬~ 362 00:28:11,973 --> 00:28:14,643 《「密通」!》 363 00:28:14,643 --> 00:28:19,314 《やはり 静江は平賀殿と密通を!》 364 00:28:19,314 --> 00:28:22,651 僕 どうせ 暇ですから フフッ 365 00:28:22,651 --> 00:28:24,653 はっ! 366 00:28:24,653 --> 00:28:28,256 《私には 四十郎様が…》 367 00:28:28,256 --> 00:28:31,593 《よろしいじゃありませんか》 368 00:28:31,593 --> 00:28:33,595 《平賀様…》 369 00:28:33,595 --> 00:28:36,598 《静江さん》 370 00:28:36,598 --> 00:28:38,934 絶対 黒でござる! 371 00:28:38,934 --> 00:28:43,271 密通決定でござる~! 372 00:28:43,271 --> 00:28:45,273 静江! えっ! 373 00:28:45,273 --> 00:28:47,943 あら どうされました? 374 00:28:47,943 --> 00:28:50,946 平賀殿は? 375 00:28:50,946 --> 00:28:52,948 あっ 376 00:28:52,948 --> 00:28:57,285 最初から 拙者の一目ぼれだったのだ… 377 00:28:57,285 --> 00:29:03,885 ♬~