1 00:00:06,806 --> 00:00:07,640 (鳥の鳴き声) 2 00:00:07,707 --> 00:00:08,975 (羽ばたきの音) 3 00:00:12,579 --> 00:00:13,713 {\an8}(語り)京から— 4 00:00:13,780 --> 00:00:18,385 {\an8}頼家(よりいえ)の残した子 公暁(こうぎょう)が戻ってきている 5 00:00:18,451 --> 00:00:21,154 {\an8}(足音) 6 00:00:21,221 --> 00:00:22,255 {\an8}(義村(よしむら))御免 7 00:00:24,391 --> 00:00:26,326 {\an8}明日は御所に赴いて 8 00:00:26,393 --> 00:00:28,995 {\an8}鎌倉殿と尼御台(あまみだい)に ご挨拶を 9 00:00:29,062 --> 00:00:30,363 {\an8}(公暁)うむ 10 00:00:30,430 --> 00:00:31,998 {\an8}例の件は どうなっておる 11 00:00:32,799 --> 00:00:35,035 {\an8}(義村) 若君は 鎌倉殿が— 12 00:00:35,101 --> 00:00:37,804 {\an8}お子にも等しいとした 唯一の男子 13 00:00:38,772 --> 00:00:40,940 {\an8}鎌倉殿の跡を継ぐのは 14 00:00:41,007 --> 00:00:43,109 {\an8}若君のほかは ございません 15 00:00:44,911 --> 00:00:49,182 {\an8}必ず 鎌倉殿になってみせる 16 00:00:50,183 --> 00:00:53,920 私は そのために戻ってきた 17 00:00:54,954 --> 00:00:59,125 必ず その願い かなえてご覧に入れまする 18 00:01:02,462 --> 00:01:04,464 ♪~ 19 00:03:08,855 --> 00:03:10,857 ~♪ 20 00:03:12,458 --> 00:03:15,962 (鐘の音) 21 00:03:16,896 --> 00:03:19,199 (義時(よしとき))お久しゅうございます 22 00:03:19,899 --> 00:03:21,834 (義時) 鎌倉は何年ぶりになりますか 23 00:03:22,702 --> 00:03:23,836 六年だ 24 00:03:24,904 --> 00:03:26,973 (義時)立派になられて 25 00:03:27,574 --> 00:03:29,909 きっと鎌倉殿も 喜ばれると思います 26 00:03:30,877 --> 00:03:34,347 (義村)若君は 頼朝(よりとも)様の血筋にふさわしく 27 00:03:34,414 --> 00:03:37,750 頭も切れ そして剣の腕も天下無双 28 00:03:38,484 --> 00:03:41,221 仏事の合間に… 悪僧だ 29 00:03:41,287 --> 00:03:44,457 ハハッ それは頼もしい 30 00:03:44,691 --> 00:03:46,392 早く尼御台に会いたい 31 00:03:47,627 --> 00:03:49,462 あちらにお待ちでございます 32 00:03:58,738 --> 00:04:02,542 物おじせぬ様子が 頼家様を思い出すな 33 00:04:03,009 --> 00:04:04,911 (義村)頼家様より賢い 34 00:04:06,379 --> 00:04:09,482 鼻筋の通ったところは頼朝様似 35 00:04:09,549 --> 00:04:13,019 しかも 女子(おなご)で問題を起こすことはない 36 00:04:13,086 --> 00:04:14,153 坊さんだからな 37 00:04:14,520 --> 00:04:18,625 フッ 源氏のいいとこ取りか 38 00:04:19,792 --> 00:04:23,396 小四郎(こしろう) 鎌倉殿の跡継ぎのことなんだが 39 00:04:25,732 --> 00:04:27,200 それなんだが… 40 00:04:27,266 --> 00:04:31,838 いまだにお子ができず 鎌倉殿は側室を持とうとされない 41 00:04:31,904 --> 00:04:35,375 だったら 若君で決まりではないのか 42 00:04:36,576 --> 00:04:37,410 来てくれ 43 00:04:42,582 --> 00:04:48,721 (政子(まさこ))公暁 今の私は 息子と孫の成長を見守る 44 00:04:49,322 --> 00:04:51,858 それだけが 生きるよすがなのですよ 45 00:04:52,425 --> 00:04:55,395 尼御台のお計らいで 私は出家し 46 00:04:56,362 --> 00:04:59,999 おかげさまで このとおり 心身を鍛えました 47 00:05:01,801 --> 00:05:06,806 いずれは 亡き祖父 亡き父の願いに沿う— 48 00:05:07,774 --> 00:05:11,444 立派な鎌倉殿になる所存です 49 00:05:14,981 --> 00:05:17,317 ちょっと待ってくれ どういうことだ 50 00:05:18,618 --> 00:05:25,124 だから 次の鎌倉殿は 京よりお招きする 51 00:05:26,192 --> 00:05:27,126 若君は? 52 00:05:31,497 --> 00:05:37,937 頼家様は 鎌倉の安寧を脅かされた 53 00:05:39,105 --> 00:05:41,341 公暁殿は その子 54 00:05:43,076 --> 00:05:48,715 跡を継がせるべきではない というのが 鎌倉殿のお考えだ 55 00:05:49,215 --> 00:05:50,550 おかしいだろ! 56 00:05:52,118 --> 00:05:54,153 私だって それでいいとは思っていない 57 00:05:54,387 --> 00:05:57,156 (義村)いずれ鎌倉は 西のやつらに乗っ取られるぞ 58 00:06:04,263 --> 00:06:06,132 公暁には話していないのですか 59 00:06:07,533 --> 00:06:08,968 何か申されてましたか 60 00:06:09,602 --> 00:06:11,704 あの子は 鎌倉殿になるつもりです 61 00:06:12,772 --> 00:06:15,208 なぜ きちんと 説明しておかないのです 62 00:06:18,678 --> 00:06:23,750 そもそも 話すいわれはありませぬ 63 00:06:26,018 --> 00:06:28,421 公暁は還俗(げんぞく)する気になっています 64 00:06:29,756 --> 00:06:31,057 許されるはずがないだろう! 65 00:06:31,424 --> 00:06:33,559 そこまで 覚悟を決めておられるのだ! 