1 00:00:33,748 --> 00:00:36,251 (将監)脱藩する。 2 00:00:36,251 --> 00:00:39,754 何としても この国替えを止める。 3 00:00:39,754 --> 00:00:44,726 江戸に出て さるお方に訴え出ようと思う。 4 00:00:44,726 --> 00:00:47,929 (源五) 再び 鷹島騒動をやるつもりか。 5 00:00:47,929 --> 00:00:53,535 ご本家を動かし 殿様の首をすげ替える腹であろう。 6 00:00:53,535 --> 00:00:56,304 わしは この命を➡ 7 00:00:56,304 --> 00:00:59,107 使い切りたいのだ。 8 00:00:59,107 --> 00:01:02,777 わしが死して後の この月ヶ瀬の地を➡ 9 00:01:02,777 --> 00:01:05,647 何としても 守りたい。 10 00:01:05,647 --> 00:01:08,449 お前の命➡ 11 00:01:08,449 --> 00:01:11,419 使い切らせてやる。 12 00:01:11,419 --> 00:01:24,465 ♬~ 13 00:01:24,465 --> 00:01:29,337 おっ…。 では みつ様 今宵は これにて。 14 00:01:29,337 --> 00:01:32,574 くれぐれも この男を お屋敷から➡ 15 00:01:32,574 --> 00:01:37,245 一歩も出さぬように頼みまする。 念を押さずとも出ぬ。 16 00:01:37,245 --> 00:01:39,180 では みつ様。 (みつ)はい。 17 00:01:39,180 --> 00:01:43,418 日下部殿。 今宵も また 外に見張りの者が。 18 00:01:43,418 --> 00:01:45,687 重輔。 今宵は誰か? 19 00:01:45,687 --> 00:01:50,091 横目付 酒井伝三郎殿のように 見受けられまする。 20 00:01:50,091 --> 00:01:53,962 横目付までが…。 任せろ! 21 00:01:53,962 --> 00:01:58,433 では みつ様 ごめんつかまつります。 22 00:01:58,433 --> 00:02:02,933 いやいやいや! お見送りは結構。 では ごめん。 23 00:02:04,606 --> 00:02:07,008 お…。 お~。 24 00:02:07,008 --> 00:02:11,880 旦那様。 あのような者を信じて よろしいのでしょうか。 25 00:02:11,880 --> 00:02:15,116 (みつ)私も少々不安にございます。 ん? 26 00:02:15,116 --> 00:02:17,151 源五殿は あなたの事を➡ 27 00:02:17,151 --> 00:02:20,355 いまだ 一度も しっかり ご覧になりません。 28 00:02:20,355 --> 00:02:25,793 お力をお貸し下さるというに じかに口をきく事も まれ。 29 00:02:25,793 --> 00:02:29,664 意地っ張りなのじゃ。 わしらは 20年来➡ 30 00:02:29,664 --> 00:02:32,233 今も絶交しておる最中。 31 00:02:32,233 --> 00:02:35,069 今も? 心配いらぬ。 32 00:02:35,069 --> 00:02:38,406 国境を越え 森岡藩領に入るまでは➡ 33 00:02:38,406 --> 00:02:41,743 源五が わしらの命綱。 34 00:02:41,743 --> 00:02:46,614 それは あいつが 一番よく分かっておる。 35 00:02:46,614 --> 00:02:56,090 ♬~ 36 00:02:56,090 --> 00:03:03,665 ♬「杯に」 37 00:03:03,665 --> 00:03:08,403 (次郎作)一体 旦那様は どうされたんでしょう 蕗さん。 38 00:03:08,403 --> 00:03:10,338 (蕗)え? 39 00:03:10,338 --> 00:03:14,776 ほとんど毎晩 お酒の臭いをさせて➡ 40 00:03:14,776 --> 00:03:18,112 ほとんど毎朝 二日酔いで…。 41 00:03:18,112 --> 00:03:21,783 は~ いい年をした大人が。 42 00:03:21,783 --> 00:03:28,083 そうね。 でも もしかしたら 何か お考えがあって…。 43 00:03:30,792 --> 00:03:35,396 このごろ 胸騒ぎがするの。 44 00:03:35,396 --> 00:03:38,299 えたいの知れない大きなものが➡ 45 00:03:38,299 --> 00:03:42,270 旦那様を 遠くへ さらっていきそうで…。 46 00:03:42,270 --> 00:03:45,974 胸騒ぎがして 私…。 47 00:03:45,974 --> 00:03:48,943 蕗さん。 48 00:03:48,943 --> 00:03:52,443 蕗さんは この次郎作が守ります。 49 00:03:54,248 --> 00:03:57,448 ありがとう 次郎作さん。 50 00:03:59,420 --> 00:04:04,592 (山崎) 津田伊織 お主の父は うつけか。 51 00:04:04,592 --> 00:04:06,527 (伊織)は? 52 00:04:06,527 --> 00:04:10,398 横目付 酒井伝三郎によれば➡ 53 00:04:10,398 --> 00:04:13,301 日下部源五は 3日に一度➡ 54 00:04:13,301 --> 00:04:17,501 ご家老 松浦将監の屋敷に向かい…。 55 00:04:22,977 --> 00:04:26,477 (山崎)将監の屋敷内と 示し合わせた様子。 56 00:04:30,451 --> 00:04:32,387 (山崎)だが…。 57 00:04:32,387 --> 00:04:39,060 ♬「杯に」 58 00:04:39,060 --> 00:04:44,399 (鼻歌) 59 00:04:44,399 --> 00:04:47,301 (小便をする音) 60 00:04:47,301 --> 00:04:51,739 あ~。 61 00:04:51,739 --> 00:04:54,776 (山崎)毎度毎度 酒に酔わされ➡ 62 00:04:54,776 --> 00:04:58,312 千鳥足で追い出され➡ 63 00:04:58,312 --> 00:05:02,412 いまだに事を成しておらぬ というは どういう訳だ! 64 00:05:04,085 --> 00:05:06,988 あ… いや…。 (山崎)将監暗殺の事➡ 65 00:05:06,988 --> 00:05:09,891 断じて漏れてはならぬ。 