1 00:00:38,768 --> 00:00:43,773 (ジュン)<私 絶賛 引きこもり中の駄目作家…➡ 2 00:00:43,773 --> 00:00:48,778 いや 今は 自称作家でございます> 3 00:00:48,778 --> 00:00:51,781 (ジュン)《館山さんには ホントに 申し訳ないんですけど➡ 4 00:00:51,781 --> 00:00:54,784 俺… 書けません》 5 00:00:54,784 --> 00:00:57,787 (館山) 《その言葉 言っちゃうか…》 6 00:00:57,787 --> 00:01:00,790 《もういいよ。 編集者として 橋本君に期待しちゃった➡ 7 00:01:00,790 --> 00:01:03,793 俺の責任もあるからね》 8 00:01:03,793 --> 00:01:06,796 (ジュン)あ~。 9 00:01:06,796 --> 00:01:10,796 世話になった人に あんなこと言わせちゃって…。 10 00:01:12,802 --> 00:01:14,802 うえ…。 11 00:01:17,807 --> 00:01:20,810 うっ…。 12 00:01:20,810 --> 00:01:22,810 あ~。 13 00:01:26,816 --> 00:01:28,818 (男性)《あら汁 作ったし》➡ 14 00:01:28,818 --> 00:01:30,836 《ジュンちゃん好物だろ?》➡ 15 00:01:30,836 --> 00:01:32,755 《ジュンちゃんなら 絶対 書けるって》➡ 16 00:01:32,755 --> 00:01:34,757 《苦しいのは分かるけど➡ 17 00:01:34,757 --> 00:01:37,760 ここ 乗り越え…》 《知ったふうなこと言うなよ!!》 18 00:01:37,760 --> 00:01:41,764 《もう 出てけよ! 説教は うんざりなんだよ》 19 00:01:41,764 --> 00:01:45,768 あんな ひでえこと言っちゃって 俺…。 20 00:01:45,768 --> 00:01:47,768 最悪。 21 00:01:49,772 --> 00:01:52,772 謝りてえ…。 22 00:02:00,783 --> 00:02:04,783 あ~ 番号 聞いてなかったか。 23 00:02:10,793 --> 00:02:12,793 あっ。 24 00:02:18,801 --> 00:02:20,801 固っ。 25 00:02:23,806 --> 00:02:25,808 うわ! 26 00:02:25,808 --> 00:02:45,761 ♬~ 27 00:02:45,761 --> 00:03:05,781 ♬~ 28 00:03:05,781 --> 00:03:18,794 ♬~ 29 00:03:18,794 --> 00:03:21,794 (啓介)あっ 工藤先輩の小説! 30 00:03:23,799 --> 00:03:27,803 (啓介)おい 見ろよ! 「工藤 誠也」 先輩の名前がある。 31 00:03:27,803 --> 00:03:29,805 (純)お~ ホントだ。 (根津爺)ひたちなかの本屋➡ 32 00:03:29,805 --> 00:03:32,741 3つ回って やっと見つけたぞ。 33 00:03:32,741 --> 00:03:34,743 根津爺 サンキュー。 34 00:03:34,743 --> 00:03:38,747 俺は 時間がかかるから 純ちゃん 先 読んで。 35 00:03:38,747 --> 00:03:41,750 (純)時間かかるって たった見開き2ページだろ。 36 00:03:41,750 --> 00:03:43,750 (啓介)いいから。 フフ。 37 00:03:45,754 --> 00:03:48,757 すっげえよな 工藤先輩。 38 00:03:48,757 --> 00:03:52,757 うちらと1個しか変わらないのに 文学賞なんて取って。 39 00:04:00,769 --> 00:04:02,771 (啓介)根津爺は もう読んだ? 『妄想ライン』 40 00:04:02,771 --> 00:04:04,773 (根津爺)わしは読まん。➡ 41 00:04:04,773 --> 00:04:08,773 小説なんて読んだら 頭 痛くなって 死んでしまう。 42 00:04:10,779 --> 00:04:12,781 (啓介)読み終わった? うん。 