66 00:06:39,365 --> 00:06:40,900 今は どちらに? 67 00:06:41,267 --> 00:06:42,969 鎌倉殿と会っています 68 00:06:43,569 --> 00:06:47,440 あの子の口から 公暁の耳に 入ることがないといいんだけど 69 00:06:48,541 --> 00:06:51,377 鎌倉殿は賢いお方です 70 00:06:53,946 --> 00:06:56,916 軽はずみに話すようなことは なさらないはず 71 00:06:58,384 --> 00:07:01,654 (実朝(さねとも))この度 京より養子を取ることにした 72 00:07:02,955 --> 00:07:06,392 (実朝)いずれは その子に 跡を継いでもらうつもりだ 73 00:07:08,161 --> 00:07:14,267 私は大御所となり そなたは 鶴岡(つるがおか)別当として— 74 00:07:14,333 --> 00:07:18,471 新しい鎌倉殿の よき相談相手になってもらう 75 00:07:18,538 --> 00:07:22,175 (実衣(みい))そういうお話も あるということです 76 00:07:22,708 --> 00:07:26,078 決まってもいないことを ぺらぺらと話すものではありません 77 00:07:26,145 --> 00:07:28,648 (泰時(やすとき))鎌倉殿は人に話すことで 78 00:07:28,714 --> 00:07:31,484 周りが後に引けないように しておられるのです 79 00:07:32,185 --> 00:07:35,521 (実朝)頼んだぞ 公暁 80 00:07:40,092 --> 00:07:41,360 かしこまりました 81 00:07:43,229 --> 00:07:44,430 話が違う! 82 00:07:45,331 --> 00:07:48,301 鎌倉殿が 勝手に言われているだけです 83 00:07:50,803 --> 00:07:51,971 京へ帰る! 84 00:07:53,873 --> 00:07:56,342 (義村) とりあえず若君には予定どおり 85 00:07:56,409 --> 00:07:58,611 千日の参籠に入っていただきます 86 00:07:58,678 --> 00:08:00,746 その間に 私が 87 00:08:04,083 --> 00:08:06,152 鎌倉殿を説き伏せられるのか 88 00:08:07,153 --> 00:08:08,421 お任せください 89 00:08:12,225 --> 00:08:14,060 (語り)千日参籠 90 00:08:14,527 --> 00:08:20,800 外界との交流を断ち 堂内に籠もって神仏に祈る 91 00:08:21,500 --> 00:08:26,205 出入りできるのは 世話役の稚児のみである 92 00:08:30,276 --> 00:08:35,514 南無大聖大悲(なむだいしょうだいひ) 93 00:08:36,082 --> 00:08:40,253 不動明王(ふどうみょうおう) 94 00:08:43,589 --> 00:08:45,958 (泰時)上皇(じょうこう)様は何と? 95 00:08:49,095 --> 00:08:53,799 新しい鎌倉殿が決まりそうだ 96 00:09:01,073 --> 00:09:03,943 (仲章(なかあきら)) これほど すばらしい知らせを— 97 00:09:04,777 --> 00:09:06,012 私は知りません 98 00:09:06,779 --> 00:09:08,114 おめでとうございます 99 00:09:08,814 --> 00:09:12,485 すぐに皆を集めよ 私の口から伝えたい 100 00:09:12,552 --> 00:09:13,586 (仲章)急げ 101 00:09:14,287 --> 00:09:15,121 (泰時)はい 102 00:09:15,187 --> 00:09:17,056 (実衣) なんとか止める手だてはないの? 103 00:09:17,123 --> 00:09:18,724 今 考えている 104 00:09:18,791 --> 00:09:23,195 都の出といったって どこの馬の骨とも分からない— 105 00:09:23,262 --> 00:09:26,299 貧乏貴族の小せがれを あてがわれてみなさいよ 106 00:09:26,866 --> 00:09:28,301 目も当てられないわ 107 00:09:28,768 --> 00:09:32,038 これが帝(みかど)の御子(おこ)だったら 俺も納得してやる 108 00:09:32,104 --> 00:09:34,740 連れてくるんだったら それくらいはしてもらわないと 109 00:09:35,408 --> 00:09:37,343 鎌倉殿をなめてもらっちゃ困るわ 110 00:09:37,410 --> 00:09:41,814 (義時)とにかく この話は断固 拒むつもりだ 111 00:09:42,281 --> 00:09:44,750 二人とも 後押しを頼む 112 00:09:45,084 --> 00:09:46,118 任せて 113 00:09:47,586 --> 00:09:50,156 若君は もう やる気になられている 114 00:09:50,222 --> 00:09:51,057 それを忘れるな 115 00:09:53,459 --> 00:09:56,696 次は 公暁殿か うちの息子 116 00:09:56,762 --> 00:09:57,630 うちの息子はない 117 00:09:58,497 --> 00:10:00,499 時元(ときもと)だって 立派な源氏の嫡流ではないですか 118 00:10:00,566 --> 00:10:03,636 (義時)血筋で言えば 公暁殿の方が上だ 119 00:10:04,537 --> 00:10:08,174 血筋 不吉もいいとこですけどね 120 00:10:09,575 --> 00:10:11,844 (義村) そっちも似たようなもんだろ 121 00:10:19,719 --> 00:10:22,021 これで よかったのでしょうか 122 00:10:23,089 --> 00:10:24,924 (広元(ひろもと))尼御台は今後も— 123 00:10:25,524 --> 00:10:29,462 ご自分の思った道を 突き進むべきでございます 124 00:10:32,298 --> 00:10:34,166 (政子)頼りにしていますからね 125 00:10:36,502 --> 00:10:41,574 (広元)私は 頼朝様に呼ばれ 鎌倉に参りました 126 00:10:42,508 --> 00:10:48,748 その後 頼家様 実朝様と 代は替わりましたが— 127 00:10:50,049 --> 00:10:53,019 私がお仕えしてきたお方は ただ一人 128 00:10:56,188 --> 00:10:57,757 尼御台にございます 129 00:11:00,493 --> 00:11:01,827 私…? 