1 00:00:11,590 --> 00:00:16,890 <現代人で その恩恵を 受けていない者はいないはずだ> 2 00:00:18,931 --> 00:00:20,931 <これらの…> 3 00:00:24,937 --> 00:00:27,606 (カージー)ミスター四十郎 寒くないんですか? 4 00:00:27,606 --> 00:00:31,276 (四十郎)いや 暑いぐらいじゃ 5 00:00:31,276 --> 00:00:33,612 そろそろ 休憩されては? 6 00:00:33,612 --> 00:00:35,948 まだ 休むわけにはいかん 7 00:00:35,948 --> 00:00:39,618 家電も 随分 増えましたからね 8 00:00:39,618 --> 00:00:43,956 ≪うおお~っ! 9 00:00:43,956 --> 00:00:47,626 (静江) 四十郎様… えっ? 10 00:00:47,626 --> 00:00:51,630 もう ここで蓄電せず ご自宅でされたらどうです? 11 00:00:51,630 --> 00:00:53,632 すぐ お休みになれますよ 12 00:00:53,632 --> 00:00:56,301 それは できん! なぜですか? 13 00:00:56,301 --> 00:00:59,972 このように蓄電し 家電を使えんと知れば 14 00:00:59,972 --> 00:01:03,976 静江も太郎も使いにくいであろう 15 00:01:03,976 --> 00:01:06,578 四十郎様… 16 00:01:06,578 --> 00:01:10,916 私は ミスター四十郎の体が心配です 17 00:01:10,916 --> 00:01:12,918 何も つろうない! 18 00:01:12,918 --> 00:01:16,255 拙者は 二人の喜ぶ姿… 19 00:01:16,255 --> 00:01:19,925 それが見れなくなるのが いちばん つらい 20 00:01:19,925 --> 00:01:24,596 <これは とある貧しい侍が 現代の家電と出会い 21 00:01:24,596 --> 00:01:29,935 家族を幸せにしようと奮闘する 愛の物語である> 22 00:01:29,935 --> 00:01:35,274 うおお~っ! 23 00:01:35,274 --> 00:01:44,616 ♬~ 24 00:01:44,616 --> 00:01:53,216 ♬~ 25 00:02:06,305 --> 00:02:08,240 今日も冷えるな 26 00:02:08,240 --> 00:02:10,240 ええ… 27 00:02:14,246 --> 00:02:16,915 (息を吐く音) 28 00:02:16,915 --> 00:02:18,915 静江 29 00:02:21,920 --> 00:02:26,592 これでどうじゃ? あったかいです 30 00:02:26,592 --> 00:02:31,930 <江戸時代は 地球全体が 小氷河期と呼ばれる時期に当たり 31 00:02:31,930 --> 00:02:36,935 その寒さは 現代よりも 厳しかったとも言われている> 32 00:02:36,935 --> 00:02:40,235 (平賀)ううう ううう… 33 00:02:42,274 --> 00:02:44,276 (平賀のせきばらい) 34 00:02:44,276 --> 00:02:46,612 (平賀)あの~… 35 00:02:46,612 --> 00:02:51,617 この寒いのに 二人はお熱いですね~ フフッ 36 00:02:51,617 --> 00:02:53,619 太郎の前で よさないか 37 00:02:53,619 --> 00:02:55,619 いつものことです 38 00:02:57,623 --> 00:03:02,294 いや… 先ほど 向かいの夫婦が 離縁したと聞きましたが 39 00:03:02,294 --> 00:03:04,296 お二人は 大丈夫そうですね 40 00:03:04,296 --> 00:03:07,896 うん? あの若い夫婦か? (平賀)ええ 41 00:03:15,240 --> 00:03:21,580 実に 嘆かわしい こんな長屋に… 42 00:03:21,580 --> 00:03:26,251 聞いたところによると 親が離縁させたそうです 43 00:03:26,251 --> 00:03:29,588 そうか… 44 00:03:29,588 --> 00:03:33,926 静江 どうした? いえ… 45 00:03:33,926 --> 00:03:38,263 (障子戸をたたく音) はい 46 00:03:38,263 --> 00:03:40,263 (障子戸をたたく音) あっ はい… 47 00:03:46,271 --> 00:03:49,608 静江か? 久方ぶりじゃ 48 00:03:49,608 --> 00:03:53,278 はい… 久右衛門殿ではないですか 49 00:03:53,278 --> 00:03:56,281 太郎か? 大きくなったな 50 00:03:56,281 --> 00:03:58,281 拙者を覚えておるか? 