1 00:00:06,106 --> 00:00:10,444 (皐月)<後に 私の舅殿となる 森口慶次郎様は➡ 2 00:00:10,444 --> 00:00:15,115 一人娘の三千代様を 不幸な事件で亡くされ➡ 3 00:00:15,115 --> 00:00:21,421 三千代様の許嫁 晃之助様を 養子に迎えられます> 4 00:00:22,990 --> 00:00:27,461 <そして 不幸な事件から3年。➡ 5 00:00:27,461 --> 00:00:30,130 慶次郎様は 家督を譲られ➡ 6 00:00:30,130 --> 00:00:33,467 定町廻り同心となられた 晃之助様に➡ 7 00:00:33,467 --> 00:00:38,138 嫁御を迎えたいと 思われたのです。➡ 8 00:00:38,138 --> 00:00:40,073 ところが…> 9 00:00:40,073 --> 00:00:44,811 (晃之助)北見の奥様 いらしてたのですか。 10 00:00:44,811 --> 00:00:48,148 いえ。 ちょっと近くまで 寄ったものですから…。 11 00:00:48,148 --> 00:00:50,450 ごめんください。 12 00:00:52,819 --> 00:00:58,158 (ため息)またですか。 (慶次郎)まただ。 13 00:00:58,158 --> 00:01:00,761 まあ そう お力を落とさずに。 14 00:01:00,761 --> 00:01:02,696 縁談など いくらでも ありますから。 15 00:01:02,696 --> 00:01:06,099 お前の嫁ではないか! 16 00:01:06,099 --> 00:01:18,679 ♬~ 17 00:01:18,679 --> 00:01:25,118 <酒問屋 山口屋が催す 月見の宴でございます> 18 00:01:25,118 --> 00:01:29,790 (太郎右衛門) さようでございますか。 この度も。 19 00:01:29,790 --> 00:01:33,660 晃之助は 縁談なんぞ いくらでもあると言うが➡ 20 00:01:33,660 --> 00:01:37,464 俺には そうは思えねえ。 いや 晃之助のせいじゃねえ。 21 00:01:37,464 --> 00:01:41,335 森口の嫁となると…。 22 00:01:41,335 --> 00:01:44,638 (お登世)お酒を もう少し。 23 00:01:50,043 --> 00:01:54,014 晃之助は もともと 死んだ三千代の許嫁だ。 24 00:01:54,014 --> 00:01:57,651 祝言を前に 許嫁を亡くした 男のところへなんぞ➡ 25 00:01:57,651 --> 00:02:00,087 俺が親でも 娘を出したかねえ。 26 00:02:00,087 --> 00:02:02,422 (太郎右衛門) そう思い詰められますな。 27 00:02:02,422 --> 00:02:04,358 (文五郎)旦那。 28 00:02:04,358 --> 00:02:06,927 旦那は 縁という事を どのように思われますか? 29 00:02:06,927 --> 00:02:09,429 縁…? 30 00:02:09,429 --> 00:02:15,102 近頃 つくづく思います。 人は縁あれば 必ず結ばれます。 31 00:02:15,102 --> 00:02:18,005 つまらぬ事で 断たれるのであれば➡ 32 00:02:18,005 --> 00:02:20,774 それは そこまでの縁だったのです。➡ 33 00:02:20,774 --> 00:02:24,644 よいお話は きっと参ります。 34 00:02:24,644 --> 00:02:28,115 だといいんだが…。 35 00:02:28,115 --> 00:02:31,785 <山口屋の大番頭 文五郎さんは➡ 36 00:02:31,785 --> 00:02:36,456 その昔 山口屋のお嬢さんと 心中を図り➡ 37 00:02:36,456 --> 00:02:41,128 舅殿に 助けられた事がありました> 38 00:02:41,128 --> 00:02:44,798 それはそうと 例の寮番の お話は? 39 00:02:44,798 --> 00:02:48,468 そうそう。 寮番? 40 00:02:48,468 --> 00:02:52,139 根岸にある 私どもの別荘を ご存じですか? 41 00:02:52,139 --> 00:02:56,009 おお。 花見で何度か。 風情のある よい屋敷だったが。 42 00:02:56,009 --> 00:03:00,414 今 飯炊きの男が 一人住まっているのですが➡ 43 00:03:00,414 --> 00:03:04,084 いま一人 寮の番人を置きたいと 思っております。 44 00:03:04,084 --> 00:03:06,987 どなたか お心当たり ございませんか? 45 00:03:06,987 --> 00:03:09,956 根岸の寮番…。 46 00:03:09,956 --> 00:03:12,759 (太郎右衛門)代わりと申しては 恐れ入りますが➡ 47 00:03:12,759 --> 00:03:14,695 晃之助様の ご縁談➡ 48 00:03:14,695 --> 00:03:18,398 及ばずながら 私どもも 心がけてまいります故。 49 00:03:20,100 --> 00:03:23,437 <ほどなく 晃之助様のお話が➡ 50 00:03:23,437 --> 00:03:28,108 私の家にも 持ち込まれたのでございます> 51 00:03:28,108 --> 00:03:32,979 (志乃)ああ 迷惑も甚だしい。 町廻りの嫁になど。➡ 52 00:03:32,979 --> 00:03:35,782 出入りの者の世話や面倒など➡ 53 00:03:35,782 --> 00:03:42,456 そんな苦労をするためだけの家に 誰が 大事な娘をやりますか。 54 00:03:42,456 --> 00:03:44,391 言うな そのように。 55 00:03:44,391 --> 00:03:46,326 おまけに 森口といえば➡ 56 00:03:46,326 --> 00:03:49,229 「祝言を前に 娘が…」という➡ 57 00:03:49,229 --> 00:03:51,798 曰くつきの家でございましょう。 