1 00:00:36,728 --> 00:00:40,866 (物音) 2 00:00:40,866 --> 00:00:42,801 (磐音)女将殿か? 3 00:00:42,801 --> 00:00:45,737 ≪(奈緒) お久しぶりでございました。 4 00:00:45,737 --> 00:00:56,437 ♬~ 5 00:00:58,217 --> 00:01:07,917 ♬~ 6 00:01:12,231 --> 00:01:14,900 (奈緒)磐音様…➡ 7 00:01:14,900 --> 00:01:19,900 いつか このような日がくれば いいと 念じておりました。 8 00:01:21,773 --> 00:01:27,913 いつか必ず… このような日がくると。 9 00:01:27,913 --> 00:01:29,848 夢が 叶いました。 10 00:01:29,848 --> 00:01:31,783 何を言う。 11 00:01:31,783 --> 00:01:37,723 某は… そなたと共に 見るはずであった夢を➡ 12 00:01:37,723 --> 00:01:41,423 …自らの手で つぶしてしまったのだ。 13 00:01:43,395 --> 00:01:48,200 夢は夢… ただ幼き頃の望みが➡ 14 00:01:48,200 --> 00:01:50,500 果たされなかっただけで ございます。 15 00:01:54,072 --> 00:02:00,779 あのころは… そなたの兄の琴平もいた。 16 00:02:00,779 --> 00:02:05,779 舞殿… 慎之輔もおった。 17 00:02:08,220 --> 00:02:14,520 無心に願えば… 望みは叶うと思うていたが…。 18 00:02:17,896 --> 00:02:23,896 お家の事情とはいえ 某が 琴平を殺めてしまった。 19 00:02:27,239 --> 00:02:29,908 そのせいで そなたには➡ 20 00:02:29,908 --> 00:02:33,608 させずともよい苦労を 背負わせてしまった。 21 00:02:38,183 --> 00:02:40,183 何を言われます。 22 00:02:42,054 --> 00:02:46,754 苦しんだのは 磐音様も 同じでは ございませぬか。 23 00:02:48,527 --> 00:02:52,197 奈緒は 承知しております。 24 00:02:52,197 --> 00:02:57,197 磐音様が 関前から江戸まで 私を追ってきて下さったこと。 25 00:02:58,870 --> 00:03:04,743 吉原に乗り込んで以来 いつも守っていて下さったこと。 26 00:03:04,743 --> 00:03:07,743 そして 此度もまた…。 27 00:03:10,215 --> 00:03:14,915 奈緒は 幸せ者でございます。 28 00:03:19,558 --> 00:03:22,227 覚えておいでで ございますか? 29 00:03:22,227 --> 00:03:27,899 4年前 江戸勤番から戻られた 磐音様は➡ 30 00:03:27,899 --> 00:03:30,199 奈緒に 簪を下さりました。 31 00:03:33,705 --> 00:03:37,705 さらばだ。 奈緒。 32 00:03:41,847 --> 00:03:43,847 磐音様~! 33 00:03:51,523 --> 00:03:59,197 この簪は… 奈緒の宝物でございます。 34 00:03:59,197 --> 00:04:06,397 某も そなたを追う旅の途中で 一本の扇を頂戴した。 35 00:04:08,874 --> 00:04:21,174 「風に問ふ わが夫はいずこ 実南天」とあった…。 36 00:04:23,889 --> 00:04:30,562 今 ようやく… ようやく… 会えました。 37 00:04:30,562 --> 00:04:34,833 ♬~ 38 00:04:34,833 --> 00:04:40,533 磐音様… 奈緒は 奈緒は! 39 00:04:42,507 --> 00:04:44,507 開けてはならぬ! 40 00:04:54,119 --> 00:04:56,119 夢を見た。 41 00:04:58,056 --> 00:05:05,056 陽炎の辻に立ち 別れを告げる そなたの夢を…。 42 00:05:07,732 --> 00:05:17,876 我らは 生まれた時から 別々の道を歩む運命であったのだ。 