51 00:04:00,285 --> 00:04:02,285 うん? おお… 52 00:04:04,289 --> 00:04:08,889 <この侍 水戸から 遠路はるばる やって来た…> 53 00:04:12,564 --> 00:04:14,900 あの… 本日は どうして その… 54 00:04:14,900 --> 00:04:19,237 お主 まさか 文を読んでおらぬのか? 55 00:04:19,237 --> 00:04:21,239 えっ… 文? 56 00:04:21,239 --> 00:04:24,910 (久右衛門)静江に書いた文だ 57 00:04:24,910 --> 00:04:29,581 離縁して 水戸に帰れと書いてある 58 00:04:29,581 --> 00:04:32,250 え… えっ? りっ り… りえ… りっ 離縁? 59 00:04:32,250 --> 00:04:35,253 (久右衛門) 随分 待ったが 返事がないので 60 00:04:35,253 --> 00:04:37,253 江戸まで迎えに来た 61 00:04:39,925 --> 00:04:41,927 あっ! 62 00:04:41,927 --> 00:04:43,927 《そういえば…》 63 00:04:46,598 --> 00:04:51,603 《てっきり 拙者の恋文を 読み返しているとばかり…》 64 00:04:51,603 --> 00:04:57,275 <常に 見事なまでに 斜め上をいく妄想を繰り広げる男 65 00:04:57,275 --> 00:05:00,278 それが 四十郎> 66 00:05:00,278 --> 00:05:02,614 父上は 四十郎殿が 67 00:05:02,614 --> 00:05:06,551 お役御免になったと知り 激怒しておる 68 00:05:06,551 --> 00:05:09,221 浪人に娘は預けられんと 69 00:05:09,221 --> 00:05:14,226 お兄様 私は 離縁する気などありません 70 00:05:14,226 --> 00:05:16,228 何を言うか! 71 00:05:16,228 --> 00:05:20,232 こんな ぼろ小屋 父上も母上も心配するぞ 72 00:05:20,232 --> 00:05:22,234 ぼ… ぼろ小屋… 73 00:05:22,234 --> 00:05:26,238 わしも 妹を こんな ぼろ小屋に 住まわせたくない 74 00:05:26,238 --> 00:05:31,243 私には ここが いちばんでございます 75 00:05:31,243 --> 00:05:33,912 こんな厠のように狭い家がか? 76 00:05:33,912 --> 00:05:35,914 久右衛門殿 さすがに厠は… 77 00:05:35,914 --> 00:05:39,584 そうです 私には このぼろ小屋がいちばんです! 78 00:05:39,584 --> 00:05:44,256 それに このぼろ小屋の どこが厠なんですか? 79 00:05:44,256 --> 00:05:48,260 《興奮のあまり 静江も ぼろ小屋を認めておる…》 80 00:05:48,260 --> 00:05:51,930 お前は良くとも 太郎はどうなる? 81 00:05:51,930 --> 00:05:57,269 ハァー 冬だというのに この家には 火鉢もないではないか 82 00:05:57,269 --> 00:06:00,605 (平賀) この家には 火鉢こそありませんが 83 00:06:00,605 --> 00:06:05,610 いや~ 便利な道具がそろっていますよ 84 00:06:05,610 --> 00:06:09,214 気になってはいたが お主は誰だ? 85 00:06:09,214 --> 00:06:12,551 隣に住む 平賀と申します 86 00:06:12,551 --> 00:06:15,554 長旅で空腹ではないですか? 87 00:06:15,554 --> 00:06:19,891 飯の支度をするのを ここで待てと? 88 00:06:19,891 --> 00:06:23,228 いえ すぐに食べられます 89 00:06:23,228 --> 00:06:26,231 ですよね? はい 90 00:06:26,231 --> 00:06:28,900 (久右衛門)冷や飯は食わんぞ 91 00:06:28,900 --> 00:06:32,200 お兄様 こちらです 92 00:06:39,578 --> 00:06:42,247 (久右衛門)ああ? 93 00:06:42,247 --> 00:06:45,250 何じゃこりゃ? 94 00:06:45,250 --> 00:06:47,250 どうぞ 95 00:06:52,924 --> 00:06:56,595 《これが 本当に 今朝 炊いた米か?》 96 00:06:56,595 --> 00:06:59,598 《まるで 炊きたてのように ふっくら》 97 00:06:59,598 --> 00:07:02,898 《うまい… うますぎる》 98 00:07:05,270 --> 00:07:08,206 飯などいいのだ! 