1 00:00:05,567 --> 00:00:08,633 鎌倉殿の起請文がねえと 2 00:00:08,633 --> 00:00:11,667 じいは死ななくちゃならねえんです 3 00:00:20,667 --> 00:00:22,833 鎌倉殿は? 4 00:00:22,833 --> 00:00:25,300 中におられるんだろ 5 00:00:25,300 --> 00:00:27,833 今 執権殿と2人で話を 6 00:00:29,133 --> 00:00:30,433 何だよ 7 00:00:30,433 --> 00:00:34,600 執権殿は鎌倉殿を出家させるおつもりだ 8 00:00:37,400 --> 00:00:39,300 これは謀反だ 9 00:00:39,300 --> 00:00:42,300 俺は流れで執権殿についているが 10 00:00:42,300 --> 00:00:45,067 小四郎が来たら寝返るつもりでいる 11 00:00:46,867 --> 00:00:49,533 よく分からん 12 00:00:49,533 --> 00:00:53,667 分からなくていい 俺に従っていろ 13 00:01:01,567 --> 00:01:02,900 ああ~ もうっ 14 00:01:04,667 --> 00:01:06,233 どけ どけどけ 15 00:03:16,400 --> 00:03:19,467 -なりませぬ -どけ~ おら 16 00:03:19,467 --> 00:03:21,000 どけ 17 00:03:23,400 --> 00:03:25,733 何をされておる 18 00:03:27,200 --> 00:03:28,833 子細は分からねえが 19 00:03:28,833 --> 00:03:32,033 このお方に 刃を向けるなんて とんでもねえ 20 00:03:32,033 --> 00:03:35,467 鎌倉殿が起請文を書いてくれねえんじゃ 21 00:03:37,367 --> 00:03:39,267 書いちゃいなさい 22 00:03:39,267 --> 00:03:40,467 そうはいかぬ 23 00:03:40,467 --> 00:03:43,500 起請文なんて 後で破いちまえばいいんですから 24 00:03:43,500 --> 00:03:46,100 粗末に扱うと 25 00:03:46,100 --> 00:03:49,767 体中から血を噴き出して 死ぬ 26 00:03:51,167 --> 00:03:53,433 そう言いますけどね 27 00:03:54,100 --> 00:03:58,533 そんな死に方したやつ 聞いたことないですよ 28 00:04:05,767 --> 00:04:10,567 何としてでも 実朝に起請文を書かせるのです 29 00:04:10,567 --> 00:04:12,600 そうでなければ… 30 00:04:13,467 --> 00:04:15,100 父上 31 00:04:15,100 --> 00:04:17,333 館は既に囲まれています 32 00:04:18,533 --> 00:04:21,500 今すぐ鎌倉殿を引き渡してください 33 00:04:27,667 --> 00:04:30,933 鎌倉殿に囲みを解くように 言わせてください 34 00:04:30,933 --> 00:04:32,300 早く 35 00:04:32,300 --> 00:04:33,800 しかし… 36 00:04:36,433 --> 00:04:39,700 痛い思いをさせれば あの子だって… 37 00:04:41,800 --> 00:04:44,067 ためらっている場合ですか 38 00:04:45,633 --> 00:04:48,233 鎌倉殿を引き渡せば 39 00:04:48,233 --> 00:04:51,367 攻め込まれて終わりです 40 00:04:51,367 --> 00:04:53,767 生き延びるためです 41 00:04:57,300 --> 00:04:59,667 私が行って 父上と話してきましょうか 42 00:04:59,667 --> 00:05:02,300 平六が父上を説き伏せる 43 00:05:02,300 --> 00:05:04,200 父上は これから どうなるのです 44 00:05:04,200 --> 00:05:08,967 このようなことをしでかして 許すわけにはいかぬ 45 00:05:11,300 --> 00:05:12,633 どうされるおつもりですか 46 00:05:12,633 --> 00:05:13,600 お前は口を出すな 47 00:05:13,600 --> 00:05:17,333 -ならば なぜ連れてきたのです -口を挟まずに そこで見ていろ 48 00:05:18,867 --> 00:05:21,633 父上には死んでほしくありません 49 00:05:25,467 --> 00:05:27,233 太郎 50 00:05:27,233 --> 00:05:29,867 これが私の覚悟だ 51 00:05:31,067 --> 00:05:33,467 鎌倉を守るためなら 52 00:05:33,467 --> 00:05:35,667 父も子もない 53 00:05:36,867 --> 00:05:38,867 