1 00:00:33,603 --> 00:00:42,011 ♬~ 2 00:00:42,011 --> 00:00:44,347 (神谷)ああ~。 3 00:00:44,347 --> 00:00:53,690 ♬~ 4 00:00:53,690 --> 00:00:58,361 (鐘の音) 5 00:00:58,361 --> 00:01:00,661 お疲れさまでした。 6 00:01:02,699 --> 00:01:08,571 (にぎわい) 7 00:01:08,571 --> 00:01:11,374 (鳥飼)随分 はやってんな。 おかげさまで。 8 00:01:11,374 --> 00:01:15,712 <この小料理屋は 3年前に亡くなった鳥飼の父➡ 9 00:01:15,712 --> 00:01:19,048 倉右衛門の代からの なじみの店で➡ 10 00:01:19,048 --> 00:01:22,886 主の伊勢蔵が 女房のお浜と共に➡ 11 00:01:22,886 --> 00:01:26,686 2人の賄いを使って やっている> 12 00:01:28,391 --> 00:01:31,060 あ~ 通りやす。 通りやす… 通りやす。 13 00:01:31,060 --> 00:01:33,663 親方 お願いしやす。 (伊勢蔵)あいよっ。 14 00:01:33,663 --> 00:01:35,663 はい。 15 00:01:37,333 --> 00:01:41,671 ああ…。 鳥飼 ぼちぼち切り上げるか。 16 00:01:41,671 --> 00:01:43,671 うん。 17 00:01:48,011 --> 00:01:52,181 伊勢蔵 ちそうになった。 おや 旦那 もう お帰りで? 18 00:01:52,181 --> 00:01:54,517 また寄らせてもらう。 ありがとうございます。 19 00:01:54,517 --> 00:01:58,717 すいません お構いもしませんで。 おうっ。 20 00:02:01,024 --> 00:02:04,527 (鳥飼)伊勢蔵のヤツも すっかり 年取っちまって…。 21 00:02:04,527 --> 00:02:08,865 しかし あの面で よく客商売が勤まるな。 (笑い声) 22 00:02:08,865 --> 00:02:12,201 そこは よくしたもんで 女房が あのとおりの愛きょう者だ。 23 00:02:12,201 --> 00:02:16,539 似合いの夫婦ってとこだな。 (伊勢蔵)旦那! 24 00:02:16,539 --> 00:02:21,711 忘れておりましたが 言づてがあります。 25 00:02:21,711 --> 00:02:25,048 言づて? 誰からだ? 26 00:02:25,048 --> 00:02:39,348 ♬~ 27 00:02:42,532 --> 00:02:47,303 じゃあな。 神谷。 うん? 28 00:02:47,303 --> 00:02:50,006 ちょっと 寄っていかんか。 29 00:02:50,006 --> 00:02:52,675 いや 飯の支度をして 待ってるんだろう? 佐和さん。 30 00:02:52,675 --> 00:02:57,347 あいつの事なら気にせずに。 さあ! さあ さあ。 31 00:02:57,347 --> 00:03:02,685 じゃあ ちょっとだけな。 ハハッ…。 32 00:03:02,685 --> 00:03:05,021 佐和! 帰ったぞ。 33 00:03:05,021 --> 00:03:08,891 (佐和)兄上! あら 神谷様もご一緒? 34 00:03:08,891 --> 00:03:11,694 いらっしゃいませ。 邪魔するよ。 35 00:03:11,694 --> 00:03:14,694 すぐに酒の支度をしてくれ。 36 00:03:22,705 --> 00:03:25,608 ああ…。 まるで 世話女房だな。 37 00:03:25,608 --> 00:03:28,044 早く 嫁に行ってくれれば いいのに…。 38 00:03:28,044 --> 00:03:30,947 こうるさくて かなわん。 強がりを言うな。 39 00:03:30,947 --> 00:03:34,651 佐和さんが いなくなったら お前一人じゃ 何もできんくせに。 40 00:03:34,651 --> 00:03:36,951 まあな。 41 00:03:41,324 --> 00:03:44,827 …で 何か俺に 話があったんじゃねえのかい? 42 00:03:44,827 --> 00:03:48,331 うん…。 実は そうなんだ。 43 00:03:48,331 --> 00:03:50,667 何だよ? 44 00:03:50,667 --> 00:03:55,338 伊勢蔵の店に 磯六という男が訪ねてきてな。 45 00:03:55,338 --> 00:03:59,208 磯六? 俺も 久しぶりに聞く 名前なんだが➡ 46 00:03:59,208 --> 00:04:03,012 聞いて愉快になる名前じゃない。➡ 47 00:04:03,012 --> 00:04:06,683 えたいの知れぬ男でな…。➡ 48 00:04:06,683 --> 00:04:11,354 親父が健在な頃 よく この家に出入りしていた。 49 00:04:11,354 --> 00:04:14,023 [ 回想 ] (倉右衛門)また頼むぞ。 50 00:04:14,023 --> 00:04:17,023 こりゃ どうも。 51 00:04:19,696 --> 00:04:24,867 後で知った事なんだが そいつは タレコミ屋だったんだ。 52 00:04:24,867 --> 00:04:28,705 うん? 俺は どうも その男が好きになれなくて➡ 53 00:04:28,705 --> 00:04:32,575 親父が死んだあと きっぱり 縁を切ったんだ。 54 00:04:32,575 --> 00:04:35,511 それ以来 一度も 磯六とは会っておらん。 55 00:04:35,511 --> 00:04:40,316 その磯六が 伊勢蔵の店に3年ぶりに現れた。 56 00:04:40,316 --> 00:04:47,090 うん…。 言づてというのは 俺に内密の話があるので➡ 57 00:04:47,090 --> 00:04:51,027 今夜 五つ半 家で待っていてくれと。 58 00:04:51,027 --> 00:04:55,164 ここへ来るのか? どうも 胸騒ぎがする。 59 00:04:55,164 --> 00:04:59,001 また何か 昔の事を あれこれ持ち出して➡ 60 00:04:59,001 --> 00:05:02,872 金を せびり取るつもりじゃ ないかと。 61 00:05:02,872 --> 00:05:08,344 少々 気が重い。 一人で磯六に会うのが。 62 00:05:08,344 --> 00:05:12,849 ちょっと待て。 まさか 俺に立ち会えと? 頼む! 63 00:05:12,849 --> 00:05:15,685 しかし…。 