99 00:07:08,206 --> 00:07:12,210 太郎殿 カメ吉を (太郎)はい! 100 00:07:12,210 --> 00:07:14,212 (平賀)うん… 101 00:07:14,212 --> 00:07:16,214 (久右衛門)何じゃ? それは 102 00:07:16,214 --> 00:07:20,218 ひとりでに掃除をしてくれる道具 カメ吉です 103 00:07:20,218 --> 00:07:22,220 (起動音) 104 00:07:22,220 --> 00:07:35,567 ♬~ 105 00:07:35,567 --> 00:07:37,569 (久右衛門)《おお…》 106 00:07:37,569 --> 00:07:40,906 《本当に ちりを 吸い取っておるではないか!》 107 00:07:40,906 --> 00:07:44,910 《何やら 愛くるしさもある》 108 00:07:44,910 --> 00:07:47,210 《ちょっと 和むな…》 109 00:07:49,581 --> 00:07:53,919 どうです? この暮らしも そう悪くないと思いませんか? 110 00:07:53,919 --> 00:07:57,589 いや 確かに… (平賀)うんうん… うんうんうん 111 00:07:57,589 --> 00:08:03,595 いや 静江と太郎は 水戸へ連れて帰る 112 00:08:03,595 --> 00:08:05,931 (平賀)四十郎殿 他に何か! 113 00:08:05,931 --> 00:08:08,533 あっ! ああ… 114 00:08:08,533 --> 00:08:12,204 あっ 久右衛門殿 これを 何だ? 115 00:08:12,204 --> 00:08:17,204 ここを押して 顎に当ててみてくだされ はい 116 00:08:20,212 --> 00:08:37,896 (作動音) 117 00:08:37,896 --> 00:08:39,898 これは! 118 00:08:39,898 --> 00:08:43,568 つるつるでしょう? 男っぷりが上がりましたよ 119 00:08:43,568 --> 00:08:46,568 アハハ… (久右衛門)フフフ… 120 00:08:48,573 --> 00:08:51,243 さっきから 珍妙な道具ばかり出してくるが 121 00:08:51,243 --> 00:08:54,913 水戸の屋敷に戻れば 女中や使用人がいる 122 00:08:54,913 --> 00:08:58,583 どのみち 静江が家事をする必要もない 123 00:08:58,583 --> 00:09:01,920 明日 また来るから 水戸へ帰る支度をしておけ 124 00:09:01,920 --> 00:09:03,920 分かったな 125 00:09:07,192 --> 00:09:09,194 (障子戸の閉まる音) 126 00:09:09,194 --> 00:09:11,196 (ため息) 127 00:09:11,196 --> 00:09:13,198 というわけで 128 00:09:13,198 --> 00:09:17,869 もう 静江と太郎と暮らすことは できぬかもしれん 129 00:09:17,869 --> 00:09:21,873 やはり ここは 家電で解決しましょう 130 00:09:21,873 --> 00:09:26,878 カージー殿… それも 駄目だった 131 00:09:26,878 --> 00:09:30,882 ブラザー久右衛門に ぴったりの家電で もてなせば 132 00:09:30,882 --> 00:09:33,482 気持ちが変わるかもしれません 133 00:09:35,553 --> 00:09:37,555 諦めてはいけません 134 00:09:37,555 --> 00:09:42,155 例えば マッサージチェアは いかがでしょうか? 135 00:09:45,230 --> 00:09:48,566 まっさ~じ… ちぇあ? 136 00:09:48,566 --> 00:09:53,238 長旅で疲れた ブラザーにぴったりです 137 00:09:53,238 --> 00:09:56,574 これは… 何をする道具でござるか? 138 00:09:56,574 --> 00:10:00,578 全身を もみほぐしてくれる椅子です 139 00:10:00,578 --> 00:10:04,916 《椅子が… 全身をもみほぐす?》 140 00:10:04,916 --> 00:10:06,916 《一体 どうやって?》 141 00:10:11,256 --> 00:10:14,592 そんな椅子に座ったら 命がいくつあっても足りん! 142 00:10:14,592 --> 00:10:18,930 おもてなしどころか むしろ 逆効果ではないか! 143 00:10:18,930 --> 00:10:20,932 ハァー 144 00:10:20,932 --> 00:10:24,232 では スピーカーはいかがでしょう? 145 00:10:26,271 --> 00:10:28,273 すぴ~か~? 