父上は間違っておられます 54 00:05:38,867 --> 00:05:41,567 いいかげん分かってやれ 55 00:05:42,133 --> 00:05:48,667 このお人は 今まで何人も 御家人を謀反の咎で殺してきた 56 00:05:50,667 --> 00:05:54,967 親だからって許したら どうなる 57 00:05:54,967 --> 00:05:58,333 御家人全てを 敵に回すことになるんだよ 58 00:06:02,967 --> 00:06:06,033 構うことねえ 59 00:06:06,033 --> 00:06:08,300 首 はねちまえ 60 00:06:12,367 --> 00:06:15,200 まずは鎌倉殿をお助けする 61 00:06:17,767 --> 00:06:19,867 それからだ 62 00:07:04,333 --> 00:07:08,500 館は すっかり囲まれています 63 00:07:11,867 --> 00:07:14,267 実は 64 00:07:14,267 --> 00:07:17,500 私は小四郎に頼まれて ここにいます 65 00:07:27,467 --> 00:07:29,800 頼みがある 66 00:07:33,733 --> 00:07:37,333 お前は 鎌倉を離れろ 67 00:07:38,833 --> 00:07:43,433 京に朝雅と きくがおる 68 00:07:43,433 --> 00:07:45,767 やつらを頼れ 69 00:07:46,700 --> 00:07:49,367 しい様は 70 00:07:49,367 --> 00:07:51,667 ここに残る 71 00:07:52,133 --> 00:07:53,733 嫌です 72 00:07:54,767 --> 00:07:57,867 鎌倉殿のおそばにおれば 73 00:07:57,867 --> 00:08:01,000 外のやつらは手出しできん 74 00:08:04,700 --> 00:08:07,300 平六が連れていってくれる 75 00:08:13,167 --> 00:08:16,433 お前が 無事 逃げ延びたら 76 00:08:16,433 --> 00:08:20,967 わしは鎌倉殿を引き渡し 降参する 77 00:08:26,200 --> 00:08:29,967 小四郎は親思いじゃ 78 00:08:29,967 --> 00:08:33,467 頭丸めて 手ついて謝ったら 79 00:08:33,467 --> 00:08:36,167 きっと許してくれるさ 80 00:08:48,767 --> 00:08:51,733 ほとぼりが冷めれば 81 00:08:51,733 --> 00:08:54,833 また会える日も来る 82 00:09:07,000 --> 00:09:10,967 平六 あとは頼んだ 83 00:09:10,967 --> 00:09:14,233 りく殿のことは お任せください 84 00:09:29,967 --> 00:09:32,067 これに着替えてください 85 00:09:32,067 --> 00:09:34,600 廊下で お待ちしております 86 00:09:35,267 --> 00:09:37,667 京へは参りません 87 00:09:45,400 --> 00:09:47,167 執権殿は 88 00:09:47,167 --> 00:09:50,167 あれを説き伏せるのは骨だぜ 89 00:09:50,167 --> 00:09:54,367 りくさんも おやじさんの横で 石みたいに動かない 90 00:09:58,233 --> 00:10:00,800 怖い思いをさせて悪かった 91 00:10:00,800 --> 00:10:04,167 事が片づくまで 館の外で待っていてくれ 92 00:10:05,867 --> 00:10:07,100 こっちだ 93 00:10:17,100 --> 00:10:20,967 武衛とは 兵衛府のこと 94 00:10:20,967 --> 00:10:23,300 親しみを込めて呼ぶものではない 95 00:10:23,300 --> 00:10:24,933 そうなんですか 96 00:10:24,933 --> 00:10:28,333 私も去年まで武衛であった 97 00:10:28,333 --> 00:10:30,300 だったら いいじゃないですか 98 00:10:30,300 --> 00:10:34,000 今は それより上の羽林だ 99 00:10:34,000 --> 00:10:35,567 ウリン 100 00:10:48,400 --> 00:10:50,400 義母上 101 00:11:01,633 --> 00:11:04,300 どうか頭をお上げください 102 00:11:06,200 --> 00:11:09,200 夫は 103 00:11:09,200 --> 00:11:11,933 死ぬつもりでいます 104 00:11:14,833 --> 00:11:18,033 このようなことになってしまって 105 00:11:18,033 --> 00:11:24,500 事を収めるには 自ら命を絶つよりないと思っています 106 00:11:26,333 --> 00:11:27,567 父が