1 00:00:07,763 --> 00:00:11,433 (四十郎)静江 具合は? 2 00:00:11,433 --> 00:00:14,103 (静江)もう… 大丈夫です 3 00:00:14,103 --> 00:00:19,441 今から 支度を… 母上 無理しないでください 4 00:00:19,441 --> 00:00:24,441 <日頃の疲れがたまり 寝込んでしまった静江> 5 00:00:27,116 --> 00:00:30,452 静江 今日は拙者がやろう 6 00:00:30,452 --> 00:00:33,122 えっ! えっ? 7 00:00:33,122 --> 00:00:37,126 <それほど大げさに 驚かなくていいだろう… と思った 8 00:00:37,126 --> 00:00:41,130 そこのあなたのために解説しよう> 9 00:00:41,130 --> 00:00:47,803 <この時代 武士階級の家では 家事は女に任せるのが常識> 10 00:00:47,803 --> 00:00:53,142 <男が料理をするなど ありえないことであったのだ> 11 00:00:53,142 --> 00:00:57,146 いけません 四十郎様に 家事などさせるわけには… 12 00:00:57,146 --> 00:00:59,146 安心せよ 13 00:01:01,150 --> 00:01:07,089 うちには 便利な道具があるじゃないか 14 00:01:07,089 --> 00:01:11,689 拙者に どんと任せて ゆっくり寝ておれ 15 00:01:17,433 --> 00:01:22,433 <現代人で その恩恵を 受けていない者はいないはずだ> 16 00:01:24,773 --> 00:01:26,773 <これらの…> 17 00:01:31,113 --> 00:01:35,784 <これは とある貧しい侍が 現代の家電と出会い 18 00:01:35,784 --> 00:01:40,456 家族を幸せにしようと奮闘する 愛の物語である> 19 00:01:40,456 --> 00:01:44,126 カメ吉 出陣じゃ~! 20 00:01:44,126 --> 00:02:04,146 ♬~ 21 00:02:04,146 --> 00:02:08,146 ♬~ 22 00:02:22,431 --> 00:02:24,431 よし… 23 00:02:26,435 --> 00:02:29,104 ♬(炊飯器) 24 00:02:29,104 --> 00:02:32,441 ♬(炊飯器) よし! 飯炊きの準備は万全 25 00:02:32,441 --> 00:02:35,110 次は おかずだな 26 00:02:35,110 --> 00:02:38,447 (太郎) 父上は料理ができるのですか? 27 00:02:38,447 --> 00:02:44,119 太郎 男子 厨房に入らずである 28 00:02:44,119 --> 00:02:46,121 しかし… 29 00:02:46,121 --> 00:02:48,791 こんなときに 料理くらいできない男も 30 00:02:48,791 --> 00:02:51,126 また 男ではない 31 00:02:51,126 --> 00:02:53,462 さすがです 父上! 32 00:02:53,462 --> 00:02:55,464 太郎は何が食べたい? 33 00:02:55,464 --> 00:02:59,802 う~んと… お魚と味噌汁が食べたいです 34 00:02:59,802 --> 00:03:02,102 相分かった! 35 00:03:06,742 --> 00:03:11,413 太郎 そんなに見つめても すぐには出来ぬぞ 36 00:03:11,413 --> 00:03:13,415 (太郎)父上 うん? 37 00:03:13,415 --> 00:03:16,752 いつも 母上は それに入れてます 38 00:03:16,752 --> 00:03:20,422 あっ… そうであった 39 00:03:20,422 --> 00:03:24,722 魚は あれじゃ あれ うっかりしておった 40 00:03:32,768 --> 00:03:34,770 (つまみを回す音) 41 00:03:34,770 --> 00:03:36,772 (ロースターの作動音) よし 42 00:03:36,772 --> 00:03:39,441 あとは 味噌汁だけじゃ 43 00:03:39,441 --> 00:03:41,443 《う~ん…》 44 00:03:41,443 --> 00:03:44,113 《ありったけの野菜を 並べてみたものの 45 00:03:44,113 --> 00:03:47,113 何から手を出せばいいのか 見当もつかん》 46 00:03:52,121 --> 00:03:56,792 《うん? 皮はむくのか むかずに切るのか?》 