66 00:05:09,891 --> 00:05:12,427 日下部が討てぬなら➡ 67 00:05:12,427 --> 00:05:15,096 口封じに日下部を斬り➡ 68 00:05:15,096 --> 00:05:17,999 お主も また斬る。 69 00:05:17,999 --> 00:05:20,635 お… お待ち下さい 山崎様! 70 00:05:20,635 --> 00:05:25,135 待つのは飽いたわ。 71 00:05:31,279 --> 00:05:34,849 ハハハハ 山崎様ともあろうお方が➡ 72 00:05:34,849 --> 00:05:37,485 そのように焦っておられるとは 残念。 73 00:05:37,485 --> 00:05:40,688 ハハハハハハハ 何だと? 74 00:05:40,688 --> 00:05:44,559 父は ああ見えて 貫心流免許皆伝の腕前。➡ 75 00:05:44,559 --> 00:05:48,896 鉄砲は 荻野流の すご腕。 今は ただ➡ 76 00:05:48,896 --> 00:05:51,732 納得の間合いを 計っておるのでございまする。 77 00:05:51,732 --> 00:05:54,635 ヒャッ! 間合いは 斬る側だけのものにあらず。 78 00:05:54,635 --> 00:05:57,905 斬られる側も 天下晴れて 斬られて文句なしという➡ 79 00:05:57,905 --> 00:06:00,541 つまり 斬られる側の機が熟すのを➡ 80 00:06:00,541 --> 00:06:03,444 斬る側が 待っておるのでございまする。 81 00:06:03,444 --> 00:06:07,748 すなわち これ 優れた剣客にしか分からぬ➡ 82 00:06:07,748 --> 00:06:10,448 あうんの間合い。 83 00:06:12,420 --> 00:06:15,620 うっ! あ~っ! あっ あっ あっ! 84 00:06:23,764 --> 00:06:28,064 あの~。 話の途中じゃ。 下がれ 蕗。 85 00:06:35,376 --> 00:06:39,213 いや~ しかし 山崎多聞の怒りを➡ 86 00:06:39,213 --> 00:06:42,717 そのように 口から出任せ ペラペラと交わすとは。 87 00:06:42,717 --> 00:06:45,386 いや 大したものだ 婿殿。 88 00:06:45,386 --> 00:06:48,055 ひと事のように話されまするな 父上! 89 00:06:48,055 --> 00:06:50,558 あ~ 痛っ! どなるな。 90 00:06:50,558 --> 00:06:54,395 いい年をして 二日酔いとは…。 91 00:06:54,395 --> 00:06:58,266 ご家老の件 どこまで進んでおりましょうや! 92 00:06:58,266 --> 00:07:01,068 さて それだ。 93 00:07:01,068 --> 00:07:05,740 将監めの奥方が 何を察したのか 常に側を離れず。 94 00:07:05,740 --> 00:07:09,544 しかも これが 無類の酒の勧め上手。 95 00:07:09,544 --> 00:07:12,413 構わず斬ればよいでしょう。 いや 将監は憎い。 96 00:07:12,413 --> 00:07:16,284 だが 妻の前で夫を斬るほど わしは鬼ではない。 97 00:07:16,284 --> 00:07:19,187 そんな甘い事では…。 98 00:07:19,187 --> 00:07:23,958 なので 屋敷の外で 待ち伏せもしてみた。 99 00:07:23,958 --> 00:07:26,058 それで? 100 00:07:29,430 --> 00:07:32,700 一向に 外に出てこぬ。 101 00:07:32,700 --> 00:07:35,603 殿様に 隠居しろと言われて➡ 102 00:07:35,603 --> 00:07:39,103 落胆のあまり 意気地なしにも引きこもっておる。 103 00:07:41,375 --> 00:07:43,675 は~。 104 00:07:46,047 --> 00:07:51,719 しかし このように ただ 旧交を温めているだけでは。 105 00:07:51,719 --> 00:07:54,388 あいつと温めたい旧交など ない! 106 00:07:54,388 --> 00:07:57,725 そうなっておりますでしょうが! あ~! 107 00:07:57,725 --> 00:08:02,425 それで… それで一計を案じた。 108 00:08:04,065 --> 00:08:06,000 一計とは? 109 00:08:06,000 --> 00:08:10,404 将監が家老の座をつかんだ 鷹島騒動は➡ 110 00:08:10,404 --> 00:08:14,075 20年前の一揆が契機。 111 00:08:14,075 --> 00:08:18,975 その総代の百姓は 笹原村の出。 112 00:08:24,085 --> 00:08:29,757 あれから20年 その百姓をしのびがてら➡ 113 00:08:29,757 --> 00:08:34,362 気散じに 笹原の湯治場に行かぬかと➡ 114 00:08:34,362 --> 00:08:38,032 誘ってみたのよ。 115 00:08:38,032 --> 00:08:40,932 して ご家老は? 116 00:08:42,703 --> 00:08:47,041 大喜びで 行くと言ったわ。 117 00:08:47,041 --> 00:08:50,711 (笑い声) 118 00:08:50,711 --> 00:08:55,383 湯の中なら丸裸。 容易に斬れまするな。➡ 119 00:08:55,383 --> 00:08:58,152 湯治場なら人目もない。 120 00:08:58,152 --> 00:09:01,489 骸は ひそかに城下に運び 世間には 頓死とすれば➡ 121 00:09:01,489 --> 00:09:03,424 万事 都合もよい。 122 00:09:03,424 --> 00:09:08,729 おっ。 いや そこまで考えんかった。 123 00:09:08,729 --> 00:09:11,632 これで ひとまずは安堵。 124 00:09:11,632 --> 00:09:15,832 いや… 助かった! 125 00:09:21,309 --> 00:09:23,609 何か? 126 00:09:28,115 --> 00:09:31,352 許せ 婿殿。 127 00:09:31,352 --> 00:09:36,023 いえ。 拙者こそ 深いご思慮も知らず➡ 128 00:09:36,023 --> 00:09:38,926 押しかけましたる段 申し訳ございませぬ。 129 00:09:38,926 --> 00:09:41,529 早速 明日にでも 山崎様に➡ 130 00:09:41,529 --> 00:09:45,700 お父上のご策略を ご報告しましょうほどに。 