そう言ったのですか 107 00:11:27,567 --> 00:11:29,900 言わずとも分かるのです 108 00:11:31,167 --> 00:11:36,800 こたびのこと たくらんだのは全て私 109 00:11:36,800 --> 00:11:41,067 四郎殿は 私の言葉に従っただけ 110 00:11:42,767 --> 00:11:47,400 悪いのは 私です 111 00:12:03,133 --> 00:12:05,467 例えば こういうのはどうか 112 00:12:05,467 --> 00:12:09,567 小四郎たちが前から攻め込み 敵と戦ってる間に 113 00:12:09,567 --> 00:12:13,467 俺の兵が裏に回り込み 鎌倉殿をお救いする 114 00:12:13,467 --> 00:12:18,233 あのお方を 危ない目に 遭わせるわけにはいかない 115 00:12:18,233 --> 00:12:20,767 こちらが動かぬ限り 116 00:12:20,767 --> 00:12:23,500 執権殿は 手荒なまねはしないはずだ 117 00:12:26,067 --> 00:12:27,533 尼御台がお見えです 118 00:12:27,533 --> 00:12:29,200 姉上 119 00:12:34,900 --> 00:12:37,467 父上を助けてあげて 120 00:12:38,600 --> 00:12:41,700 鎌倉殿をお助けしたら 121 00:12:41,700 --> 00:12:44,167 すぐに攻め込みます 122 00:12:44,167 --> 00:12:46,867 親殺しの汚名を着てもよいのですか 123 00:12:46,867 --> 00:12:49,833 五郎 尼御台が御所へお帰りだ 124 00:12:51,233 --> 00:12:53,333 頼朝様も非情なお方でした 125 00:12:53,333 --> 00:12:57,600 でも あのお方は 慈悲の心もお持ちでした 126 00:12:57,600 --> 00:13:01,767 義高殿の時も九郎殿の時も 127 00:13:01,767 --> 00:13:05,733 許すお気持ちは忘れなかった 128 00:13:05,733 --> 00:13:08,333 願いは かないませんでしたが 129 00:13:08,333 --> 00:13:10,867 それでも信じようとされていた 130 00:13:13,167 --> 00:13:15,467 あなたは 近くで見ていたはずではないですか 131 00:13:15,467 --> 00:13:17,700 尼御台をお連れしろ 132 00:13:19,633 --> 00:13:21,800 頃合いかな 133 00:13:43,967 --> 00:13:46,367 鎌倉殿 134 00:13:46,367 --> 00:13:52,567 この度は無理強いをしてしまい 申し訳なく存じまする 135 00:13:58,833 --> 00:14:03,300 鎌倉殿の しんの強さ 136 00:14:03,300 --> 00:14:06,500 感服いたしました 137 00:14:08,233 --> 00:14:16,500 いずれは 頼朝様を超える鎌倉殿となられまする 138 00:14:22,567 --> 00:14:24,600 お連れしろ 139 00:14:26,233 --> 00:14:28,767 じいは来ないのか 140 00:14:28,767 --> 00:14:31,533 ここで お別れでござる 141 00:14:33,933 --> 00:14:35,833 来てくれ 142 00:14:42,133 --> 00:14:43,767 参りましょう 143 00:14:43,767 --> 00:14:45,333 ウリン 144 00:14:56,033 --> 00:14:58,467 小四郎に伝えてくれ 145 00:15:02,367 --> 00:15:05,433 あとは託したと 146 00:15:07,267 --> 00:15:15,433 北条を 鎌倉を引っ張っていくのは お前だと 147 00:15:16,300 --> 00:15:18,433 承知つかまつった 148 00:15:35,200 --> 00:15:36,767 鎌倉殿 149 00:15:41,300 --> 00:15:43,933 おケガはありませんか 150 00:15:43,933 --> 00:15:46,033 大丈夫だ 151 00:15:46,033 --> 00:15:48,700 母上も見えていたのですか 152 00:15:48,700 --> 00:15:51,367 ご無事で何よりです 153 00:15:51,367 --> 00:15:53,933 執権殿は 154 00:15:53,933 --> 00:15:55,367 覚悟を決めておられる 155 00:15:55,367 --> 00:15:57,500 何か申されていたか 156 00:15:57,500 --> 00:16:00,000 小四郎に伝えてくれと言われた… 157 00:16:00,667 --> 00:16:03,000 父上は 何と 158 00:16:13,567 --> 00:16:15,800 