1 00:00:36,182 --> 00:00:41,053 (速水)そうか。 おこんも 坂崎殿と一緒に 関前に行くか。 2 00:00:41,053 --> 00:00:46,192 (おこん)はい。 関前のお母上様に ご挨拶に行かねばなりません。 3 00:00:46,192 --> 00:00:50,530 (玲圓)ご母堂は 磐音が 我が道場を継ぐのが➡ 4 00:00:50,530 --> 00:00:53,199 得心できぬのでありましょう。 5 00:00:53,199 --> 00:00:57,537 磐音が説き伏せるしかありませぬ。 (磐音)はい。 6 00:00:57,537 --> 00:01:00,206 (吉右衛門)おこんが お武家の出ではないことも➡ 7 00:01:00,206 --> 00:01:02,875 気になって おいでなのでしょうが…。 8 00:01:02,875 --> 00:01:05,545 (由蔵)それは 大丈夫でございましょう。➡ 9 00:01:05,545 --> 00:01:09,415 速水様が養女にと おっしゃって 下さっているのですから。➡ 10 00:01:09,415 --> 00:01:12,218 ねっ 金兵衛さん。 (金兵衛)へい。 11 00:01:12,218 --> 00:01:16,556 願ってもないことで…。 へ… へい。 12 00:01:16,556 --> 00:01:18,491 金兵衛。 へい。 13 00:01:18,491 --> 00:01:20,893 (速水)このような 美しい娘御を手放すのは➡ 14 00:01:20,893 --> 00:01:24,230 惜しいとは思うだろうが それは こちらも同様。 15 00:01:24,230 --> 00:01:31,103 娘になっても すぐに 坂崎殿に 嫁いでしまうのだ。 ハハハハハ…。 16 00:01:31,103 --> 00:01:35,174 それほど ご大層の代物じゃ ございません このおこんは。 17 00:01:35,174 --> 00:01:38,077 へい。 お父っつぁん! 18 00:01:38,077 --> 00:01:41,047 はぁ~っ。 失礼いたしました。 19 00:01:41,047 --> 00:01:45,184 (一同の笑い声) 20 00:01:45,184 --> 00:01:49,855 ♬~ 21 00:01:49,855 --> 00:01:53,726 とにかく 一段落ですな。 22 00:01:53,726 --> 00:01:56,726 いろいろと お骨折り かたじけない。 23 00:01:58,531 --> 00:02:02,868 (早苗)大変でございます。 何ですか 早苗。 もう…。 24 00:02:02,868 --> 00:02:06,739 申し訳ございません。 ですが お佐紀様のご様子が。 25 00:02:06,739 --> 00:02:09,542 お佐…。 お佐紀様が? 26 00:02:09,542 --> 00:02:14,213 ♬~ 27 00:02:14,213 --> 00:02:17,116 お佐紀様! (お佐紀)大丈夫です。 28 00:02:17,116 --> 00:02:19,885 早苗さん すぐ お医者様を! はい! 29 00:02:19,885 --> 00:02:27,760 ♬~ 30 00:02:27,760 --> 00:02:37,760 ♬~(テーマ音楽) 31 00:02:39,372 --> 00:02:50,182 ♬~ 32 00:02:50,182 --> 00:02:53,085 何事もなくて ようございました。 33 00:02:53,085 --> 00:02:58,057 いや~ 肝を冷やしましたよ。 もし 万一のことでもあったら…。 34 00:02:58,057 --> 00:03:02,528 桂庵先生の話では 心労から くるものだということでしたが。 35 00:03:02,528 --> 00:03:06,198 そうでございましたな。 で 一体 何が…? 36 00:03:06,198 --> 00:03:10,536 もしかしたら お里のことでは ないでしょうか。 37 00:03:10,536 --> 00:03:12,536 小田原の? 38 00:03:14,206 --> 00:03:17,109 この間 チラリと おっしゃっていたのです。 39 00:03:17,109 --> 00:03:19,545 (笑い声) 40 00:03:19,545 --> 00:03:21,881 え? あ いえ。 41 00:03:21,881 --> 00:03:25,551 どのような ややこが お産まれになるかって➡ 42 00:03:25,551 --> 00:03:28,454 この間 元締さんと 話してたら➡ 43 00:03:28,454 --> 00:03:33,359 「必ずや 男の子に決まってる。 跡取りなんですから」。 44 00:03:33,359 --> 00:03:37,659 まあ。 それは大変。 ウフフ…。 はい。 45 00:03:39,832 --> 00:03:45,504 女の子でしたら 元締さんは泣いて しまわれるかもしれませんね。 46 00:03:45,504 --> 00:03:50,843 ♬~ 47 00:03:50,843 --> 00:03:53,746 幸せすぎますね。 