お待たせしました。 64 00:05:15,685 --> 00:05:20,556 すいません どうぞ。 じゃ 遠慮なく。 65 00:05:20,556 --> 00:05:23,359 どうぞ。 66 00:05:23,359 --> 00:05:27,196 うん! うまい。 ありがとうございます。 67 00:05:27,196 --> 00:05:30,099 うちの ばあさんの料理とは 雲泥の差だ。 68 00:05:30,099 --> 00:05:32,399 ハッ…。 69 00:05:34,303 --> 00:05:39,175 こんなに遅くまで どこに引っ掛かっているのやら。 70 00:05:39,175 --> 00:05:43,312 今日は帰ってくるって言うから 支度して待ってりゃ➡ 71 00:05:43,312 --> 00:05:46,312 すっぽかすんだから…。 72 00:05:48,184 --> 00:05:51,187 うぁ…。 (鼻をすする音) 73 00:05:51,187 --> 00:05:56,325 全く 玄次郎様は… 人の心を 思いやる気持ちっつうのが➡ 74 00:05:56,325 --> 00:06:00,997 ないんだから…。 いい加減 私だって➡ 75 00:06:00,997 --> 00:06:04,333 愛想が尽きますよ。 76 00:06:04,333 --> 00:06:06,269 おっ…。 77 00:06:06,269 --> 00:06:10,206 おいしく煮えた。 ウフフ。 (くしゃみ) 78 00:06:10,206 --> 00:06:13,009 申し訳ない 遅くまで引き止めて。 79 00:06:13,009 --> 00:06:15,344 いや~ すっかり ごちそうになっちまって。 80 00:06:15,344 --> 00:06:17,680 いいえ 大した おもてなしも できませんで。 81 00:06:17,680 --> 00:06:21,380 じゃ おやすみ。 おやすみなさいまし。 82 00:06:44,640 --> 00:06:47,543 「まってゐても いそ六は こねへ➡ 83 00:06:47,543 --> 00:06:52,515 うそだと思ったら 一石ばしに いってみな」。 84 00:06:52,515 --> 00:06:55,515 磯六…。 85 00:07:30,019 --> 00:07:32,819 おい。 おい! 86 00:07:36,292 --> 00:07:38,628 (物音) 87 00:07:38,628 --> 00:08:06,322 ♬~ 88 00:08:06,322 --> 00:08:08,322 ハァ…。 89 00:08:20,336 --> 00:08:22,672 (栄吉)栄ちゃんが やるったら…。 (お津世)もう この子ったら➡ 90 00:08:22,672 --> 00:08:26,175 お掃除の邪魔ばっかりして! ねえ おしのちゃん。 91 00:08:26,175 --> 00:08:28,678 この子 連れて しばらく 表で遊んでやって。 92 00:08:28,678 --> 00:08:30,613 はいはい 貸して。 あいよっ! 93 00:08:30,613 --> 00:08:32,949 (おしの)栄ちゃん いらっしゃい。 ねえちゃんと行こう。 94 00:08:32,949 --> 00:08:35,284 弥助さん。 (弥助)へい。 95 00:08:35,284 --> 00:08:39,789 今夜のお席 15人様よね? えっ? こっちには 18人で来てますぜ。 96 00:08:39,789 --> 00:08:43,626 ああっ! そうそ 3人様追加で 18人…。 97 00:08:43,626 --> 00:08:48,297 栄吉がグズって 邪魔するから 頭が こんがらがっちゃって! 98 00:08:48,297 --> 00:08:53,636 あ~っ この忙しい時に もう一人 邪魔がいるんだから…。 99 00:08:53,636 --> 00:08:55,936 (足音) 100 00:09:00,142 --> 00:09:02,142 (せきばらい) 101 00:09:03,813 --> 00:09:05,748 (ため息) 102 00:09:05,748 --> 00:09:11,153 ≪すだれ~ さげ~ すだれ~。 103 00:09:11,153 --> 00:09:16,959 ≪すだれや~ よしず! 104 00:09:16,959 --> 00:09:20,830 お前さん ちょいと はんてん脱いで下さいな。 105 00:09:20,830 --> 00:09:26,002 ああ? お前 そっけねえふりして 朝っぱらから… ええっ。 106 00:09:26,002 --> 00:09:29,872 何 言ってるんですか。 はんてんの 袖口が ほころんでるんですよ。 107 00:09:29,872 --> 00:09:35,611 はんてんの… おっ。 あっ ああっ。 もう さあ早く! 108 00:09:35,611 --> 00:09:37,947 ねえ 私 忙しいんだから! いやいや…。 109 00:09:37,947 --> 00:09:41,784 もう! そりゃ お前…。 110 00:09:41,784 --> 00:09:44,084 ほころびね。 111 00:09:47,590 --> 00:09:50,292 (戸の開く音) (銀蔵)御免よ。 112 00:09:50,292 --> 00:09:52,628 あら! 親分さん。 113 00:09:52,628 --> 00:09:55,628 旦那は おいでで? (お津世)ええ。 114 00:09:57,500 --> 00:10:00,302 旦那。 おお 入ってくれ。 へい。 115 00:10:00,302 --> 00:10:03,806 あぁ~。 …で どうだった? 116 00:10:03,806 --> 00:10:07,309 へい 鳥飼の旦那に 仏を改めてもらいやした。 117 00:10:07,309 --> 00:10:11,647 確かに 磯六だそうで。 そうか。 へい。 実はな 親分。 118 00:10:11,647 --> 00:10:15,317 へい。 俺も襲われたんだ。 おっ 旦那も!? 119 00:10:15,317 --> 00:10:19,155 ああ 正しく言やぁ 狙われたのは 鳥飼だ。 えっ? 120 00:10:19,155 --> 00:10:21,991 敵は 俺を鳥飼と思い込んで 襲ったらしい。 121 00:10:21,991 --> 00:10:26,662 ほう… いや よく分からねえが どういう事なんすかね? 122 00:10:26,662 --> 00:10:28,662 はい。 123 00:10:34,336 --> 00:10:38,674 磯六は てめえが 何者かに狙われてるのを知り➡ 124 00:10:38,674 --> 00:10:42,511 助けを求めに 鳥飼の家に来ようとしたんだが➡ 125 00:10:42,511 --> 00:10:45,848 途中で そいつに殺された。 