忘れたのか 159 00:16:17,367 --> 00:16:19,167 すまん 160 00:16:20,100 --> 00:16:23,033 あとは託した 161 00:16:23,033 --> 00:16:27,067 北条と鎌倉を引っ張っていけ 162 00:16:29,600 --> 00:16:31,433 ありがとうございます 163 00:16:38,367 --> 00:16:39,367 攻め込むぞ 164 00:16:39,367 --> 00:16:42,133 -兄上 -まだ分からんのか 165 00:16:42,133 --> 00:16:44,767 父上は死にたがっているのだ 166 00:16:45,533 --> 00:16:48,800 生きて ご自分が犯した罪を 償ってもらいましょう 167 00:16:48,800 --> 00:16:50,300 甘い 168 00:16:52,767 --> 00:16:54,100 鶴丸 止めろ 169 00:16:56,033 --> 00:16:58,400 子が親を殺すようなことだけは あってはなりませぬ 170 00:16:58,400 --> 00:17:00,033 それだけは 171 00:17:02,467 --> 00:17:08,300 政に私情を挟むことはできません 172 00:17:08,300 --> 00:17:10,567 尼御台 173 00:17:12,567 --> 00:17:18,800 私は娘として 父の命乞いをしているのです 174 00:17:27,733 --> 00:17:29,400 尼御台 175 00:17:29,400 --> 00:17:31,700 方々 176 00:17:32,533 --> 00:17:35,167 どうか父をお許しください 177 00:18:36,700 --> 00:18:41,300 息子でなくて 悪かったな 178 00:18:57,533 --> 00:18:59,200 鎌倉殿 179 00:19:00,900 --> 00:19:04,000 ただいま 戻った 180 00:19:31,967 --> 00:19:37,733 爺様は名越の館 りく殿は御所で それぞれ押し込められている 181 00:19:37,733 --> 00:19:40,167 ご沙汰は間もなく出るはずだ 182 00:19:40,167 --> 00:19:43,300 出家で済むんでしょう 183 00:19:43,300 --> 00:19:44,967 父上のことだ 184 00:19:44,967 --> 00:19:48,533 口では ああ言っておきながらも 裏から手を回すことだって ありえる 185 00:19:48,533 --> 00:19:49,433 考え過ぎ 186 00:19:49,433 --> 00:19:52,367 父の怖さを知らないんだ 187 00:19:52,367 --> 00:19:56,400 そもそも 父は 爺様を討ち取ろうとしていたんだ 188 00:19:56,400 --> 00:20:00,067 それが あのお方が見せたかった お覚悟だったわけでしょ 189 00:20:00,067 --> 00:20:03,867 あんなものを見せられて どうやって父親を敬えっていうんだ 190 00:20:06,067 --> 00:20:08,867 何にも分かってない 191 00:20:08,867 --> 00:20:12,567 ああ 父は何も分かってない 192 00:20:12,567 --> 00:20:14,700 あんたよ 193 00:20:14,700 --> 00:20:16,300 私? 194 00:20:16,300 --> 00:20:21,667 義父上は 自分のようになるなって 言いたかったの 195 00:20:21,667 --> 00:20:25,700 だから あなたを呼んだの 違う? 196 00:20:29,433 --> 00:20:33,867 時政の処分は軽くしてやってくれ 197 00:20:35,300 --> 00:20:39,467 しかし 謀反人でございます 198 00:20:39,467 --> 00:20:42,800 手荒なことは 一切されなかった 199 00:20:42,800 --> 00:20:46,700 私は 全てを忘れようと思う 200 00:20:51,300 --> 00:20:53,400 頼む 201 00:21:08,500 --> 00:21:11,700 私が請うておるのだ 202 00:21:16,833 --> 00:21:19,267 梶原景時 203 00:21:19,267 --> 00:21:21,333 比企能員 204 00:21:21,333 --> 00:21:24,500 畠山重忠 205 00:21:24,500 --> 00:21:28,800 これまで謀反をたくらんだ者は 皆 討ち取られております 206 00:21:29,767 --> 00:21:33,967 北条殿だけが なぜ許されるのか 207 00:21:33,967 --> 00:21:36,433 異を唱える者も出てくるでしょう 208 00:21:36,433 --> 00:21:40,333 しかし 鎌倉殿のご意向を無視するわけには 209 00:21:40,333 --> 