1 00:01:34,362 --> 00:01:39,362 (風の音) 2 00:01:53,381 --> 00:01:55,881 (椀の落ちる音) 3 00:02:08,396 --> 00:02:12,400 (風の音) 4 00:02:12,400 --> 00:02:16,404 痺れが走るがなあ。 5 00:02:16,404 --> 00:02:20,408 この風が どうにもならん。 6 00:02:20,408 --> 00:02:24,408 酒を飲ませろ 隼太。 7 00:02:26,948 --> 00:02:31,948 (風の音) 8 00:02:38,359 --> 00:02:52,073 ・~(テーマ音楽) 9 00:02:52,073 --> 00:02:55,376 (隼太)お父上様! 10 00:02:55,376 --> 00:02:58,379 お父上様! 11 00:02:58,379 --> 00:04:07,379 ・~ 12 00:04:30,338 --> 00:04:34,342 (満江)「桑山を伐らで そのまま おくならば・ 13 00:04:34,342 --> 00:04:38,346 花のお国は 元の木阿弥」。 14 00:04:38,346 --> 00:04:42,350 (とも)「桑山」とは 旦那様のことでございますか? 15 00:04:42,350 --> 00:04:45,353 落書きですか。 16 00:04:45,353 --> 00:04:49,357 ついに その時が来たと いうことでしょうね。 17 00:04:49,357 --> 00:04:54,729 御自分では お若いつもりでも お国の舵を取られるのは・ 18 00:04:54,729 --> 00:04:57,732 もう 御無理なお年なのです。 19 00:04:57,732 --> 00:04:59,901 消しなさい。 20 00:04:59,901 --> 00:05:03,905 (ちよ)旦那様が そのままに しておけと おっしゃいました。 21 00:05:03,905 --> 00:05:10,078 目を光らせて 落書きした者を 厳しく罰せねばならぬゆえ・ 22 00:05:10,078 --> 00:05:13,278 「そのままにしておけ」と 言ったのでしょう。 23 00:05:14,916 --> 00:05:17,919 <2年前 最後の政敵を退け・ 24 00:05:17,919 --> 00:05:22,090 首席家老となった 主人 桑山又左衛門には・ 25 00:05:22,090 --> 00:05:27,395 今や 異を唱える者は 一人もおりませぬ。・ 26 00:05:27,395 --> 00:05:31,332 けれど この日…> 27 00:05:31,332 --> 00:05:37,705 (和田)私は 桑山様のお考えには 賛同いたしかねます。 28 00:05:37,705 --> 00:05:43,044 「国を捨て 出奔した者は 死罪」。 それが御定法とはいえ・ 29 00:05:43,044 --> 00:05:46,347 高松先生の場合は…。 (堀田)黙らっしゃい!・ 30 00:05:46,347 --> 00:05:50,885 桑山様の御裁可に 異を唱えるなどとは 百年早い! 31 00:05:50,885 --> 00:05:55,356 しかし…。 (金井)私も和田殿と同じでござる。 32 00:05:55,356 --> 00:05:58,893 (又左衛門)「同じ」とは? 33 00:05:58,893 --> 00:06:03,898 高松先生の出奔は お家の将来を 憂えたがゆえでございます。・ 34 00:06:03,898 --> 00:06:07,902 御公儀は 数年前より 異国船に備え・ 35 00:06:07,902 --> 00:06:10,571 「番所と砲台を設けよ」と 命じてきておりました。・ 36 00:06:10,571 --> 00:06:13,374 しかるに 「財政の立て直しが大事」と・ 37 00:06:13,374 --> 00:06:16,911 御公儀のお達しを ないがしろにする我ら執政に・ 38 00:06:16,911 --> 00:06:19,911 先生は 望みを失うたのでございます。 39 00:06:21,916 --> 00:06:26,387 高松は 何か申し立て書きを記したか? 40 00:06:26,387 --> 00:06:31,326 莫大な借金に苦しむ お家が 少しでも楽になるよう・ 41 00:06:31,326 --> 00:06:34,326 何か知恵を出したか? 42 00:06:36,331 --> 00:06:38,700 財政立て直しの申し立て書きは・ 43 00:06:38,700 --> 00:06:41,336 家中より23件も寄せられた。 44 00:06:41,336 --> 00:06:46,040 どれも お家の事を思う気持ちにあふれ・ 45 00:06:46,040 --> 00:06:48,042 胸を打たれた。 46 00:06:48,042 --> 00:06:53,348 その中に 高松利之助の名前は 見なかった。 47 00:06:53,348 --> 00:06:56,718 高松先生は 藩校で 日々お家の…。 48 00:06:56,718 --> 00:06:59,354 不埒なことだ! 49 00:06:59,354 --> 00:07:02,724 火のつきやすい若者に 執政批判を吹き込み・ 50 00:07:02,724 --> 00:07:06,424 その者たちが熱に浮かされ 騒ぎを起こせば どうなる! 51 00:07:08,896 --> 00:07:11,899 御公儀に知られることになれば・ 52 00:07:11,899 --> 00:07:16,399 譜代とはいえ お家は 大きな咎めを受ける。 53 00:07:18,373 --> 00:07:22,373 (奥村)桑山様 評定は いかがあいなりましたか? 54 00:07:24,379 --> 00:07:28,379 斬れ! はっ。 55 00:07:34,689 --> 00:07:38,389 (友吉)旦那様の お戻りにございます。 56 00:07:41,329 --> 00:07:43,865 誰だ? 満江か? (藤蔵)いえ。・ 57 00:07:43,865 --> 00:07:48,336 女中には 消さぬよう 厳しく申しつけておきました。 58 00:07:48,336 --> 00:07:54,342 「桑山を伐らでそのままおくならば 花のお国は 元の木阿弥」。 59 00:07:54,342 --> 00:07:57,044 これにはな 元の歌がある。 60 00:07:57,044 --> 00:07:59,714 狂歌だ。 五代将軍 綱吉公の…・ 61 00:07:59,714 --> 00:08:02,350 あ~! 綱吉公の御代に・ 62 00:08:02,350 --> 00:08:07,355 「荻原を伐らでそのままおくならば 花のお江戸は 元の武蔵野」。 63 00:08:07,355 --> 00:08:10,057 かような狂歌が 世に流れたことがある。 64 00:08:10,057 --> 00:08:14,061 「荻原」とは 時の勘定奉行 荻原重秀のことだ。 65 00:08:14,061 --> 00:08:18,366 大きな仕事を成し遂げたが 後に失脚した男だ。 66 00:08:18,366 --> 00:08:20,902 帯! 67 00:08:20,902 --> 00:08:24,071 元の狂歌をなぞって 荻原を 桑山と掛ける男は・ 68 00:08:24,071 --> 00:08:27,074 そこらの町人ではない。 たしなみのある武士だ。 69 00:08:27,074 --> 00:08:30,474 立派な お家流の字を書く男だ。 70 00:08:32,313 --> 00:08:35,316 大目付に 探索をさせるところを 邪魔しおって。 71 00:08:35,316 --> 00:08:37,518 「消すな」と 言っておいたろうに! 72 00:08:37,518 --> 00:08:42,690 桑山又左衛門ともあろう お方が 落書きごときに・ 73 00:08:42,690 --> 00:08:48,329 お気持ちを乱すとは 年を取った証拠でございますね。 74 00:08:48,329 --> 00:08:52,333 何を言う。 何をうれしそうに ものを言っておるのだ。 75 00:08:52,333 --> 00:09:01,042 やっと… 夫婦らしい暮らしが できますもの。 76 00:09:01,042 --> 00:09:04,345 総領の孫一郎が亡くなった時も・ 77 00:09:04,345 --> 00:09:07,345 お仕事で 家にいなかったのですから。 78 00:09:09,350 --> 00:09:13,350 (雨音) 79 00:09:20,361 --> 00:09:24,065 あのころから ず~っと・ 80 00:09:24,065 --> 00:09:28,903 小さな家で お互いの顔を見つめ合いながら・ 81 00:09:28,903 --> 00:09:33,841 静かに ゆっくりと暮らしたいと 思い続けていたのです。 82 00:09:33,841 --> 00:09:40,841 やっと その時が 来たようでございますね。 83 00:09:43,317 --> 00:09:46,317 たわけたことを…。 84 00:09:48,322 --> 00:09:53,327 <ふき殿は 桑山の昔の女でございます。・ 85 00:09:53,327 --> 00:09:56,030 年は 桑山より2つ…・ 86 00:09:56,030 --> 00:09:59,333 いえ 確か 3つ上と 聞いたことがございます。・ 87 00:09:59,333 --> 00:10:04,333 もちろん 今は 夫とは他人でございます> 88 00:10:07,341 --> 00:10:10,344 (ゆき)おいでなさりませ。 89 00:10:10,344 --> 00:10:13,844 いつものお部屋で よろしゅうございます…。 90 00:10:16,350 --> 00:10:20,350 (水琴窟の音) 91 00:10:29,363 --> 00:10:32,300 (ふき)しつこいお客様が いるんです。 92 00:10:32,300 --> 00:10:35,303 傘がないとおっしゃるので 傘を貸したら・ 93 00:10:35,303 --> 00:10:38,839 また すぐに その傘を 返しに戻ってらして。 94 00:10:38,839 --> 00:10:42,310 惚れられるのは 悪い気はせんであろう。 95 00:10:42,310 --> 00:10:45,310 いいえ もう沢山。 96 00:10:48,316 --> 00:10:51,319 お辞めになっては いけませんよ。 97 00:10:51,319 --> 00:10:53,321 「辞める」…? 98 00:10:53,321 --> 00:10:56,324 今日 お城で 一騒動 あったそうでございますね。 99 00:10:56,324 --> 00:10:59,824 もう 噂になっておるのか? ええ。 100 00:11:01,862 --> 00:11:05,032 わしが辞めるという話に なっておるのか? 101 00:11:05,032 --> 00:11:09,232 ええ。 ふざけた話だ。 102 00:11:12,340 --> 00:11:14,709 たまには 剣術のお稽古をなさった方が・ 103 00:11:14,709 --> 00:11:16,711 よろしゅうございます。 104 00:11:16,711 --> 00:11:21,011 昔に比べて 随分 腕が細くなりましたよ。 105 00:11:22,883 --> 00:11:26,383 (雨音) 106 00:11:29,357 --> 00:11:45,373 ・~ 107 00:11:45,373 --> 00:11:49,377 わしを 舐めるな! 108 00:11:49,377 --> 00:11:53,377 必死に生きてきたのだ。 109 00:11:59,387 --> 00:12:05,393 <33年前の夫は 上村隼太と申しました> 110 00:12:05,393 --> 00:12:18,406 ・~ 111 00:12:18,406 --> 00:12:21,406 (鹿之助)まだ やってるのか。 112 00:12:23,411 --> 00:12:25,911 (市之丞)ヤッ! 113 00:12:28,416 --> 00:12:30,416 参った。 114 00:12:35,356 --> 00:12:38,856 (庄六)大丈夫か? 大丈夫だ。 115 00:12:42,897 --> 00:12:48,369 (平井)汚い手を使いおって。 野瀬 俺と勝負しろ! 116 00:12:48,369 --> 00:12:52,740 「汚い手」とは いかに 兄弟子とはいえ・ 117 00:12:52,740 --> 00:12:57,440 聞き捨てなりませぬな。 お受けいたしましょう。 118 00:12:59,380 --> 00:13:03,680 (一蔵)そうだ やれ。 俺が見届けてやる。 119 00:13:06,087 --> 00:13:09,757 <5人は 片貝道場の 仲間でございました。・ 120 00:13:09,757 --> 00:13:15,396 杉山鹿之助様 お一人が 1千石の大家の跡継ぎでした。・ 121 00:13:15,396 --> 00:13:19,400 あとは皆 下級武士の次三男で・ 122 00:13:19,400 --> 00:13:24,772 いずれは 婿入り先を探して 家を出ていかねばなりません> 123 00:13:24,772 --> 00:13:27,408 (風の音) 124 00:13:27,408 --> 00:13:29,408 ヤッ! 125 00:13:35,049 --> 00:13:37,049 ヤ~ッ! 126 00:13:40,354 --> 00:13:59,073 ・~ 127 00:13:59,073 --> 00:14:02,376 おい なぶり殺されるぞ。 128 00:14:02,376 --> 00:14:04,378 一蔵! 129 00:14:04,378 --> 00:14:07,915 一蔵 分けろ。 中根さん もういいでしょう。 130 00:14:07,915 --> 00:14:10,415 まだ 終わってない。 131 00:14:14,922 --> 00:14:16,922 ヤ~ッ! 132 00:14:19,927 --> 00:14:21,929 やった! 133 00:14:21,929 --> 00:14:26,729 やった! 平井さん 肋が折れましたか? 134 00:14:35,342 --> 00:14:39,346 (中根)野瀬! もう一試合できるか? 135 00:14:39,346 --> 00:14:43,350 中根さん。 野瀬は 精根尽き果てています。 136 00:14:43,350 --> 00:14:46,353 どうしてもと言うなら 私が お相手しましょう。 137 00:14:46,353 --> 00:14:48,353 野瀬! 138 00:14:56,363 --> 00:14:59,366 平井さんを 骨接ぎに。 139 00:14:59,366 --> 00:15:02,866 いけません。 駄目です 中根さん! 140 00:15:04,905 --> 00:15:07,405 分かった。 141 00:15:20,387 --> 00:15:24,091 や~! 142 00:15:24,091 --> 00:15:27,791 や~! ほう~! 143 00:15:35,336 --> 00:15:39,340 庄六! 先行くぞ~。 144 00:15:39,340 --> 00:15:41,876 遅いぞ。 145 00:15:41,876 --> 00:15:59,360 ・~ 146 00:15:59,360 --> 00:16:03,364 (笑い声) 147 00:16:03,364 --> 00:16:11,372 ・~ 148 00:16:11,372 --> 00:16:16,377 一蔵 婿入り話があったろう。 その後 どうなった? 149 00:16:16,377 --> 00:16:20,915 えっ!? そんな話があったのか。 俺は聞いてなかったぞ。 150 00:16:20,915 --> 00:16:25,920 高は50石。 娘は美人だ。 悪い冗談は よせ。 151 00:16:25,920 --> 00:16:29,420 そうだ つまらん冗談だ。 152 00:16:36,330 --> 00:16:41,330 <これが 私の父 桑山孫助でございました> 153 00:17:01,355 --> 00:17:05,359 今のは誰だ? 郡奉行の桑山殿だ。 154 00:17:05,359 --> 00:17:09,363 ああ あの人が 千三百町歩の新田を開いた人か。 155 00:17:09,363 --> 00:17:13,367 荒れた原野に水を引いて 広大な稲田に変えたのだ。 156 00:17:13,367 --> 00:17:17,371 桑山殿は 近く 郡代に 進むかもしれないという噂だ。 157 00:17:17,371 --> 00:17:19,740 噂だがな。 ほう。 158 00:17:19,740 --> 00:17:23,377 郡代とは 確か 執政と政を論ずるほどの地位だぞ。 159 00:17:23,377 --> 00:17:27,381 桑山の家は 180石。 近頃では 稀に見る抜擢だな。 160 00:17:27,381 --> 00:17:29,683 「180石」か。 悪くないな。 161 00:17:29,683 --> 00:17:32,686 俺んちは 130石だから 一人娘でもいれば・ 162 00:17:32,686 --> 00:17:36,857 婿の口としては 申し分ない。 「一人娘」じゃないが・ 163 00:17:36,857 --> 00:17:41,328 桑山の家は 娘が2人だけで 姉に婿を取るのだ。 164 00:17:41,328 --> 00:17:49,336 ただし 近所の評判じゃ 姉妹そろって 醜女だそうだ。 165 00:17:49,336 --> 00:17:51,338 (笑い声) 166 00:17:51,338 --> 00:17:56,343 「醜女」だってよ。 しかし 俺なら いくら 娘が美人でも・ 167 00:17:56,343 --> 00:17:59,880 桑山の顔を見ただけで 婿に行く気はしないね。 168 00:17:59,880 --> 00:18:04,351 杉山は跡取りで 間違っても婿に行かないから・ 169 00:18:04,351 --> 00:18:07,354 気楽に そう言えんだ。 こっちは 必死だ。 170 00:18:07,354 --> 00:18:09,354 なあ? うん。 171 00:18:11,892 --> 00:18:14,892 あ… 俺は ちょっと…。 172 00:18:16,897 --> 00:18:19,366 今日は ここで…。 173 00:18:19,366 --> 00:18:23,904 楢岡様には よろしく申し上げてくれ。 174 00:18:23,904 --> 00:18:27,374 おい。 …おい。 175 00:18:27,374 --> 00:18:30,844 奴は 一体 どうしたんだ? 176 00:18:30,844 --> 00:18:34,848 一蔵は 降りたんだよ。 「降りた」…? 177 00:18:34,848 --> 00:18:40,854 そうか… クソ! やっぱり 婿入り話があるのではないか。 178 00:18:40,854 --> 00:18:44,854 今日の千加殿の菓子は 何かな? 179 00:18:51,331 --> 00:18:54,334 どうぞ ごゆっくり。 180 00:18:54,334 --> 00:19:06,346 ・~ 181 00:19:06,346 --> 00:19:11,351 (楢岡)わしの話を 聞きたいというのはダシで・ 182 00:19:11,351 --> 00:19:14,351 目当ては 千加か。 183 00:19:16,356 --> 00:19:19,893 我々は 前の執政で お家を動かした…。 184 00:19:19,893 --> 00:19:24,898 失脚したのだから さほどでもないが。 185 00:19:24,898 --> 00:19:30,838 いえ 私の父と叔父御の2人で 「正しき政」を進めたことは・ 186 00:19:30,838 --> 00:19:33,507 誰でも知っております。・ 187 00:19:33,507 --> 00:19:36,510 我々は そのお方の お話を承りたく・ 188 00:19:36,510 --> 00:19:40,681 お邪魔しておるのです。 あとで お茶を馳走になるのは・ 189 00:19:40,681 --> 00:19:44,017 お話を伺う お礼として 千加殿のお点前の・ 190 00:19:44,017 --> 00:19:47,917 稽古相手を 務めてさしあげようという訳で。 191 00:19:55,329 --> 00:20:01,869 (楢岡)この百年で 我が藩は 大きな開墾を 三度成し遂げ・ 192 00:20:01,869 --> 00:20:09,042 1万町歩の新田を作り出しておる。 いや これは 大きいぞ。 193 00:20:09,042 --> 00:20:13,347 お家の表高 12万5千石が・ 194 00:20:13,347 --> 00:20:17,885 実高は 17万~18万石と 言われるのじゃ。 195 00:20:17,885 --> 00:20:23,891 さて そこでだ。 それだけ せっせと新田を開いて・ 196 00:20:23,891 --> 00:20:27,361 皆の暮らしが 楽になったかというと・ 197 00:20:27,361 --> 00:20:30,831 これが ちっとも楽ではない。 198 00:20:30,831 --> 00:20:33,834 鹿之助の家は ともかく・ 199 00:20:33,834 --> 00:20:39,134 他は 上村にしろ 三矢にしろ 大弱りではないかの? 200 00:20:44,311 --> 00:20:47,314 まことに そのとおりです。 201 00:20:47,314 --> 00:20:51,318 禄高を 2割も減らされ 内職をせねば やっていけません。 202 00:20:51,318 --> 00:20:55,322 それは お家が抱えた莫大な借金を 返さねばならんからだ。 203 00:20:55,322 --> 00:20:57,691 なぜ 借金をしたのだ? 204 00:20:57,691 --> 00:21:01,028 50年に2度の大凶作と 相次ぐ 普請役のせいだ。 205 00:21:01,028 --> 00:21:03,530 そ… そうだ。 御公儀より仰せつかった普請役だ。 206 00:21:03,530 --> 00:21:05,866 普請役を果たすため 借金をしたのだ。 207 00:21:05,866 --> 00:21:08,869 例えば? 例え… う…。 208 00:21:08,869 --> 00:21:12,339 天和元年に 2万8千両。 209 00:21:12,339 --> 00:21:15,042 上野の御霊廟 普請お手伝いの 費用です。 210 00:21:15,042 --> 00:21:19,713 宝永4年は 2万両。 東海道 街道修復の掛かりです。 211 00:21:19,713 --> 00:21:24,885 これが 皆 借金のもとです。 うん よく勉強しておる。 212 00:21:24,885 --> 00:21:30,891 最後の大きな借金が 35年前の 日光東照宮様の修理お手伝いです。 213 00:21:30,891 --> 00:21:35,891 費用は なんと 4万8, 500両となりました。 214 00:21:38,365 --> 00:22:01,388 ・~ 215 00:22:01,388 --> 00:22:04,391 今日は 寺田様は? 216 00:22:04,391 --> 00:22:07,928 一蔵は 千加殿を諦めました。 217 00:22:07,928 --> 00:22:10,397 バカなことを言うな。 218 00:22:10,397 --> 00:22:14,401 そうだ 市之丞。 俺たちは 楢岡様のお話を聞きに来てるのだ。 219 00:22:14,401 --> 00:22:19,406 そうか。 俺は 千加殿の茶の方が 楽しみだがな。 220 00:22:19,406 --> 00:22:21,942 市之丞は 正直だ。 221 00:22:21,942 --> 00:22:25,946 父の話は 皆様のために なるのでございますか? 