1 00:00:02,936 --> 00:00:15,549 ♬~ 2 00:00:17,751 --> 00:00:23,023 (一同)お~い お~い! (男)おさと! 3 00:00:23,023 --> 00:00:26,260 (男)おっ母さん おっ母さん! 4 00:00:26,260 --> 00:00:29,162 <この日 玄次郎は かつて 自分が➡ 5 00:00:29,162 --> 00:00:34,067 石川島の人足寄場に送り込んだ 音吉という大工が➡ 6 00:00:34,067 --> 00:00:37,971 娑婆に戻ってくるのに 立ち会っていた> 7 00:00:37,971 --> 00:00:41,742 音吉。 あっ 旦那じゃねえですかい。 8 00:00:41,742 --> 00:00:44,511 元気そうで 何よりだぜ。 へえ。 9 00:00:44,511 --> 00:00:46,547 その節は いろいろと お世話んなっちまって。 10 00:00:46,547 --> 00:00:48,749 もう博打になんぞ 手ぇ出すんじゃねえぞ。 11 00:00:48,749 --> 00:00:50,851 分かってまさぁ。 それじゃ。 12 00:00:52,686 --> 00:00:55,789 よし 行け。 13 00:01:11,338 --> 00:01:14,908 おっ! へ~え いい女じゃねえか。 14 00:01:14,908 --> 00:01:17,945 あれは一色堂の後添えの おるいですぜ。 15 00:01:17,945 --> 00:01:21,682 一色堂っていや 大層な 絵草紙屋じゃねえか。へい。 16 00:01:21,682 --> 00:01:24,284 おい おい。 あの男は? 17 00:01:24,284 --> 00:01:27,754 ああ あいつは鉄之助って いいましてね➡ 18 00:01:27,754 --> 00:01:30,991 一色堂の勘当息子ですよ。 へえ~。 19 00:01:30,991 --> 00:01:34,795 何で また 寄場に? 人を刺したんですよ。 20 00:01:34,795 --> 00:01:39,366 だが なぜ刺したかは とうとう 口を割らなかったんですがね。 21 00:01:39,366 --> 00:01:41,468 ふ~ん。 22 00:01:43,870 --> 00:01:46,340 鉄之助さん。 23 00:01:46,340 --> 00:02:00,454 ♬~ 24 00:02:05,792 --> 00:02:07,928 ⚟いらっしゃいませ。 ⚟(客)いい絵ですね。 25 00:02:07,928 --> 00:02:09,930 ⚟お気に召しましたか。 26 00:02:22,175 --> 00:02:25,846 ただいま戻りました。 27 00:02:25,846 --> 00:02:30,484 お前 今日は どこへ行ってたんだ? 28 00:02:30,484 --> 00:02:34,121 はい…。 29 00:02:34,121 --> 00:02:36,556 鉄之助か? 30 00:02:36,556 --> 00:02:38,492 申し訳ございません。 31 00:02:38,492 --> 00:02:40,527 差し出たまねを致しました。 32 00:02:40,527 --> 00:02:44,197 あいつは勘当の身だ。 もう この家とは➡ 33 00:02:44,197 --> 00:02:46,433 何の関わりもないと あれほど言っておいたはずだ。 34 00:02:46,433 --> 00:02:50,804 その勘当を 解いて頂く訳には まいりませんでしょうか? 35 00:02:50,804 --> 00:02:58,045 バカな事を言うな。 あいつは 訳もなく 人様を傷つけたのだぞ。 36 00:02:58,045 --> 00:03:00,313 それは そうですが…。 37 00:03:00,313 --> 00:03:05,519 本来ならば 養子の縁を 切るところだが世間体もある。 38 00:03:05,519 --> 00:03:09,456 勘当で済ませてやったのだ。 それを…➡ 39 00:03:09,456 --> 00:03:13,326 後添えのお前が いちいち 口を挟むんじゃない! 40 00:03:13,326 --> 00:03:19,433 お許し下さい。 出過ぎた振る舞いを致しました。 41 00:03:23,503 --> 00:03:27,374 (おつる) 引っ張って 次は…。 42 00:03:27,374 --> 00:03:33,680 この与一郎さえ 無事に育ってくれれば➡ 43 00:03:33,680 --> 00:03:40,153 あの鉄之助など もう この一色堂には いらない男だ。 44 00:03:40,153 --> 00:03:53,700 ♬~ 45 00:03:53,700 --> 00:03:55,669 (たたく音) 46 00:03:55,669 --> 00:04:11,685 ♬~ 47 00:04:11,685 --> 00:04:18,091 <その夜 一色堂では 大変な事件が起こった> 48 00:04:20,393 --> 00:04:23,096 (駒吉)ただいま。 (おしの)お帰りなさい。 49 00:04:26,133 --> 00:04:29,736 (お津世)栄吉。 50 00:04:29,736 --> 00:04:34,040 お代わり。 はい。 51 00:04:41,114 --> 00:04:43,049 (たたく音) 52 00:04:43,049 --> 00:04:45,752 朝っぱらから 何考えてるんですか? 53 00:04:45,752 --> 00:04:48,021 子どもが見てますでしょ。 54 00:04:48,021 --> 00:04:52,626 そんな 邪険にしなくても。 なあ? いいえ。 55 00:04:52,626 --> 00:04:55,362 あなたは こうでもしなきゃ 分からない人です。 56 00:04:55,362 --> 00:05:00,200 おかみさん。 銀蔵親分がお見えです。 57 00:05:00,200 --> 00:05:03,870 おう 上がってもらってくれ。 58 00:05:03,870 --> 00:05:06,139 ごめんなすって。 どうした? 親分。 59 00:05:06,139 --> 00:05:10,644 朝早くから申し訳ありませんが 旦那 殺しです。 60 00:05:10,644 --> 00:05:12,946 殺し? へい。 61 00:05:15,348 --> 00:05:19,753 殺されたのは一色堂の主 庄兵衛。 62 00:05:26,059 --> 00:05:28,962 ご苦労さまです。 (鳥飼)おう 神谷。 63 00:05:28,962 --> 00:05:33,733 ご苦労さん。 で どうだい? うむ…。 