1 00:00:05,372 --> 00:00:08,041 (皐月)<嫁いで まだ3日➡ 2 00:00:08,041 --> 00:00:11,912 森口家の不束な嫁 皐月でございます。➡ 3 00:00:11,912 --> 00:00:16,216 私の愛しい旦那様 晃之助様は➡ 4 00:00:16,216 --> 00:00:20,721 森口の家を継いだ 養子でございます。➡ 5 00:00:20,721 --> 00:00:24,057 舅殿の森口慶次郎様は➡ 6 00:00:24,057 --> 00:00:29,396 故あって 根岸の里で 別荘の寮番をされておりますが➡ 7 00:00:29,396 --> 00:00:34,234 かつては 南町奉行所の定町廻り同心で➡ 8 00:00:34,234 --> 00:00:39,406 「仏の慶次郎」と 慕われた お方でございます> 9 00:00:39,406 --> 00:00:55,422 ♬~ 10 00:00:58,091 --> 00:01:02,062 (佐七)えっ!? 枝 折った? ああ…。 11 00:01:02,062 --> 00:01:04,865 (慶次郎)いやいや クモが巣を張っていたんでな➡ 12 00:01:04,865 --> 00:01:07,701 で これで払おうとして…。 旦那! 13 00:01:07,701 --> 00:01:10,537 旦那の目には この楓が➡ 14 00:01:10,537 --> 00:01:13,573 どこにでもある 楓に見えますか? え? 15 00:01:13,573 --> 00:01:16,710 これは 山口屋の先代が➡ 16 00:01:16,710 --> 00:01:21,381 それはそれは 大切にして いなすった 珍しい楓だ。 17 00:01:21,381 --> 00:01:23,317 そうか…。 18 00:01:23,317 --> 00:01:25,719 関守って言ったかな…。 19 00:01:25,719 --> 00:01:29,222 それを あ~あ こんなふうにしちまって! 20 00:01:29,222 --> 00:01:32,059 すまぬ。 庭の掃除は もういいよ。 21 00:01:32,059 --> 00:01:34,561 いやいや あの 寮番として 雇われたからには➡ 22 00:01:34,561 --> 00:01:36,496 庭掃除も 俺の仕事だ。 23 00:01:36,496 --> 00:01:41,068 旦那 昨日は 大根を切る代わりに 自分の指 切っちまったね。 24 00:01:41,068 --> 00:01:44,738 あっ ああ…。 おとついは はたきの柄で➡ 25 00:01:44,738 --> 00:01:47,407 障子に 穴開けなすった。 面目ない。 26 00:01:47,407 --> 00:01:50,444 その前の日は 風呂の炊き口 いぶしちまって➡ 27 00:01:50,444 --> 00:01:53,213 その前は…。 まことに面目ない。 28 00:01:53,213 --> 00:01:58,018 あ~あ! 手間がかかるばっかりだ。 29 00:02:02,356 --> 00:02:04,691 ちっとは楽になると思ったのに➡ 30 00:02:04,691 --> 00:02:07,594 かえって 仕事が増えちまった。 31 00:02:07,594 --> 00:02:12,032 <義父上様が根岸に移られて 14日。➡ 32 00:02:12,032 --> 00:02:17,704 今日も 飯炊きの佐七さんの機嫌を 損じたようでございます。➡ 33 00:02:17,704 --> 00:02:23,510 そして 晃之助様に嫁いだ 私も 恥ずかしながら…> 34 00:02:23,510 --> 00:02:27,047 (しづ)まず 座付きを 切り落とします。➡ 35 00:02:27,047 --> 00:02:32,919 そして ここも 切り落とします。➡ 36 00:02:32,919 --> 00:02:36,723 そして むき上げていきます。 はあ…。 37 00:02:36,723 --> 00:02:39,393 さっ やってごらんなさいませ。 38 00:02:39,393 --> 00:02:41,695 はい。 39 00:02:45,265 --> 00:02:47,267 座付きを…➡ 40 00:02:47,267 --> 00:02:49,569 切り落とす。 41 00:02:49,569 --> 00:02:53,407 そして ここも…。 ああ…。 42 00:02:53,407 --> 00:02:55,442 しづは もう出かけますよ。 