222 00:22:25,946 --> 00:22:28,949 それは もちろん。 223 00:22:28,949 --> 00:22:32,886 実を言うと 私は いつか 親父の跡を継いで・ 224 00:22:32,886 --> 00:22:36,890 執政職を務めてみたいと 思っているのです。 225 00:22:36,890 --> 00:22:40,360 執政でございますか? 226 00:22:40,360 --> 00:22:44,364 失脚した父親が みじめで 哀れでしたから。 227 00:22:44,364 --> 00:22:48,368 ええ 父もそうでした。 228 00:22:48,368 --> 00:22:53,868 役を降りた その日から 一人のお客様も来なくなりました。 229 00:22:56,076 --> 00:22:59,913 しかし 借金漬けでは 家老になったからといって・ 230 00:22:59,913 --> 00:23:02,916 先行き 何の楽しみもなかろう。 231 00:23:02,916 --> 00:23:05,919 借金のやりくりも 立派な政だ。 232 00:23:05,919 --> 00:23:08,922 借金を なくしてみせようぞ。 どうやる? 233 00:23:08,922 --> 00:23:12,926 まあ それは これからのことだ。 必ず策はある。 234 00:23:12,926 --> 00:23:16,926 ごまかすな。 どんな策だよ。 そうだ。 答えろ 鹿之助! 235 00:23:30,344 --> 00:23:34,344 (わめき声) 236 00:23:36,350 --> 00:23:39,353 おい 庄六。 もうやめろ。 237 00:23:39,353 --> 00:23:43,357 こんな所で 内職をするな。 238 00:23:43,357 --> 00:23:45,892 気にするな。 239 00:23:45,892 --> 00:23:48,895 歩だけか。 お前の書くのは。 240 00:23:48,895 --> 00:23:51,898 この字が 一番うまいのだ。 241 00:23:51,898 --> 00:23:54,368 お前は 「と金」にはなれない歩だな。 242 00:23:54,368 --> 00:23:56,668 そんなこと 分からん。 243 00:24:04,378 --> 00:24:07,381 おい 隼太。 からむな。 244 00:24:07,381 --> 00:24:10,384 終わった。 明日が 納めの日なのだ。 245 00:24:10,384 --> 00:24:13,387 触るなよ。 俺は もうやめた。 246 00:24:13,387 --> 00:24:16,089 俺は もう ああいう 恥ずかしいことは やらん。 247 00:24:16,089 --> 00:24:18,091 「恥ずかしいこと」って 何だ? 248 00:24:18,091 --> 00:24:21,395 鹿之助の尻にくっついて 楢岡の屋敷を訪ねることさ。 249 00:24:21,395 --> 00:24:24,398 あわよくば 650石。 大家の婿にという・ 250 00:24:24,398 --> 00:24:27,401 貴様らの卑しい根性が見え透いて 実にたまらん。 251 00:24:27,401 --> 00:24:30,337 さもしい! おい 声がでかいぞ。 252 00:24:30,337 --> 00:24:35,876 うるさい! かなわぬ夢を見るのも 若者の若者たるゆえんではないか。 253 00:24:35,876 --> 00:24:38,879 俺が 楢岡の千加殿の婿になる!・ 254 00:24:38,879 --> 00:24:41,879 30石の俺が 「と金」になって どこが悪い! 255 00:24:45,352 --> 00:24:49,055 酒だ! 酒 持ってこい! 256 00:24:49,055 --> 00:24:52,893 (女)酒は もう ありませんよ! 何を!・ 257 00:24:52,893 --> 00:24:56,393 酒が… 何で ないんだ! 258 00:24:58,365 --> 00:25:01,368 お前 もう飲むな。 お前こそ。 259 00:25:01,368 --> 00:25:04,371 飲むと腫れるぞ。 痛い! バカ者! 260 00:25:04,371 --> 00:25:07,374 それにしても 平井。 いい気味だ。 261 00:25:07,374 --> 00:25:09,376 (爆笑) 262 00:25:09,376 --> 00:25:13,376 (女)いらっしゃいませ。 お… 誰だろう。 263 00:25:21,388 --> 00:25:25,392 叔父上! …叔父さん。 264 00:25:25,392 --> 00:25:29,396 離せ! 何だい! お… 一蔵。 265 00:25:29,396 --> 00:25:33,333 行くぞ。 わしは… 死にたい。 266 00:25:33,333 --> 00:25:36,703 (泣き笑い) 267 00:25:36,703 --> 00:25:41,341 (一蔵)おい いくらだ? (女)60文でございます。 268 00:25:41,341 --> 00:25:44,344 ほら…。 269 00:25:44,344 --> 00:25:50,350 婿にと望まれたこともない訳では なかった。 しかし…。 270 00:25:50,350 --> 00:25:55,055 分かった。 分かった。 もう 離せ! 271 00:25:55,055 --> 00:25:58,358 話は 家でゆっくり聞くから…。 272 00:25:58,358 --> 00:26:02,362 分かっとらん! お前は 何も分かっとらん。 273 00:26:02,362 --> 00:26:06,900 一蔵 一蔵。 一緒に飲もう。 274 00:26:06,900 --> 00:26:10,904 そうだ。 しかし 勘定は お前の分は お前が払え。 275 00:26:10,904 --> 00:26:14,908 ほら。 痛い 痛い…! 276 00:26:14,908 --> 00:26:19,913 痛い。 …どこへ行くんだ? バカ者! 277 00:26:19,913 --> 00:26:23,083 刀! え? 刀!? 278 00:26:23,083 --> 00:26:27,254 (あざ笑う声) 279 00:26:27,254 --> 00:26:31,454 無礼者! うるさい! 静かに! 280 00:26:33,860 --> 00:26:36,863 (女)毎度あり~! 281 00:26:36,863 --> 00:26:39,332 あれは 厄介叔父だな。 282 00:26:39,332 --> 00:26:43,336 婿入りの先がなく あの年で あのザマだ。 283 00:26:43,336 --> 00:26:46,339 ああは なりたくない。 284 00:26:46,339 --> 00:26:50,877 一蔵は必死なのだ。 身近に 厄介叔父がいるからな。 285 00:26:50,877 --> 00:26:53,713 だから あらまし縁談が決まると きっぱりと・ 286 00:26:53,713 --> 00:26:56,883 千加殿を諦めるべきだと 決心したんだ。 287 00:26:56,883 --> 00:26:59,883 夢を捨てたのだ。 288 00:27:04,357 --> 00:27:08,361 禰宜町に 宮坂という家があるが 知っているか? 289 00:27:08,361 --> 00:27:11,231 宮坂…? 290 00:27:11,231 --> 00:27:14,367 一蔵の話が 決まりかけてるのは その家だ。 291 00:27:14,367 --> 00:27:19,739 勘定方で 50石だ。 一蔵の家は 82石だから・ 292 00:27:19,739 --> 00:27:22,909 まあ 婿としては いいところだ。 293 00:27:22,909 --> 00:27:27,380 ただ 相手が 一蔵より5つも年上で・ 294 00:27:27,380 --> 00:27:30,684 しかも もう 2人出ているんだ。 295 00:27:30,684 --> 00:27:34,688 「出ている」ってなんだよ。 婿だよ。 296 00:27:34,688 --> 00:27:38,325 務まらなくて 2人 離縁になった。 297 00:27:38,325 --> 00:27:42,329 しかも その前に 初めの亭主が死んでいるから・ 298 00:27:42,329 --> 00:27:49,202 一蔵は 4人目だ。 ふ~ん。 よりによってな。 299 00:27:49,202 --> 00:27:53,873 しかし 宮坂の後家は 27の大年増だが・ 300 00:27:53,873 --> 00:27:56,876 めっぽう 色っぽい女だそうだ。 301 00:27:56,876 --> 00:27:59,346 色っぽいのか? ああ…。 302 00:27:59,346 --> 00:28:02,716 だから 一蔵にだって 楽しみがない訳じゃない。 303 00:28:02,716 --> 00:28:05,885 分からんよ。 年上女房に かわいがられて・ 304 00:28:05,885 --> 00:28:10,185 いい夫婦になるかも しれんからな。 305 00:28:22,902 --> 00:28:25,902 (刃が空を切る音) 306 00:28:29,376 --> 00:28:34,314 何の真似です? いや…。 307 00:28:34,314 --> 00:28:39,019 お酔いに なっているのですか? 308 00:28:39,019 --> 00:28:43,323 しかし 危ないでしょう。 309 00:28:43,323 --> 00:28:47,327 その刀 預かりましょう。 310 00:28:47,327 --> 00:28:52,866 辰之助さん。 そうなさいまし。 311 00:28:52,866 --> 00:29:00,040 <この女が 話に出たばかりの 宮坂の後家だと気づきました。・ 312 00:29:00,040 --> 00:29:04,344 濃い化粧の香りがいたしました> 313 00:29:04,344 --> 00:29:09,349 (類)その危ない物をしまわないと お話もできないじゃ…。 314 00:29:09,349 --> 00:29:12,349 (叫び声) 315 00:29:20,360 --> 00:29:22,360 あ~っ。 316 00:29:26,366 --> 00:29:29,369 下げ緒で きっちり結わえて下さい。 317 00:29:29,369 --> 00:29:32,305 分かりました。 318 00:29:32,305 --> 00:29:35,842 このあと この人 どうしますか? 319 00:29:35,842 --> 00:29:50,323 ・~ 320 00:29:50,323 --> 00:29:53,860 いや 御造作をかけて 痛み入る。 321 00:29:53,860 --> 00:29:55,862 行くか。 322 00:29:55,862 --> 00:30:06,873 ・~ 323 00:30:06,873 --> 00:30:11,878 あ~ さぞ びっくりなさったでしょうね。 324 00:30:11,878 --> 00:30:15,882 ええ… むろん。 325 00:30:15,882 --> 00:30:20,353 ごめんなさいね。 ほんとに 御厄介をおかけしまして。 326 00:30:20,353 --> 00:30:23,890 さっきの男は 何者ですか? 327 00:30:23,890 --> 00:30:28,895 刀を振り回した人? ええ そうです。 328 00:30:28,895 --> 00:30:32,298 離縁した 元の亭主ですよ。 329 00:30:32,298 --> 00:30:36,836 時々 ああして訪ねてくるんで 困ってるんです。 330 00:30:36,836 --> 00:30:42,308 でも 刀なんか抜いたのは 初めてですけれど。 331 00:30:42,308 --> 00:30:47,308 意気地なしで 人なんか 斬れるはずがないのに。 332 00:30:51,317 --> 00:30:55,321 失礼ですが あなた様は どちらの? 333 00:30:55,321 --> 00:30:58,324 藤井町の 上村の者です。 334 00:30:58,324 --> 00:31:01,324 上村様の…? 335 00:31:05,331 --> 00:31:09,335 今夜のことですけれど 上村様…・ 336 00:31:09,335 --> 00:31:14,874 よそには どうぞ 御内聞に願えませんかしら? 337 00:31:14,874 --> 00:31:17,874 むろんです。 338 00:31:21,047 --> 00:31:26,447 誰にも言いません。 失礼します。 339 00:31:28,354 --> 00:31:48,354 ・~ 340 00:32:05,391 --> 00:32:09,891 ふき…。 開けろ ふき。 341 00:32:32,352 --> 00:32:35,889 今夜のことですけれど・ 342 00:32:35,889 --> 00:32:41,361 よそには どうぞ 御内聞に願えませんかしら? 343 00:32:41,361 --> 00:32:46,366 あれが 一蔵の相手…。 344 00:32:46,366 --> 00:32:49,866 いいのか あれで。 345 00:32:51,905 --> 00:32:55,909 (ふき)旦那様 随分遅くまで お待ちになられてたんですよ。 346 00:32:55,909 --> 00:32:58,912 兄上が? 何の用だ? 347 00:32:58,912 --> 00:33:02,081 隼太様の 御縁談のお話じゃないんですか。 348 00:33:02,081 --> 00:33:05,481 縁談? 俺の? 349 00:33:12,392 --> 00:33:15,094 うれしくないんですか? 350 00:33:15,094 --> 00:33:18,932 婿の口がかかって うれしくない奴がいるか。 351 00:33:18,932 --> 00:33:22,769 でも 婿も嫁も 行ってみれば分かりますが・ 352 00:33:22,769 --> 00:33:25,405 決して楽なものじゃ ないですからね。 353 00:33:25,405 --> 00:33:29,876 そうだな。 お前は たった1年で戻ってきたからな。 354 00:33:29,876 --> 00:33:33,880 1年じゃありません。 「1年半」辛抱したんです。 355 00:33:33,880 --> 00:33:36,883 おやすみなさいまし。 356 00:33:36,883 --> 00:33:50,363 ・~ 357 00:33:50,363 --> 00:33:53,363 ・(忠左衛門) また 酒を飲んできたのか! 358 00:33:55,902 --> 00:33:59,402 近頃 乃布に 小遣いを せびっているらしいな。 359 00:34:01,374 --> 00:34:04,911 悪所通いでも しているのか? 360 00:34:04,911 --> 00:34:09,916 もし 悪い評判でも立ったら 婿の口など なくなってしまうぞ。 361 00:34:09,916 --> 00:34:13,386 兄上。 私に 婿の口があるのですか? 362 00:34:13,386 --> 00:34:16,389 お前のような道楽者では・ 363 00:34:16,389 --> 00:34:19,389 相手様に 申し訳が立たぬ! 364 00:34:22,395 --> 00:34:26,399 (乃布)告げ口をしたのでは ありませんよ。 365 00:34:26,399 --> 00:34:29,399 いいお話ですよ。 366 00:34:35,875 --> 00:34:39,879 桑山孫助様の長女 満江様だそうです。 367 00:34:39,879 --> 00:34:42,882 「桑山孫助」…? 368 00:34:42,882 --> 00:34:45,885 郡奉行で 石高は180石。・ 369 00:34:45,885 --> 00:34:49,385 郡代に お上がりになるという噂も あるそうです。 370 00:34:51,357 --> 00:34:56,362 桑山の娘は 姉妹そろって 醜女だそうだ。 371 00:34:56,362 --> 00:34:59,899 「桑山家の娘は 醜女だ」と 聞いたぞ。 372 00:34:59,899 --> 00:35:03,899 隼太様。 贅沢は言えませんよ。 373 00:35:05,905 --> 00:35:07,905 黙れ! 374 00:35:16,916 --> 00:35:19,416 ヤア! 375 00:35:21,387 --> 00:35:23,887 おのれ! 376 00:35:27,393 --> 00:35:30,393 (一蔵)もう一本! ヤ~ッ! 377 00:35:37,870 --> 00:35:40,339 まだまだ! 378 00:35:40,339 --> 00:35:43,342 縁談が決まって 一蔵は うれしそうじゃないか! 379 00:35:43,342 --> 00:35:46,842 うん。 ああ… 張り切ってるな。 380 00:35:59,358 --> 00:36:01,358 おい! 381 00:36:03,362 --> 00:36:06,899 何をしてるのだ? 382 00:36:06,899 --> 00:36:10,399 気持ちの悪い奴だ。 383 00:36:12,371 --> 00:36:17,376 一蔵は… 今日は 元気がよかった。 384 00:36:17,376 --> 00:36:21,376 危ういところで 一本取られるところだった。 385 00:36:23,382 --> 00:36:28,087 実はな…。 うん… 何だ? 386 00:36:28,087 --> 00:36:35,328 いや… 俺にも 婿の口が かかった。 387 00:36:35,328 --> 00:36:37,330 へえ~。 388 00:36:37,330 --> 00:36:39,699 相手は どこだ? 389 00:36:39,699 --> 00:36:46,399 どこだと思う? 桑山だ。 桑山孫助。 390 00:36:48,341 --> 00:36:55,341 こいつは驚いた。 それで… お前 受けるのか? 391 00:36:57,884 --> 00:37:01,354 分からん。 392 00:37:01,354 --> 00:37:04,354 勝手にしろ。 俺は 帰る。 393 00:37:06,359 --> 00:37:11,364 一蔵の相手のことだが…。 なに? 394 00:37:11,364 --> 00:37:15,368 いや… ちょっと。 395 00:37:15,368 --> 00:37:18,070 一蔵の相手が どうした? 396 00:37:18,070 --> 00:37:21,374 宮坂の後家のことか? 397 00:37:21,374 --> 00:37:24,377 お前 一蔵に言うなよ。 398 00:37:24,377 --> 00:37:29,382 何を…? 何を言うなと 言うのだ? 399 00:37:29,382 --> 00:37:33,319 俺は 悩んでいるのだ。 悩む? 400 00:37:33,319 --> 00:37:36,319 宮坂の後家のことでか? 401 00:37:38,324 --> 00:37:42,324 早く言え。 もったいぶらずに 早く言え。 402 00:37:44,864 --> 00:37:47,864 見てしまったのだ。 403 00:37:50,336 --> 00:37:54,340 今夜のことですけれど 上村様…・ 404 00:37:54,340 --> 00:37:59,840 よそには どうぞ 御内聞に願えませんかしら? 405 00:38:01,547 --> 00:38:04,884 お前 なぜ それを一蔵に言わぬのだ? 406 00:38:04,884 --> 00:38:07,887 いや だから 一蔵も喜んでいるし。 ウソだな。 407 00:38:07,887 --> 00:38:10,890 お前は 心の中で 笑っているのだ。 408 00:38:10,890 --> 00:38:14,360 「笑っている」…!? そうだ。 409 00:38:14,360 --> 00:38:18,364 27の大年増の 身持ちの悪い女の家に婿に入る。 410 00:38:18,364 --> 00:38:22,368 それを喜んでいる一蔵を 笑っているのだ。 411 00:38:22,368 --> 00:38:26,868 そうなのだろう? 笑っているんだろう? 412 00:38:30,009 --> 00:38:36,015 隼太。 …隼太! 413 00:38:36,015 --> 00:38:39,018 一蔵に言うのか? 言う! 414 00:38:39,018 --> 00:38:42,321 よくも 卑怯者呼ばわりしたな。 俺は知らんぞ! 415 00:38:42,321 --> 00:38:45,858 正直に話して 一蔵が 宮坂の話を断っても 俺は知らん! 416 00:38:45,858 --> 00:38:49,328 俺だって知らん。 417 00:38:49,328 --> 00:38:52,331 一緒に来い! 俺はいい! 418 00:38:52,331 --> 00:38:54,331 来い! 断る! 419 00:39:17,723 --> 00:39:24,363 (一蔵の弟)兄さ。 類さんは きれいなお人でございますか? 420 00:39:24,363 --> 00:39:27,900 うん きれいなお人だ。 421 00:39:27,900 --> 00:39:32,305 よかったな 兄さ。 よかったな 兄さ。 422 00:39:32,305 --> 00:39:38,305 うん。 ほら 続けろ 続けろ。 はい。 423 00:39:40,313 --> 00:40:01,334 ・~ 424 00:40:01,334 --> 00:40:04,337 市之丞。 分かった。 425 00:40:04,337 --> 00:40:08,341 もう お前を 卑怯者呼ばわりはせん。 426 00:40:08,341 --> 00:40:11,341 俺を殴れ。 427 00:40:18,351 --> 00:40:21,354 俺も頼む。 428 00:40:21,354 --> 00:41:04,330 ・~ 429 00:41:04,330 --> 00:41:08,830 要するに 貧しいがゆえだ。 430 00:41:11,337 --> 00:41:13,337 ああ…。 431 00:41:18,344 --> 00:41:24,350 しかし… 俺は 一蔵のようにはならん。 432 00:41:24,350 --> 00:41:43,369 ・~ 433 00:41:43,369 --> 00:41:46,906 もしも あの時…・ 434 00:41:46,906 --> 00:41:51,911 一蔵に 類という女のことを 話していたなら…。 435 00:41:51,911 --> 00:42:14,934 ・~ 436 00:42:14,934 --> 00:42:18,404 一蔵! …一蔵! 437 00:42:18,404 --> 00:42:22,408 (一蔵の悲鳴) 438 00:42:22,408 --> 00:42:26,946 市之丞。 俺を 斬るのか!?・ 439 00:42:26,946 --> 00:42:32,351 俺を斬るのか!? うわ~! 440 00:42:32,351 --> 00:42:42,351 ・~ 441 00:43:04,383 --> 00:44:23,383 ・~ 442 00:49:06,378 --> 00:49:10,048 ・~ 443 00:49:10,048 --> 00:49:14,052 (満江)<私の夫 桑山又左衛門は・ 444 00:49:14,052 --> 00:49:17,389 首席家老を辞めて 隠居するとの噂が流れ・ 445 00:49:17,389 --> 00:49:22,394 その若き日に 思いをはせるのでございます> 446 00:49:22,394 --> 00:49:41,413 ・~ 447 00:49:41,413 --> 00:49:45,417 (小鳥のさえずり) 448 00:49:45,417 --> 00:49:49,755 <それは 肌寒い 初夏の明け方でした> 449 00:49:49,755 --> 00:49:55,928 ・(せきこみ) 450 00:49:55,928 --> 00:49:59,528 ・(又左衛門)よいか? はい。 