126 00:10:45,848 --> 00:10:50,186 磯六だけを狙ったんなら それで済んだはずだ。 127 00:10:50,186 --> 00:10:53,856 わざわざ こんな文を 鳥飼の旦那の家に➡ 128 00:10:53,856 --> 00:10:56,692 投げ込むような手間は かけねえと? 129 00:10:56,692 --> 00:11:00,362 その投げ文で 鳥飼をおびき出そうとした…➡ 130 00:11:00,362 --> 00:11:05,034 そう考えれば つじつまは合う。 するってぇと敵の本当の狙いは➡ 131 00:11:05,034 --> 00:11:07,937 鳥飼の旦那? …かもしれねえし➡ 132 00:11:07,937 --> 00:11:11,540 磯六と鳥飼と 両方だったかもしれねえ。 133 00:11:11,540 --> 00:11:16,212 まあ どっちにしても この事件の鍵を握るのは 磯六だ。 134 00:11:16,212 --> 00:11:21,717 源助。 手が空いたら ゴマ すっといてくんな。 135 00:11:21,717 --> 00:11:24,217 (源助)へい。 136 00:11:40,202 --> 00:11:44,502 (伊勢蔵)手を洗え! へい。 137 00:11:46,876 --> 00:11:50,876 絲吉 多めに頼むな。 へい。 138 00:11:55,017 --> 00:11:59,355 ああ 神谷の旦那。 ちょいと いいかい? ええ。 139 00:11:59,355 --> 00:12:06,695 えい。 磯の野郎が ここへ来たのは 八つごろでした。 140 00:12:06,695 --> 00:12:09,195 あっしは 板場にいましてね…。 141 00:12:13,569 --> 00:12:18,040 [ 回想 ] よう 磯じゃねえか。 久しぶりだな。 142 00:12:18,040 --> 00:12:21,911 親方 折り入って 頼みてえ事があるんだが。 143 00:12:21,911 --> 00:12:24,914 どうしたい? そんなに しょっぱい顔をして。 144 00:12:24,914 --> 00:12:27,383 鳥飼の旦那に どうしても会って➡ 145 00:12:27,383 --> 00:12:31,053 話さなくちゃならねえ事が あるんだ。 誰か 使いにやっちゃ➡ 146 00:12:31,053 --> 00:12:33,956 もらえねえか? てめえで行ったら いいじゃねえか。 147 00:12:33,956 --> 00:12:40,162 いや… 俺は どうも会いづれえんだ。 148 00:12:40,162 --> 00:12:43,065 まずい? 磯六が そう言ったのか? 149 00:12:43,065 --> 00:12:45,834 へえ。 何 気取ってやがるんだって➡ 150 00:12:45,834 --> 00:12:48,170 突っぱねてやろうと 思ったんですが➡ 151 00:12:48,170 --> 00:12:51,507 どうも様子が おかしいんでさぁ。 …というと? 152 00:12:51,507 --> 00:12:54,543 苦虫を100匹も潰したような 顔をして➡ 153 00:12:54,543 --> 00:12:57,313 額に汗かいてるんでさぁ。 154 00:12:57,313 --> 00:13:02,017 こりゃあ よっぽど大事な話に 違えねえと思いやしてね➡ 155 00:13:02,017 --> 00:13:07,189 鳥飼の旦那なら 今晩辺り ここに見えるかもしれねえから➡ 156 00:13:07,189 --> 00:13:10,226 その時 言づてしてやろうって そう言ったんでさぁ。 157 00:13:10,226 --> 00:13:13,963 …で ヤツはどうした? じゃあ 今晩 五つ半…➡ 158 00:13:13,963 --> 00:13:18,901 つまり ゆんべの話なんですが。 鳥飼の旦那の組屋敷に行くから➡ 159 00:13:18,901 --> 00:13:23,201 そう伝えてくれって そう言うなり ここを出ていきやした。 160 00:13:41,190 --> 00:13:43,325 あっ! 161 00:13:43,325 --> 00:13:45,325 (悲鳴) 162 00:13:49,665 --> 00:13:53,335 鳥飼。 おお 神谷。 何かあったのか? 163 00:13:53,335 --> 00:13:58,007 佐和のヤツが…。 (角田屋番頭)手前ども店先で➡ 164 00:13:58,007 --> 00:14:01,707 怪我をなさいまして。 怪我? 165 00:14:13,022 --> 00:14:15,691 (鳥飼)具合は どうだ? 166 00:14:15,691 --> 00:14:19,561 まだ ちょっと痛みますが さっきよりは だいぶ。 167 00:14:19,561 --> 00:14:22,564 それにしても「不幸中の幸い」だ。 168 00:14:22,564 --> 00:14:26,335 当たりどころが悪かったら えらい事になってたぞ。 169 00:14:26,335 --> 00:14:30,239 (小声で)すいません。 申し訳ありません! 170 00:14:30,239 --> 00:14:32,975 材木を押さえていた縄が 古くなって➡ 171 00:14:32,975 --> 00:14:36,011 切れたようでございます。 早速 あのあと➡ 172 00:14:36,011 --> 00:14:40,149 新しいものに取り替えましたが…。 173 00:14:40,149 --> 00:14:45,321 いずれにせよ これは 手前どもの落ち度。 174 00:14:45,321 --> 00:14:49,191 重ね重ね おわび申し上げます! 175 00:14:49,191 --> 00:14:52,995 お前さんが謝る事はないさ。 しかし…。 176 00:14:52,995 --> 00:14:57,695 本当に もうお気遣いなく。 お忙しいでしょうから どうぞ…。 177 00:15:08,544 --> 00:15:12,014 (番頭)ふだんは こういう具合になってまして。 178 00:15:12,014 --> 00:15:15,351 縄が切れていたと言ったな? (番頭)はい。 179 00:15:15,351 --> 00:15:18,651 その縄は 捨てちまったかい? 180 00:15:20,222 --> 00:15:25,522 お待ち下さいまし。 始末した 若い者に 聞いてまいりますので。 181 00:15:38,574 --> 00:15:40,874 すまねえ。 