43 00:05:17,876 --> 00:05:19,811 磐音様…。 44 00:05:19,811 --> 00:05:34,826 ♬~ 45 00:05:34,826 --> 00:05:42,701 ♬「もう一度その手で」 46 00:05:42,701 --> 00:05:51,843 ♬「私を抱きしめてくれますか」 47 00:05:51,843 --> 00:05:56,715 ♬「めぐり逢えたなら」 48 00:05:56,715 --> 00:05:58,717 ♬~ 49 00:05:58,717 --> 00:06:01,853 (花魁道中先導役) さあさあ お待ちかねの➡ 50 00:06:01,853 --> 00:06:07,192 白鶴花魁の花魁道中で ござりまする。 51 00:06:07,192 --> 00:06:11,863 皆々様には お名残おしゅうは ござりまするが➡ 52 00:06:11,863 --> 00:06:18,737 白無垢姿の花魁を とくと ご覧下さりましょう。 53 00:06:18,737 --> 00:06:29,881 ♬「それでも輝いていた」 54 00:06:29,881 --> 00:06:36,688 ♬「愛をとめないで」 55 00:06:36,688 --> 00:06:40,825 ♬「失っても」 56 00:06:40,825 --> 00:06:45,697 ♬「嘆かないで」 57 00:06:45,697 --> 00:06:52,170 ♬「離れてこそ そばにいる」 58 00:06:52,170 --> 00:07:02,870 ♬「Always Loving You」 59 00:07:04,516 --> 00:07:06,451 (柳次郎)おこんさん。 60 00:07:06,451 --> 00:07:08,451 おこんさん! 61 00:07:10,388 --> 00:07:12,857 (おこん)あ~っ! 品川さん。 62 00:07:12,857 --> 00:07:15,193 品川さんじゃ ありませんよ。 63 00:07:15,193 --> 00:07:18,530 どうしたんですか? ぼんやりしちまって。 64 00:07:18,530 --> 00:07:23,201 え? ぼんやりしてました 私? 65 00:07:23,201 --> 00:07:27,072 顔色が すぐれませんよ。 なんだか 疲れているみたい。 66 00:07:27,072 --> 00:07:29,074 そんなこと ありません。 67 00:07:29,074 --> 00:07:33,812 こないだ 里帰りした ばっかりだし 元気です 私は。 68 00:07:33,812 --> 00:07:35,747 あ そうだ。 もう そろそろ➡ 69 00:07:35,747 --> 00:07:39,484 坂崎さんの 吉原での用事も しまいのはずです。 70 00:07:39,484 --> 00:07:43,822 そう… うまく いったんですか? 71 00:07:43,822 --> 00:07:47,692 まぁ 我ら3人がいれば すべては うまくいきます。 72 00:07:47,692 --> 00:07:49,692 …そうですね。 73 00:07:51,696 --> 00:07:54,466 あっ! 頼まれ事が あったのでした。 74 00:07:54,466 --> 00:07:56,466 じゃ 品川さん これで! 75 00:08:23,495 --> 00:08:25,864 (四郎兵衛)奈緒様。 76 00:08:25,864 --> 00:08:33,564 もはや 吉原に 白鶴なる 花魁の人別は ございません。 77 00:08:36,474 --> 00:08:39,811 主様… お頭様…。 78 00:08:39,811 --> 00:08:50,155 ♬~ 79 00:08:50,155 --> 00:08:52,090 お幸せに。 80 00:08:52,090 --> 00:09:01,766 ♬~ 81 00:09:01,766 --> 00:09:05,704 (宇右衛門)前田屋様 よろしくお願いいたします。 82 00:09:05,704 --> 00:09:14,846 ♬~ 83 00:09:14,846 --> 00:09:21,519 (大門が閉まる音) 84 00:09:21,519 --> 00:09:41,005 ♬~ 85 00:09:41,005 --> 00:09:43,475 (大口屋)白鶴 待ってたぜ。 86 00:09:43,475 --> 00:09:47,812 (お柊)あんたを出羽の国になんか やらせやしないよ。 