48 00:03:53,746 --> 00:03:59,518 里の父から 手紙が参ります。➡ 49 00:03:59,518 --> 00:04:05,191 父は いなくなった姉のことを 気に病んでいるらしく➡ 50 00:04:05,191 --> 00:04:09,528 近頃では 食も進まぬありさまとか。 51 00:04:09,528 --> 00:04:14,400 弟は まだ 家業を覚えるのが 精いっぱい。 52 00:04:14,400 --> 00:04:20,873 父の気持ちを考えると 哀れでなりません。 53 00:04:20,873 --> 00:04:24,210 お佐紀様…。 54 00:04:24,210 --> 00:04:30,082 ♬~ 55 00:04:30,082 --> 00:04:33,819 お佐紀の姉 お香奈は 小田原藩を脱藩した➡ 56 00:04:33,819 --> 00:04:39,492 大塚左門とともに駆け落ちし 姿を消したままであった。 57 00:04:39,492 --> 00:04:42,828 (由蔵)そうですか お香奈様の…。 58 00:04:42,828 --> 00:04:48,167 お佐紀様が心配です。 このような時に お店を辞めて➡ 59 00:04:48,167 --> 00:04:50,503 関前へ行ったりして いいのでしょうか。 60 00:04:50,503 --> 00:04:52,438 何を言ってるんですか おこんさん。 61 00:04:52,438 --> 00:04:55,841 それとこれとは 話が別です。 でも…。 62 00:04:55,841 --> 00:05:00,713 おこんさん。 関前に参るのは 某一人でも かまいません。 63 00:05:00,713 --> 00:05:03,716 おこんさんの 気の済むように。 64 00:05:03,716 --> 00:05:06,185 そのようなことを おっしゃられては困りますぞ➡ 65 00:05:06,185 --> 00:05:12,057 坂崎様。 国許のお父上には 既に おこんを連れていく旨➡ 66 00:05:12,057 --> 00:05:14,059 お伝えしてあるでは ありませんか。 67 00:05:14,059 --> 00:05:18,531 それを反故にするなぞ 両替商行司 今津屋の恥となります。 68 00:05:18,531 --> 00:05:21,867 そのとおりでございます。 もし そのようなことになったら➡ 69 00:05:21,867 --> 00:05:24,203 お佐紀様が 益々 苦しまれます。 70 00:05:24,203 --> 00:05:28,503 それくらいのことが 分かりませんか。 おこんさん! 71 00:05:30,876 --> 00:05:33,176 …はい。 72 00:06:07,513 --> 00:06:13,185 (鉄五郎)坂崎様。 豊後関前の 国家老のご嫡子でありながら➡ 73 00:06:13,185 --> 00:06:19,859 あなた様のお人柄をもって 五分のつきあいをして頂きました。 74 00:06:19,859 --> 00:06:23,559 今まで ありがとうございました。 75 00:06:26,732 --> 00:06:32,805 親方 礼を言うのは こちらの方です。 76 00:06:32,805 --> 00:06:39,678 恩義があるにもかかわらず 勝手な 勤めぶりを 見逃して下さり➡ 77 00:06:39,678 --> 00:06:42,815 かたじけのうございました。 78 00:06:42,815 --> 00:06:46,685 (松吉)へっ 俺たちのこと 忘れねえでくれよ 浪人さん。 79 00:06:46,685 --> 00:06:49,688 おい 松! 浪人さんじゃねえだろう。 80 00:06:49,688 --> 00:06:52,491 関前から戻られたら➡ 81 00:06:52,491 --> 00:06:57,363 江戸一番の佐々木道場の 跡継ぎなんだぜ 坂崎さんはよう。 82 00:06:57,363 --> 00:07:03,836 松吉殿 鰻を食したくなったら 必ず 「宮戸川」に参ります。 83 00:07:03,836 --> 00:07:06,171 毎日でも 来て下さい。 84 00:07:06,171 --> 00:07:08,107 はい。 85 00:07:08,107 --> 00:07:10,042 (幸吉)おいらは いやだ。 86 00:07:10,042 --> 00:07:13,045 (松吉)幸吉。 分からないこと 言うんじゃねえや。➡ 87 00:07:13,045 --> 00:07:15,848 坂崎の旦那は ご出世なさるんだ。➡ 88 00:07:15,848 --> 00:07:18,751 いつまでも 鰻割きが できるわけねえじゃねえか。 89 00:07:18,751 --> 00:07:21,720 そんなこと 分かってるよ! 90 00:07:21,720 --> 00:07:27,459 けど… けど… 分かってるけど…。 