1 00:00:03,937 --> 00:00:06,840 ここで上皇様に従って➡ 2 00:00:06,840 --> 00:00:10,277 未来永劫 西の言いなりになるか。 3 00:00:10,277 --> 00:00:12,212 ばかにするな。 4 00:00:12,212 --> 00:00:15,616 そんな卑怯者は この坂東には 一人もいない! 5 00:00:15,616 --> 00:00:19,953 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。 6 00:00:19,953 --> 00:00:26,260 全48話 2,349ページの長い物語。 7 00:00:27,828 --> 00:00:34,501 脚本家 三谷幸喜が 台本執筆中に スタッフと交わした無数のメール。 8 00:00:34,501 --> 00:00:39,806 そこには 彼の 頭の中と胸の内が。 9 00:00:53,654 --> 00:00:55,989 11月下旬。 10 00:00:55,989 --> 00:00:59,326 「鎌倉殿の13人」の 最終回を書き終えてから➡ 11 00:00:59,326 --> 00:01:02,329 およそ3か月がたっている。 12 00:01:05,599 --> 00:01:10,938 不思議なのは 「鎌倉殿」書いてる時は➡ 13 00:01:10,938 --> 00:01:13,273 ちょっと こう リフレッシュしようと思って➡ 14 00:01:13,273 --> 00:01:16,610 映画見たりとか 本 読んだりとかもするんだけど➡ 15 00:01:16,610 --> 00:01:19,947 どうしても その時に どんな作品を選ぶかっていうと➡ 16 00:01:19,947 --> 00:01:23,617 何か「鎌倉殿」に関係する… 関係するっていうか➡ 17 00:01:23,617 --> 00:01:25,953 何かこう インスパイアーされるようなものを➡ 18 00:01:25,953 --> 00:01:28,855 どうせだったら見たいと思うから➡ 19 00:01:28,855 --> 00:01:32,292 「仁義なき戦い」見たりとか 「ゴッドファーザー」見直したりとか➡ 20 00:01:32,292 --> 00:01:34,227 「スター・ウォーズ」見たりとか➡ 21 00:01:34,227 --> 00:01:37,164 「ブレイキング・バッド」 見たりとかしてたんですよ。 22 00:01:37,164 --> 00:01:39,967 だから その 選択肢が必ず➡ 23 00:01:39,967 --> 00:01:44,838 「鎌倉殿」に関係するもの っていうので見てたから➡ 24 00:01:44,838 --> 00:01:48,976 もう書き終わって じゃあ 何か映画見ようと思った時に➡ 25 00:01:48,976 --> 00:01:53,647 何を見ていいか分かんない感じが すごくありますね。 26 00:01:53,647 --> 00:01:56,550 何か もう 「鎌倉殿」のために 見なくていいんだって➡ 27 00:01:56,550 --> 00:01:58,518 思うじゃないですか。 28 00:01:58,518 --> 00:02:00,921 じゃあ いろんなもの 見ていいはずなんだけど➡ 29 00:02:00,921 --> 00:02:03,590 そうなった時に 何見ていいか 全然分かんないみたいな。 30 00:02:03,590 --> 00:02:07,260 あまりにも2年間 ず~っと そういう生活を続けていたんで➡ 31 00:02:07,260 --> 00:02:16,603 何かこう そういう意味では すごい こう 喪失感は感じますね。 32 00:02:16,603 --> 00:02:21,942 今から3年前 脚本執筆を始める前に➡ 33 00:02:21,942 --> 00:02:29,616 1年分の物語全体のあらすじ ロングプロットが作られた。 34 00:02:29,616 --> 00:02:33,286 本当は書きたくないんですよ 面倒くさいし➡ 35 00:02:33,286 --> 00:02:37,624 文章書くの嫌いだから 脚本家になったところありますからね。 36 00:02:37,624 --> 00:02:40,527 セリフで 全部 済ますことができるみたいな。 37 00:02:40,527 --> 00:02:42,496 どうしても書けって言われたもんで➡ 38 00:02:42,496 --> 00:02:46,967 長いの… 短編小説みたいの 書きましたね 最初。 39 00:02:46,967 --> 00:02:52,305 僕 今まで その 北条家を題材にした作品って➡ 40 00:02:52,305 --> 00:02:55,208 実は2つあって 一つが「王様のレストラン」で。 41 00:02:55,208 --> 00:02:58,178 その時は 名前だけを使ったんですけど。 42 00:02:58,178 --> 00:03:00,914 2つ目が 「わが家の歴史」っていう➡ 43 00:03:00,914 --> 00:03:04,251 あの 民放のスペシャルドラマで。 44 00:03:04,251 --> 00:03:06,586 これは もう 主人公は政子で➡ 45 00:03:06,586 --> 00:03:12,259 で もう 確実に 北条家を そのまま現代っていうか➡ 46 00:03:12,259 --> 00:03:15,929 昭和の時代に置き換えた 話だったんですよね。 47 00:03:15,929 --> 00:03:20,801 ある一家の その中心である長女が➡ 48 00:03:20,801 --> 00:03:24,271 すごく力を持った人と 結婚したことによって➡ 49 00:03:24,271 --> 00:03:29,142 その一族が どんどん その 運命が変わっていくみたいな。 50 00:03:29,142 --> 00:03:34,915 何か そういう意味で 鎌倉時代の北条家の人たちの話は➡ 51 00:03:34,915 --> 00:03:39,286 すごく こう 昔から関心があったっていうか➡ 52 00:03:39,286 --> 00:03:42,956 興味がありましたね。 53 00:03:42,956 --> 00:03:48,829 このドラマで 最も注目を集めた キャラクターといえば 北条時政。 54 00:03:48,829 --> 00:03:54,301 「大河ドラマ」の主人公の父親としては 異色の存在だった。 55 00:03:54,301 --> 00:03:58,972 石橋山の戦いのあとの時政の動向。 