182 00:15:44,513 --> 00:15:51,813 <その縄には 刃物で切った跡が はっきり残っていた> 183 00:15:56,658 --> 00:16:02,998 [ 心の声 ] しかし 鳥飼の父親が死んで 既に3年余り。➡ 184 00:16:02,998 --> 00:16:09,338 今になって なぜ 鳥飼兄妹に報復するのか…。➡ 185 00:16:09,338 --> 00:16:12,038 分からねえ。 186 00:16:14,009 --> 00:16:16,678 ハァ…。 187 00:16:16,678 --> 00:16:21,978 旦那 もう お帰りで? ああ。 親方は どうしたい? 188 00:16:24,019 --> 00:16:28,319 町内で祝い事がありやしてね。 おかみさんと。 ふ~ん。 189 00:16:34,630 --> 00:16:37,533 じゃあ 今夜のつまみは お前が? 190 00:16:37,533 --> 00:16:41,503 お口に合いませんでしたか? いやいやいや… うまかった。 191 00:16:41,503 --> 00:16:44,139 酢の物が絶品だった。 ありがとうございます! 192 00:16:44,139 --> 00:16:47,339 おう 励みな。 へい! 193 00:16:48,977 --> 00:16:50,977 (戸の開く音) 194 00:16:57,986 --> 00:17:01,857 あんたたちが グズグズしてるから こんな刻限になっちまったんだよ。 195 00:17:01,857 --> 00:17:04,660 (2人)はい…。 (文吉)アッチ! 196 00:17:04,660 --> 00:17:07,563 バカ! 大丈夫かい? 197 00:17:07,563 --> 00:17:10,332 (戸が開く音) 親分 いるかい? 198 00:17:10,332 --> 00:17:15,632 神谷の旦那。 奥にいますよ。 それじゃ 邪魔するよ。 199 00:17:19,007 --> 00:17:21,510 おう 旦那。 おっつけ おいでになる頃だろうと➡ 200 00:17:21,510 --> 00:17:23,810 思っておりやした。 201 00:17:25,380 --> 00:17:30,519 …で どうだった? 見つけやしたよ 磯六んちを。 202 00:17:30,519 --> 00:17:34,957 本所長岡町の裏店で 1人住めえです。 203 00:17:34,957 --> 00:17:39,294 ヤツは そこの主みてえなもんで かれこれ 20年だそうです。 204 00:17:39,294 --> 00:17:42,798 ところが 妙な事に ヤツが何で食ってんのか➡ 205 00:17:42,798 --> 00:17:46,635 その詳しい暮らしぶりを 知ってる者が 誰もいねえんで。 206 00:17:46,635 --> 00:17:49,137 (ため息) …で 何が分かったんだ? 207 00:17:49,137 --> 00:17:51,473 (せきばらい) そう言われますとね➡ 208 00:17:51,473 --> 00:17:55,310 何にも分からなかったとしか 答えようがねえんで。 209 00:17:55,310 --> 00:17:57,980 ただ一つ 磯の野郎が➡ 210 00:17:57,980 --> 00:18:01,280 妙な事を口走ったのを聞いた男が おりやした。 211 00:18:05,854 --> 00:18:09,992 昨日の昼過ぎ 外から帰ってきた磯六が➡ 212 00:18:09,992 --> 00:18:14,992 ひどく慌てて またすぐに 家を飛び出していったそうです。 213 00:18:21,336 --> 00:18:27,142 じじいが帰ってきやがった! じじいが帰ってきやがった…。 214 00:18:27,142 --> 00:18:31,513 「じじいが帰ってきた」か…。 215 00:18:31,513 --> 00:18:34,483 へい。 独り言にしちゃ 大声だったんで➡ 216 00:18:34,483 --> 00:18:37,119 その男も はっきりと覚えておりやした。 217 00:18:37,119 --> 00:18:41,456 そうか。 ヤツは その足で 伊勢蔵の店へ行き➡ 218 00:18:41,456 --> 00:18:44,793 鳥飼への言づてを頼んだんだ。 219 00:18:44,793 --> 00:18:48,130 お茶 どうぞ。 ああ いい。 急な御用でも? 220 00:18:48,130 --> 00:18:51,967 ああ ちょっとな。 おっ ええ…。 221 00:18:51,967 --> 00:18:55,304 おい。 おいっ! 茶をくれ。 222 00:18:55,304 --> 00:18:59,975 あっ 飲むんですか? 何だよ…。 漬物でも持ってきてくれや。 223 00:18:59,975 --> 00:19:04,146 あ~っ 忙しいんですよ。 何だよ!? お前。 224 00:19:04,146 --> 00:19:07,646 親父に恨みを持つ者!? 225 00:19:11,887 --> 00:19:14,489 ≪怪我の具合は どうなんだ? 226 00:19:14,489 --> 00:19:17,392 ≪(鳥飼)だいぶ 痛みも 引いたようだ。 227 00:19:17,392 --> 00:19:20,295 ≪それは よかった。 228 00:19:20,295 --> 00:19:24,499 …で 何か思い当たる事でも? 229 00:19:24,499 --> 00:19:28,670 さあ…。 230 00:19:28,670 --> 00:19:33,670 ひょっとすると あの中に。 231 00:19:49,625 --> 00:19:52,461 死んだ親父の手文庫だ。➡ 232 00:19:52,461 --> 00:19:56,461 いつか整理しなければならんと 思っていたんだが…。 233 00:20:15,651 --> 00:20:18,951 「高柳様御内聞書」か…。 234 00:20:22,524 --> 00:20:27,262 <その帳面には 密告屋 磯六の情報によって➡ 235 00:20:27,262 --> 00:20:33,835 摘発された 犯罪人の名前 年齢 住所 日付などが➡ 236 00:20:33,835 --> 00:20:39,174 細かく記載されていた。 高柳という人物は➡ 237 00:20:39,174 --> 00:20:43,845 1年前に役職を退いた 吟味与力で…> 238 00:20:43,845 --> 00:20:46,348 (高柳)鳥飼! 手ぬるい。 はい。 239 00:20:46,348 --> 00:20:51,186 <犯罪者に対する 仮借ない取り調べは➡ 240 00:20:51,186 --> 00:20:56,024 下町奉行所内でも つとに有名であった> 241 00:20:56,024 --> 00:20:59,724 エイア~ッ! (うめき声) 242 00:21:01,697 --> 00:21:05,534 この御内聞書の中に 下手人が潜んでる。 