58 00:03:51,798 --> 00:04:00,073 慶次郎は 「仏の慶次郎」と呼ばれ 八丁堀でも 信厚いと評判の男だ。 59 00:04:00,073 --> 00:04:05,745 息子の晃之助は 元は 吟味方与力 岡田殿の三男坊。 60 00:04:05,745 --> 00:04:09,616 さして 悪い縁でも あるまいと思うが。 61 00:04:09,616 --> 00:04:14,087 では あなたは 皐月が 曰くのある家に嫁いでも➡ 62 00:04:14,087 --> 00:04:16,022 よろしいと おっしゃるのですか? そうではない。 63 00:04:16,022 --> 00:04:18,925 そうではないが…。 (しづ)奥様。➡ 64 00:04:18,925 --> 00:04:20,861 お客様がお見えでございます。 65 00:04:20,861 --> 00:04:24,664 (志乃)どなた? それが…。 66 00:04:33,106 --> 00:04:37,110 あなた様…。 そなたは…。 67 00:04:40,447 --> 00:04:45,318 私の家に 何か? 68 00:04:45,318 --> 00:04:50,624 そうか。 そなたが…。 69 00:04:53,026 --> 00:04:55,729 どうぞ。 70 00:04:57,464 --> 00:05:00,467 お嬢様。 これは 私が。 71 00:05:02,068 --> 00:05:04,371 どうぞ。 72 00:05:09,743 --> 00:05:12,779 失礼を承知で 参りました。 73 00:05:12,779 --> 00:05:16,249 実は その… さる筋より➡ 74 00:05:16,249 --> 00:05:20,453 こちらに 私の縁談が 持ち込まれたと伺いまして。 75 00:05:22,756 --> 00:05:28,628 いや… そのお話であったなら…。 76 00:05:28,628 --> 00:05:33,400 お断り下さいませ。 ん? 77 00:05:33,400 --> 00:05:38,305 口を利いた 山口屋の主人には 私から伝えます故。 78 00:05:38,305 --> 00:05:43,443 どうぞ ご遠慮なく。 いや しかし…。 79 00:05:43,443 --> 00:05:49,316 我が家の事 北町奉行所の左門様も ご存じとは思いますが…。 80 00:05:49,316 --> 00:05:53,119 森口家は いまだ 3人でございます。 81 00:05:53,119 --> 00:05:55,055 (左門)3人? 82 00:05:55,055 --> 00:05:59,926 はい。 私と義父と 亡き義父の娘御。 83 00:05:59,926 --> 00:06:02,929 この3人でございます。 84 00:06:04,731 --> 00:06:08,068 (晃之助) それ故 なかなか話がまとまらず➡ 85 00:06:08,068 --> 00:06:10,737 断りの返事が 度重なるに及んで➡ 86 00:06:10,737 --> 00:06:14,407 さすがの義父も 心身ともに 参っております。 87 00:06:14,407 --> 00:06:19,279 そのような次第で 先様にも 義父にも 重荷とならぬよう➡ 88 00:06:19,279 --> 00:06:26,019 某が 家の子細を申し上げるべく こうして 伺っております。 89 00:06:26,019 --> 00:06:28,955 そうか…。 90 00:06:28,955 --> 00:06:36,663 どうぞ 山口屋の事 ご懸念なく 遠慮のう お断り下さいませ。 91 00:06:39,432 --> 00:06:42,769 まあ ご立派だこと。 92 00:06:42,769 --> 00:06:46,106 よいご縁が おありになると よろしいですね。 93 00:06:46,106 --> 00:06:51,778 私どもでは 困るけれど。 (笑い声) 94 00:06:51,778 --> 00:06:53,780 あの…。 95 00:06:55,448 --> 00:06:58,351 そなたか。 96 00:06:58,351 --> 00:07:01,254 まだ 花をとっておられるのか? 97 00:07:01,254 --> 00:07:05,725 時々 お見かけしてました。 お稽古の帰りに。 98 00:07:05,725 --> 00:07:08,061 私もだ。 え? 99 00:07:08,061 --> 00:07:10,563 見かけると またぞろ危ない所で➡ 100 00:07:10,563 --> 00:07:12,499 花をとっておられるのでは ないかと➡ 101 00:07:12,499 --> 00:07:19,005 つい 気になってな ひやひやしていた。まあ。 102 00:07:20,740 --> 00:07:23,043 では。 103 00:07:31,384 --> 00:07:37,090 <私は 何か 今までに 味わった事のないような➡ 104 00:07:37,090 --> 00:07:39,426 居ても立っても いられないような➡ 105 00:07:39,426 --> 00:07:42,729 不思議な気持ちに襲われて…> 106 00:07:54,441 --> 00:07:58,311 朝一番で 駆けてまいりました。 107 00:07:58,311 --> 00:08:00,246 はあ…。 108 00:08:00,246 --> 00:08:02,716 何だ? どなただ? 109 00:08:02,716 --> 00:08:07,053 義父上。 神山様のご息女の 皐月さんです。 110 00:08:07,053 --> 00:08:10,924 あ… こ… 神山様の…! 111 00:08:10,924 --> 00:08:17,063 初めて お目にかかります。 皐月と申します。 112 00:08:17,063 --> 00:08:22,869 晃之助の義父です。 何か 火急の用でも? 113 00:08:22,869 --> 00:08:25,071 はい。 114 00:08:30,410 --> 00:08:32,746 これは…。 115 00:08:32,746 --> 00:08:37,751 根づいたんですよ。 もらった紫陽花が。 116 00:08:41,087 --> 00:08:44,424 あの時の…。 117 00:08:44,424 --> 00:08:48,428 差し上げます。 