146 00:10:28,273 --> 00:10:32,277 音楽を大音量で 楽しむことができる道具です 147 00:10:32,277 --> 00:10:34,279 安らぎの音楽で 148 00:10:34,279 --> 00:10:38,279 ブラザー久右衛門の 気持ちを落ち着かせれば 149 00:10:40,285 --> 00:10:43,621 安らぎの… 音楽 150 00:10:43,621 --> 00:10:46,624 例えば このような 151 00:10:46,624 --> 00:10:48,960 ♬(洋楽ロック) うわっ! ああ… 152 00:10:48,960 --> 00:10:50,962 なんと やかましい! ♬(洋楽ロック) 153 00:10:50,962 --> 00:10:53,965 カージー殿 やめてくれ! 早く止めてくれ! 154 00:10:53,965 --> 00:10:56,301 ♬(洋楽ロック) 155 00:10:56,301 --> 00:11:00,305 申し訳ありません 選曲を間違えました 156 00:11:00,305 --> 00:11:02,640 もうよい! 157 00:11:02,640 --> 00:11:07,245 もとはといえば 拙者の甲斐性のなさが原因 158 00:11:07,245 --> 00:11:09,247 久右衛門殿にも 159 00:11:09,247 --> 00:11:13,918 我が家を ぼろ小屋 厠と さんざん揶揄された 160 00:11:13,918 --> 00:11:16,254 それは ひどい 161 00:11:16,254 --> 00:11:18,590 火鉢もないのか! ともな… 162 00:11:18,590 --> 00:11:21,259 なるほど ブラザー久右衛門は 163 00:11:21,259 --> 00:11:24,929 暖房器具をご所望だったのですね 164 00:11:24,929 --> 00:11:29,601 では エアコンはいかがでしょう? 165 00:11:29,601 --> 00:11:31,603 えあこん? 166 00:11:31,603 --> 00:11:37,275 エアコンは部屋を暖めたり 涼しくしたりできる家電です 167 00:11:37,275 --> 00:11:41,875 その性能は 火鉢をはるかに上回ります 168 00:11:43,948 --> 00:11:46,951 誠に そんな道具があるのか? 169 00:11:46,951 --> 00:11:51,289 《確かに 冬は隙間風が吹く極寒の家で 170 00:11:51,289 --> 00:11:55,293 静江と太郎には 毎年 苦労をかけておる》 171 00:11:55,293 --> 00:12:00,298 <では 江戸時代は どうやって 寒い冬を乗り越えていたのか?> 172 00:12:00,298 --> 00:12:03,301 <そう疑問に思った あなたのために 173 00:12:03,301 --> 00:12:07,906 この時代の 冬の過ごし方について解説しよう> 174 00:12:07,906 --> 00:12:12,577 <長屋において暖房といえば 火鉢> 175 00:12:12,577 --> 00:12:14,579 <しかし この火鉢は 176 00:12:14,579 --> 00:12:17,248 暖房として 非常に頼りなく 177 00:12:17,248 --> 00:12:19,250 部屋全体を 暖めることは 178 00:12:19,250 --> 00:12:22,253 不可能であった> 179 00:12:22,253 --> 00:12:25,256 <それでも…> 180 00:12:25,256 --> 00:12:29,260 <それは 江戸庶民 最大の暖房器具が 181 00:12:29,260 --> 00:12:32,560 熱燗だったからと言われている> 182 00:12:34,599 --> 00:12:36,935 <冬の寒い朝は まず熱燗で 183 00:12:36,935 --> 00:12:40,271 一杯やって 体を温めていた> 184 00:12:40,271 --> 00:12:42,273 <その際 火鉢があると 185 00:12:42,273 --> 00:12:45,944 熱燗が作りやすかったのである> 186 00:12:45,944 --> 00:12:51,282 <ちなみに 火鉢と並んで ポピュラーだったのが…> 187 00:12:51,282 --> 00:12:54,619 <当時は 小型の火鉢を やぐらの中に入れ 188 00:12:54,619 --> 00:12:59,958 その上に布団をかぶせて 暖を取っていた> 189 00:12:59,958 --> 00:13:03,962 カージー殿 えあこんについて 詳しく教えてくだされ 190 00:13:03,962 --> 00:13:05,964 承知しました 191 00:13:05,964 --> 00:13:09,234 では こちらをご覧ください 192 00:13:09,234 --> 00:13:11,903 これが… えあこん? 193 00:13:11,903 --> 00:13:13,905 ボタンを押すだけで 194 00:13:13,905 --> 00:13:18,243 部屋を 快適な温度にすることができます 195 00:13:18,243 --> 00:13:20,245 今の季節だと温風 196 00:13:20,245 --> 00:13:23,248 つまり 暖かい風が吹きます 197 00:13:23,248 --> 00:13:26,584 ほ~う… ぬくい風が 198 00:13:26,584 --> 00:13:30,255 分かります ミスターが懸念しているのは 199 00:13:30,255 --> 00:13:34,592 暖かい空気は上にたまりやすい ということですよね? 