131 00:09:45,700 --> 00:09:48,035 婿殿! 132 00:09:48,035 --> 00:09:52,373 くれぐれも 後の事を…。 133 00:09:52,373 --> 00:09:58,173 蕗と次郎作を頼む。 134 00:10:00,247 --> 00:10:02,247 はい。 135 00:10:04,552 --> 00:10:06,852 ≪お帰りだ。 136 00:10:08,723 --> 00:10:11,058 ≪(伊織)おお 蕗。 邪魔した。 137 00:10:11,058 --> 00:10:13,558 ≪お気を付けて。 138 00:10:15,396 --> 00:10:24,396 (犬の遠ぼえ) 139 00:10:29,243 --> 00:10:31,278 あ~っ! 140 00:10:31,278 --> 00:10:46,660 ♬~ 141 00:10:46,660 --> 00:10:50,531 そうか。 隣国 森岡藩は➡ 142 00:10:50,531 --> 00:10:53,467 わしに力を貸すと言ってくれたか。 143 00:10:53,467 --> 00:10:57,104 はっ。 かつての 森岡藩失態の もみ消しに➡ 144 00:10:57,104 --> 00:10:59,840 旦那様が手を貸された恩義を 忘れずにおりました。➡ 145 00:10:59,840 --> 00:11:04,111 国境の峠を越え 無事 森岡に入られたあとは➡ 146 00:11:04,111 --> 00:11:06,947 森岡を出る通行切手は ご用意致すと。 147 00:11:06,947 --> 00:11:08,947 うむ。 148 00:11:10,618 --> 00:11:13,454 日下部殿。 お主が 見張りを斬ってくれたおかげで➡ 149 00:11:13,454 --> 00:11:16,357 手はずが整った。 かたじけない。 150 00:11:16,357 --> 00:11:18,392 なんの。 151 00:11:18,392 --> 00:11:21,695 後は 皆で 峠を越えるだけじゃな。 152 00:11:21,695 --> 00:11:23,631 (2人)はい。 153 00:11:23,631 --> 00:11:27,134 今 何と言った? 154 00:11:27,134 --> 00:11:29,103 「皆で」? 155 00:11:29,103 --> 00:11:33,503 みつを連れてまいる。 三五郎も一緒じゃ。 156 00:11:35,743 --> 00:11:40,247 お前と わしだけでも のるかそるかの大ばくちを…➡ 157 00:11:40,247 --> 00:11:43,150 一族郎党を引き連れて 行くと言うのか? 158 00:11:43,150 --> 00:11:45,920 そのとおり。 159 00:11:45,920 --> 00:11:48,823 物見遊山ではないのだぞ。 160 00:11:48,823 --> 00:11:50,791 分かっておる。 161 00:11:50,791 --> 00:11:54,428 険しき山道をひそかに登り 峠を越えて➡ 162 00:11:54,428 --> 00:11:57,998 森岡へと脱藩し 江戸に向かうのだぞ。 163 00:11:57,998 --> 00:12:01,836 女 子どもを連れては 無理と言うか 源五。 164 00:12:01,836 --> 00:12:04,438 やれると思うか 将監! 165 00:12:04,438 --> 00:12:09,777 みつ様。 しくじれば あなただけでなく➡ 166 00:12:09,777 --> 00:12:13,647 ご子息も また 討たれるのですぞ。 167 00:12:13,647 --> 00:12:18,185 この伊藤重輔が 奥方と若様は守ります。 168 00:12:18,185 --> 00:12:20,454 調子に乗るな 若造! 169 00:12:20,454 --> 00:12:23,057 戦を知らぬ者が 口はばったい! 170 00:12:23,057 --> 00:12:25,457 なんと! 171 00:12:28,462 --> 00:12:33,067 これは 戦でござる。 172 00:12:33,067 --> 00:12:37,404 どうか 残って ご子息と共に仏門に。 173 00:12:37,404 --> 00:12:42,109 寺に入れば 山崎多聞も 手は出せません。 174 00:12:42,109 --> 00:12:45,980 いえ。 死ぬ時は将監と共に。 175 00:12:45,980 --> 00:12:48,849 みつ様! みつ。 176 00:12:48,849 --> 00:12:51,752 それでは話が違う。 わしが死んだら➡ 177 00:12:51,752 --> 00:12:55,623 そなたが遺志を継ぎ 江戸に参る。 万一 そなたが死んだら➡ 178 00:12:55,623 --> 00:12:59,059 三五郎が遺志を継ぎ 江戸に参る。 179 00:12:59,059 --> 00:13:02,963 そう申したではないか。 (みつ)はい そうでした。 180 00:13:02,963 --> 00:13:07,101 お任せ下さい 父上。 うむ。 181 00:13:07,101 --> 00:13:10,771 源五。 故郷のため➡ 182 00:13:10,771 --> 00:13:15,471 一族郎党 引かぬ覚悟じゃ。 183 00:13:17,444 --> 00:13:19,744 うむ。 184 00:13:24,251 --> 00:13:27,151 ばかめ! ばかめらが…。 185 00:13:31,959 --> 00:13:33,928 蕗。 186 00:13:33,928 --> 00:13:37,731 荷物を詰めるのには コツがございます 旦那様。 187 00:13:37,731 --> 00:13:40,234 いやいやいや わしがするから いい。 188 00:13:40,234 --> 00:13:43,571 この大層な旅支度は どちらへいらっしゃるのですか? 189 00:13:43,571 --> 00:13:46,771 いやいや ちょっとな…。 いやいや! そ… それは…。 190 00:13:51,445 --> 00:13:54,181 蕗も連れていって下さい。 191 00:13:54,181 --> 00:13:56,116 ばかを申すな! 192 00:13:56,116 --> 00:13:59,119 旦那様に引き取って頂き➡ 193 00:13:59,119 --> 00:14:02,957 幼き頃から 時には一緒に猪を撃ちました。 194 00:14:02,957 --> 00:14:07,595 おかげで 蕗は 鉄砲の扱いには慣れております。 195 00:14:07,595 --> 00:14:10,497 足手まといには 誓って なりません。 