え? 118 00:08:52,098 --> 00:08:59,706 晃之助様 お義父上様。 お願いがあって 参りました。 119 00:08:59,706 --> 00:09:04,377 どうか 私をこちらの お嫁様にして下さいませ。 120 00:09:04,377 --> 00:09:07,680 お願い致します。 121 00:09:10,250 --> 00:09:13,720 あっ 奥様…。 しっかりなさいませ。 122 00:09:13,720 --> 00:09:18,058 私… もう何を信じて よいものやら。 123 00:09:18,058 --> 00:09:22,896 <母の驚きと嘆きは 一とおりでは ありませんでした> 124 00:09:22,896 --> 00:09:30,403 そのような…。 自ら出向いて 名乗るなど。 125 00:09:30,403 --> 00:09:33,406 申し訳ございませぬ。 126 00:09:35,275 --> 00:09:38,745 本気なのか? 127 00:09:38,745 --> 00:09:41,648 はい。 128 00:09:41,648 --> 00:09:50,356 定町廻り同心に 嫁ぐとなれば 苦労は 一とおりではないぞ。 129 00:09:50,356 --> 00:09:56,096 夫の世話から 下っ引きの面倒➡ 130 00:09:56,096 --> 00:10:02,435 家廻りのあらゆる者に 目配りせねばならぬ。 131 00:10:02,435 --> 00:10:07,273 相談に来る者 同心を逆恨みし➡ 132 00:10:07,273 --> 00:10:09,776 言いがかりをつけに来る者も いよう。 133 00:10:09,776 --> 00:10:15,949 それら すべてに 夫と共に 向かわねばならぬのだ。 134 00:10:15,949 --> 00:10:19,285 できるか お前に それが。 135 00:10:19,285 --> 00:10:23,790 精いっぱい つとめます。 136 00:10:23,790 --> 00:10:31,798 晃之助殿の許婚の お位牌も あるのだぞ。 137 00:10:33,466 --> 00:10:35,768 はい。 138 00:10:37,337 --> 00:10:42,475 ねえ 今からでも遅くはない。 断りましょう。 139 00:10:42,475 --> 00:10:44,410 今なら 先様だって。 140 00:10:44,410 --> 00:10:46,346 ねえ…。もうよい。 あなた! 141 00:10:46,346 --> 00:10:50,817 ここで 事を荒だてれば かえって その方が 恥になるではないか。 142 00:10:50,817 --> 00:10:53,720 皐月が ここまで覚悟をしたのだ。 143 00:10:53,720 --> 00:10:56,689 祝うしかあるまい。 まあ そんな…。 144 00:10:56,689 --> 00:10:59,626 立派な祝言に 仕立てようぞ。 145 00:10:59,626 --> 00:11:03,930 森口の曰くなど 吹き飛ばしてみせるわ! 146 00:11:06,099 --> 00:11:11,104 わしが すべて整えてやる。 147 00:11:12,972 --> 00:11:16,109 ありがとうございます。 148 00:11:16,109 --> 00:11:20,780 <こうして 私の嫁入りが 決まりました> 149 00:11:20,780 --> 00:11:23,449 ご自分から? ああ。 150 00:11:23,449 --> 00:11:25,785 俺も驚いたが 晃之助は もっとだ。 151 00:11:25,785 --> 00:11:30,456 いや あれは なかなか…。 旦那 楽しそう。 152 00:11:30,456 --> 00:11:34,160 その場で 三千代を拝んでくれた。 153 00:11:52,145 --> 00:11:56,015 縁っていうのは まさしく あるのかもしれねえなあ。 154 00:11:56,015 --> 00:12:02,422 ございますよ。 ただ ご縁には よいも悪いも ございましてね。 155 00:12:02,422 --> 00:12:05,091 なかなか 厄介なもので ございます。 156 00:12:05,091 --> 00:12:07,994 後見人とやらは あのあと どうだい? 157 00:12:07,994 --> 00:12:12,432 出しますよ 顔。 度々…。 そうか。 158 00:12:12,432 --> 00:12:16,302 でもね どういうんでしょうかね。 159 00:12:16,302 --> 00:12:22,108 ふっとね… あれも お宝って思う事あるんですよ。 160 00:12:22,108 --> 00:12:25,445 正直 見返してやるって 思わなかったら➡ 161 00:12:25,445 --> 00:12:28,348 ここまで 店を 続けてこられたかどうか…。 162 00:12:28,348 --> 00:12:31,784 逆もまた ご縁って事でしょうかね。 163 00:12:31,784 --> 00:12:34,454 ⚟(安右衛門)いるか? わしだ! 164 00:12:34,454 --> 00:12:38,157 噂をすれば…。 お待ち下さ…。 165 00:12:39,792 --> 00:12:43,463 後見が来たというのに 出迎えもなしか! 166 00:12:43,463 --> 00:12:47,800 あいすみません。 お客様のお相手を。 167 00:12:47,800 --> 00:12:54,107 よう。 旦那…。 いらしてたんで。 168 00:13:11,424 --> 00:13:18,431 三千代…。 晃之助に 嫁が決まった。 169 00:13:22,068 --> 00:13:24,771 案ずるな。 170 00:13:28,441 --> 00:13:35,148 お前は 生涯… 父が 抱きとめてやる。 171 00:13:39,085 --> 00:13:46,392 <この時すでに 舅殿は ある覚悟を 秘めておられたのでございます> 172 00:13:48,294 --> 00:13:53,466 <それから 瞬く間に 月日が過ぎ…> 173 00:13:53,466 --> 00:13:56,369 (ひさ)すばらしゅうございますね。 