64 00:05:33,733 --> 00:05:37,504 匕首か何かで 心の臓を 一突きされているが➡ 65 00:05:37,504 --> 00:05:40,874 凶器は 賊が持ち去ったようで 見当たらん。 66 00:05:40,874 --> 00:05:43,543 物取りかい? 今のところ➡ 67 00:05:43,543 --> 00:05:46,146 とられたものは無いそうだ。 68 00:05:48,315 --> 00:05:53,520 これだけの殺しを 誰も 気付かなかったのか?(足音) 69 00:05:53,520 --> 00:06:00,727 (弥吉)あ! 兄さん…。 何で? 70 00:06:03,230 --> 00:06:11,037 一体 誰が こんな目に? 兄さん…。 71 00:06:13,273 --> 00:06:18,044 お役人様。 兄さんを殺したヤツを 必ず捕まえて下さいまし。 72 00:06:18,044 --> 00:06:22,048 お願いします。 お願い致します。 お前さんは? 73 00:06:23,950 --> 00:06:31,324 申し遅れました。 私は この庄兵衛の弟で➡ 74 00:06:31,324 --> 00:06:36,029 浅草橋場で 絵草紙屋を 営んでおります➡ 75 00:06:36,029 --> 00:06:42,235 弥吉と申します。 そうかい。 それじゃ 親分➡ 76 00:06:42,235 --> 00:06:44,904 話を聞いておいてくれねえか。 分かりやした。 77 00:06:44,904 --> 00:06:54,914 ♬~ 78 00:06:54,914 --> 00:07:02,188 とんだ事だったね おかみさん。 お手数をおかけ致します。 79 00:07:02,188 --> 00:07:06,993 ちょいと聞きてえんだが お前さん 旦那が殺された時に➡ 80 00:07:06,993 --> 00:07:10,797 隣に寝てたんだろ? さようでございます。 81 00:07:10,797 --> 00:07:14,601 それで 何にも 気付かなかったっていうのは➡ 82 00:07:14,601 --> 00:07:18,772 本当の話かい? 申し訳ございません。 83 00:07:18,772 --> 00:07:21,574 隣で お前の亭主が 殺されたんだぞ。 84 00:07:21,574 --> 00:07:24,277 全然 気付かなかったで 済むと思うのか? 85 00:07:24,277 --> 00:07:28,014 本当なのでございます。 寝入ってしまって➡ 86 00:07:28,014 --> 00:07:32,352 何が… どうなってしまったのやら。 87 00:07:32,352 --> 00:07:37,557 (泣き声) 88 00:07:41,828 --> 00:07:44,230 う~ん? 89 00:07:46,533 --> 00:07:49,969 どうやら こじあけられた様子は ないようだな。 90 00:07:49,969 --> 00:07:52,272 番頭さん。 はい。 91 00:07:52,272 --> 00:07:54,207 この木戸は 閉まっていたんだな? 92 00:07:54,207 --> 00:07:58,111 はい 毎晩 おつるが閉めますんで。 93 00:08:06,186 --> 00:08:11,725  心の声  これじゃ 木戸が開いてなければ 忍び込むのは無理だぜ。 94 00:08:11,725 --> 00:08:15,628 昨夜 あの木戸を 閉め忘れは しなかったかい? 95 00:08:15,628 --> 00:08:19,065 いいえ ちゃんと閉めました。 96 00:08:19,065 --> 00:08:22,302 今朝も ちゃんと 閉まっていたんだな?はい。 97 00:08:22,302 --> 00:08:24,771 小僧さんが お役人を呼びに行く時➡ 98 00:08:24,771 --> 00:08:28,975 かんぬきと錠前を外したって 言ってましたから。 99 00:08:28,975 --> 00:08:31,778 じゃあ 間違いねえか…。 100 00:08:31,778 --> 00:08:36,449 それじゃ 旦那が殺されているのを 見つけた時の事を➡ 101 00:08:36,449 --> 00:08:39,486 聞かせてくれねえか? はい。 102 00:08:39,486 --> 00:08:45,925 昨夜は寝つかれなくて ちょうど うとうとしていた頃でした。 103 00:08:45,925 --> 00:08:50,563 物音が聞こえたような気がして お部屋まで行ってみたんです。➡ 104 00:08:50,563 --> 00:08:52,799 そしたら…。 105 00:08:52,799 --> 00:08:55,301 ♬~ 106 00:08:55,301 --> 00:08:58,505 あっ! あ…。 107 00:08:58,505 --> 00:09:07,514 ♬~ 108 00:09:07,514 --> 00:09:11,384 その時 誰か怪しいヤツを 見かけなかったか? 109 00:09:11,384 --> 00:09:13,787 いいえ 誰も。 110 00:09:19,192 --> 00:09:21,394 帰ったよ。 (おみち)お帰り。➡ 111 00:09:21,394 --> 00:09:24,697 まあ! 旦那 いらっしゃいまし! 112 00:09:24,697 --> 00:09:26,933 おかみ すまんが ちょいと奥を借りるよ。 113 00:09:26,933 --> 00:09:29,736 ええ どうぞ どうぞ。 114 00:09:31,771 --> 00:09:36,342 さ~て 親分。へい。 今度の事件 どう思う? 115 00:09:36,342 --> 00:09:40,213 まあ 鳥飼の旦那➡ 116 00:09:40,213 --> 00:09:43,683 女房のおるいが怪しいと にらんでるようですがね。 117 00:09:43,683 --> 00:09:46,419 まあ 横で 亭主が殺されてるってえのに➡ 118 00:09:46,419 --> 00:09:50,123 「何も知らねえ」じゃ通らねえわな。 へえ。 119 00:09:50,123 --> 00:09:54,494 あっ 話は変わるが 夫婦仲は どうだったんだい? 120 00:09:54,494 --> 00:10:00,033 へえ。 店の者や近所の評判じゃ あの殺された庄兵衛ってのは➡ 121 00:10:00,033 --> 00:10:02,268 なかなか 口やかましかったようで➡ 122 00:10:02,268 --> 00:10:06,806 おるいにも かなり きつい事 言ってた様子で。 123 00:10:06,806 --> 00:10:10,643 あの女 どうやら 玄人だったようだが。 124 00:10:10,643 --> 00:10:15,014 ええ お察しのとおり。 