130 00:11:02,828 --> 00:11:07,400 大江(おおえ)広元 二度と両の眼で はっきりと— 131 00:11:07,466 --> 00:11:10,002 尼御台を見ることは かないませんが— 132 00:11:11,170 --> 00:11:17,376 心の目には 今も ありありと そのお姿が映ります 133 00:11:19,745 --> 00:11:20,679 大江殿… 134 00:11:22,481 --> 00:11:23,416 はい 135 00:11:24,583 --> 00:11:26,152 重すぎます 136 00:11:30,589 --> 00:11:31,791 失礼しました 137 00:11:34,794 --> 00:11:38,264 鎌倉殿が 京から養子を取れば— 138 00:11:38,731 --> 00:11:42,201 以後 御家人同士の 無駄な いさかいは なくなります 139 00:11:45,905 --> 00:11:47,640 (広元)よいと思います 140 00:11:54,547 --> 00:11:55,681 (康信(やすのぶ))遅くなりました 141 00:11:56,315 --> 00:11:57,950 (時房(ときふさ))腰 大丈夫ですか 142 00:11:59,151 --> 00:12:01,320 (実朝)無理は するな 143 00:12:01,721 --> 00:12:03,889 (康信) かような大事な話し合いの時に— 144 00:12:03,956 --> 00:12:06,692 館で寝ているわけには まいりません 145 00:12:09,762 --> 00:12:11,530 (実朝)これで 全部か 146 00:12:11,964 --> 00:12:13,732 お声がかりの者たちは そろいました 147 00:12:14,734 --> 00:12:20,339 かのお方が頼朝様の跡を 継がれた時を思い出します 148 00:12:20,840 --> 00:12:25,277 あの時も 十三人の宿老が並びました 149 00:12:25,845 --> 00:12:31,684 (時房)今は 十二か 一人足りなかったですね 残念 150 00:12:33,519 --> 00:12:34,754 (政子)始めましょ 151 00:12:36,722 --> 00:12:40,092 (泰時)それでは 鎌倉殿よりお話がございます 152 00:12:40,793 --> 00:12:41,861 (政子)公暁 153 00:12:45,531 --> 00:12:49,769 (義村)方々 先代のお子 公暁殿にございます 154 00:12:49,835 --> 00:12:52,838 (康信)確かに ご先代に面影が似ておられる 155 00:12:53,272 --> 00:12:56,876 (公暁)鎌倉のこの先を決める 大事な話し合いと伺いました 156 00:12:57,476 --> 00:12:59,378 私も加わっても よろしいでしょうか 157 00:13:00,813 --> 00:13:01,847 構わぬ 158 00:13:04,950 --> 00:13:06,418 (義村)千日の参籠は? 159 00:13:06,485 --> 00:13:08,020 (公暁)百日目で抜けてきた 160 00:13:08,087 --> 00:13:10,656 明日 また一日目から出直す 161 00:13:10,723 --> 00:13:12,491 (義村)勝手に八幡宮(はちまんぐう)を出ては… 162 00:13:12,558 --> 00:13:15,728 (公暁)私は別当だ 何が悪い 163 00:13:16,962 --> 00:13:18,230 (時房)伝えてまいりましょう 164 00:13:23,235 --> 00:13:25,604 (公暁)どうぞ 始めてください 165 00:13:25,671 --> 00:13:26,739 (義時) 五郎(ごろう)が戻るのを待ちましょう 166 00:13:27,106 --> 00:13:27,973 構わん 167 00:13:29,542 --> 00:13:31,977 (仲章)それでは 私から 168 00:13:32,044 --> 00:13:34,079 (実朝)私から 話そう 169 00:13:36,215 --> 00:13:40,986 かねてより進めていた 京より養子を取るという話だが… 170 00:13:41,053 --> 00:13:42,755 その前に よろしいですか 171 00:13:42,822 --> 00:13:44,223 (泰時) 鎌倉殿のお話の途中でございます 172 00:13:44,290 --> 00:13:45,624 (義時)大事なことだ 173 00:13:48,360 --> 00:13:51,096 かようなことを ごく一部の者で決めれば— 174 00:13:51,430 --> 00:13:54,300 やがて 御家人たちが騒ぎかねません 175 00:13:54,366 --> 00:13:58,070 大事なことだからこそ 自分で決めたいのだ 176 00:13:58,137 --> 00:13:59,572 ご先代の頃より— 177 00:13:59,638 --> 00:14:02,875 大事なことは評議で決めるのが この鎌倉の習わし 178 00:14:02,942 --> 00:14:05,578 しかしながら ご先代の時より— 179 00:14:05,644 --> 00:14:10,049 評議で 話が すんなり まとまったことはございませんぞ 180 00:14:13,319 --> 00:14:17,957 (公暁)ご先代 ご先代 なぜ 皆 頼家様と言わぬ 181 00:14:18,724 --> 00:14:20,593 何か含みでもあるのか 182 00:14:20,659 --> 00:14:22,094 (康信)そういうつもりでは… 183 00:14:22,161 --> 00:14:23,562 (義時)ここは もう一度 184 00:14:24,029 --> 00:14:27,700 我ら宿老が時をかけて 話し合うべきではないでしょうか 185 00:14:27,967 --> 00:14:32,004 (実衣)鎌倉殿にお子がいなくても 公暁殿もいれば— 186 00:14:32,438 --> 00:14:34,306 うちの息子だっているのですから 187 00:14:38,344 --> 00:14:39,345 (時元)悔しいです 188 00:14:39,411 --> 00:14:40,279 そりゃそうよ 189 00:14:40,346 --> 00:14:42,548 (仲章)既に話は進んでおる 190 00:14:43,482 --> 00:14:48,520 (実朝)申し訳ないが これは もう決めたことなのだ 191 00:14:49,855 --> 00:14:52,892 かねてより 上皇様には— 192 00:14:52,958 --> 00:14:55,261 ふさわしいお方を お選びいただきたいと— 193 00:14:55,327 --> 00:14:57,263 お願いしていたのだが… 194 00:14:58,130 --> 00:15:00,299 そのお返事が届いた 195 00:15:01,300 --> 00:15:02,368 (実衣)上皇様から? 