243 00:21:05,534 --> 00:21:09,371 えっ? …と 俺は見たが。 244 00:21:09,371 --> 00:21:13,875 磯六を恨み お前の親父さんを恨んでる者が➡ 245 00:21:13,875 --> 00:21:16,575 この中に潜んでる。 246 00:21:19,681 --> 00:21:22,384 それが なぜかは分からんが➡ 247 00:21:22,384 --> 00:21:26,054 もしかしたら ぬれぎぬだったかも しれんし あるいは➡ 248 00:21:26,054 --> 00:21:29,925 表沙汰にならなかった事件を 暴かれた恨みだったかもしれん。 249 00:21:29,925 --> 00:21:34,663 しかし 神谷! 親父は もう3年前に死んでいる。 250 00:21:34,663 --> 00:21:37,165 その恨みを 息子の俺に向けられても➡ 251 00:21:37,165 --> 00:21:39,668 理不尽じゃないか。 人の恨みなんて➡ 252 00:21:39,668 --> 00:21:42,337 しょせん 理屈で割り切れるもんじゃねえ。 253 00:21:42,337 --> 00:21:46,337 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」って やつだ。 254 00:21:49,010 --> 00:21:55,517 鳥飼。 佐和さんの怪我はな ただの災難じゃねえぜ。 ええっ? 255 00:21:55,517 --> 00:22:01,389 誰かが 材木を押さえていた縄を 切ったんだ。 まさか! 256 00:22:01,389 --> 00:22:05,026 この御内聞書 今夜1晩 貸してもらえねえかい? 257 00:22:05,026 --> 00:22:07,362 ああ それは構わんが。 258 00:22:07,362 --> 00:22:11,199 いいか? この事は 佐和さんには内緒だぜ。 259 00:22:11,199 --> 00:22:13,899 …うん。 260 00:22:27,048 --> 00:22:32,020 ≪(おさく)玄次郎様。 うん? 261 00:22:32,020 --> 00:22:37,659 あら~ 夜なべでございますか。 うん。 262 00:22:37,659 --> 00:22:42,998 それはまた… 精が出ます事。 263 00:22:42,998 --> 00:22:47,698 お茶 替えましょうか? いや 構わんでくれ。 264 00:22:51,673 --> 00:22:55,343 それにしても お役目に打ち込まれる➡ 265 00:22:55,343 --> 00:23:02,017 玄次郎様のお姿を見るのは 本当に 久しぶり。 266 00:23:02,017 --> 00:23:07,355 明日 雨にならなきゃ いいですけど。 フフフ…。 267 00:23:07,355 --> 00:23:12,355 それじゃ 先に休まして頂きます。 268 00:23:19,701 --> 00:23:23,872 <玄次郎は 磯六が口走った➡ 269 00:23:23,872 --> 00:23:28,376 「じじいが帰ってきやがった」 という言葉に➡ 270 00:23:28,376 --> 00:23:33,215 御内聞書を読み取る 糸口が潜んでいると思った。➡ 271 00:23:33,215 --> 00:23:38,820 帰ってきたというからには その男は追放されたか➡ 272 00:23:38,820 --> 00:23:41,156 あるいは もっと重い➡ 273 00:23:41,156 --> 00:23:45,660 遠島の処分を受けた者である 可能性があった。➡ 274 00:23:45,660 --> 00:23:50,860 そして その男は老人なのである> 275 00:23:55,170 --> 00:24:01,843 ≪(包丁の音) 276 00:24:01,843 --> 00:24:06,143 ≪あった! あった あった! 277 00:24:09,017 --> 00:24:10,952 ハァ…。 278 00:24:10,952 --> 00:24:14,689 <玄次郎は ついに次の記載を見つけた。➡ 279 00:24:14,689 --> 00:24:21,363 「駒込片町 太物商 和泉屋彌兵衛 五十八歳。➡ 280 00:24:21,363 --> 00:24:25,700 九月三日 磯六知らせの分」。➡ 281 00:24:25,700 --> 00:24:30,572 その男は お調べの上 流罪となっている。➡ 282 00:24:30,572 --> 00:24:34,142 8年前の記載であった> 283 00:24:34,142 --> 00:24:36,077 ああ~。 284 00:24:36,077 --> 00:24:38,480 うあ~っ ああ…。 285 00:24:38,480 --> 00:24:40,815 おさくさん。 はい! 286 00:24:40,815 --> 00:24:44,152 おっ。 ああ 気が利くねえ! 287 00:24:44,152 --> 00:24:47,489 片づけますから これ 飲んで 一眠りして下さい。 288 00:24:47,489 --> 00:24:52,661 おう。 酒か… 気が利くね。 289 00:24:52,661 --> 00:24:57,332 当たり前じゃないですか。 さあ さっさと飲んで下さい。 290 00:24:57,332 --> 00:25:01,032 飲み屋じゃないんですからね。 よいしょ。 291 00:25:03,004 --> 00:25:05,004 ああ…。 292 00:25:06,675 --> 00:25:08,610 (せきこみ) 293 00:25:08,610 --> 00:25:13,181 う~ん そういう男が赦免されて 戻ったという記録はないな。 294 00:25:13,181 --> 00:25:16,851 ありませんか…。 見落としは? 295 00:25:16,851 --> 00:25:20,188 見落としてはおらん。 貴公が3年と言ったのを➡ 296 00:25:20,188 --> 00:25:23,091 5年前まで調べたが 和泉屋彌兵衛という男が➡ 297 00:25:23,091 --> 00:25:27,062 赦されて帰ったという事実は 一切ない。 298 00:25:27,062 --> 00:25:29,262 そうですか。 299 00:25:33,301 --> 00:25:35,637 (金子)神谷! 300 00:25:35,637 --> 00:25:38,139 しばらく 見かけんようだったが➡ 301 00:25:38,139 --> 00:25:41,810 ネズミにでも引かれていたか? ご支配役…。 