87 00:09:47,812 --> 00:09:51,683 あんたの身柄と 雛菊を 取り替えるんだからね。 88 00:09:51,683 --> 00:09:56,988 (彪次)前田屋 悪いが おまえの運も ここまでだ。 89 00:09:56,988 --> 00:09:59,023 覚悟しな。 90 00:09:59,023 --> 00:10:02,160 ♬~ 91 00:10:02,160 --> 00:10:06,160 蔵之助様! (前田屋)お前を 誰にも 渡しはせぬ。 92 00:10:08,032 --> 00:10:10,502 蔵之助様! しゃらくせぇ! 93 00:10:10,502 --> 00:10:13,171 (飛んできた小柄を受け止める音) 94 00:10:13,171 --> 00:10:22,514 ♬~ 95 00:10:22,514 --> 00:10:25,850 (お柊)また てめぇか! 彪次 やっちまえ! 96 00:10:25,850 --> 00:11:14,850 ♬~ 97 00:11:37,188 --> 00:11:40,091 道中 お気を付けて。 98 00:11:40,091 --> 00:11:43,791 いろいろと ありがとうございました。 99 00:11:45,864 --> 00:11:49,564 末永く お幸せに お暮らしあれ。 100 00:11:55,874 --> 00:11:57,874 これを…。 101 00:12:09,888 --> 00:12:16,561 「風に問ふ わが夫はいずこ 実南天。」 102 00:12:16,561 --> 00:12:18,897 ♬~ 103 00:12:18,897 --> 00:12:20,832 確かに…。 104 00:12:20,832 --> 00:12:32,176 ♬~ 105 00:12:32,176 --> 00:12:36,047 磐音様! ありがとうございました。 106 00:12:36,047 --> 00:13:05,347 ♬~ 107 00:13:11,549 --> 00:13:14,452 (武左衛門)坂崎さん 帰っておったのか。 108 00:13:14,452 --> 00:13:16,421 これは 竹村さん。 109 00:13:16,421 --> 00:13:22,193 ということは 花魁は 出羽の国へ 旅立ったというわけだな。 110 00:13:22,193 --> 00:13:26,564 はい。 前田屋殿と一緒に 今朝方。 111 00:13:26,564 --> 00:13:29,901 で 花魁とは 会って 話をできたのか。 112 00:13:29,901 --> 00:13:32,170 障子越しに 話をしました。 113 00:13:32,170 --> 00:13:35,840 …で その障子をどうしたのだ? 114 00:13:35,840 --> 00:13:38,176 どうとは? あ~ 開けたのか➡ 115 00:13:38,176 --> 00:13:40,845 開けなかったのかと 聞いておる! 116 00:13:40,845 --> 00:13:42,780 開けてはおりません。 117 00:13:42,780 --> 00:13:47,185 今 申したとおり 障子越しに 話をして 別れました。 118 00:13:47,185 --> 00:13:49,854 何故… 何故 開けてやらん。 119 00:13:49,854 --> 00:13:52,757 花魁も それを望んでいたはずだ。 120 00:13:52,757 --> 00:13:57,729 坂崎さん。 わしだって 今更 手に手を取って逃げろとは言わん。 121 00:13:57,729 --> 00:13:59,864 だが 障子を開けて その身を➡ 122 00:13:59,864 --> 00:14:02,767 抱きしめてやるくらいは できたはずだ。 123 00:14:02,767 --> 00:14:07,205 奈緒は 新しい暮らしを 始めるのです。 ですから…。 124 00:14:07,205 --> 00:14:09,540 そんなことは 聞いておらん! 125 00:14:09,540 --> 00:14:12,877 姿を求めて旅した 女であったろう。 126 00:14:12,877 --> 00:14:17,548 その人が ようやく 目の前に…。 分からん…。 127 00:14:17,548 --> 00:14:20,848 わしには 分からん。 あんたが 分からん! 128 00:14:33,031 --> 00:14:35,033 品川さん…。 