47 00:03:56,792 --> 00:04:00,392 《そもそも 包丁すら初めて持つ》 48 00:04:08,070 --> 00:04:10,070 フゥー… 49 00:04:12,407 --> 00:04:15,410 せやっ! 50 00:04:15,410 --> 00:04:18,747 《ようやく ここまで たどりついた…》 51 00:04:18,747 --> 00:04:21,747 《あとは 味噌を入れれば しまいじゃ》 52 00:04:24,086 --> 00:04:27,422 味噌 味噌 味噌… 53 00:04:27,422 --> 00:04:31,022 よし これか 54 00:04:33,762 --> 00:04:39,101 《うん? いつもと ちょっと 違うような気もするが…》 55 00:04:39,101 --> 00:04:43,101 《まあよい 仕上げに しょうゆも入れておこう》 56 00:04:46,775 --> 00:04:51,113 ♬(炊飯器) おっ 飯が炊けたな 57 00:04:51,113 --> 00:04:53,713 ♬(炊飯器) 58 00:04:55,784 --> 00:04:58,120 よしよし 59 00:04:58,120 --> 00:05:02,124 (太郎)父上 どうですか? 上出来じゃ 60 00:05:02,124 --> 00:05:04,126 ちょうど 味噌汁も出来たところだ 61 00:05:04,126 --> 00:05:07,729 すぐにでも食べられるぞ (太郎)お魚は? 62 00:05:07,729 --> 00:05:10,399 あっ… あっ! 63 00:05:10,399 --> 00:05:12,401 うわっ 64 00:05:12,401 --> 00:05:15,737 ちと… 焼き過ぎたかもしれんな 65 00:05:15,737 --> 00:05:19,074 (太郎)父上 味噌汁を味見しても? 66 00:05:19,074 --> 00:05:21,374 おっ 味噌汁は ちゃんと出来ておる 67 00:05:28,750 --> 00:05:30,750 うえ~! 68 00:05:40,762 --> 00:05:42,764 何だ これは! 69 00:05:42,764 --> 00:05:46,435 なぜ 味噌汁が甘いんだ! 70 00:05:46,435 --> 00:05:50,772 <そう… 実は このとき 71 00:05:50,772 --> 00:05:53,072 四十郎は…> 72 00:05:55,444 --> 00:05:58,113 《うえ~!》 73 00:05:58,113 --> 00:06:00,449 ヘイ カージー殿! 74 00:06:00,449 --> 00:06:02,784 出てきてくださらぬか 75 00:06:02,784 --> 00:06:05,787 (カージー) どうしました? ミスター四十郎 76 00:06:05,787 --> 00:06:09,725 あっ カメ吉に料理をさせることは できないものだろうか? 77 00:06:09,725 --> 00:06:11,727 カメ吉とは? 78 00:06:11,727 --> 00:06:14,062 あっ あれだ… 79 00:06:14,062 --> 00:06:16,732 ロボット掃除機なる家電のことだ 80 00:06:16,732 --> 00:06:20,068 我が家では そう呼んでおる 81 00:06:20,068 --> 00:06:23,739 掃除専用ですので 料理はできかねます 82 00:06:23,739 --> 00:06:27,339 そうか… ハァー 83 00:06:30,412 --> 00:06:32,414 このような窮地に 84 00:06:32,414 --> 00:06:37,085 拙者が磨いてきた剣の腕など 無力だな ハッ 85 00:06:37,085 --> 00:06:40,756 思えば 今 家にある鍋は たった一つ 86 00:06:40,756 --> 00:06:44,092 あの鍋一つで 毎日 静江は 87 00:06:44,092 --> 00:06:48,096 さまざまな料理を 作っておったのだ 88 00:06:48,096 --> 00:06:51,696 ミセス静江は 鍋一つで料理を? 89 00:06:55,771 --> 00:06:59,441 <…と思った そこのあなたのために 90 00:06:59,441 --> 00:07:04,780 この時代の 台所事情について解説しよう> 91 00:07:04,780 --> 00:07:10,380 <江戸時代 質素な生活を送る 庶民の家庭料理は…> 92 00:07:15,390 --> 00:07:18,727 <主婦たちは この少ない選択肢の中で 93 00:07:18,727 --> 00:07:22,397 献立作りに苦心した> 94 00:07:22,397 --> 00:07:26,401 <ちなみに 庶民に人気の総菜は ランキング化され 95 00:07:26,401 --> 00:07:29,071 相撲の番付になぞらえ 96 00:07:29,071 --> 00:07:33,075 おかず番付なるものも 作られていた> 97 00:07:33,075 --> 00:07:35,075 <第3位の…> 98 00:07:38,747 --> 00:07:40,747 <第2位の…> 99 00:07:43,752 --> 00:07:46,752 <そして 第1位の…> 100 00:07:50,092 --> 00:07:52,094 <この番付を見ても 101 00:07:52,094 --> 00:07:55,430 いかに 慎ましい食生活を送っていたか 102 00:07:55,430 --> 00:07:59,768 お分かりいただけるのでは ないだろうか> 103 00:07:59,768 --> 00:08:05,440 拙者も 初めて料理をして その大変さが身にしみた 104 00:08:05,440 --> 00:08:10,379 そうですか ミセス静江は 鍋一つで苦労を… 105 00:08:10,379 --> 00:08:12,381 あっ! 106 00:08:12,381 --> 00:08:14,383 カージー殿 どうした? 107 00:08:14,383 --> 00:08:16,718 思い出しました うん? 108 00:08:16,718 --> 00:08:20,055 ミスター四十郎 ロボットではないですが 109 00:08:20,055 --> 00:08:25,060 料理が簡単にできる鍋なら ご紹介できます 110 00:08:25,060 --> 00:08:27,660 カージー殿 それは 一体? 111 00:08:31,066 --> 00:08:35,070 自動… 調理… なべ? 112 00:08:35,070 --> 00:08:37,739 自動調理なべとは 材料と調味料を入れ 113 00:08:37,739 --> 00:08:39,741 ボタンを押すだけで 114 00:08:39,741 --> 00:08:43,078 簡単に料理が出来る 調理家電です 115 00:08:43,078 --> 00:08:46,748 おお… それは便利そうじゃ 116 00:08:46,748 --> 00:08:50,419 《この 鍋一つで さまざまな料理が…》 117 00:08:50,419 --> 00:08:54,089 《一体 どうしたら そんなことが?》 118 00:08:54,089 --> 00:08:56,389 《はっ! まさか…》 119 00:09:00,762 --> 00:09:02,764 《なるほど…》 120 00:09:02,764 --> 00:09:06,368 《妖怪たちに 料理をさせているというのか》 121 00:09:06,368 --> 00:09:08,703 《にわかに信じられぬが… 122 00:09:08,703 --> 00:09:13,041 さすが 神の遣い カージー殿だな》 123 00:09:13,041 --> 00:09:15,377 ご理解いただけましたか? 124 00:09:15,377 --> 00:09:17,379 合点承知だ 125 00:09:17,379 --> 00:09:21,049 カージー殿 自動調理なべを所望いたす 126 00:09:21,049 --> 00:09:24,052 承知しました 感謝いたす 127 00:09:24,052 --> 00:09:26,054 では 早速… 128 00:09:26,054 --> 00:09:30,392 待ってください ミスター四十郎 えっ? 129 00:09:30,392 --> 00:09:35,063 自動調理なべがあれば 料理の技術は要りません 130 00:09:35,063 --> 00:09:38,066 ですが 何を作るつもりですか? 131 00:09:38,066 --> 00:09:43,405 そうだな… せっかくだから 煮物にでも挑んでみるかな 132 00:09:43,405 --> 00:09:45,407 どんな? 133 00:09:45,407 --> 00:09:47,409 野菜がたっぷり入った 134 00:09:47,409 --> 00:09:53,748 具体的な料理名 必要な材料は お分かりですか? 135 00:09:53,748 --> 00:09:55,750 えっと… 136 00:09:55,750 --> 00:10:00,050 いくら 自動調理なべがあっても それでは また… 137 00:10:02,090 --> 00:10:04,426 カージー殿 このとおりだ 138 00:10:04,426 --> 00:10:07,095 指南してくだされ! 139 00:10:07,095 --> 00:10:12,767 では 野菜をふんだんに使った 料理を作りましょう 140 00:10:12,767 --> 00:10:15,437 ちょ ちょっ… ちょっと待ってくれ カージー殿 141 00:10:15,437 --> 00:10:17,439 どうしました? 