196 00:14:10,497 --> 00:14:14,368 猪を撃ちに行く訳ではない。 はい。 197 00:14:14,368 --> 00:14:18,305 撃つのは ご家老。 そのゆえの戦支度。 198 00:14:18,305 --> 00:14:21,141 腕が鳴ります。 199 00:14:21,141 --> 00:14:25,946 違うのだ。 ご家老を…➡ 200 00:14:25,946 --> 00:14:30,284 松浦将監を助けるために 行く。 201 00:14:30,284 --> 00:14:32,720 その戦支度。 202 00:14:32,720 --> 00:14:35,356 構いません! 何? 203 00:14:35,356 --> 00:14:39,727 蕗も共に参ります。 ご家老を助けます。 204 00:14:39,727 --> 00:14:42,396 ばかな! 死ぬぞ。 205 00:14:42,396 --> 00:14:46,696 はい。 旦那様と共に死にます! 206 00:14:51,071 --> 00:14:53,407 いや。 207 00:14:53,407 --> 00:14:56,677 わしは死にはせん。 208 00:14:56,677 --> 00:14:59,079 峠を越えるだけだ。 209 00:14:59,079 --> 00:15:03,417 では 蕗も 旦那様と峠を越えます。 210 00:15:03,417 --> 00:15:09,590 越えれば 再び 月ヶ瀬には帰ってはこれん。 211 00:15:09,590 --> 00:15:11,959 構いません。 212 00:15:11,959 --> 00:15:13,959 蕗。 213 00:15:15,629 --> 00:15:19,099 どうか 蕗をお連れ下さいませ。 214 00:15:19,099 --> 00:15:21,299 お頼み申します。 215 00:15:25,005 --> 00:15:27,305 お頼み申します! 216 00:15:37,051 --> 00:15:40,087 荷物を持ってまいれ。 217 00:15:40,087 --> 00:15:43,924 共に つづらに入れ わしが担ぐ。 218 00:15:43,924 --> 00:15:46,624 はい! 219 00:15:54,601 --> 00:16:00,074 一番の大ばかは…➡ 220 00:16:00,074 --> 00:16:03,074 わしか…。 221 00:16:11,685 --> 00:16:14,185 見るな。 222 00:16:18,258 --> 00:16:21,061 (清右衛門)この太刀筋は…。➡ 223 00:16:21,061 --> 00:16:23,761 ほかに何か気付いた事は? 224 00:16:25,432 --> 00:16:27,367 [ 回想 ] あ~っ! 225 00:16:27,367 --> 00:16:32,206 (酒井)そういえば かすかに酒の臭いが…。 226 00:16:32,206 --> 00:16:35,506 (清右衛門)酒? 227 00:16:42,382 --> 00:17:06,473 ♬~ 228 00:17:06,473 --> 00:17:08,776 父上が私に? 229 00:17:08,776 --> 00:17:12,246 はい。 受け取ったら 直ちに読むようにとの➡ 230 00:17:12,246 --> 00:17:15,046 仰せでございます。 231 00:17:26,426 --> 00:17:29,096 あなた! 232 00:17:29,096 --> 00:17:32,699 一大事でございまする。 起きて下され! 233 00:17:32,699 --> 00:17:36,036 あなた! 父から文が! 234 00:17:36,036 --> 00:17:38,372 何と書いてある? 235 00:17:38,372 --> 00:17:43,210 ただ一行「不忠の事と相成り 切腹致す所存に候」! 236 00:17:43,210 --> 00:17:47,047 それなら知っておる。 あ 痛…。 237 00:17:47,047 --> 00:17:50,918 このコブも 昨夜 父上にやられた。 238 00:17:50,918 --> 00:17:53,921 父に? 子細をお聞かせ下さいませ! 239 00:17:53,921 --> 00:17:56,390 あ~。 240 00:17:56,390 --> 00:18:01,595 昨日の夕刻 ひさごという店に呼び出された。 241 00:18:01,595 --> 00:18:06,433 気味の悪い事に わしをもてなされてのう。 242 00:18:06,433 --> 00:18:09,036 まあ 義理とはいえ➡ 243 00:18:09,036 --> 00:18:14,975 親子で酒を飲むのも悪くないと 心を許した その刹那…。 244 00:18:14,975 --> 00:18:17,311 [ 回想 ] ご家老暗殺の件…。 245 00:18:17,311 --> 00:18:20,080 父上…。 246 00:18:20,080 --> 00:18:24,918 ご家老暗殺の件 できぬ事になった。 247 00:18:24,918 --> 00:18:30,090 (雷鳴) 248 00:18:30,090 --> 00:18:33,794 なぜ… なぜ できぬ事に! 249 00:18:33,794 --> 00:18:38,031 脱藩するそうだ。 わしも 将監を手伝う事にした。 250 00:18:38,031 --> 00:18:42,231 婿殿には迷惑をかけるが 後は頼んだぞ。 251 00:18:47,040 --> 00:18:53,380 山崎多聞に言えば 即 婿殿も切腹と存ずる。 252 00:18:53,380 --> 00:18:56,884 なぜ… なぜ そのような事になるのですか! 253 00:18:56,884 --> 00:18:59,920 拙者や たつにも 咎が及ぶのですぞ! 254 00:18:59,920 --> 00:19:04,391 さあ そこだ そこだ。 255 00:19:04,391 --> 00:19:09,191 だから 前もって やっぱり 話をする事にした。 256 00:19:11,732 --> 00:19:15,402 そこのところを どう切り抜けるか とくと考え➡ 257 00:19:15,402 --> 00:19:20,240 婿殿の この達者な口で➡ 258 00:19:20,240 --> 00:19:22,740 見事に切り抜けてほしい。 259 00:19:24,745 --> 00:19:26,680 あ…。 260 00:19:26,680 --> 00:19:29,082 え~っ! 261 00:19:29,082 --> 00:19:32,686 おい。 わしは これから用があるゆえ。 262 00:19:32,686 --> 00:19:35,355 一人で歩けるか? 