200 00:13:34,592 --> 00:13:38,596 ああ… いやいや そんなところまで及んでおらん 201 00:13:38,596 --> 00:13:43,935 ちなみに エアコンは 電力を多く使いますので ご注意を 202 00:13:43,935 --> 00:13:46,235 ああ 承知した 203 00:13:53,278 --> 00:13:56,948 よし! 静江 これで もう安心だ 204 00:13:56,948 --> 00:13:59,284 はい うん 205 00:13:59,284 --> 00:14:02,287 (障子戸の開く音) 206 00:14:02,287 --> 00:14:06,558 静江 支度は出来たか? 太郎は どうした? 207 00:14:06,558 --> 00:14:10,228 平賀さんの所です 早く 太郎も連れてこい 208 00:14:10,228 --> 00:14:12,897 久右衛門殿 最後に もう一品 209 00:14:12,897 --> 00:14:14,899 お試しいただきたい 道具がございます 210 00:14:14,899 --> 00:14:16,901 (久右衛門)あっ? 211 00:14:16,901 --> 00:14:20,905 <そして このあと 令和のエアコンは静江の兄を 212 00:14:20,905 --> 00:14:24,205 心変わりさせることが できるのか?> 213 00:15:27,272 --> 00:15:31,609 ご覧くだされ こちらの白い箱 えあこんと申しまして… 214 00:15:31,609 --> 00:15:33,611 手妻の道具は もうよい 215 00:15:33,611 --> 00:15:36,281 いや… あの 上がって 見てくだされ ちょっと… はい 216 00:15:36,281 --> 00:15:38,616 こちらに座って… もうよいと言ったであろう 217 00:15:38,616 --> 00:15:41,286 静江 行くぞ お兄様 218 00:15:41,286 --> 00:15:45,623 私は 何と言われても ここを離れる気はありません 219 00:15:45,623 --> 00:15:47,558 まだ言うか! 220 00:15:47,558 --> 00:15:52,563 私は… 四十郎様と太郎と 三人で暮らしたいのです 221 00:15:52,563 --> 00:15:57,568 確かに 四十郎様は 奉行所をお役御免に… 222 00:15:57,568 --> 00:16:02,240 ですが それは 役人の不正に 立ち向かったからでございます 223 00:16:02,240 --> 00:16:04,575 不正に? 224 00:16:04,575 --> 00:16:08,579 理由はどうあれ 苦労をかけているのは事実 225 00:16:08,579 --> 00:16:10,915 苦労などとは… 226 00:16:10,915 --> 00:16:13,251 私は 四十郎様は 227 00:16:13,251 --> 00:16:16,551 間違ったことをしたとは 思っていません 228 00:16:19,257 --> 00:16:21,926 (久右衛門) 《何だ? この気持ちは》 229 00:16:21,926 --> 00:16:24,226 《体が ぽかぽかしてくる…》 230 00:16:27,265 --> 00:16:31,602 四十郎様は 立派なお方です 231 00:16:31,602 --> 00:16:33,604 静江 232 00:16:33,604 --> 00:16:37,275 (久右衛門)《熱い… 熱いぞ》 233 00:16:37,275 --> 00:16:39,610 《もしや これは この二人の… 234 00:16:39,610 --> 00:16:43,210 あ… 愛の力なのか?》 235 00:16:48,219 --> 00:16:50,888 (久右衛門)うん? 236 00:16:50,888 --> 00:16:53,558 《止まっておる!》 237 00:16:53,558 --> 00:16:57,562 (久右衛門) 何だか 急に肌寒くなってきた… 238 00:16:57,562 --> 00:16:59,564 《いかん!》 239 00:16:59,564 --> 00:17:02,233 《なぜ つかんのだ? なぜ つかんのだ!》 240 00:17:02,233 --> 00:17:04,235 《あっ!》 241 00:17:04,235 --> 00:17:06,237 《ちなみに エアコンは 242 00:17:06,237 --> 00:17:10,575 電力を多く使いますので ご注意を》 243 00:17:10,575 --> 00:17:15,246 うう~っ! カージー殿が 忠告してくれていたのにっ! 