1 00:00:34,012 --> 00:00:36,014 カラーン カラーン…(鐘の音) 2 00:00:36,014 --> 00:00:38,016 (質問者)カフカ氏と あなたの出会いについて➡ 3 00:00:38,016 --> 00:00:40,018 教えてください。 4 00:00:40,018 --> 00:00:45,957 ♬~ 5 00:00:45,957 --> 00:00:48,627 (ブロート)カフカと 初めて出会ったのは 1902年。 6 00:00:48,627 --> 00:00:52,097 私が プラハ大学で ショーペンハウアーの講演を行ったとき➡ 7 00:00:52,097 --> 00:00:54,232 彼が 客として聴きに来ていたのです。 8 00:00:54,232 --> 00:00:57,102 そこから 我々の友情は始まりました。 9 00:00:57,102 --> 00:00:59,871 (質問者)カフカ氏とは どういう人物ですか? 10 00:00:59,871 --> 00:01:02,440 複雑で 神経質と思われていますが➡ 11 00:01:02,440 --> 00:01:04,476 実は シンプルです。 カフカは➡ 12 00:01:04,476 --> 00:01:07,212 絶望するために 生まれてきた男です。 13 00:01:07,212 --> 00:01:09,748 (質問者)現在も カフカ氏と 交流はありますか? 14 00:01:09,748 --> 00:01:12,851 はい。 彼が暮らすTOKYOから➡ 15 00:01:12,851 --> 00:01:14,851 時々 便りが来ますよ。 16 00:01:17,489 --> 00:01:21,927 (質問者)2019年? どうして 100年以上先のTOKYOに? 17 00:01:21,927 --> 00:01:24,963 分かりません。 しかし すべての物事には➡ 18 00:01:24,963 --> 00:01:28,099 意味があるように カフカが 100年後のTOKYOにいるのにも➡ 19 00:01:28,099 --> 00:01:30,199 きっと 意味があるはずです。 20 00:01:31,770 --> 00:01:33,772 カシャ(カメラのシャッター音) 21 00:01:33,772 --> 00:01:39,272 ♬~ 22 00:01:42,347 --> 00:02:02,367 ♬~ 23 00:02:02,367 --> 00:02:22,367 ♬~ 24 00:02:25,390 --> 00:02:28,790 チュンチュン…(鳥の鳴き声) 25 00:02:35,400 --> 00:02:37,402 (フランツ・カフカ 心の声) ≪僕は とっくに起きている≫ 26 00:02:37,402 --> 00:02:40,038 ≪が 目を閉じたままでいる≫ 27 00:02:40,038 --> 00:02:42,974 ≪なぜか? 目を開いて起きた瞬間から➡ 28 00:02:42,974 --> 00:02:45,543 一日が始まる。 そうなると いやがおうにも➡ 29 00:02:45,543 --> 00:02:49,214 活動しなければならない。 しかし 活動したところで➡ 30 00:02:49,214 --> 00:02:52,217 なんら生産性のない 一日になるのは 明白だ≫ 31 00:02:52,217 --> 00:02:54,717 ≪だから こうしている方がいいのだ≫ 32 00:02:57,889 --> 00:02:59,989 ≫(子ども)だあ~っ! ≫ ガン! 33 00:03:02,460 --> 00:03:04,629 ≪ああ~ 僕以外の人々は➡ 34 00:03:04,629 --> 00:03:07,098 どうしてこうも 活発なんだろうか≫ 35 00:03:07,098 --> 00:03:10,602 ≪君たちが 活発であればあるほど 僕は 焦燥に駆られ➡ 36 00:03:10,602 --> 00:03:13,438 己の無能さを 痛感せずにはいられない≫ 37 00:03:13,438 --> 00:03:19,177 ≪ ガタンゴトン ガタンゴトン… (電車の走行音) 38 00:03:19,177 --> 00:03:21,179 はぁ~…。 39 00:03:21,179 --> 00:03:26,351 ♬~ 40 00:03:26,351 --> 00:03:29,587 あっ! あぁ…。 41 00:03:29,587 --> 00:03:46,604 ♬~ 42 00:03:46,604 --> 00:03:49,804 今朝は 小指の曲がり方が変だ…。 43 00:04:06,091 --> 00:04:09,127 ≪今日は アルバイトがある日≫ 44 00:04:09,127 --> 00:04:14,165 ≪行きたくない。 