451 00:50:09,041 --> 00:50:14,212 うん… 少し熱があるな。 452 00:50:14,212 --> 00:50:16,412 は…? 453 00:50:18,050 --> 00:50:23,889 <夫は 53歳になりましたが 私の体を案じることなど・ 454 00:50:23,889 --> 00:50:28,489 ここ十数年来 ただの一度も ございませんでした> 455 00:50:31,396 --> 00:50:36,401 <藤井庄六様は 夫の若い頃からの 友でございます。・ 456 00:50:36,401 --> 00:50:39,237 普請組の20石。・ 457 00:50:39,237 --> 00:50:43,575 足軽並みの つましい暮らしをしておいでで> 458 00:50:43,575 --> 00:50:46,745 (庄六)よう! (幾江)お越しなさりませ。 459 00:50:46,745 --> 00:50:50,415 御無沙汰いたした。 相変わらず お若いの。 460 00:50:50,415 --> 00:50:52,415 (笑い声) 461 00:50:54,753 --> 00:51:00,592 1本 9文だぞ。 たった 9文だ。 462 00:51:00,592 --> 00:51:06,365 苦労をかけるな。 すまん。 今に始まったことではない。 463 00:51:06,365 --> 00:51:12,871 将棋の駒の方が 割がよいのだが どうも 目がいけない。 464 00:51:12,871 --> 00:51:18,877 わしもだ。 ハハハ…。 で 今日は? 465 00:51:18,877 --> 00:51:23,382 まあ… ふと お主の顔が 見たくなってな。 466 00:51:23,382 --> 00:51:27,552 はは~ 噂は本当だったのか? 467 00:51:27,552 --> 00:51:31,752 (幾江)何もございませぬが…。 かたじけない。 468 00:51:33,392 --> 00:51:38,892 噂とは? お主が 首席家老を辞めるという噂だ。 469 00:51:41,733 --> 00:51:45,904 気弱になるな。 噂をまいて・ 470 00:51:45,904 --> 00:51:50,075 お主を隠居させようとする 輩がいるのだ。 471 00:51:50,075 --> 00:51:54,746 負けるでないぞ。 40そこそこの若造には・ 472 00:51:54,746 --> 00:51:59,918 このお家の舵取りは無理だ。 ここでは ないのだ。 473 00:51:59,918 --> 00:52:04,856 ここだ。 男の度量だ 政というものは。 474 00:52:04,856 --> 00:52:09,361 今日は よくしゃべる。 はい。 うれしいのでございます。 475 00:52:09,361 --> 00:52:17,035 何だ。 男は 50を過ぎてからだ。 名利のむなしさを知り・ 476 00:52:17,035 --> 00:52:21,540 命のむなしさも知る。 ほんのちょっとだが・ 477 00:52:21,540 --> 00:52:24,376 覚悟というものが出来る。 478 00:52:24,376 --> 00:52:31,216 欲にかられている40代では 政は まだまだだ。 479 00:52:31,216 --> 00:52:36,054 又左… 不景気を なんとかしろ。 480 00:52:36,054 --> 00:52:38,723 (笑い声) 481 00:52:38,723 --> 00:52:41,923 さあ 食え。 ああ。 482 00:52:43,562 --> 00:52:48,400 <夫は 青年の頃の庄六様を 思い出しておりました。・ 483 00:52:48,400 --> 00:52:52,500 まだ 夢を見ることが 許された時代でございます> 484 00:52:54,739 --> 00:52:57,439 ヤア~! 485 00:53:00,078 --> 00:53:03,478 (打ち合う音) 486 00:53:06,852 --> 00:53:08,852 ヤア~! 487 00:53:11,356 --> 00:53:14,860 (中根)野瀬。 三矢は 一体どうしたのだ? 488 00:53:14,860 --> 00:53:19,364 (市之丞)さあ… 腹の立つことばかりですから。 489 00:53:19,364 --> 00:53:23,201 ヤ~ッ! ヤ~ッ! 490 00:53:23,201 --> 00:53:25,704 (鹿之助)参った! まだまだ~! 491 00:53:25,704 --> 00:53:29,708 (打ち合う音) 492 00:53:29,708 --> 00:53:34,045 (隼太)庄六! ヤ~ッ! 493 00:53:34,045 --> 00:53:38,245 三矢 参ったと言っているのだぞ! よいのです。 494 00:53:39,885 --> 00:53:44,556 庄六 今日は 強かったな。 495 00:53:44,556 --> 00:53:50,395 最後ぐらい お前に勝ちたかったのだ。 496 00:53:50,395 --> 00:53:53,398 後で イヤというほど飲もう。 497 00:53:53,398 --> 00:53:56,401 (掛け声) 498 00:53:56,401 --> 00:54:02,407 最後とは 何だ? 鹿之助は杉山家の家を継ぐそうだ。 499 00:54:02,407 --> 00:54:05,343 家を継ぐのか? そうだ。 500 00:54:05,343 --> 00:54:08,443 「皆と 別れの宴をもちたい」と 言っている。 501 00:54:12,684 --> 00:54:14,684 (ウグイスの鳴き声) 502 00:54:18,690 --> 00:54:20,692 (市之丞)不景気だというが・ 503 00:54:20,692 --> 00:54:23,361 あるところには 金はあるらしい…。 504 00:54:23,361 --> 00:54:25,697 我々の家に ないだけか…。 505 00:54:25,697 --> 00:54:31,397 そうだ。 一蔵のように 早く 婿の口を探さねばならん。 506 00:54:33,371 --> 00:54:37,375 そうだな。 どうだ うまくいってるか? 507 00:54:37,375 --> 00:54:46,051 (類)今夜のことですけれど どうぞ 御内聞に願えませんかしら? 508 00:54:46,051 --> 00:54:50,222 久しぶりに 一蔵に会って 肌のつやがいいんで驚いたよ。・ 509 00:54:50,222 --> 00:54:53,391 年上女房に かわいがられてるんだ。 510 00:54:53,391 --> 00:54:58,063 (一蔵)いや いや いや…。 前に比べて 随分落ち着いたな。 511 00:54:58,063 --> 00:55:02,734 そうか? そりゃ 一蔵は 自分の所を得たからだ。 512 00:55:02,734 --> 00:55:06,171 家があって 女房がいる。 50石の家を保っていくための・ 513 00:55:06,171 --> 00:55:10,842 お城勤めがある。 そうなれば 変わらざるをえんだろう。 514 00:55:10,842 --> 00:55:14,012 なあ 一蔵。 まあ 変わるな。 515 00:55:14,012 --> 00:55:17,349 ところで 去年の桑山との縁談は どうなったのだ? 516 00:55:17,349 --> 00:55:20,185 ああ いつの間にか 話が消えてしまった。 517 00:55:20,185 --> 00:55:23,021 桑山? 例の桑山か? 518 00:55:23,021 --> 00:55:27,025 例の桑山って何だ? 頑固で偏屈で 有名だ。 519 00:55:27,025 --> 00:55:31,863 そうか。 その上 娘は 評判の醜女だぞ。 520 00:55:31,863 --> 00:55:34,366 隼太は まだ 胸の中で 楢岡の・ 521 00:55:34,366 --> 00:55:36,534 千加殿を崇め まつっているのだ。 522 00:55:36,534 --> 00:55:40,872 千加殿? 何を言っておるのだ。 隠すな。 523 00:55:40,872 --> 00:55:45,877 それは お前だろう。 皆 そうではないのか? 524 00:55:45,877 --> 00:55:50,177 俺は いち早く諦めたが。 俺も 今日 諦めた。 525 00:55:52,384 --> 00:55:56,721 鹿之助は ここで 相続の話を するだけではあるまい。 526 00:55:56,721 --> 00:56:01,726 千加殿の話か? (庄六)多分な。 俺の勘に狂いはないと思う。 527 00:56:01,726 --> 00:56:05,997 そうだとしたら 俺は許さん。 俺も 許さん。 528 00:56:05,997 --> 00:56:09,334 (女)お見えになりました。 529 00:56:09,334 --> 00:56:14,172 遅くなった。 楢岡の屋敷に 寄ったら 引き止められてな。 530 00:56:14,172 --> 00:56:18,672 そう改まらんでくれ。 ほら…。 531 00:56:21,346 --> 00:56:25,684 実は 今度 家を継ぐことになった。 532 00:56:25,684 --> 00:56:29,187 いよいよ 1千石の当主という訳か。 533 00:56:29,187 --> 00:56:33,858 1千石といっても 無役の御用なしの千石だが…。 534 00:56:33,858 --> 00:56:40,699 すると 道場は 今日で終わりか? そうだ。 随分 世話になったが・ 535 00:56:40,699 --> 00:56:44,536 皆とも お別れなので さびしい。 いたらない俺を・ 536 00:56:44,536 --> 00:56:49,708 よく引き回してくれた。 剣の方は さっぱり伸びなかったが・ 537 00:56:49,708 --> 00:56:54,379 皆とのつきあいは 忘れぬ。 538 00:56:54,379 --> 00:56:59,217 杉山の門出を励まそう。 しこたま飲もう。 539 00:56:59,217 --> 00:57:02,387 飲んでくれ。 540 00:57:02,387 --> 00:57:09,160 ほら… 庄六 飲め。 541 00:57:09,160 --> 00:57:14,332 鹿之助。 今日は相続の話だけか? 542 00:57:14,332 --> 00:57:20,505 そのことか? 楢岡の千加殿を 嫁にすることが決まった。 543 00:57:20,505 --> 00:57:23,505 祝言は 秋だ。 544 00:57:26,010 --> 00:57:29,013 おう…。 545 00:57:29,013 --> 00:57:34,686 <鹿之助様は 先に 駕籠でお帰りになりましたが…> 546 00:57:34,686 --> 00:57:39,023 ああも さわやかに言われては 怒ることもできんだろう。 547 00:57:39,023 --> 00:57:42,861 しかし やられた。 鹿之助は 杉山の総領で・ 548 00:57:42,861 --> 00:57:46,865 千加殿は 楢岡の一人娘だ。 あの縁組みはないと思ったが。 549 00:57:46,865 --> 00:57:52,370 千加殿は 誰に対しても 分け隔てがなかったな~。 550 00:57:52,370 --> 00:57:55,373 そうか 庄六。 お前も そう思っていたか。 551 00:57:55,373 --> 00:58:00,378 あの人は 立派だった。 立派だった。 なあ… ハハハ。 552 00:58:00,378 --> 00:58:04,983 バカが2人 手を握り合ってるぞ。 世の中 いい男といい女が・ 553 00:58:04,983 --> 00:58:08,153 くっついて 万事うまくいくとは限らん。 554 00:58:08,153 --> 00:58:12,991 一蔵 お前のところのように 少し がたぴしした夫婦が・ 555 00:58:12,991 --> 00:58:15,160 意外に うまくいくものらしい。・ 556 00:58:15,160 --> 00:58:17,829 仲よくやっているのだろう? あの美人と。 557 00:58:17,829 --> 00:58:20,665 もういい。 酒がこぼれる。 まあ 飲め。 558 00:58:20,665 --> 00:58:25,336 今夜は こいつらの片思いが 破れた日だ。 飲め。 559 00:58:25,336 --> 00:58:29,340 そうだ。 一蔵 飲め。 帰って 妻の手料理を・ 560 00:58:29,340 --> 00:58:33,845 食べなければならぬ。 酔っていては 申し訳ない。 561 00:58:33,845 --> 00:58:39,517 よ~し。 俺たちも 一緒に 美人のお内儀の手料理を食おう。 562 00:58:39,517 --> 00:58:43,521 お越しなさりませ。 皆が お前の手料理を・ 563 00:58:43,521 --> 00:58:45,523 食いたいというので 連れてきた。 564 00:58:45,523 --> 00:58:47,859 はい。 565 00:58:47,859 --> 00:58:52,697 野瀬様に 三矢様。 566 00:58:52,697 --> 00:58:56,868 上村様でございますね。 567 00:58:56,868 --> 00:59:00,872 いつも 主人から お話を聞いております。 568 00:59:00,872 --> 00:59:09,047 妻の類でございます。 どうぞ よろしくお願い申し上げます。 569 00:59:09,047 --> 00:59:16,554 ・~ 570 00:59:16,554 --> 00:59:20,391 スルメは どこだ 類? はい。 ただいま…。 571 00:59:20,391 --> 00:59:27,732 ・~ 572 00:59:27,732 --> 00:59:33,071 いい夫婦ではないか。 うん。 落ち着いた いい夫婦だ。 573 00:59:33,071 --> 00:59:38,409 一蔵も よくやっているが あの奥方 思いのほかだ。 574 00:59:38,409 --> 00:59:42,914 料理が いまひとつだがな。 褒めているんだ。 575 00:59:42,914 --> 00:59:46,751 料理ぐらいしか けなすとこが ないということだ。 あれなら・ 576 00:59:46,751 --> 00:59:50,088 5つぐらい 年上でもよい。 (2人)うるさい。 577 00:59:50,088 --> 00:59:53,424 あ ごめんなさいね。 ほっておいて。 578 00:59:53,424 --> 00:59:59,524 いや かまわん。 さあ どうぞ。 579 01:00:01,432 --> 01:00:06,037 一蔵殿は ほんに 心ばえのよいお方で・ 580 01:00:06,037 --> 01:00:09,374 父の世話を 嫌がらずに なさって下さり。 581 01:00:09,374 --> 01:00:15,046 一蔵は いい男なのだ。 だが あなたも いいお人だ。 582 01:00:15,046 --> 01:00:21,719 ありがとうございます。 今まで 私は ずっと男運が悪く・ 583 01:00:21,719 --> 01:00:26,719 初めて 主人のような まじめなお人に 出会いました。 584 01:00:29,227 --> 01:00:33,898 お~ アチ…。 585 01:00:33,898 --> 01:00:36,998 はい。 はあ~。 586 01:00:39,904 --> 01:00:44,409 何だ? いや。 野瀬 ほら。 ハハハ…。 587 01:00:44,409 --> 01:00:48,909 さあ どんどん飲んでくれ。 酒ならある。 588 01:00:52,917 --> 01:00:56,421 やけどするぞ。 おい 一蔵。 お前がやれ。 589 01:00:56,421 --> 01:01:00,021 平気です。 大事ないか? ええ。 590 01:01:02,093 --> 01:01:05,863 何の話をしていたのだ? あなた様と・ 591 01:01:05,863 --> 01:01:12,370 夫婦になれて よかったと。 ああ そうか。 592 01:01:12,370 --> 01:01:15,873 最初のお方は よいお人だったのです。 593 01:01:15,873 --> 01:01:21,045 けれど はやり病で あっけなく 亡くなってしまい 2度目は・ 594 01:01:21,045 --> 01:01:27,719 私を 殴ったり蹴ったりして 離縁いたしました。 3度目は…。 595 01:01:27,719 --> 01:01:31,719 ・~ 596 01:01:34,225 --> 01:01:38,896 私が どなたかと 不義を働いたと疑って・ 597 01:01:38,896 --> 01:01:41,733 心を病んでしまい 離縁したのです。 598 01:01:41,733 --> 01:01:45,903 離縁した? はい。 出ていってもらいました。 599 01:01:45,903 --> 01:01:48,072 勤めに出られないのでは・ 600 01:01:48,072 --> 01:01:51,409 宮坂家が つぶれてしまいますから。 601 01:01:51,409 --> 01:01:54,078 一蔵なら 大丈夫だ。 602 01:01:54,078 --> 01:02:01,586 はい。 やっと幸せになれました。 603 01:02:01,586 --> 01:02:08,359 ・~ 604 01:02:08,359 --> 01:02:13,364 鹿之助も 一蔵も 遠くへ行ってしまった! 605 01:02:13,364 --> 01:02:19,370 そうだ! 鹿之助は 俺たちとは 全く違うところへ 去ったのだ。 606 01:02:19,370 --> 01:02:27,378 ・~ 607 01:02:27,378 --> 01:02:35,386 花の季節が終わるというのにか。 吹くは 冷たい風ばかりか…。 608 01:02:35,386 --> 01:02:40,186 (風の音) 609 01:02:42,393 --> 01:03:36,380 ・~ 610 01:03:36,380 --> 01:03:38,549 うわっ… あっ。 611 01:03:38,549 --> 01:03:42,887 ああ くじいた。 612 01:03:42,887 --> 01:03:51,387 ・~ 613 01:03:54,732 --> 01:03:58,432 (ふき)あっ! 614 01:04:08,179 --> 01:04:11,516 あっ! 何やってるんだ! 615 01:04:11,516 --> 01:04:14,916 申し訳ございません。 あ あっ! 616 01:04:18,356 --> 01:04:25,029 ・~ 617 01:04:25,029 --> 01:04:31,369 何か… おつらいことが あったのでございますか? 618 01:04:31,369 --> 01:04:35,873 ・~ 619 01:04:35,873 --> 01:04:40,878 風が吹くのだ。 風が? 620 01:04:40,878 --> 01:04:44,048 ・~ 621 01:04:44,048 --> 01:04:49,887 寒く… 悲しい風だ。 622 01:04:49,887 --> 01:04:59,897 ・~ 623 01:04:59,897 --> 01:05:03,901 やめて下さい。 旦那様に しかられます。 624 01:05:03,901 --> 01:05:22,019 ・~ 625 01:05:22,019 --> 01:05:25,019 (小鳥のさえずり) 626 01:05:33,531 --> 01:05:38,369 おはようございます。 (忠左衛門)まあ いいか。 627 01:05:38,369 --> 01:05:44,375 足を どうかしたのか? はあ。 昨夜 帰り道で転びまして。 628 01:05:44,375 --> 01:05:47,375 ・(新太郎)行ってまいります。 629 01:05:49,881 --> 01:05:54,385 ゆうべは 杉山家の 宴席だったそうだな? はい。 630 01:05:54,385 --> 01:05:57,722 私事で お前を 遅くまで つきあわすと・ 631 01:05:57,722 --> 01:06:01,392 杉山家の者が 口上を伝えに来た。 はあ。 632 01:06:01,392 --> 01:06:06,992 さすがに 将来 執政にのぼろうと するお方は 気遣いが違う。 633 01:06:09,000 --> 01:06:12,169 おはようございます。 (乃布)おはようございます。 634 01:06:12,169 --> 01:06:16,007 ゆうべは 杉山様のもてなしで 沢山 頂いたのですか? 635 01:06:16,007 --> 01:06:19,176 ええ。 鹿之助が家督を継ぎ・ 636 01:06:19,176 --> 01:06:23,180 楢岡家の千加様と 秋に 祝言と聞いて。 まあ! 637 01:06:23,180 --> 01:06:27,018 それは すごい縁組みだな。 千加様は やはり・ 638 01:06:27,018 --> 01:06:31,355 杉山家に お輿入れですか? はい。 639 01:06:31,355 --> 01:06:35,359 がっかりね 隼太さん。 640 01:06:35,359 --> 01:06:40,031 ・~ 641 01:06:40,031 --> 01:06:43,534 行ってらっしゃいませ。 行ってらっしゃいませ。 642 01:06:43,534 --> 01:06:50,374 ・~ 643 01:06:50,374 --> 01:06:56,380 <杉山鹿之助様と楢岡千加様の 婚礼が執り行われました。・ 644 01:06:56,380 --> 01:07:00,384 父上の杉山忠兵衛様は隠居。・ 645 01:07:00,384 --> 01:07:05,184 鹿之助様が 忠兵衛の名を継ぎました> 646 01:07:08,993 --> 01:07:14,999 あれは 小谷直記だぞ。 殿様のご一族だ。・ 647 01:07:14,999 --> 01:07:18,669 政が動く時は 必ず 小谷が裏にいる。 648 01:07:18,669 --> 01:07:22,173 杉山と楢岡を 失脚させたのも 小谷だ。 649 01:07:22,173 --> 01:07:26,010 その敵みたいなお方が なぜ 来るのだ? 650 01:07:26,010 --> 01:07:30,848 (市之丞)それだけ 鹿之助の将来を 見込んでるということだ。 651 01:07:30,848 --> 01:07:34,685 これは 驚いたな。 誰だ? 652 01:07:34,685 --> 01:07:38,356 今の首席家老 小黒様の総領息子だ。・ 653 01:07:38,356 --> 01:07:41,025 確か 勝三郎と いったはずだ。・ 654 01:07:41,025 --> 01:07:47,725 杉山を倒した張本人の小黒家老が 息子を出してくるとはな。 655 01:07:52,036 --> 01:07:58,436 あいつ さすがに 小黒だけは 駄目らしい。 こっちに来るぞ。 656 01:08:02,380 --> 01:08:09,380 いまいましい。 腹が立つ。 いくら俺でも 小黒だけは許せん。 657 01:08:11,655 --> 01:08:15,659 今日は よく来てくれたな。 うん 忠兵衛殿。 658 01:08:15,659 --> 01:08:20,831 すごい顔ぶれだな。 祝言とは 名ばかりだ。 659 01:08:20,831 --> 01:08:25,331 政の場になっている。 まあ 飲んでくれ。 660 01:08:28,339 --> 01:08:32,343 お父上は 小黒家老に なぜ負けたのだ? 661 01:08:32,343 --> 01:08:35,346 大櫛山のふもとの 太蔵が原の開墾に・ 662 01:08:35,346 --> 01:08:37,348 手を つけようとしたが・ 663 01:08:37,348 --> 01:08:40,684 郡奉行の桑山孫助に阻まれ 駄目になった。 