174 00:13:56,369 --> 00:13:58,971 <祝言の10日前。➡ 175 00:13:58,971 --> 00:14:04,177 父の心づくしの花嫁衣装が 届けられました> 176 00:14:07,680 --> 00:14:14,420 昔 仕立て職人の家で お針の 下働きをしてた事があります。 177 00:14:14,420 --> 00:14:17,757 お前が? 178 00:14:17,757 --> 00:14:19,692 その時だって➡ 179 00:14:19,692 --> 00:14:24,430 これほどの花嫁衣装は 見た事がございません。 180 00:14:24,430 --> 00:14:28,434 お嬢様は お幸せですね。 181 00:14:31,104 --> 00:14:34,440 まあ! 182 00:14:34,440 --> 00:14:37,343 <心労から倒れた 母の代わりに➡ 183 00:14:37,343 --> 00:14:42,115 新しく雇った女中のひさや 乳母のしづと共に➡ 184 00:14:42,115 --> 00:14:45,985 私も 支度に追われる 毎日だったのですが…> 185 00:14:45,985 --> 00:14:53,693 あら よくお似合いですよ。 ねえ。 こちらも…。 186 00:14:56,662 --> 00:15:01,667 義父上! 義父上! 187 00:15:04,070 --> 00:15:09,242 いなくなった? 森口の旦那が? 188 00:15:09,242 --> 00:15:11,744 山口屋の文五郎の引きで➡ 189 00:15:11,744 --> 00:15:14,580 根岸の別荘の寮番を 勤める事にしたと。 190 00:15:14,580 --> 00:15:18,751 ああ 新川の酒問屋さんの…。 191 00:15:18,751 --> 00:15:21,654 いつもの義父の冗談だろうと 聞き過ごしたんだが➡ 192 00:15:21,654 --> 00:15:26,426 妙に 気になってな。 ご用の合間 屋敷に戻ると…。 193 00:15:26,426 --> 00:15:28,761 消えてらしたんですね。 194 00:15:28,761 --> 00:15:32,064 三千代殿の位牌も 一緒にだ。 195 00:15:35,101 --> 00:15:40,807 <早速 父 神山左門が 根岸を訪ねたのです> 196 00:15:42,442 --> 00:15:46,312 決めていた? 侘び住まいをか。 197 00:15:46,312 --> 00:15:52,118 はい。 晃之助に嫁を迎えたら どこか よき所にと。 198 00:15:52,118 --> 00:15:59,458 はあ… それが ここか。 寮番か。 199 00:15:59,458 --> 00:16:01,394 (ため息) 200 00:16:01,394 --> 00:16:03,729 承服できぬ。 201 00:16:03,729 --> 00:16:08,601 息子の祝言を前に 舅が 家を出るなど。 202 00:16:08,601 --> 00:16:12,071 申し訳ございませぬ。 203 00:16:12,071 --> 00:16:19,378 そもそも 晃之助殿との縁組み 親としては 気がすすまなかった。 204 00:16:22,081 --> 00:16:27,753 あいすまぬが 娘御の事だ。 205 00:16:27,753 --> 00:16:43,769 ♬~ 206 00:16:43,769 --> 00:16:46,672 愚かと思ってもらって かまわぬ。 207 00:16:46,672 --> 00:16:52,445 わしは… わしは…➡ 208 00:16:52,445 --> 00:16:57,116 皐月が 哀れでならぬ。 神山様。 209 00:16:57,116 --> 00:17:03,923 死んだ者に 心を残したままの家に 嫁ぐなど…。➡ 210 00:17:03,923 --> 00:17:10,663 あれも 決して 幸せな女子ではない。 211 00:17:10,663 --> 00:17:16,068 幼い頃よりの許嫁を 病で亡くし➡ 212 00:17:16,068 --> 00:17:25,411 じらい どこか 一つも 二つも 引いたところがあってな。 213 00:17:25,411 --> 00:17:28,748 それ故 此度の縁➡ 214 00:17:28,748 --> 00:17:33,619 せめて… せめて 祝言には➡ 215 00:17:33,619 --> 00:17:39,625 親として できるだけの事を してやらねばと…。 216 00:17:42,295 --> 00:17:45,998 仏の慶次郎。 217 00:17:53,439 --> 00:17:59,712 そう呼ばれて 信厚き そなただからこそ 申すのだ。 218 00:17:59,712 --> 00:18:05,584 晃之助殿のためにも 娘のためにも。 219 00:18:05,584 --> 00:18:12,058 八丁堀の屋敷へ 戻ってはくれまいか。 220 00:18:12,058 --> 00:18:14,760 このとおり。 221 00:18:24,070 --> 00:18:28,741 <結局 父は 舅殿のお心を変える事は➡ 222 00:18:28,741 --> 00:18:32,044 かなわなかったのでございます> 223 00:18:34,080 --> 00:18:36,983 <悪い事は 続くものです。➡ 224 00:18:36,983 --> 00:18:43,089 父の心づくしの花嫁衣装が 消えたのです> 225 00:18:43,089 --> 00:18:47,593 ああ… そ… そんな…! 226 00:18:47,593 --> 00:18:50,630 奥様 気をしっかり。 ひさ お水を! 227 00:18:50,630 --> 00:18:52,932 はい。 早く! 228 00:18:59,105 --> 00:19:03,376 この縁 なかった事にする。 (2人)えっ? 229 00:19:03,376 --> 00:19:05,711 父上 それは…。 もともと この話には➡ 230 00:19:05,711 --> 00:19:08,047 無理があったのじゃ。 231 00:19:08,047 --> 00:19:14,754 森口の家の曰くといい 祝言を前の転宅といい…。 