244 00:17:15,246 --> 00:17:17,582 四十郎様 245 00:17:17,582 --> 00:17:21,919 久右衛門殿 えあこんは また すぐに動きますゆえ 246 00:17:21,919 --> 00:17:27,219 いましばらく… いま~しばらく お待ち~くだされ~! 247 00:17:33,264 --> 00:17:36,934 この箱のせいだったのか… 248 00:17:36,934 --> 00:17:39,604 何が 愛の力だ! 249 00:17:39,604 --> 00:17:42,273 愛の力? 250 00:17:42,273 --> 00:17:45,610 いや… 何でもない 251 00:17:45,610 --> 00:17:50,548 さあ 静江 すぐ支度をしろ やつが戻ってくると面倒だ 252 00:17:50,548 --> 00:17:53,885 嫌です (久右衛門)なぜなんだ 静江… 253 00:17:53,885 --> 00:17:58,222 これまで わしに逆らうことなど なかったではないか 254 00:17:58,222 --> 00:18:02,226 すさんだ生活で すれてしまったんだな… 255 00:18:02,226 --> 00:18:04,228 共に 水戸で暮らし 256 00:18:04,228 --> 00:18:09,567 あのころの 素直で おとなしい妹に戻ってくれ 257 00:18:09,567 --> 00:18:12,570 お兄様は 四十郎様が 258 00:18:12,570 --> 00:18:16,240 今 何をなさっているか お分かりですか? 259 00:18:16,240 --> 00:18:18,242 あっ? 260 00:18:18,242 --> 00:18:22,246 四十郎様は これらの家電を動かすために 261 00:18:22,246 --> 00:18:25,583 体を酷使されています 262 00:18:25,583 --> 00:18:27,585 どういうことじゃ? 263 00:18:27,585 --> 00:18:30,185 私に ついてきてください 264 00:18:33,925 --> 00:18:36,225 (車輪の音) 265 00:18:43,935 --> 00:18:47,872 四十郎様は毎日 傘張りに加え 266 00:18:47,872 --> 00:18:50,875 ひたすら あの車を動かしています 267 00:18:50,875 --> 00:18:54,545 全ては 私や太郎を楽にしたいという 268 00:18:54,545 --> 00:18:57,882 四十郎様の優しさです 269 00:18:57,882 --> 00:19:02,220 しかも 道具を使いにくくなるだろうと 270 00:19:02,220 --> 00:19:05,890 このことを私や太郎には秘密に 271 00:19:05,890 --> 00:19:08,226 そんな すてきなお方 272 00:19:08,226 --> 00:19:12,230 水戸や江戸… いえ 273 00:19:12,230 --> 00:19:15,830 日本中 探しても 他にはいません 274 00:19:17,902 --> 00:19:20,905 カージー殿 蓄電はどうじゃ? 275 00:19:20,905 --> 00:19:24,242 いえ まだ 十分ではありません 276 00:19:24,242 --> 00:19:26,244 ハァ… そうか… (ブレーキ音) 277 00:19:26,244 --> 00:19:31,249 やはり… ハァー 拙者は何をやっても駄目だ 278 00:19:31,249 --> 00:19:34,585 ああ… ハァー 279 00:19:34,585 --> 00:19:36,921 (久右衛門)邪魔するぞ 280 00:19:36,921 --> 00:19:42,260 あっ 久右衛門殿! なぜ… ここに? 281 00:19:42,260 --> 00:19:45,263 待ちくたびれてな 282 00:19:45,263 --> 00:19:48,563 ここで 話をさせてくれ 283 00:19:51,202 --> 00:19:55,202 拙者も… 話をさせてください 284 00:19:57,208 --> 00:19:59,208 <そして このあと…> 285 00:20:02,880 --> 00:20:07,180 静江とは… 離縁いたします 286 00:22:14,278 --> 00:22:19,278 静江とは… 離縁いたします 287 00:22:21,285 --> 00:22:24,622 どうして 急に心変わりを? 