664 01:08:40,684 --> 01:08:46,524 郡奉行の桑山? 太蔵が原を拓くと どうなる? 665 01:08:46,524 --> 01:08:51,529 5千町歩の田畑が出来る。 (3人)5千町歩! 666 01:08:51,529 --> 01:08:56,867 借金漬けのお家を救う 最上の 策だと 親父は信じていたのだが・ 667 01:08:56,867 --> 01:09:02,706 桑山は すごい変わり者なのだ。 変わり者? 668 01:09:02,706 --> 01:09:06,710 開墾をよしと言えば 郡奉行から郡代へ出世するのが・ 669 01:09:06,710 --> 01:09:10,881 決まっていたにもかかわらず 「あの辺りの土地は もろく・ 670 01:09:10,881 --> 01:09:12,883 山津波を起こすおそれがある。・ 671 01:09:12,883 --> 01:09:18,889 焦って開墾はすべきではない」と 上申したそうだ。 672 01:09:18,889 --> 01:09:23,227 (小谷)おう ここにおったか。 673 01:09:23,227 --> 01:09:26,564 (鹿之助) 小谷様。 私の友でございます。 674 01:09:26,564 --> 01:09:30,964 ううん。 友ではあるまい。 675 01:09:38,075 --> 01:09:46,417 出世せい! 農政と財政に励め。 すると 下士の家でも・ 676 01:09:46,417 --> 01:09:51,088 この俊英と 並ぶことはできる。 フフフ…。 677 01:09:51,088 --> 01:09:57,094 並ぶ? それは どうですかな。 ハハハ…。 678 01:09:57,094 --> 01:10:02,099 農政と申しますと 太蔵が原の開墾も? 679 01:10:02,099 --> 01:10:07,204 上村…。 生臭いことを。 680 01:10:07,204 --> 01:10:13,711 ・~ 681 01:10:13,711 --> 01:10:18,883 <その日から しばらく 大櫛山を 見つめる日が続き…> 682 01:10:18,883 --> 01:10:25,055 ・~ 683 01:10:25,055 --> 01:10:30,728 <ついに 隼太は 太蔵が原に 足を踏み入れたのでございます> 684 01:10:30,728 --> 01:11:08,365 ・~ 685 01:11:08,365 --> 01:11:11,665 (孫助) こんな所で 何をしておる? 686 01:11:14,705 --> 01:11:17,705 (風の音) 687 01:11:20,044 --> 01:11:25,049 そなた 上村の家の舎弟だな? 688 01:11:25,049 --> 01:11:28,049 はい。 あなた様は? 689 01:11:33,224 --> 01:11:36,060 桑山様…。 690 01:11:36,060 --> 01:11:42,066 そなた わしの家から持ち込んだ 縁談を 断ったそうだな。 691 01:11:42,066 --> 01:11:48,739 上村家130石の部屋住みが 郡奉行180石の婿入りを・ 692 01:11:48,739 --> 01:11:52,243 気に入らなかったそうだな。 693 01:11:52,243 --> 01:11:56,080 お断りした覚えは ござりませぬが…。 694 01:11:56,080 --> 01:12:03,420 何だと? はあ… 自然に 話が消えたと聞いております。 695 01:12:03,420 --> 01:12:11,362 そうか。 まあ よかろう。 ここで 何をしている? 696 01:12:11,362 --> 01:12:14,365 遊びに来るような場所ではないぞ。 697 01:12:14,365 --> 01:12:18,702 見たとおりの 役にも立たん 荒れ地だ。 698 01:12:18,702 --> 01:12:23,040 はあ。 実は 水を探しに来たのですが…。 699 01:12:23,040 --> 01:12:29,880 水だと? 誰に頼まれてか? 700 01:12:29,880 --> 01:12:35,552 いや 別に… どなたに 頼まれた訳でもありません。 701 01:12:35,552 --> 01:12:38,722 水が引ければ ここに 5千町歩の田地が・ 702 01:12:38,722 --> 01:12:41,022 拓けるだろうと聞きまして。 703 01:12:49,900 --> 01:12:54,905 桑山様は…。 何だ? 704 01:12:54,905 --> 01:12:59,910 開墾に異を唱えて 郡代に上がるところを…。 705 01:12:59,910 --> 01:13:04,348 郡代が何だ。 はあ。 706 01:13:04,348 --> 01:13:07,685 わしは お偉方のために・ 707 01:13:07,685 --> 01:13:10,854 仕事をして いるのではないのだ。 708 01:13:10,854 --> 01:13:14,654 民百姓のために 働いている。 709 01:13:17,194 --> 01:13:35,379 ・~ 710 01:13:35,379 --> 01:13:39,216 (勝三郎) 桑山殿。 ここの話から・ 711 01:13:39,216 --> 01:13:42,553 貴殿は 手を引く約束では なかったですかな? 712 01:13:42,553 --> 01:13:47,891 さような約束はしておりません。 土地のもろい斜面に・ 713 01:13:47,891 --> 01:13:53,397 水路を設けることには それがし あくまで 不承知でござる。 714 01:13:53,397 --> 01:13:57,401 承服いたしかねる! うっ…。 (男)やあっ! 715 01:13:57,401 --> 01:14:02,906 ・~ 716 01:14:02,906 --> 01:14:05,509 上村。 刀を引け。 717 01:14:05,509 --> 01:14:09,179 しかし 理不尽な 人たちじゃありませんか! 718 01:14:09,179 --> 01:14:15,679 ・~ 719 01:14:17,354 --> 01:14:22,025 <その日 私 桑山満江は 初めて・ 720 01:14:22,025 --> 01:14:26,925 上村隼太というお方に お会いするのでございます> 721 01:14:32,536 --> 01:14:37,374 ・(孫助)日が落ちて 冷えてきたな。 はあ。 722 01:14:37,374 --> 01:14:42,713 ・(孫助)わしは ケチでな。 冬でも めったなことでは 炭を使わぬ。 723 01:14:42,713 --> 01:14:45,549 それがしも 寒さには慣れております。 724 01:14:45,549 --> 01:14:50,053 ・(孫助)貧乏暮らしでか? はい。 725 01:14:50,053 --> 01:14:52,890 太蔵が原の男どもですが あれは・ 726 01:14:52,890 --> 01:14:57,227 家老の小黒武兵衛様の総領 勝三郎では? 727 01:14:57,227 --> 01:15:01,732 ・(孫助)そうだ。 谷川から 水を引こうと考え・ 728 01:15:01,732 --> 01:15:06,336 測量をしに来ておったのだ。 729 01:15:06,336 --> 01:15:12,342 だが 一口に 開墾と申してもだ。 は…。 730 01:15:12,342 --> 01:15:19,349 莫大な費用と人手がかかる。 人手のほとんどが 百姓だ。 731 01:15:19,349 --> 01:15:24,855 開墾が長引けば 本来の 百姓仕事が 全くできなくなる。 732 01:15:24,855 --> 01:15:30,527 手間を省かれた稲田は 不作を招いてしまうものだ。 733 01:15:30,527 --> 01:15:35,032 それでも 開墾をと仰せになる お偉方の目論見は 何なのですか? 734 01:15:35,032 --> 01:15:37,868 焦りだな。 焦り? 735 01:15:37,868 --> 01:15:42,039 何もやらんで 借金だけで 食っておっては・ 736 01:15:42,039 --> 01:15:44,708 不安で たまらぬのだ。 737 01:15:44,708 --> 01:15:48,408 (障子の開く音) 738 01:15:52,049 --> 01:15:58,555 おう これは 馳走だな。 (加音)凍えてしまうでしょう? 739 01:15:58,555 --> 01:16:02,392 ええ…。 変わり者なのです。 740 01:16:02,392 --> 01:16:07,498 この人だけなのですよ。 私たちは ちゃんと 火を使います。 741 01:16:07,498 --> 01:16:13,337 妻の加音だ。 上村隼太と申します。 742 01:16:13,337 --> 01:16:18,842 きれいな目を してらっしゃいますね。 743 01:16:18,842 --> 01:16:21,842 いいえ。 744 01:16:24,014 --> 01:16:27,014 ごゆるりと。 745 01:16:35,359 --> 01:16:39,029 まあ あたれ。 746 01:16:39,029 --> 01:16:44,368 知っとるかもしれんが わしは 婿でな。 747 01:16:44,368 --> 01:16:50,040 佐藤直助という 徒組110石の三男だった。 748 01:16:50,040 --> 01:16:54,378 はあ。 元の名は 佐藤孫助とおっしゃるのですか? 749 01:16:54,378 --> 01:16:59,716 うん。 この家に来た時は 26だった。 750 01:16:59,716 --> 01:17:05,822 26までは 農業などは 知りも しなければ 考えもしなかった。 751 01:17:05,822 --> 01:17:11,328 しかし 家を継ぐと 否応なしに 郷方回りに出された。 752 01:17:11,328 --> 01:17:19,336 これが… 実に わしの性に 合ってな。 面白かったのだ。 753 01:17:19,336 --> 01:17:24,007 すね毛がすり減るほど 村々を巡り 田畑を見て回り・ 754 01:17:24,007 --> 01:17:29,346 百姓たちと一緒になって 作物の 出来 不出来を喜び 悲しむ。 755 01:17:29,346 --> 01:17:33,350 武士は武士 百姓は百姓という隔てはない。 756 01:17:33,350 --> 01:17:44,528 一緒なのだ。 実りの秋 稲田が 黄金色に輝いている。 757 01:17:44,528 --> 01:17:52,536 その喜びは 武士にも 百姓にも 何物にも代えがたいものなのだ。 758 01:17:52,536 --> 01:17:57,874 まことに地味 まことに目立たぬ仕事だが・ 759 01:17:57,874 --> 01:18:02,374 これほど 人々のためになる仕事はない。 760 01:18:04,314 --> 01:18:06,483 何だ その顔は? 761 01:18:06,483 --> 01:18:09,820 わしが 評判どおりの 変わり者だというのであろう。 762 01:18:09,820 --> 01:18:16,326 いえ。 武士とは かくあるべしと。 763 01:18:16,326 --> 01:18:20,326 そうか。 おう 火にあたれ。 764 01:18:21,999 --> 01:18:25,836 貧しい部屋住みの20…? 21です。 765 01:18:25,836 --> 01:18:31,136 21か。 いい目だの。 766 01:18:33,343 --> 01:18:39,443 何かに怒っているように 光っておる。 苦労したか? 767 01:18:41,351 --> 01:18:47,024 いえ。 幼い頃に 父を 亡くしたというだけのことで。 768 01:18:47,024 --> 01:18:54,865 それは 苦労だ。 男の子にとって 父親を 早くに亡くすことほど・ 769 01:18:54,865 --> 01:19:02,665 つらいことはない。 男の子は 父親から 男たる姿を学ぶのだ。 770 01:19:07,044 --> 01:19:14,551 5つの時に… 内職をしている時に・ 771 01:19:14,551 --> 01:19:18,388 突然 「酒を飲みたい」と言って 出ていきました。 772 01:19:18,388 --> 01:19:28,065 父は 生まれつき 体が弱く しびれが走ると 勤めがかなわず。 773 01:19:28,065 --> 01:19:31,401 それでも 生きるために 懸命でしたが・ 774 01:19:31,401 --> 01:19:35,739 ついに 耐え切れなくなったのです。 775 01:19:35,739 --> 01:19:41,745 夜 戻らぬので 心配して 捜しに行ったのです。 776 01:19:41,745 --> 01:19:47,445 そうしたら 父は 雪だまりで 凍え死んでいたのです。 777 01:19:51,421 --> 01:19:56,421 お主は それを怒っておるのか? 778 01:20:00,097 --> 01:20:04,367 気に入った。 え? 779 01:20:04,367 --> 01:20:09,039 人には 二通りある。 運命に従う人。 780 01:20:09,039 --> 01:20:16,379 運命に立ち向かう人。 お主は 後のほうらしいな。 781 01:20:16,379 --> 01:20:21,885 ・~ 782 01:20:21,885 --> 01:20:27,390 そうかもしれません。 お主なら…。 783 01:20:27,390 --> 01:20:31,394 桑山又左衛門の名を 継げるかもしれぬ。 784 01:20:31,394 --> 01:20:38,401 桑山… 又左衛門? そうだ。 先々代の当主でな。 785 01:20:38,401 --> 01:20:44,074 郡代にまで上ったお方だ。 そのお方には お上さえも・ 786 01:20:44,074 --> 01:20:48,745 お言葉を改めたと 言われたほどの人徳者でな。 787 01:20:48,745 --> 01:20:54,751 わしのような者では とても 又左衛門の名は 継げぬ。 788 01:20:54,751 --> 01:21:02,425 お主… どうだ? 婿になるか。 789 01:21:02,425 --> 01:21:16,925 ・~ 790 01:21:20,377 --> 01:21:26,883 <主人は この時 私が 市之丞様が 言うほどの不美人ではなく・ 791 01:21:26,883 --> 01:21:30,883 ごく普通だと 思ったそうでございます> 792 01:21:32,556 --> 01:21:35,756 どうぞ。 793 01:21:45,402 --> 01:21:51,902 上の娘の満江だ。 はあ。 794 01:21:57,414 --> 01:22:01,918 どうでした? (喜乃)お姉上様 上村様は? 795 01:22:01,918 --> 01:22:05,021 すてきなお方で…。 796 01:22:05,021 --> 01:22:11,027 ・~ 797 01:22:11,027 --> 01:22:17,033 娘を どう見たな? 不細工な娘だが…。 798 01:22:17,033 --> 01:22:21,204 いえ。 心ばえ なかなか おとなしげな娘御に・ 799 01:22:21,204 --> 01:22:25,876 拝見いたしました。 (笑い声) 800 01:22:25,876 --> 01:22:30,380 上村隼太…。 (せきこみ) 801 01:22:30,380 --> 01:22:36,380 お主… あまり 女子を見る目はないらしいの。 802 01:22:39,389 --> 01:22:44,689 <夫は 父 孫助に 惚れたのでございます> 803 01:22:47,063 --> 01:22:53,737 <明くる年 庄六様にも 縁談が持ち込まれました> 804 01:22:53,737 --> 01:22:56,072 相手は 普請組の藤井の娘か? 805 01:22:56,072 --> 01:22:59,075 そうだ。 親戚の法事で顔を合わせて・ 806 01:22:59,075 --> 01:23:03,275 向こうが 俺に 惚れたのだ。 禄高は20石しかないが…。 807 01:23:07,684 --> 01:23:11,354 一番前を 歩いてくる娘だ。 808 01:23:11,354 --> 01:23:21,364 ・~ 809 01:23:21,364 --> 01:23:23,867 色が白くて かわいい娘じゃないか。 810 01:23:23,867 --> 01:23:26,536 うん 庄六には似合いだ。 811 01:23:26,536 --> 01:23:32,208 そうか よかった。 隼太と市之丞が そう言ってくれるなら。 812 01:23:32,208 --> 01:23:36,713 ところで 桑山の話は どうした? うん…。 813 01:23:36,713 --> 01:23:41,885 あ…? しかし 桑山の娘は 不器量だろう。 814 01:23:41,885 --> 01:23:43,985 いや 普通だ。 815 01:23:46,222 --> 01:23:50,393 ついに 残るは 俺1人か。 816 01:23:50,393 --> 01:24:08,678 ・~ 817 01:24:08,678 --> 01:24:13,350 何だ? 兄上が 何か怒ってるのか? 818 01:24:13,350 --> 01:24:18,150 いいえ。 どうしたのだ? 819 01:24:20,190 --> 01:24:23,890 この度は…。 820 01:24:26,863 --> 01:24:31,868 桑山家との御縁談 おめでとうございました。 821 01:24:31,868 --> 01:24:38,708 ・~ 822 01:24:38,708 --> 01:24:44,881 ふき… すまぬ。 823 01:24:44,881 --> 01:24:58,395 ・~ 824 01:24:58,395 --> 01:25:03,733 ただいま帰りました。 うん。 今 桑山家から・ 825 01:25:03,733 --> 01:25:09,033 仲人が ごあいさつに見えられた。 よろしゅうございましたね。 826 01:25:11,007 --> 01:25:17,207 はい。 これで ホッといたしました。 827 01:25:20,683 --> 01:25:28,858 しかし これからは 気安く 隼太と呼べなくなりました。 828 01:25:28,858 --> 01:25:33,696 そうですね。 180石の郡奉行 桑山家の・ 829 01:25:33,696 --> 01:25:35,996 跡取りになられるのですからね。 830 01:25:40,537 --> 01:25:51,714 兄上や義姉上… それに ふきにも 長い間 お世話になりました。 831 01:25:51,714 --> 01:25:57,387 ・~ 832 01:25:57,387 --> 01:26:01,391 <程なく 私たちは 祝言をあげました。・ 833 01:26:01,391 --> 01:26:05,891 幸せになりたいと 夢みておりました> 834 01:26:09,999 --> 01:26:14,504 女のわがままは 当家の家風です。 835 01:26:14,504 --> 01:26:19,843 温泉に行ったり お芝居に行ったり 舞や鼓のお稽古に出かけたり。・ 836 01:26:19,843 --> 01:26:23,680 時々 お友達を呼んで 騒ぐこともあります。・ 837 01:26:23,680 --> 01:26:27,016 けれども 怒ってはなりませぬ。 838 01:26:27,016 --> 01:26:31,354 旦那様は 決して 声を荒げたりはいたしませぬ。 839 01:26:31,354 --> 01:26:34,858 とにかく 黙っております。 840 01:26:34,858 --> 01:26:38,361 それが 婿として このうちに入ったあなたの…。 841 01:26:38,361 --> 01:26:43,867 満江。 はい。 飯をくれ。 842 01:26:43,867 --> 01:26:49,372 余計なことをするな。 満江 飯だ。 早くいたせ。 843 01:26:49,372 --> 01:26:52,041 わしが…。 あ… 親父様。 844 01:26:52,041 --> 01:26:55,041 よいよい。 そのうちに慣れる。 845 01:26:56,713 --> 01:27:02,051 びっくりいたしました。 乱暴な口などきいて。 846 01:27:02,051 --> 01:27:06,823 なにしろ 貧乏な上村家の 冷や飯食いですから。 847 01:27:06,823 --> 01:27:10,823 (せきこみ) 848 01:27:26,342 --> 01:27:32,342 何だ? 離縁でもしたいと言うのか? 849 01:27:37,687 --> 01:27:43,193 言っておくが 俺は 決して この家を出ぬ。 850 01:27:43,193 --> 01:27:47,697 俺は 親父様を尊敬している。 人生の師だと思っている。 851 01:27:47,697 --> 01:27:53,036 俺は 親父様から 沢山のことを学びたいのだ。 852 01:27:53,036 --> 01:27:57,736 はい。 そうか。 853 01:28:02,712 --> 01:28:06,316 ふつつか者でございますが・ 854 01:28:06,316 --> 01:28:10,316 幾久しく よろしくお願いいたします。 855 01:28:12,322 --> 01:28:16,122 親父様に言われたのか? 856 01:28:18,328 --> 01:28:23,828 そうか。 お前自身の気持ちか? 857 01:28:31,007 --> 01:28:35,707 すまぬ。 仲よくやっていこう。 858 01:28:38,014 --> 01:28:40,350 はい。 859 01:28:40,350 --> 01:28:53,863 ・~ 860 01:28:53,863 --> 01:29:00,036 <私たちを結び付けた 太蔵が原でございます> 861 01:29:00,036 --> 01:29:06,876 ・~ 862 01:29:06,876 --> 01:29:10,376 (雷鳴) 863 01:29:12,548 --> 01:29:14,884 あの日も…。 864 01:29:14,884 --> 01:29:17,384 (雷鳴) 865 01:29:20,890 --> 01:29:24,727 (甚平)お客さんでございます。 野瀬。 どうしたのだ? 866 01:29:24,727 --> 01:29:28,564 一蔵が 人を斬って逃げたぞ。 なに? 867 01:29:28,564 --> 01:29:30,733 (雷鳴) 868 01:29:30,733 --> 01:29:33,736 ・~ 869 01:29:33,736 --> 01:29:38,074 相手は 丹羽佐平治。 870 01:29:38,074 --> 01:29:41,411 丹羽… 誰だ? 871 01:29:41,411 --> 01:29:45,911 分からんか? 例の男だ。 例の…? 872 01:29:47,750 --> 01:29:49,919 あいつか! 873 01:29:49,919 --> 01:29:52,755 今夜のことですけれど・ 874 01:29:52,755 --> 01:29:57,427 よそには どうぞ 御内聞に願えませんかしら。 875 01:29:57,427 --> 01:30:02,432 やっぱり… あの時 一蔵に 言えばよかった。 876 01:30:02,432 --> 01:30:17,232 ・~ 877 01:30:39,402 --> 01:31:57,702 ・~ 878 01:36:46,368 --> 01:36:49,371 (雷鳴) 879 01:36:49,371 --> 01:36:53,375 (満江)<53歳の初夏 夫は・ 880 01:36:53,375 --> 01:36:56,378 父 孫助の手紙を 読んでおりました。