2019年の東京で 暮らしているにもかかわらず➡ 45 00:04:14,165 --> 00:04:17,669 どうして 僕は パンのために 働かなければならないんだ≫ 46 00:04:17,669 --> 00:04:20,572 ≪パンのために働けば 小説を書く時間はない≫ 47 00:04:20,572 --> 00:04:22,574 ≪でも 小説では食べていけない≫ 48 00:04:22,574 --> 00:04:24,974 ≪まるで 絶望のループではないか!≫ 49 00:04:31,082 --> 00:04:33,182 はぁ~…。 50 00:04:39,257 --> 00:04:44,057 ≪プレーンノットでは 貧弱な僕の首が目立ってしまう≫ 51 00:05:03,214 --> 00:05:06,117 52 00:05:06,117 --> 00:05:10,121 ≪うん。 ウィンザーノットの方が 結び目にボリュームがあって➡ 53 00:05:10,121 --> 00:05:12,421 僕でも 自信家に見える≫ 54 00:05:20,932 --> 00:05:24,132 (壱子)カフカさん おはよう。 55 00:05:29,941 --> 00:05:32,241 おはようございます 大家さん。 56 00:05:34,579 --> 00:05:38,950 今日も 顔色さえないけど 朝ご飯 ちゃんと食べてる? 57 00:05:38,950 --> 00:05:42,954 はい 朝食には フルーツと穀物を食べました。 58 00:05:42,954 --> 00:05:46,424 それに 顔色が悪いのは 僕にとって 健康の証し。 59 00:05:46,424 --> 00:05:50,161 ご心配には及びません。 60 00:05:50,161 --> 00:05:54,361 そんなんじゃ 一日持たないわよ。 ちょっと待ってて。 61 00:05:59,037 --> 00:06:02,006 ≪ ガチャ(ドアの音) 62 00:06:02,006 --> 00:06:04,006 ≪ バタン(ドアの音) 63 00:06:18,156 --> 00:06:20,156 (壱子) ほら これ食べていきなさい。 64 00:06:21,793 --> 00:06:26,164 いえ 結構です。 (壱子)遠慮しないの!➡ 65 00:06:26,164 --> 00:06:28,500 焼きイモは お通じにもいいから。 66 00:06:28,500 --> 00:06:31,269 結構です。 (壱子)いいから いいから! 67 00:06:31,269 --> 00:06:35,206 いや 本当に結構です。 (壱子)おいしいんだから。 68 00:06:35,206 --> 00:06:37,242 もう おなかいっぱいなんで すみません。 69 00:06:37,242 --> 00:06:40,144 (壱子)遠慮しないの! いや お気持ちだけ。 70 00:06:40,144 --> 00:06:42,580 (壱子)本当に 本当に。 持っていきなさい。 71 00:06:42,580 --> 00:06:44,582 本当に 本当です。 (壱子)ここで食べてもいい…。 72 00:06:44,582 --> 00:06:46,584 いえいえいえ… 結構です 結構です。 73 00:06:46,584 --> 00:06:48,987 (壱子)いいから いいから。 大丈夫です 大丈夫です。 74 00:06:48,987 --> 00:06:52,687 (壱子)遠慮しないで! 遠慮じゃありません 結構です。 75 00:06:56,995 --> 00:06:59,130 ≪今日も世間は 僕を見て笑う≫ 76 00:06:59,130 --> 00:07:02,767 ≪なぜ 笑われるのか 僕には 皆目 分からない≫ 77 00:07:02,767 --> 00:07:05,303 ≪でも もし僕が 今の僕を見たならば➡ 78 00:07:05,303 --> 00:07:07,403 きっと 笑うに違いない≫ 79 00:07:09,307 --> 00:07:11,307 うおっ! ドサッ!(転倒する音) 80 00:07:12,911 --> 00:07:15,813 ああっ… あぁ…。 81 00:07:15,813 --> 00:07:19,713 あっ 焼きイモが…。 82 00:07:21,519 --> 00:07:24,656 ≪僕が 他人よりも 勝ることが 一つあるとしたら➡ 83 00:07:24,656 --> 00:07:27,256 こうして 倒れたままでいること≫ 84 00:07:28,927 --> 00:07:34,933 ♬~ 85 00:07:34,933 --> 00:07:37,435 はぁ はぁ…。 