129 00:14:35,033 --> 00:14:39,804 竹村さんに 今 怒られていたところです。 130 00:14:39,804 --> 00:14:44,804 あの人は おこんさんと坂崎さんの 関わりを知りませんから。 131 00:14:46,711 --> 00:14:49,480 いいんですよね おこんさんで。 132 00:14:49,480 --> 00:14:51,416 …は? 133 00:14:51,416 --> 00:14:56,387 奈緒殿とは もう終わったの でしょう。 違うのですか? 134 00:14:56,387 --> 00:14:58,856 どうしたのですか? 品川さん。 135 00:14:58,856 --> 00:15:01,526 何をしてるんですか? あなたは。 136 00:15:01,526 --> 00:15:04,195 奈緒殿を 無事 見送ったのなら どうして 真っ先に➡ 137 00:15:04,195 --> 00:15:08,066 おこんさんに 会ってあげんのだ? おこんさんの様子が➡ 138 00:15:08,066 --> 00:15:12,870 おかしいのです。 今津屋の 皆さんも心配しています。 139 00:15:12,870 --> 00:15:16,741 あなたが おこんさんを支えて あげなくて どうするのですか! 140 00:15:16,741 --> 00:15:20,545 こんな所で のほほんとしている 坂崎さんは どうかしている! 141 00:15:20,545 --> 00:15:22,880 では ごめん! 142 00:15:22,880 --> 00:16:03,521 ♬~ 143 00:16:03,521 --> 00:16:06,424 おこんさん。 144 00:16:06,424 --> 00:16:08,424 …坂崎さん。 145 00:16:10,862 --> 00:16:13,765 ぼんやりと 何を見ていたのですか? 146 00:16:13,765 --> 00:16:16,765 別に ぼんやりとなんか…。 147 00:16:19,203 --> 00:16:23,541 それで 奈緒様は どうなりました? 148 00:16:23,541 --> 00:16:27,211 奈緒には 前田屋蔵之助という お方が➡ 149 00:16:27,211 --> 00:16:29,881 いつも 側におられます。 150 00:16:29,881 --> 00:16:34,719 これからは 見知らぬ 北国での暮らしですが➡ 151 00:16:34,719 --> 00:16:39,157 あのお方となら 生きていける。 152 00:16:39,157 --> 00:16:43,027 出羽の国って 聞きましたけど 向こうは 随分と…。 153 00:16:43,027 --> 00:16:45,727 奈緒のことは もう いいでしょう。 154 00:16:48,166 --> 00:16:54,839 某には おこんさんしか いないのです。 155 00:16:54,839 --> 00:16:58,709 ♬~ 156 00:16:58,709 --> 00:17:01,179 こんも 同じです。 157 00:17:01,179 --> 00:17:18,729 ♬~ 158 00:17:18,729 --> 00:17:21,499 おこんさんのことなんですが…。 159 00:17:21,499 --> 00:17:24,402 (由蔵)やはり お気づきでしたか。➡ 160 00:17:24,402 --> 00:17:27,872 明るくて 本当に 朗らかな人が まあ➡ 161 00:17:27,872 --> 00:17:33,477 時々 ぼんやりしたり 時には 涙を浮かべたりしているのです。 162 00:17:33,477 --> 00:17:35,413 旦那様が おっしゃるには➡ 163 00:17:35,413 --> 00:17:39,350 奥のことを ここまで 1人で 取りしきってきて➡ 164 00:17:39,350 --> 00:17:43,821 フワ~ッと力が抜けたんじゃないかと おっしゃるんですがな。 165 00:17:43,821 --> 00:17:48,492 元締殿 おこんさんの様子 奉公に 差し支えておりますか? 166 00:17:48,492 --> 00:17:50,828 いやいや 今のところは まだ…。 167 00:17:50,828 --> 00:17:54,699 ただ 気うつの症状が 現れてからでは➡ 168 00:17:54,699 --> 00:17:57,168 遅うございますからな。 