・ 881 01:36:56,378 --> 01:37:01,378 結婚して3年目に 父から届いた手紙でした> 882 01:37:03,385 --> 01:37:07,389 雷を聞いて 父のことを思い出しました。 883 01:37:07,389 --> 01:37:10,392 (又左衛門)わしもだ。 884 01:37:10,392 --> 01:37:14,396 親父は いい字を書いた。 885 01:37:14,396 --> 01:37:17,399 律儀で しっかりした字だ。 886 01:37:17,399 --> 01:37:22,404 わしは ついに こういう字は 書けなかった。 887 01:37:22,404 --> 01:37:25,407 あなたは 悪筆でございますからね。 888 01:37:25,407 --> 01:37:28,410 また そう言う。 889 01:37:28,410 --> 01:37:30,412 (笑い声) 890 01:37:30,412 --> 01:37:35,417 (雷鳴) 891 01:37:35,417 --> 01:37:41,357 あの時 お前は わしを卑怯者だと なじったが…。 892 01:37:41,357 --> 01:37:44,360 ええ。 893 01:37:44,360 --> 01:37:50,366 確かに わしは 一蔵を見殺しにしたのかもしれん。 894 01:37:50,366 --> 01:37:54,370 春とは思えぬ 雷が鳴っておりました。 895 01:37:54,370 --> 01:37:57,370 春雷がな。 896 01:38:09,385 --> 01:38:11,387 ・~(テーマ音楽) 897 01:38:11,387 --> 01:38:18,387 ・~ 898 01:38:20,396 --> 01:38:24,400 <太蔵が原の開墾が始まり 反対した父は・ 899 01:38:24,400 --> 01:38:27,403 北の果ての代官に 左遷されました。・ 900 01:38:27,403 --> 01:38:32,403 夫も 開墾の手伝いを命じられ 明日は 出発です> 901 01:38:34,410 --> 01:38:38,414 (隼太)「先日 帰宅した折 加音にも申し伝えたが…」。 902 01:38:38,414 --> 01:38:40,349 (加音) 読まなくても分かっています。 903 01:38:40,349 --> 01:38:44,353 お聞き下さい。 もう うるさい。 904 01:38:44,353 --> 01:38:52,361 「昨年の暮れの倹約令に 『家中の者 湯治遊興 固く慎むべし』とある。・ 905 01:38:52,361 --> 01:38:57,366 今度の開墾は 領内あげての大仕事で・ 906 01:38:57,366 --> 01:39:01,370 皆が耐え 辛抱している。・ 907 01:39:01,370 --> 01:39:06,375 他家は どうあれ 桑山家の者は 断じて慎むよう・ 908 01:39:06,375 --> 01:39:10,379 改めて お前の口から 申し伝えるように」。 909 01:39:10,379 --> 01:39:13,382 隼太殿。 何です? 910 01:39:13,382 --> 01:39:16,385 此度の松原の湯治は・ 911 01:39:16,385 --> 01:39:22,391 物頭の小田切仁兵衛様の 娘御の邦尾様が・ 912 01:39:22,391 --> 01:39:26,395 満江の身を案じて お薦め下されたのですよ。 913 01:39:26,395 --> 01:39:28,397 「満江の身を案じる」とは? 914 01:39:28,397 --> 01:39:30,399 赤児ができるようにと。 915 01:39:30,399 --> 01:39:33,399 ウソをつくな。 916 01:39:34,403 --> 01:39:37,406 <そのころ…> 917 01:39:37,406 --> 01:39:41,343 (中村)宮坂は 昨夜出ていったきり 戻らぬと言ったが・ 918 01:39:41,343 --> 01:39:45,347 近くの者が 今朝方 旅支度で通る宮坂を見ておる。 919 01:39:45,347 --> 01:39:48,350 (せきこみ) ならぬ! 920 01:39:48,350 --> 01:39:57,359 (せきこみ) 921 01:39:57,359 --> 01:40:00,362 (庄六)杉山家に 野菜を届けに行ったら・ 922 01:40:00,362 --> 01:40:03,365 一蔵の知らせが 飛び込んできた。 923 01:40:03,365 --> 01:40:07,369 (市之丞)杉山忠兵衛は? 「後で来る」と言っていた。 924 01:40:07,369 --> 01:40:09,371 「隼太には言うな」と。 なぜ? 925 01:40:09,371 --> 01:40:11,373 「こじれる」と言うのだ。 「こじれる」? 926 01:40:11,373 --> 01:40:15,377 奴は 義にあつい。 「一蔵を助けようとする」と。 927 01:40:15,377 --> 01:40:20,382 ・(類)申し訳ございません。・ 928 01:40:20,382 --> 01:40:26,388 昨夜遅く 手傷を負い 一度 戻りましたが・ 929 01:40:26,388 --> 01:40:31,393 私が お目付様に申し出るよう・ 930 01:40:31,393 --> 01:40:37,393 お願いしたのですけれど 旅支度を整えて…。 931 01:40:39,401 --> 01:40:42,338 急ぎ 各関所に知らせよ。 932 01:40:42,338 --> 01:40:47,343 「宮坂一蔵なる者 人を斬り 出奔のおそれあり」とな。 933 01:40:47,343 --> 01:40:49,345 (2人)はっ! 934 01:40:49,345 --> 01:40:53,349 隼太を呼んでくる。 忠兵衛は 「呼ぶな」と言ったぞ。 935 01:40:53,349 --> 01:40:57,353 ふざけるな。 このままでは 一蔵は 討っ手に殺されるんだ。 936 01:40:57,353 --> 01:41:00,356 出立は 明日の明け六つ。 937 01:41:00,356 --> 01:41:05,356 宝鏡院境内に集まり 隊伍を組んで 太蔵が原へ向かう。 938 01:41:11,367 --> 01:41:15,371 (甚平)お客さんでございます。 野瀬か。 939 01:41:15,371 --> 01:41:19,375 どうしたのだ? 一蔵が 人を斬って 逃げたぞ。 940 01:41:19,375 --> 01:41:21,377 …なに!? 941 01:41:21,377 --> 01:41:24,380 相手は 丹羽佐平治。 942 01:41:24,380 --> 01:41:26,382 「丹羽」…? 誰だ? 943 01:41:26,382 --> 01:41:29,385 分からんか? 例の男だ。 944 01:41:29,385 --> 01:41:35,391 例の…? あいつか!? 945 01:41:35,391 --> 01:41:41,330 今夜のことですけれど どうぞ 御内聞に願えませんかしら? 946 01:41:41,330 --> 01:41:43,332 あいつか。 947 01:41:43,332 --> 01:41:48,332 野瀬様 どうぞ お上がり下さい。 うるさい! 948 01:41:52,341 --> 01:41:56,345 丹羽佐平治とは? 奏者だ。 949 01:41:56,345 --> 01:41:59,348 禄高350石の上士だ。 950 01:41:59,348 --> 01:42:03,348 あれから 4~5年経つが あの二人は まだ続いていたのだ。 951 01:42:05,354 --> 01:42:09,358 隼太殿。 何があったのです? 952 01:42:09,358 --> 01:42:12,358 すぐに戻ります。 953 01:42:16,365 --> 01:42:18,365 どちらへ? 954 01:42:21,370 --> 01:42:24,370 丹羽は 死んだのか? 死んだ。 955 01:42:26,375 --> 01:42:29,378 やっぱり…。 956 01:42:29,378 --> 01:42:33,382 あの時 一蔵に言えばよかった。 957 01:42:33,382 --> 01:42:37,386 宮坂家の類と丹羽のことを 告げればよかった。 958 01:42:37,386 --> 01:42:42,324 いくら 一蔵が貧乏で 婿入りを望んでいるとしても。 959 01:42:42,324 --> 01:42:45,327 俺の見たままを…。 960 01:42:45,327 --> 01:42:50,332 そうすれば 今度のことは 起こらずに済んだかもしれぬ。 961 01:42:50,332 --> 01:42:53,335 愚痴を言うな。 962 01:42:53,335 --> 01:42:57,339 こうなったうえは 俺とお前で 一蔵を救わなくてはならぬ。 963 01:42:57,339 --> 01:42:59,341 救う? そうだ。 964 01:42:59,341 --> 01:43:02,344 一蔵は 丹羽を斬り殺して 逃げたのだぞ。 965 01:43:02,344 --> 01:43:07,344 妻女の不貞の相手を斬ったのだ。 理は一蔵にある。 966 01:43:19,361 --> 01:43:22,361 お父上が…。 はい。 967 01:43:37,379 --> 01:43:40,379 あれは 一蔵の字だな。 968 01:43:46,321 --> 01:43:52,327 俺は どうも こういう時は バカなことを言う。 969 01:43:52,327 --> 01:43:58,333 忠兵衛 まことに一蔵なのか? 大目付は 何と言っている? 970 01:43:58,333 --> 01:44:01,336 (忠兵衛) 「妻女と丹羽の不義の噂を聞き・ 971 01:44:01,336 --> 01:44:03,338 それを確かめようと 丹羽を呼び出し・ 972 01:44:03,338 --> 01:44:08,338 話すうちに争いになり 事に及んだ」と言っている。 973 01:44:13,348 --> 01:44:17,348 丹羽と 密会を重ねていたのであろう? 974 01:44:23,358 --> 01:44:28,363 ウソをつくな。 ただの噂で 人を斬るような男ではない。 975 01:44:28,363 --> 01:44:37,372 いいえ。 お城で… 私と丹羽様の噂を聞き・ 976 01:44:37,372 --> 01:44:42,311 「その時は 祝言前の話で・ 977 01:44:42,311 --> 01:44:48,317 今は もう何もない」という 私の言葉を信じて下さり・ 978 01:44:48,317 --> 01:44:56,325 「自分も 昔は いろいろあった」と 笑って下さいました。 979 01:44:56,325 --> 01:45:03,332 けれど 先月 寺参りに出かけた折に…。 980 01:45:03,332 --> 01:45:13,342 ・~ 981 01:45:13,342 --> 01:45:19,348 (丹羽)宮坂。 この女は お主には似合わぬ。 982 01:45:19,348 --> 01:45:22,351 (一蔵)どのような意味だ? 983 01:45:22,351 --> 01:45:26,355 「烏 百度洗っても 鷲にはならぬ」。 984 01:45:26,355 --> 01:45:31,360 (武士たちの嘲笑) 985 01:45:31,360 --> 01:45:35,364 おのれ 貧乏侍と嘲りおって! 986 01:45:35,364 --> 01:45:40,364 この恥辱 晴らさずにおくものか! 987 01:45:42,304 --> 01:45:45,307 まことでございます。 もし 私が・ 988 01:45:45,307 --> 01:45:49,311 丹羽様と 過ちを犯しているのならば・ 989 01:45:49,311 --> 01:45:52,314 私は 自害いたします。 990 01:45:52,314 --> 01:45:58,320 夫も 手傷を負って戻った時・ 991 01:45:58,320 --> 01:46:07,329 「お前は 病気の父親の世話がある。 一緒に来いとは言えぬゆえ・ 992 01:46:07,329 --> 01:46:11,333 心堅固にして わしの便りを待て」と。 993 01:46:11,333 --> 01:46:16,338 (市之丞)信じられん。 994 01:46:16,338 --> 01:46:19,341 お主は 必ず 丹羽と…。 (庄六)野瀬! 995 01:46:19,341 --> 01:46:23,345 一蔵を 辱めるような言い方をするな!・ 996 01:46:23,345 --> 01:46:26,345 一蔵は 恥辱を晴らしたのだ。 997 01:46:31,353 --> 01:46:35,357 そのことを お目付には 話したのですか? 998 01:46:35,357 --> 01:46:37,359 はい。 999 01:46:37,359 --> 01:46:40,362 お目付は 何と…? 一蔵のしたことを。 1000 01:46:40,362 --> 01:46:42,364 直ちに 討っ手を放つと決した。 1001 01:46:42,364 --> 01:46:45,367 討っ手…。 一蔵にか? そうだ。 1002 01:46:45,367 --> 01:46:47,369 それは おかしい。 そうだ。 1003 01:46:47,369 --> 01:46:50,372 なぜ 一蔵が 斬られなければならぬ! 1004 01:46:50,372 --> 01:46:54,376 俺は これから 大目付様に お目通りを願ってくる。 1005 01:46:54,376 --> 01:46:57,379 俺も! そうか 行ってこい。 1006 01:46:57,379 --> 01:47:03,385 たとえ 一蔵に理があるとしても お国を捨てようとしているのだ。 1007 01:47:03,385 --> 01:47:07,389 「出奔は死罪」の定めだ。 1008 01:47:07,389 --> 01:47:10,392 いや 俺は行く。 1009 01:47:10,392 --> 01:47:13,395 隼太! 桑山の家を考えろ。 1010 01:47:13,395 --> 01:47:17,399 今 一蔵の肩を持ち 大目付様に ものを申して・ 1011 01:47:17,399 --> 01:47:20,402 桑山の家が どうなるか。 1012 01:47:20,402 --> 01:47:23,405 庄六 貴様もだ。・ 1013 01:47:23,405 --> 01:47:26,405 藤井の家のことを考えろ。 1014 01:47:32,414 --> 01:47:36,418 討っ手は 庄司七郎と 横沢金之助だ。 1015 01:47:36,418 --> 01:47:41,356 2人とも 三宅道場の免許取りで 一刀流の腕は確かだが・ 1016 01:47:41,356 --> 01:47:45,360 ひどく乱暴な男だそうだ。 1017 01:47:45,360 --> 01:47:49,364 武士の情けなどは 望めぬ男だ。 1018 01:47:49,364 --> 01:47:56,371 2人に任せておくと 一蔵は なぶり殺しになるおそれがある。 1019 01:47:56,371 --> 01:47:59,374 だから何だ。 せめて…・ 1020 01:47:59,374 --> 01:48:05,374 一蔵には 武士らしく 腹を切らせてやりたいものだ。 1021 01:48:11,386 --> 01:48:15,390 友として できることは 一蔵を説き伏せ・ 1022 01:48:15,390 --> 01:48:19,394 切腹させ 介錯をしてやることだけだ。 1023 01:48:19,394 --> 01:48:24,394 これ以上… 一蔵を汚してはなりませぬ! 1024 01:48:29,404 --> 01:48:32,407 討っ手は 九つに出る。 1025 01:48:32,407 --> 01:48:35,407 俺か? 1026 01:48:37,412 --> 01:48:40,412 俺が 一蔵の首を斬るのか。 1027 01:48:42,350 --> 01:48:44,352 俺が行く。 野瀬。 1028 01:48:44,352 --> 01:48:46,354 隼太が行くと言っておる。 そうだ 俺が行く。 1029 01:48:46,354 --> 01:48:51,359 いかん! 家のことを考えろ。 家…? 1030 01:48:51,359 --> 01:48:53,361 (忠兵衛)一蔵に 返り討ちに ならんとも限らんのだ。・ 1031 01:48:53,361 --> 01:48:59,367 桑山家は どうなる? 俺も庄六も 家がある。 1032 01:48:59,367 --> 01:49:05,367 が… 野瀬。 お主には まだ家はない。 1033 01:49:09,377 --> 01:49:13,381 (忠兵衛)それに 野瀬。 討っ手には 恩賞が与えられる。 1034 01:49:13,381 --> 01:49:17,385 加増になり 殿様から お褒めのお言葉が…。 1035 01:49:17,385 --> 01:49:21,385 すると 俺にも婿入りの口が 見つかると言いたいのか! 1036 01:49:25,393 --> 01:49:28,396 俺が行く。 それで よいのか? 1037 01:49:28,396 --> 01:49:30,396 (庄六)よせ! 1038 01:49:33,401 --> 01:49:36,404 バカ者めが! 1039 01:49:36,404 --> 01:49:48,350 ・~ 1040 01:49:48,350 --> 01:49:54,356 (泣き声) 1041 01:49:54,356 --> 01:50:05,356 ・~ 1042 01:50:08,370 --> 01:50:11,373 ただいま戻りました。 1043 01:50:11,373 --> 01:50:14,376 まさか。 1044 01:50:14,376 --> 01:50:17,379 何です? 1045 01:50:17,379 --> 01:50:22,384 討っ手を引き受けたのでは ないでしょうね? 1046 01:50:22,384 --> 01:50:28,390 城下で 大変な噂になってますよ。 宮坂一蔵が。 1047 01:50:28,390 --> 01:50:30,392 討っ手を引き受けたら 何だと言うんです? 1048 01:50:30,392 --> 01:50:34,392 桑山の家に ふさわしくありません! 1049 01:50:40,335 --> 01:50:44,335 明日の支度がありますゆえ。 1050 01:50:48,343 --> 01:50:51,343 そうですか。 1051 01:51:01,356 --> 01:51:04,356 草鞋は 2足でよいのですか? 1052 01:51:07,362 --> 01:51:10,362 熊の胆は 煎るのでしょうか? 1053 01:51:13,368 --> 01:51:15,370 邦尾様が お越しになり・ 1054 01:51:15,370 --> 01:51:19,370 つい先ほどまで お待ちになっていたものですから。 1055 01:51:22,377 --> 01:51:25,380 どうしても 湯治に行こうとおっしゃって・ 1056 01:51:25,380 --> 01:51:27,382 あなたが戻られたら お話をしたいと…。 1057 01:51:27,382 --> 01:51:32,387 それどころではない! 俺の心のうちも考えろ。 1058 01:51:32,387 --> 01:51:35,390 考えております。 ですから…。 1059 01:51:35,390 --> 01:51:38,393 ですから 何だ? 1060 01:51:38,393 --> 01:51:42,330 一蔵様のお話をせず 他のお話を。 1061 01:51:42,330 --> 01:51:46,334 つまらん理屈を言うな! 俺は 邦尾などという女は大嫌いだ! 1062 01:51:46,334 --> 01:51:49,337 私のお友達でございます。 1063 01:51:49,337 --> 01:51:54,342 邦尾様は あなたが 太蔵が原へ出かけられたら・ 1064 01:51:54,342 --> 01:52:01,342 半年は お戻りにならないゆえ 私が寂しかろうと。 1065 01:52:04,352 --> 01:52:07,355 寂しいだと? 1066 01:52:07,355 --> 01:52:10,358 遊びに行く訳じゃないぞ。 鍬をふるい・ 1067 01:52:10,358 --> 01:52:14,362 畚を担ぎに行くのだ。 泥まみれの人足仕事だ。 1068 01:52:14,362 --> 01:52:17,365 すべては桑山家のためだ。 1069 01:52:17,365 --> 01:52:20,368 その留守を守るのが 寂しいなどと。 1070 01:52:20,368 --> 01:52:23,368 それが 妻たる者の言う言葉か! 1071 01:52:25,373 --> 01:52:29,373 一蔵様を救えなかったので 怒ってらっしゃるんですか? 1072 01:52:31,379 --> 01:52:36,384 卑怯者だと 御自分を 責めていらっしゃるんでしょ。 1073 01:52:36,384 --> 01:52:39,384 「卑怯者」だと? 1074 01:52:41,322 --> 01:52:44,325 まことに 一蔵様のことを お考えならば・ 1075 01:52:44,325 --> 01:52:48,329 太蔵が原へ行くより あなたが討っ手となって・ 1076 01:52:48,329 --> 01:52:52,333 一蔵様を 追うべきではござりませぬか。 1077 01:52:52,333 --> 01:52:56,333 卑怯だと言ったのは そういう意味でございます。 1078 01:52:58,339 --> 01:53:03,339 貴様! 俺が 今 どんなに悲しいか分かるか! 1079 01:53:05,346 --> 01:53:07,346 (2人の悲鳴) 1080 01:53:11,352 --> 01:53:14,355 どちらへ いらっしゃるんですか? どけ! 1081 01:53:14,355 --> 01:53:16,355 (タケ)あっ お嬢様! 1082 01:53:18,359 --> 01:53:24,365 俺は もう この家には帰らん! ちょっと 隼太殿! 1083 01:53:24,365 --> 01:53:26,365 満江! 1084 01:53:33,374 --> 01:53:36,377 (乃布) 桑山の人たちは このような時の・ 1085 01:53:36,377 --> 01:53:41,316 支度などと言われても 手にあまるのではありませんか? 1086 01:53:41,316 --> 01:53:43,316 ああ。 1087 01:53:49,324 --> 01:53:54,324 (ふき)お床を延べておきました。 …ああ。 1088 01:53:58,333 --> 01:54:03,333 (風の音) 1089 01:54:14,349 --> 01:54:17,349 行ってくる。 1090 01:54:19,354 --> 01:54:24,359 一蔵を 逃がす訳には いかんだろうか。 1091 01:54:24,359 --> 01:54:29,359 (風の音) 1092 01:54:34,369 --> 01:54:57,325 ・~ 1093 01:54:57,325 --> 01:55:00,325 いけません! 1094 01:55:02,330 --> 01:55:07,330 桑山家の跡取りとなられた今は 昔とは違います。 1095 01:55:10,338 --> 01:55:17,345 あの時は… 一生 この家で働き・ 1096 01:55:17,345 --> 01:55:20,348 日陰の身のままで・ 1097 01:55:20,348 --> 01:55:24,348 隼太様の お側にいようと…。 1098 01:55:28,356 --> 01:55:34,362 でも… 今は…・ 1099 01:55:34,362 --> 01:55:41,302 隼太様には 奥様がおられて…。 