ウィンザーノットなんかに➡ 86 00:07:37,435 --> 00:07:40,835 するんじゃなかった。 ガチャ 87 00:07:43,441 --> 00:07:45,441 (サトル)はようござい~っす! 88 00:07:51,449 --> 00:07:54,953 おはよう。 カフカさん 聞いてくださいよ。➡ 89 00:07:54,953 --> 00:07:56,955 俺 また オーディション 落ちちゃいました。 90 00:07:56,955 --> 00:07:59,290 オーディションって ギターの演奏会の? 91 00:07:59,290 --> 00:08:01,960 (サトル)違います。 映画のオーディションです。 92 00:08:01,960 --> 00:08:05,363 映画? サトルは 俳優の仕事もやっているの? 93 00:08:05,363 --> 00:08:09,233 (サトル)いや まあ~ まだ 仕事って 言えるほどじゃないっすけど。➡ 94 00:08:09,233 --> 00:08:12,637 まあ 一応 俳優も 俺のマルチな才能の➡ 95 00:08:12,637 --> 00:08:16,240 1個にしようかと思って。 格闘家 ギターの演奏家➡ 96 00:08:16,240 --> 00:08:20,244 漫画家 フィギュア原型師 YouTuber そして俳優まで。 97 00:08:20,244 --> 00:08:24,182 なんて 多才なんだ。 (サトル)あっ あと ここの仕事も。 98 00:08:24,182 --> 00:08:26,284 ここは パンのための仕事ではないの? 99 00:08:26,284 --> 00:08:30,121 (サトル)ああ~ まあ 最初は 生活のためと思ってたんすけど➡ 100 00:08:30,121 --> 00:08:33,124 もしかしたら 最近 自分に いちばん向いてるのは➡ 101 00:08:33,124 --> 00:08:35,193 パン屋かもって。 昨日のオーディションも➡ 102 00:08:35,193 --> 00:08:37,829 そば屋の店員役だったんですけど もし パン屋だったら➡ 103 00:08:37,829 --> 00:08:40,329 絶対 受かってたって自信 ありますもん。 104 00:08:43,001 --> 00:08:45,436 ≪なぜだ? オーディションに落ちたという➡ 105 00:08:45,436 --> 00:08:48,606 絶望的状況を まるで ピクニックに 行った話でもするかのように➡ 106 00:08:48,606 --> 00:08:52,577 楽しそうに語る。 分からない! 僕には分からない!≫ 107 00:08:52,577 --> 00:08:54,577 (サトル)先 入ってま~す。 108 00:08:56,514 --> 00:08:58,514 ガチャ 109 00:09:00,518 --> 00:09:02,518 バタン 110 00:09:04,255 --> 00:09:07,191 こうして いつも 僕は取り残される。 111 00:09:07,191 --> 00:09:12,491 フランツ・カフカ お前は グズで のろまな亀だ! 112 00:09:31,215 --> 00:09:39,757 113 00:09:39,757 --> 00:09:43,795 (山城)カフカちゃん その亀 終わったら➡ 114 00:09:43,795 --> 00:09:45,995 試食用のパン 作ってくれるか? 115 00:09:50,902 --> 00:09:52,902 かしこまりました。 116 00:09:56,307 --> 00:10:09,454 ♬~ 117 00:10:09,454 --> 00:10:12,954 ガチャ バタン 118 00:10:14,826 --> 00:10:16,828 (山城)カフカちゃん 試食用のパン 出来たか? 119 00:10:16,828 --> 00:10:19,230 はい 今 ダブルチーズが終わりました。 120 00:10:19,230 --> 00:10:21,232 これから バゲットに取りかかります。 121 00:10:21,232 --> 00:10:23,234 なんや まだ ダブルチーズだけかいな。 122 00:10:23,234 --> 00:10:26,571 はい。 僕のスキルでは このスピードが限界で。 123 00:10:26,571 --> 00:10:29,006 それに 今日は 小指の曲がり方が 変で…。 124 00:10:29,006 --> 00:10:31,008 申し訳ございません。 125 00:10:31,008 --> 00:10:33,344 ああ もう 試食用は 俺 やっとくから➡ 126 00:10:33,344 --> 00:10:36,644 カフカちゃんは レジ入って。 