142 00:10:17,439 --> 00:10:20,775 ああ… 野菜たっぷりとは言ったが 143 00:10:20,775 --> 00:10:23,111 そもそも 金が無いうちに 144 00:10:23,111 --> 00:10:25,447 そんなに たくさんの野菜はない 145 00:10:25,447 --> 00:10:27,449 拙者が失敗して 146 00:10:27,449 --> 00:10:29,451 ほとんど 無駄にしてしまったからな 147 00:10:29,451 --> 00:10:32,454 ハハッ では こちらはいかがでしょう? 148 00:10:32,454 --> 00:10:36,124 これは… けんちん汁! 149 00:10:36,124 --> 00:10:38,793 一説によると けんちん汁は 150 00:10:38,793 --> 00:10:43,798 鎌倉時代に創建された 建長寺に由来するもので 151 00:10:43,798 --> 00:10:46,134 野菜くずを無駄なく使うために 152 00:10:46,134 --> 00:10:50,138 作られた料理だと 伝えられています 153 00:10:50,138 --> 00:10:52,807 野菜くずを無駄なく? 154 00:10:52,807 --> 00:10:56,811 はい つまり節約料理ですね 155 00:10:56,811 --> 00:11:01,816 ああ そういえば 野菜くずならある 156 00:11:01,816 --> 00:11:05,820 ちなみに 体が温まるけんちん汁は 157 00:11:05,820 --> 00:11:10,425 体調を崩されている ミセス静江には ぴったりかと 158 00:11:10,425 --> 00:11:12,427 それはいい よし! 159 00:11:12,427 --> 00:11:15,764 そうと決まれば 一刻も早く 静江に食べさせたい 160 00:11:15,764 --> 00:11:21,770 あと最低限 必要な材料は 豆腐と こんにゃくですね 161 00:11:21,770 --> 00:11:23,772 豆腐なら まだ あった 162 00:11:23,772 --> 00:11:25,774 こんにゃくくらいなら 今ある金で買える! 163 00:11:25,774 --> 00:11:29,444 よし 早速 買い出しに! ミスター四十郎 164 00:11:29,444 --> 00:11:31,446 何! 165 00:11:31,446 --> 00:11:34,783 私も同行させてください えっ? 166 00:11:34,783 --> 00:11:38,119 買い間違えたりするのではと 心配で… 167 00:11:38,119 --> 00:11:41,122 そこまで信用されておらんのか 168 00:11:41,122 --> 00:11:43,458 はい 169 00:11:43,458 --> 00:11:45,458 んん~! 170 00:11:49,798 --> 00:11:53,802 よし… 一人で ちゃんと買えたではないか 171 00:11:53,802 --> 00:11:56,805 カージー殿も心配性だな 172 00:11:56,805 --> 00:12:00,105 よし… 急いで帰って料理じゃ! 173 00:12:02,143 --> 00:12:04,145 あっ すまない 174 00:12:04,145 --> 00:12:06,445 ハハッ (五平)待て 四十郎 175 00:12:09,751 --> 00:12:13,755 あっ もしや… 五平か? 176 00:12:13,755 --> 00:12:17,425 <この男 かつて 剣術の道場で 177 00:12:17,425 --> 00:12:22,764 四十郎と ライバルだった 五平である> 178 00:12:22,764 --> 00:12:26,101 (五平)久しぶりだな 道場以来か そうだな 179 00:12:26,101 --> 00:12:30,105 (五平)それは? うん? ああ こんにゃくだが… 180 00:12:30,105 --> 00:12:34,405 こんにゃく? おい 料理でもする気か? 181 00:12:36,444 --> 00:12:39,781 まさか… 頼まれただけだ! 182 00:12:39,781 --> 00:12:45,453 妻の尻に敷かれ 家事を手伝わされておるのか? 183 00:12:45,453 --> 00:12:48,790 武士の風上にも置けぬ 184 00:12:48,790 --> 00:12:52,790 かつてのお主は 人生 全てを剣に注いでいたはず 185 00:12:54,796 --> 00:12:57,799 拙者 貴様に敗れた あの日から 186 00:12:57,799 --> 00:13:01,469 一度も 研鑽を怠ったことはない 187 00:13:01,469 --> 00:13:06,741 どうだ? ここで 決着をつけようではないか 188 00:13:06,741 --> 00:13:09,411 悪いが 五平 急いでおる 189 00:13:09,411 --> 00:13:13,011 (五平) 貴様 武士の心を捨てたのか! 