91 00:07:27,459 --> 00:07:29,862 いやなものは いやです! 92 00:07:29,862 --> 00:07:36,468 ♬~ 93 00:07:36,468 --> 00:07:40,806 師匠。 師匠に出会わなければ➡ 94 00:07:40,806 --> 00:07:44,677 深川で暮らすことも ままなりませんでした。 95 00:07:44,677 --> 00:07:48,681 浪人さん。 ふとん 持ってきたぜ。 汚いけど 勘弁な。 96 00:07:48,681 --> 00:07:51,817 感謝します。 これから 分からないことがあったら➡ 97 00:07:51,817 --> 00:07:55,487 何でも おいらに聞くといいや。 かたじけない 師匠。 98 00:07:55,487 --> 00:07:58,824 師匠? よろしく頼む。 99 00:07:58,824 --> 00:08:05,497 ♬~ 100 00:08:05,497 --> 00:08:09,797 そなたは いつまでも 某の江戸暮らしの師匠。 101 00:08:11,837 --> 00:08:16,709 いつ いかなる時も 忘れはしません。 102 00:08:16,709 --> 00:08:19,511 浪人さん…。 103 00:08:19,511 --> 00:08:27,386 ♬~ 104 00:08:27,386 --> 00:08:32,086 この包丁は… 師匠が 使って下さい。 105 00:08:34,793 --> 00:08:37,463 いいのかい? もちろん。 106 00:08:37,463 --> 00:08:44,336 ♬~ 107 00:08:44,336 --> 00:08:46,805 (松吉)よかったじゃねえか 幸吉。 108 00:08:46,805 --> 00:08:50,676 今日から おめえが 坂崎さんの跡継ぎってことだ。 109 00:08:50,676 --> 00:08:52,678 おいらが…? 110 00:08:52,678 --> 00:09:06,678 ♬~ 111 00:09:08,827 --> 00:09:15,827 (竹刀を激しく打ち合う音) 112 00:09:33,786 --> 00:09:35,786 くっ…! 113 00:09:40,125 --> 00:09:43,462 霧子。 なかなか 様になってきた。 114 00:09:43,462 --> 00:09:46,162 (霧子)ありがとうございます。 115 00:09:48,333 --> 00:09:51,136 毎日の精進の かいがあった。 116 00:09:51,136 --> 00:09:56,008 霧子は なかなか 剣の筋がよい。 門弟たちも 舌を巻いておる。 117 00:09:56,008 --> 00:10:01,146 関前から戻ってまいったら 歯が立たぬかもしれませぬ。 118 00:10:01,146 --> 00:10:03,082 関前? 119 00:10:03,082 --> 00:10:05,017 そうであった。 120 00:10:05,017 --> 00:10:09,021 まだ 霧子には 詳しい話をしておらなんだな。 121 00:10:09,021 --> 00:10:13,158 磐音はの 我が道場を継ぐ 許しを得るために➡ 122 00:10:13,158 --> 00:10:18,030 今津屋のおこんとともに 関前に戻ることになったのじゃ。 123 00:10:18,030 --> 00:10:20,032 おこんさんも…? 124 00:10:20,032 --> 00:10:24,169 戻ってきたら 2人は祝言をあげ ここで暮らす。 125 00:10:24,169 --> 00:10:28,469 その節は 霧子には世話になる。 よろしく頼む。 126 00:10:32,845 --> 00:10:34,780 いかがした? 127 00:10:34,780 --> 00:10:38,780 え? いえ…。 おめでとうございます。 128 00:10:57,536 --> 00:11:03,836 こうしていられるのも 残り わずかとなりましたね。 はい。 129 00:11:07,546 --> 00:11:15,420 あの… お佐紀様。 もし お佐紀様さえ よろしければ…。 130 00:11:15,420 --> 00:11:18,190 お佐紀様 お佐紀様! 131 00:11:18,190 --> 00:11:20,559 どうかなさいましたか? 132 00:11:20,559 --> 00:11:25,259 お香奈様から… お香奈様から お手紙でございますぞ。 133 00:11:31,203 --> 00:11:37,042 (お香奈)「お佐紀。 随分と ぶさたをしております。➡ 134 00:11:37,042 --> 00:11:42,514 私は 今 上州にて 左門様と 暮らしております。➡ 135 00:11:42,514 --> 00:11:47,186 左門様は 子どもたちに 読み書きを教え➡ 136 00:11:47,186 --> 00:11:50,856 日々の暮らしにも 困らぬようになりました」。 137 00:11:50,856 --> 00:11:53,759 (左門)もうちょっと 大きく書いてみなさい。 