1100 01:55:41,302 --> 01:56:19,302 ・~ 1101 01:56:23,344 --> 01:56:28,349 <梅雨が早く明け 焼け付くような夏が来ました。・ 1102 01:56:28,349 --> 01:56:34,355 太蔵が原の開墾は 一向に進みませんでした> 1103 01:56:34,355 --> 01:56:39,355 (掛け声) 1104 01:57:01,382 --> 01:57:06,387 上村 帰らんのか? ああ… 俺は帰らん。 1105 01:57:06,387 --> 01:57:10,391 交代で休みを取れと 言われてるのに なぜ帰らんのだ? 1106 01:57:10,391 --> 01:57:13,391 いいから 帰ってこい。 1107 01:57:21,402 --> 01:57:25,406 (板木を叩く音) 1108 01:57:25,406 --> 01:57:29,410 (小黒)何をしておる! 働け! 1109 01:57:29,410 --> 01:57:34,415 早く働け! 刻限だぞ! 1110 01:57:34,415 --> 01:57:37,415 早く 仕事にかかれ! 1111 01:57:44,359 --> 01:57:48,359 オイ 貴様ら! (依田)お前は何だ! 1112 01:57:54,369 --> 01:58:00,375 御家老の小黒様の総領息子だから といって 乱暴ですぞ。 1113 01:58:00,375 --> 01:58:03,378 仕事にかからんのが悪いのだ。 1114 01:58:03,378 --> 01:58:06,381 あなたは 度々 尻を叩きに来るが・ 1115 01:58:06,381 --> 01:58:12,387 我々は 小頭 松川様の お指図に従って働いている。 1116 01:58:12,387 --> 01:58:15,390 その上には 奉行助役の鎌田様・ 1117 01:58:15,390 --> 01:58:18,393 さらに上には お奉行の内藤様がおられる。 1118 01:58:18,393 --> 01:58:21,396 違いますか? 何を? 1119 01:58:21,396 --> 01:58:24,399 あなたは 水路を築く仕事を 指図されている。 1120 01:58:24,399 --> 01:58:29,404 ここは 開墾地を開く仕事。 1121 01:58:29,404 --> 01:58:34,409 お指図の相手が違います。 桑山 わしを脅すつもりか! 1122 01:58:34,409 --> 01:58:43,351 ・~ 1123 01:58:43,351 --> 01:58:46,351 何をしている! 1124 01:58:48,356 --> 01:58:51,359 (松川)何でござるか!? 1125 01:58:51,359 --> 01:58:54,362 家中で指折りの偏屈者には・ 1126 01:58:54,362 --> 01:58:58,362 それに ふさわしい婿が 見つかるものとみえる。 1127 01:59:00,368 --> 01:59:04,368 (小黒)何をしておる! 働け! 1128 01:59:07,375 --> 01:59:12,380 <藤井庄六様は 開墾のお休みで帰っても・ 1129 01:59:12,380 --> 01:59:16,380 内職が 待っておりました> 1130 01:59:18,386 --> 01:59:20,388 (幾江)まあ!・ 1131 01:59:20,388 --> 01:59:24,392 お久しゅうございます。 さあ どうぞ。 1132 01:59:24,392 --> 01:59:27,395 いえ…。 (庄六)どうなされた? 1133 01:59:27,395 --> 01:59:32,395 夫に…。 父の具合が悪いので…。 1134 01:59:34,402 --> 01:59:37,405 ああ。 「家に戻れ」と 伝えてほしいのですな。 1135 01:59:37,405 --> 01:59:39,405 はい。 1136 01:59:42,343 --> 01:59:48,343 「邦尾様と 湯治には 行っておりませぬ」と 夫に…。 1137 01:59:50,351 --> 01:59:53,351 あ… さあ お預かりします。 1138 02:00:01,362 --> 02:00:05,362 陣中見舞いだそうだ。 おお… すまぬ。 1139 02:00:11,372 --> 02:00:14,372 満江殿は お前に惚れているぞ。 1140 02:00:17,378 --> 02:00:21,382 親父の具合が悪いのか? そうらしい。 1141 02:00:21,382 --> 02:00:26,382 一度 帰ったらどうだ? …そうだな。 1142 02:00:30,391 --> 02:00:34,391 おい これ 皆で食べてくれ。 (喜びの声) 1143 02:00:36,397 --> 02:00:40,397 (板木の音) 1144 02:00:42,336 --> 02:00:45,339 市之丞は 戻ったのか? いや。 1145 02:00:45,339 --> 02:00:48,342 市之丞は 今 近江に向かってると・ 1146 02:00:48,342 --> 02:00:50,344 市之丞の兄貴が 伝え聞いたそうだ。 1147 02:00:50,344 --> 02:00:55,349 遠いな。 一蔵は 近江まで逃げているのか。 1148 02:00:55,349 --> 02:00:59,353 あ… あの女に会ったか? とんでもない。 1149 02:00:59,353 --> 02:01:03,357 そうか。 1150 02:01:03,357 --> 02:01:06,360 化け物を見るような顔をするな。 1151 02:01:06,360 --> 02:01:09,363 類は 化け物だよ。 1152 02:01:09,363 --> 02:01:13,367 早く働け! 何をしておる! 1153 02:01:13,367 --> 02:01:18,372 早く仕事にかからんか! ぐずぐず するな!・ 1154 02:01:18,372 --> 02:01:21,372 働け! 1155 02:01:24,378 --> 02:01:31,385 <北の果ての代官所から 父が 病を得て戻ってきました> 1156 02:01:31,385 --> 02:01:34,388 (孫助)スルメと煎餅? はい。 1157 02:01:34,388 --> 02:01:39,393 それに お菓子に焼き米を。 食い物ばかりではないか。 1158 02:01:39,393 --> 02:01:43,331 激しい仕事で お腹がすくと思って。 1159 02:01:43,331 --> 02:01:47,335 あ… それと 肌着を3枚 届けました。 1160 02:01:47,335 --> 02:01:51,339 肌着か…。 それは 満江が縫ったのか? 1161 02:01:51,339 --> 02:01:56,344 はい。 タケに 手伝ってはもらいましたけれど。 1162 02:01:56,344 --> 02:02:02,350 そうか。 自分で縫ったのなら 上々だ。 1163 02:02:02,350 --> 02:02:05,353 (風のうなり) 1164 02:02:05,353 --> 02:02:09,353 大櫛山は見えるか? 1165 02:02:13,361 --> 02:02:19,367 いいえ。 真っ黒い雲が…。 1166 02:02:19,367 --> 02:02:26,367 そうか…。 太蔵が原は どしゃ降りだな。 1167 02:02:40,321 --> 02:02:45,326 <嵐は 3日続き 山は ごうごうと鳴り響いて・ 1168 02:02:45,326 --> 02:02:48,329 4日目の朝> 1169 02:02:48,329 --> 02:02:52,329 (地鳴り) 1170 02:02:54,335 --> 02:02:59,340 <父の恐れていた 山崩れが起こったのです> 1171 02:02:59,340 --> 02:03:02,343 おっ 何ごとだ!? 地震か! 1172 02:03:02,343 --> 02:03:05,343 山が崩れた。 (庄六)隼太! 1173 02:03:07,348 --> 02:03:09,348 (庄六)隼太! 1174 02:03:17,358 --> 02:03:20,361 大変なことになったな。 1175 02:03:20,361 --> 02:03:23,364 親父の言うとおりになった。 1176 02:03:23,364 --> 02:03:27,368 ・人が落ちた! 土砂にのまれたぞ~! 1177 02:03:27,368 --> 02:03:30,368 おい 助けに行くぞ! おう! おう! 1178 02:03:32,373 --> 02:03:37,378 <山崩れのため 開墾は すべて中止と決まり・ 1179 02:03:37,378 --> 02:03:40,378 夫が帰ってきました> 1180 02:03:42,316 --> 02:03:45,319 ひとつき前に 駕籠で お戻りとは…。 1181 02:03:45,319 --> 02:03:48,322 知らせがあれば もっと早く お見舞いに戻るところでしたが。 1182 02:03:48,322 --> 02:03:53,327 なに 持病の肝の臓の病が 少し悪くなったのだ。 1183 02:03:53,327 --> 02:03:58,332 山崩れで 死人が出たそうだな。 1184 02:03:58,332 --> 02:04:02,336 はい。 以前 義父上が おっしゃったとおりでした。 1185 02:04:02,336 --> 02:04:07,336 開墾を 政の道具にするからだ。 1186 02:04:10,344 --> 02:04:15,349 宮坂一蔵のことを聞いた。 はい。 1187 02:04:15,349 --> 02:04:18,352 討っ手を志願し 宮坂を斬ってやるのが・ 1188 02:04:18,352 --> 02:04:25,359 武士の本道だが よく こらえてくれた。 はあ。 1189 02:04:25,359 --> 02:04:29,363 宮坂に返り討ちになり お前が いなくなると・ 1190 02:04:29,363 --> 02:04:33,367 この家が 途絶えるということではない。 1191 02:04:33,367 --> 02:04:35,369 はい。 1192 02:04:35,369 --> 02:04:42,369 お前に 農業の仕事を やらせたいのだ。 1193 02:04:44,311 --> 02:04:47,314 満江に 「卑怯だ」と言われました。 1194 02:04:47,314 --> 02:04:51,318 言葉のあやであろう。 本気で そう思っている訳ではない。 1195 02:04:51,318 --> 02:04:55,318 あいつは お前に惚れている。 1196 02:04:57,324 --> 02:05:03,330 実はな… わしは 隠居する。 1197 02:05:03,330 --> 02:05:06,333 えっ…? 1198 02:05:06,333 --> 02:05:11,333 隠居願を出して 家督を そなたに譲る。 1199 02:05:13,340 --> 02:05:16,343 隠居は まだ早いでしょう。 1200 02:05:16,343 --> 02:05:20,347 病を治して いま一度 お役に戻りませぬと。 1201 02:05:20,347 --> 02:05:22,349 いや 駄目だ。 1202 02:05:22,349 --> 02:05:27,349 伜よ。 わしは先が短い。 1203 02:05:29,356 --> 02:05:36,363 生きているうちに そなたは 仕事になれる方がいい。 1204 02:05:36,363 --> 02:05:41,302 しかし 言っておくが 家を継ぐからには・ 1205 02:05:41,302 --> 02:05:47,308 いつまで経っても 上村の 次男坊の気分ではいかんぞ。 1206 02:05:47,308 --> 02:05:53,314 満江との いさかいや 小黒の伜と やり合うなどとは・ 1207 02:05:53,314 --> 02:05:56,317 どちらも 褒められたことではない。 1208 02:05:56,317 --> 02:06:00,321 大人にならぬといかん! 1209 02:06:00,321 --> 02:06:03,321 肝に銘じておきます。 1210 02:06:06,327 --> 02:06:12,327 <その夜 夫は 市之丞様を 訪ねたのでございます> 1211 02:06:21,342 --> 02:06:24,342 帰っていたのか? 1212 02:06:31,352 --> 02:06:34,352 20日ほど前だ。 1213 02:06:41,362 --> 02:06:44,362 一蔵は…? 1214 02:06:46,367 --> 02:06:49,367 死んだ。 1215 02:06:52,373 --> 02:06:58,379 俺が… 斬ってやった。 1216 02:06:58,379 --> 02:07:13,394 ・~ 1217 02:07:13,394 --> 02:07:16,397 俺は… 帰る。 1218 02:07:16,397 --> 02:08:02,376 ・~ 1219 02:08:02,376 --> 02:08:05,376 一蔵…。 1220 02:08:08,382 --> 02:08:12,386 お前に 何と言われようと…・ 1221 02:08:12,386 --> 02:08:18,386 俺が 正直に言えばよかった。 1222 02:08:28,402 --> 02:08:35,402 お前の… はかない夢を…。 1223 02:08:42,349 --> 02:08:44,349 俺は…。 1224 02:08:50,357 --> 02:08:53,357 ひそかに笑っていたのだ。 1225 02:09:00,367 --> 02:09:03,367 一蔵…。 1226 02:09:05,372 --> 02:09:08,375 許してくれ! 1227 02:09:08,375 --> 02:09:29,375 ・~ 1228 02:09:31,398 --> 02:09:37,404 ・~(田植え囃子) 1229 02:09:37,404 --> 02:09:42,342 <夫は 家を継いで 郷方廻りに任ぜられ・ 1230 02:09:42,342 --> 02:09:45,345 加治郡の代官所勤めとなります。・ 1231 02:09:45,345 --> 02:09:50,350 父の孫助を立派に継ぎたい…。 夫は 家に帰らず・ 1232 02:09:50,350 --> 02:09:54,354 代官所に泊まり込んで 働き続けました。・ 1233 02:09:54,354 --> 02:10:00,360 夫が 郡奉行助役見習に出世して 城勤めとなるのは・ 1234 02:10:00,360 --> 02:10:04,360 1年半後のことでございます> 1235 02:10:06,366 --> 02:10:09,369 <数え3歳 長男の孫一郎です> 1236 02:10:09,369 --> 02:10:12,372 野瀬 しつこくするな。 1237 02:10:12,372 --> 02:10:15,375 (市之丞)こいつ 隼太そっくりだ。 おこりんぼなのです。 1238 02:10:15,375 --> 02:10:20,380 <春のお彼岸に 杉山忠兵衛様・ 1239 02:10:20,380 --> 02:10:23,383 藤井庄六様・ 1240 02:10:23,383 --> 02:10:27,387 野瀬市之丞様が お越しになりました。・ 1241 02:10:27,387 --> 02:10:34,394 一蔵様の事件以来 3年ぶりで お仲間がそろいました> 1242 02:10:34,394 --> 02:10:38,398 すまん すまん。 村回りで遅くなった。 1243 02:10:38,398 --> 02:10:40,334 ただいま帰りました。 (孫助)おう。 1244 02:10:40,334 --> 02:10:42,336 (忠兵衛)何だ その顔は? 1245 02:10:42,336 --> 02:10:45,339 俺も 本当の 郷方廻りの顔になったろう。 1246 02:10:45,339 --> 02:10:47,341 城勤めで 村と縁が切れたのではないのか。 1247 02:10:47,341 --> 02:10:50,344 いや 今でも百姓とは しっかり つきあっておる。 1248 02:10:50,344 --> 02:10:54,348 (孫一郎)やだ やだ! 嫌いか 孫? 1249 02:10:54,348 --> 02:10:57,351 大好きだろ? ほら こっち来い。・ 1250 02:10:57,351 --> 02:11:01,355 こいつ ひねくれ者になったぞ。 (孫一郎)いや いや。 1251 02:11:01,355 --> 02:11:05,359 具合は すこぶる よろしいようですな。 1252 02:11:05,359 --> 02:11:08,362 春になってから 元気になった。 どうかのう。 1253 02:11:08,362 --> 02:11:11,365 死ぬのが 早いか遅いか というだけのことでしょう。 1254 02:11:11,365 --> 02:11:14,368 いや… 早く 御本復なされて・ 1255 02:11:14,368 --> 02:11:17,371 農政への御意見を 賜りたいものでございます。 1256 02:11:17,371 --> 02:11:19,373 まるで 執政になったようだな。 1257 02:11:19,373 --> 02:11:21,375 ああ。 1258 02:11:21,375 --> 02:11:23,377 それらしい御様子に なってこられましたな。 1259 02:11:23,377 --> 02:11:26,377 ありがとうございます。 1260 02:11:28,382 --> 02:11:32,386 御無沙汰いたしました。 1261 02:11:32,386 --> 02:11:35,389 どうぞ。 かたじけない。 1262 02:11:35,389 --> 02:11:39,393 お… 2人目ですか? はい。 1263 02:11:39,393 --> 02:11:41,328 きれいになったな。 1264 02:11:41,328 --> 02:11:45,332 いや… もともと おきれいなのだ。 1265 02:11:45,332 --> 02:11:48,335 (市之丞)そうか もともとかの…。 1266 02:11:48,335 --> 02:11:51,335 黙れ 貴様。 1267 02:11:54,341 --> 02:11:56,343 太蔵が原のことなのですが・ 1268 02:11:56,343 --> 02:11:59,346 あの土地を開墾するのは どうしても無理なのでしょうか? 1269 02:11:59,346 --> 02:12:03,350 (孫助) いや そうとも言えませぬな。 1270 02:12:03,350 --> 02:12:06,353 では 何か 格別な手だてがございますか? 1271 02:12:06,353 --> 02:12:10,357 格別というほどではないのです。 とにかく・ 1272 02:12:10,357 --> 02:12:14,361 水を引く水路が できるか否か。 それだけのことです。 1273 02:12:14,361 --> 02:12:18,365 (忠兵衛)…ということは 優れた測量家が見つかり・ 1274 02:12:18,365 --> 02:12:21,368 土が硬く 崩れぬ所に 水路を造ることができれば…。 1275 02:12:21,368 --> 02:12:26,373 開墾はできます。 しかし… 焦らずに。 1276 02:12:26,373 --> 02:12:28,375 はい。 1277 02:12:28,375 --> 02:12:31,378 (庄六)市之丞。 お前 しつこいぞ。 1278 02:12:31,378 --> 02:12:34,381 ほ~ら。 こいつは かわいい。 1279 02:12:34,381 --> 02:12:37,384 や~だ やだ やだ。 1280 02:12:37,384 --> 02:12:39,386 あいつ 少し変だな。 1281 02:12:39,386 --> 02:12:41,321 そうか? 1282 02:12:41,321 --> 02:12:44,321 ・(2人の戯れる声) 1283 02:12:49,329 --> 02:12:53,333 なあ 婿入りの話はないのか? 1284 02:12:53,333 --> 02:12:58,338 ない訳ではない。 なぜ? 1285 02:12:58,338 --> 02:13:03,343 俺は生涯 独りでよい。 独りという訳にもいくまい。 1286 02:13:03,343 --> 02:13:06,346 そうだ。 自分の子が見たかろう。 1287 02:13:06,346 --> 02:13:09,349 俺の子など 見たくない。 1288 02:13:09,349 --> 02:13:12,352 そう 自分を責めるな。 1289 02:13:12,352 --> 02:13:15,355 一蔵は お前に討たれて よかったのだ。 1290 02:13:15,355 --> 02:13:17,355 黙れ! 1291 02:13:28,368 --> 02:13:35,375 ・~ 1292 02:13:35,375 --> 02:13:41,315 <人の世というものは まことに 不思議なものでございます。・ 1293 02:13:41,315 --> 02:13:47,321 この後に 市之丞様が 類様と わりない間柄になるなどとは・ 1294 02:13:47,321 --> 02:13:51,321 夢にも思わぬことでございました> 1295 02:13:53,327 --> 02:13:55,329 俺は帰る。 1296 02:13:55,329 --> 02:13:57,331 俺も帰ろう。 1297 02:13:57,331 --> 02:14:36,331 ・~ 1298 02:14:46,313 --> 02:14:51,318 <ふきさんには 今までに何度か お会いしましたけれど・ 1299 02:14:51,318 --> 02:14:55,322 はっきりと顔を見たことは ございませんでした。・ 1300 02:14:55,322 --> 02:14:57,324 けれど 今日は…・ 1301 02:14:57,324 --> 02:15:00,327 ふきさんが きれいだと思いました> 1302 02:15:00,327 --> 02:15:04,327 ああ…。 お越しなされませ。 1303 02:15:06,333 --> 02:15:10,337 孫一郎様。 大きくおなりになって。 1304 02:15:10,337 --> 02:15:14,341 今日は 何だか きれいですね。 1305 02:15:14,341 --> 02:15:17,344 嫁ぎ先が 決まったのでございます。 1306 02:15:17,344 --> 02:15:21,348 御弓組の足軽の 松村様でございます。 1307 02:15:21,348 --> 02:15:25,348 それは おめでとうございます。 ありがとうございます。 1308 02:15:34,361 --> 02:15:38,365 嫁に行くのか? 1309 02:15:38,365 --> 02:15:40,300 …そうか。 1310 02:15:40,300 --> 02:15:42,302 1人 お子様が いらっしゃいますけれど・ 1311 02:15:42,302 --> 02:15:46,302 ありがたいお話だと 思っております。 1312 02:15:48,308 --> 02:15:52,312 お前… 着物はないのか? 1313 02:15:52,312 --> 02:15:56,312 あ… これで…。 私のような者には。 1314 02:15:59,319 --> 02:16:10,330 ・~ 1315 02:16:10,330 --> 02:16:14,334 申し訳なかった。 1316 02:16:14,334 --> 02:16:20,340 俺は 自分勝手だった。 1317 02:16:20,340 --> 02:16:25,345 お前の気持ちなど 考えたことはなかった。 1318 02:16:25,345 --> 02:16:31,351 お変わりになられましたね。 …そうかな。 1319 02:16:31,351 --> 02:16:36,356 お百姓と共に働かれて。 …けれど。 