190 00:13:20,088 --> 00:13:22,088 (五平)貴様も抜け! 191 00:13:24,092 --> 00:13:26,761 やめろ 五平 192 00:13:26,761 --> 00:13:29,764 包丁しか握れなくなったのか? 193 00:13:29,764 --> 00:13:32,434 家事侍が 194 00:13:32,434 --> 00:13:36,104 か… 家事侍だと! 失敬な! 195 00:13:36,104 --> 00:13:38,104 (五平)やる気になったな 196 00:14:41,102 --> 00:14:43,104 包丁しか握れなくなったのか? 197 00:14:43,104 --> 00:14:45,106 家事侍が 198 00:14:45,106 --> 00:14:48,042 家事侍だと! 失敬な! 199 00:14:48,042 --> 00:14:50,712 やる気になったな 200 00:14:50,712 --> 00:14:52,714 ≪ミスター四十郎 201 00:14:52,714 --> 00:14:57,051 ≪ミセス静江と ジュニアが おなかをすかせているのでは? 202 00:14:57,051 --> 00:14:59,053 そうだ! そうであった… 203 00:14:59,053 --> 00:15:01,653 おい! 誰としゃべっておる? 204 00:15:06,060 --> 00:15:11,065 拙者… 幻術を覚えてな 205 00:15:11,065 --> 00:15:14,068 気は確かか? 206 00:15:14,068 --> 00:15:18,368 カージー殿 雷鳴を響かせたまえ ≪はい 207 00:15:21,075 --> 00:15:23,077 うお~ だ~! 208 00:15:23,077 --> 00:15:26,080 ≪(雷鳴) うわ~っ! 209 00:15:26,080 --> 00:15:28,080 ≪(雷鳴) 210 00:15:32,086 --> 00:15:36,086 (五平)四十郎! どこへ消えた! 211 00:15:41,763 --> 00:15:46,367 カージー殿 助かった 同行してもらって よかった 212 00:15:46,367 --> 00:15:51,372 いえ ミスター四十郎の機転 すばらしかったですよ 213 00:15:51,372 --> 00:15:56,711 五平は 昔から雷に弱いんだ ハハハ… 214 00:15:56,711 --> 00:16:02,050 では けんちん汁の作り方を こちらの動画でご確認ください 215 00:16:02,050 --> 00:16:06,387 ああ… かたじけない フゥー… 216 00:16:06,387 --> 00:16:08,687 静江… 待っておれ 217 00:16:11,059 --> 00:16:13,061 ハァ… よいしょ 218 00:16:13,061 --> 00:16:16,064 (太郎)新しい炊飯器ですか? 219 00:16:16,064 --> 00:16:19,400 似ておるが これは 炊飯器ではない 220 00:16:19,400 --> 00:16:22,737 料理をしてくれる家電だ (太郎)これが? 221 00:16:22,737 --> 00:16:25,037 まあ 見ておれ 222 00:16:28,076 --> 00:16:32,076 こうして 材料を入れ… 223 00:16:34,749 --> 00:16:37,752 (太郎) それ 包丁で切らなくていいの? 224 00:16:37,752 --> 00:16:40,755 この方が 味がよくしみるのだ 225 00:16:40,755 --> 00:16:44,092 (太郎)へえ~ 父上は物知りですね 226 00:16:44,092 --> 00:16:48,696 ハハッ 太郎も だいぶ物が分かってきたな 227 00:16:48,696 --> 00:16:51,366 よし 次は調味料だ 228 00:16:51,366 --> 00:17:02,710 ♬~ 229 00:17:02,710 --> 00:17:05,046 蓋をして 230 00:17:05,046 --> 00:17:07,048 最後に この印を押せば… (電子音) 231 00:17:07,048 --> 00:17:10,051 あとは 待つだけじゃ 232 00:17:10,051 --> 00:17:12,053 このままで 本当に料理が出来るのですか? 233 00:17:12,053 --> 00:17:14,055 そうだ 234 00:17:14,055 --> 00:17:16,057 (太郎)火加減は? 