138 00:11:53,759 --> 00:11:55,727 (お香奈)「これも ひとえに➡ 139 00:11:55,727 --> 00:12:00,727 坂崎様とあなたの おかげだと 存じております」。 140 00:12:02,467 --> 00:12:07,206 (お香奈)「実は 私に ややこができました」。 141 00:12:07,206 --> 00:12:13,078 ♬~ 142 00:12:13,078 --> 00:12:15,547 (2人の笑い声) 143 00:12:15,547 --> 00:12:17,482 こら お前たち 何を見ておる! 144 00:12:17,482 --> 00:12:20,219 (子どもたちの笑い声) 145 00:12:20,219 --> 00:12:22,554 (お佐紀) 「いつの日か 子どもを抱いて➡ 146 00:12:22,554 --> 00:12:28,894 あなたを訪ねる日が来ることを 信じて 生きてまいります。➡ 147 00:12:28,894 --> 00:12:36,168 いつの日か 必ず。 香奈」。 148 00:12:36,168 --> 00:12:41,840 ♬~ 149 00:12:41,840 --> 00:12:48,714 お香奈様にも ややこが… アハハハ。 おめでとうございます。 150 00:12:48,714 --> 00:12:52,184 はい。 よかったですね お佐紀様。 151 00:12:52,184 --> 00:12:56,521 ありがとう。 父も喜ぶことと思います。 152 00:12:56,521 --> 00:13:01,193 これで 胸のつかえが取れました。 153 00:13:01,193 --> 00:13:05,063 ほっとしたら 何だか 急に お腹がすいてきました。 154 00:13:05,063 --> 00:13:07,532 (由蔵)お お おっ! それでは 早速…。 155 00:13:07,532 --> 00:13:12,871 そうです。 一度 「宮戸川」の鰻を 食したいと思っておりました。 156 00:13:12,871 --> 00:13:14,806 「宮戸川」の…? 157 00:13:14,806 --> 00:13:16,806 (笑い声) 158 00:13:19,745 --> 00:13:22,881 そのころ 磐音は おそめが弟子入りした➡ 159 00:13:22,881 --> 00:13:26,752 縫箔師 江三郎親方の仕事場を 訪ねていた。 160 00:13:26,752 --> 00:13:31,556 (江三郎)おそめ… おそめ! (おそめ)はい。 161 00:13:31,556 --> 00:13:34,256 …坂崎様。 162 00:13:37,362 --> 00:13:40,832 坂崎様が 話が おありになるとさ。 163 00:13:40,832 --> 00:13:43,168 急な御用で ございますか? 164 00:13:43,168 --> 00:13:47,039 実は… 「宮戸川」を辞め➡ 165 00:13:47,039 --> 00:13:51,043 六間堀の金兵衛長屋も 引き払うことになりました。 166 00:13:51,043 --> 00:13:55,514 おそめちゃんには 「宮戸川」で 働く時 世話になったので➡ 167 00:13:55,514 --> 00:13:57,814 そのことを 知らせに参った。 168 00:14:00,852 --> 00:14:05,190 親方 お願いします。 浪人さんを 雇ってあげて下さい。 169 00:14:05,190 --> 00:14:07,526 浪人さん 江戸に出たばかりで➡ 170 00:14:07,526 --> 00:14:11,396 仕事がなくて困っているんです。 このとおりです お願いします! 171 00:14:11,396 --> 00:14:14,199 もう いいのです。 某のために➡ 172 00:14:14,199 --> 00:14:17,102 そんなことを することは ありません。 173 00:14:17,102 --> 00:14:20,072 いいのです…。 ありがとう。 174 00:14:20,072 --> 00:14:23,208 あたい 本当は 職人に なりたいんです。 175 00:14:23,208 --> 00:14:25,143 なれるでしょうか? 176 00:14:25,143 --> 00:14:28,547 なりたいという気持ちを 持ち続けていれば➡ 177 00:14:28,547 --> 00:14:30,882 必ずや 夢は かなうはずです。 178 00:14:30,882 --> 00:14:37,155 ♬~ 179 00:14:37,155 --> 00:14:41,493 おこんさんと 所帯を 持たれるんですね。 180 00:14:41,493 --> 00:14:46,365 おこんさんをお連れして 某の国許へ 一度戻ってきます。 181 00:14:46,365 --> 00:14:48,834 そうですか…。 182 00:14:48,834 --> 00:14:53,505 おい おそめ。 立ち話もなんだ。 ここは いいからよ。 183 00:14:53,505 --> 00:14:57,175 どっか そこらで 飯でも食ってきな。 