169 00:17:57,168 --> 00:18:02,039 奉公を休ませるというのも 一つの手では ございますが…。 170 00:18:02,039 --> 00:18:06,510 しかし ただ休めでは おこんさんが 承知しますまい。 171 00:18:06,510 --> 00:18:09,413 さあ さあ さあ そこでございますよ 坂崎様。 172 00:18:09,413 --> 00:18:13,384 おこんさんは この店にとっても 大切なお人です。 173 00:18:13,384 --> 00:18:18,122 ほんとに まぁ~… どうしたらよいやら。 174 00:18:18,122 --> 00:18:21,122 (ため息) 175 00:18:26,831 --> 00:18:30,735 ≪(長屋の女達の話し声) 176 00:18:30,735 --> 00:18:34,035 ≪(はつね)あ お帰りなさい。 ≪(勢津)お帰りなさい。 177 00:18:37,141 --> 00:18:39,076 昨日は 失敬した。 178 00:18:39,076 --> 00:18:41,479 柳次郎に 後で いろいろと聞いてな。 179 00:18:41,479 --> 00:18:45,149 我ながらの先走りに 恥じ入っていたところだ。 180 00:18:45,149 --> 00:18:49,820 私も 声を荒げてしまい 申し訳ない。 181 00:18:49,820 --> 00:18:53,691 友だからこその言葉だと 受け取っています。 182 00:18:53,691 --> 00:18:58,162 さすが 坂崎さん。 それで おこんさんには会えましたか? 183 00:18:58,162 --> 00:19:01,065 品川さんの おっしゃっていたとおり➡ 184 00:19:01,065 --> 00:19:04,035 少々 気うつに なりかけているようでした。 185 00:19:04,035 --> 00:19:09,507 そこでだ。 おこんさんを 少し 休ませてはどうかの? 186 00:19:09,507 --> 00:19:13,844 うちの勢津も 前に 気うつと 思われる節があったのだ。 187 00:19:13,844 --> 00:19:15,780 勢津殿が? 188 00:19:15,780 --> 00:19:18,716 この人のせいですよ。 でたらめな人ですから。 189 00:19:18,716 --> 00:19:21,719 うるさい! でだ 医師が言うには➡ 190 00:19:21,719 --> 00:19:26,190 気うつに襲われた時は 気分を変えるのが 肝要だとか。 191 00:19:26,190 --> 00:19:29,093 で わしは この長屋へ 引っ越してきたのだ。➡ 192 00:19:29,093 --> 00:19:32,997 今では ケラケラと 朝から 楽しそうに 笑っておる。➡ 193 00:19:32,997 --> 00:19:35,466 ここの住人に会えて 気分が変わったのだと➡ 194 00:19:35,466 --> 00:19:39,136 勢津は 申しておる。 わしは 感謝しておるのだ➡ 195 00:19:39,136 --> 00:19:42,807 ここの住人に。 はい。 196 00:19:42,807 --> 00:19:46,143 とはいえ おこんさんが ここに来ても➡ 197 00:19:46,143 --> 00:19:49,480 気晴らしにならんのでは? 親元ですから…。 198 00:19:49,480 --> 00:19:54,819 そこでだ。 どうかの? どこぞの 湯治場にでも行ってみては。➡ 199 00:19:54,819 --> 00:19:56,754 勿論 坂崎さんも 一緒にだ。➡ 200 00:19:56,754 --> 00:20:00,157 貴公が 一緒におらねば ならんのだ。➡ 201 00:20:00,157 --> 00:20:05,157 それが 坂崎さんの務めなのだ。 (柳次郎)行くべきです。 坂崎さん。 202 00:20:09,166 --> 00:20:12,837 それは よいお考えで ございますぞ。 坂崎様。 203 00:20:12,837 --> 00:20:16,173 (お佐紀)私も そう思います。 おこんさんは 若い身空で➡ 204 00:20:16,173 --> 00:20:19,076 今津屋の大所帯を 仕切ってこられたのです。 