196 00:15:02,701 --> 00:15:08,707 上皇様は 親王様の中から 誰かを遣わしてもよいと仰せだ 197 00:15:09,575 --> 00:15:14,480 (仲章)畏れ多くも 上皇様の御子たちにあらせられます 198 00:15:15,147 --> 00:15:15,981 えっ… 199 00:15:16,782 --> 00:15:18,918 (実朝)これ以上のことはあるまい 200 00:15:19,518 --> 00:15:21,020 ありがたきこと 201 00:15:21,086 --> 00:15:24,490 では 御台所(みだいどころ)とも ご親戚にあたるのですか 202 00:15:24,556 --> 00:15:29,061 (千世(ちよ))頼仁(よりひと)親王様の母上は 私の姉にございます 203 00:15:29,128 --> 00:15:30,229 (実朝)義時 204 00:15:32,731 --> 00:15:36,936 これならば 反対する御家人はいないと思うが 205 00:15:40,239 --> 00:15:44,743 実現すれば これに勝る喜びはございませぬ 206 00:15:45,477 --> 00:15:46,645 義村 207 00:15:49,081 --> 00:15:52,284 御家人たちも 皆 喜ぶと思います 208 00:15:56,355 --> 00:15:58,957 ついては 一日も早く上洛(じょうらく)して 話を固めたい 209 00:15:59,024 --> 00:16:00,859 それは いかがなものでございましょう 210 00:16:00,926 --> 00:16:03,262 私自らが 上皇様にお会いするのが筋 211 00:16:03,329 --> 00:16:06,198 鎌倉殿の上洛を 軽く考えてはなりません 212 00:16:07,199 --> 00:16:08,334 支度には時が必要です 213 00:16:08,801 --> 00:16:10,869 (実朝)そのように 大仰(おおぎょう)に考えなくてもよい 214 00:16:10,936 --> 00:16:13,339 (広元)京の方々に 侮られないためにございます 215 00:16:13,405 --> 00:16:15,941 (実朝) 一日も早く話を進めたいのだ 216 00:16:16,008 --> 00:16:17,776 では 私が参りましょう 217 00:16:19,244 --> 00:16:20,546 (義時)尼御台が? 218 00:16:20,612 --> 00:16:23,315 (政子)女子の私なら 仰々しくならないでしょう 219 00:16:23,615 --> 00:16:27,186 熊野詣(くまのもうで)の ついでという形にして 話をつけてまいりましょう 220 00:16:27,252 --> 00:16:28,087 (義時)しかし… 221 00:16:28,554 --> 00:16:29,855 尼御台がよろしいかと存じます 222 00:16:31,590 --> 00:16:36,662 そうなれば 恐らく向こうからは 上皇様の乳母(めのと)である卿二位(きょうのにい) 223 00:16:37,162 --> 00:16:40,099 藤原兼子(ふじわらのかねこ)様が 出てこられると思われます 224 00:16:41,200 --> 00:16:44,570 女子同士 話が弾むのではないでしょうか 225 00:16:49,808 --> 00:16:51,310 (政子)決まりですね 226 00:16:51,777 --> 00:16:52,745 お供いたしましょう 227 00:16:52,811 --> 00:16:53,879 (政子)結構 228 00:16:55,581 --> 00:16:58,384 この母に お任せあれ 229 00:17:02,087 --> 00:17:03,889 (義村)このままでは 若君は— 230 00:17:05,157 --> 00:17:07,292 一生 鎌倉殿にはなれん 231 00:17:10,429 --> 00:17:16,001 (胤義(たねよし))上皇様の御子となれば 諦めるしかないですね 232 00:17:17,403 --> 00:17:21,006 いや 俺は諦めん 233 00:17:22,908 --> 00:17:25,711 三浦(みうら)が はい上がる 最後の好機なんだ 234 00:17:27,813 --> 00:17:29,615 なんとかしなければ 235 00:17:33,652 --> 00:17:36,688 (政子)悪かったわね つきあわせてしまって 236 00:17:38,190 --> 00:17:40,726 やっぱり 一人じゃ心細かったのよ 237 00:17:41,927 --> 00:17:44,830 (時房) 都で暮らす人たちは苦手です 238 00:17:44,897 --> 00:17:46,365 やたら気取って 239 00:17:46,432 --> 00:17:49,501 我ら坂東(ばんどう)の者たちを 下に見ているではないですか 240 00:17:50,369 --> 00:17:52,304 (政子)そうでない人もいますよ 241 00:17:52,638 --> 00:17:53,906 (ため息) 242 00:17:53,972 --> 00:17:55,841 (時房)気が重いです 243 00:17:58,377 --> 00:18:02,414 そういえば 都に上った時に 恥ずかしくないよう— 244 00:18:02,481 --> 00:18:04,583 蹴鞠(しゅうきく)をしていると 言っていましたね 245 00:18:04,650 --> 00:18:05,484 ええ 246 00:18:05,851 --> 00:18:07,986 披露する機会があればいいけど 247 00:18:12,691 --> 00:18:19,164 (慈円(じえん))征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)の母親とはいえ もとは伊豆の田舎娘 248 00:18:19,731 --> 00:18:22,167 侮られてはなりませんぞ 249 00:18:22,234 --> 00:18:23,669 (兼子)分かっております 250 00:18:24,069 --> 00:18:26,338 鼻をへし折ってやります 251 00:18:26,738 --> 00:18:30,742 へし折った上で 話に乗ってやる 252 00:18:31,243 --> 00:18:35,114 談判をうまく運ぶコツにございます 253 00:18:41,186 --> 00:18:46,358 (広元)兼子様は 頼仁親王様を 育ててこられた方でございます 254 00:18:47,526 --> 00:18:51,029 親王様が 鎌倉殿になられるというのは— 255 00:18:51,797 --> 00:18:54,199 兼子様にとっても 願ってもないこと 256 00:18:55,501 --> 00:18:57,870 そこを うまく くすぐる 257 00:18:58,971 --> 00:19:02,341 談判をうまく運ぶコツにございます 258 00:19:20,893 --> 00:19:22,728 卿二位 兼子様 259 00:19:23,262 --> 00:19:28,400 この度は 息子 実朝の跡継ぎの件で 骨を折っていただき 260 00:19:28,901 --> 00:19:30,969 まことにありがとうございます 261 00:19:35,040 --> 00:19:36,842 つまらないものですが… 262 00:19:38,644 --> 00:19:40,445 干しダコにございます 263 00:19:44,516 --> 00:19:49,021 お口汚しにございますが お納めくださいませ 264 00:19:53,158 --> 00:19:54,560 (兼子)ほう 265 00:19:56,194 --> 00:20:01,800 坂東の習わしでは 口が汚れるものを差し出されるか 266 00:20:09,875 --> 00:20:14,246 たまには汚れたものを口にするのも ようございますよ 267 00:20:15,714 --> 00:20:20,953 日々の食事が いかにおいしいか 改めて思いをいたすことができます 268 00:20:30,362 --> 00:20:32,030 政子殿 269 00:20:32,764 --> 00:20:37,703 はるばる