43 00:04:12,781 --> 00:04:17,786 <この不満顔の中学男子は 中2のときの俺> 44 00:04:17,786 --> 00:04:23,792 <隣の目きらきら君は 幼なじみの同級生 村田 啓介> 45 00:04:23,792 --> 00:04:27,796 <この間 突然 現れた あいつだ> 46 00:04:27,796 --> 00:04:32,735 <俺が 15まで生まれ育った町は 何にもなかった> 47 00:04:32,735 --> 00:04:36,739 <あるのは どんよりとした灰色の海と➡ 48 00:04:36,739 --> 00:04:42,745 だだっ広い国道と でっかいパチンコ屋> 49 00:04:42,745 --> 00:04:45,748 <この不機嫌顔のじいさんは 根津爺> 50 00:04:45,748 --> 00:04:49,752 <漁師しながら魚屋をやっている 町の厄介者> 51 00:04:49,752 --> 00:04:51,754 <大人たちの評判は良くないが➡ 52 00:04:51,754 --> 00:04:54,754 なぜか 俺たちの面倒を よく見てくれる> 53 00:04:56,759 --> 00:04:59,762 <家族と あんまり 折り合いの良くない俺は➡ 54 00:04:59,762 --> 00:05:01,764 他に 行く所がなくって➡ 55 00:05:01,764 --> 00:05:04,767 根津爺の家に よく入り浸っていた> 56 00:05:04,767 --> 00:05:08,771 (根津爺)で どうだった? その 妄想何とかって小説は。 57 00:05:08,771 --> 00:05:10,773 さすが 賞を取るって感じ。 58 00:05:10,773 --> 00:05:12,775 重過ぎない ハードボイルドな文体と…。 59 00:05:12,775 --> 00:05:14,777 <文学賞を取り➡ 60 00:05:14,777 --> 00:05:18,781 町中の噂になった 工藤先輩の小説 『妄想ライン』は➡ 61 00:05:18,781 --> 00:05:21,784 東京の高速道路を ドライブする男の➡ 62 00:05:21,784 --> 00:05:24,787 サスペンス風の短編だった> 63 00:05:24,787 --> 00:05:28,791 この町とは 全然 違って きらきら輝いちゃって➡ 64 00:05:28,791 --> 00:05:31,727 俺も いつか東京の高速を…。 でもさ➡ 65 00:05:31,727 --> 00:05:35,731 そこに書かれてる東京って 何か 嘘くさくね? 66 00:05:35,731 --> 00:05:39,735 たぶん 工藤先輩 東京なんて行ったことねえよ。 67 00:05:39,735 --> 00:05:42,738 (啓介)関係ないよ そんなこと。➡ 68 00:05:42,738 --> 00:05:45,741 小説って フィクションだろ? 嘘だよ。➡ 69 00:05:45,741 --> 00:05:48,744 だって 工藤先輩 免許 持ってないし。➡ 70 00:05:48,744 --> 00:05:52,748 それを あんなふうに書けるのは すごいよ。 71 00:05:52,748 --> 00:05:55,751 うるせえ 評論家! ハマグリ グリグリ グ~リグリ! 72 00:05:55,751 --> 00:05:58,754 やめろよ! やめねえよ! グ~リグリ! 73 00:05:58,754 --> 00:06:00,756 グ~リグリ! グ~リグリ! 痛い痛い 痛い痛い…。 74 00:06:00,756 --> 00:06:02,758 グ~リグリったら グ~リグリ! (根津爺)こら! 75 00:06:02,758 --> 00:06:04,758 人んちの商品で遊ぶな! 76 00:06:10,766 --> 00:06:12,768 まあいい。 77 00:06:12,768 --> 00:06:14,770 そんな いいハマグリ➡ 78 00:06:14,770 --> 00:06:18,774 他のやつに食わせんのは しゃくだからな。➡ 79 00:06:18,774 --> 00:06:20,776 ほら 入れちゃえよ。 80 00:06:20,776 --> 00:06:22,778 <根津爺は 奥さんも 子供も いなくって➡ 81 00:06:22,778 --> 00:06:25,781 漁協の集まりにも参加しない> 82 00:06:25,781 --> 00:06:27,781 <ずっと1人だった> 83 00:06:31,720 --> 00:06:33,722 <この狭い田舎で➡ 84 00:06:33,722 --> 00:06:36,725 地縁と血縁から独立した 根津爺の前だと➡ 85 00:06:36,725 --> 00:06:39,725 俺たちは 楽で 自由でいられたのかもしれない> 86 00:06:41,730 --> 00:06:43,732 (純・啓介)うんめえ。 87 00:06:43,732 --> 00:06:46,735 ハハ 当たり前だ。 88 00:06:46,735 --> 00:06:48,737 ねえねえ 知ってる? 89 00:06:48,737 --> 00:06:51,740 ある国では こういう形の生き物がいてさ➡ 90 00:06:51,740 --> 00:06:53,742 色は 緑色なの。 