263 00:19:35,355 --> 00:19:38,025 いっそ ここで斬るしか…。 264 00:19:38,025 --> 00:19:40,928 ん? 何と言った。 水か? 265 00:19:40,928 --> 00:19:45,128 今 斬れば まだ言い訳も立つ! 266 00:19:54,374 --> 00:19:56,474 うっ! あ… わ~っ! 267 00:19:58,111 --> 00:20:00,714 それで! 268 00:20:00,714 --> 00:20:03,383 どんな技をかけられたか…。 269 00:20:03,383 --> 00:20:07,883 気が付いたら わしは 橋の上で転がっておった。 270 00:20:10,057 --> 00:20:13,927 脱藩の企ての事 急ぎ 山崎様のお耳に入れねば。 271 00:20:13,927 --> 00:20:15,963 まあ 待て! 272 00:20:15,963 --> 00:20:18,765 この話には 続きがある。 273 00:20:18,765 --> 00:20:20,765 続き? 274 00:20:22,569 --> 00:20:24,604 [ 回想 ] 事が成った暁には➡ 275 00:20:24,604 --> 00:20:29,076 腹を切って 迷惑をかけぬようにする。 276 00:20:29,076 --> 00:20:34,876 どうか たつの事… 離縁せんでくれ! 277 00:20:37,784 --> 00:20:41,688 頼み申す。 離縁せんでくれ! 278 00:20:41,688 --> 00:20:45,625 何を勝手な! 279 00:20:45,625 --> 00:20:48,762 頼み申す! 280 00:20:48,762 --> 00:20:52,099 たつの事…。 281 00:20:52,099 --> 00:20:56,770 たつの事 離縁せんでくれ! 282 00:20:56,770 --> 00:20:59,106 頼み申す! 283 00:20:59,106 --> 00:21:03,606 (伊織)その声に なぜか わしは 聞きほれてしもうた。 284 00:21:10,117 --> 00:21:12,786 たつ。 285 00:21:12,786 --> 00:21:18,786 鷹島騒動の再来 果たして ありや なしや。 286 00:21:21,128 --> 00:21:23,428 (はなをすする音) 287 00:21:25,799 --> 00:21:31,138 (はなをすする音) 288 00:21:31,138 --> 00:21:35,409 まこと…➡ 289 00:21:35,409 --> 00:21:41,209 あなた様には… とんだ ご迷惑をかけ…。 290 00:21:44,418 --> 00:21:48,288 父上のばかが…。 291 00:21:48,288 --> 00:21:51,288 ばかが…。 292 00:21:56,430 --> 00:22:02,130 ばか者すぎて… もう たつは 嫌えませぬ。 293 00:22:05,205 --> 00:22:07,441 分かった。 294 00:22:07,441 --> 00:22:11,111 父上の折り紙付きの この口先で➡ 295 00:22:11,111 --> 00:22:18,785 こたびの事 どう転ぼうとも 必ず切り抜けてみせる。 296 00:22:18,785 --> 00:22:21,822 泣くな たつ。 297 00:22:21,822 --> 00:22:34,267 ♬~ 298 00:22:34,267 --> 00:22:36,567 待たせたの。 299 00:22:38,738 --> 00:22:41,408 そなた 名前は? 300 00:22:41,408 --> 00:22:44,408 次郎作と申します。 301 00:22:46,279 --> 00:22:49,583 父は… 日下部源五は。 302 00:22:49,583 --> 00:22:53,086 まだ夜が明けきらぬうちに…➡ 303 00:22:53,086 --> 00:22:55,989 私を置いて…➡ 304 00:22:55,989 --> 00:22:58,989 おたちになりました。 305 00:23:05,432 --> 00:23:08,702 お前を嫌って 置いていかれた訳ではない。 306 00:23:08,702 --> 00:23:10,637 泣くな。 307 00:23:10,637 --> 00:23:19,112 ♬~ 308 00:23:19,112 --> 00:23:21,148 泣くな。 309 00:23:21,148 --> 00:23:29,148 ♬~ 310 00:23:39,065 --> 00:23:41,968 お主も まさかの 女連れとはな。 311 00:23:41,968 --> 00:23:44,404 言い訳はせん。 312 00:23:44,404 --> 00:23:48,575 江戸までの長旅 みつ様の 身の回りのお世話をする者が➡ 313 00:23:48,575 --> 00:23:52,746 いた方がいいと思ってな。 言い訳だ。 314 00:23:52,746 --> 00:23:57,417 あれは お主の女か? 怒るぞ。 315 00:23:57,417 --> 00:24:02,222 蕗は 友の娘。 わしにとっても娘だ。 316 00:24:02,222 --> 00:24:04,157 なんと。 317 00:24:04,157 --> 00:24:10,964 そうでしたか。 そなたは あの一揆の総代の娘。 318 00:24:10,964 --> 00:24:16,264 はい。 その後は 旦那様に育てて頂きました。 319 00:24:18,104 --> 00:24:23,443 総代を捕らえた将監を 恨んでおるか。 320 00:24:23,443 --> 00:24:26,346 いえ。 あの時は 松浦様は➡ 321 00:24:26,346 --> 00:24:30,317 松浦様のやるべき事を なされたのだと思っております。 322 00:24:30,317 --> 00:24:33,253 それに 私は まだ小さくて➡ 323 00:24:33,253 --> 00:24:37,390 父の事は あまり覚えていないのです。 324 00:24:37,390 --> 00:24:39,690 そう…。 325 00:24:41,261 --> 00:24:43,561 ですが…。 326 00:24:45,732 --> 00:24:48,732 何? 申せ 蕗。 327 00:24:50,403 --> 00:24:53,073 ですが…➡ 328 00:24:53,073 --> 00:24:57,410 この世に残った ただ一人の身内が そのように言っては…➡ 329 00:24:57,410 --> 00:25:01,210 一人で死んだ父が哀れにも思え…。 330 00:25:03,283 --> 00:25:08,054 すみません。 いえ。 