ようこそ 遠い坂東からお越しになった 270 00:20:39,771 --> 00:20:42,608 地の果ての鎌倉から参りました 271 00:20:46,378 --> 00:20:48,814 早速 本題に入りましょう 272 00:20:51,817 --> 00:20:56,688 親王様のどなたかを 鎌倉にお遣わしくださるとのこと 273 00:20:56,755 --> 00:20:58,190 感謝しております 274 00:20:59,091 --> 00:21:01,259 実は悩んでいるのよ 275 00:21:02,527 --> 00:21:07,966 上皇様と鎌倉殿は 和歌を通じて ごじっこんの仲 276 00:21:08,800 --> 00:21:10,769 (政子) ありがたいことにございます 277 00:21:11,236 --> 00:21:16,375 鎌倉殿の力になりたいと 上皇様は申されるのですが 278 00:21:17,376 --> 00:21:23,482 私としては やはり 何かと不穏な鎌倉に— 279 00:21:23,548 --> 00:21:27,653 大事な親王様を 送り出すというのはねえ 280 00:21:29,655 --> 00:21:33,825 このところ鎌倉は ようやく 落ち着きましてございます 281 00:21:33,892 --> 00:21:36,595 ようやく でしょ 282 00:21:39,564 --> 00:21:43,035 親王様の中で 出家されていないお方といえば— 283 00:21:43,101 --> 00:21:46,705 雅成(まさなり)親王様と頼仁親王様のお二人 284 00:21:46,772 --> 00:21:48,073 (兼子)さよう 285 00:21:48,140 --> 00:21:50,008 特に頼仁様は— 286 00:21:50,075 --> 00:21:53,979 兼子様が手塩にかけて 育てられたお方でございましたわね 287 00:21:54,613 --> 00:21:59,918 頼仁様は 私にしてみれば 実の息子も同じ 288 00:22:00,786 --> 00:22:04,723 鎌倉に行ってしまわれるのは やはり心配 289 00:22:07,759 --> 00:22:13,832 そういえば 帝は 頼仁様の兄上にあたられるのですね 290 00:22:15,033 --> 00:22:16,134 そうですよ 291 00:22:20,272 --> 00:22:25,477 確か 帝のお后(きさき)が 御子を宿しておられると伺いました 292 00:22:27,546 --> 00:22:28,680 何が言いたい 293 00:22:29,448 --> 00:22:34,353 ということは 頼仁様が 次の帝になられることは… 294 00:22:36,054 --> 00:22:38,690 なんと もったいないことで ございましょう 295 00:22:39,758 --> 00:22:42,661 ならば 代わりに 鎌倉殿になっていただけたら— 296 00:22:42,728 --> 00:22:44,796 これほど うれしいことは ございません 297 00:22:47,132 --> 00:22:49,334 そうなった暁には— 298 00:22:50,102 --> 00:22:55,340 兼子様は 我らにとっても 何よりも大事なお方となります 299 00:22:56,174 --> 00:23:00,946 鎌倉挙げて 最高の礼を 尽くしたいと考えております 300 00:23:03,415 --> 00:23:04,449 あら 301 00:23:15,427 --> 00:23:17,863 (後鳥羽(ごとば)上皇) 卿二位は どうしておる 302 00:23:18,330 --> 00:23:22,267 今 政子殿と 談判の最中にございます 303 00:23:23,034 --> 00:23:27,405 政子は わしと話したくないらしいな 304 00:23:27,806 --> 00:23:30,108 (慈円)自分ごときが 上皇様と会うのは— 305 00:23:30,175 --> 00:23:33,245 はばかられると 申したそうです 306 00:23:33,745 --> 00:23:37,115 そういう卑屈さに腹が立つ 307 00:23:38,216 --> 00:23:40,185 面白いことを聞きました 308 00:23:40,685 --> 00:23:44,556 政子殿についてまいった北条(ほうじょうの)時房 309 00:23:44,790 --> 00:23:46,958 義時の弟にございますが 310 00:23:47,392 --> 00:23:50,562 こちらにお会いになっては いかがですか 311 00:23:50,629 --> 00:23:51,663 なぜ 312 00:23:52,030 --> 00:23:53,665 (慈円)それが この男… 313 00:23:54,266 --> 00:23:58,837 鎌倉一の蹴鞠の名手とのうわさ 314 00:24:00,338 --> 00:24:01,973 なに? 315 00:24:02,040 --> 00:24:04,609 (鐘の音) 316 00:24:10,782 --> 00:24:13,018 ああ すまぬが こちらに蹴ってくれぬか 317 00:24:13,852 --> 00:24:15,987 (鐘の音) 318 00:24:18,457 --> 00:24:19,291 おっ… 319 00:24:26,698 --> 00:24:27,732 おおっ! 320 00:24:30,836 --> 00:24:31,870 おっ… 321 00:24:35,040 --> 00:24:36,775 ほっ… ふっ! 322 00:24:38,109 --> 00:24:40,879 (鐘の音) 323 00:24:40,946 --> 00:24:42,514 見事じゃ 324 00:24:43,315 --> 00:24:47,219 (時房)形ばかり気にする 都の方にしては 大した技だ 325 00:24:47,652 --> 00:24:52,691 おぬしも 東夷(あずまえびす)にしては筋がよい 326 00:24:52,757 --> 00:24:55,560 何だと フフッ 327 00:24:58,663 --> 00:25:01,933 ちょっ… ちょっ…! なっ… なんっ…! 328 00:25:02,567 --> 00:25:04,102 (慈円) お怪我(けが)はございませんでしたか 329 00:25:04,169 --> 00:25:06,505 (後鳥羽上皇) 大丈夫じゃ 放してやれ 330 00:25:09,674 --> 00:25:10,842 あんた 一体… 331 00:25:11,643 --> 00:25:13,545 (慈円)上皇様にあらせられる 332 00:25:16,414 --> 00:25:18,149 ご無礼 お許しください! 333 00:25:20,085 --> 00:25:22,988 トキューサと申したな 334 00:25:24,856 --> 00:25:26,358 トキューサでございます! 