91 00:06:53,742 --> 00:06:56,745 で 名前は イガヌ…。 92 00:06:56,745 --> 00:06:59,748 そう。 イガヌ。 イガヌ? 93 00:06:59,748 --> 00:07:03,752 うん。 その国で 10年前ぐらいに 発見された 生き物で➡ 94 00:07:03,752 --> 00:07:06,755 食べてみたら もう これが めちゃくちゃうまくて➡ 95 00:07:06,755 --> 00:07:10,759 栄養もあって あっという間に 国民的な食べ物になったんだ。 96 00:07:10,759 --> 00:07:14,763 お~。 それは 海の物か? 山の物か? 97 00:07:14,763 --> 00:07:17,766 どっちでもない。 イガヌは 毎年12月になると➡ 98 00:07:17,766 --> 00:07:20,769 空から降ってくるんだ 雨みたいに。 99 00:07:20,769 --> 00:07:22,771 だから 「イガヌの雨」って呼ばれてんの。 100 00:07:22,771 --> 00:07:24,773 へ~。 101 00:07:24,773 --> 00:07:27,776 こんな形で緑色なのが 降ってくるんだ…。 102 00:07:27,776 --> 00:07:29,778 気持ち悪。 103 00:07:29,778 --> 00:07:34,716 それは… それは どの辺の国の話だ? 104 00:07:34,716 --> 00:07:36,718 俺が 今 適当に作ったの。 105 00:07:36,718 --> 00:07:39,721 (根津爺)えっ? (啓介)純ちゃん すげえじゃん。 106 00:07:39,721 --> 00:07:41,723 何だよ。 真剣に聞いちまったじゃねえか。 107 00:07:41,723 --> 00:07:43,723 バカヤロー。 ごめん ごめん。 108 00:08:58,200 --> 00:09:01,200 爽快タイム 終了! 109 00:09:03,205 --> 00:09:05,207 (啓介)終了! 110 00:09:05,207 --> 00:09:09,211 あ~あ。 卒業式 終わったら もう3年か。 111 00:09:09,211 --> 00:09:11,213 (啓介)光陰 矢のごとし! 112 00:09:11,213 --> 00:09:15,217 あっ それまでに 工藤先輩に 東京に行ったかどうか聞こうぜ。 113 00:09:15,217 --> 00:09:18,220 別に いいけど。 114 00:09:18,220 --> 00:09:23,225 受験 めんどくさいな~。 115 00:09:23,225 --> 00:09:26,228 でも いいな 啓介は サッカーがあって。 116 00:09:26,228 --> 00:09:29,231 高校は スポーツ推薦で行くんだろ? 117 00:09:29,231 --> 00:09:31,233 まだ分かんない。 118 00:09:31,233 --> 00:09:36,238 ハァ… いいよな。 俺には 何もないからな~。 119 00:09:36,238 --> 00:09:40,238 えっ? 何 言ってんだよ。 120 00:09:42,244 --> 00:09:47,249 純ちゃん 話 面白いじゃん。 さっきの イガヌ? の話とかさ。 121 00:09:47,249 --> 00:09:50,252 えっ? 純ちゃん 才能あるよ。 122 00:09:50,252 --> 00:09:54,256 面白いから 何か書けばいいんだよ 工藤先輩みたいに。 123 00:09:54,256 --> 00:09:56,274 でも 嘘なんか書きたくねえしな。 124 00:09:56,274 --> 00:10:01,196 じゃあ 本当のこと書けばいいじゃん。 125 00:10:01,196 --> 00:10:04,199 先輩の小説は フィクションかもしれないけど➡ 126 00:10:04,199 --> 00:10:07,202 先輩は 本気で書いたから それは嘘じゃないんだよ。 127 00:10:07,202 --> 00:10:09,204 本当のことなんだよ。 128 00:10:09,204 --> 00:10:11,206 何だよ それ。 129 00:10:11,206 --> 00:10:13,208 <あのとき➡ 130 00:10:13,208 --> 00:10:16,211 工藤先輩の名前ばかりが 引っ掛かって➡ 131 00:10:16,211 --> 00:10:19,214 俺は もっと大切な言葉に 気付けなかった> 132 00:10:19,214 --> 00:10:21,216 ♬(『仰げば尊し』の歌声) 133 00:10:21,216 --> 00:10:24,219 <工藤先輩に確かめると 言いながら➡ 134 00:10:24,219 --> 00:10:29,224 時は あっという間に過ぎて 卒業式を迎えた> 135 00:10:29,224 --> 00:10:33,228 工藤先輩の答辞 めっちゃ爽やか優等生だったよな。 