205 00:20:19,076 --> 00:20:22,847 なのに 私が嫁に来たばかりに お役を離れ➡ 206 00:20:22,847 --> 00:20:26,183 気持ちの拠を 無くして しまったに違いありません。 207 00:20:26,183 --> 00:20:30,054 (吉右衛門)おこんは 14の時から うちで ずっと働きづめ。 208 00:20:30,054 --> 00:20:34,525 ここらで しばしの休息を取るのは よいことかと思います。 209 00:20:34,525 --> 00:20:36,460 ご承知 頂けますか? 210 00:20:36,460 --> 00:20:40,865 ですが 肝心なのは おこんさんの気持ちです。 211 00:20:40,865 --> 00:20:42,800 いかがですかな 坂崎様。 212 00:20:42,800 --> 00:20:45,736 ここは一番 おこんさんを➡ 213 00:20:45,736 --> 00:20:48,739 説き伏せては下さいませんか? お願いいたします。 214 00:20:48,739 --> 00:20:54,412 坂崎様 ともかく いずれ おこんと 所帯を持つとしても➡ 215 00:20:54,412 --> 00:20:56,881 このままでは いけません。 216 00:20:56,881 --> 00:21:01,552 以前のおこんを取り戻し この今津屋から 堂々と出てこそ➡ 217 00:21:01,552 --> 00:21:04,852 坂崎様の嫁になれるというもの。 218 00:21:15,566 --> 00:21:18,903 話って なんですか? 私 まだ 仕事中だから…。 219 00:21:18,903 --> 00:21:22,773 おこんさんに 聞いて貰いたいことが あります。 220 00:21:22,773 --> 00:21:24,775 だから なんですか? 221 00:21:24,775 --> 00:21:27,912 某と 旅をしてくれませんか? 222 00:21:27,912 --> 00:21:30,247 …旅? 223 00:21:30,247 --> 00:21:33,851 どこか 湯治場に参りませんか? 224 00:21:33,851 --> 00:21:37,521 …なんで 急に そんなこと。 225 00:21:37,521 --> 00:21:41,859 このところの おこんさんは 忙しすぎました。 226 00:21:41,859 --> 00:21:47,531 お艶殿の三回忌 今津屋殿と お佐紀殿の祝言➡ 227 00:21:47,531 --> 00:21:51,402 それを 見事に取りしきったのは おこんさんです。 228 00:21:51,402 --> 00:21:53,404 私だけじゃありません。 229 00:21:53,404 --> 00:21:56,540 元締さんだって…。 分かっています。 230 00:21:56,540 --> 00:22:00,411 ですが 忙しすぎると どこかに 無理が来ます。 231 00:22:00,411 --> 00:22:02,880 冗談は よして下さい。 232 00:22:02,880 --> 00:22:04,880 冗談ではありません。 233 00:22:07,751 --> 00:22:12,451 今のおこんさんに なくては ならないものは 休息です。 234 00:22:17,895 --> 00:22:23,767 坂崎さん… このこと 旦那様も ご承知なんですか? 235 00:22:23,767 --> 00:22:25,769 はい。 236 00:22:25,769 --> 00:22:29,907 それは 私に 今津屋を辞めろってこと? 237 00:22:29,907 --> 00:22:32,510 もう お店には用はないから 坂崎さんとの➡ 238 00:22:32,510 --> 00:22:35,846 旅にかこつけて 私に引導を渡せって 言われた? 239 00:22:35,846 --> 00:22:39,717 おこんさんは 今津屋に なくてはならない人です。 240 00:22:39,717 --> 00:22:43,187 だったら なんで! なんで そんなこと言うの? 241 00:22:43,187 --> 00:22:48,526 このところの おこんさんは 明らかに 様子が変です。 242 00:22:48,526 --> 00:22:51,428 働きづめに 働いてきたのです。 243 00:22:51,428 --> 00:22:55,728 この辺りで 体と心を休めても 罰は当たりません。 