335 00:25:27,292 --> 00:25:30,929 いずれ また 勝負しようぞ 336 00:25:33,031 --> 00:25:34,499 トキューサ 337 00:25:35,700 --> 00:25:36,801 ははぁっ! 338 00:25:39,070 --> 00:25:40,605 慈円僧正 339 00:25:41,339 --> 00:25:46,344 我が最愛の子たる親王を 鎌倉に与える話 340 00:25:47,746 --> 00:25:49,347 早く決めてやれ 341 00:25:49,814 --> 00:25:51,082 (慈円)かしこまりました 342 00:26:04,229 --> 00:26:08,900 (兼子)京では あなたのことを とやかく言う者がおるのよ 343 00:26:10,201 --> 00:26:11,736 希代の悪女とか 344 00:26:12,570 --> 00:26:16,274 きっと鬼のような面相に 違いないって 345 00:26:16,775 --> 00:26:18,843 でも 私は言ったんですよ 346 00:26:19,210 --> 00:26:24,215 政子殿には政子殿の考え 立場があったに違いないと 347 00:26:35,994 --> 00:26:38,129 どこが鬼ですか 348 00:26:39,564 --> 00:26:44,135 むしろ 東大寺の大仏様に 似ておられるわ 349 00:26:45,770 --> 00:26:47,072 ありがとうございます 350 00:26:49,374 --> 00:26:53,545 政子殿は こっちは いける方? 351 00:26:54,446 --> 00:26:56,414 ほんの たしなむほど 352 00:26:56,481 --> 00:27:00,785 では お近づきのしるしに いかがですか 353 00:27:02,187 --> 00:27:03,021 是非 354 00:27:03,421 --> 00:27:04,856 持ってまいれ 355 00:27:09,928 --> 00:27:11,329 (ウグイスの鳴き声) 356 00:27:11,796 --> 00:27:17,135 (語り)実朝の将軍後継に 頼仁親王が決まる 357 00:27:19,237 --> 00:27:22,340 早速 御台所に知らせてやらねば 358 00:27:23,842 --> 00:27:27,412 鎌倉殿は 親王様の後見として— 359 00:27:28,013 --> 00:27:28,980 {\an8}左大将に— 360 00:27:29,047 --> 00:27:30,815 {\an8}任ぜられることに なりました 361 00:27:32,584 --> 00:27:37,222 右大将であられた 頼朝様を超えました 362 00:27:40,825 --> 00:27:42,127 おめでとうございます 363 00:27:43,728 --> 00:27:45,263 ありがたいことだ 364 00:27:45,730 --> 00:27:47,632 (仲章)しかも 尼御台 365 00:27:47,832 --> 00:27:50,068 鎌倉殿のお母上ということで— 366 00:27:51,102 --> 00:27:53,071 {\an8}従三位(じゅさんみ)に 叙されるとのこと 367 00:27:53,138 --> 00:27:54,072 {\an8}(義時)三位!? 368 00:27:54,572 --> 00:27:56,408 (仲章)上皇様が 鎌倉殿を— 369 00:27:56,474 --> 00:27:59,711 いかに大事に 思ってくださっているかの証し 370 00:28:00,478 --> 00:28:02,681 伯母上が従三位… 371 00:28:03,415 --> 00:28:08,820 こうなると太郎(たろう)も 何かの官職に推挙してやりたいが… 372 00:28:09,754 --> 00:28:15,093 (仲章)菅原道真(すがわらのみちざね)公と同じ 讃岐守(さぬきのかみ)はいかがでしょう 373 00:28:16,061 --> 00:28:16,895 (実朝)よいかもしれぬ 374 00:28:18,830 --> 00:28:20,398 恐れ多いことにございます 375 00:28:20,465 --> 00:28:22,300 (義時)息子は まだまだ若輩 376 00:28:23,334 --> 00:28:26,037 国司(こくし)には いささか 早すぎるように思いますが 377 00:28:26,104 --> 00:28:28,640 (実朝)いや なってほしい 378 00:28:30,208 --> 00:28:33,111 上皇様は お許しくださるかな 379 00:28:34,212 --> 00:28:37,649 (仲章) 私からお願い申し上げれば 必ず 380 00:28:47,325 --> 00:28:48,893 (仲章)北条殿 381 00:28:50,095 --> 00:28:52,363 めでたいこと尽くし 382 00:28:53,164 --> 00:28:57,368 頼仁親王様が 鎌倉殿になられた暁には— 383 00:28:57,435 --> 00:29:01,606 この 源(みなもとの)仲章が いわば関白として支え 384 00:29:01,673 --> 00:29:04,142 政を進めてゆく 385 00:29:06,878 --> 00:29:09,013 決まっているような言い方ですな 386 00:29:13,852 --> 00:29:16,921 朝廷と鎌倉を結ぶ役割に— 387 00:29:18,089 --> 00:29:20,492 私より適任の者がいれば 教えてくれよ 388 00:29:22,227 --> 00:29:28,833 執権殿は伊豆にでも帰られ ゆっくり余生を過ごされよ 389 00:29:30,535 --> 00:29:35,006 かねてより 望んでいたことでございます 390 00:29:39,477 --> 00:29:44,749 そうなったら 私が執権になろうかなあ 391 00:29:45,316 --> 00:29:48,987 ハハハハハハハハ! 392 00:29:50,021 --> 00:29:52,357 ハハハハハハハハ! 393 00:29:58,463 --> 00:30:01,533 (朝時(ともとき))讃岐守 すごいことではないですか 394 00:30:02,100 --> 00:30:05,036 (初(はつ))まさか 断ったりはしないでしょうね 395 00:30:05,837 --> 00:30:07,472 (庸尭)気乗りしない… 396 00:30:07,772 --> 00:30:08,807 (初)ちょっ… 397 00:30:09,240 --> 00:30:11,442 (朝時)断ったら 俺がなりますよ 398 00:30:16,981 --> 00:30:18,683 (初)あっ 義父(ちち)上 399 00:30:22,453 --> 00:30:23,488 どうされましたか 400 00:30:23,555 --> 00:30:26,057 あんた また何かしでかしたの 401 00:30:27,992 --> 00:30:30,128 ちぐさのことは勘弁してください 402 00:30:30,195 --> 00:30:31,563 私は本気だったんです 403 00:30:32,096 --> 00:30:34,032 まさか あれほどタチの悪い… 404 00:30:34,098 --> 00:30:36,801 (義時)太郎と話がある 外してもらえるか 405 00:30:56,554 --> 00:30:57,989 単刀直入に言う 406 00:30:59,524 --> 00:31:03,061 讃岐守のこと 