43 00:02:55,442 --> 00:02:58,912 今夜は 戻れませぬが お一人で おやりになれますね。 44 00:02:58,912 --> 00:03:02,349 里の母上様のご用でしょ。 行ってらっしゃい。 45 00:03:02,349 --> 00:03:05,685 ここは 私 一人で。 46 00:03:05,685 --> 00:03:10,357 そうです。 そうです 落ちついて。 47 00:03:10,357 --> 00:03:13,860 今日こそは 旦那様の お戻りまでに➡ 48 00:03:13,860 --> 00:03:17,364 晩の支度を 整えねばなりませんよ。 49 00:03:20,367 --> 00:03:25,238 <そうなのです。 昨日は 夕飯の支度が間に合わず➡ 50 00:03:25,238 --> 00:03:28,875 旦那様と一緒に戻った 手先の皆さんにも➡ 51 00:03:28,875 --> 00:03:32,212 握り飯一つ 振る舞えませんでした。➡ 52 00:03:32,212 --> 00:03:36,383 でも 今日こそ…> 53 00:03:36,383 --> 00:03:38,685 ああ。 54 00:03:40,253 --> 00:03:43,256 (3人)ごちそうになりやす。 55 00:03:54,734 --> 00:03:58,572 あの… あっしたちは これで…。 56 00:03:58,572 --> 00:04:02,342 (辰吉)おい。 飯 ごちそうになんねえのかよ。 57 00:04:02,342 --> 00:04:08,348 腹へってねえんで。 (腹の鳴る音) 58 00:04:12,352 --> 00:04:14,287 ありゃ 食えねえや。 59 00:04:14,287 --> 00:04:18,992 腹 へったな。 そばでも食いに行くか。 60 00:04:25,699 --> 00:04:29,369 今日は 栗飯と けんちん汁です。 61 00:04:29,369 --> 00:04:32,706 うまそうだな。 辰吉たちにも 振る舞ってくれたかい? 62 00:04:32,706 --> 00:04:35,408 はい。 ぬかりなく。 63 00:04:38,578 --> 00:04:43,049 私 今日初めて ご新造様と呼ばれました。 64 00:04:43,049 --> 00:04:46,720 昼間 大黒屋の お使いの方が見えられて。 65 00:04:46,720 --> 00:04:52,058 大黒屋? 何の用だ? 66 00:04:52,058 --> 00:04:57,063 ご挨拶にと これを…。 67 00:05:00,333 --> 00:05:03,236 受け取ったのか? 68 00:05:03,236 --> 00:05:07,207 里の母に こういう時は お預かりするものだと➡ 69 00:05:07,207 --> 00:05:10,010 言われておりましたので。 70 00:05:10,010 --> 00:05:11,945 出かけてくる。 71 00:05:11,945 --> 00:05:16,183 旦那様。 大黒屋に 突き返してくる。 72 00:05:16,183 --> 00:05:18,118 あの…。 73 00:05:18,118 --> 00:05:22,856 大黒屋は 探索中の一件に 関わっている。 74 00:05:22,856 --> 00:05:27,360 このようなものは 受け取るわけには いかん。 75 00:05:38,038 --> 00:05:42,709 <大切な楓の枝を折ってしまった 義父上様は➡ 76 00:05:42,709 --> 00:05:46,213 早速 山口屋に お詫びに行かれました。➡ 77 00:05:46,213 --> 00:05:51,017 ところが それが かえって 仇になったのです> 78 00:05:52,719 --> 00:05:55,622 (文五郎)森口の旦那に 庭掃除をさせるとは 佐七! 79 00:05:55,622 --> 00:05:57,891 お前 一体 どういう了見だい! 80 00:05:57,891 --> 00:06:01,761 いや あの… 掃除は 寮番の仕事じゃ…。 81 00:06:01,761 --> 00:06:06,600 寮番!? 森口様は この文五郎の命の親で➡ 82 00:06:06,600 --> 00:06:08,835 山口屋にとっても 大切なお方だよ。 83 00:06:08,835 --> 00:06:10,770 旦那が 「たって」と おっしゃるから➡ 84 00:06:10,770 --> 00:06:13,340 表向き 寮番をお願いしているが➡ 85 00:06:13,340 --> 00:06:17,010 お前の手伝いなどさせるのは もってのほかです! 