56 00:03:58,972 --> 00:04:04,244 歴史書に記された その姿に 三谷のセンサーが反応した。 57 00:04:04,244 --> 00:04:08,949 佐殿は先が見えた。 手を切るには いい機会かもしれん。 58 00:04:33,940 --> 00:04:37,277 僕の その 時政像っていうのは➡ 59 00:04:37,277 --> 00:04:41,148 自分なりに その「吾妻鏡」を読んだりしていくと➡ 60 00:04:41,148 --> 00:04:44,951 どうしても 何か策士であるとか 権力の権化みたいな➡ 61 00:04:44,951 --> 00:04:48,288 そんなイメージが どうしても あの中から読み取れなくて➡ 62 00:04:48,288 --> 00:04:55,962 素朴な田舎のおじさんが たまたま 自分の娘婿が 源 頼朝であったがために➡ 63 00:04:55,962 --> 00:04:59,299 数奇な人生を歩んでいく 何か そんなイメージが➡ 64 00:04:59,299 --> 00:05:01,568 最初からありましたね。 65 00:05:01,568 --> 00:05:04,237 あとは あの やっぱり キャスティングで➡ 66 00:05:04,237 --> 00:05:07,140 彌十郎さんが決まったところから➡ 67 00:05:07,140 --> 00:05:11,111 本格的に 今回の時政像が見えてきたというか。 68 00:05:11,111 --> 00:05:14,247 昔から歌舞伎で拝見してて➡ 69 00:05:14,247 --> 00:05:18,919 面白いし すごく お芝居が的確だし➡ 70 00:05:18,919 --> 00:05:23,590 あと動けるし 何しろ大きいし➡ 71 00:05:23,590 --> 00:05:25,926 かっこいいっていう➡ 72 00:05:25,926 --> 00:05:28,595 何かこう いろんな魅力を持った方で➡ 73 00:05:28,595 --> 00:05:33,266 この人が権力を持った時に どうなっていくんだろう➡ 74 00:05:33,266 --> 00:05:37,137 最初の その この おちゃめな感じは なくなっていくんだろうか。 75 00:05:37,137 --> 00:05:41,141 それは もう 見切り発車で始まったとこは あったんだけども。 76 00:05:41,141 --> 00:05:43,910 彌十郎さんの時政を見てると➡ 77 00:05:43,910 --> 00:05:47,280 何の問題もなく それが解決したっていうか➡ 78 00:05:47,280 --> 00:05:49,616 変わらなかったんですよね。 79 00:05:49,616 --> 00:05:53,954 結局 時政は 何も変わらないまま権力を持ち➡ 80 00:05:53,954 --> 00:05:59,292 そして え~ 滅びていったっていう 感じが すごくあって。 81 00:05:59,292 --> 00:06:03,563 それは もう 彌十郎さんのおかげですね。 82 00:06:03,563 --> 00:06:07,234 あと 義経なんかは 菅田さんが演じたことで➡ 83 00:06:07,234 --> 00:06:09,569 かなりイメージが膨らんだ っていうのもあるけど➡ 84 00:06:09,569 --> 00:06:12,472 最初は 僕の頭の中にあったのは➡ 85 00:06:12,472 --> 00:06:15,909 「パットン大戦車軍団」っていう映画の パットン将軍。 86 00:06:15,909 --> 00:06:21,581 実際にいた方だけど 戦うことだけに すごく力を発揮し➡ 87 00:06:21,581 --> 00:06:25,252 それ以外のことでは 全く何の才能もない。 88 00:06:25,252 --> 00:06:28,922 ただの悲しいおじさんなんですけど… っていうふうな描かれ方だったんだけど。 89 00:06:28,922 --> 00:06:32,259 パットンのイメージが すごくありましたね。 90 00:06:32,259 --> 00:06:38,131 今まで見た作品 映画とか お芝居とか 小説とかからインスパイアーされて➡ 91 00:06:38,131 --> 00:06:43,603 あの作品のあの人みたいに描きたい みたいな感じで➡ 92 00:06:43,603 --> 00:06:47,474 作ったキャラクターも 結構ありますね。 93 00:06:47,474 --> 00:06:49,943 大江広元なんか 「ゴッドファーザー」の➡ 94 00:06:49,943 --> 00:06:52,846 ロバート・デュバルですからね。 95 00:06:52,846 --> 00:06:55,815 そういうの たくさんありますね。 96 00:06:55,815 --> 00:07:02,222 女性の名前って 残ってないじゃないですか。 97 00:07:02,222 --> 00:07:07,560 今回 ほとんど あの 僕が考えた名前なんですよね。 98 00:07:07,560 --> 00:07:12,432 名前考える時に やっぱ 悩むんですよね。 99 00:07:12,432 --> 00:07:14,901 何か どうやって付けていいか さっぱり分かんない。 100 00:07:14,901 --> 00:07:17,570 何でもありだし➡ 101 00:07:17,570 --> 00:07:20,907 でも その人に ぴったり合った 名前がいいなとかと思って。 102 00:07:20,907 --> 00:07:23,576 実衣は もう 100%➡ 103 00:07:23,576 --> 00:07:26,479 「ムーミン」のミイから来てます。 104 00:07:26,479 --> 00:07:30,450 キャラクターも ちょっと ミムラねえさんの妹の➡ 105 00:07:30,450 --> 00:07:33,586 ミイっぽい感じで作りましたし。 106 00:07:33,586 --> 00:07:38,458 トウは 一幡を暗殺した藤馬っていう人がいて➡ 107 00:07:38,458 --> 00:07:40,927 そっからっていう説もあるんですけど➡ 108 00:07:40,927 --> 00:07:47,267 僕の中では 演じられた山本千尋さんが 割とこう小柄な方で➡ 109 00:07:47,267 --> 00:07:50,937 そのイメージもあって こう ピリッと辛いスパイスみたいな感じ。 