232 00:19:16,722 --> 00:19:21,060 わしが 頭を下げたにもかかわらず あの男…。 233 00:19:21,060 --> 00:19:23,963 父上…。 234 00:19:23,963 --> 00:19:26,932 婚礼の衣装がなくなったのも➡ 235 00:19:26,932 --> 00:19:32,671 今となっては 何かの しるしやもしれぬ。 236 00:19:32,671 --> 00:19:34,607 婚礼は やめじゃ! 237 00:19:34,607 --> 00:19:37,410 (志乃)あなた…。 父上。 父上様! 238 00:19:37,410 --> 00:19:40,079 (悲鳴) 239 00:19:40,079 --> 00:19:43,749 あなた… あなた お待ちを…。 240 00:19:43,749 --> 00:19:46,419 奥様… お待ち下さい 奥様! 241 00:19:46,419 --> 00:19:50,723 ひさ 大事ないか? はい。 242 00:20:01,767 --> 00:20:03,703 祝言を やめる? 243 00:20:03,703 --> 00:20:06,272 (辰吉)へい。 婚礼の衣装が消えたのを潮に➡ 244 00:20:06,272 --> 00:20:09,108 話は なかった事にと。 245 00:20:09,108 --> 00:20:12,445 辰吉 出かける。 (辰吉)神山様のお屋敷ですね? 246 00:20:12,445 --> 00:20:15,147 (晃之助) 行かれて 何ができますか? 247 00:20:16,782 --> 00:20:20,119 晃之助。 248 00:20:20,119 --> 00:20:24,790 辰吉。へい。 何をしている。 249 00:20:24,790 --> 00:20:27,693 お前は 私の手先ではないのか? 250 00:20:27,693 --> 00:20:29,995 ご無礼を。 251 00:21:04,096 --> 00:21:06,799 (佐七)何だ? こりゃ。 252 00:21:13,773 --> 00:21:17,443 こういう事が なさりたかったのですか。 253 00:21:17,443 --> 00:21:20,146 義父上は。 254 00:21:21,781 --> 00:21:27,086 驚きました。 寮番に なられるとは。 255 00:21:29,121 --> 00:21:33,793 お前が 妻を娶ったら 三千代と 2人➡ 256 00:21:33,793 --> 00:21:38,297 家を出ようと考えていた。 257 00:21:38,297 --> 00:21:41,801 寮番っていうのは 文五郎に 当てを問われて➡ 258 00:21:41,801 --> 00:21:43,736 ふと思いついた事でな。 259 00:21:43,736 --> 00:21:48,140 ところが 思いついた途端 妙に しっくりきやがった。 260 00:21:48,140 --> 00:21:51,477 これかもしれねえ そう思った。 261 00:21:51,477 --> 00:21:55,314 慌ただしく 家を出たのは すまなかったが➡ 262 00:21:55,314 --> 00:21:58,350 はずみを つけたかった。 263 00:21:58,350 --> 00:22:05,925 実は ほっとしております。 ほっとしてる? 264 00:22:05,925 --> 00:22:12,698 皐月殿は よい娘です。 私には 過ぎた女子です。 265 00:22:12,698 --> 00:22:19,438 ですから 不安でした。 どういう事だ? 266 00:22:19,438 --> 00:22:26,612 私は あの娘と まことに 夫婦に なれるのだろうか。 267 00:22:26,612 --> 00:22:30,416 三千代殿の事を 忘れて…。 268 00:22:32,117 --> 00:22:35,020 朝 顔を洗う。 269 00:22:35,020 --> 00:22:41,460 濡れた顔のまま 伸ばした手に 手拭いを渡される。 270 00:22:41,460 --> 00:22:50,803 顔を拭いて ああ この手は 三千代ではないのだなと思う。 271 00:22:50,803 --> 00:22:56,141 あさげをとる。 味噌汁を よそってもらい➡ 272 00:22:56,141 --> 00:22:59,478 一口すすって うまいと思う。 273 00:22:59,478 --> 00:23:04,750 三千代のこしらえた汁を 飲んでみたかったと思う。 274 00:23:04,750 --> 00:23:08,087 晃之助…。 275 00:23:08,087 --> 00:23:14,426 怖いのです。 森口家の養子となり➡ 276 00:23:14,426 --> 00:23:19,765 義父上と 親子として暮らした 3年の間➡ 277 00:23:19,765 --> 00:23:26,772 折にふれ 三千代を思い出さずには いられませんでした。 278 00:23:29,775 --> 00:23:37,449 これから先 あの娘と暮らして 一度でも➡ 279 00:23:37,449 --> 00:23:43,322 ああ これが 三千代だったらと 思ってしまったら 私は…。 280 00:23:43,322 --> 00:23:49,328 そんな私を 私は…。 281 00:23:51,997 --> 00:23:55,301 三千代は いない。 282 00:23:57,136 --> 00:24:00,439 三千代は 死んだのだ。 283 00:24:04,743 --> 00:24:08,414 皐月殿とのご縁は➡ 284 00:24:08,414 --> 00:24:11,750 先様の申すとおり なかった事に致します。 285 00:24:11,750 --> 00:24:15,054 晃之助! もう 決めました! 286 00:24:17,423 --> 00:24:26,432 ですから 義父上も 八丁堀へ お戻り下さい。 287 00:24:26,432 --> 00:24:51,123 ♬~ 288 00:24:51,123 --> 00:24:55,461 旦那。 飯の支度ができたよ。 289 00:24:55,461 --> 00:25:00,733 ん? ああ すまねえ。 