深川で芸者に出ていたところを➡ 125 00:10:15,014 --> 00:10:17,717 庄兵衛に見初められて 4年ほど前に➡ 126 00:10:17,717 --> 00:10:21,387 後添えに納まったそうで。 ふ~ん…。 127 00:10:21,387 --> 00:10:23,723 例の息子とは どうだったい? 128 00:10:23,723 --> 00:10:28,128 あ~ あの弥吉っていう 主人の弟の話じゃ➡ 129 00:10:28,128 --> 00:10:32,799 あんまり 折り合いは よくなかったとか。 130 00:10:32,799 --> 00:10:36,002 それにしちゃ わざわざ 迎えに来るってえのは➡ 131 00:10:36,002 --> 00:10:38,905 ふに落ちねえな。 へい。 132 00:10:38,905 --> 00:10:41,608 あ~ 勘当を受けてるんじゃ➡ 133 00:10:41,608 --> 00:10:46,613 あの息子も 親父を 恨んでいたんでしょうねえ。 134 00:10:49,315 --> 00:10:53,620 ハハハハッ。 はい ぼん。 はい。 135 00:10:55,655 --> 00:10:58,358 お前が 殺ったんじゃないのか? えっ? 136 00:10:58,358 --> 00:11:00,293 どう考えても 庄兵衛は➡ 137 00:11:00,293 --> 00:11:03,096 お前さん以外に 殺せるはずがねえんだぜ。 138 00:11:03,096 --> 00:11:06,900 違います。 私は何もしていません。 139 00:11:11,204 --> 00:11:16,709 (勝蔵)へい! ごまあえ 上がったよ。はい。 140 00:11:19,913 --> 00:11:23,449 おかみさん。 私が。 うん ありがとう。 141 00:11:23,449 --> 00:11:25,385 上で 旦那が お待ちかねですよ。 142 00:11:25,385 --> 00:11:27,587 いいのよ。 かえって邪魔しない方が。 143 00:11:29,622 --> 00:11:34,093 おるいの仕業に決まっておる! まあ そう入れ込むな。 144 00:11:34,093 --> 00:11:39,265 明日は 必ず 吐かせてみせる。 まあ 見ておれ。 145 00:11:39,265 --> 00:11:42,101 じゃあ 聞くがな。 何だ? 146 00:11:42,101 --> 00:11:46,706 凶器は どこだ? きっと 家の中か そこら辺に➡ 147 00:11:46,706 --> 00:11:51,544 隠してあるに違いない。 そんな物は どこにも なかったぜ。 148 00:11:51,544 --> 00:11:55,215 それに与一郎とかいったかな? あの子どもは。 149 00:11:55,215 --> 00:11:59,986 ん? ああ 3つだそうだ。 あの女はバカじゃない。 150 00:11:59,986 --> 00:12:05,325 そんな幼い子どもがいるのに 殺しを働いたりすると思うか? 151 00:12:05,325 --> 00:12:07,560 残された子どもの事を考えたら➡ 152 00:12:07,560 --> 00:12:11,531 なかなか 踏み切れるもんじゃないぞ。 153 00:12:11,531 --> 00:12:17,170 じゃあ 貴公は 誰の仕業だと? そいつは まだ 俺にも➡ 154 00:12:17,170 --> 00:12:20,173 まるっきり 見当が ついちゃいねえがな。 155 00:12:35,221 --> 00:12:38,057 さあ 入りました。 丁!丁! 156 00:12:38,057 --> 00:12:41,027 半!半!丁! 半! 157 00:12:41,027 --> 00:12:43,763 丁!半 ないか? 半方 ないか? 半! 158 00:12:43,763 --> 00:12:47,767 丁半 コマそろいました。 勝負! 159 00:12:47,767 --> 00:12:50,570 サンミチの丁。 160 00:12:50,570 --> 00:12:53,072 くそ~! 161 00:13:01,280 --> 00:13:06,753 何だ? お前は。 ちょいと聞きてえ事がある。 162 00:13:06,753 --> 00:13:13,559 番屋まで来てもらおうか。 もう お上には用はねえよ。 163 00:13:15,461 --> 00:13:18,031 おっ? 待ちやがれ! コラ! 164 00:13:18,031 --> 00:13:22,201 ♬~ 165 00:13:22,201 --> 00:13:25,104 親分。いいから行け! 合点で! 166 00:13:27,106 --> 00:13:29,542 コラ! 待ちやがれ! 167 00:13:29,542 --> 00:13:42,455 ♬~ 168 00:13:42,455 --> 00:13:47,393 おとなしくしねえか コラ! 手間 取らせやがって。 169 00:13:47,393 --> 00:13:50,530 汚えぞ。 博打で しょっ引くんなら 何で ほかのヤツらも➡ 170 00:13:50,530 --> 00:13:52,532 しょっ引かねえんだ? そんなケチな 博打で➡ 171 00:13:52,532 --> 00:13:55,368 しょっ引こうってんじゃねえや。 お前の父っつぁんの話を➡ 172 00:13:55,368 --> 00:14:00,173 聞きてえだけだよ。えっ? あ~! 173 00:14:00,173 --> 00:14:04,577 はあ はあ…。 174 00:14:06,879 --> 00:14:08,815 親父じゃねえよ あんなヤツ。 175 00:14:08,815 --> 00:14:12,418 いくら 小せえ時に 養子に もらわれてきたからって➡ 176 00:14:12,418 --> 00:14:16,155 十数年も父親と呼んだ 相手だろうが。 177 00:14:16,155 --> 00:14:20,560 実の息子が生まれた途端 俺を邪魔にするような野郎は➡ 178 00:14:20,560 --> 00:14:28,201 親でも何でもねえ。 そんなに親父が憎いか? 179 00:14:28,201 --> 00:14:32,872 ろくに小遣いも よこさねえくせに 親父面ばかりしやがって。 180 00:14:32,872 --> 00:14:35,775 ちょいとドジを踏んだら 待ってましたとばかりに勘当だ。 181 00:14:35,775 --> 00:14:39,278 父親が聞いてあきれるぜ。 182 00:14:39,278 --> 00:14:44,717 それじゃ 立派に父親を殺したい 訳が あったってこったな。 183 00:14:44,717 --> 00:14:49,222 俺は 殺ってませんよ! じゃあ 誰が殺ったと思う? 