110 00:07:50,937 --> 00:07:56,810 トウバンジャンのトウですね。 111 00:07:56,810 --> 00:08:01,548 のえ。 のえがですね 伊賀の方じゃないですか。 112 00:08:01,548 --> 00:08:03,883 伊賀で何があるかなと思った時に➡ 113 00:08:03,883 --> 00:08:12,225 あの 「真田丸」の時に描いた あの 家康の伊賀越えの話があって➡ 114 00:08:12,225 --> 00:08:15,128 あっ 伊賀越えがあった。 ゴエだと ちょっと変だから➡ 115 00:08:15,128 --> 00:08:19,566 のえにしようって のえになりましたね。 116 00:08:19,566 --> 00:08:21,868 そんなもんですよ。 117 00:08:34,581 --> 00:08:37,250 これ あれでしょ 「6話まで来ました」って書いてあるから➡ 118 00:08:37,250 --> 00:08:41,588 まだ その 完パケが出来てないんですよね。 119 00:08:41,588 --> 00:08:44,491 撮影も始まってないのかな。 120 00:08:44,491 --> 00:08:47,927 やっぱ そのころがね 一番 心配なんですよ。 121 00:08:47,927 --> 00:08:51,264 僕は本当に 「大河ドラマ」好きですけども➡ 122 00:08:51,264 --> 00:08:56,136 ものすごい 歴史研究家かっていったら そんなことないし➡ 123 00:08:56,136 --> 00:08:58,138 むしろ 知らない方だと思うんですよね。 124 00:08:58,138 --> 00:09:02,542 だから 鎌倉時代のことなんて 何にも分かってないで➡ 125 00:09:02,542 --> 00:09:05,211 書き始めたとこもあるので。 126 00:09:05,211 --> 00:09:07,881 時政が しゃべってるみたいな シーンを書いた時に➡ 127 00:09:07,881 --> 00:09:11,217 この部屋が どんな部屋なのかも知らないし➡ 128 00:09:11,217 --> 00:09:15,889 彼らが どんな着物を着てるのか どんなふうに座ってるのか➡ 129 00:09:15,889 --> 00:09:20,560 もう全く分かんないまま 書いてるわけですよ。 130 00:09:20,560 --> 00:09:26,900 まだ これ 戦国時代とか幕末とかだったら 何となく イメージはあるんだけど➡ 131 00:09:26,900 --> 00:09:30,236 やっぱ 鎌倉時代って 何にも分かってないから➡ 132 00:09:30,236 --> 00:09:34,908 本当に 今 自分が書いてるものが 面白いのか 正しいのか➡ 133 00:09:34,908 --> 00:09:40,580 ちゃんと「大河ドラマ」になってるのか っていうのが分かんないまま書いてて➡ 134 00:09:40,580 --> 00:09:45,452 だから もう 早く その映像が見たかったですよね。 135 00:09:45,452 --> 00:09:54,127 でも その衣装を着けて しゃべってる 義時 頼朝が➡ 136 00:09:54,127 --> 00:09:57,130 ワンシーンでも もっと言うと スチールでもいいんですけど➡ 137 00:09:57,130 --> 00:10:03,603 何か目に入れば それを手がかりに また役を膨らませて書けるんだけど➡ 138 00:10:03,603 --> 00:10:08,475 それも分かんないで 書いてる時 一番 怖いんですよね。 139 00:10:08,475 --> 00:10:12,278 もう本当に あの 地図もないし➡ 140 00:10:12,278 --> 00:10:18,618 あの~ 何にも持たずに 山の中を しかも もう夕暮れで➡ 141 00:10:18,618 --> 00:10:23,289 暗くなってる所を ただ勘だけで歩いてるみたいな。 142 00:10:23,289 --> 00:10:27,160 そんな状態の時は ず~っと続いて➡ 143 00:10:27,160 --> 00:10:34,300 で ようやく 最初の第1話が出来て 拝見して➡ 144 00:10:34,300 --> 00:10:40,173 で やっと 「あっ こんなドラマなんだ こういうカット割りなんだ➡ 145 00:10:40,173 --> 00:10:43,643 こういう世界観なんだ こういうふうに 演技を みんなしてるんだ」って➡ 146 00:10:43,643 --> 00:10:48,982 分かったところで 何となく こう 少し ほっとしたっていうか➡ 147 00:10:48,982 --> 00:10:53,653 もちろん 自分の思ってたイメージと 違う部分も たくさんあるんだけど。 148 00:10:53,653 --> 00:10:56,322 でも 少なくとも 方向性が見えたっていうので➡ 149 00:10:56,322 --> 00:11:00,927 その時は すごく あの ほっとしましたね。 150 00:11:00,927 --> 00:11:05,598 で 割と こう 幸せな時間が続くんですけども➡ 151 00:11:05,598 --> 00:11:11,471 今度は その 1月になって オンエアが始まってからは➡ 152 00:11:11,471 --> 00:11:14,274 もう あとは もう 今度 もう➡ 153 00:11:14,274 --> 00:11:17,177 どんどん後ろから追いかけてきてる みんなが。 154 00:11:17,177 --> 00:11:21,147 で まだ 何話書いてたか ちょっと忘れちゃったけど➡ 155 00:11:21,147 --> 00:11:27,620 もう早く次の本を書かないと もう スタジオで みんな待ってるみたいな➡ 156 00:11:27,620 --> 00:11:31,291 何か そんな状況になって また これ 追い詰められてっていうね➡ 157 00:11:31,291 --> 00:11:34,627 つらい日々が また やって来るんですよね。 158 00:11:34,627 --> 00:11:37,630 だから 幸せなの ほんのちょっとだけだったですね。 159 00:11:39,299 --> 00:11:44,170 ストーリー作りのよりどころとなっていた 歴史書「吾妻鏡」。 160 00:11:44,170 --> 00:11:50,877 こんな一節に三谷が注目して 壮大な物語が広がったことも。 