184 00:14:57,175 --> 00:15:01,847 いいえ。 私だけ そんな 我儘をするわけにはいきません。 185 00:15:01,847 --> 00:15:04,750 フフフフ…。 俺がいいって 言ってんだよ な。 186 00:15:04,750 --> 00:15:08,720 いいから 行ってきな。 お言葉を返すようですが➡ 187 00:15:08,720 --> 00:15:13,191 私は 親方に 無理を言って 弟子にさせて頂いた身の上です。 188 00:15:13,191 --> 00:15:16,094 甘えることは できません。 (江三郎)そうか~? 189 00:15:16,094 --> 00:15:20,065 ヘヘヘヘヘ… 坂崎様➡ 190 00:15:20,065 --> 00:15:23,535 こいつの並みじゃねえ 決心に免じて➡ 191 00:15:23,535 --> 00:15:25,835 勘弁してやってくんなせえ。 192 00:15:28,206 --> 00:15:30,206 申し訳ありません。 193 00:15:32,811 --> 00:15:37,149 某こそ 急に訪ねてまいり うかつであった。 194 00:15:37,149 --> 00:15:39,818 謝るのは 某の方です。 195 00:15:39,818 --> 00:15:43,688 いいえ…。 ちょっと 待っていて下さい。 196 00:15:43,688 --> 00:15:46,491 お渡ししたい物がございます。 197 00:15:46,491 --> 00:15:54,833 ♬~ 198 00:15:54,833 --> 00:16:00,172 坂崎様… おそめは ああいう娘でさぁ~。 199 00:16:00,172 --> 00:16:07,045 10年後にゃあ いい縫箔職人が 生まれてますぜ。 200 00:16:07,045 --> 00:16:13,185 ♬~ 201 00:16:13,185 --> 00:16:15,120 (柳次郎)これで 詰みました。 202 00:16:15,120 --> 00:16:20,525 あ~っ! 金兵衛 金将に刺されたり~。 203 00:16:20,525 --> 00:16:22,461 (磯次)負けてんのに 洒落 言ってやがんの。 204 00:16:22,461 --> 00:16:25,864 (おいち)あら あんた お帰り。 坂崎さんと一緒だったんだね。 205 00:16:25,864 --> 00:16:27,799 (徳三)ちょいと そこで 一緒になってよ。 206 00:16:27,799 --> 00:16:30,202 品川さん いらしてたのですか。 207 00:16:30,202 --> 00:16:33,805 それが 母とお有殿に 振られてしまいまして。 208 00:16:33,805 --> 00:16:38,143 お二人仲よく 「宮戸川」の鰻を 食べに行ったんだとさ~。 209 00:16:38,143 --> 00:16:41,480 (はつね)竹村の旦那んとこも 一緒だよ。 勢津殿も…? 210 00:16:41,480 --> 00:16:45,150 (武左衛門)おう 早苗が 今津屋の お内儀の使いで やってきてな。 211 00:16:45,150 --> 00:16:48,053 「宮戸川」の鰻を食わせる というので➡ 212 00:16:48,053 --> 00:16:50,489 勢津の奴 いそいそと出かけてしもうた。 213 00:16:50,489 --> 00:16:54,159 いいじゃないですか ねえ。 たまの息抜きなんだから。 214 00:16:54,159 --> 00:16:56,094 わしだって 息抜きがしたい! あ~ うるせえ! 215 00:16:56,094 --> 00:16:58,497 旦那は いつも 息抜きしておるではないか。 216 00:16:58,497 --> 00:17:01,833 (徳三)違えねえや。 (笑い声) 笑うな! 217 00:17:01,833 --> 00:17:04,736 よ~し。 あっしが おごりましょう。 218 00:17:04,736 --> 00:17:09,708 いつもね 婿殿と おこんが お世話になっているのでね。 219 00:17:09,708 --> 00:17:12,477 …まことか~! 220 00:17:12,477 --> 00:17:16,477 いいね~! 分厚いの頼むぞ! 221 00:17:18,183 --> 00:17:22,053 その夜。 「宮戸川」で 食べるはずだった かば焼きを➡ 222 00:17:22,053 --> 00:17:25,857 女たちが 打ちそろって 今津屋で食べていた。 223 00:17:25,857 --> 00:17:27,792 (勢津)う~ん。 224 00:17:27,792 --> 00:17:30,092 (幾代)…まあ~。 225 00:17:35,667 --> 00:17:37,802 おいしいこと! 226 00:17:37,802 --> 00:17:44,476 でも 残念でした。 本当なら 「宮戸川」で食すはずでしたのに。 227 00:17:44,476 --> 00:17:48,146 はい。 