331 00:25:08,054 --> 00:25:12,425 そなたは 正直で➡ 332 00:25:12,425 --> 00:25:16,125 清らかな娘じゃの。 333 00:25:18,098 --> 00:25:22,969 このように 父上と山を歩くは 初めてでございますね。 334 00:25:22,969 --> 00:25:27,440 そうじゃな。 わしは多忙だったからのう。 335 00:25:27,440 --> 00:25:31,140 三五郎は 楽しゅうございます。 336 00:25:33,713 --> 00:25:37,384 三五郎 友はおるか? 337 00:25:37,384 --> 00:25:39,719 はい。 338 00:25:39,719 --> 00:25:43,590 たんと おるか? たんとは おりません。 339 00:25:43,590 --> 00:25:49,062 心を許す者は 多くは要りません。 340 00:25:49,062 --> 00:25:51,731 そうか。 341 00:25:51,731 --> 00:25:58,405 この先の辺りまで 友とよく 駆け比べを致しました。 342 00:25:58,405 --> 00:26:02,275 父も よく 昔は➡ 343 00:26:02,275 --> 00:26:05,578 駆け比べをした。 344 00:26:05,578 --> 00:26:30,437 ♬~ 345 00:26:30,437 --> 00:26:34,937 時は まこと 足が速い。 346 00:26:52,325 --> 00:26:55,261 (治三郎)飛び上がったあと しゃがむほどに低い姿勢から➡ 347 00:26:55,261 --> 00:26:57,897 切り上げる居合…。 348 00:26:57,897 --> 00:27:02,736 いや そのような方は 当貫心流には…。 349 00:27:02,736 --> 00:27:05,405 ないか…。 350 00:27:05,405 --> 00:27:08,074 では 隠し剣には? 351 00:27:08,074 --> 00:27:10,410 ございませぬ。 352 00:27:10,410 --> 00:27:13,046 いや あれなら…。 353 00:27:13,046 --> 00:27:16,916 あれとは? (治三郎)もう何年も前➡ 354 00:27:16,916 --> 00:27:21,421 当道場の古い門弟が 前の道場主の古希の祝いで➡ 355 00:27:21,421 --> 00:27:24,324 披露した技が 確か そのような…。 356 00:27:24,324 --> 00:27:28,294 磯貝殿。 その技 見せて頂きたい。 357 00:27:28,294 --> 00:27:31,097 (治三郎)はあ… しかし…。 358 00:27:31,097 --> 00:27:33,867 居合なら 真剣で結構。 359 00:27:33,867 --> 00:27:36,667 それがしを的にされよ。 360 00:27:56,122 --> 00:28:00,960 この技を披露した古き門弟は➡ 361 00:28:00,960 --> 00:28:05,765 日下部源五か。 日下部殿をご存じですか。 362 00:28:05,765 --> 00:28:10,603 貫心流免許皆伝の腕前と聞いた。 363 00:28:10,603 --> 00:28:16,509 40年前 この道場一の使い手だったとか。 364 00:28:16,509 --> 00:28:20,409 40年… 前? 365 00:28:22,282 --> 00:28:26,753 我が父が存命の頃➡ 366 00:28:26,753 --> 00:28:29,553 そう言っていた。 367 00:28:36,362 --> 00:28:39,265 父上! 368 00:28:39,265 --> 00:28:42,035 あなた! 将監! 369 00:28:42,035 --> 00:28:44,938 日頃の不摂生が出た。 370 00:28:44,938 --> 00:28:46,906 いかにも そうだな。 371 00:28:46,906 --> 00:28:49,909 今宵は この先にて宿を取りまする。 372 00:28:49,909 --> 00:28:53,646 いや。 夜通し歩いて峠を越える。 373 00:28:53,646 --> 00:28:57,050 どこかで 見張りも まかねばな。 374 00:28:57,050 --> 00:28:59,953 焦るな! 元家老殿。 375 00:28:59,953 --> 00:29:03,389 その体で無理をすれば 後々に響く。 376 00:29:03,389 --> 00:29:06,389 さ さ! 377 00:29:19,739 --> 00:29:22,342 (又五郎)笹原なら左…。➡ 378 00:29:22,342 --> 00:29:24,577 それを右へ。 379 00:29:24,577 --> 00:29:28,414 風越峠…!? 380 00:29:28,414 --> 00:29:31,084 まさか! 381 00:29:31,084 --> 00:29:34,584 旦那様に お知らせせよ。 (新助)はっ。 382 00:29:36,356 --> 00:29:41,027 故に 天狗の面をかぶり 見張りの者らを斬ったのは➡ 383 00:29:41,027 --> 00:29:43,429 日下部源五と思われまする。 384 00:29:43,429 --> 00:29:48,701 (山崎)しかし 何故じゃ。 日下部は こちらの刺客ぞ。➡ 385 00:29:48,701 --> 00:29:53,072 それに 先日 津田伊織からの知らせによれば➡ 386 00:29:53,072 --> 00:29:55,975 日下部は 将監を➡ 387 00:29:55,975 --> 00:30:00,914 笹原の湯治場へ おびき出して しとめる策とか…。 388 00:30:00,914 --> 00:30:03,716 その言葉どおり 将監は➡ 389 00:30:03,716 --> 00:30:08,221 妻と倅 家臣を一人のみを連れて➡ 390 00:30:08,221 --> 00:30:11,791 笹原へ まんまと旅立った様子。 391 00:30:11,791 --> 00:30:15,662 されば津田伊織は 何も知らされて おらぬのでございましょう。 392 00:30:15,662 --> 00:30:20,400 日下部源五 ああ見えて なかなかの二枚舌。 393 00:30:20,400 --> 00:30:22,936 (走る足音) 394 00:30:22,936 --> 00:30:24,938 ハァ ハァ! 申し上げます! 395 00:30:24,938 --> 00:30:28,408 左は笹原 右は風越峠の 二股の辻におきまして➡ 396 00:30:28,408 --> 00:30:31,044 松浦将監 日下部源五の一行➡ 397 00:30:31,044 --> 00:30:33,746 右の風越峠に向かいまして ございます! 