136 00:10:33,228 --> 00:10:36,231 (啓介)だな。 あの 妄想何とかと➡ 137 00:10:36,231 --> 00:10:40,235 全然イメージ違うな。 『妄想ライン』だよ。 138 00:10:40,235 --> 00:10:42,235 あっ おい。 139 00:10:45,240 --> 00:10:47,242 あれって 工藤先輩だよな? 140 00:10:47,242 --> 00:10:49,244 うん。➡ 141 00:10:49,244 --> 00:10:51,246 どうしたんだろう? あんな所で。 142 00:10:51,246 --> 00:10:54,249 なあ せっかくだから 東京に行ったかどうか聞こうぜ。 143 00:10:54,249 --> 00:10:56,249 うん。 よし。 144 00:10:59,187 --> 00:11:01,187 行くぞ。 145 00:11:06,194 --> 00:11:08,194 あっ! 146 00:11:10,198 --> 00:11:14,202 なあ あれって バスケ部の高橋先輩だよな? 147 00:11:14,202 --> 00:11:16,202 うん。 148 00:11:30,218 --> 00:11:32,218 ≪(物音) 149 00:11:39,227 --> 00:11:41,227 びっくりしたよな。 150 00:11:49,237 --> 00:11:53,241 俺さ…➡ 151 00:11:53,241 --> 00:11:56,241 工藤先輩が好きだったんだ。 152 00:12:00,182 --> 00:12:05,187 まあ いい先輩だよな…。 153 00:12:05,187 --> 00:12:08,190 そういう意味じゃなくて。 154 00:12:08,190 --> 00:12:10,190 えっ? 155 00:12:15,197 --> 00:12:19,201 男の人が好きなんて➡ 156 00:12:19,201 --> 00:12:21,201 変だよね。 157 00:12:26,208 --> 00:12:30,208 変… じゃないんじゃない? 158 00:12:41,223 --> 00:12:44,226 <どうして 啓介が➡ 159 00:12:44,226 --> 00:12:46,228 たった2ページの 先輩の小説を読むのに➡ 160 00:12:46,228 --> 00:12:49,231 時間がかかるのか➡ 161 00:12:49,231 --> 00:12:51,231 俺は そのとき やっと理解した> 162 00:12:57,172 --> 00:12:59,174 <「変じゃない」> 163 00:12:59,174 --> 00:13:03,178 <そう返すだけで 精いっぱいだった> 164 00:13:03,178 --> 00:13:07,182 <でも 俺は あのとき➡ 165 00:13:07,182 --> 00:13:11,186 2人を 汚くて 気持ち悪いと 思ったけど➡ 166 00:13:11,186 --> 00:13:15,190 啓介のことは そうは思わない> 167 00:13:15,190 --> 00:13:18,193 <啓介は 啓介だ> 168 00:13:18,193 --> 00:13:23,193 <ただ あのとき 無意識のうちに 俺は 手を離そうとしていた> 169 00:13:25,200 --> 00:13:28,203 <怖かった> 170 00:13:28,203 --> 00:13:31,206 <それは 啓介をじゃない> 171 00:13:31,206 --> 00:13:34,209 <啓介と過ごした時間が 変わってしまうのが➡ 172 00:13:34,209 --> 00:13:36,211 怖かったんだ> 173 00:13:36,211 --> 00:13:55,230 ♬~ 174 00:13:55,230 --> 00:13:58,166 <あのときの俺には➡ 175 00:13:58,166 --> 00:14:00,166 どうしたらいいのか 分からなかった> 176 00:15:38,800 --> 00:15:43,805 <春休みの間 ずっと こもって 考えて➡ 177 00:15:43,805 --> 00:15:45,807 俺は ある結論を出した> 178 00:15:45,807 --> 00:15:49,811 <それは➡ 179 00:15:49,811 --> 00:15:52,811 俺が 啓介を理解してやること> 180 00:15:54,816 --> 00:15:58,820 [TV](男性)あっ あっ あ~。