184 00:14:49,222 --> 00:14:53,960 そ… それは…。 185 00:14:53,960 --> 00:14:57,463 ほかに 庄兵衛を恨んでるヤツは いるのか? 186 00:14:57,463 --> 00:15:00,233 知りませんよ 俺は。 187 00:15:00,233 --> 00:15:02,502 (直吉) あ~ ごめん ごめん ごめん! ごめんよ~! 188 00:15:02,502 --> 00:15:05,872 あ~ どいた! どいた どいた~! 189 00:15:05,872 --> 00:15:09,642 旦那 旦那! お調べ中だ。 静かにしろ! 190 00:15:09,642 --> 00:15:11,978 これが騒がずに いられますかってんだい。 191 00:15:11,978 --> 00:15:14,580 こいつを見て下せえ。 192 00:15:20,787 --> 00:15:23,923 ほう! そいつは どこで見つけたんだ? 193 00:15:23,923 --> 00:15:25,858 こいつの ねぐらを ひっかき回してやしたら➡ 194 00:15:25,858 --> 00:15:27,794 押し入れの中から 出てきやがったんで。 195 00:15:27,794 --> 00:15:30,596 直吉 大手柄だ! へえ! 196 00:15:32,632 --> 00:15:38,137 さて こいつの話を 聞かせてもらおうか? うん? 197 00:15:40,273 --> 00:15:44,577 何? ホントか?これで下手人は 鉄之助に決まったも同然ですぜ。 198 00:15:44,577 --> 00:15:46,546 今 神谷の旦那が 調べてらっしゃいます。 199 00:15:46,546 --> 00:15:49,182 よし 行こう!へい! お待ち下さい! 200 00:15:49,182 --> 00:15:52,018 ああ すまない。 今日は もう引き取ってくれ。 201 00:15:52,018 --> 00:15:54,620 違います! 鉄之助さんではございません。 202 00:15:54,620 --> 00:15:56,989 私が殺りました。 203 00:15:56,989 --> 00:16:01,828 えっ? 今 何と申した? 204 00:16:01,828 --> 00:16:07,033 私が… 主人を 手にかけたのでございます。 205 00:16:09,368 --> 00:16:11,370 えっ? えっ? 206 00:16:14,674 --> 00:16:22,415 おじちゃん 遊んで! おじちゃん 遊んで! 207 00:16:22,415 --> 00:16:27,720 あらあら あんまり おじちゃん いじめちゃ駄目でしょ。 ほら! 208 00:16:27,720 --> 00:16:32,692 銀蔵さん 見えましたよ。 おっ! 209 00:16:32,692 --> 00:16:38,030 旦那。 鉄之助と おるいは 大番屋へ送られやした。 210 00:16:38,030 --> 00:16:42,034 そうかい。 ご苦労さん。 それから 鉄之助なんですがね➡ 211 00:16:42,034 --> 00:16:46,739 殺しがあった晩に 一色堂の 裏辺りを うろついてたそうで。 212 00:16:46,739 --> 00:16:49,375 見た者があるのかい? へい。 213 00:16:49,375 --> 00:16:53,212 どうやら これは 鉄之助で決まりのようで。 214 00:16:53,212 --> 00:16:57,817 だが あいつは どうやって 一色堂に忍び込んだんだ? 215 00:16:57,817 --> 00:17:00,386 あそこは 裏木戸でも開いてない限り➡ 216 00:17:00,386 --> 00:17:04,757 忍び込むのは無理だぜ。 旦那 もしかして➡ 217 00:17:04,757 --> 00:17:08,294 鉄之助と おるいが つるんでたって事は➡ 218 00:17:08,294 --> 00:17:10,396 ありやせんかね? 219 00:17:16,903 --> 00:17:19,205 おるいが裏木戸を開けておいて➡ 220 00:17:19,205 --> 00:17:22,508 鉄之助を手引きしたとも 考えられるが➡ 221 00:17:22,508 --> 00:17:26,379 よしんば 2人が つるんでいたとしてもだ。へえ。 222 00:17:26,379 --> 00:17:31,951 鉄之助は なぜ 後生大事に 凶器なんぞ抱え込んでたんだ? 223 00:17:31,951 --> 00:17:35,521 まあ 確かに。 そんな物騒な代物なら➡ 224 00:17:35,521 --> 00:17:38,424 すぐにでも 始末をつけそうなもんだ。 225 00:17:38,424 --> 00:17:42,695 それに おるいが死体のそばで 寝込んでたってえのも➡ 226 00:17:42,695 --> 00:17:45,264 いかにも まぬけじゃねえか。 227 00:17:45,264 --> 00:18:06,652 ♬~ 228 00:18:09,455 --> 00:18:13,326 もう お手上げだ。 まあ そう 弱音を吐きなさんな。 229 00:18:13,326 --> 00:18:18,164 一体 どっちが ホントの下手人なのか 見当もつかなくなってきた。 230 00:18:18,164 --> 00:18:22,868 そうでもないさ。 要は 誰が どんな嘘をついているのか➡ 231 00:18:22,868 --> 00:18:26,672 そいつを見極めればいいんだ。 そりゃそうなんだけどな~。 232 00:18:26,672 --> 00:18:31,243 だろ? だから その辺を きっちり確かめるのさ。 233 00:18:31,243 --> 00:18:36,682 あの晩 お前が一色堂に行ったのは 調べがついてるんだ。 234 00:18:36,682 --> 00:18:41,287 何しに行ったんだ? 金をせびりに行ったんですよ。 235 00:18:41,287 --> 00:18:44,223 でも いくら呼んでも 返事がないんで➡ 236 00:18:44,223 --> 00:18:48,661 諦めて引き返してきただけですよ。 そいつは違うんじゃねえのかい? 237 00:18:48,661 --> 00:18:53,566 金を融通してもらう話が こじれて ブスッと殺っちまったんだろ? 238 00:18:53,566 --> 00:18:58,004 冗談じゃねえ。 俺は殺っちゃいませんよ! 239 00:18:58,004 --> 00:19:02,408 お前じゃねえとすると 下手人は おるいって事になるが。 240 00:19:02,408 --> 00:19:04,343 それは違う! 