見なくて結構 235 00:17:16,057 --> 00:17:19,057 実は この箱の中でな… 236 00:17:21,062 --> 00:17:24,065 えっ! あかなめが? うん 237 00:17:24,065 --> 00:17:28,736 それを知ったら 飯がまずく感じるかもしれぬゆえ 238 00:17:28,736 --> 00:17:31,072 母には ないしょにしておれ 239 00:17:31,072 --> 00:17:40,081 ♬~ 240 00:17:40,081 --> 00:17:42,083 よし! 241 00:17:42,083 --> 00:17:45,083 (太郎)すご~い! おいしそ~う! 242 00:17:47,021 --> 00:17:49,691 上出来だ 243 00:17:49,691 --> 00:17:51,691 (太郎)母上 早く早く ああ… 244 00:17:55,697 --> 00:17:58,032 あっ はい 静江 245 00:17:58,032 --> 00:18:00,702 ああ… よし あっ… 246 00:18:00,702 --> 00:18:04,372 まあ… 四十郎様がお料理を? 247 00:18:04,372 --> 00:18:08,710 ハハッ 随分 遅い朝げになってしまった 248 00:18:08,710 --> 00:18:11,045 だいぶ 楽になりました 249 00:18:11,045 --> 00:18:13,047 お魚もあるんだよ 250 00:18:13,047 --> 00:18:16,050 自動調理なべのおかげで 魚に集中できた 251 00:18:16,050 --> 00:18:19,721 今度は完璧じゃ フハハッ 252 00:18:19,721 --> 00:18:21,721 さあ 頂こう 253 00:18:23,725 --> 00:18:25,727 いただきます いただきます 254 00:18:25,727 --> 00:18:27,727 いただきます 255 00:18:31,733 --> 00:18:34,736 おいし~い! 256 00:18:34,736 --> 00:18:40,074 ああ… 温まります うん そうであろう 257 00:18:40,074 --> 00:18:44,074 しっかり食べて 早く良くなるのだぞ うん 258 00:18:47,015 --> 00:18:50,351 うん おいしいな ハハッ 259 00:18:50,351 --> 00:18:52,687 (すすり泣き) 260 00:18:52,687 --> 00:18:55,987 静江… なぜ 泣くのだ? 261 00:18:58,026 --> 00:19:02,626 武士である四十郎様に 料理までさせてしまい… 262 00:19:05,366 --> 00:19:09,370 いや… あの鍋があれば 料理ぐらい簡単じゃ 263 00:19:09,370 --> 00:19:12,040 拙者でも できるぐらいだからな 264 00:19:12,040 --> 00:19:15,376 なっ ハハハ… 265 00:19:15,376 --> 00:19:19,714 母上 あの箱の中では あかなめが料理を… 266 00:19:19,714 --> 00:19:21,714 太郎! 言うでない 267 00:19:24,052 --> 00:19:27,722 ハハッ フッ ああ… 268 00:19:27,722 --> 00:19:29,724 (障子戸の開く音) 269 00:19:29,724 --> 00:19:33,061 御免くださ~い おっ 平賀殿 270 00:19:33,061 --> 00:19:35,396 うん… 271 00:19:35,396 --> 00:19:38,066 あっ 五平! 272 00:19:38,066 --> 00:19:40,068 お主 どうしてここに? 273 00:19:40,068 --> 00:19:42,070 さっき 道で尋ねられて 274 00:19:42,070 --> 00:19:44,405 僕が ここまで連れてきたんです えっ? 275 00:19:44,405 --> 00:19:47,705 もう 血相変えて 四十郎殿の家を捜してたので 276 00:19:49,677 --> 00:19:51,677 <このあと…> 277 00:21:55,102 --> 00:21:57,772 あっ 五平! 278 00:21:57,772 --> 00:21:59,774 お主 どうしてここに? 279 00:21:59,774 --> 00:22:01,776 さっき 道で尋ねられて 280 00:22:01,776 --> 00:22:04,111 僕が ここまで連れてきたんです えっ? 281 00:22:04,111 --> 00:22:07,448 もう 血相変えて 四十郎殿の家を捜してたので 282 00:22:07,448 --> 00:22:17,124 ♬~ 283 00:22:17,124 --> 00:22:20,127 先ほどは すまなかった 四十郎 284 00:22:20,127 --> 00:22:23,464 このとおりだ 285 00:22:23,464 --> 00:22:25,466 どういうことだ? 