➡ 181 00:15:58,820 --> 00:16:00,822 恥ずかしい… あ~。 182 00:16:00,822 --> 00:16:03,822 [TV](男性) いまさら 何 言ってんだよ。 183 00:16:09,831 --> 00:16:11,833 うえ…。 184 00:16:11,833 --> 00:16:13,835 (せき) 185 00:16:13,835 --> 00:16:15,837 何だ? 186 00:16:15,837 --> 00:16:17,839 おい どうした? 何でもない。 187 00:16:17,839 --> 00:16:20,842 ≪[TV](男性)あ~。 あ~。 188 00:16:20,842 --> 00:16:23,845 (根津爺)んっ? あっ! 189 00:16:23,845 --> 00:16:26,848 [TV](男性)あっ… ん~。➡ 190 00:16:26,848 --> 00:16:29,848 いい…。 すごい いい…。 191 00:16:34,789 --> 00:16:37,792 (根津爺)何だ そうか。➡ 192 00:16:37,792 --> 00:16:41,796 お前さんも もう 中3だもんな。➡ 193 00:16:41,796 --> 00:16:45,800 吐くなんて情けねえなあ。 どんなの見てるんだ? 194 00:16:45,800 --> 00:16:49,804 うるさいな! 出ていけよ! 出てけって… ここは 俺んちだぞ。 195 00:16:49,804 --> 00:16:53,808 <こんなことをしている自分が 情けなかった> 196 00:16:53,808 --> 00:16:55,810 <でも➡ 197 00:16:55,810 --> 00:16:58,810 何かしないと 啓介との距離が 離れてしまいそうで…> 198 00:17:00,815 --> 00:17:02,817 <3年になると➡ 199 00:17:02,817 --> 00:17:06,821 俺と啓介は クラス替えで 初めて ばらばらになった> 200 00:17:06,821 --> 00:17:09,824 おす。 おす。 201 00:17:09,824 --> 00:17:11,826 (生徒)あしたは 1時間目 数学で…。 202 00:17:11,826 --> 00:17:13,828 (啓介)数学か。 (生徒)一番だるいやつじゃん。 203 00:17:13,828 --> 00:17:15,830 (生徒)めっちゃ眠くなる…。 (啓介)あっ そういえば➡ 204 00:17:15,830 --> 00:17:17,832 今度の日曜 二中と練習試合なんだよ。 205 00:17:17,832 --> 00:17:19,834 (生徒)お~ 見に行くよ! (啓介)マジで? 206 00:17:19,834 --> 00:17:21,836 <俺が こんなに悩んでるのに➡ 207 00:17:21,836 --> 00:17:24,839 啓介は 何事もないような顔をして➡ 208 00:17:24,839 --> 00:17:28,839 一人 自分の道を 進んでいるようだった> 209 00:17:31,846 --> 00:17:37,786 <そんな啓介を見たくなくて 俺は 学校をサボりがちになり➡ 210 00:17:37,786 --> 00:17:40,786 根津爺の家に こもるようになった> 211 00:17:50,799 --> 00:17:52,801 (啓介)あと3kmぐらい。 212 00:17:52,801 --> 00:17:54,801 (生徒)マジで? マジで言ってんの? 213 00:17:57,806 --> 00:18:00,809 おっ 純! おお… よう。 214 00:18:00,809 --> 00:18:02,811 (啓介)何 買いに来たの? 215 00:18:02,811 --> 00:18:04,813 漫画の立ち読み。 啓介は? 216 00:18:04,813 --> 00:18:08,817 ランニング中。 暑くて 喉からから。 217 00:18:08,817 --> 00:18:10,819 じゃあ 俺 行くわ。 218 00:18:10,819 --> 00:18:12,819 じゃあ。 (啓介)行くぞ。 219 00:18:16,825 --> 00:18:19,828 ≪(生徒)啓介 かっけえよな 体キレてて。 220 00:18:19,828 --> 00:18:22,831 俺 啓介となら やれるかも。 221 00:18:22,831 --> 00:18:24,833 (生徒)冗談だろ? (生徒)何で? 222 00:18:24,833 --> 00:18:26,835 (生徒)えっ? いや お前 無理だよ。 