302 00:25:41,810 --> 00:25:45,981 たまに姿を現したと思えば わしの目を盗んで ウロチョロと。 303 00:25:45,981 --> 00:25:48,817 いや 別に 目を盗んだつもりは ありませんが。 304 00:25:48,817 --> 00:25:52,487 よいか? 神谷。 役所に来たら まず わしのところへ➡ 305 00:25:52,487 --> 00:25:55,987 顔を出すんだぞ。 わしのところへ。 分かったな? はい。 306 00:25:57,993 --> 00:26:03,865 それから もう一つ くどいようだがな 浅草の女の件➡ 307 00:26:03,865 --> 00:26:08,169 あくまで別れぬ気なら こちらにも考えがあるぞ。 308 00:26:08,169 --> 00:26:11,206 ほ~う どのような? 309 00:26:11,206 --> 00:26:14,843 ハハッ。 まあ そのうち ガツンとやってやる。 310 00:26:14,843 --> 00:26:17,643 首を洗って待っておれ。 311 00:26:30,692 --> 00:26:34,562 おっ 旦那。 ご苦労さまです。 おう。 312 00:26:34,562 --> 00:26:36,562 (あくび) 313 00:26:52,947 --> 00:26:55,647 (物音) 誰だ? 314 00:27:21,342 --> 00:27:25,013 あっ 起こしましたか? 315 00:27:25,013 --> 00:27:27,916 なあ お津世。 うん? 316 00:27:27,916 --> 00:27:33,455 俺がクビになったら しばらく 面倒を見てくれるかい? 317 00:27:33,455 --> 00:27:38,326 クビになるような事 しちゃったんですか? 318 00:27:38,326 --> 00:27:44,466 いや 日頃から そういう覚悟がないとな。 319 00:27:44,466 --> 00:27:48,966 私のような女とは つきあえませんか? 320 00:27:50,972 --> 00:27:56,144 もしも 私のせいで 辞めるような事になったら…。 321 00:27:56,144 --> 00:27:59,481 ここに転がり込むぜ。 322 00:27:59,481 --> 00:28:02,517 いけません。 うん? 323 00:28:02,517 --> 00:28:04,986 その前に別れましょう。 324 00:28:04,986 --> 00:28:09,657 どうして? 私は その覚悟でいますから。 325 00:28:09,657 --> 00:28:27,357 ♬~ 326 00:28:32,881 --> 00:28:35,817 旦那 旦那! おう。 327 00:28:35,817 --> 00:28:38,820 えれぇこってす。 何かあったのか? 328 00:28:38,820 --> 00:28:42,657 高柳様が 殺されやした。 何だって!? 329 00:28:42,657 --> 00:29:13,821 ♬~ 330 00:29:13,821 --> 00:29:17,321 磯六殺しと同じ手口だ。 331 00:29:19,994 --> 00:29:25,994 鳥飼。 敵は 諦めちゃいねえ。 くれぐれも気を付けろよ。 332 00:29:42,617 --> 00:29:45,286 そうか。 333 00:29:45,286 --> 00:29:49,157 違う…。 鳥飼 あれは違うぞ。 334 00:29:49,157 --> 00:29:53,161 違う? 俺も どうかしてるぜ。 335 00:29:53,161 --> 00:29:56,297 なぜ 今まで その事に気が付かなかったんだ。 336 00:29:56,297 --> 00:30:00,635 旦那 どういう事で? 磯六が口走った➡ 337 00:30:00,635 --> 00:30:03,538 「じじいが帰ってきやがった」 という言葉を糸口に➡ 338 00:30:03,538 --> 00:30:08,142 俺は御内聞書を調べた。 所払いになった者➡ 339 00:30:08,142 --> 00:30:10,645 あるいは 流罪になった者が ご赦免になって➡ 340 00:30:10,645 --> 00:30:13,147 戻ってきたんじゃねえかと 思ってな。 341 00:30:13,147 --> 00:30:16,985 それに当てはまるのは 一人しかいなかった。 342 00:30:16,985 --> 00:30:22,323 和泉屋彌兵衛って男だ。 ところが 例繰り方の調べによると➡ 343 00:30:22,323 --> 00:30:26,995 そいつが ご赦免になって戻った という記録はなかった。 344 00:30:26,995 --> 00:30:32,166 しかも 遠島になった時 彌兵衛は58歳。 345 00:30:32,166 --> 00:30:37,505 それから8年たってるんだぜ。 …というと 今は66。 346 00:30:37,505 --> 00:30:43,378 そんな年寄りに 大の男を麻縄で 絞め殺す力があると思うか? 347 00:30:43,378 --> 00:30:46,214 それじゃあ…。 348 00:30:46,214 --> 00:30:50,018 銀蔵。 彌兵衛の身内が 今頃 どこで どうしてるか➡ 349 00:30:50,018 --> 00:30:52,353 至急 調べてくれ。 へい! 350 00:30:52,353 --> 00:30:55,690 <和泉屋彌兵衛は➡ 351 00:30:55,690 --> 00:31:00,561 行商人から 絹織物10反を買い入れた。➡ 352 00:31:00,561 --> 00:31:05,400 それが盗品である事を 彌兵衛は知らなかった> 353 00:31:05,400 --> 00:31:07,869 [ 回想 ] 下がれ。 下がらぬか! 354 00:31:07,869 --> 00:31:10,371 これは 何かの間違いでございます。 355 00:31:10,371 --> 00:31:13,708 私は 何にも知りません。 うるさい! 356 00:31:13,708 --> 00:31:19,380 申し開きは奉行所で聞く。 おい。 おい! 357 00:31:19,380 --> 00:31:22,884 お役人様 これは 何かの間違いで…。 358 00:31:22,884 --> 00:31:27,722 <磯六は 彌兵衛は承知していたと 密告した。➡ 359 00:31:27,722 --> 00:31:30,391 彌兵衛は 容疑を否認したが➡ 360 00:31:30,391 --> 00:31:35,691 鳥飼の父と高柳は 島送りにしたのである> 361 00:31:37,999 --> 00:31:41,669 お赦し帳を もういっぺん調べたら 案の定 あったぞ。 