1320 02:16:36,356 --> 02:16:40,360 …けれど? 1321 02:16:40,360 --> 02:16:42,362 私が あなた様を・ 1322 02:16:42,362 --> 02:16:46,366 私の望みのままに いたしたのでございますから。 1323 02:16:46,366 --> 02:16:50,366 女子は 強い生き物でございますよ。 1324 02:16:54,374 --> 02:16:57,377 春の香りがいたしますよ。 1325 02:16:57,377 --> 02:17:14,394 ・~ 1326 02:17:14,394 --> 02:17:17,394 春の香りだ。 1327 02:17:22,402 --> 02:17:25,405 旦那様。 1328 02:17:25,405 --> 02:17:50,405 ・~ 1329 02:18:14,387 --> 02:19:33,387 ・~ 1330 02:24:16,349 --> 02:24:20,353 ・~ 1331 02:24:20,353 --> 02:24:22,722 (満江)<宮坂一蔵が・ 1332 02:24:22,722 --> 02:24:25,525 妻の不倫相手を斬って 脱藩し・ 1333 02:24:25,525 --> 02:24:29,062 討っ手の市之丞に 斬られて 亡くなります。・ 1334 02:24:29,062 --> 02:24:31,564 隼太は なぜ 一蔵に・ 1335 02:24:31,564 --> 02:24:36,736 忠告しなかったのかと 深く 悔やむのです> 1336 02:24:36,736 --> 02:24:38,836 (雷鳴) 1337 02:24:45,378 --> 02:24:55,355 ・~ 1338 02:24:55,355 --> 02:25:01,155 (隼太)ヤア~! ウッ! ウッ! ヤッ! 1339 02:25:02,929 --> 02:25:04,931 (庄六)あっ あ~! 1340 02:25:04,931 --> 02:25:07,431 庄六か…。 1341 02:25:11,471 --> 02:25:14,674 観音堂でもらってきた。 満江殿に。 1342 02:25:14,674 --> 02:25:19,245 安産のお守りか。 かたじけない。 1343 02:25:19,245 --> 02:25:22,915 そろそろだろう? うん。 1344 02:25:22,915 --> 02:25:30,657 そんな時に 物騒な物を 「エイッ! ヤア!」などと振り回して。 1345 02:25:30,657 --> 02:25:32,725 ホッ! 1346 02:25:32,725 --> 02:25:36,362 実は 忠兵衛から 頼まれごとをされてな。 1347 02:25:36,362 --> 02:25:41,300 その話はいい。 政に かかわることだろう? 1348 02:25:41,300 --> 02:25:45,705 俺には 無縁のことだ。 1349 02:25:45,705 --> 02:25:47,840 出世もしたくないしの。 1350 02:25:47,840 --> 02:25:52,311 下手に 首を突っ込んで 家をつぶされるのも 困る。 1351 02:25:52,311 --> 02:25:57,083 そうか。 かたじけない。 くれぐれも 自重しろ。 1352 02:25:57,083 --> 02:26:00,083 斬り合いなど もってのほかだ! 1353 02:26:02,255 --> 02:26:04,390 (鳥のさえずり) 1354 02:26:04,390 --> 02:26:10,596 満江 どうだ? ええ…。 1355 02:26:10,596 --> 02:26:13,596 庄六が持ってきた。 1356 02:26:17,704 --> 02:26:21,340 今日は お城で ございますか? 1357 02:26:21,340 --> 02:26:24,210 城ではないが 所用がある。 1358 02:26:24,210 --> 02:26:28,815 (加音)隼太殿。 どのような用件か 知りませぬが 今日くらい…。 1359 02:26:28,815 --> 02:26:31,984 大切な用なのです。 1360 02:26:31,984 --> 02:26:35,922 <今まで 一度も見たことのない 夫の顔を見ました。・ 1361 02:26:35,922 --> 02:26:42,361 この日から 夫は 出世の階段を 上り始めたのでございます> 1362 02:26:42,361 --> 02:26:48,167 (孫助)今日は 何かあるのか? 加音が心配していた。 1363 02:26:48,167 --> 02:26:53,873 杉山忠兵衛に 用人の牧原様の 警護を頼まれまして。 1364 02:26:53,873 --> 02:27:01,013 用人の牧原様? お上は 確か 今日 参勤で 江戸に向かったはずだぞ。 1365 02:27:01,013 --> 02:27:06,085 牧原様は 御一緒せぬそうです。 1366 02:27:06,085 --> 02:27:11,758 お上のお言葉を ひそかに 忠兵衛たちに 伝えに来るそうで。 1367 02:27:11,758 --> 02:27:16,963 お上の? 先月 そのことで 忠兵衛に呼び出されました。 1368 02:27:16,963 --> 02:27:22,502 (忠兵衛) 我々は 今年になって 内々で お上に 上申書を差し出した。 1369 02:27:22,502 --> 02:27:24,704 訴状と言ってもいい。 1370 02:27:24,704 --> 02:27:28,341 賄賂まみれの首席家老 小黒の行いと・ 1371 02:27:28,341 --> 02:27:34,714 無策な政を糾弾した訴状だ。 お上がお読み下さり・ 1372 02:27:34,714 --> 02:27:39,051 我々に 御意思を お示しになることを願ってな。 1373 02:27:39,051 --> 02:27:41,053 我々とは? 1374 02:27:41,053 --> 02:27:43,156 我々さ。 1375 02:27:43,156 --> 02:27:47,927 つまり 小黒家老に異を唱える 御重役たちという訳だ。 1376 02:27:47,927 --> 02:27:51,364 そうだ。 10名は超えている。 1377 02:27:51,364 --> 02:27:56,068 そんなにか。 で 訴状は? 1378 02:27:56,068 --> 02:28:03,042 無事 お上に渡った。 しかし即座に 小黒一派に漏れてしまった。 1379 02:28:03,042 --> 02:28:06,913 それは…。 小黒は お上の周りに 人をはり付けた。 1380 02:28:06,913 --> 02:28:14,513 誰も近づけない。 だが 内々で 昨日 ようやくお返事があった。 1381 02:28:19,625 --> 02:28:25,164 子細は 口頭で 牧原より聞けとの お指図だ。 1382 02:28:25,164 --> 02:28:30,536 「子細は 牧原様より聞け」か? そうだ。 1383 02:28:30,536 --> 02:28:34,340 お上は 今の執政たちに対して 御意見があるということだ。 1384 02:28:34,340 --> 02:28:37,343 そうは思わぬか 桑山? 1385 02:28:37,343 --> 02:28:41,113 確かに。 1386 02:28:41,113 --> 02:28:47,213 しかし そういう役目なら 俺より よい男がおるではないか。 1387 02:28:50,356 --> 02:28:53,693 野瀬市之丞か? 1388 02:28:53,693 --> 02:28:59,265 市之丞なら 口は堅いし 腕もたつ。 1389 02:28:59,265 --> 02:29:06,906 は… 事は 政にかかわる話だ。 野瀬では…。 1390 02:29:06,906 --> 02:29:12,745 このような大事を頼めるのは 貴公しかおらぬのだ。 1391 02:29:12,745 --> 02:29:16,849 つまり 貴公に 味方をしろという訳か? 1392 02:29:16,849 --> 02:29:22,388 味方…? むろん そうだ。 1393 02:29:22,388 --> 02:29:26,859 手伝えば 杉山忠兵衛に くみする形になりますが・ 1394 02:29:26,859 --> 02:29:29,862 断ることもできかね 引き受けました。 1395 02:29:29,862 --> 02:29:33,900 御承知いただきたいと思います。 まあ いずれは お家は・ 1396 02:29:33,900 --> 02:29:37,770 杉山派と小黒派に 二分されるのだから。 1397 02:29:37,770 --> 02:29:42,575 まさか 小黒につく訳にも いきません。 1398 02:29:42,575 --> 02:29:46,212 (孫一郎)父上様! 遊ぼう。 1399 02:29:46,212 --> 02:29:50,082 駄目だ。 用事があるのだ。 なあ。 1400 02:29:50,082 --> 02:29:53,052 自重するのだぞ。 はい。 1401 02:29:53,052 --> 02:29:56,055 さあ 孫一郎 おいで。 1402 02:29:56,055 --> 02:30:02,361 ・~ 1403 02:30:02,361 --> 02:30:06,565 <殿様の用人の牧原喜左衛門様は・ 1404 02:30:06,565 --> 02:30:11,765 廻船問屋の「羽太屋」の奥に 身を隠しておりました> 1405 02:30:16,275 --> 02:30:19,675 桑山隼太でございます。 1406 02:30:21,681 --> 02:30:24,016 (万年)御苦労さまで ございます。 1407 02:30:24,016 --> 02:30:26,916 「羽太屋」2代目の 万年と申します。 1408 02:30:33,025 --> 02:30:36,025 お越しなさりませ。 1409 02:30:38,531 --> 02:30:40,531 奥の方へ。 1410 02:30:43,502 --> 02:30:46,002 御苦労…。 1411 02:30:49,642 --> 02:30:53,045 (松崎)こちらへ。 1412 02:30:53,045 --> 02:30:57,350 <夫は 自分の甘さに 腹を立てておりました。・ 1413 02:30:57,350 --> 02:31:01,787 杉山様は 夫を 味方にしたいのではなく・ 1414 02:31:01,787 --> 02:31:05,891 ただの護衛役が 欲しかっただけなのです> 1415 02:31:05,891 --> 02:31:14,367 ・~ 1416 02:31:14,367 --> 02:31:20,172 (牧原)お上からのお言葉を お伝えいたします。 はっ。 1417 02:31:20,172 --> 02:31:25,011 「今しばし 時を待つように。・ 1418 02:31:25,011 --> 02:31:28,681 小黒は いくつかの非はあれども・ 1419 02:31:28,681 --> 02:31:33,953 財政の立て直しの メドがつくまで 自重せよ」。 1420 02:31:33,953 --> 02:31:41,327 ・~ 1421 02:31:41,327 --> 02:31:46,665 わっ 何が出たかな? 1422 02:31:46,665 --> 02:31:52,338 おお 巾着だ。 ハハハ…。 すご~い。 1423 02:31:52,338 --> 02:31:55,838 ・(産声) 1424 02:31:58,344 --> 02:32:02,348 産まれたか? はい。 男の子でした。 1425 02:32:02,348 --> 02:32:08,054 おお 満江 でかした。 男の子は かわいい。 1426 02:32:08,054 --> 02:32:11,891 女は うるさいし 金がかかるからの。 1427 02:32:11,891 --> 02:32:14,991 ・(赤ちゃんの泣き声) 1428 02:32:17,296 --> 02:32:20,296 目を上げては なりませぬ。 1429 02:32:30,176 --> 02:32:32,176 (忠兵衛)待たせた。 1430 02:32:34,313 --> 02:32:37,613 では 失礼をして。 1431 02:32:40,019 --> 02:32:47,326 桑山。 帰り道は 危ない。 国境まで お送りしてもらわねばならぬ。 1432 02:32:47,326 --> 02:32:51,030 屋敷の者をつけるか? いや。 無用だ。 1433 02:32:51,030 --> 02:32:53,030 そうか。 1434 02:32:58,337 --> 02:33:02,708 桑山孫助殿の 家の人だそうですな。 1435 02:33:02,708 --> 02:33:07,213 は… 桑山の娘婿でございます。 1436 02:33:07,213 --> 02:33:12,885 随分 前の話になるが 孫助殿を 郡代にという話があったが・ 1437 02:33:12,885 --> 02:33:16,622 聞いておられるか? はあ 存じております。 1438 02:33:16,622 --> 02:33:21,894 推挙したのが それがしでござる。 それは…。 1439 02:33:21,894 --> 02:33:25,664 それは 思いがけぬことを 承りました。 1440 02:33:25,664 --> 02:33:29,301 わしが 孫助殿を 郡代にと推したのは・ 1441 02:33:29,301 --> 02:33:32,505 孫助殿の手柄で 長四郎堰が出来上がり・ 1442 02:33:32,505 --> 02:33:36,308 2千町歩の田畑が見込めると 分かった時だった。 1443 02:33:36,308 --> 02:33:41,313 だが 執政どもが 承知せず かなわなかったのだ。 1444 02:33:41,313 --> 02:33:52,858 ・~ 1445 02:33:52,858 --> 02:33:58,764 しかし 残念だった。 もし あの時 舅殿が郡代に進み・ 1446 02:33:58,764 --> 02:34:01,867 さらには 執政にも上っておれば・ 1447 02:34:01,867 --> 02:34:06,605 もう少し お家の財政は よくなっていたかもしれぬ。 1448 02:34:06,605 --> 02:34:10,476 そこまで 舅を買っておられたのですか? 1449 02:34:10,476 --> 02:34:12,711 頼みにしておったな。 1450 02:34:12,711 --> 02:34:14,880 お上がでございまするか? 1451 02:34:14,880 --> 02:34:17,883 そこもとには ぜひとも 太蔵が原に・ 1452 02:34:17,883 --> 02:34:21,554 水を引く水路を 造ってもらいたいのだ。 1453 02:34:21,554 --> 02:34:25,891 よい測量家を探して 引き合わせよう。 1454 02:34:25,891 --> 02:34:27,891 失礼。 1455 02:34:33,732 --> 02:34:36,532 それがしの後ろを 離れませぬよう。 1456 02:34:38,737 --> 02:34:40,906 (鯉口を切る音) 1457 02:34:40,906 --> 02:34:44,406 (風の音) 1458 02:35:00,392 --> 02:35:04,092 (斬り合う音) 1459 02:35:06,198 --> 02:35:23,048 ・~ 1460 02:35:23,048 --> 02:35:28,354 あれは 確か 野瀬だな。 さあ…。 1461 02:35:28,354 --> 02:35:54,354 ・~ 1462 02:35:58,584 --> 02:36:01,884 ・(足音) 1463 02:36:03,922 --> 02:36:06,922 お戻りなさいませ。 1464 02:36:09,728 --> 02:36:14,428 御苦労であった。 はい。 男の子でございました。 1465 02:36:21,707 --> 02:36:24,607 かわいい子だ。 1466 02:36:26,712 --> 02:36:30,149 何かございましたか? うん? 1467 02:36:30,149 --> 02:36:34,053 お顔が…。 1468 02:36:34,053 --> 02:36:38,724 帰りに襲われてな。 斬り合いになりそうになった。 1469 02:36:38,724 --> 02:36:40,724 まあ。 1470 02:36:43,062 --> 02:36:48,762 市之丞が 3人斬った。 (赤ちゃんの泣き声) 1471 02:36:55,374 --> 02:37:00,679 ああ… ああいうふうに 人は斬れん。 1472 02:37:00,679 --> 02:37:07,479 奴は 変わった。 いや 忠兵衛も変わった。 1473 02:37:11,957 --> 02:37:14,557 疲れた。 1474 02:37:16,595 --> 02:37:21,333 おやすみになるのでしたら お隣のお部屋へ。 1475 02:37:21,333 --> 02:37:24,433 こうしていたいのだ。 1476 02:37:28,073 --> 02:37:34,346 今夜は 本当に疲れた。 ああ…。 1477 02:37:34,346 --> 02:37:39,146 どうも… 俺は 百姓になったらしい。 1478 02:37:40,886 --> 02:37:44,590 農業が 一番好きだ。 1479 02:37:44,590 --> 02:37:47,059 父に似て参りましたね。 1480 02:37:47,059 --> 02:37:49,228 いやだな。 1481 02:37:49,228 --> 02:37:52,765 (笑い声) 1482 02:37:52,765 --> 02:38:00,372 しかし すごいことになったぞ。 用人の牧原様がな。 はい。 1483 02:38:00,372 --> 02:38:03,742 太蔵が原に 水を引くために 江戸から 腕のいい測量家を・ 1484 02:38:03,742 --> 02:38:07,746 よこしてくれると おっしゃった。 太蔵が原の水…。 1485 02:38:07,746 --> 02:38:10,382 父の夢でございますね。 1486 02:38:10,382 --> 02:38:14,353 ああ 親父殿の夢だ。 1487 02:38:14,353 --> 02:38:20,426 水が引けたら 5千町歩の田畑が作れる。 1488 02:38:20,426 --> 02:38:24,526 そうなれば 俺は 郡代になれるかもしれぬ。 1489 02:38:26,632 --> 02:38:31,537 郡代になったら 執政への道も…。 1490 02:38:31,537 --> 02:38:42,881 ・~ 1491 02:38:42,881 --> 02:38:47,052 郡代など ならずとも よろしゅうございます。 1492 02:38:47,052 --> 02:38:51,052 このままで 十分でございます。 1493 02:38:55,494 --> 02:38:58,694 (駕籠屋の掛け声) 1494 02:39:05,804 --> 02:39:08,004 ふき。 1495 02:39:11,109 --> 02:39:15,013 上村の兄に聞いた。 突然だったな。 1496 02:39:15,013 --> 02:39:18,317 (ふき) 夫は太っていたので 以前から時々・ 1497 02:39:18,317 --> 02:39:21,320 胸が苦しいって 言っていたんです。 1498 02:39:21,320 --> 02:39:26,458 でも 朝 冷たくなっているのには…。 1499 02:39:26,458 --> 02:39:30,295 そうか。 悲しかったであろう。 1500 02:39:30,295 --> 02:39:34,395 はい。 優しいお人でしたから。 1501 02:39:36,034 --> 02:39:39,705 田舎へ… 帰るそうだな。 1502 02:39:39,705 --> 02:39:46,345 はい。 隼太様も お元気で。 1503 02:39:46,345 --> 02:39:48,945 ああ。 1504 02:40:02,594 --> 02:40:06,732 ・~ 1505 02:40:06,732 --> 02:40:09,132 ふき! 1506 02:40:12,070 --> 02:40:16,208 田舎と言ったが 当てはあるのか? 1507 02:40:16,208 --> 02:40:20,708 はい。 御心配なさらずに。 1508 02:40:22,314 --> 02:40:26,852 <「ざくろ屋」は 女将の さっぱりした気性を好んで・ 1509 02:40:26,852 --> 02:40:31,023 長い間 父が通った店でございます> 1510 02:40:31,023 --> 02:40:34,693 (妙)不景気で 大したお金も 出せませんけれど・ 1511 02:40:34,693 --> 02:40:39,698 それでも よかったら。 ええ。 食べていければ。 1512 02:40:39,698 --> 02:40:45,337 ・~ 1513 02:40:45,337 --> 02:40:52,044 <女には 噂の通る道というものが ございます。 「ざくろ屋」で・ 1514 02:40:52,044 --> 02:40:57,744 ふきさんが 働いていることは すぐに伝わって参りました> 1515 02:40:59,718 --> 02:41:06,892 その女は 何か? 隼太と 何かあるのか? 1516 02:41:06,892 --> 02:41:11,063 はい。 あるのか。 1517 02:41:11,063 --> 02:41:13,065 昔は…。 1518 02:41:13,065 --> 02:41:16,668 (孫助) 今の話だ。 昔ではない。 1519 02:41:16,668 --> 02:41:20,172 でも 夫が 「ざくろ屋」に 連れていったのです。 1520 02:41:20,172 --> 02:41:22,507 今も 何かあるのでは ござりませぬか。 1521 02:41:22,507 --> 02:41:28,580 お前は 自分の夫を 信じていないのか? 1522 02:41:28,580 --> 02:41:32,951 隼太殿が このごろ 家に 戻りませぬゆえ。 1523 02:41:32,951 --> 02:41:36,555 凶作で 村々を 回っている。 忙しいのだ。 1524 02:41:36,555 --> 02:41:40,325 はい。 けれど 満江からすると・ 1525 02:41:40,325 --> 02:41:43,762 あまり 気持ちのいい お話ではござりませぬ。 1526 02:41:43,762 --> 02:41:48,900 「ざくろ屋」は わしが ひいきにした店だ。 1527 02:41:48,900 --> 02:41:52,337 もし 何かあったら 口を利いたりはせぬ。 1528 02:41:52,337 --> 02:41:57,042 あなたと 女将が 親しいので それで…。 1529 02:41:57,042 --> 02:42:00,212 「親しい」とは 何だ! 私 「ざくろ屋」へ行って参ります。 1530 02:42:00,212 --> 02:42:04,712 ならぬ! 武士の妻らしくいたせ! 1531 02:42:10,355 --> 02:42:16,161 <明けて天明2年 昨年に続く凶作が見込まれ・ 1532 02:42:16,161 --> 02:42:20,461 夫は 仕事で 帰らぬ日が多くなりました> 1533 02:42:24,036 --> 02:42:31,309 (男)花岡。 お主 お奉行に上申書を 出したそうだな。 上申書? 1534 02:42:31,309 --> 02:42:34,846 (花岡)はい。 飢饉に備えるために 上申書を出しました。 1535 02:42:34,846 --> 02:42:41,346 このままですと お家は つぶれて しまいますから。 そうか。 1536 02:42:43,321 --> 02:42:47,693 (ウグイスの鳴き声) 天気ばかりは どうにもならぬ。 1537 02:42:47,693 --> 02:42:53,198 もう ウグイスですから。 