288 00:22:24,622 --> 00:22:28,626 静江と太郎を幸せにしたい 289 00:22:28,626 --> 00:22:33,297 拙者には その一心しかありません 290 00:22:33,297 --> 00:22:38,297 しかし 拙者の力には限りが… 291 00:22:42,640 --> 00:22:45,976 誠に… 292 00:22:45,976 --> 00:22:48,576 二人の幸せを願うならば 293 00:22:51,649 --> 00:22:55,319 久右衛門殿のおっしゃるとおり 294 00:22:55,319 --> 00:23:00,319 水戸の屋敷で 悠々自適に暮らす方が 295 00:23:04,995 --> 00:23:07,998 フッ 296 00:23:07,998 --> 00:23:11,598 静江と太郎は 拙者が説得します 297 00:23:14,004 --> 00:23:18,004 なので どうか… 298 00:23:20,678 --> 00:23:25,278 二人を… 水戸へお連れください 299 00:23:33,624 --> 00:23:38,963 いや 連れてはいけん 300 00:23:38,963 --> 00:23:41,966 えっ? 301 00:23:41,966 --> 00:23:46,637 実は 先ほど 静江に言われたのだ 302 00:23:46,637 --> 00:23:48,639 《お兄様》 303 00:23:48,639 --> 00:23:51,308 《これだけ話しても 分からないと言うなら 304 00:23:51,308 --> 00:23:54,308 私にも覚悟があります》 305 00:23:57,314 --> 00:24:00,985 《四十郎様と 離縁するぐらいなら… 306 00:24:00,985 --> 00:24:05,990 お兄様 父上 母上とは 307 00:24:05,990 --> 00:24:08,290 縁を切らせていただきます》 308 00:24:10,995 --> 00:24:12,995 《静江》 309 00:24:15,666 --> 00:24:18,335 《静江…》 310 00:24:18,335 --> 00:24:21,672 なんと… 311 00:24:21,672 --> 00:24:27,278 あのおとなしかった静江に ああまで言われるとな… 312 00:24:27,278 --> 00:24:29,613 それに この笑顔 313 00:24:29,613 --> 00:24:32,616 えっ? 314 00:24:32,616 --> 00:24:34,952 カージー殿 何を? 315 00:24:34,952 --> 00:24:37,288 これは 私が保存している 316 00:24:37,288 --> 00:24:40,958 コレクションです 317 00:24:40,958 --> 00:24:42,960 (久右衛門)わしは 318 00:24:42,960 --> 00:24:47,965 静江のこんな笑顔を 見たことがない 319 00:24:47,965 --> 00:24:53,265 この笑顔を見れば 静江が誠に幸せなのだと分かる 320 00:24:55,973 --> 00:24:57,973 久右衛門殿 321 00:24:59,977 --> 00:25:02,313 四十郎 はい 322 00:25:02,313 --> 00:25:04,315 これからも 323 00:25:04,315 --> 00:25:08,319 静江を 笑顔にしてやってくれるか? 324 00:25:08,319 --> 00:25:13,324 これから先 何があろうと 325 00:25:13,324 --> 00:25:16,624 二人の笑顔を守り抜きます 326 00:25:18,662 --> 00:25:21,332 頼んだぞ 327 00:25:21,332 --> 00:25:23,667 はい 328 00:25:23,667 --> 00:25:28,272 ミスター四十郎 おめでとうございます 329 00:25:28,272 --> 00:25:31,942 カージー殿 また助けられたな 礼を言う 330 00:25:31,942 --> 00:25:35,613 いえいえ 夫婦の愛の力です 331 00:25:35,613 --> 00:25:38,616 では 久右衛門殿 帰りますかな 332 00:25:38,616 --> 00:25:41,952 久右衛門殿 ハハハ… さあ 帰りましょう 333 00:25:41,952 --> 00:25:44,288 何やつだ? みんな 待っておる うん はい… 334 00:25:44,288 --> 00:25:46,290 何やつじゃ! えっ? 335 00:25:46,290 --> 00:25:48,292 いやいや あれは カージー殿ですよ 336 00:25:48,292 --> 00:25:50,628 兄上 どうぞ (久右衛門)うん 337 00:25:50,628 --> 00:25:54,298 いや~ 暖かい 338 00:25:54,298 --> 00:25:57,635 この えあこんというのは 実に すばらしい 339 00:25:57,635 --> 00:26:01,639 四十郎の思いがこもっておる えっ? 340 00:26:01,639 --> 00:26:06,977 うん… いや 何でもない 341 00:26:06,977 --> 00:26:09,313 ハハハ… ハハハッ あっ それより 342 00:26:09,313 --> 00:26:12,316 父上と母上には わしから言っておく 343 00:26:12,316 --> 00:26:15,319 もう二度と 口は挟ません 344 00:26:15,319 --> 00:26:18,619 お兄様 ありがとうございます 345 00:26:23,661 --> 00:26:27,264 あれ? うまいこと まとまったみたいですね 346 00:26:27,264 --> 00:26:31,602 (久右衛門)これは 平賀殿 (平賀)殿が付いたよ! 