はい。 127 00:10:40,251 --> 00:10:42,253 ありがとうございました。 128 00:10:42,253 --> 00:10:45,253 ガチャ バタン 129 00:10:53,397 --> 00:10:56,197 (つぐみ)カフカさん 背中 曲がってますよ。 130 00:11:01,773 --> 00:11:04,375 度重なる不安に押し潰されて 曲がったんだよ。 131 00:11:04,375 --> 00:11:08,146 ふふふっ カフカさんって おもしろいですよね。 132 00:11:08,146 --> 00:11:11,849 おもしろい? 僕が? はい。 133 00:11:11,849 --> 00:11:17,288 おもしろいっていうのは つまり 滑稽すぎて笑えるっていう意味? 134 00:11:17,288 --> 00:11:19,988 それとも 興味深いという意味? 135 00:11:26,297 --> 00:11:30,001 つぐみ 仕事中の携帯通話機は厳禁のはず。 136 00:11:30,001 --> 00:11:32,003 あっ ちょっと チェックしてただけなんで。 137 00:11:32,003 --> 00:11:35,006 何か 気になることでもあるの? 138 00:11:35,006 --> 00:11:38,743 今朝 8時に起きて 気合い入れて パンケーキ作ったっちゃ。 139 00:11:38,743 --> 00:11:40,778 この写真 インスタにアップして どれぐらい➡ 140 00:11:40,778 --> 00:11:44,315 いいね 付いとうかなと思って。 どのぐらい付いてたの? 141 00:11:44,315 --> 00:11:46,784 4件。 それは 多い? 少ない?。 142 00:11:46,784 --> 00:11:50,388 いや めっちゃ少ないよ! 私 インスタ始めて➡ 143 00:11:50,388 --> 00:11:52,490 3年経つんですけど フォロワーの数が➡ 144 00:11:52,490 --> 00:11:57,962 127人なんですよ。 今までの投稿数が 13829件。➡ 145 00:11:57,962 --> 00:11:59,997 これ 計算したら 112件投稿して➡ 146 00:11:59,997 --> 00:12:03,534 1人しか増えとらんってことっちゃ。 マジ ヤバくない? 147 00:12:03,534 --> 00:12:07,038 あははっ! ふふふっ。 148 00:12:07,038 --> 00:12:14,812 ♬~ 149 00:12:14,812 --> 00:12:17,815 (つぐみ)えっ? カフカさん どうしました? 150 00:12:17,815 --> 00:12:20,151 マジ ヤバくない? と危機感を募らせながら➡ 151 00:12:20,151 --> 00:12:22,920 表情は 至極明るい。 サトルといい つぐみといい➡ 152 00:12:22,920 --> 00:12:25,990 この時代の若者は 絶望を楽しそうに語る。 153 00:12:25,990 --> 00:12:30,094 これが 2019年の絶望のスタイル? トレンド? 僕には分からない! 154 00:12:30,094 --> 00:12:32,630 でも 君たちが絶望を 楽しそうに語れば語るほど➡ 155 00:12:32,630 --> 00:12:37,030 僕はひどく 深く 絶望せずにはいられないんだ‼ 156 00:12:44,208 --> 00:12:46,808 カシャ カシャ 157 00:14:50,017 --> 00:14:54,422 ♬~ 158 00:14:54,422 --> 00:14:56,991 ≪夜が明けて 朝になってしまった≫ 159 00:14:56,991 --> 00:15:01,629 ≪ひと晩中 執筆して 書いたのは 題名だけ≫ 160 00:15:01,629 --> 00:15:03,631 ≪それにしても どうして こんな題名を付けたのか➡ 161 00:15:03,631 --> 00:15:07,635 まるで覚えていない。 ああ やっぱり 私に➡ 162 00:15:07,635 --> 00:15:12,273 作家としての才能はない。 己の無能さに絶望し➡ 163 00:15:12,273 --> 00:15:16,377 いっそ 人間をやめて 虫にでも なってしまいたい気分だ≫ 164 00:15:16,377 --> 00:15:19,880 おまけに 今日は アルバイトの日。 165 00:15:19,880 --> 00:15:22,583 はぁ~…。 166 00:15:22,583 --> 00:15:24,983 ますます 虫になりたい。 