断ってもらいたい 407 00:31:06,998 --> 00:31:09,100 訳を伺っても よろしいですか 408 00:31:10,468 --> 00:31:12,470 お前は私をよく思っておらぬ 409 00:31:14,005 --> 00:31:14,839 お待ちください 410 00:31:14,906 --> 00:31:15,874 (義時)分かっている 411 00:31:18,142 --> 00:31:20,211 しかし 私は お前を認めている 412 00:31:22,981 --> 00:31:24,782 いずれ お前は執権になる 413 00:31:26,284 --> 00:31:32,457 お前なら 私が目指していて なれなかったものになれる 414 00:31:35,126 --> 00:31:40,965 その時 必ずあの男が立ちはだかる 415 00:31:44,903 --> 00:31:48,072 源仲章の好きにさせてはならぬ 416 00:31:50,375 --> 00:31:52,176 だから 今から気をつけよ 417 00:31:53,411 --> 00:31:55,046 借りを作るな 418 00:32:03,655 --> 00:32:05,156 ご安心ください 419 00:32:07,892 --> 00:32:13,064 私も讃岐守は ご辞退しようと 思っていたところです 420 00:32:18,636 --> 00:32:20,838 気が合いましたね 421 00:32:23,608 --> 00:32:24,442 帰る 422 00:32:27,612 --> 00:32:32,083 親王を将軍に迎える件 受け入れることにした 423 00:32:33,918 --> 00:32:38,623 つまり親王は こちらにとっては人質だ 424 00:32:39,991 --> 00:32:41,159 人質… 425 00:32:44,529 --> 00:32:45,363 お待ちください 426 00:32:49,033 --> 00:32:53,871 父上が目指して なれなかったものとは 何ですか 427 00:33:01,546 --> 00:33:07,151 (戸の開閉音) 428 00:33:08,686 --> 00:33:09,787 (女房)お帰りなさいませ 429 00:33:09,854 --> 00:33:10,989 (一同)お帰りなさいませ 430 00:33:11,055 --> 00:33:14,559 (実衣)やっぱり桜は今が見頃ね 431 00:33:14,625 --> 00:33:16,928 あなたたちも 見に行った方がいいわ 432 00:33:16,994 --> 00:33:20,198 これ お水につけて 私の部屋に飾って 433 00:33:20,264 --> 00:33:21,265 (女房)かしこまりました 434 00:33:21,666 --> 00:33:25,603 (のえ)実衣殿 今日は とっても生き生きされていますね 435 00:33:26,070 --> 00:33:27,605 何でしょうね 436 00:33:27,872 --> 00:33:31,109 姉上がいないだけで こんなに伸び伸びできるなんて 437 00:33:32,777 --> 00:33:35,613 私も びっくり アハハハハハ! アハハハハハ! 438 00:33:35,680 --> 00:33:38,716 アハハハハハ! アハハ フフ… 439 00:33:40,184 --> 00:33:41,019 少し休みます 440 00:33:41,285 --> 00:33:42,353 ごゆっくり! 441 00:33:48,292 --> 00:33:49,327 (ため息) 442 00:34:13,818 --> 00:34:17,755 執権殿の奥方でいらっしゃいますね 443 00:34:19,490 --> 00:34:20,558 そうですけど 444 00:34:22,059 --> 00:34:23,694 (ウグイスの鳴き声) 445 00:34:26,497 --> 00:34:28,166 (仲章)桜か 446 00:34:30,134 --> 00:34:32,970 (のえ)永福寺(ようふくじ) すてきでした 447 00:34:34,038 --> 00:34:39,343 (仲章)京の嵐山の桜も 今が見頃かもしれないな 448 00:34:41,112 --> 00:34:44,182 (のえ)向こうに ずっと いらしたんですよね 449 00:34:44,582 --> 00:34:46,384 (仲章)ここだけの話 450 00:34:46,451 --> 00:34:49,587 いまだに坂東の水が合わず 難儀しています 451 00:34:49,654 --> 00:34:51,722 (のえ)あら 私も 452 00:34:54,292 --> 00:34:56,094 (仲章)向こうのお生まれでしたか 453 00:34:58,396 --> 00:35:00,465 生まれは遠江(とおとうみ)です 454 00:35:01,833 --> 00:35:04,101 でも 何て言うんでしょう 455 00:35:04,602 --> 00:35:07,972 昔から 東国の水が なじまないの 456 00:35:09,974 --> 00:35:11,409 前世は きっと— 457 00:35:11,943 --> 00:35:14,545 帝にお仕えしていたような 気がします 458 00:35:18,483 --> 00:35:23,988 たたずまいに 雅(みやび)さが漂っておられる 459 00:35:24,055 --> 00:35:25,790 よく言われます 460 00:35:27,525 --> 00:35:29,760 京のお話 もっとしたいわ 461 00:35:30,361 --> 00:35:31,395 是非 462 00:35:31,863 --> 00:35:33,698 いつでも おつきあいしますよ 463 00:35:35,666 --> 00:35:36,701 では 464 00:35:42,640 --> 00:35:46,310 (読経) 465 00:35:46,377 --> 00:35:49,914 (読経) 466 00:35:49,981 --> 00:35:52,416 (駒若丸(こまわかまる))父を連れてまいりました 467 00:35:54,085 --> 00:35:55,353 座ってくれ 468 00:36:00,024 --> 00:36:01,058 (義村)御免 469 00:36:06,464 --> 00:36:11,669 千日の間は 誰とも会っては いけなかったのではないですか 470 00:36:13,137 --> 00:36:16,574 明日 また初めから出直す 471 00:36:20,745 --> 00:36:24,115 頼仁親王様で話は 進んでおるそうだな 472 00:36:25,683 --> 00:36:27,051 お耳が早い 473 00:36:29,554 --> 00:36:35,193 私が 鎌倉殿になる芽は摘まれた 474 00:36:36,727 --> 00:36:38,062 そういうことか 475 00:36:41,999 --> 00:36:42,833 そういうことか 476 00:36:47,104 --> 00:36:48,306 無念にございます 477 00:36:53,277 --> 00:36:54,111 行け 478 00:36:55,846 --> 