241 00:19:04,343 --> 00:19:08,714 ほう! いやに はっきり 言い切るじゃねえか。 242 00:19:08,714 --> 00:19:13,552 いや… そんな気がしただけです。 243 00:19:13,552 --> 00:19:20,993 話は違うが 3年前 何で 人を刺したりなんかしたんだ? 244 00:19:20,993 --> 00:19:23,396 (ため息) 245 00:19:23,396 --> 00:19:28,367 また だんまりかい? じゃあ 聞くがな➡ 246 00:19:28,367 --> 00:19:33,072 あの晩 どうやって 一色堂に入ったんだ? 247 00:19:33,072 --> 00:19:35,508 裏木戸が開いてたんですよ。 248 00:19:35,508 --> 00:19:38,878 おおかた 店の者が 閉め忘れたんでしょう。 249 00:19:38,878 --> 00:19:43,516 ほう 裏木戸がね。 250 00:19:43,516 --> 00:19:47,453 ♬~ 251 00:19:47,453 --> 00:19:51,157 なぜ 庄兵衛を殺したんだ? 252 00:19:51,157 --> 00:19:54,393 (鳥飼)あれだけの大店の 後添えに納まっていながら➡ 253 00:19:54,393 --> 00:19:59,098 何が不満だったというんだ? 254 00:19:59,098 --> 00:20:03,502 前から あの人が 憎かったんでございます。 255 00:20:03,502 --> 00:20:08,340 憎かった? はい。 256 00:20:08,340 --> 00:20:13,879 妻として扱われた事など 一度もありませんでした。 257 00:20:13,879 --> 00:20:18,050 あの人は 自分の子どもが 欲しかっただけで➡ 258 00:20:18,050 --> 00:20:21,353 そのために 私を後添えにしたのです。 259 00:20:25,791 --> 00:20:30,262 何があったんだ? あの晩。 260 00:20:30,262 --> 00:20:35,067 言われたのです。 「もう お前など いらない」と。 261 00:20:35,067 --> 00:20:40,206 それで カッとなって 殺ったというのか? 262 00:20:40,206 --> 00:20:42,975 もう 我慢が できなかったんです。 263 00:20:42,975 --> 00:20:46,412 まるで 虫けらか何かのように 扱われるのが。 264 00:20:46,412 --> 00:20:50,382 けど 鉄之助は お前さんじゃないと断言してる。 265 00:20:50,382 --> 00:20:55,387 鉄之助は お前さんをかばう 義理でもあるのか? 266 00:21:21,947 --> 00:21:26,685 あった! お前さんが言ってたのは これじゃろ? 267 00:21:26,685 --> 00:21:29,054 ええ これです。 268 00:21:29,054 --> 00:21:31,891 <玄次郎が探していたのは➡ 269 00:21:31,891 --> 00:21:36,695 鉄之助が犯した傷害事件の 記録だった。 事件は➡ 270 00:21:36,695 --> 00:21:43,302 鉄之助が 遊び人を口論の末に 刺したというものであった> 271 00:21:43,302 --> 00:21:48,674 怠け者のお前さんにしては 割と熱心じゃねえか。 272 00:21:48,674 --> 00:21:51,277 伊佐さん 冷やかさないで下さいよ。 273 00:21:53,312 --> 00:21:58,250 おるいが殺しを認めたのは 確か 鉄之助のねぐらから➡ 274 00:21:58,250 --> 00:22:02,988 凶器が出たと 分かってからだったな?ああ。 275 00:22:02,988 --> 00:22:08,761 おるいが急に態度を変えたのは どういう訳があるかだが…。 276 00:22:08,761 --> 00:22:10,763 失礼致します。 277 00:22:12,698 --> 00:22:17,036 なあ お前さんは どう思う? 何をです? 278 00:22:17,036 --> 00:22:22,141 女が命懸けで隠し事をするのは どんな時だい? 279 00:22:24,510 --> 00:22:30,316 そうですねえ… 好いた殿御のためなら➡ 280 00:22:30,316 --> 00:22:35,154 女は 命を捨てられるかも しれませんねえ。 はい。 281 00:22:35,154 --> 00:22:37,256 なるほどな。 282 00:22:39,525 --> 00:22:42,428 案外 男も そうかもしれねえな。 283 00:22:42,428 --> 00:22:58,010 ♬~ 284 00:22:58,010 --> 00:23:00,279 何度も申し上げて おりますように➡ 285 00:23:00,279 --> 00:23:02,715 庄兵衛は私が殺しました。 286 00:23:02,715 --> 00:23:05,551 どうぞ 早く ご定法どおりのお裁きを。 287 00:23:05,551 --> 00:23:07,486 お前さんじゃねえさ。 いえ 私が。 288 00:23:07,486 --> 00:23:11,357 お前さんが かばいだてしている 鉄之助が殺ったんでもねえと➡ 289 00:23:11,357 --> 00:23:15,261 俺は にらんでる。 えっ? 290 00:23:15,261 --> 00:23:21,400 だが このままじゃ 鉄之助が 下手人に されちまう。そんな…。 291 00:23:21,400 --> 00:23:24,970 俺は 何としても 本当の下手人を挙げたい。 292 00:23:24,970 --> 00:23:29,575 それにゃ お前さんに 力を貸してほしいんだ。 293 00:23:29,575 --> 00:23:34,179 私に どうしろと おっしゃるんですか? 294 00:23:36,215 --> 00:23:40,686 3年前の一件だ。 295 00:23:40,686 --> 00:23:45,524 鉄之助が 3年前の件で 口を割らねえのは どうやら➡ 296 00:23:45,524 --> 00:23:50,029 お前さんに関わりがあるような 気がしてならねえんだが。 297 00:23:52,298 --> 00:23:56,869 さっきも言ったように 下手人は ほかにいるんだ。 298 00:23:56,869 --> 00:23:59,772 そいつを捕らえるためだ。 299 00:23:59,772 --> 00:24:04,476 頼む。 どうか しゃべってくれ。 300 00:24:12,851 --> 00:24:16,689 申し訳ございません。 