167 00:15:26,354 --> 00:15:30,291 ありがとうございました。 ガチャ バタン 168 00:15:30,291 --> 00:15:33,591 カフカさん あのおじさん また来てますよ。 169 00:15:39,033 --> 00:15:41,733 あははっ 我が同志! 170 00:15:49,410 --> 00:15:51,410 (伊集院)いつも悪いね。 171 00:15:58,486 --> 00:16:01,055 遠慮などいりません。 小説家と編集者➡ 172 00:16:01,055 --> 00:16:03,924 互いに 文学を愛する 同志ではありませんか。 173 00:16:03,924 --> 00:16:07,928 文学っつっても 俺がやってたのは もっぱらエロ系だけどね。 174 00:16:07,928 --> 00:16:11,932 何をおっしゃいます。 官能小説だって 立派な文学。 175 00:16:11,932 --> 00:16:13,934 マルキ・ド・サドの 「悪徳の栄え」や➡ 176 00:16:13,934 --> 00:16:16,871 デーヴィッド・ハーバート・ロレンスの 「チャタレイ夫人の恋人」は➡ 177 00:16:16,871 --> 00:16:18,873 僕も 大いに刺激を受けました。 178 00:16:18,873 --> 00:16:32,253 ♬~ 179 00:16:32,253 --> 00:16:35,055 (回想)⦅なんていう 悲壮感あふれる倒れ方なんだ!⦆ 180 00:16:35,055 --> 00:16:39,693 ♬~ 181 00:16:39,693 --> 00:16:43,697 ≪僕は 倒れることにかけては 誰にも負けないつもりでいたが➡ 182 00:16:43,697 --> 00:16:47,997 負けだ。 あらゆる点で完敗だ≫ 183 00:16:54,475 --> 00:16:56,477 (伊集院) 50手前で 会社をクビになって➡ 184 00:16:56,477 --> 00:17:00,915 あげくに 家族に捨てられて ああ これはヤツらの陰謀だ。 185 00:17:00,915 --> 00:17:05,619 人生 終わったなって覚悟したけど カフカちゃんに出会って➡ 186 00:17:05,619 --> 00:17:09,390 もういっぺん生きてみようって 思ったんだよ 俺は。 187 00:17:09,390 --> 00:17:13,294 それで同志は 今後 仕事に就く予定はないのですか? 188 00:17:13,294 --> 00:17:16,630 クビになったときは 早く 仕事見つけようって思ったけど➡ 189 00:17:16,630 --> 00:17:19,300 今は こうやって 毎日 自由気ままでいるのも➡ 190 00:17:19,300 --> 00:17:26,240 楽ちんかなって。 ははははっ。➡ 191 00:17:26,240 --> 00:17:30,644 ああ~ ああっ…。➡ 192 00:17:30,644 --> 00:17:35,483 よいしょ…。 ああ~。 193 00:17:35,483 --> 00:17:37,918 ≪仕事も家族も失い 今日食べるパンも➡ 194 00:17:37,918 --> 00:17:41,388 施しがないとありつけない 崖っぷち人生だというのに➡ 195 00:17:41,388 --> 00:17:43,924 どうして 笑えるんだ? 絶望のあまり➡ 196 00:17:43,924 --> 00:17:45,924 おかしくなったのか?≫ 197 00:17:53,467 --> 00:17:56,767 (山城)カフカちゃん ちょっと。 はい。 198 00:18:01,108 --> 00:18:04,278 (山城)カフカちゃんの博愛主義は 立派や思うけど➡ 199 00:18:04,278 --> 00:18:07,615 パン目当てで お店に よりつかれても困るしな。 200 00:18:07,615 --> 00:18:11,515 とにかく 今後は禁止や。 なっ 分かったか? 201 00:18:12,786 --> 00:18:14,786 かしこまりました…。 202 00:18:17,491 --> 00:18:20,991 僕は なんて無力な男なんだろう。 203 00:18:22,496 --> 00:18:25,933 こんな無力な男など このまま行き倒れて➡ 204 00:18:25,933 --> 00:18:29,933 死んでしまった方が 世のためになるのかもしれない。 205 00:18:40,915 --> 00:18:43,015 はぁ~…。 206 00:18:45,686 --> 00:18:49,323 フランツ・カフカ ここに眠る。 207 00:18:49,323 --> 00:18:53,327 死因は 絶望死。 