398 00:30:33,746 --> 00:30:35,715 何!? 399 00:30:35,715 --> 00:30:41,621 まさか… 峠を越えて➡ 400 00:30:41,621 --> 00:30:44,321 脱藩!? 401 00:30:46,092 --> 00:30:49,295 鷹島騒動の再来か! 402 00:30:49,295 --> 00:30:52,295 拙者 直ちに馬で追いまする。 403 00:30:54,434 --> 00:30:57,103 たとえ 馬の脚を折ってでも 駆けに駆け➡ 404 00:30:57,103 --> 00:31:00,940 必ずや 国境 風越峠にて➡ 405 00:31:00,940 --> 00:31:05,712 松浦将監を この鷲巣清右衛門が 斬りまする! 406 00:31:05,712 --> 00:31:09,449 許す! 手勢も好きなだけ連れていけ。 407 00:31:09,449 --> 00:31:13,119 峠を越えたら 脱藩の咎人だ。 408 00:31:13,119 --> 00:31:17,957 誰に遠慮もいらぬ。 父の仇 存分に討て。 409 00:31:17,957 --> 00:31:20,757 ありがたき幸せ! 410 00:31:23,630 --> 00:31:29,135 将監め… 日下部め…。 411 00:31:29,135 --> 00:31:32,739 一の矢は放ったぞ。 412 00:31:32,739 --> 00:31:37,610 次は二の矢 三の矢…。 413 00:31:37,610 --> 00:31:39,979 誰ぞある! 414 00:31:39,979 --> 00:31:42,079 (2人)はっ。 415 00:31:43,750 --> 00:31:46,786 その方は早馬を飛ばし ご本家の佐野家へ。 416 00:31:46,786 --> 00:31:52,091 将監が現れたら問答無用! 脱藩の罪で斬れ。 417 00:31:52,091 --> 00:31:54,027 はっ。 418 00:31:54,027 --> 00:31:57,430 その方は 江戸のご親戚筋へ。 419 00:31:57,430 --> 00:32:00,333 将監が現れたら 同じく斬れ。 420 00:32:00,333 --> 00:32:02,333 はっ。 421 00:32:05,304 --> 00:32:10,443 鷹島騒動の再来だ? 422 00:32:10,443 --> 00:32:17,116 フフフ… ハハハハハハハ…。 423 00:32:17,116 --> 00:32:21,454 爺めらが…。 424 00:32:21,454 --> 00:32:26,154 思い知らせてくれるわ。 425 00:32:31,130 --> 00:32:33,830 ハハハハハハハ…。 426 00:32:46,612 --> 00:32:50,416 どうせなら 湯につかりたいとは。 427 00:32:50,416 --> 00:32:53,319 あきれたやつめ。 428 00:32:53,319 --> 00:32:57,519 宿に泊まると言ったのは お前だ。 429 00:32:59,425 --> 00:33:01,761 故郷の湯。 430 00:33:01,761 --> 00:33:04,731 この機を逃せば もう二度と つかれぬ。 431 00:33:04,731 --> 00:33:08,434 大体 なぜ お前と2人で つからねばならんのだ。 432 00:33:08,434 --> 00:33:11,771 わし一人でつかると 言ったではないか。 433 00:33:11,771 --> 00:33:15,641 ばかな。 湯の中は丸裸。 434 00:33:15,641 --> 00:33:19,112 刺客に襲われて お前が殺されれば➡ 435 00:33:19,112 --> 00:33:21,781 わしの面目は丸潰れだ。 436 00:33:21,781 --> 00:33:25,118 ならば 少しは くつろげ。 437 00:33:25,118 --> 00:33:30,790 まるで 鬼瓦と つかっておるようだ。 438 00:33:30,790 --> 00:33:33,693 ほれ その面構え。 439 00:33:33,693 --> 00:33:38,693 ハハハハハハ ハハハハハハ! 440 00:33:41,734 --> 00:33:44,437 銀漢か…。 441 00:33:44,437 --> 00:33:49,075 「暮雲 収め尽くして 清寒 溢れ➡ 442 00:33:49,075 --> 00:33:52,945 銀漢 声無く 玉盤を転ず」。 443 00:33:52,945 --> 00:33:57,416 ほう~。 中秋月の詩か。 444 00:33:57,416 --> 00:34:03,089 フフフフ。 お前が そのような風流な事を。 445 00:34:03,089 --> 00:34:06,759 十蔵が縛についた時➡ 446 00:34:06,759 --> 00:34:10,759 ひそかに わしに託した詩だ。 447 00:34:14,634 --> 00:34:18,771 そうか…。 448 00:34:18,771 --> 00:34:24,571 十蔵が 中秋月をな。 449 00:34:50,403 --> 00:34:54,273 これは…➡ 450 00:34:54,273 --> 00:34:57,076 わしの字ではないか。 451 00:34:57,076 --> 00:35:03,416 そうだ。 40年前 お前の母上の通夜の折➡ 452 00:35:03,416 --> 00:35:09,716 わしら3人は 祇園神社に上り 天の川を…。 453 00:35:12,425 --> 00:35:16,125 銀漢を見た。 454 00:35:20,299 --> 00:35:25,771 [ 回想 ] 「暮雲 収め尽くして 清寒 溢れ➡ 455 00:35:25,771 --> 00:35:30,977 銀漢 声無く 玉盤を転ず」。 456 00:35:30,977 --> 00:35:34,714 銀は金銀の銀 漢は男。 457 00:35:34,714 --> 00:35:38,384 しかし 天の川を指す場合の漢は➡ 458 00:35:38,384 --> 00:35:41,587 大きな川という意味になる。 459 00:35:41,587 --> 00:35:45,291 天の大きな川…。 460 00:35:45,291 --> 00:35:47,691 銀漢…。 461 00:35:50,263 --> 00:35:54,033 私は 銀漢でありたい。 462 00:35:54,033 --> 00:35:56,235 俺も 銀漢でありたい。 463 00:35:56,235 --> 00:36:01,173 百姓は 銀漢には なれんのか。 