223 00:18:26,835 --> 00:18:29,838 おい! てめえ 今 何つった? えっ? 224 00:18:29,838 --> 00:18:32,841 冗談でも そんなこと言ってんじゃねえ! 225 00:18:32,841 --> 00:18:34,776 てめえ 何やってんだよ! うるせえ! どけ! 226 00:18:34,776 --> 00:18:36,778 <俺は バカだった> 227 00:18:36,778 --> 00:18:40,778 <こいつらを殴ったところで 何も解決しないのに> 228 00:21:04,792 --> 00:21:06,794 どうした? その顔。 229 00:21:06,794 --> 00:21:09,794 別に。 何でも。 230 00:21:12,800 --> 00:21:15,800 しょうがねえ野郎だな。 231 00:21:20,808 --> 00:21:23,811 何で ケンカした? 232 00:21:23,811 --> 00:21:26,814 別に。 何か むしゃくしゃして。 233 00:21:26,814 --> 00:21:29,814 フッ むしゃくしゃか。 234 00:21:32,820 --> 00:21:34,822 若えやつらは➡ 235 00:21:34,822 --> 00:21:38,826 腹が立つと言って 周りに当たるが➡ 236 00:21:38,826 --> 00:21:42,826 その気持ち よ~く見てみろ。 237 00:21:44,832 --> 00:21:49,837 腹が立ったっていうのは 怒ってるからじゃない。 238 00:21:49,837 --> 00:21:51,839 悲しいからだ。 239 00:21:51,839 --> 00:21:58,839 たいてい 怒りの根っこにあるのは 悲しみだ。 240 00:22:00,782 --> 00:22:04,786 <そう。 俺は 怒っていたんじゃない> 241 00:22:04,786 --> 00:22:07,789 <悲しんでいたんだ> 242 00:22:07,789 --> 00:22:11,793 <あの日の啓介の告白に> 243 00:22:11,793 --> 00:22:15,797 <男が好きな啓介を 理解できない自分に> 244 00:22:15,797 --> 00:22:20,797 <俺ではなく 工藤先輩が好きな 啓介に> 245 00:22:24,806 --> 00:22:27,806 根津爺は さみしくないの? 1人で。 246 00:22:29,811 --> 00:22:32,811 さみしくなんかねえさ。 247 00:22:35,817 --> 00:22:38,817 お前 何か 間違ってるな。 248 00:22:40,822 --> 00:22:46,828 人は 喜ぼうと思っても 限界はあるが➡ 249 00:22:46,828 --> 00:22:52,834 悲しもうと思うと 際限なく 悲しむことができる。 250 00:22:52,834 --> 00:22:57,772 だったら 最初から悲しまず➡ 251 00:22:57,772 --> 00:23:04,772 ただ 出来事として 受け入れる方がいい。 252 00:23:15,790 --> 00:23:17,792 (啓介)《純ちゃん 才能あるよ》 253 00:23:17,792 --> 00:23:19,794 《面白いから 何か書けばいいんだよ》 254 00:23:19,794 --> 00:23:21,796 《工藤先輩みたいに》 255 00:23:21,796 --> 00:23:25,800 <あの町のように 何もなかった当時の俺に➡ 256 00:23:25,800 --> 00:23:27,802 初めて 何かあると言ってくれたのは➡ 257 00:23:27,802 --> 00:23:29,802 啓介だった> 258 00:23:35,810 --> 00:23:37,812 <俺が作家になったのは➡ 259 00:23:37,812 --> 00:23:40,812 啓介の言葉が あったからかもしれない> 260 00:23:42,817 --> 00:23:45,820 <今 行かなければ> 261 00:23:45,820 --> 00:23:47,822 <あの場所に> 262 00:23:47,822 --> 00:23:51,826 <あの 灰色の海に> 263 00:23:51,826 --> 00:23:59,767 ♬~ 264 00:23:59,767 --> 00:24:07,767 ♬~ 265 00:24:22,790 --> 00:24:24,792 『傘をもたない蟻たちは』は➡ 266 00:24:24,792 --> 00:24:26,794 FODで配信中。 パソコンや スマホ タブレットで➡ 267 00:24:26,794 --> 00:24:28,794 いつでも ご覧いただけます。 詳しくは こちらまで。