86 00:06:17,010 --> 00:06:26,686 ♬~ 87 00:06:26,686 --> 00:06:30,690 ああ おもしろくねえ! 88 00:06:32,559 --> 00:06:37,330 また しくじっちまった…。 89 00:06:37,330 --> 00:06:42,235 他人と一緒に暮らすっていうのは 難しいもんだなあ。 90 00:06:42,235 --> 00:06:45,538 (お登世)ごめんくださいませ。 91 00:06:47,974 --> 00:06:51,911 おお… 見事だなあ! 92 00:06:51,911 --> 00:06:54,914 ほんの お口汚しですが。 93 00:07:03,990 --> 00:07:05,925 …で 相談事ってのは? 94 00:07:05,925 --> 00:07:13,633 はい。 あの… 身内の恥を 申すようなのですが…。 95 00:07:15,335 --> 00:07:19,673 おお 佐七 これ ちょいと 持ってってやってくんねえ。 96 00:07:19,673 --> 00:07:22,976 へ? 台所にさ。 97 00:07:27,347 --> 00:07:30,684 話を聞こうか。 98 00:07:30,684 --> 00:07:34,020 うちで働いている おすみの事なんですが…。 99 00:07:34,020 --> 00:07:38,191 おすみ? ああ 晃之助が 世話をした娘だな。 100 00:07:38,191 --> 00:07:41,695 よさそうな子だったが どうかしたのかい? 101 00:07:41,695 --> 00:07:49,402 それが… 買い物の釣り銭 ごまかすんです。釣り銭を? 102 00:07:56,242 --> 00:08:00,647 (おすみ)女将さん ご用ですか? ⚟(お登世)お入り。 103 00:08:00,647 --> 00:08:05,318 これしか 買えなかったのかい? はい。 104 00:08:05,318 --> 00:08:09,189 いくら 大粒っていったって 栗は 栗だよ。 105 00:08:09,189 --> 00:08:12,192 1粒が 百文もするわけないだろう。 106 00:08:12,192 --> 00:08:14,327 でも それしか 買えなかったんですもの。 107 00:08:14,327 --> 00:08:16,262 うそだとお思いなさるなら➡ 108 00:08:16,262 --> 00:08:19,265 八百久さんに お聞きなすって下さいまし。 109 00:08:22,002 --> 00:08:24,904 (お登世)ひとつきほど前からで ございます。➡ 110 00:08:24,904 --> 00:08:28,675 10本頼んだ お団子が 9本しかなかったり➡ 111 00:08:28,675 --> 00:08:32,011 頼みもしない 安物 買ってきたり…。 112 00:08:32,011 --> 00:08:37,684 問い詰めても 「これしか 買えなかった」の一点張りで。 113 00:08:37,684 --> 00:08:42,021 晃之助が 世話をしたんだから 間違いのない娘だと思うが。 114 00:08:42,021 --> 00:08:45,892 気立ては いいし 裏表なく よく働くし➡ 115 00:08:45,892 --> 00:08:48,194 本当に いい子を 連れてきて下すって➡ 116 00:08:48,194 --> 00:08:50,130 ありがたいと思っているんです。 117 00:08:50,130 --> 00:08:53,533 帳場の金や 女中たちの蓄えに 手をつけるような事は? 118 00:08:53,533 --> 00:08:59,038 いいえ。 でも このまま ほうっておいて➡ 119 00:08:59,038 --> 00:09:02,308 ひょっと悪い道に 進みやしないかと…。 120 00:09:02,308 --> 00:09:07,647 身よりのない子ですから 私が 案じてやりませんと。 121 00:09:07,647 --> 00:09:13,153 2年前に 二親を 亡くしたんだったな。 ええ。 122 00:09:13,153 --> 00:09:17,657 女将さん ちょいとの間 おすみを 付け回していいかい? 123 00:09:17,657 --> 00:09:20,560 いや… とんでもない。 旦那に そんな事を。 124 00:09:20,560 --> 00:09:24,564 なに 暇な隠居の道楽だよ。 