208 00:18:53,327 --> 00:18:56,627 ふぅ…。 209 00:18:59,033 --> 00:19:05,333 ≫ ガタンゴトン ガタンゴトン… 210 00:19:12,513 --> 00:19:14,513 (村上)お待ちどおさま。 211 00:19:23,324 --> 00:19:33,434 ♬~ 212 00:19:33,434 --> 00:19:35,970 カランカラン(ドアベル) 213 00:19:35,970 --> 00:19:37,972 (村上)いらっしゃい。 214 00:19:37,972 --> 00:19:40,172 (瑠璃香)ああ~ カフカちんだ! 215 00:19:46,814 --> 00:19:49,350 何してんの? 216 00:19:49,350 --> 00:19:51,385 一日を振り返っていたんです。 217 00:19:51,385 --> 00:19:54,288 (瑠璃香)いい一日だった? いいえ。 218 00:19:54,288 --> 00:19:58,392 自己嫌悪と絶望に押し潰される 最悪の一日でした。 219 00:19:58,392 --> 00:20:00,995 (瑠璃香)ふぅ~ん。 ホットね。 220 00:20:00,995 --> 00:20:04,365 (村上)はい。 (瑠璃香)そういう日もあるよ。➡ 221 00:20:04,365 --> 00:20:06,367 今日は 最高だった~! なんて➡ 222 00:20:06,367 --> 00:20:08,369 そっちの方が 逆に珍しいから。➡ 223 00:20:08,369 --> 00:20:10,471 ねっ マスター。 (村上)はい。➡ 224 00:20:10,471 --> 00:20:12,506 カフカさんじゃないけど 僕も 今日は➡ 225 00:20:12,506 --> 00:20:16,377 あんまり よくない一日でした。 何かあったの? 226 00:20:16,377 --> 00:20:19,113 妻が 大学生の男と 駆け落ちしたんです。 227 00:20:19,113 --> 00:20:22,716 (瑠璃香)えっ!? 大学生って… 奥さん いくつ? 228 00:20:22,716 --> 00:20:24,718 36歳です。 どうやって➡ 229 00:20:24,718 --> 00:20:26,820 大学生と知り合ったのか そっち 気になる。 230 00:20:26,820 --> 00:20:30,324 駅伝の応援に行ったときに 知り合ったみたいですよ。 231 00:20:30,324 --> 00:20:33,327 もしかして 大学生の男って 駅伝の選手? 232 00:20:33,327 --> 00:20:36,730 だから 追いかけても無駄なんですよ。 233 00:20:36,730 --> 00:20:39,833 ≪愛する妻が 年の離れた男と 駆け落ちしたというのに➡ 234 00:20:39,833 --> 00:20:42,503 どうして 笑みを浮かべて語れるんだ?≫ 235 00:20:42,503 --> 00:20:44,538 ≪僕なら 耐えきれず 自殺する≫ 236 00:20:44,538 --> 00:20:47,141 ≪いや その前に ショック死してしまう≫ 237 00:20:47,141 --> 00:20:50,577 (瑠璃香)ねえ まむしアイスクリームって 食べたことある? 238 00:20:50,577 --> 00:20:52,980 (村上)いいえ。 今 うちのクリニックで➡ 239 00:20:52,980 --> 00:20:56,684 サービスで出してんだけど 元気出るって評判いいの。 240 00:20:56,684 --> 00:20:59,153 今度 持ってきてあげるね。 いいんですか? 241 00:20:59,153 --> 00:21:01,155 ぜひ お願いします! 242 00:21:01,155 --> 00:21:03,724 ≪妻に捨てられた男が アイスクリームごときで➡ 243 00:21:03,724 --> 00:21:06,360 どうして 無邪気に喜ぶ? 分からない!≫ 244 00:21:06,360 --> 00:21:08,362 ≪僕には 全然 分からない!≫ 245 00:21:08,362 --> 00:21:15,302 ああ~~っ‼ 246 00:21:15,302 --> 00:21:20,307 ああ~~っ‼ 247 00:21:20,307 --> 00:21:23,677 ああ~~っ‼ 248 00:21:23,677 --> 00:21:29,177 ≫ うわぁ~~‼ 249 00:21:33,687 --> 00:21:38,487 ≫ ガタンゴトン ガタンゴトン… 250 00:21:58,378 --> 00:22:02,816 251 00:22:02,816 --> 00:22:06,320 ありがとうございました。 