私どもも そのつもり だったのですが➡ 228 00:17:48,146 --> 00:17:50,482 あのように混んでいては。 229 00:17:50,482 --> 00:17:55,153 ちょうど 幾代様たちに お会いしたので お連れしました。 230 00:17:55,153 --> 00:17:59,824 (お有)こちらで頂けるとは 夢にも思いませんでした。 231 00:17:59,824 --> 00:18:05,124 あ そうそう。 おこんさんは 坂崎様と 関前に渡られるとか。 232 00:18:06,698 --> 00:18:11,169 柳次郎も お有殿と 祝言を あげることになりましたが➡ 233 00:18:11,169 --> 00:18:14,072 どうも あの子は 頼りなさすぎます。 234 00:18:14,072 --> 00:18:16,508 では お有さんに しっかりと➡ 235 00:18:16,508 --> 00:18:19,844 手綱を引き締めて貰わねば なりませんね。 236 00:18:19,844 --> 00:18:24,182 そうです。 男というものは 手綱を ギュッと握っておかなければ➡ 237 00:18:24,182 --> 00:18:28,520 あっちへフラフラ こっちへフラフラと 腰が定まらないものです。 238 00:18:28,520 --> 00:18:34,326 私どものところは 夫も長男も そのようになってしまいました。 239 00:18:34,326 --> 00:18:37,329 ですから 柳次郎には どうしても➡ 240 00:18:37,329 --> 00:18:40,465 品川家を守っていって ほしいのです。 241 00:18:40,465 --> 00:18:43,368 お任せ下さい。 お義母上様。 242 00:18:43,368 --> 00:18:45,804 あらっ 頼もしい。 243 00:18:45,804 --> 00:18:49,674 おこんさん 笑っている場合では ありません。 はい? 244 00:18:49,674 --> 00:18:53,678 坂崎様とて 男なのです。 甘い顔ばかりしていては➡ 245 00:18:53,678 --> 00:18:56,815 とんでもない目に遭いますよ。 はい! 246 00:18:56,815 --> 00:19:03,154 (一同の笑い声) 247 00:19:03,154 --> 00:19:07,826 「触らぬ神に祟りなし」 「つるかめ つるかめ」。 248 00:19:07,826 --> 00:19:12,697 はあ~っ。 おごるなどと言って 鰻ではなく 湯ではないか。 249 00:19:12,697 --> 00:19:16,501 よいではないか。 いい湯だった。 まことに。 250 00:19:16,501 --> 00:19:19,404 これは これは。 金兵衛長屋の男衆総出で➡ 251 00:19:19,404 --> 00:19:21,840 ようこそ おいで下さいました。 252 00:19:21,840 --> 00:19:25,176 坂崎さんがな 関前に 旅立とうってんでな➡ 253 00:19:25,176 --> 00:19:27,846 こうやって みんなしてな 湯に入ってよう➡ 254 00:19:27,846 --> 00:19:31,182 別れを惜しもうって 魂胆よ。 ハハハ…。 255 00:19:31,182 --> 00:19:34,786 旦那 関前から戻ってきたらさ 佐々木道場 継ぐんでしょ? 256 00:19:34,786 --> 00:19:37,122 ってことは あれか。 名前 変わるってことか? 257 00:19:37,122 --> 00:19:41,459 おうよ。 佐々木磐音って名前に なるなあ~。 あ~ あ~っ。 258 00:19:41,459 --> 00:19:44,362 は~ん。 何だか しっくりこんがな。 259 00:19:44,362 --> 00:19:47,332 けど 足かけ6年ですか。 深川へ来て。 260 00:19:47,332 --> 00:19:50,802 そうなります。 そういや~ うちのおこんの奴が➡ 261 00:19:50,802 --> 00:19:55,473 最初に連れてきたんだっけなぁ~。 しかし あん時は 凄かったよな~。 262 00:19:55,473 --> 00:20:00,145 尾羽うち枯らした ご浪人さんと ばかり 思ってたからな~。 263 00:20:00,145 --> 00:20:03,815 今津屋で用心棒として雇われてた 私も 初めて会った時は➡ 264 00:20:03,815 --> 00:20:07,152 坂崎さんの腕前に 驚いたもんです。 265 00:20:07,152 --> 00:20:09,087 (おしま)あんた… あんた。 266 00:20:09,087 --> 00:20:12,023 何だよ おい。 湯加減なら さっき見たばっかりだぜ。 267 00:20:12,023 --> 00:20:15,493 そうじゃないんだよ。 何だか 気分が悪くてさ…。 268 00:20:15,493 --> 00:20:18,830 え? かぜでも ひいたんじゃねえのかい? 269 00:20:18,830 --> 00:20:21,499 そうじゃなくて ウ~ッ…。 