244 00:22:57,535 --> 00:23:01,405 イヤです。 私 疲れてなんか いません。 245 00:23:01,405 --> 00:23:04,408 私 弱虫なんかじゃ ありません! 246 00:23:04,408 --> 00:23:07,878 そのようなこと言う 坂崎さんは… 嫌いです! 247 00:23:07,878 --> 00:23:09,813 大嫌いです! 嫌い! 嫌い! 248 00:23:09,813 --> 00:23:11,813 おこん! 249 00:23:13,551 --> 00:23:17,421 そなたには いつまでも 元気でいてほしい。 250 00:23:17,421 --> 00:23:21,892 明るい おこんさんで いてほしいのです。 251 00:23:21,892 --> 00:23:23,892 だからこそ 言うておる! 252 00:23:26,764 --> 00:23:29,464 イヤだって言ったら イヤです! 253 00:23:31,702 --> 00:23:35,839 私は 弱虫なんかじゃない。 坂崎さんのバカッ! 254 00:23:35,839 --> 00:23:37,839 (男)どいたどいた どいた~! 255 00:23:39,510 --> 00:23:42,810 (男)あっ 危ねぇ~! あっ! 危ねぇぞ~! 256 00:23:48,852 --> 00:23:50,788 大丈夫でござるか? 257 00:23:50,788 --> 00:23:55,192 私… 私…。 258 00:23:55,192 --> 00:23:57,892 そなたしか おらぬのだ。 259 00:24:00,064 --> 00:24:04,764 共に参ろう。 …某と共に。 260 00:24:06,804 --> 00:24:08,739 坂崎さん…。 261 00:24:08,739 --> 00:24:45,175 ♬~ 262 00:24:45,175 --> 00:24:51,175 2人は 三国峠下の 法師の湯を 目指すことになった。 263 00:24:52,850 --> 00:24:57,521 (金兵衛)おこん! おめぇ~ 湯治場なんてぇ~➡ 264 00:24:57,521 --> 00:25:02,393 奉公人の分際で…。 幸せ者だぞ おめぇはよう~。 265 00:25:02,393 --> 00:25:04,395 (磯次)なあ 聞いたことがねえや。 266 00:25:04,395 --> 00:25:07,531 奉公人が 旅に出して貰えるなんてよ。 267 00:25:07,531 --> 00:25:09,867 しかも 坂崎さんとニ人旅ですしね。 268 00:25:09,867 --> 00:25:12,202 (徳三)夫婦旅ってやつ? (一同の笑い声) 269 00:25:12,202 --> 00:25:14,138 まだ 夫婦ではありません。 270 00:25:14,138 --> 00:25:18,876 固いことは 言いっこなしって。 (一同の笑い声) 271 00:25:18,876 --> 00:25:21,779 (はつね)私も 死ぬまで一度でいいから➡ 272 00:25:21,779 --> 00:25:25,549 湯治場の湯に つかりたいもんだ。 アハハ…。 273 00:25:25,549 --> 00:25:29,219 アハハハ… それは無理だろ。 (一同の笑い声) 274 00:25:29,219 --> 00:25:32,489 (鉄五郎)どうだい 金兵衛さん。 あんたも一緒について行っちゃあ。 275 00:25:32,489 --> 00:25:34,425 あっちが痛えの こっちが痛えのやってんだ。 276 00:25:34,425 --> 00:25:37,361 湯治場の湯は 体には効くぜ。 (松吉)そりゃねえや。 277 00:25:37,361 --> 00:25:40,364 折角の二人旅だっていうのにさ。 ねえ 浪人さん? 278 00:25:40,364 --> 00:25:43,133 いえ。 誠に いかがですか? 舅殿。 279 00:25:43,133 --> 00:25:49,039 冗談じゃありませんや。 あっしのことより 坂崎さん。 280 00:25:49,039 --> 00:25:54,178 おこんのことを よろしくお願えいたしやす。➡ 281 00:25:54,178 --> 00:25:56,113 このとおり…。 282 00:25:56,113 --> 00:26:00,851 どうぞ どうぞ よろしく お願えいたしやす。 