161 00:12:06,459 --> 00:12:10,597 「吾妻鏡」読んでて たまに すごく面白いっていうか➡ 162 00:12:10,597 --> 00:12:15,468 不思議な一節が出てきて 一番覚えてるのは あの➡ 163 00:12:15,468 --> 00:12:20,273 平 知康が井戸に落ちたっていう話。 164 00:12:20,273 --> 00:12:22,942 何か もう それだけで 面白そうじゃないですか。 165 00:12:22,942 --> 00:12:26,813 で 何で井戸に落ちるんだろう とかって思って➡ 166 00:12:26,813 --> 00:12:29,616 これは どうしても描きたい。 167 00:12:29,616 --> 00:12:32,518 もう まるまる1本かけて➡ 168 00:12:32,518 --> 00:12:34,954 井戸に落ちる話が やりたいなぐらい思って➡ 169 00:12:34,954 --> 00:12:37,857 また 知康って人も すごい面白いキャラクターだし➡ 170 00:12:37,857 --> 00:12:40,827 矢柴さんも すごく魅力的に 演じてくださってたんで➡ 171 00:12:40,827 --> 00:12:43,296 これは どうしても描こう。 172 00:12:43,296 --> 00:12:45,231 じゃあ 何で井戸に落ちたのか➡ 173 00:12:45,231 --> 00:12:49,636 そして どうやって助かったのかって考えて➡ 174 00:12:49,636 --> 00:12:55,308 で じゃあ 助けるのは 誰にしようかと思った時に➡ 175 00:12:55,308 --> 00:12:58,978 頼家が助けるのいいなと思って。 176 00:12:58,978 --> 00:13:04,784 で できれば 頼家と全成が 2人で力を合わせて助けて➡ 177 00:13:04,784 --> 00:13:09,589 それが きっかけで こう 心が通じ合うみたいな➡ 178 00:13:09,589 --> 00:13:12,492 そんなエピソードになると いいなって思って。 179 00:13:12,492 --> 00:13:15,261 じゃあ 頼家が そこにいるのは まだ分かるけど➡ 180 00:13:15,261 --> 00:13:17,196 全成が 何で そこにいるんだろう。 181 00:13:17,196 --> 00:13:26,272 じゃあ 全成は その 呪詛かけてて その 頼家を殺そうと思っている。 182 00:13:26,272 --> 00:13:32,145 で 例えば その 頼家の髪の毛が必要だ 呪いをかけるために。 183 00:13:32,145 --> 00:13:35,615 髪の毛を奪いに来てるってのは どうだろうか。 184 00:13:35,615 --> 00:13:41,954 ということは その段階で 全成は 頼家を殺そうとしてるんだろうな。 185 00:13:41,954 --> 00:13:48,294 じゃあ 何で頼家は 殺されなきゃいけないのか➡ 186 00:13:48,294 --> 00:13:51,197 全成は 自分の判断で それをやったのか。 187 00:13:51,197 --> 00:13:53,166 どうも そんな感じもしないし。 188 00:13:53,166 --> 00:14:01,574 多分 全成に それを しむけたのは 時政だろうっていうとこから➡ 189 00:14:01,574 --> 00:14:10,583 全成の頼家を殺そうとする話が 出来てきてるんですよね。 190 00:14:10,583 --> 00:14:18,458 だから 知康が井戸に落ちなければ 全く違う話になってたんですよ。 191 00:14:18,458 --> 00:14:21,594 そういうのって 山ほどありますね。 192 00:14:21,594 --> 00:14:27,934 ある瞬間に こう パーツとパーツが 合わさっちゃう時があるんですよね。 193 00:14:27,934 --> 00:14:35,808 最近で言うと あの~ 実朝を暗殺したあとに➡ 194 00:14:35,808 --> 00:14:41,948 公暁が実朝の首を持ち歩いて 食事する時も横に置いてたっていう。 195 00:14:41,948 --> 00:14:48,287 あれは「吾妻鏡」を読んだ時に これは強烈だなと思って➡ 196 00:14:48,287 --> 00:14:53,159 これは避けては通れない描写だな っていうふうに思ったんだけど➡ 197 00:14:53,159 --> 00:15:01,834 さすがに その 実朝の首を持ち歩く公暁という絵が➡ 198 00:15:01,834 --> 00:15:06,572 ちょっとないなっていう気がして。 199 00:15:06,572 --> 00:15:13,246 じゃあ 首の代わりに何を持ち歩けば いいだろうかって考えた時に➡ 200 00:15:13,246 --> 00:15:15,581 何か パッと思いついちゃったんですよね。 201 00:15:15,581 --> 00:15:18,251 あのドクロがある。 202 00:15:18,251 --> 00:15:22,588 あのドクロも そもそも 最初は偽物のドクロで➡ 203 00:15:22,588 --> 00:15:26,459 文覚が持ってきた あの回だけのものだったんですよね。 204 00:15:26,459 --> 00:15:31,264 途中から 権力の象徴 征夷大将軍の象徴➡ 205 00:15:31,264 --> 00:15:36,135 鎌倉殿の象徴として 使えるものはないかと思った時に➡ 206 00:15:36,135 --> 00:15:38,938 あのドクロがあるって 途中から思いついて。 207 00:15:38,938 --> 00:15:43,276 一回 あれ もう 小道具さんは 使わないと思ってたんですよね。 208 00:15:43,276 --> 00:15:45,211 確かね。 209 00:15:45,211 --> 00:15:48,614 で また 復活…。 同じものなのかな。 210 00:15:48,614 --> 00:15:51,284 壊さなくて よかったですよね。 211 00:15:51,284 --> 00:15:57,623 それで あれが かなり こうね 象徴的なものになって➡ 212 00:15:57,623 --> 00:16:02,228 ず~っと実朝の部屋にあるっていうのを 思い出して➡ 213 00:16:02,228 --> 00:16:05,898 じゃあ これを ドクロの代わりに➡ 214 00:16:05,898 --> 00:16:09,569 公暁が持ち歩くっていうのが いいんじゃないかっていう。 