ガチャ 252 00:22:06,320 --> 00:22:09,520 カフカさん あのおじさん また来てますよ。 253 00:22:25,339 --> 00:22:33,239 ♬~ 254 00:22:39,987 --> 00:22:50,287 ♬~ 255 00:22:53,433 --> 00:23:13,086 ♬~ 256 00:23:13,086 --> 00:23:15,956 ≫ ジャーッ!(トイレの流水音) バタン 257 00:23:15,956 --> 00:23:25,056 ♬~ 258 00:23:31,471 --> 00:23:34,371 (山城)カフカちゃん どこ行くの? 259 00:25:53,013 --> 00:25:56,016 ドン ドン ドン ドン… (頭をぶつける音) 260 00:25:56,016 --> 00:26:00,916 ドン ドン ドン ドン ドン… 261 00:26:04,491 --> 00:26:06,493 一体 僕は どうしたらいいんだ。 262 00:26:06,493 --> 00:26:08,495 パンを求める同志に応えるべきか。 263 00:26:08,495 --> 00:26:10,497 それとも パンを作る店長に従うべきなのか。 264 00:26:10,497 --> 00:26:13,867 どっちのパンを選べばいいんだ! そもそも 僕は➡ 265 00:26:13,867 --> 00:26:15,869 小説を書きたいにもかかわらず 食えないからといって➡ 266 00:26:15,869 --> 00:26:18,672 パンのための仕事として パン屋を選ぶ 愚か者! 267 00:26:18,672 --> 00:26:22,075 こんな愚か者に 他人を救えるはずがない! 268 00:26:22,075 --> 00:26:25,078 僕にできることは この貧弱な体と ガラスのような心で➡ 269 00:26:25,078 --> 00:26:27,781 絶望を 全部まとめて 受け止めることだ! 270 00:26:27,781 --> 00:26:37,357 ♬~ 271 00:26:37,357 --> 00:26:39,359 ドサッ 272 00:26:39,359 --> 00:26:43,159 カァー カァー…(カラスの鳴き声) 273 00:26:48,301 --> 00:26:51,972 カフカちゃん 俺が間違ってた。 274 00:26:51,972 --> 00:26:55,108 俺 働いて 稼いでから パン買いに来るよ。 275 00:26:55,108 --> 00:26:57,677 (山城)俺も間違えてたわ。 余ってるパンは➡ 276 00:26:57,677 --> 00:27:00,414 困ってる人のために役立てて なっ。 277 00:27:00,414 --> 00:27:02,749 (サトル) 俺も いろいろ 手出すのやめて➡ 278 00:27:02,749 --> 00:27:04,785 YouTuber1本に絞る! 279 00:27:04,785 --> 00:27:07,454 (つぐみ)私も インスタのフォロワー数 どうしたら増えるか➡ 280 00:27:07,454 --> 00:27:09,589 真剣に考えます! 281 00:27:09,589 --> 00:27:13,589 カァー カァー カァー… 282 00:27:20,000 --> 00:27:22,402 (ブロート)カフカの絶望には 人を よき方向へと➡ 283 00:27:22,402 --> 00:27:26,473 導く力があります。 だから 混沌とした社会には➡ 284 00:27:26,473 --> 00:27:28,973 カフカの絶望が 必要なのです。 285 00:27:30,877 --> 00:27:35,677 カシャ カシャ カシャ 286 00:27:36,883 --> 00:27:46,393 ♬~ 287 00:27:46,393 --> 00:27:55,268 ♬~ 288 00:27:55,268 --> 00:28:07,714 ♬~ 289 00:28:07,714 --> 00:28:16,314 ♬~ 290 00:28:18,692 --> 00:28:22,696 (ナレーション)<次回のカフカは 子猫とSNSに絶望する!> 291 00:28:22,696 --> 00:28:24,798 <カフカが 子猫に振り回される> 292 00:28:24,798 --> 00:28:27,033 < いいねが付いて にんまりする> 293 00:28:27,033 --> 00:28:30,333 < あの~ 全然 絶望しそうにないんですけど?>