286 00:22:25,466 --> 00:22:28,803 お主に逃げられ どうしても 決着をつけたくて ここに来た 287 00:22:28,803 --> 00:22:31,472 しかし 考えを改めた 288 00:22:31,472 --> 00:22:33,808 何? 289 00:22:33,808 --> 00:22:36,143 (太郎)《これ 包丁で切らなくていいの?》 290 00:22:36,143 --> 00:22:40,815 《うん この方がな 味がしみるんだ》 291 00:22:40,815 --> 00:22:42,815 《母には ないしょにしておれ》 292 00:22:45,486 --> 00:22:48,489 《四十郎…》 293 00:22:48,489 --> 00:22:50,491 《よく分かったでしょう?》 294 00:22:50,491 --> 00:22:54,091 《あの方が 何をいちばん大切にされてるか》 295 00:22:59,834 --> 00:23:03,504 病の妻のため お主が料理する姿を見ておった 296 00:23:03,504 --> 00:23:05,840 えっ? 武士のおごりを捨て 297 00:23:05,840 --> 00:23:08,175 家族のために生きるお主に 298 00:23:08,175 --> 00:23:12,179 人の生き方は 一つではないと気付かされた 299 00:23:12,179 --> 00:23:14,181 五平 300 00:23:14,181 --> 00:23:17,852 情けないことに 拙者 今は浪人の身でな 301 00:23:17,852 --> 00:23:20,187 家族にも言えず もう ふたつきになる 302 00:23:20,187 --> 00:23:25,860 なのに… 拙者は 武士としての己を捨てられず… 303 00:23:25,860 --> 00:23:27,860 ハァー 304 00:23:30,131 --> 00:23:33,431 お主の気持ちは痛いほど分かる 305 00:23:35,469 --> 00:23:39,473 つい最近まで 拙者も同じであった 306 00:23:39,473 --> 00:23:42,143 《包丁しか 握れなくなったのか?》 307 00:23:42,143 --> 00:23:44,145 《家事侍が》 308 00:23:44,145 --> 00:23:48,482 《か… 家事侍だと! 失敬な!》 309 00:23:48,482 --> 00:23:53,154 格好をつけて 料理をすると宣言したが 310 00:23:53,154 --> 00:23:57,158 お主に料理をしているのを 知られるのが恥ずかしかった 311 00:23:57,158 --> 00:23:59,827 拙者は駄目な男だ 312 00:23:59,827 --> 00:24:03,831 そんなことありません 父上は立派です 313 00:24:03,831 --> 00:24:05,833 信じられぬほど不器用でしたが 314 00:24:05,833 --> 00:24:08,502 信じられぬほど不器用って 315 00:24:08,502 --> 00:24:12,173 そうですね 父上は立派です 316 00:24:12,173 --> 00:24:14,508 フハハッ 317 00:24:14,508 --> 00:24:19,508 四十郎 お主は いい家族を持っておるな 318 00:24:23,184 --> 00:24:27,484 ああ 家族は宝だ 319 00:24:29,790 --> 00:24:31,792 (おなかの鳴る音) 320 00:24:31,792 --> 00:24:35,463 (太郎)あっ おなかが鳴った! ハハハ… 321 00:24:35,463 --> 00:24:39,467 すみません ずっと おいしそうな料理を見てたので 322 00:24:39,467 --> 00:24:41,802 こら! 323 00:24:41,802 --> 00:24:44,472 (太郎) ねえ 二人にも食べてもらおうよ 324 00:24:44,472 --> 00:24:46,474 おお そうですね 325 00:24:46,474 --> 00:24:48,476 うん 拙者も? 326 00:24:48,476 --> 00:24:53,481 積もる話もある 上がってくれ (五平)かたじけない 327 00:24:53,481 --> 00:24:55,483 (一同)いただきます 328 00:24:55,483 --> 00:24:57,783 五平 食ってくれ 329 00:25:05,826 --> 00:25:09,163 うまい… これをホントに お主が? 330 00:25:09,163 --> 00:25:13,763 うん まあ… 家電なる道具のおかげだが 331 00:25:21,509 --> 00:25:23,844 なあ 五平 332 00:25:23,844 --> 00:25:28,449 お主は このままで 終わるような男ではない 333 00:25:28,449 --> 00:25:34,121 諦めずにいれば 必ず どこぞに仕官先が見つかる 334 00:25:34,121 --> 00:25:40,127 それまでは 共に 傘張りに精進しようではないか 335 00:25:40,127 --> 00:25:42,127 おう 336 00:25:46,133 --> 00:25:48,803 ハハハッ しかし うまい! 337 00:25:48,803 --> 00:25:50,805 うん 338 00:25:50,805 --> 00:25:53,808 ミセス静江の 体調はいかがですか? 