00:21:42,933 厳罰に処すべきですな 210 00:21:42,933 --> 00:21:45,433 どこぞへ流罪では 211 00:21:46,933 --> 00:21:50,267 よい落としどころかもしれんな 212 00:21:52,167 --> 00:21:54,233 お任せいたします 213 00:21:54,233 --> 00:21:56,667 伊豆に帰っていただくのがよいのでは 214 00:21:56,667 --> 00:21:58,467 手ぬるい 215 00:21:58,467 --> 00:22:02,900 あのお人が伊豆で頼朝様を助けたから 今日の鎌倉がある 216 00:22:02,900 --> 00:22:06,367 その功は 誰もが認めることです 217 00:22:11,567 --> 00:22:13,733 いかがかな 218 00:22:17,600 --> 00:22:21,800 息子として 礼を申し上げる 219 00:22:22,967 --> 00:22:24,867 では 伊豆で 220 00:22:29,967 --> 00:22:32,867 伊豆か… 221 00:22:32,867 --> 00:22:36,300 生まれ育った地で 222 00:22:36,300 --> 00:22:39,500 ごゆっくり 残りの人生をお過ごしください 223 00:22:43,367 --> 00:22:46,900 りくは どうなる 224 00:22:48,400 --> 00:22:50,667 共に伊豆へ 225 00:22:53,500 --> 00:22:58,467 あれがいれば わしは それだけでいい 226 00:23:00,633 --> 00:23:04,700 よう骨を折ってくれたな 227 00:23:07,467 --> 00:23:11,933 私は 首をはねられても やむなしと思っておりました 228 00:23:14,200 --> 00:23:19,600 感謝するなら 鎌倉殿や文官の方々に 229 00:23:32,467 --> 00:23:34,567 父上 230 00:23:39,333 --> 00:23:42,700 小四郎は 231 00:23:42,700 --> 00:23:45,067 無念にございます 232 00:23:51,567 --> 00:23:58,367 父上には この先も ずっと そばにいてほしかった 233 00:24:02,733 --> 00:24:07,733 頼朝様が おつくりになられた鎌倉を 234 00:24:07,733 --> 00:24:11,900 父上と共に守っていきたかった 235 00:24:15,500 --> 00:24:21,867 父上の背中を見て ここまで やってまいりました 236 00:24:24,533 --> 00:24:27,067 父上は 237 00:24:29,667 --> 00:24:32,633 常に私の前にいた 238 00:24:35,000 --> 00:24:36,967 私は父上を… 239 00:24:41,167 --> 00:24:43,133 私は… 240 00:24:46,967 --> 00:24:49,333 もういい 241 00:24:59,700 --> 00:25:02,933 今生の別れにございます 242 00:25:06,700 --> 00:25:09,967 父が世を去る時 243 00:25:12,000 --> 00:25:14,967 私は そばにいられません 244 00:25:17,900 --> 00:25:23,533 父の手を… 握ってやることができません 245 00:25:32,433 --> 00:25:36,033 あなたが その機会を奪った 246 00:25:45,600 --> 00:25:48,033 お恨み申し上げます 247 00:26:06,533 --> 00:26:12,467 あの声 何の鳥か分かるか 248 00:26:12,467 --> 00:26:14,433 いえ 249 00:26:16,333 --> 00:26:18,933 ウグイスだよ 250 00:26:20,900 --> 00:26:23,067 ウグイス? 251 00:26:31,200 --> 00:26:35,667 ホーホケキョだと思ってるだろう 252 00:26:37,567 --> 00:26:40,067 違うんだ 253 00:26:41,600 --> 00:26:47,000 ホーホケキョと鳴くのは オス 254 00:26:47,000 --> 00:26:50,733 メスを口説く時に鳴くんだ 255 00:26:53,167 --> 00:26:59,767 ふだんは ジャッ… ジャッジャッジャッ 256 00:27:03,900 --> 00:27:06,833 ありゃ ウグイスだ 257 00:27:10,467 --> 00:27:13,200 間違いない 258 00:27:39,733 --> 00:27:41,700 なあ 259 00:27:47,433 --> 00:27:51,733 元久2年 閏 7月20日 260 00:27:51,733 --> 00:27:58,167 初代執権 北条時政が鎌倉を去る 261 00:27:58,167 --> 00:28:02,533 