215 00:16:09,569 --> 00:16:13,906 それで ああいう流れになったっていう 経緯がありますね。 216 00:16:13,906 --> 00:16:17,777 種をまいてる時は それが種だって 僕も気付いてないんですよね。 217 00:16:17,777 --> 00:16:21,781 何か 後出しじゃんけんみたいな 感じもあるんですけど➡ 218 00:16:21,781 --> 00:16:24,917 その まあ ほかの作家の方が➡ 219 00:16:24,917 --> 00:16:27,820 どういうふうに 伏線張られてるのか分かんないけど➡ 220 00:16:27,820 --> 00:16:32,258 割と僕は あの そこまで計算してないんだけど➡ 221 00:16:32,258 --> 00:16:35,595 後になって 何か あれが生きてくるみたいな➡ 222 00:16:35,595 --> 00:16:38,898 何か思いつく 思いついちゃうみたいな。 223 00:17:24,577 --> 00:17:29,248 僕の書く「大河ドラマ」は 大体 群像劇ではあるんですけども➡ 224 00:17:29,248 --> 00:17:31,918 例えば「新選組!」は もう明らかに➡ 225 00:17:31,918 --> 00:17:35,788 その近藤 勇と その仲間たちの 物語っていうので➡ 226 00:17:35,788 --> 00:17:38,791 方向性が決まってる部分は あったけど➡ 227 00:17:38,791 --> 00:17:45,264 今回は 何か みんなが同じ共通の目的に 向かって突き進んでるようでも➡ 228 00:17:45,264 --> 00:17:49,602 実は そうではないから なかなか難しいなと思ってて➡ 229 00:17:49,602 --> 00:17:56,475 要は この鎌倉に住んでいる 暮らしている人たちが➡ 230 00:17:56,475 --> 00:18:02,181 全員 均等に描かれてこそ 何か面白くなっていく。 231 00:18:02,181 --> 00:18:05,551 その中心には もちろん 義時がいるんだけども➡ 232 00:18:05,551 --> 00:18:07,887 例えば 亀の前事件の時も➡ 233 00:18:07,887 --> 00:18:11,757 そこに登場する 主要人物たちじゃない人たちも➡ 234 00:18:11,757 --> 00:18:15,561 やっぱり その時間 その鎌倉に生きているって感じを➡ 235 00:18:15,561 --> 00:18:17,897 忘れちゃいけないような気がしていて➡ 236 00:18:17,897 --> 00:18:22,234 亀の前事件は亀の前事件だから この時に 同じ日に➡ 237 00:18:22,234 --> 00:18:25,905 義経が そこに 鎌倉にいたかなんて 関係ないから➡ 238 00:18:25,905 --> 00:18:29,775 あんまり そこに こう 注目する人っていないし➡ 239 00:18:29,775 --> 00:18:32,244 注目する必要もないんですよね。 240 00:18:32,244 --> 00:18:38,918 でも 物語を作る人間としては そこにこそ 何か みんなが気付いてない➡ 241 00:18:38,918 --> 00:18:42,588 物語の芽みたいなものが あるような気がしていて➡ 242 00:18:42,588 --> 00:18:48,260 それで多分 どうしても 義経を絡めたいっていう話を➡ 243 00:18:48,260 --> 00:18:50,930 清水さんにしたんだと思いますね。 244 00:18:50,930 --> 00:18:56,602 やっぱり だから その事件が起こったことによって➡ 245 00:18:56,602 --> 00:19:02,875 大勢の人たちの人生が ほんのちょっとでも動くというか➡ 246 00:19:02,875 --> 00:19:10,216 展開しないと 群像劇の面白さって ないような気がするから。 247 00:19:10,216 --> 00:19:16,088 その時 そこにいた人たちは 必ず何か関係してるようには➡ 248 00:19:16,088 --> 00:19:19,091 なるべくするようにはしてましたね。 249 00:19:29,568 --> 00:19:31,504 オホホホホホホホ。 250 00:19:31,504 --> 00:19:33,439 この何気ないシーン。 251 00:19:33,439 --> 00:19:37,443 実は 台本では 山木のセリフは…。 252 00:19:43,582 --> 00:19:47,253 しかし 野菜を用意する美術スタッフから➡ 253 00:19:47,253 --> 00:19:53,559 当時のナスは丸いので このセリフだと まずいと声が上がる。 254 00:19:55,127 --> 00:20:01,801 本心を言うと そんな この時代のナスが➡ 255 00:20:01,801 --> 00:20:05,504 どんな形してたかなんて 知らないわけですよ。 256 00:20:16,282 --> 00:20:20,953 本当 思うのは 脚本家の力なんて 本当に大したことないな。 257 00:20:20,953 --> 00:20:24,290 やっぱ いろんな専門家の方がいて➡ 258 00:20:24,290 --> 00:20:27,960 いろんな知識や意見を 言ってくださることで➡ 259 00:20:27,960 --> 00:20:32,631 でも 大事なんです やっぱり そういうことが。 260 00:20:32,631 --> 00:20:38,504 あれですね 現場の… 現場からの要請で➡ 261 00:20:38,504 --> 00:20:41,640 一番 印象に残ってんのは これもそうですけど➡ 262 00:20:41,640 --> 00:20:43,576 あれですね あの…。 263 00:20:43,576 --> 00:20:48,981 平六は なぜ来なかったのです。 腐った餅を食って腹を壊した。 264 00:20:48,981 --> 00:20:52,651 (かたい草餅をかむ音) ばかなやつだ。 265 00:20:52,651 --> 00:20:55,321 実は このシーンの収録時➡ 266 00:20:55,321 --> 00:20:58,224 撮影スケジュールが 急に変わったことにより➡ 267 00:20:58,224 --> 00:21:02,528 山本耕史が 参加できなくなってしまっていた。 