290 00:25:00,733 --> 00:25:05,738 また 何もできずに 一日が過ぎちまったな…。 291 00:25:11,076 --> 00:25:14,747 旦那…。 292 00:25:14,747 --> 00:25:18,751 怒らずに聞いておくれよ。 293 00:25:21,420 --> 00:25:29,762 あんた 八丁堀に帰った方が よくはないかね? 元のお屋敷に。 294 00:25:29,762 --> 00:25:33,098 佐七。 何もしなかったのは謝る。 295 00:25:33,098 --> 00:25:36,769 だが 仕事も 覚えるつもりでいるし➡ 296 00:25:36,769 --> 00:25:38,704 ここの暮らしにも 必ず 慣れて…。 297 00:25:38,704 --> 00:25:43,409 いやいや そういうこっちゃねえんだな。 298 00:25:51,116 --> 00:25:57,990 旦那が ここに来て 何日です? たった 2日だ。 299 00:25:57,990 --> 00:26:02,061 なのに あっちからも こっちからも➡ 300 00:26:02,061 --> 00:26:06,732 旦那 旦那って 引き止めに来る者がいる。 301 00:26:06,732 --> 00:26:09,635 旦那を頼ってくる者もいる。 302 00:26:09,635 --> 00:26:13,639 すまん。 うるさい事で。 303 00:26:16,074 --> 00:26:23,949 俺みたいに ここしか 行き場のない者からすっと➡ 304 00:26:23,949 --> 00:26:28,420 何て言うか…➡ 305 00:26:28,420 --> 00:26:32,758 言い方が きつかったら ごめんなさいよ。 306 00:26:32,758 --> 00:26:38,430 旦那 隠居ごっこをしてるんだ。 307 00:26:38,430 --> 00:26:45,103 誰の世話にもならねえ てめえ一人で 生きてみせるって➡ 308 00:26:45,103 --> 00:26:49,441 そういう ごっこをね。 309 00:26:49,441 --> 00:27:00,385 ♬~ 310 00:27:00,385 --> 00:27:04,389 早く 飯を…。 311 00:27:06,725 --> 00:27:11,396 汁 冷めちまうから。 312 00:27:11,396 --> 00:27:25,410 ♬~ 313 00:27:25,410 --> 00:27:28,080 (吉次)白無垢のような 派手なもんが持ち込まれる➡ 314 00:27:28,080 --> 00:27:32,417 古着屋なんて そうないもんでね。 すまん。 借りは必ず。 315 00:27:32,417 --> 00:27:35,087 いや~ ケチをつける気じゃ ありませんけど➡ 316 00:27:35,087 --> 00:27:38,957 白無垢なんざ 取り戻して どうなさる おつもりで? 317 00:27:38,957 --> 00:27:43,762 晃之助さんの縁談が それで 戻ってくるわけじゃなし。 318 00:27:43,762 --> 00:27:46,265 古着屋に 衣装を持ち込んだ者は? 319 00:27:46,265 --> 00:27:50,435 善助っていう 出前持ちの女房で 古着屋の主が 覚えてましてね。 320 00:27:50,435 --> 00:27:55,140 よく行く そば屋で 亭主を 訪ねてくるのを 見かけたって。 321 00:27:56,775 --> 00:28:01,079 旦那。 あそこでさ。 322 00:28:05,050 --> 00:28:08,921 おっと… すまん! お前さん…。 323 00:28:08,921 --> 00:28:11,390 森口様…。 324 00:28:11,390 --> 00:28:13,325 お前さん どうして こんな所に? 325 00:28:13,325 --> 00:28:16,728 森口様こそ。 その包みは? 326 00:28:16,728 --> 00:28:21,733 旦那! 善助の女房で。 327 00:28:23,602 --> 00:28:26,738 おひさ…。 知り合いかい? 328 00:28:26,738 --> 00:28:29,041 おひさ! 329 00:28:34,413 --> 00:28:36,415 大事ないか? 330 00:28:38,083 --> 00:28:41,954 おっ! こいつは…。 331 00:28:41,954 --> 00:28:58,103 ♬~ 332 00:28:58,103 --> 00:29:01,006 また増えてやがる。 333 00:29:01,006 --> 00:29:04,309 お前が隠したんだな? 334 00:29:06,712 --> 00:29:10,215 銭か? 335 00:29:10,215 --> 00:29:15,053 銭なんて 今更…。 じゃあ なぜ? 336 00:29:15,053 --> 00:29:22,394 欲しかったのは 運です。 運? 337 00:29:22,394 --> 00:29:28,066 生まれた時から 食べるのが やっと。 338 00:29:28,066 --> 00:29:30,736 奉公先を転々としながら➡ 339 00:29:30,736 --> 00:29:37,409 お針を覚えて 人様の晴れ着を 縫ってきました。 340 00:29:37,409 --> 00:29:42,281 お金も 縁も ないのが当たり前。 341 00:29:42,281 --> 00:29:44,283 そういうもんだと思ってました。 342 00:29:44,283 --> 00:29:47,419 あったじゃねえか 縁なら。 いるんだろ ご亭主が。 343 00:29:47,419 --> 00:29:54,092 駄目なんです。 真面目な優しい人なのに➡ 344 00:29:54,092 --> 00:29:56,928 私と一緒になった途端➡ 345 00:29:56,928 --> 00:30:00,766 ためたお金で始めた商いが 失敗続き。 346 00:30:00,766 --> 00:30:05,437 どんどん悪い方に重なって…。 347 00:30:05,437 --> 00:30:10,108 今じゃ 雇われの出前持ちです。 