彼が戻ってくることは二度とない 262 00:28:17,300 --> 00:28:19,667 お呼びでございますか 263 00:28:27,400 --> 00:28:29,767 何だか… 264 00:28:31,800 --> 00:28:36,233 あの人の みすぼらしい姿 見たくない 265 00:28:36,233 --> 00:28:39,067 二度と会えないかもしれないのだから 266 00:28:39,067 --> 00:28:41,400 きちんと お礼を言わないと 267 00:28:43,300 --> 00:28:46,530 私が どんなに惨めでいるか 268 00:28:46,531 --> 00:28:50,033 わざわざ見に来るなんて 品が悪いにも程があるわ 269 00:28:50,033 --> 00:28:51,600 ちょっと待ってください 270 00:28:51,600 --> 00:28:54,967 残念でしたね ご期待に沿えなくて 271 00:28:57,500 --> 00:29:00,633 館から着物を届けさせて 272 00:29:00,633 --> 00:29:03,567 思い切り おめかしさせていただきました 273 00:29:03,567 --> 00:29:06,267 さあ どうぞ 目に焼き付けてちょうだい 274 00:29:06,267 --> 00:29:08,100 姉上 行きましょう 275 00:29:08,100 --> 00:29:10,500 これだけは言わせてください 276 00:29:10,500 --> 00:29:13,467 義母上が そばにいてくれて 277 00:29:13,467 --> 00:29:16,733 父は とても幸せだったと思います 278 00:29:19,767 --> 00:29:22,233 まるで死んだみたい 279 00:29:22,233 --> 00:29:25,433 父は変わったんです 義母上と出会って 280 00:29:25,433 --> 00:29:28,700 -ねっ -10は若返った気がする 281 00:29:28,700 --> 00:29:30,900 前は しなびた芋みたいだったんですよ 282 00:29:30,900 --> 00:29:32,867 それは言い過ぎ 283 00:29:34,633 --> 00:29:39,100 口に上るのは あの人の話ばかり 284 00:29:39,100 --> 00:29:43,033 私の話をしているようでも 結局はそう 285 00:29:43,033 --> 00:29:46,200 北条に嫁いで いい思い出なんか一つもないわ 286 00:29:46,200 --> 00:29:49,433 それは言い過ぎだと思いますよ 287 00:29:50,600 --> 00:29:53,200 姉上のおなかに 赤ちゃんがいた時 288 00:29:53,200 --> 00:29:57,933 母親が険しい顔だと男の子が生まれるって 義母上が言って 289 00:29:57,933 --> 00:30:02,100 そう 私が必死に 険しい顔をしてね 290 00:30:02,100 --> 00:30:03,867 あの時 義母上も笑ってましたよ 291 00:30:03,867 --> 00:30:05,033 笑ってませんよ 292 00:30:05,033 --> 00:30:06,933 笑ってましたよね 293 00:30:06,933 --> 00:30:10,400 だって あなたが面白い顔するから 294 00:30:18,833 --> 00:30:24,533 私は 伊豆山権現に3人で 籠もった時のことが忘れられないわ 295 00:30:24,533 --> 00:30:26,800 来る日も来る日も拭き掃除 296 00:30:26,800 --> 00:30:30,700 だけど 全く手伝う気のない義母上 297 00:30:31,833 --> 00:30:34,600 あの時は 私のおなかに きくが 298 00:30:34,600 --> 00:30:39,533 そのくせ 若い小僧さんと話が弾まれたようで 299 00:30:39,533 --> 00:30:42,500 かわいい子がいたのよ 300 00:30:42,500 --> 00:30:45,200 今頃 どうしてるのかしらね 301 00:30:45,200 --> 00:30:47,000 伊豆に戻ったら 302 00:30:47,000 --> 00:30:50,233 久しぶりに訪ねてみたらどうですか 303 00:30:50,233 --> 00:30:52,567 会いに行ってみようかしら 304 00:30:52,567 --> 00:30:54,833 小僧が 305 00:30:54,833 --> 00:30:57,167 仁王の像みたいに なってたりして 306 00:31:20,667 --> 00:31:23,500 お世話になりました 307 00:31:51,767 --> 00:31:54,700 夕餉の支度をさせていただきます 308 00:32:13,533 --> 00:32:15,300 りく殿 309 00:32:17,733 --> 00:32:20,467 最後にいいですか 310 00:32:21,533 --> 00:32:24,333 