268 00:21:04,130 --> 00:21:08,601 山本耕史が いられないって話を聞いて➡ 269 00:21:08,601 --> 00:21:14,940 三浦義村が その席にいないってことに なったんですよね。 270 00:21:14,940 --> 00:21:17,610 軍議って 本当 大変なんですよ みんないなきゃいけないから。 271 00:21:17,610 --> 00:21:20,279 で みんな いなきゃいけないけども➡ 272 00:21:20,279 --> 00:21:22,948 何となく いなかったことに しちゃってもいいし➡ 273 00:21:22,948 --> 00:21:26,819 もしかしたら いるかもしれないけども 映ってないっていう逃げもできるし➡ 274 00:21:26,819 --> 00:21:31,290 だから まあ ここは もう そのまま もう しょうがないんで➡ 275 00:21:31,290 --> 00:21:34,960 義村なしで撮っちゃいましょうか って話になったんですけども➡ 276 00:21:34,960 --> 00:21:37,863 何か ちょっと もったいない気がして。 277 00:21:37,863 --> 00:21:40,633 で 三浦義村 面白いキャラクターだし➡ 278 00:21:40,633 --> 00:21:43,302 義村こそ そこにいれば 何か言いそうだから➡ 279 00:21:43,302 --> 00:21:49,642 そのあと いろいろ悩んだ末に おなかを壊したっていう設定にして➡ 280 00:21:49,642 --> 00:21:51,577 何で おなか壊したかっていうと➡ 281 00:21:51,577 --> 00:21:55,514 義時が あの 八重さんにだっけな➡ 282 00:21:55,514 --> 00:21:59,985 あげようとしたお餅を食べて おなか壊したっていう。 283 00:21:59,985 --> 00:22:04,590 そんなの 本当に あの 作り手側の ただの自己満足なのかもしれないけど➡ 284 00:22:04,590 --> 00:22:10,262 それで ドラマが 少~し 豊かになった感じがしたので➡ 285 00:22:10,262 --> 00:22:13,933 まあ やってよかったかなみたいな。 286 00:22:13,933 --> 00:22:17,269 (かたい草餅をかむ音) 287 00:22:17,269 --> 00:22:23,943 金剛が どのタイミングで 坂口さんになるかっていうのも➡ 288 00:22:23,943 --> 00:22:26,845 本当は 何か もっと面白い手が あったのかもしれないけども。 289 00:22:26,845 --> 00:22:32,952 この回のこのシーンから坂口健太郎さんに なりますって伺った時に➡ 290 00:22:32,952 --> 00:22:36,822 いや でも 何か ちょっと唐突な気もするし➡ 291 00:22:36,822 --> 00:22:41,961 例えば あの 「八代将軍吉宗」の➡ 292 00:22:41,961 --> 00:22:45,631 子役から 西田敏行さんになる時の➡ 293 00:22:45,631 --> 00:22:48,968 何か 疱瘡か何かで こう 顔に包帯を巻いてて➡ 294 00:22:48,968 --> 00:22:51,303 包帯を取ったら 西田さんになってたみたいな➡ 295 00:22:51,303 --> 00:22:54,974 何か面白いじゃないですか。 何か そういう技を➡ 296 00:22:54,974 --> 00:22:56,909 本当は使いたかったんだけど➡ 297 00:22:56,909 --> 00:23:00,246 それ ちょっと僕の力不足で 思いつかなかったんですよね。 298 00:23:00,246 --> 00:23:06,585 で 完パケを見たら やっぱ ものすごい違和感があって。 299 00:23:06,585 --> 00:23:08,520 フフフフフ…。 300 00:23:08,520 --> 00:23:12,258 で 前の週に 結構 感動的な 何か 親子のシーンがあるんですよね。 301 00:23:12,258 --> 00:23:16,929 その時 確実に子供だったのに 突然でかくなってるから➡ 302 00:23:16,929 --> 00:23:20,599 これは 何か さすがに 視聴者にも申し訳ないし➡ 303 00:23:20,599 --> 00:23:24,937 作ってるスタッフの方々にも 何か僕の力不足で➡ 304 00:23:24,937 --> 00:23:28,807 こんなふうな形になったのが 本当に申し訳ないから➡ 305 00:23:28,807 --> 00:23:33,279 何か もう 今からできることはないかって考えて➡ 306 00:23:33,279 --> 00:23:38,617 「成長著しい金剛」っていう フレーズを思いついて➡ 307 00:23:38,617 --> 00:23:42,955 これ ちょっと テロップで入れてもらえませんかって。 308 00:23:42,955 --> 00:23:46,825 どうなんですかね あの ものすごい反省はしてるんですよ。 309 00:23:46,825 --> 00:23:51,964 逃げですからね。 ただ まあ ちょっと面白かったから➡ 310 00:23:51,964 --> 00:23:55,301 面白さは全てに優先する みたいなとこありますから➡ 311 00:23:55,301 --> 00:23:58,304 まあ いいかなというふうに思ってます。 312 00:23:59,972 --> 00:24:08,781 ドラマ終盤についての話にさしかかると また驚きの展開の秘密が。 313 00:24:08,781 --> 00:24:19,258 政子が実朝を失い 公暁を失った時に どうなってしまうんだろうかって➡ 314 00:24:19,258 --> 00:24:25,931 45話の公暁が死んだという 報告を受けたシーンを➡ 315 00:24:25,931 --> 00:24:29,268 書いてる瞬間に 考えるんですよね。 316 00:24:29,268 --> 00:24:33,138 その時 政子の気持ちで書いてますから。 317 00:24:33,138 --> 00:24:36,942 生きること自体を もう拒否してしまおうって➡ 318 00:24:36,942 --> 00:24:40,612 思ったに違いないっていうふうに感じて➡ 319 00:24:40,612 --> 00:24:46,952 で 自ら死を選ぶシーンを その時 書いたんですよね。 