雪が少なかったゆえ・ 1538 02:42:53,198 --> 02:42:57,335 今年も 水不足になると 百姓が不安そうで。 1539 02:42:57,335 --> 02:43:03,041 去年の冬も 雪が少なく 凶作になった。 はい。 1540 02:43:03,041 --> 02:43:06,712 う~ん 似ている。 似ている? 1541 02:43:06,712 --> 02:43:11,883 うん。 宝暦4年 5年と 続いた凶作は・ 1542 02:43:11,883 --> 02:43:18,156 「宝五の飢饉」と呼ばれ 餓死者を出す 一歩手前までいった。 1543 02:43:18,156 --> 02:43:21,993 その大飢饉の時と 一緒だ。 1544 02:43:21,993 --> 02:43:25,997 凶作に備え 上申をしたいのですが。 1545 02:43:25,997 --> 02:43:30,001 意見書か? はい。 1546 02:43:30,001 --> 02:43:33,171 出世をしたいのか? いえ。 1547 02:43:33,171 --> 02:43:38,410 百姓が 凶作で泣く姿を 見たくないのです。 1548 02:43:38,410 --> 02:43:43,910 そうか。 正直に言え。 1549 02:43:45,884 --> 02:43:48,920 出世は むろん… したらしたで うれしいですが。 1550 02:43:48,920 --> 02:43:51,923 足るを知るな 足るを…。 はあ。 1551 02:43:51,923 --> 02:43:59,865 欲張れ。 若いうちは 欲張らねばいかん。 はい。 1552 02:43:59,865 --> 02:44:03,365 「宝五の飢饉」の折の 覚書だ。 1553 02:44:06,338 --> 02:44:12,344 <夫は 昼夜を徹して 凶作対策の 上申書作りに没頭し・ 1554 02:44:12,344 --> 02:44:16,244 月末 郡奉行に提出しました> 1555 02:44:20,051 --> 02:44:25,056 <その日は 執政会議が 開かれていました> 1556 02:44:25,056 --> 02:44:27,058 (郡奉行)桑山! はっ。 1557 02:44:27,058 --> 02:44:30,362 評定で お主の上申書どおりに 領内に・ 1558 02:44:30,362 --> 02:44:34,733 早稲の植え付けを 命ずると決まったぞ。 はあ。 1559 02:44:34,733 --> 02:44:37,803 (西村)よかったの 桑山。 (山根)おめでとう。 1560 02:44:37,803 --> 02:44:40,071 田ごしらえも 種もみを 水におろす時。 1561 02:44:40,071 --> 02:44:43,575 今 御決断下されて よかったと存じます。 1562 02:44:43,575 --> 02:44:46,378 お奉行。 上申書には あと一点・ 1563 02:44:46,378 --> 02:44:49,748 飢饉に備えるための上方米の 買い付けをしたためましたが。 1564 02:44:49,748 --> 02:44:54,753 そのことよ。 そのことで 執政が お主に 用があると言ってる。 1565 02:44:54,753 --> 02:44:57,753 (一同)お~。 執政が…。 1566 02:45:00,692 --> 02:45:05,096 郡奉行所 助役見習 桑山隼太でございます。 1567 02:45:05,096 --> 02:45:11,403 <待っていたのは 首席家老の 小黒武兵衛様でございました。・ 1568 02:45:11,403 --> 02:45:18,043 父 孫助を失脚させ 杉山忠兵衛と 争っているお方です> 1569 02:45:18,043 --> 02:45:21,213 (小黒)上申書に…。 はっ。 1570 02:45:21,213 --> 02:45:23,215 上方米の 買い付けを・ 1571 02:45:23,215 --> 02:45:25,650 「羽太屋」に 請け負わせろとある。 1572 02:45:25,650 --> 02:45:30,222 上方米の買い付けには 急を要します。 1573 02:45:30,222 --> 02:45:34,059 他の大名家も 買い付けに動くは必至。 1574 02:45:34,059 --> 02:45:38,763 借金で 議論をしている暇は…。 「羽太屋」は 土地を欲しがる。 1575 02:45:38,763 --> 02:45:42,801 大金を貸すのと引き換えに 土地を買い入れて・ 1576 02:45:42,801 --> 02:45:46,738 領内には お上と もう一人の 領主がいると言われるほどに・ 1577 02:45:46,738 --> 02:45:49,741 大きくなってしまった。 それは 存じております。 1578 02:45:49,741 --> 02:45:55,380 しかし 上方商人に借りようにも すでに 来年の年貢米をかたに・ 1579 02:45:55,380 --> 02:45:58,383 借金をしていると聞き及びます。 1580 02:45:58,383 --> 02:46:04,089 お上が お主の策を お取り上げになられた。 1581 02:46:04,089 --> 02:46:10,762 米の買い付けは 「羽太屋」に 請け負わせることになった。 1582 02:46:10,762 --> 02:46:12,762 はあ。 1583 02:46:15,333 --> 02:46:18,870 <寒い夏になりました。・ 1584 02:46:18,870 --> 02:46:23,842 私と夫が 生涯 忘れられぬ 暗い夏でございました> 1585 02:46:23,842 --> 02:46:29,281 ずっと 熱が続いて。 医師は 何と? 1586 02:46:29,281 --> 02:46:34,381 風邪だと…。 こじらせたかな。 1587 02:46:37,222 --> 02:46:41,226 今度は いつ お戻りでございますか? 1588 02:46:41,226 --> 02:46:47,732 分からん。 凶作で 大変なのだ。 けれど…。 1589 02:46:47,732 --> 02:46:51,703 損害を できるだけ 少なくしたいのだ。 1590 02:46:51,703 --> 02:46:57,075 満江! 胸騒ぎがしてなりませぬ。 1591 02:46:57,075 --> 02:47:00,912 何を言う。 お願いでございます。 1592 02:47:00,912 --> 02:47:04,582 孫一郎がよくなるまで お城勤めにしていただいて・ 1593 02:47:04,582 --> 02:47:07,682 そばに いてやって下さいませ。 1594 02:47:09,654 --> 02:47:13,654 満江。 すまぬが それはできぬ。 1595 02:47:16,695 --> 02:47:19,831 お父上…。 1596 02:47:19,831 --> 02:47:23,631 孫… 代官所に行ってくるぞ。 1597 02:47:28,039 --> 02:47:30,939 お父上様…。 1598 02:47:36,514 --> 02:47:38,717 (赤ちゃんの泣き声) 1599 02:47:38,717 --> 02:47:43,517 仲次郎。 行ってくる。 1600 02:47:47,158 --> 02:47:50,458 (雷鳴) 1601 02:47:52,430 --> 02:47:56,230 (カエルの鳴き声) 1602 02:47:59,070 --> 02:48:03,742 <早稲の植え付けが 功を奏して 稲作は 奇跡的に・ 1603 02:48:03,742 --> 02:48:06,378 4割減にとどまるメドが 立ちました。・ 1604 02:48:06,378 --> 02:48:09,247 ですが お百姓衆のために・ 1605 02:48:09,247 --> 02:48:14,947 夫は 各地の代官所に 泊まり込んだきり 家に帰らず> 1606 02:48:17,322 --> 02:48:20,325 (風の音) 1607 02:48:20,325 --> 02:48:23,328 (友吉)旦那様が お戻りでございます! 1608 02:48:23,328 --> 02:48:26,728 (甚平)お お戻りに…。 1609 02:48:34,339 --> 02:48:38,539 え…? 満江を しからんでくれ。 1610 02:48:47,819 --> 02:48:58,229 ・~ 1611 02:48:58,229 --> 02:49:00,732 孫一郎…。 1612 02:49:00,732 --> 02:49:06,371 もう 手遅れでございます。 代官所に お戻り下さりませ。 1613 02:49:06,371 --> 02:49:10,375 ・~ 1614 02:49:10,375 --> 02:49:15,375 (号泣) 1615 02:49:20,285 --> 02:49:31,830 ・~ 1616 02:49:31,830 --> 02:49:35,233 しばらく お見えに なりませんでしたね。 1617 02:49:35,233 --> 02:49:41,039 凶作で 忙しかったのだ。 あなた様のお働きで・ 1618 02:49:41,039 --> 02:49:45,877 危うく 大きな飢饉にならずにすみ 他領からの流民にも・ 1619 02:49:45,877 --> 02:49:51,282 お粥を施して そのお陰で 領内も 落ち着いたと噂を聞きました。 1620 02:49:51,282 --> 02:49:54,886 そうか…。 今 お酒を。 1621 02:49:54,886 --> 02:49:59,986 ああ もうよい。 疲れてると 酒がこたえる。 1622 02:50:05,897 --> 02:50:09,097 ああ… すまぬ。 1623 02:50:11,903 --> 02:50:15,803 お耳 少し汚れていますよ。 いや よい。 1624 02:50:19,511 --> 02:50:24,849 孫一郎様のお悔やみに 参ろうと思うたのですけれど。 1625 02:50:24,849 --> 02:50:28,149 満江が すべて断った。 1626 02:50:30,522 --> 02:50:36,222 奥様とは? ひどいものだ。 1627 02:50:37,862 --> 02:50:44,062 舅殿がいなければ 俺は 離縁されとるだろう。 1628 02:50:46,704 --> 02:50:52,704 しかし こういう時に 神様は 不思議なことをなさる。 1629 02:50:54,712 --> 02:50:59,350 今日 郡奉行助役に決まった。 1630 02:50:59,350 --> 02:51:04,722 まあ おめでとうございます。 うん。 1631 02:51:04,722 --> 02:51:09,594 早く お帰りになって 奥様に…。 いや。 喜ばぬ。 1632 02:51:09,594 --> 02:51:13,598 ・~ 1633 02:51:13,598 --> 02:51:18,002 ふきなら 喜んでくれるかと思ってな。 1634 02:51:18,002 --> 02:51:23,575 ええ。 うれしゅうございます。 そうか。 1635 02:51:23,575 --> 02:51:27,312 次は お代官でございますね。 ああ。 1636 02:51:27,312 --> 02:51:32,850 その次は 郡代様。 フフフ…。 郡代は なかなかだ。 1637 02:51:32,850 --> 02:51:36,554 花岡という きけ者がおってな。 1638 02:51:36,554 --> 02:51:42,354 負けてはなりませんよ。 まるで おふくろだな。 1639 02:51:46,898 --> 02:51:52,203 5つの時に お父上様を 亡くされて・ 1640 02:51:52,203 --> 02:51:55,039 ずっと 御苦労なさって・ 1641 02:51:55,039 --> 02:51:58,710 ここまで 来られたのですから。 1642 02:51:58,710 --> 02:52:44,322 ・~ 1643 02:52:44,322 --> 02:52:47,325 おい…。 1644 02:52:47,325 --> 02:52:57,035 ・~ 1645 02:52:57,035 --> 02:52:59,871 孫…。 1646 02:52:59,871 --> 02:53:07,045 ・~ 1647 02:53:07,045 --> 02:53:09,347 孫…。 1648 02:53:09,347 --> 02:53:18,656 ・~ 1649 02:53:18,656 --> 02:53:22,293 <そして 6年後の天明8年。・ 1650 02:53:22,293 --> 02:53:24,996 夫は 代官に上りました。・ 1651 02:53:24,996 --> 02:53:29,096 任地は 黒川郡白田郷でした> 1652 02:53:32,170 --> 02:53:35,306 (読経の声) 1653 02:53:35,306 --> 02:53:39,410 <翌 寛政元年のお盆の頃…> 1654 02:53:39,410 --> 02:53:41,710 (セミの鳴き声) 1655 02:53:45,883 --> 02:53:50,583 殿の用人の 牧原喜左衛門殿よりの手紙だ。 1656 02:54:11,342 --> 02:54:13,711 何と書いてある? 1657 02:54:13,711 --> 02:54:18,049 「江戸から 田口なる測量家を遣わすから・ 1658 02:54:18,049 --> 02:54:20,618 太蔵が原に引く 水路を調べよ」と。 1659 02:54:20,618 --> 02:54:24,618 なに… ついに来るか! 1660 02:54:27,058 --> 02:54:30,361 誰かおらぬか? 1661 02:54:30,361 --> 02:54:35,700 太蔵が原の開墾は 小黒の最後の一手だ。 1662 02:54:35,700 --> 02:54:40,071 まして お上の用人の 牧原様の命を受けて・ 1663 02:54:40,071 --> 02:54:43,074 私が 水路にかなう場所を 調べていると知れば…。 1664 02:54:43,074 --> 02:54:47,745 危ういことになるかもしれんぞ。 1665 02:54:47,745 --> 02:54:51,245 (虫の鳴き声) 1666 02:54:54,085 --> 02:54:59,123 ここだ。 この家か? 1667 02:54:59,123 --> 02:55:02,760 本当に会うのか? なぜだ? 1668 02:55:02,760 --> 02:55:06,864 いや… 市之丞に会っても…。 1669 02:55:06,864 --> 02:55:09,400 (虫の鳴き声) 1670 02:55:09,400 --> 02:55:12,904 あ… あの女。 俺は 帰るぞ。 1671 02:55:12,904 --> 02:55:15,504 庄六! 1672 02:55:22,613 --> 02:55:26,717 (類)わ~ 桑山様。 お久しぶりでございます。 1673 02:55:26,717 --> 02:55:30,354 御無沙汰をいたした。 御出世のご様子は・ 1674 02:55:30,354 --> 02:55:34,725 よく存じ上げております。 いや…。 1675 02:55:34,725 --> 02:55:37,562 あなたは? はい? 1676 02:55:37,562 --> 02:55:40,364 野瀬と…。 1677 02:55:40,364 --> 02:55:45,964 はい おります。 どうぞ お上がり下さいませ。 1678 02:55:48,940 --> 02:55:53,540 これは 一体 どういうことだ? (野瀬)こういうことになっておる。 1679 02:55:56,047 --> 02:56:01,385 自分が命を奪った親友の女房と 暮らす気分は どういうものだ? 1680 02:56:01,385 --> 02:56:07,925 奪いたくて 奪った訳ではない。 一蔵を斬るのは 俺でなくても・ 1681 02:56:07,925 --> 02:56:12,897 貴様でも 忠兵衛でも 庄六でも よかった。 1682 02:56:12,897 --> 02:56:17,697 違うか? それは… そうだが。 1683 02:56:20,338 --> 02:56:24,041 私から 押しかけたのでございます。 1684 02:56:24,041 --> 02:56:30,815 一蔵の最期の様子を聞かせろとな。 押しかけてきたのだ。 1685 02:56:30,815 --> 02:56:36,515 お主… ひどい顔をしているぞ。 フ…。 1686 02:56:38,890 --> 02:56:44,390 一蔵の亡霊が 俺にとりついて 類を抱いている。 1687 02:56:48,833 --> 02:56:55,373 地獄でございますよね~。 ああ。 地獄だ。 1688 02:56:55,373 --> 02:56:57,673 (たたく音) 1689 02:57:20,698 --> 02:57:24,498 代官様は こんな安い酒は飲まぬか? 1690 02:57:33,811 --> 02:57:36,011 飲もう。 1691 02:57:45,356 --> 02:57:48,993 地獄なら 別れたらよい。 1692 02:57:48,993 --> 02:57:53,064 これが…。 別れられないのですよね~。 1693 02:57:53,064 --> 02:57:55,064 ああ。 1694 02:57:56,734 --> 02:58:01,134 とことん 堕ちてしまいたいのだ。 1695 02:58:07,378 --> 02:58:10,378 一蔵は 泣いたぞ。 1696 02:58:12,083 --> 02:58:18,183 俺に 首を斬られる時に 両目から 涙がふいた。 1697 02:58:23,027 --> 02:58:27,031 守山で 一蔵に追いついた。 1698 02:58:27,031 --> 02:58:34,038 俺の顔を見て 一蔵は ホッとしたように見えた。 1699 02:58:34,038 --> 02:58:37,875 追っ手の庄司七郎と2人で・ 1700 02:58:37,875 --> 02:58:43,275 人気のない川原の砂地に 連れていき 腹を切らせた。 1701 02:58:45,416 --> 02:58:50,054 あちこちで ヨシキリが鳴いていた。 1702 02:58:50,054 --> 02:58:54,659 (ヨシキリの鳴き声) 1703 02:58:54,659 --> 02:59:00,959 一蔵は 腹に 小刀を突っ込んだ。 俺は 刀を振り下ろした。 1704 02:59:02,933 --> 02:59:08,633 その時 何を思ったか。 一蔵は むくっと立った。 1705 02:59:10,775 --> 02:59:16,075 介錯の刀は 奴の首を 浅く斬っただけで…。 1706 02:59:18,683 --> 02:59:25,222 一蔵は 俺に… 「ふざけるな!」と わめいた。 1707 02:59:25,222 --> 02:59:29,160 (一蔵)ふざけるな! わ~ あ…。 1708 02:59:29,160 --> 02:59:33,631 それから 川下に向かって逃げた。 1709 02:59:33,631 --> 02:59:41,338 真夏の日の下を 腹を押さえ 首から背にかけて・ 1710 02:59:41,338 --> 02:59:46,038 血を滴らせながら 一蔵は 走っていった。 1711 02:59:48,746 --> 02:59:51,716 俺は 追いかけた。 追いかけ回した。 1712 02:59:51,716 --> 02:59:57,054 (一蔵)市之丞! 俺を… 俺を殺すのか~! 1713 02:59:57,054 --> 03:00:04,729 ・~ 1714 03:00:04,729 --> 03:00:09,734 あの時 俺は… これから とても・ 1715 03:00:09,734 --> 03:00:15,139 人並みの暮らしは できまいと思った。 1716 03:00:15,139 --> 03:00:18,839 そのとおりになった。 1717 03:00:20,511 --> 03:00:28,711 今でも… あの時の 一蔵の顔がちらつく。 1718 03:00:34,225 --> 03:00:42,625 腹を半分切った一蔵に とどめを刺して下さった。 1719 03:00:46,070 --> 03:00:48,339 (たたく音) (悲鳴) 1720 03:00:48,339 --> 03:00:52,877 バカ者が! (類の泣き声) 1721 03:00:52,877 --> 03:00:58,849 そのバカ者に 「捨ててくれるな」と 言っているのは 誰なのです! 1722 03:00:58,849 --> 03:01:03,721 バカ者! (泣き声) 1723 03:01:03,721 --> 03:01:13,731 ・~ 1724 03:01:13,731 --> 03:01:16,131 隼太! 1725 03:01:21,572 --> 03:01:27,972 言い忘れた。 子を亡くしたそうだな。 1726 03:01:30,648 --> 03:01:38,348 かわいい子だったな。 確か… 孫一郎だったな。 1727 03:01:41,425 --> 03:01:45,729 何度か 悔やみに行こうかと 思ったのだ。 1728 03:01:45,729 --> 03:01:50,029 しかし このザマではな。 1729 03:01:53,204 --> 03:01:57,204 これで 花でも買ってくれ。 1730 03:02:04,348 --> 03:02:06,350 すまん。 1731 03:02:06,350 --> 03:02:09,887 うん。 1732 03:02:09,887 --> 03:02:13,224 死に目にあえなかった。 1733 03:02:13,224 --> 03:02:15,826 そうか…。 1734 03:02:15,826 --> 03:02:21,426 凶作でな。 村々を回っていた。 1735 03:02:23,467 --> 03:02:26,767 かわいそうなことをした。 1736 03:02:40,851 --> 03:02:47,024 ・~ 1737 03:02:47,024 --> 03:02:49,824 市之丞! 1738 03:02:52,730 --> 03:02:57,601 これで 飲まぬか? 1739 03:02:57,601 --> 03:03:00,704 (鉦の音) 1740 03:03:00,704 --> 03:03:17,554 ・~ 1741 03:03:17,554 --> 03:03:21,926 すまなかった。 ん…? 1742 03:03:21,926 --> 03:03:26,430 俺は お主を 出世の道具に 使おうとした。 友達をな。 1743 03:03:26,430 --> 03:03:32,136 出世の道具? どういうことだ? 1744 03:03:32,136 --> 03:03:38,075 太蔵が原に 水を引く水路を 探しに行く。 1745 03:03:38,075 --> 03:03:41,312 お主の腕を借りようと思った。 1746 03:03:41,312 --> 03:03:57,528 ・~ 1747 03:03:57,528 --> 03:04:06,928 俺は お主をさげすみ 出世の道具にしようとしたのに。 1748 03:04:09,573 --> 03:04:17,773 お主は 孫一郎を忘れず 胸を痛めていてくれた。 1749 03:04:20,684 --> 03:04:28,359 類殿のこともだ。 確かに 一蔵の魂が お主に・ 1750 03:04:28,359 --> 03:04:32,359 「類を頼む」。 そう言っておるのかもしれぬ。 1751 03:04:36,433 --> 03:04:39,370 すまなかった。 1752 03:04:39,370 --> 03:05:05,396 ・~ 1753 03:05:05,396 --> 03:05:09,767 ん…。 庄六。 1754 03:05:09,767 --> 03:05:14,371 ・~ 1755 03:05:14,371 --> 03:05:17,341 久しぶりに 飲むぞ。 1756 03:05:17,341 --> 03:05:26,941 ・~ 1757 03:05:49,373 --> 03:07:07,373 ・~