301 00:24:16,689 --> 00:24:22,628 何もかも お話し致します。 302 00:24:22,628 --> 00:24:31,904 あれは 私が与一郎を産んで しばらくたった頃でした。 303 00:24:31,904 --> 00:24:38,410 その日 私は 芸者をしていた頃に 訳ありだった男から➡ 304 00:24:38,410 --> 00:24:41,313 突然 呼び出しを受けたのです。 305 00:24:41,313 --> 00:24:52,424 ♬~ 306 00:24:52,424 --> 00:24:54,660 随分 女 上げたじゃねえか。 307 00:24:54,660 --> 00:24:58,931 (おるい) 長患いで死んだ母親の薬代が とても高くて➡ 308 00:24:58,931 --> 00:25:04,536 羽振りのよかった その男に 何度も立て替えてもらいました。➡ 309 00:25:04,536 --> 00:25:10,876 借りは 全て返したのですが 邪険にもできず…。 310 00:25:10,876 --> 00:25:20,386 政さん 昔のご恩は忘れません。 でも 本当に これっきりに。 311 00:25:22,521 --> 00:25:25,224 あっ やめて。 やめて下さい。 312 00:25:27,326 --> 00:25:31,830 やめて やめて… やめて。 313 00:25:37,035 --> 00:25:39,238 何だ? てめえは! 314 00:26:03,462 --> 00:26:06,865 (刺さる音) 315 00:26:15,073 --> 00:26:32,157 (雨の音) 316 00:26:34,493 --> 00:26:43,268 鉄之助さんは 私を逃がし… 自分一人で名乗り出たのです。 317 00:26:43,268 --> 00:26:52,811 言えば 私が辱めを受けると… 事実を明かさないまま➡ 318 00:26:52,811 --> 00:26:57,149 寄場へ送られてしまいました。 319 00:26:57,149 --> 00:27:00,752 鉄之助は お前さんにほれていた。 320 00:27:00,752 --> 00:27:05,591 恐らくは 後添えに入った時からな。 321 00:27:05,591 --> 00:27:08,927 知らなかったのです。 322 00:27:08,927 --> 00:27:11,830 鉄之助さんは 旦那様の仕打ちを見かねて➡ 323 00:27:11,830 --> 00:27:14,733 同情してくれていたのだと 思っていました。 324 00:27:14,733 --> 00:27:21,640 なのに 私が与一郎を みごもったと分かってから➡ 325 00:27:21,640 --> 00:27:26,979 それまで優しかった 鉄之助さんは➡ 326 00:27:26,979 --> 00:27:30,716 急に つっけんどんに なったんです。 327 00:27:30,716 --> 00:27:37,623 鉄之助は お前さんに対する思いを 断ち切ろうとしたのさ。 328 00:27:39,525 --> 00:27:47,100 ほれきっているからこそ 今の今まで口を閉ざしてきたんだ。 329 00:27:47,100 --> 00:27:57,009 ですから… 今度は私が恩返しをする番です。 330 00:27:57,009 --> 00:27:59,912 ご迷惑を おかけ致しました。 331 00:27:59,912 --> 00:28:05,484 そいつはいいが お前さん どうやら はめられたようだ。 332 00:28:05,484 --> 00:28:07,486 えっ? 333 00:28:07,486 --> 00:28:13,292 お前さんが仕置きを受けるのを 願っているヤツがいるって事さ。 334 00:28:16,728 --> 00:28:18,664 (金子)いい加減にせんか! 335 00:28:18,664 --> 00:28:22,534 下手人が2人もおるというのに 一向に らちが明かんとは➡ 336 00:28:22,534 --> 00:28:25,370 貴公 一体 何を考えておるのじゃ? 337 00:28:25,370 --> 00:28:29,241 ご支配役 その件でしたら あと一両日 お待ち下さい。 338 00:28:29,241 --> 00:28:33,111 必ず はっきりとさせて ご覧に入れます。 339 00:28:33,111 --> 00:28:36,682 誠じゃな?ええ。 また いつものように➡ 340 00:28:36,682 --> 00:28:39,585 小手先の逃げを打っておるのでは あるまいな? 341 00:28:39,585 --> 00:28:42,854 小手先の逃げとは心外。 いくら ご支配役でも➡ 342 00:28:42,854 --> 00:28:45,724 言い過ぎでは ございませぬか? あっ いや…。 343 00:28:45,724 --> 00:28:47,960 私が いつ 小手先の逃げなどという➡ 344 00:28:47,960 --> 00:28:50,596 姑息な手段を取ったと 申されるのですか? 345 00:28:50,596 --> 00:28:57,202 いや 例えばの話じゃ。 とにかく 早う 白黒はっきりさせい! 346 00:28:57,202 --> 00:29:02,040 頼んだぞ! かしこまりました。 347 00:29:02,040 --> 00:29:04,376 (ため息) えっ? 348 00:29:04,376 --> 00:29:08,380 おのれ! また うまく逃げられたわい。 349 00:29:10,582 --> 00:29:12,584 いらっしゃいませ。 350 00:29:14,586 --> 00:29:16,588 ⚟いらっしゃいませ! 351 00:29:18,790 --> 00:29:22,694 あ… これは これは 親分さん。 352 00:29:22,694 --> 00:29:26,031 今日は また 何のご用で? 353 00:29:26,031 --> 00:29:29,901 いえね 今も 番頭さんと 話してたんだが➡ 354 00:29:29,901 --> 00:29:34,740 今度の一件は どうやら 鉄之助と おるいが 2人で仕組んだと➡ 355 00:29:34,740 --> 00:29:40,078 お上では見てるんだが もう一つ 決め手がなくてね。 356 00:29:40,078 --> 00:29:43,949 鉄之助と義姉さんがで ございますか? 357 00:29:43,949 --> 00:29:48,654 まあ 2人が つるんでたって 確かな証しでも出てくりゃ➡ 358 00:29:48,654 --> 00:29:51,156 すっきりするんだがね。 はあ…。 