320 00:24:46,952 --> 00:24:51,824 ただ 史実として そこで政子は死んでないわけで➡ 321 00:24:51,824 --> 00:24:58,297 じゃあ なぜ 彼女は 死ぬことをやめたのかってなった時に➡ 322 00:24:58,297 --> 00:25:01,200 じゃあ これは 多分 誰かが止めたんだろうな。 323 00:25:01,200 --> 00:25:04,570 じゃあ… じゃあ 誰が止めるんだろうか➡ 324 00:25:04,570 --> 00:25:09,908 大江広元かなとかって思ったり 実衣かなとか思ったり➡ 325 00:25:09,908 --> 00:25:12,578 義時かなとかって思ったり。 326 00:25:12,578 --> 00:25:15,247 でも どれも 何か ちょっとピンと来なくて➡ 327 00:25:15,247 --> 00:25:19,585 で 最後に思いついたのが トウだったんですよね。 328 00:25:19,585 --> 00:25:28,260 あの暗殺者のトウが 政子に生きろと言う これでいこうと思ったんだけど➡ 329 00:25:28,260 --> 00:25:32,598 じゃあ トウが御所にいる理由を 作んなきゃいけない。 330 00:25:32,598 --> 00:25:36,268 じゃあ 多分 トウは捕まってたんだろう。 331 00:25:36,268 --> 00:25:40,139 そっから逃げて たまたま その逃げてる間に➡ 332 00:25:40,139 --> 00:25:44,610 政子の部屋に通りかかるみたいなのは いいかもしんない。 333 00:25:44,610 --> 00:25:48,480 じゃあ 何で捕まってんだろう じゃあ 誰かを暗殺しようとして➡ 334 00:25:48,480 --> 00:25:51,283 それに失敗して捕まったんだろう。 335 00:25:51,283 --> 00:25:55,954 じゃあ 誰を殺そうとしてたのかな。 あっ 仲章がいたみたいな。 336 00:25:55,954 --> 00:25:58,857 それも また こう 逆算ですよね。 337 00:25:58,857 --> 00:26:01,760 それで あの物語が出来て➡ 338 00:26:01,760 --> 00:26:07,466 トウの物語も 一つ こう 筋が通ったみたいな。 339 00:26:11,236 --> 00:26:15,574 仲章のキャラクター いろいろ調べて➡ 340 00:26:15,574 --> 00:26:18,243 結構 面白い人だってことは 分かってきたんで➡ 341 00:26:18,243 --> 00:26:22,915 今まで 多分 ここまで仲章を描いた作品って➡ 342 00:26:22,915 --> 00:26:24,850 なかったと思うんだけど。 343 00:26:24,850 --> 00:26:30,589 それを また 生田さんが すごく アクの強い芝居で演じられて➡ 344 00:26:30,589 --> 00:26:34,893 かなり強烈なキャラに なったんですよね。 345 00:27:02,521 --> 00:27:06,425 彼の最期は どんなふうにしようかって考えて➡ 346 00:27:06,425 --> 00:27:10,562 どんな死に方がいいだろうか 何を言って死ねばいいんだろうか。 347 00:27:10,562 --> 00:27:14,900 で まあ いろいろあるけども その恨みつらみを言ったりとか。 348 00:27:14,900 --> 00:27:18,570 そもそも人違いなわけだから 「何で俺が!」でもいいんだろうし➡ 349 00:27:18,570 --> 00:27:21,907 彼の野望を 最後 語ってもいいし➡ 350 00:27:21,907 --> 00:27:24,243 ただ あんまり長くなっても よくないし➡ 351 00:27:24,243 --> 00:27:28,914 ここは 基本的に一番大事なのは 公暁と実朝だから➡ 352 00:27:28,914 --> 00:27:34,253 その前で仲章が 一世一代の 何か名ゼリフを言うのも➡ 353 00:27:34,253 --> 00:27:36,588 ちょっと ちょっと ヘビーだなっていうのがあって。 354 00:27:36,588 --> 00:27:42,928 じゃあ ひと言で 仲章らしく 生田さんが台本を読んで➡ 355 00:27:42,928 --> 00:27:46,265 あっ これ面白いセリフだなって 思ってほしいみたいな。 356 00:27:46,265 --> 00:27:50,602 ちょっと 何か そういう こう よこしまな思いもあって➡ 357 00:27:50,602 --> 00:27:55,274 死ぬ時に何を言わせようかと思って 頭の中で考えた時に➡ 358 00:27:55,274 --> 00:27:58,610 あっ きっと雪の上で死ぬんだから➡ 359 00:27:58,610 --> 00:28:05,417 顔にも雪がかかってくるし 寒いんだろうなって思って➡ 360 00:28:05,417 --> 00:28:09,221 このセリフになった感じですね。 361 00:28:09,221 --> 00:28:11,156 あんな言い方するとは 思わなかったですけどね。 362 00:28:11,156 --> 00:28:18,897 でも やっぱり面白かったし あの すごく印象に残りましたね。 363 00:28:18,897 --> 00:28:25,571 これだけ力のある俳優さんたちが 集まったドラマって➡ 364 00:28:25,571 --> 00:28:28,240 そんなにないような気がするし➡ 365 00:28:28,240 --> 00:28:31,910 もう とにかく どのシーンも どの俳優さんも➡ 366 00:28:31,910 --> 00:28:35,781 みんな すごいなと思って見てました。 367 00:28:35,781 --> 00:28:42,554 だからこそ まあ 僕としては あの力のある方々に➡ 368 00:28:42,554 --> 00:28:48,460 つまんない台本は渡せないっていうふうに ずっと思ってましたし➡ 369 00:28:48,460 --> 00:28:53,599 何か それは 僕もね 力が入りますよね。 370 00:28:53,599 --> 00:28:58,270 「新選組!」