347 00:26:31,602 --> 00:26:35,272 昨日の無礼 許してくれ 申し訳なかった 348 00:26:35,272 --> 00:26:38,275 いえいえ 私は大丈夫です 349 00:26:38,275 --> 00:26:40,945 謝るなら 四十郎殿ですよ 350 00:26:40,945 --> 00:26:44,615 いや… 弟には さんざん謝った ハハッ 351 00:26:44,615 --> 00:26:47,618 ここを 厠って言ったんですよ あなた 352 00:26:47,618 --> 00:26:50,287 あ… いや… それは ホントに… 353 00:26:50,287 --> 00:26:52,957 (平賀) 私も隣の厠に住んでますからね 354 00:26:52,957 --> 00:26:54,959 あ… いや… フフフッ 不思議なことに 355 00:26:54,959 --> 00:26:57,628 今夜 泊まっていくんですって この厠に 356 00:26:57,628 --> 00:27:00,631 (平賀)あら~ (久右衛門)静江まで 勘弁してくれ 357 00:27:00,631 --> 00:27:02,633 (一同の笑い声) 358 00:27:02,633 --> 00:27:04,969 (久右衛門) 太郎 伯父さんを助けてくれ! 359 00:27:04,969 --> 00:27:09,640 ぼろ小屋とも言ってました! (平賀)アハハ… いいぞ 太郎殿 360 00:27:09,640 --> 00:27:11,642 ハハハ… さあさあ 361 00:27:11,642 --> 00:27:14,311 太郎! おう 膝の上に来なさい (平賀)お邪魔します 362 00:27:14,311 --> 00:27:17,314 <江戸時代に現れた エアコン> 363 00:27:17,314 --> 00:27:21,986 <その暖かな風は こじれた人間関係にも 364 00:27:21,986 --> 00:27:25,990 心地良い風を 吹き込んだのであった> 365 00:27:25,990 --> 00:27:30,928 <これにて 一件落着… と思いきや 366 00:27:30,928 --> 00:27:34,598 もはや この家族に 平穏は訪れないのか?> 367 00:27:34,598 --> 00:27:37,198 <またしても 大 大トラブルが!> 368 00:27:51,281 --> 00:27:54,284 ああ… 一体 どうしたらよいのだ! 369 00:27:54,284 --> 00:27:56,620 最後の手段です 370 00:27:56,620 --> 00:27:59,620 カージー殿 何か ものすごい家電が? 371 00:28:03,293 --> 00:28:05,295 ほっ おっと… 372 00:28:05,295 --> 00:28:08,298 あっ 行った行った くるくる! くるくるくる くる! 373 00:28:08,298 --> 00:28:10,300 行ってるよ 行ってるよ うん おお~! 374 00:28:10,300 --> 00:28:12,302 ああ ああっ… あっ あっ あっ! 375 00:28:12,302 --> 00:28:15,305 おいしゅうございます~ フフフッ 376 00:28:15,305 --> 00:28:17,307 出てきて 一緒にやらないか? 377 00:28:17,307 --> 00:28:19,309 とっても楽しいわよ~ 378 00:28:19,309 --> 00:28:21,909 そうめんは あまり好きではありません 379 00:28:24,314 --> 00:28:26,583 何かあったのか? 380 00:28:26,583 --> 00:28:32,923 太郎は… 父上と母上の 本当の子ではないのかもしれない 381 00:28:32,923 --> 00:28:35,259 そんなわけないではないか 382 00:28:35,259 --> 00:28:40,264 太郎は 静江が自分の命と引き換えに 383 00:28:40,264 --> 00:28:42,266 《頑張って!》 (女性)《頑張って!》 384 00:28:42,266 --> 00:28:44,268 《ほら 大丈夫よ》 (女性)《もうちょっと!》 385 00:28:44,268 --> 00:28:47,271 《ああ… すまん すまん》 386 00:28:47,271 --> 00:28:49,940 《ああ… ああ…》 387 00:28:49,940 --> 00:28:52,276 《私は… どうなっても かまいません》 388 00:28:52,276 --> 00:28:56,947 《この子だけは… この子だけは お願いします!》 389 00:28:56,947 --> 00:29:00,284 そうだ! 一芝居 打つとしよう 390 00:29:00,284 --> 00:29:02,286 平賀殿 太郎を呼んできてくれぬか? 391 00:29:02,286 --> 00:29:04,286 (平賀)はあ…