359 00:29:51,156 --> 00:29:56,428 例えば 2人が示し合わせてた っていう手紙でも出てくりゃ➡ 360 00:29:56,428 --> 00:30:01,333 そりゃ 話が早えな。 おっと! すっかり邪魔しちまったな。 361 00:30:01,333 --> 00:30:04,202 あっ いえいえ。 何も お構い致しませんで。 362 00:30:04,202 --> 00:30:07,906 また お越し下さいまし。 363 00:30:12,611 --> 00:30:17,883 あ~ お前に ほれたおかげで➡ 364 00:30:17,883 --> 00:30:23,288 私は とんでもない事を しでかしてしまったよ。 365 00:30:23,288 --> 00:30:28,827 (おつる)何言ってるの? 自分でまいた種じゃない。 366 00:30:28,827 --> 00:30:34,533 しかし お前が あんな男の娘と知っていたら…。 367 00:30:36,568 --> 00:30:40,405 じゃあ 私を諦められる? 368 00:30:40,405 --> 00:30:43,308 それが できるくらいなら…。 369 00:30:46,712 --> 00:30:52,851 とうの昔に切れてたさ。 370 00:30:52,851 --> 00:31:20,512 ♬~ 371 00:31:20,512 --> 00:31:23,115 親分。 ⚟(五郎蔵)うん。 372 00:31:26,118 --> 00:31:29,621 お嬢が。 おう。 373 00:31:33,258 --> 00:31:38,830 (五郎蔵)どうでえ? 弥吉は。 大丈夫よ。 私に ぞっこん。 374 00:31:38,830 --> 00:31:42,467 あとは おるいが お仕置きになるのを待つばかり。 375 00:31:42,467 --> 00:31:47,005 もうすぐ あの身代も 俺たちの思うがままよ。 376 00:31:47,005 --> 00:31:49,875 でもね お父っつぁん。 お上じゃね➡ 377 00:31:49,875 --> 00:31:52,277 おるいが お仕置きになるためには➡ 378 00:31:52,277 --> 00:31:54,713 もう一つ 証しが欲しいんですって。 379 00:31:54,713 --> 00:32:01,486 そうかい。 かわいい娘のためだ。 じゃあ 何か➡ 380 00:32:01,486 --> 00:32:05,891 手を考えなくちゃいけねえな。 何が娘のためよ。 381 00:32:05,891 --> 00:32:09,394 それを言うなら 自分のためでしょ? 382 00:32:09,394 --> 00:32:15,700 違えねえ。 ハハハハッ アハハハッ! 383 00:32:19,104 --> 00:32:23,542 おさくさん。 すまんが 銀蔵親分の朝飯も頼む。 384 00:32:23,542 --> 00:32:27,646 はいはい 承知しておりますよ。 すいませんね。 385 00:32:30,849 --> 00:32:33,819 ばあさん。 俺が久々に帰ってきたもんで➡ 386 00:32:33,819 --> 00:32:41,026 安心して うきうきしてやがる。 で どうだったい?へい。 387 00:32:41,026 --> 00:32:46,431 弥吉と おつるの後ろには 弁天の五郎蔵が控えてやした。 388 00:32:46,431 --> 00:32:52,804 ふ~ん 弁天の五郎蔵ね。 へい。 389 00:32:52,804 --> 00:32:55,841 どうやら 役者がそろったようだな。 390 00:32:55,841 --> 00:32:58,443 (拍子木の音) 391 00:32:58,443 --> 00:33:06,151 火の用心なさりましょう! 392 00:33:06,151 --> 00:33:08,753 (拍子木の音) 393 00:33:08,753 --> 00:33:33,645 ♬~ 394 00:33:37,115 --> 00:33:40,852 遅えじゃねえか。 お前さんが 手紙を隠しに来るのを➡ 395 00:33:40,852 --> 00:33:45,991 ずっと待ってたんだぜ。 畜生… 引っ掛けたね! 396 00:33:45,991 --> 00:33:49,527 待ちやがれ! あっ…。 397 00:33:49,527 --> 00:33:54,633 はなせ! はなせ! 398 00:33:58,169 --> 00:34:03,975 もうじき 何もかも片がついて あんたは 晴れて おつるの婿だ。 399 00:34:03,975 --> 00:34:07,512 一色堂の身代さえ 手に入れば➡ 400 00:34:07,512 --> 00:34:12,183 親分の賭場でこさえた借金も すぐに返せます。 401 00:34:12,183 --> 00:34:16,488 何を言うんだい? 俺は あんたの舅になるんだぜ。 402 00:34:16,488 --> 00:34:20,358 ケチな借金 返せなんて 野暮は言わねえよ。 403 00:34:20,358 --> 00:34:23,161 さあ 今夜は前祝えだ。 404 00:34:23,161 --> 00:34:25,730 どんどん やってくんな。 ありがとうございます。 405 00:34:25,730 --> 00:34:30,568 親分 大変だ! 静かにしやがれ。 何事だ? 406 00:34:30,568 --> 00:34:33,271 野郎! あっ…。 407 00:34:36,207 --> 00:34:39,210 おつるが 一切合財 白状したぜ! 408 00:34:39,210 --> 00:34:43,481 お前ら もう おしまいだ! やっちまえ! 409 00:34:43,481 --> 00:35:14,079 ♬~ 410 00:35:17,749 --> 00:35:20,285 御用だ!御用だ! ああ 畜生! 411 00:35:20,285 --> 00:35:24,289 御用だ! 御用だ! 412 00:35:50,248 --> 00:36:14,406 ♬~ 413 00:36:14,406 --> 00:36:17,342 野郎! 414 00:36:17,342 --> 00:36:21,780 ♬~ 415 00:36:21,780 --> 00:36:24,616 御用だ! 416 00:36:24,616 --> 00:36:29,621 ♬~ 417 00:36:44,936 --> 00:36:48,807 ホントに いいのかい? 418 00:36:48,807 --> 00:36:55,146 はい。 もともと 店を継ぐ気なんぞ ありませんでしたし➡ 419 00:36:55,146 --> 00:36:58,049 以前から 上方で 絵の修業でもしてみないかって➡ 420 00:36:58,049 --> 00:37:00,785 誘われてましたから。 