を書いてる時に➡ 371 00:28:58,270 --> 00:29:04,876 この 何かこう 一つの目的に向かって みんなが力を合わせて➡ 372 00:29:04,876 --> 00:29:11,550 目的を達成した瞬間から崩壊していく っていう この物語の作りって➡ 373 00:29:11,550 --> 00:29:17,422 鎌倉時代の御家人たちの話に通じるなって 思ってたんですよ。 374 00:29:17,422 --> 00:29:21,560 想像以上に きつかったですね。 375 00:29:21,560 --> 00:29:23,895 多分 見てる人たちは➡ 376 00:29:23,895 --> 00:29:29,568 毎回毎回 こんな つらい思いして 見なきゃいけないのか。 377 00:29:29,568 --> 00:29:31,903 でも 先が見たいっていうふうに➡ 378 00:29:31,903 --> 00:29:35,574 多分 皆さん 思ってらっしゃったような 気もするんだけど。 379 00:29:35,574 --> 00:29:40,445 で 「三谷は ほくそ笑んでるな」みたいに 思ってらっしゃったかもしんないけど➡ 380 00:29:40,445 --> 00:29:44,249 多分ですね 僕は もっと苦しかったですね。 381 00:29:44,249 --> 00:29:50,922 やっぱ それぞれに 思いを抱いて書いてますし➡ 382 00:29:50,922 --> 00:29:54,259 心の底から悪いやつなんていないから➡ 383 00:29:54,259 --> 00:30:00,132 どこかに みんな 正しいと思った その思いがあるわけだから➡ 384 00:30:00,132 --> 00:30:02,934 無念の死になるわけで。 385 00:30:02,934 --> 00:30:07,606 それを 一つ一つ 描いていかなきゃいけないわけで➡ 386 00:30:07,606 --> 00:30:10,275 まあ 史実があるから しょうがないんだけども。 387 00:30:10,275 --> 00:30:18,617 死なせていかなきゃいけない苦しみ みたいなものは すごくありましたね。 388 00:30:18,617 --> 00:30:25,290 基本的に やっぱり 僕の… 僕 書いてて やっぱ すごく あの➡ 389 00:30:25,290 --> 00:30:28,627 それぞれに 自分を投影する部分もあるし➡ 390 00:30:28,627 --> 00:30:34,499 感情移入することのできる キャラクターを作ってた人たちが➡ 391 00:30:34,499 --> 00:30:37,803 死んだ顔を見たくなかったんですよね。 392 00:30:40,639 --> 00:30:43,542 いよいよ最終回を迎えるドラマ。 393 00:30:43,542 --> 00:30:48,980 ロングプロットを作った 3年前のメールにあったのが この言葉。 394 00:30:48,980 --> 00:30:53,685 ここから 脚本執筆が始まった。 395 00:31:26,284 --> 00:31:32,624 まあ 一つは やっぱり 僕自身の変化ですよね。 396 00:31:32,624 --> 00:31:37,963 あの 息子が 今 8歳ですけども➡ 397 00:31:37,963 --> 00:31:45,837 自分の人生で 自分に子供ができるなんて 考えもしなかったので。 398 00:31:45,837 --> 00:31:49,975 で 僕自身は 父親が僕が10歳の時に他界していて➡ 399 00:31:49,975 --> 00:31:56,848 あまり こう 父との縁が薄い 割と薄いタイプの人間なので➡ 400 00:31:56,848 --> 00:32:02,254 あんまり こう 親子の話っていうのを 書いてこなかったんですよね。 401 00:32:02,254 --> 00:32:08,593 それが あの 「真田丸」の時から ちょっと変わってきていて➡ 402 00:32:08,593 --> 00:32:12,931 で まあ それは やっぱ息子が生まれた ってことが大きいですよね。 403 00:32:12,931 --> 00:32:18,270 今回 この物語を作るにあたって➡ 404 00:32:18,270 --> 00:32:23,141 じゃあ 自分が もし 義時の立場で 死ぬ時に何を考えるかっていったら➡ 405 00:32:23,141 --> 00:32:29,614 やっぱ泰時のことだなっていうのが 第一に浮かびましたよね。 406 00:32:29,614 --> 00:32:33,485 北条家の物語なんだなっていうのは➡ 407 00:32:33,485 --> 00:32:38,957 実際に書いてみると やっぱ そこが強いですね。 408 00:32:38,957 --> 00:32:46,832 政子が その 有名な あの承久の乱の前で 演説をするじゃないですか。 409 00:32:46,832 --> 00:32:50,569 あのシーンも 御家人たちが いっぱいいる前で➡ 410 00:32:50,569 --> 00:32:55,507 政子が こう 彼らを奮い立たせる演説のイメージ。 411 00:32:55,507 --> 00:33:00,912 よくあるというか 一般的なイメージを 僕も持っていたんだけど➡ 412 00:33:00,912 --> 00:33:06,251 でも この物語の政子としては➡ 413 00:33:06,251 --> 00:33:10,121 この演説は きっと義時のために語ってるんだ➡ 414 00:33:10,121 --> 00:33:16,261 そんなふうに僕は書くべきだし それが この物語のテーマなんだ。 415 00:33:16,261 --> 00:33:18,930 結局 この きょうだいの話なんだっていう。 416 00:33:18,930 --> 00:33:22,601 最初が北条家で始まったように 最後も北条家で終わる。 417 00:33:22,601 --> 00:33:24,536 まだオンエアされてないですけど➡ 418 00:33:24,536 --> 00:33:31,276 最終回の最後のシーンも やっぱり きょうだいのシーンなんですよね。 419 00:33:31,276 --> 00:33:35,146 そこに やっぱり完結するっていう。 420 00:33:35,146 --> 00:33:40,952 結局 これは その 家族の物語なんだなっていうのを➡ 421 00:33:40,952 --> 00:33:49,961 それは僕も書きながら見つけていった っていう感じが すごくしますね。 422 00:33:52,564 --> 00:33:57,269 「三谷幸喜の言葉 『鎌倉殿の13人』の作り方」。