464 00:36:01,173 --> 00:36:03,409 忘れたか 小弥太。 465 00:36:03,409 --> 00:36:07,747 あの夜 お前は その中秋月の詩を➡ 466 00:36:07,747 --> 00:36:10,650 十蔵に書いてやったのだ。 467 00:36:10,650 --> 00:36:13,552 [ 回想 ] 出来た。 468 00:36:13,552 --> 00:36:18,090 小弥太。 これをわしに くれ。 469 00:36:18,090 --> 00:36:29,702 ♬~ 470 00:36:29,702 --> 00:36:32,371 もらって どうする 十蔵。 471 00:36:32,371 --> 00:36:35,708 これを手本に わしも字を覚える。 472 00:36:35,708 --> 00:36:39,378 「銀漢 声無く 玉盤を転ず」。 473 00:36:39,378 --> 00:36:41,714 銀漢! 474 00:36:41,714 --> 00:36:45,584 十蔵は 素質があったのだな。 475 00:36:45,584 --> 00:36:48,387 みるみる 読み書きを覚え➡ 476 00:36:48,387 --> 00:36:54,160 一揆を率いて お家を脅かすほどの 豪傑になった。 477 00:36:54,160 --> 00:36:59,031 その十蔵が 最後まで持っていたのが➡ 478 00:36:59,031 --> 00:37:03,331 お前の書いてやった この詩だ。 479 00:37:07,440 --> 00:37:10,040 なぜだと思う 小弥太。 480 00:37:11,744 --> 00:37:17,416 わしらは大人になり 身分の違いを考え➡ 481 00:37:17,416 --> 00:37:22,254 互いに 行き来をせんようになった。 482 00:37:22,254 --> 00:37:27,026 一揆では 敵味方に分かれた。 483 00:37:27,026 --> 00:37:30,763 それでも 十蔵は 最後まで➡ 484 00:37:30,763 --> 00:37:34,263 お前の友だったのだ。 485 00:37:36,202 --> 00:37:40,373 この詩は 十蔵の➡ 486 00:37:40,373 --> 00:37:44,373 お前への変わらぬ思いの証文だ。 487 00:37:46,045 --> 00:37:51,384 十蔵はな… 十蔵は➡ 488 00:37:51,384 --> 00:37:55,884 お前を許すと わしに言いたかったのかもしれん。 489 00:37:57,556 --> 00:38:00,593 十蔵…。 490 00:38:00,593 --> 00:38:05,197 引っ立てられ 家を去る時➡ 491 00:38:05,197 --> 00:38:09,735 このわしにも…➡ 492 00:38:09,735 --> 00:38:13,272 無力なわしにも 笑ってくれた。 493 00:38:13,272 --> 00:38:15,872 [ 回想 ] 十蔵! 494 00:38:22,948 --> 00:38:27,748 笑ったあと 何かを言った。 495 00:38:31,357 --> 00:38:33,626 何を言った。 496 00:38:33,626 --> 00:38:37,363 その時は分からんかった。 497 00:38:37,363 --> 00:38:40,266 だが 年を取り➡ 498 00:38:40,266 --> 00:38:46,705 昔を思い たどってみると➡ 499 00:38:46,705 --> 00:38:50,576 あの時…➡ 500 00:38:50,576 --> 00:38:53,479 「小弥太を頼む」➡ 501 00:38:53,479 --> 00:38:58,717 と言ったのかもしれん。 502 00:38:58,717 --> 00:39:41,293 ♬~ 503 00:39:41,293 --> 00:40:03,593 ♬~(七弦琴) 504 00:40:06,051 --> 00:40:09,088 今宵の調べは➡ 505 00:40:09,088 --> 00:40:15,728 なんと美しく 悲しく聞こえるのでしょう。 506 00:40:15,728 --> 00:40:21,066 友に…➡ 507 00:40:21,066 --> 00:40:25,366 友に ささげた。 508 00:40:34,079 --> 00:41:17,122 ♬~(七弦琴) 509 00:41:17,122 --> 00:41:20,459 おっ父…。 510 00:41:20,459 --> 00:41:24,759 心配は いらねえから。 511 00:41:33,072 --> 00:41:35,307 キャ~! 512 00:41:35,307 --> 00:41:38,611 騒ぐな! お前には人質になってもらう。 513 00:41:38,611 --> 00:41:42,081 この宿から 将監たち 一歩も出さぬ。 514 00:41:42,081 --> 00:41:48,354 ♬~ 515 00:41:48,354 --> 00:41:50,554 旦那様! 516 00:41:52,858 --> 00:41:58,530 骸は共に ここに眠らせ 魂は共に 月ヶ瀬に帰ろう。 517 00:41:58,530 --> 00:42:00,766 もらった! 518 00:42:00,766 --> 00:42:05,671 だが わしには 今も 友がいる。 519 00:42:05,671 --> 00:42:08,240 ここが 風越峠だ。 520 00:42:08,240 --> 00:42:11,140 共に越えるぞ 小弥太。 521 00:42:13,946 --> 00:42:20,119 ♬「遥かなり時代に」 522 00:42:20,119 --> 00:42:26,792 ♬「想いを馳せれば」 523 00:42:26,792 --> 00:42:32,598 ♬「お前との日々が」 524 00:42:32,598 --> 00:42:39,238 ♬「嗚呼~ いちばん」 525 00:42:39,238 --> 00:42:45,110 ♬「呼び捨てあう 仲でも」 526 00:42:45,110 --> 00:42:51,417 ♬「互いに気づかい」 527 00:42:51,417 --> 00:42:57,289 ♬「大事な事さえ」 528 00:42:57,289 --> 00:43:04,430 ♬「嗚呼~ 伝えず」 529 00:43:04,430 --> 00:43:10,302 ♬「時が呼びあい」 530 00:43:10,302 --> 00:43:16,442 ♬「今を呼ぶ」 531 00:43:16,442 --> 00:43:21,780 ♬「夕映えに 燃ゆる」 532 00:43:21,780 --> 00:43:26,080 ♬「漢ありて」