おい! 270 00:20:21,499 --> 00:20:23,835 (金兵衛)どうした? どうしたい!? 271 00:20:23,835 --> 00:20:26,738 (磯次)あれ? ややこが できたんじゃねえのか? 272 00:20:26,738 --> 00:20:29,507 ややこ? やったな~ 親分! 273 00:20:29,507 --> 00:20:32,177 まさか…。 あんた… ウ~ッ。 274 00:20:32,177 --> 00:20:36,047 おい どうしたら いいんだよ! 医者だ医者。 徳 走れ! 275 00:20:36,047 --> 00:20:38,850 おしまさん とにかく 横になって…。 276 00:20:38,850 --> 00:20:46,850 ♬~ 277 00:20:56,868 --> 00:20:59,771 (足音) 278 00:20:59,771 --> 00:21:03,541 ♬~ 279 00:21:03,541 --> 00:21:07,212 (河西) 坂崎磐音殿は お留守かな? 280 00:21:07,212 --> 00:21:10,115 …何者? 281 00:21:10,115 --> 00:21:13,084 河西勝助と申す。 282 00:21:13,084 --> 00:21:16,221 お主 坂崎様のお命を狙う 刺客か。 283 00:21:16,221 --> 00:21:18,556 ならば 何とする。 284 00:21:18,556 --> 00:21:29,200 ♬~ 285 00:21:29,200 --> 00:21:35,039 筋はよいが まだまだじゃな。 また来ると 坂崎殿に伝えよ。 286 00:21:35,039 --> 00:21:47,519 ♬~ 287 00:21:47,519 --> 00:21:50,421 何だかねぇ。 ただの食あたりとはなぁ。 288 00:21:50,421 --> 00:21:53,191 人騒がせな夫婦だぜ。 …ったくよ~。 289 00:21:53,191 --> 00:21:55,527 がっかりしておったな 親分。 290 00:21:55,527 --> 00:21:59,397 そりゃそうだ~。 20も年の違う 恋女房ですからね。 291 00:21:59,397 --> 00:22:02,400 そりゃ~ 子どもも 欲しかろうって… あ? 292 00:22:02,400 --> 00:22:05,537 おっ ありゃ 誰です? 293 00:22:05,537 --> 00:22:09,207 霧子… 霧子ではないか。 坂崎様…。 294 00:22:09,207 --> 00:22:11,142 どうしたのだ。 295 00:22:11,142 --> 00:22:15,079 河西勝助と名乗る 白髪の老人に してやられました。 296 00:22:15,079 --> 00:22:18,216 河西勝助…。 例の刺客の1人かと。 297 00:22:18,216 --> 00:22:21,119 とても 老人とは思えぬ腕でした。 298 00:22:21,119 --> 00:22:25,819 そうか…。 で そなたが なぜ 長屋に? 299 00:22:27,892 --> 00:22:32,163 いえ… お話があったのですが また いずれ。 300 00:22:32,163 --> 00:22:46,511 ♬~ 301 00:22:46,511 --> 00:22:48,446 坂崎さん…。 302 00:22:48,446 --> 00:22:53,852 ♬~ 303 00:22:53,852 --> 00:22:56,152 それから数日後。 304 00:23:01,192 --> 00:23:05,530 [ 心の声 ] お艶殿 世話になり申した。 305 00:23:05,530 --> 00:23:09,200 [ 心の声 ] お内儀さん こんは 今日を限りに➡ 306 00:23:09,200 --> 00:23:16,500 おいとまを頂きます。 明日 坂崎さんと 関前へ参ります。 307 00:23:21,779 --> 00:23:24,215 お艶も 喜んでおりましょう。 308 00:23:24,215 --> 00:23:28,515 おこんと坂崎様のことを 気に病んでおりましたから。 309 00:23:30,088 --> 00:23:35,827 [ 回想 ] (お艶)おこん… 思い続けるのです。 310 00:23:35,827 --> 00:23:42,700 思い続けていさえすれば 心は いつか届きます。 311 00:23:42,700 --> 00:23:48,700 いつか… いつか必ず。 お内儀さん。 312 00:23:52,377 --> 00:23:55,513 (お艶)私も 祈っていますよ。 313 00:23:55,513 --> 00:24:00,852 あなたの心が いつか 届くように。 314 00:24:00,852 --> 00:24:06,724 ♬~ 315 00:24:06,724 --> 00:24:12,196 (お佐紀)おこんさん。 …はい。 316 00:24:12,196 --> 00:24:15,867 そうでした。 