00:36:56,881 (義村)はっ 479 00:37:00,651 --> 00:37:05,990 一体 私は 何のために戻ってきたのだ… 480 00:37:10,094 --> 00:37:16,100 若君が鎌倉殿になれば 必ず災いが降りかかる 481 00:37:18,002 --> 00:37:19,837 これで よかったのです 482 00:37:21,839 --> 00:37:22,773 どういう意味だ 483 00:37:26,377 --> 00:37:28,879 お母上から 何も聞いていないのですか 484 00:37:30,781 --> 00:37:31,682 何のことだ 485 00:37:34,852 --> 00:37:39,223 お父上の 死に至るまでのいきさつを 486 00:37:41,058 --> 00:37:45,463 父は 志半ばで病に倒れたと 487 00:37:48,266 --> 00:37:49,200 なるほど 488 00:37:49,500 --> 00:37:50,901 なるほどとは何だ 489 00:37:54,005 --> 00:37:57,675 本当は何があった 言え 490 00:37:59,577 --> 00:38:00,978 (義村)つつじ殿は— 491 00:38:01,979 --> 00:38:04,548 あなたに穏やかに 暮らしてもらいたいがゆえ— 492 00:38:04,615 --> 00:38:05,950 嘘(うそ)をつかれた 493 00:38:06,417 --> 00:38:09,320 その思いを 私ごときが覆すことはできません 494 00:38:09,387 --> 00:38:10,688 なぜ母は嘘をついた! 495 00:38:10,755 --> 00:38:12,056 (義村)言えませぬ! 496 00:38:14,759 --> 00:38:16,761 北条義時は無二の友 497 00:38:17,695 --> 00:38:20,197 長年にわたって 手を取り合ってきた仲間 498 00:38:20,264 --> 00:38:22,099 友を売ることはできません 499 00:38:22,166 --> 00:38:23,801 義時が関わってるのか 500 00:38:27,371 --> 00:38:28,205 これ以上は 501 00:38:50,861 --> 00:38:53,731 (義村) あなたの父上は殺されたのです 502 00:38:56,801 --> 00:38:58,369 北条の手によって 503 00:39:06,243 --> 00:39:07,678 思い出した 504 00:39:10,247 --> 00:39:14,485 幼い頃 見知らぬ老婆が現れて 505 00:39:15,252 --> 00:39:17,788 何やら呪文のような言葉を 残していった 506 00:39:20,825 --> 00:39:25,763 北条を許すな 北条を許すなと 507 00:39:25,830 --> 00:39:28,933 北条は 頼家様と その家族を皆殺しにした 508 00:39:28,999 --> 00:39:31,402 本来ならば跡を継ぐべき あなたの幼い兄も— 509 00:39:31,469 --> 00:39:34,038 義時によって殺された 僅か六歳で! 510 00:39:47,284 --> 00:39:49,553 北条を許してはなりませぬ 511 00:39:52,356 --> 00:39:53,491 そして… 512 00:39:55,292 --> 00:39:59,430 北条に祭り上げられた 源実朝もまた… 513 00:40:02,233 --> 00:40:04,702 真の鎌倉殿にあらず 514 00:40:19,283 --> 00:40:20,651 許せぬ 515 00:40:25,489 --> 00:40:30,694 (語り)四月二十九日 政子が鎌倉へ戻ってくる 516 00:40:38,502 --> 00:40:39,870 従三位 517 00:40:44,341 --> 00:40:48,078 (実朝) 遠路 かたじけのうございました 518 00:40:51,482 --> 00:40:56,587 ウフフフフフフフ! フフフフフ! 519 00:40:56,654 --> 00:40:58,189 アハハハ! 520 00:40:58,823 --> 00:41:00,958 従三位 フフフフフ! 521 00:41:03,394 --> 00:41:04,962 はあ~ 522 00:41:07,798 --> 00:41:10,568 まずは おめでとうございます 523 00:41:14,171 --> 00:41:19,743 (実朝)一日も早く 鎌倉殿の座を親王様にお譲りし 524 00:41:21,045 --> 00:41:25,282 父上も見ることのなかった景色を 見てみたい 525 00:41:25,583 --> 00:41:29,653 (仲章)その前に やるべきことが残されております 526 00:41:33,257 --> 00:41:37,361 まず 左大将の拝賀式を 執り行います 527 00:41:37,428 --> 00:41:40,464 その後に 直衣始(のうしはじめ)の儀式を 528 00:41:48,505 --> 00:41:51,108 (泰時) どちらも鶴岡八幡宮におきまして 529 00:41:51,175 --> 00:41:52,910 盛大に執り行います 530 00:42:02,119 --> 00:42:07,558 (語り)七月八日 直衣始の儀式が執り行われる 531 00:42:08,459 --> 00:42:13,764 左大将となった実朝が 初めて直衣をまとって— 532 00:42:13,831 --> 00:42:16,000 参拝する行事である 533 00:42:21,205 --> 00:42:25,109 (雷鳴) 534 00:42:27,444 --> 00:42:32,416 (語り)半年後 同じ場所で繰り広げられる惨劇 535 00:42:33,117 --> 00:42:37,788 そのことを 彼らは まだ知らない 536 00:42:39,056 --> 00:42:40,157 {\an8}(実朝)この鎌倉を— 537 00:42:40,224 --> 00:42:41,825 {\an8}我ら源氏の手に取り戻す 538 00:42:41,892 --> 00:42:43,961 {\an8}(仲章) 目障りな執権は消え 539 00:42:44,028 --> 00:42:46,096 {\an8}(義村) 我らも すぐに挙兵する 540 00:42:46,163 --> 00:42:46,997 {\an8}(泰時)太郎のわがまま 541 00:42:47,064 --> 00:42:48,666 {\an8}どうか お聞き届けください 542 00:42:48,732 --> 00:42:51,168 {\an8}(公暁)この公暁 全てを知っております 543 00:42:51,235 --> 00:42:53,304 {\an8}(実朝)すまぬ 公暁 544 00:42:53,370 --> 00:42:54,838 {\an8}実朝 やめて! 545 00:42:54,905 --> 00:42:56,006 {\an8}(泰時)これは… 546 00:42:56,073 --> 00:42:57,041 {\an8}まさか! 547 00:42:57,107 --> 00:42:59,009 {\an8}(義時) ここからは修羅の道だ