339 00:25:53,808 --> 00:25:56,143 もう すっかり良くなった 340 00:25:56,143 --> 00:26:01,482 今は あの鍋を使うのが楽しいと いろいろ研究しておる フッ 341 00:26:01,482 --> 00:26:03,782 それは よかったです 342 00:26:06,153 --> 00:26:08,453 では いってまいる 343 00:26:11,492 --> 00:26:14,495 よし… ハァー 344 00:26:14,495 --> 00:26:17,164 おっ 345 00:26:17,164 --> 00:26:23,170 先日 祈願したとおり 拙者に仕官先が見つかった! 346 00:26:23,170 --> 00:26:26,107 感謝いたす 347 00:26:26,107 --> 00:26:28,442 えっ… えっ もう? 348 00:26:28,442 --> 00:26:31,445 もう? 349 00:26:31,445 --> 00:26:33,447 ハァー 350 00:26:33,447 --> 00:26:46,127 ♬~ 351 00:26:46,127 --> 00:26:49,130 カージー殿 352 00:26:49,130 --> 00:26:52,800 五平は 仕官先が決まったそうだ 353 00:26:52,800 --> 00:26:56,137 ミスター四十郎 落ち込まないでください 354 00:26:56,137 --> 00:27:00,474 あなたのおかげで 五平さんは復活できたんです 355 00:27:00,474 --> 00:27:04,812 あなたこそが 真の侍ですよ 356 00:27:04,812 --> 00:27:08,812 ハァー… 真の侍など恐れ多い 357 00:27:10,818 --> 00:27:13,154 そうだな… 358 00:27:13,154 --> 00:27:19,160 拙者は… 家電侍でござる 359 00:27:19,160 --> 00:27:22,830 いいですね 家電侍 360 00:27:22,830 --> 00:27:24,832 ハハッ 361 00:27:24,832 --> 00:27:27,768 <江戸の世に現れた 自動調理なべ> 362 00:27:27,768 --> 00:27:30,771 <それは 家庭だけでなく 363 00:27:30,771 --> 00:27:37,111 かつての盟友との仲をも 温めてくれたのだった> 364 00:27:37,111 --> 00:27:41,115 <これにて 一件落着… と思いきや> 365 00:27:41,115 --> 00:27:43,115 <次回…> 366 00:27:58,132 --> 00:28:00,134 私は 離縁する気などありません 367 00:28:00,134 --> 00:28:03,470 こんな ぼろ小屋 父上も母上も心配するぞ 368 00:28:03,470 --> 00:28:06,473 私には このぼろ小屋がいちばんです! 369 00:28:06,473 --> 00:28:09,476 《興奮のあまり 静江も ぼろ小屋を認めておる》 370 00:28:09,476 --> 00:28:12,813 (平賀) この家には 火鉢こそありませんが 371 00:28:12,813 --> 00:28:16,817 いや~ 便利な道具がそろっていますよ 372 00:28:16,817 --> 00:28:24,825 ♬~ 373 00:28:24,825 --> 00:28:28,095 何じゃこりゃ? 374 00:28:28,095 --> 00:28:31,432 《これが本当に 今朝 炊いた米か?》 375 00:28:31,432 --> 00:28:34,435 《まるで 炊きたてのように ふっくら》 376 00:28:34,435 --> 00:28:39,106 《おお… 本当に ちりを 吸い取っておるではないか!》 377 00:28:39,106 --> 00:28:43,106 《何やら 愛くるしさもある》 378 00:28:46,780 --> 00:28:50,451 フサエモン殿! なぜ ここに? 379 00:28:50,451 --> 00:28:53,454 待ちくたびれてな 380 00:28:53,454 --> 00:28:58,125 静江と… 離縁いたします 381 00:28:58,125 --> 00:29:01,128 誠に… 382 00:29:01,128 --> 00:29:04,128 二人の幸せを願うならば