362 00:31:41,669 --> 00:31:47,475 …で? 和泉屋彌兵衛は 去年の春➡ 363 00:31:47,475 --> 00:31:50,845 島で死んでいた。 364 00:31:50,845 --> 00:31:55,516 去年の春? そのあと ご赦免船が出た様子は? 365 00:31:55,516 --> 00:31:58,553 その年の秋 三宅島から来た 交易船には➡ 366 00:31:58,553 --> 00:32:01,856 5人の博打打ちが乗っていた。 ご赦免で帰ってきた➡ 367 00:32:01,856 --> 00:32:04,759 運のいいヤツらは その5人だけだ。 368 00:32:04,759 --> 00:32:08,730 なるほどな。 和泉屋の息子は➡ 369 00:32:08,730 --> 00:32:12,867 その連中から彌兵衛の消息を 聞いたのかもしれねえな。 370 00:32:12,867 --> 00:32:17,739 息子だと? いたそうです。 371 00:32:17,739 --> 00:32:24,539 名前は善太郎。 家が潰れたあと 母親と共に行方知れずです。 372 00:32:31,652 --> 00:32:36,991 ああ 和泉屋のおかみさんなら 去年 亡くなりましたよ。 373 00:32:36,991 --> 00:32:40,862 死んだ? 何があったのかは 知りませんけどね。 374 00:32:40,862 --> 00:32:44,866 いきなり 大川に身を投げて 死んじまったんです。 375 00:32:44,866 --> 00:32:49,570 身投げかい…。 ええ。 それっきり 息子さんの姿も ぷっつり。 376 00:32:49,570 --> 00:32:54,409 風の噂では 博打場に 入り浸りだったとか。 ふ~ん。 377 00:32:54,409 --> 00:32:56,844 半! 丁が ないぞ。 丁! 378 00:32:56,844 --> 00:32:59,514 丁! できた。 こっちも できた。 379 00:32:59,514 --> 00:33:02,016 勝負。➡ 380 00:33:02,016 --> 00:33:04,685 五二の半。 半と出やした。 381 00:33:04,685 --> 00:33:08,556 チクショー! ついてねえや。 次だ 次。 382 00:33:08,556 --> 00:33:14,695 そういや いたな。 若えくせに 勝負度胸のいい野郎が。 383 00:33:14,695 --> 00:33:19,200 名前は確か 善太郎とかいった。 384 00:33:19,200 --> 00:33:21,135 (直吉)善太郎…。 385 00:33:21,135 --> 00:33:24,372 島の事を あれこれ 聞いてやがった。 386 00:33:24,372 --> 00:33:28,042 そうそう 和泉屋は どうしてるかって➡ 387 00:33:28,042 --> 00:33:30,378 しつこく聞いてたぜ。 388 00:33:30,378 --> 00:33:33,147 それで? 389 00:33:33,147 --> 00:33:38,486 去年の春に 風邪こじらして 死んじまったって そう言ったら➡ 390 00:33:38,486 --> 00:33:41,823 野郎 急に押し黙っちまって…。 391 00:33:41,823 --> 00:33:44,659 そいつの居所 分からねえか? 392 00:33:44,659 --> 00:33:51,659 さあ… それ以来 賭場には さっぱり 姿見せねえからな。 393 00:33:54,001 --> 00:33:56,337 御免よ。 おっ いらっしゃい。➡ 394 00:33:56,337 --> 00:33:58,637 盛り あがったよ。 395 00:34:02,677 --> 00:34:06,347 そうか。 どうやら 俺の推量も➡ 396 00:34:06,347 --> 00:34:09,250 まんざら 的外れじゃなかったな。 へい。 397 00:34:09,250 --> 00:34:13,688 善太郎も お袋さんも いずれ 親父が ご赦免になって➡ 398 00:34:13,688 --> 00:34:16,591 島から戻ってくるものと 信じていた。 399 00:34:16,591 --> 00:34:21,362 ところが 島帰りの博打打ちから 彌兵衛が死んだ事を聞かされて➡ 400 00:34:21,362 --> 00:34:27,168 お袋さんは悲嘆のあまり 大川に身を投げて死んじまった。 401 00:34:27,168 --> 00:34:33,307 そうなると善太郎の心には 恨みと憎しみしか残らねえ。 402 00:34:33,307 --> 00:34:37,979 恐らく その時に 意趣返しを 思い立ったんでしょうね。 403 00:34:37,979 --> 00:34:42,149 ヤツは まず 磯六の居所を捜し出し…。 404 00:34:42,149 --> 00:35:03,170 ♬~ 405 00:35:03,170 --> 00:35:05,840 [ 回想 ] じじいが帰ってきやがった。 406 00:35:05,840 --> 00:35:08,876 しかし 何だって そんな手の込んだ事を? 407 00:35:08,876 --> 00:35:12,513 親父を町方に売ったのが 本当に磯六なのかどうか➡ 408 00:35:12,513 --> 00:35:16,183 自分の目で確かめる つもりだったんだろうな。 409 00:35:16,183 --> 00:35:21,022 案の定 ヤツは慌てふためいて 伊勢蔵の店に駆け込んだ。 410 00:35:21,022 --> 00:35:24,692 [ 回想 ] 親方 折り入って 頼みてえ事があるんだ。 411 00:35:24,692 --> 00:35:28,029 鳥飼の旦那に どうしても会って➡ 412 00:35:28,029 --> 00:35:30,064 話さなくちゃならねえ事が あるんだ。 413 00:35:30,064 --> 00:35:34,835 ところが その晩 鳥飼の家に向かう途中➡ 414 00:35:34,835 --> 00:35:38,535 一石橋で殺された。 415 00:35:42,977 --> 00:35:45,313 親分。 へい。 416 00:35:45,313 --> 00:35:50,184 磯六と高柳さんを殺した人間は ごく近い所にいるぜ。 えっ? 417 00:35:50,184 --> 00:35:54,822 考えてみりゃ訳ねえ事なんだ。 磯六が あの晩➡ 418 00:35:54,822 --> 00:35:58,326 鳥飼の家に行くって事を 知っていたヤツさ。 419 00:35:58,326 --> 00:36:04,131 しかし 旦那 それを知ってるのは 伊勢蔵と鳥飼の旦那と それと。 