348 00:30:10,108 --> 00:30:14,613 人の不幸せが てめえのせいかい。 おい 吉次。 349 00:30:14,613 --> 00:30:21,787 私のせいです。 私についた 貧乏神のせいです。 350 00:30:21,787 --> 00:30:26,458 お前さん そりゃあ。 思いたかった 私も。 351 00:30:26,458 --> 00:30:31,129 亭主の不幸は 私のせいじゃない。 352 00:30:31,129 --> 00:30:35,801 私についた 貧乏神のせいじゃない! 353 00:30:35,801 --> 00:30:39,137 おひさ…。 354 00:30:39,137 --> 00:30:47,012 あやかりたいと思いました。 私に? 355 00:30:47,012 --> 00:30:52,684 初めて 人を羨みました。 好いた人と 一緒になれる。 356 00:30:52,684 --> 00:30:55,687 その人は とても よい方で➡ 357 00:30:55,687 --> 00:31:00,092 ご両親は 立派な白無垢まで 揃えて下さる。 358 00:31:00,092 --> 00:31:04,396 その おこぼれを頂こうと 思いました。 359 00:31:06,431 --> 00:31:11,303 ならば なぜ売った? 金のためじゃない。 360 00:31:11,303 --> 00:31:14,106 運のためなら なぜ衣装を? 361 00:31:14,106 --> 00:31:17,008 亭主の働き口が 決まったんです。 362 00:31:17,008 --> 00:31:20,979 ご衣装を 手に入れた途端です。 363 00:31:20,979 --> 00:31:24,750 新しい着物で送り出してやりたい。 364 00:31:24,750 --> 00:31:28,453 そう思って 売りました。 365 00:31:28,453 --> 00:31:37,462 でも 売った途端 やっぱり これは 手放しちゃいけない。 366 00:31:37,462 --> 00:31:41,133 お金と替えちゃいけない もんなのだと思い直して…。 367 00:31:41,133 --> 00:31:44,436 取り返しに行ったんだな。 368 00:31:48,006 --> 00:31:50,809 お前さんは なぜ? 369 00:31:50,809 --> 00:31:55,313 私は 最初から 隠したのは おひさだと➡ 370 00:31:55,313 --> 00:32:00,285 分かっておりましたので。 なぜ? 371 00:32:00,285 --> 00:32:05,957 着物が消えた夜 母に水を 汲んできた おひさの足が➡ 372 00:32:05,957 --> 00:32:07,959 土で 汚れておりました。 373 00:32:07,959 --> 00:32:09,961 父上様! 374 00:32:09,961 --> 00:32:13,698 裸足のまま 表へ出たのだなと…。 375 00:32:13,698 --> 00:32:17,702 こりゃ 若旦那より 筋が いいや。 376 00:32:24,109 --> 00:32:27,813 申し訳ございませんでした。 377 00:32:31,983 --> 00:32:41,660 おひささん 心底 そう思うのなら 手伝ってもらえますか? 378 00:32:41,660 --> 00:32:45,964 もう一度 私の祝言まで。 379 00:32:54,473 --> 00:33:00,779 お前には 笑われるかもしれないけれど…。 380 00:33:08,019 --> 00:33:14,426 私も 影の薄い女でした。 381 00:33:14,426 --> 00:33:18,296 よくできた兄の陰になり➡ 382 00:33:18,296 --> 00:33:21,099 許嫁が亡くなり➡ 383 00:33:21,099 --> 00:33:23,602 嫁ぐ前から 後家になったかのように➡ 384 00:33:23,602 --> 00:33:26,638 皆に 哀れまれ。 385 00:33:26,638 --> 00:33:34,646 二度と花が咲く事はないのだと 自分でも 諦めておりました。 386 00:33:36,314 --> 00:33:40,619 晃之助様に お会いして 気付きました。 387 00:33:42,454 --> 00:33:50,161 花は 咲かなかったのではない。 私が 咲かそうとしなかったのだ。 388 00:33:51,796 --> 00:33:57,102 気付いて初めて 自分から申し出ました。 389 00:34:02,407 --> 00:34:06,578 ですから 花嫁衣装は➡ 390 00:34:06,578 --> 00:34:10,415 どうしても 私の手で 取り戻したかったのです。 391 00:34:10,415 --> 00:34:17,088 ですが 祝言の話は すでに ご両親が…。 392 00:34:17,088 --> 00:34:22,761 私が 説得致します。 私の縁です。 393 00:34:22,761 --> 00:34:27,465 私が 父と母に もう一度…。 そんな事は させぬ。 394 00:34:31,102 --> 00:34:39,811 俺が頼む。 お前と一緒にさせてくれと。 395 00:34:42,714 --> 00:34:46,017 晃之助様…。 396 00:34:49,120 --> 00:34:55,460 義父上。 よろしゅうございますか? 397 00:34:55,460 --> 00:34:58,463 もちろんだ。 398 00:35:00,732 --> 00:35:03,735 ありがとうございます。 399 00:35:12,344 --> 00:35:18,650 でも お着物が… 私のせいで…。 400 00:35:23,955 --> 00:35:26,758 ⚟あるよ。➡ 401 00:35:26,758 --> 00:35:32,063 花嫁衣装だったら あるじゃないか。 402 00:35:37,102 --> 00:35:41,406 <祝言の日を迎えました> 403 00:35:50,115 --> 00:35:55,453 きれいですよ 皐月。 ありがとうございます。 404 00:35:55,453 --> 00:35:59,124 あの白無垢は 見つからなかったけれど➡ 405 00:35:59,124 --> 00:36:01,559 代わりがあっただなんて。 