おこんさんと お佐紀殿に➡ 317 00:24:15,867 --> 00:24:18,770 渡す物があったのです。 318 00:24:18,770 --> 00:24:22,740 おそめちゃんが 縫ってくれたものです。 319 00:24:22,740 --> 00:24:24,876 桜が お佐紀殿。 320 00:24:24,876 --> 00:24:29,213 ♬~ 321 00:24:29,213 --> 00:24:31,816 白百合が おこんさんです。 322 00:24:31,816 --> 00:24:36,688 ♬~ 323 00:24:36,688 --> 00:24:40,388 おそめが… もう このように。 324 00:24:42,460 --> 00:24:47,832 [ 回想 ] (お佐紀)負けてはなりません。 負けてはなりませんよ。 325 00:24:47,832 --> 00:24:49,767 お内儀様…。 326 00:24:49,767 --> 00:24:59,444 ♬~ 327 00:24:59,444 --> 00:25:03,181 苦しくても 厳しくても やっぱり 江三郎親方のもとで➡ 328 00:25:03,181 --> 00:25:06,181 縫箔の職人になりとうございます。 329 00:25:08,853 --> 00:25:14,726 お佐紀様… 私 泣きそうです。 330 00:25:14,726 --> 00:25:17,862 私もです。 331 00:25:17,862 --> 00:25:20,531 ♬~ 332 00:25:20,531 --> 00:25:27,231 坂崎様… 明日から おこんのこと よろしくお願いいたします。 333 00:25:29,207 --> 00:25:31,542 よろしくお願いいたします。 334 00:25:31,542 --> 00:25:34,812 かしこまりました。 335 00:25:34,812 --> 00:25:38,149 ♬~ 336 00:25:38,149 --> 00:25:44,822 旦那様 お佐紀様 元締さん…➡ 337 00:25:44,822 --> 00:25:49,494 長い間 本当に ありがとうございました。 338 00:25:49,494 --> 00:26:04,842 ♬~ 339 00:26:04,842 --> 00:26:12,842 当分 こことも お別れですね。 明日からは 旅の空の下です。 340 00:26:15,853 --> 00:26:18,189 (鐘の音) 341 00:26:18,189 --> 00:26:22,060 坂崎磐音殿と お見受けした。 342 00:26:22,060 --> 00:26:26,864 いかにも。 河西勝助殿ですな。 343 00:26:26,864 --> 00:26:30,864 貴公の命 貰い受ける。 344 00:26:32,470 --> 00:26:34,806 刺客を 生業になさるか。 345 00:26:34,806 --> 00:26:40,806 武芸者として 貴公のような御仁と 立ち合えるなら 死んでも本望。 346 00:26:42,480 --> 00:26:45,817 金のためでは 決してない。 347 00:26:45,817 --> 00:26:48,517 坂崎様には 指一本触れさせぬ。 348 00:26:50,488 --> 00:26:54,788 ここでは迷惑です。 場所を替えましょう。 349 00:26:58,830 --> 00:27:15,847 (強い風の音) 350 00:27:15,847 --> 00:27:47,847 ♬~ 351 00:27:52,683 --> 00:27:56,683 ♬~ 352 00:28:04,162 --> 00:28:08,462 見事な腕前 感服つかまつった。 353 00:28:11,035 --> 00:28:17,175 この脚では もはや 剣を捨てるほか あるまい。 354 00:28:17,175 --> 00:28:22,046 ♬~ 355 00:28:22,046 --> 00:28:27,518 もう 何も 思い残すことはない。 356 00:28:27,518 --> 00:28:49,473 ♬~ 357 00:28:49,473 --> 00:28:55,273 関前へ 2人が旅立つ 前日の出来事であった。 358 00:28:59,483 --> 00:29:02,820 (雑賀)坂崎磐音の素っ首 必ずや 打ち落とすのじゃ。 359 00:29:02,820 --> 00:29:06,691 こんを よろしくお願いしますね。 生涯一緒です。 360 00:29:06,691 --> 00:29:08,693 (正睦)嬉しくはないのか。 361 00:29:08,693 --> 00:29:11,495 (照埜)おこん殿という お方しだいでございます。 362 00:29:11,495 --> 00:29:13,431 必ず 頭の雑賀泰造が現れます。 363 00:29:13,431 --> 00:29:15,833 頭との決着を この手で つけたいのです。 364 00:29:15,833 --> 00:29:18,736 おこんさん! ここが お前の墓場だ! 365 00:29:18,736 --> 00:30:26,736 ♬~