秘けつを教えてくださいな 311 00:32:26,333 --> 00:32:28,100 秘けつ? 312 00:32:28,100 --> 00:32:31,500 北条の方々と うまくやっていく 313 00:32:34,700 --> 00:32:38,133 無理やり なじもうとしないこと 314 00:32:38,133 --> 00:32:40,033 あとは… 315 00:32:41,200 --> 00:32:43,700 誇りに思うこと 316 00:32:43,700 --> 00:32:45,667 誇り 317 00:32:45,667 --> 00:32:49,967 私は北条に嫁いだことを 誇りに思っていますよ 318 00:32:53,533 --> 00:32:55,533 ご無礼いたしました 319 00:33:16,967 --> 00:33:20,067 伊豆に流されるそうですね 320 00:33:20,067 --> 00:33:22,067 みたいね 321 00:33:22,067 --> 00:33:23,300 会いに行きますよ 322 00:33:23,300 --> 00:33:24,833 来なくていい 323 00:33:26,567 --> 00:33:30,000 あんたは 会わなきゃいけない 324 00:33:33,733 --> 00:33:35,800 俺に借りがある 325 00:33:37,533 --> 00:33:38,867 何者だ 326 00:34:51,567 --> 00:34:53,900 俺の女になれ 327 00:35:19,333 --> 00:35:22,633 これより 伊豆に向かっていただきます 328 00:35:22,633 --> 00:35:25,200 都でなければ 329 00:35:25,200 --> 00:35:28,533 鎌倉であろうが 伊豆であろうが 330 00:35:28,533 --> 00:35:31,167 私には同じこと 331 00:35:31,167 --> 00:35:32,300 では 332 00:35:32,300 --> 00:35:34,900 私を殺そうとしたでしょう 333 00:35:36,567 --> 00:35:39,500 安心なさい 334 00:35:39,500 --> 00:35:44,033 私は もう あなたのお父上を たきつけたりしないわ 335 00:35:50,900 --> 00:35:52,700 ああ 悔しい 336 00:35:52,700 --> 00:35:55,900 もう少しで てっぺんに立てたのに 337 00:35:56,533 --> 00:36:02,533 でもね 私の中の火は まだ消えておりませんから 338 00:36:02,533 --> 00:36:07,300 このまま坂東のど田舎で朽ち果てるなんて 真っ平ごめんだわ 339 00:36:07,300 --> 00:36:10,033 あらやだ 340 00:36:10,033 --> 00:36:13,733 こんな品のない言葉 使ったことなかったのに 341 00:36:15,633 --> 00:36:19,567 あなたは とっくに坂東の女子だ 342 00:36:19,567 --> 00:36:21,400 やめてちょうだい 343 00:36:23,700 --> 00:36:26,667 執権を継がなかったそうですね 344 00:36:27,567 --> 00:36:29,933 それが何か 345 00:36:32,433 --> 00:36:36,033 意気地がないのね この親子は 346 00:36:39,400 --> 00:36:44,167 手の届く所に大きな力があるなら 奪い取りなさい 347 00:36:44,167 --> 00:36:46,900 歯がゆいったらありゃしない 348 00:36:46,900 --> 00:36:49,367 何に遠慮しているのです 349 00:36:54,500 --> 00:36:57,500 小四郎 いいですか 350 00:36:57,500 --> 00:37:01,167 あなたは そこに立つべきお人 351 00:37:02,300 --> 00:37:05,300 これは 義母からの はなむけ 352 00:37:06,067 --> 00:37:08,133 あらやだ 353 00:37:08,133 --> 00:37:11,967 はなむけは送る側がするものでしたね 354 00:37:16,067 --> 00:37:19,333 父上と義母上の思い 355 00:37:20,633 --> 00:37:23,467 私が引き継ぎます 356 00:37:25,533 --> 00:37:28,267 これは 357 00:37:28,267 --> 00:37:31,600 息子からの はなむけです 358 00:37:57,400 --> 00:37:59,700 まず手始めに 359 00:37:59,700 --> 00:38:03,600 京にいる御家人たちへ命令を出す 360 00:38:05,600 --> 00:38:08,900 平賀朝雅を殺す 361 00:38:10,700 --> 00:38:13,100 罪状は何とします 362 00:38:13,900 --> 00:38:19,933 実朝様に成り代わり 