406 00:36:01,559 --> 00:36:07,732 まあ あつらえたように よく似合う。 407 00:36:07,732 --> 00:36:12,404 これは 三千代様のものでございます。 408 00:36:12,404 --> 00:36:15,440 なんと!? 三千代殿の!? 409 00:36:15,440 --> 00:36:19,744 3年前 晃之助様に嫁ぐはずだった➡ 410 00:36:19,744 --> 00:36:24,416 三千代様のご衣装を お借りしたのでございます。 411 00:36:24,416 --> 00:36:27,085 奥様! 412 00:36:27,085 --> 00:36:32,757 死んだ者の衣装など 縁起でもない。 413 00:36:32,757 --> 00:36:36,628 私が お借り致しました。 ん? 414 00:36:36,628 --> 00:36:42,767 三千代様にも 私が よくよく お願いをして お借り致しました。 415 00:36:42,767 --> 00:36:49,441 そんな… よりによって 前の許婚のものを…。 416 00:36:49,441 --> 00:36:54,746 私は 3人の家に 嫁ぐのでございます。 417 00:36:56,314 --> 00:37:01,019 加えて 4人に して頂くのでございます。 418 00:37:08,727 --> 00:37:20,071 父上様 母上様。 お世話になりました。 419 00:37:20,071 --> 00:37:30,415 ♬~ 420 00:37:30,415 --> 00:37:33,318 お待ち遠さま お願いします。 421 00:37:33,318 --> 00:37:37,622 これ 洗い物お願いしますね。 女将さん 料理の準備の方…。 422 00:37:40,091 --> 00:37:42,026 何で 俺が こんなとこ いるんだろうね。 423 00:37:42,026 --> 00:37:44,262 皐月が 是非にと。 お前さんが➡ 424 00:37:44,262 --> 00:37:46,297 花嫁衣装の事を 言いだしてくれなかったら➡ 425 00:37:46,297 --> 00:37:49,100 婚礼だって どうなっていたか。 426 00:37:49,100 --> 00:37:51,035 いや~ あれは➡ 427 00:37:51,035 --> 00:37:53,938 片づいてない旦那の行李を チラッと…。 428 00:37:53,938 --> 00:37:57,442 父を よろしく頼みます。 何だよ! 429 00:37:57,442 --> 00:38:00,712 くれぐれも よろしくお願い致します。 430 00:38:00,712 --> 00:38:05,383 お嫁様が お着きになりましたよ。 431 00:38:05,383 --> 00:39:01,573 ♬~ 432 00:39:01,573 --> 00:39:06,344 神山様。 以前 お尋ねになりましたね? 433 00:39:06,344 --> 00:39:11,249 なぜ 侘び住まいなのか なぜ 寮番なのかと。 434 00:39:11,249 --> 00:39:14,719 三千代殿のためか? 435 00:39:14,719 --> 00:39:17,055 三千代殿の位牌に➡ 436 00:39:17,055 --> 00:39:20,725 若い夫婦の姿を 見せまいとしてか…。 437 00:39:20,725 --> 00:39:24,596 それもあります。 けど よくよく考えてみると➡ 438 00:39:24,596 --> 00:39:27,232 それだけじゃねえ。 439 00:39:27,232 --> 00:39:30,068 てめえの気持ちを掘ってみると➡ 440 00:39:30,068 --> 00:39:33,738 欲というのが 透けて見えます。 441 00:39:33,738 --> 00:39:38,443 欲? どのような。 442 00:39:48,286 --> 00:39:52,991 生きたいという欲でございます。 443 00:39:55,026 --> 00:40:02,100 生きたい。 よく活きたい。 444 00:40:02,100 --> 00:40:05,970 役目を終えた者として 労られるより➡ 445 00:40:05,970 --> 00:40:11,276 この足で町を歩き 自分の力で暮らし➡ 446 00:40:11,276 --> 00:40:15,780 残りの命を生ききりたい。 447 00:40:19,017 --> 00:40:24,722 よく活きるか…。 はい。 448 00:40:27,458 --> 00:40:34,132 そのように生きたいものだ。 私も…。 449 00:40:34,132 --> 00:40:37,468 (笑い声) 450 00:40:37,468 --> 00:40:41,773 さあ どうぞ お二人とも。 451 00:40:44,342 --> 00:40:47,145 <その夜は 結局➡ 452 00:40:47,145 --> 00:40:52,150 お二人とも 「花ごろも」で 飲み明かしたそうでございます> 453 00:41:00,091 --> 00:41:02,026 何やってんだい! 454 00:41:02,026 --> 00:41:04,963 ちりはね 散らすんじゃなくて 集めるんだよ! 455 00:41:04,963 --> 00:41:08,433 こうやって… 集めるんだよ。 1か所に! 456 00:41:08,433 --> 00:41:13,104 分かった… 分かったよ。 何度言ったら分かるんだ! 457 00:41:13,104 --> 00:41:17,408 <根岸の寮も 冬支度でございます> 458 00:41:19,277 --> 00:41:21,212 昔から申しますよ。 459 00:41:21,212 --> 00:41:27,785 「人と契らば 薄く契りて 末まで遂げよ」と。 460 00:41:27,785 --> 00:41:30,121 おすみちゃん。 461 00:41:30,121 --> 00:41:32,423 馬鹿! 462 00:41:36,461 --> 00:41:39,797 どうぞお楽しみに。 463 00:41:39,797 --> 00:42:54,806 ♬~