421 00:37:00,785 --> 00:37:04,989 そうかい。 まあ 店の方は➡ 422 00:37:04,989 --> 00:37:06,991 しっかり者の おるいさんの事だ。 423 00:37:06,991 --> 00:37:11,763 与一郎が大きくなるまで ちゃんと支えていくだろうよ。 424 00:37:11,763 --> 00:37:15,967 はい。 私も そう思います。 425 00:37:15,967 --> 00:37:22,474 ところで お前 一色堂が殺された晩も➡ 426 00:37:22,474 --> 00:37:26,411 そんな旅姿で 店を訪ねたんじゃねえのかい? 427 00:37:26,411 --> 00:37:28,413 旦那…。 428 00:37:28,413 --> 00:37:32,150 おるいさんに ひと言 別れを告げに寄ったら あの騒ぎ。 429 00:37:32,150 --> 00:37:36,988 てっきり 亭主を殺したのは あの人だと思い込んで➡ 430 00:37:36,988 --> 00:37:41,493 とっさに 凶器の匕首を 持ち去った。 431 00:37:44,062 --> 00:37:50,335 そのまま 旅立つつもりだったが おるいさんの事が気になった。 432 00:37:50,335 --> 00:37:54,506 人殺しの疑いが かからないか 案じられて➡ 433 00:37:54,506 --> 00:38:02,280 江戸から出るに出られず そっと見守っていたんだろ? 434 00:38:02,280 --> 00:38:04,782 違うかい? 435 00:38:04,782 --> 00:38:10,321 (泣き声) 436 00:38:10,321 --> 00:38:12,957 やっぱりな。 437 00:38:12,957 --> 00:38:16,461 (泣き声) 438 00:38:16,461 --> 00:38:23,034 けど 旦那。 今の話 あの人には…。 言わねえよ。 439 00:38:23,034 --> 00:38:26,905 俺のここに しまっておく。 440 00:38:26,905 --> 00:38:31,309 旦那 ありがとうございます。 441 00:38:33,411 --> 00:38:39,784 それでは。 ああ。 達者でな。へえ。 442 00:38:39,784 --> 00:38:50,094 ♬~ 443 00:38:56,234 --> 00:38:59,037 よいしょ! あら コラ! 444 00:38:59,037 --> 00:39:01,372 うん! もう!うまい! 445 00:39:01,372 --> 00:39:03,641 (笑い声) 446 00:39:03,641 --> 00:39:07,345 やっぱり 玄次郎様は 大したお方ですよ。 447 00:39:07,345 --> 00:39:10,081 やれば ちゃんと できるんですから。 448 00:39:10,081 --> 00:39:16,221 亡くなった大旦那様にも 鼻高々で 申し上げられるってもんですよ。 449 00:39:16,221 --> 00:39:28,533 ♬~ 450 00:39:30,702 --> 00:39:34,572 つまり おつるが あらかじめ 庄兵衛夫婦に➡ 451 00:39:34,572 --> 00:39:39,110 眠り薬をのませておいて ぐっすりと眠り込んだところを➡ 452 00:39:39,110 --> 00:39:41,479 五郎蔵たちが刺し殺した。 そう。 453 00:39:41,479 --> 00:39:45,650 木戸の開け閉めは おつるがやり 五郎蔵たちは➡ 454 00:39:45,650 --> 00:39:49,587 おるいに匕首を握らせて 逃げたのさ。ところが➡ 455 00:39:49,587 --> 00:39:53,358 おつるが木戸を閉める前に やって来た鉄之助が➡ 456 00:39:53,358 --> 00:39:58,730 匕首を持ち去った。 鉄之助は おるいをかばうために➡ 457 00:39:58,730 --> 00:40:01,633 匕首をもぎ取って 逃げ出した。 458 00:40:01,633 --> 00:40:05,436 おかげで ヤツらの筋書きも 崩れたように見えたんだが➡ 459 00:40:05,436 --> 00:40:09,207 今度は おるいが 鉄之助をかばいだしたもんで➡ 460 00:40:09,207 --> 00:40:12,777 話は 更に ややこしくなったって訳さ。 461 00:40:12,777 --> 00:40:18,650 なるほどねえ。 でも すっきりしねえ一件でしたね。 462 00:40:18,650 --> 00:40:22,954 まあ 男と女 いろいろ あるわさ。 463 00:40:22,954 --> 00:40:26,257 まあまあ 難しい話は それぐらいにして➡ 464 00:40:26,257 --> 00:40:28,326 ぱ~っと やりましょうよ。 465 00:40:28,326 --> 00:40:32,063 あ~あ お前さんは お気楽で結構だね。 466 00:40:32,063 --> 00:40:34,999 あら 私にだって 苦労はありますわよ。 467 00:40:34,999 --> 00:40:39,337 ほう? 一体 どんな苦労だか 聞かせてくれんか? 468 00:40:39,337 --> 00:40:43,207 それはですねえ。 それは? 469 00:40:43,207 --> 00:40:47,078 わざわざ 心配の種になるような男に…。 470 00:40:47,078 --> 00:40:50,882 男に? 471 00:40:55,787 --> 00:40:58,289 ほれた事。 472 00:41:00,258 --> 00:41:05,096 ハハッ こりゃ 一本やられましたね。 473 00:41:05,096 --> 00:41:09,968 どうやら 俺もまだ 女の修業が足りないようだ。 474 00:41:09,968 --> 00:41:12,403 いやいや ハハハハッ。 475 00:41:12,403 --> 00:41:40,231 ♬~ 476 00:41:40,231 --> 00:41:45,870 ♬~ 477 00:41:45,870 --> 00:41:49,207 ♬~ 478 00:41:49,207 --> 00:41:59,851 ♬~ 479 00:41:59,851 --> 00:42:08,559 <神谷玄次郎 28歳。 北町奉行所 定町回り同心。➡ 480 00:42:08,559 --> 00:42:15,767 自他ともに許す 奉行所きっての怠け者だが➡ 481 00:42:15,767 --> 00:42:20,438 剣は直心影流 酒井良佐の高弟で➡ 482 00:42:20,438 --> 00:42:25,243 その三羽烏の一人に 数えられていた>