鎌倉殿の座を狙ったこと 363 00:38:20,700 --> 00:38:22,433 かしこまりました 364 00:38:23,333 --> 00:38:29,633 あの男は 北条政範に毒を盛り 365 00:38:29,633 --> 00:38:33,167 畠山重保に罪をなすりつけた 366 00:38:34,800 --> 00:38:37,500 それがなければ 367 00:38:39,733 --> 00:38:42,800 畠山は滅亡することはなく… 368 00:38:46,667 --> 00:38:52,600 我が父は 鎌倉を去ることもなかった 369 00:38:55,167 --> 00:38:57,733 直ちに 下文を 370 00:39:01,800 --> 00:39:05,267 断りもなく そのような命令を? 371 00:39:05,967 --> 00:39:14,533 朝雅の主は実朝であって わしではないということであろう 372 00:39:28,500 --> 00:39:30,267 首を取れ~ 373 00:39:45,033 --> 00:39:47,067 待ってくれ 374 00:39:49,433 --> 00:39:55,800 鎌倉殿になろうと思ったことなど 一度もない 375 00:40:06,867 --> 00:40:08,833 なんてことを 376 00:40:08,833 --> 00:40:11,767 鎌倉は怖い 377 00:40:13,533 --> 00:40:15,467 もう たくさんじゃ 378 00:40:16,600 --> 00:40:19,200 きく殿も 一刻も早くお逃げなされ 379 00:40:37,667 --> 00:40:39,800 朝雅… 380 00:40:42,867 --> 00:40:46,800 京で大軍勢が動いたのは 九郎義経が 381 00:40:46,800 --> 00:40:50,333 木曽義仲を追い払って以来のこと 382 00:40:50,333 --> 00:40:55,067 鎌倉殿に これ以上 勝手なまねをさせてはなりません 383 00:40:56,733 --> 00:41:00,667 実朝の考えとは思えん 384 00:41:00,667 --> 00:41:06,100 北条時政が執権の座を追われたと 聞いております 385 00:41:06,100 --> 00:41:09,033 さしずめ その跡取り 386 00:41:09,867 --> 00:41:12,367 名は何という 387 00:41:12,367 --> 00:41:15,333 北条義時 388 00:41:17,300 --> 00:41:21,300 これより 389 00:41:21,300 --> 00:41:24,533 この北条義時が 390 00:41:24,533 --> 00:41:27,900 執権 時政に代わり 391 00:41:27,900 --> 00:41:30,600 鎌倉の政を取りしきる 392 00:41:30,600 --> 00:41:32,600 待ってくれ 393 00:41:32,600 --> 00:41:34,533 そのために時政殿を追放したのか 394 00:41:34,533 --> 00:41:37,800 お前は 己の欲のために 395 00:41:37,800 --> 00:41:41,800 父親を執権の座から追い落としたのか どうなのだ 396 00:41:43,433 --> 00:41:46,767 そうではない 397 00:41:46,767 --> 00:41:53,000 時政に成り代わり 私は この鎌倉を守る 398 00:41:53,000 --> 00:41:55,433 それができるのは 私しかいない 399 00:41:55,433 --> 00:41:57,867 確かに そのとおりだ 400 00:41:58,500 --> 00:42:01,300 北条義時のほかに 401 00:42:01,300 --> 00:42:05,233 御家人たちの筆頭になれる男を 俺は知らない 402 00:42:06,933 --> 00:42:10,200 決して私利私欲で申しているのではない 403 00:42:11,933 --> 00:42:14,533 義時… 404 00:42:21,133 --> 00:42:24,633 調子に乗りおって… 405 00:42:27,333 --> 00:42:29,333 許さん 406 00:42:31,967 --> 00:42:35,067 © NHK 407 00:42:35,067 --> 00:42:36,799 始めますよ 408 00:42:36,799 --> 00:42:38,995 私は この鎌倉を変えるぞ 409 00:42:38,995 --> 00:42:41,782 おやじを追い出したら 途端にやりたい放題だ 410 00:42:41,782 --> 00:42:45,213 私は あなたのお味方 411 00:42:45,213 --> 00:42:49,477 「大海の 磯もとどろに 寄する浪 412 00:42:49,478 --> 00:42:52,693 破れて砕けて 裂けて散るかも」 413 00:42:52,693 --> 00:42:54,844 そして いずれは いなくなる