283 00:26:00,851 --> 00:26:03,520 お父っつぁん…。 284 00:26:03,520 --> 00:26:07,858 ♬~ 285 00:26:07,858 --> 00:26:10,194 (おしま)あんた! いつまで 油売ってんのさ! 286 00:26:10,194 --> 00:26:14,064 ちゃっちゃと片づけておくれ。 (竹蔵)これだ…。 287 00:26:14,064 --> 00:26:17,534 坂崎の旦那。 夫婦は 最初が肝心だ。 288 00:26:17,534 --> 00:26:20,204 いくら恋女房でも 長年たつと…。 289 00:26:20,204 --> 00:26:24,074 あんた! 分かってるよ~。 290 00:26:24,074 --> 00:26:27,544 じゃ 旦那 そのうち また。 291 00:26:27,544 --> 00:26:32,383 へぇ~ 地蔵の親分も 形なしだぜ。 292 00:26:32,383 --> 00:26:34,383 では 行ってまいります。 293 00:26:36,153 --> 00:26:39,056 お父っつぁん 体に気を付けるのよ。 294 00:26:39,056 --> 00:26:42,826 それは こっちの言う台詞だ。 馬鹿野郎めが。 295 00:26:42,826 --> 00:26:45,729 (幸吉)おこんさん 元気で帰ってきてね。➡ 296 00:26:45,729 --> 00:26:48,165 浪人さん 頼んだぜ! 297 00:26:48,165 --> 00:26:52,035 はい。 …では。 298 00:26:52,035 --> 00:26:57,841 (一同)いってらっしゃい! 仲よくね! 299 00:26:57,841 --> 00:26:59,777 気を付けて参れよ! 300 00:26:59,777 --> 00:27:09,186 ♬~ 301 00:27:09,186 --> 00:27:11,522 大丈夫でござるか? 302 00:27:11,522 --> 00:27:15,859 平気です。 まだまだ これからじゃ ありませんか。 303 00:27:15,859 --> 00:27:19,196 その意気です。 304 00:27:19,196 --> 00:27:23,867 皆さんに 心配かけたから 元気にならなくちゃ。 305 00:27:23,867 --> 00:27:28,167 頑張ることはありません。 ゆっくりで よいのです。 306 00:27:30,741 --> 00:27:33,677 …はい。 307 00:27:33,677 --> 00:27:38,816 某は 幸せ者です。 おこんさんと 旅ができる。 308 00:27:38,816 --> 00:27:41,816 …なんですか? 急に。 309 00:27:43,487 --> 00:27:48,826 人とは 誰かに会うために 生まれてくるのだと思います。 310 00:27:48,826 --> 00:27:53,526 某にとって… それは おこんさんでした。 311 00:27:55,699 --> 00:27:58,836 私も 同じです。 312 00:27:58,836 --> 00:28:03,707 坂崎さんと会うために 生まれてきた。 313 00:28:03,707 --> 00:28:09,847 ♬~ 314 00:28:09,847 --> 00:28:15,185 誰かに会うため その誰かを守るため➡ 315 00:28:15,185 --> 00:28:19,523 人は この世に生を受け 生きていく。 316 00:28:19,523 --> 00:28:21,859 磐音と おこん。 317 00:28:21,859 --> 00:28:27,197 陽の光漂うその道を 今 2人で 歩こうとしていた。 318 00:28:27,197 --> 00:28:48,485 ♬~ 319 00:28:48,485 --> 00:28:51,822 ♬~ 320 00:28:51,822 --> 00:29:55,522 ♬~ 321 00:30:36,093 --> 00:30:40,893 1969年7月21日。 322 00:30:43,367 --> 00:30:47,537 アメリカの宇宙船 アポロ11号によって➡ 323 00:30:47,537 --> 00:30:51,708 人類は初めて 月に降り立った…。 324 00:30:51,708 --> 00:30:55,679 あなたは そう 信じ込んでいますよね。