420 00:36:04,131 --> 00:36:06,500 この3人しか おりやせんぜ。 421 00:36:06,500 --> 00:36:11,172 いや まだ2人いる。 2人? 422 00:36:11,172 --> 00:36:16,172 そのどちらが善太郎なのか 俺にも確証はねえが…。 423 00:36:18,346 --> 00:36:30,691 (にぎわい) 424 00:36:30,691 --> 00:36:35,963 お~い 伊勢蔵! 帰るぞ。 はい 毎度。 425 00:36:35,963 --> 00:36:39,000 旦那 だいぶ お召しになってますけど➡ 426 00:36:39,000 --> 00:36:42,837 大丈夫ですか? 大丈夫だ。 ツァ…。 あ~っ! 427 00:36:42,837 --> 00:36:45,537 心配すんな。 428 00:36:50,311 --> 00:36:54,482 おっ おう… ハハッ。 429 00:36:54,482 --> 00:36:58,152 旦那。 雪になりましたから➡ 430 00:36:58,152 --> 00:37:02,490 どうぞ これ お持ち下さいまし。 おう すまんな。 431 00:37:02,490 --> 00:37:05,993 お気を付けて。 はい! はいはい。 432 00:37:05,993 --> 00:37:11,293 おかみさん。 空いてるかい? どうぞ どうぞ。 あ~ 寒っ。 433 00:37:17,605 --> 00:37:19,905 ああ…。 434 00:37:23,010 --> 00:37:25,310 うぅ…。 435 00:37:28,883 --> 00:37:31,883 フフッ…。 436 00:37:38,959 --> 00:38:07,659 ♬~ 437 00:38:14,862 --> 00:38:18,862 (うめき声) 438 00:38:21,001 --> 00:38:23,504 (うめき声) 439 00:38:23,504 --> 00:38:33,781 ♬~ 440 00:38:33,781 --> 00:38:36,617 (あえぎ声) 441 00:38:36,617 --> 00:38:38,552 親分! 442 00:38:38,552 --> 00:38:40,552 直! へい! 443 00:38:42,289 --> 00:38:44,989 頼む。 縄を打て。 へい。 444 00:38:48,162 --> 00:38:51,465 鳥飼 危なかったな。 445 00:38:51,465 --> 00:38:56,303 あっ… 間一髪だった…。 まさか お前➡ 446 00:38:56,303 --> 00:38:58,973 本当に飲んだんじゃ ねえだろうな? 447 00:38:58,973 --> 00:39:05,646 いや それが つい…。 バカ! こんな大事な時に。 448 00:39:05,646 --> 00:39:07,982 危ねえ 危ねえ。 449 00:39:07,982 --> 00:39:12,853 旦那! こいつの面を 拝もうじゃありやせんか。 うん。 450 00:39:12,853 --> 00:39:15,853 (うめき声) 451 00:39:19,593 --> 00:39:21,893 起こせ。 へい。 452 00:39:25,166 --> 00:39:28,068 うん? はっ! 453 00:39:28,068 --> 00:39:30,268 絲吉! 454 00:39:32,606 --> 00:39:36,944 あの時 磯六の言づてを聞いていたのは➡ 455 00:39:36,944 --> 00:39:40,447 伊勢蔵のほかに 板場にいた 源助➡ 456 00:39:40,447 --> 00:39:44,285 それに お前の 2人しかいなかった。 457 00:39:44,285 --> 00:39:52,159 絲吉… いや 善太郎。 お前の気持ちも少しは分かるが➡ 458 00:39:52,159 --> 00:39:55,629 親父さんは 咎めを受けるだけの事を➡ 459 00:39:55,629 --> 00:39:59,500 しちまったんだぜ。 あの汚え タレコミ屋と➡ 460 00:39:59,500 --> 00:40:04,138 お前の親父のせいで 俺の家は メチャクチャになっちまった。 461 00:40:04,138 --> 00:40:07,641 店は潰れ お袋は死んじまう。 後継ぎの俺は➡ 462 00:40:07,641 --> 00:40:11,312 帰る ねぐらも無くなって このざまよ! 463 00:40:11,312 --> 00:40:14,215 ところが お前たちは どうだ!? ええっ! 464 00:40:14,215 --> 00:40:17,651 親父が死んでも ちゃんと 町方の跡 継ぎやがってよ!➡ 465 00:40:17,651 --> 00:40:21,322 兄妹2人で ぬくぬく いい暮らし しやがって! 466 00:40:21,322 --> 00:40:25,993 だからといって 皆殺しというのは こっちも困る。 467 00:40:25,993 --> 00:40:29,663 八丁堀の説教なんか 聞きたかねえや!➡ 468 00:40:29,663 --> 00:40:33,534 煮るなり焼くなり 好きにしろってぇんだ! プッ。 469 00:40:33,534 --> 00:40:38,339 そうか…。 鳥飼。 470 00:40:38,339 --> 00:40:43,010 こいつが そう言ってるんだから 好きなようにしてやってくれ。 471 00:40:43,010 --> 00:40:45,346 神谷…。 472 00:40:45,346 --> 00:40:48,182 親分。 へい。 後は頼んだぜ。 473 00:40:48,182 --> 00:40:50,382 へい! 474 00:41:02,696 --> 00:41:06,696 [ 心の声 ] 心の底まで冷えちまったぜ…。 475 00:41:10,037 --> 00:41:13,337 こんな時は…。 476 00:41:56,550 --> 00:42:00,354 ♬~ 477 00:42:00,354 --> 00:42:37,658 ♬~ 478 00:42:37,658 --> 00:42:46,000 ♬~ 479 00:42:46,000 --> 00:42:56,643 ♬~ 480 00:42:56,643 --> 00:43:09,023 ♬~ 481 00:43:09,023 --> 00:43:18,032 ♬~ 482 00:43:18,032 --> 00:43:26,732 ♬~ 483 00:45:33,634 --> 00:45:41,842 ♬~ 484 00:45:41,842 --> 00:45:47,542 俳優の井浦 新さんが アジアの今を見つめる旅に出ました。 485 00:45:52,286 --> 00:45:57,691 総延長13万キロに及ぶ アジアハイウェイ。