125 00:09:29,002 --> 00:09:31,671 どうしたんだい? 126 00:09:31,671 --> 00:09:37,010 いえ…。 ああ また 鎌倉屋か? 127 00:09:37,010 --> 00:09:40,880 困ります! 店の前に 枯れ葉が落ちてるぞ。 128 00:09:40,880 --> 00:09:44,684 だらしがない! お前は 鎌倉屋の名に 泥を塗る気か! 129 00:09:44,684 --> 00:09:50,490 こんな事が続きますと どうにも 気分が くさくさして➡ 130 00:09:50,490 --> 00:09:55,028 つい 道楽に 手ぇ出しちまって…。道楽? 131 00:09:55,028 --> 00:10:03,703 着物を誂えたくなるんです。 ほう 着物をね。 132 00:10:03,703 --> 00:10:06,606 店の切り盛りだけでも 苦労だろうに➡ 133 00:10:06,606 --> 00:10:08,575 うるさ型の おいでがあっちゃ➡ 134 00:10:08,575 --> 00:10:12,212 憂さ晴らしの一つも したくなるさ。 ええ。 135 00:10:12,212 --> 00:10:16,549 どうだい ひとつ 栗のイガでも 小紋に 染めてみちゃ? 136 00:10:16,549 --> 00:10:19,452 え!? イガをですか? 137 00:10:19,452 --> 00:10:23,723 安右衛門が 押しかけてきたら そいつを着て 出るんだよ。 138 00:10:23,723 --> 00:10:27,393 「寄ると 棘がささりますよ」 ってな。 139 00:10:27,393 --> 00:10:36,703 (笑い声) 140 00:11:01,694 --> 00:11:08,568 (せきばらい) 141 00:11:08,568 --> 00:11:15,241 明日 ちょいと 上野へ 出かけたいんだが いいかな? 142 00:11:15,241 --> 00:11:17,710 ああ。 143 00:11:17,710 --> 00:11:29,722 (大きな音を立てて 食器を洗う音) 144 00:11:36,396 --> 00:11:39,432 ⚟(おすみ) お使い? 私 行ったげる。 145 00:11:39,432 --> 00:11:42,936 ⚟(おちえ)いいの? 悪いね。 146 00:11:53,947 --> 00:11:56,249 旦那。 行き先は? 147 00:11:56,249 --> 00:12:00,753 元黒門町のお団子屋です。 お団子を 15本。 148 00:12:02,689 --> 00:12:05,592 はい 毎度あり。 いらっしゃい。 149 00:12:05,592 --> 00:12:10,029 お団子 5本下さい。 5本ね はいよ。 150 00:12:10,029 --> 00:12:13,700 いらっしゃいませ。 ああ。 151 00:12:13,700 --> 00:12:16,369 はい 毎度。 152 00:12:16,369 --> 00:12:18,705 今日は 何本だい? 14本。 153 00:12:18,705 --> 00:12:22,375 14本? また妙に半端な数だねえ。 154 00:12:22,375 --> 00:12:25,278 だって お秋さんは 1本でいいとか➡ 155 00:12:25,278 --> 00:12:27,246 おちえさんは 3本食べたいとか➡ 156 00:12:27,246 --> 00:12:30,250 てんでに 勝手を言うんだもの。 そりゃ 大変だ。 157 00:12:30,250 --> 00:12:34,387 じゃあ 今日は 1本おまけ。 おすみちゃんが おあがり。 158 00:12:34,387 --> 00:12:37,724 うわあ うれしい。 ごちそうさま。 はいよ。 159 00:12:37,724 --> 00:12:42,729 えっと… 一串4文だから…。 56文だよ。 160 00:12:47,066 --> 00:12:49,969 はい 毎度…。 161 00:12:49,969 --> 00:12:52,572 はい いらっしゃい。 団子6本下さい。 162 00:12:52,572 --> 00:12:55,074 6本ね はいよ。 163 00:12:55,074 --> 00:13:19,699 ♬~ 164 00:13:19,699 --> 00:13:22,602 お待たせして…。 ああ いや。 165 00:13:22,602 --> 00:13:29,909 すみません。 ご足労 頂いたのに 今日は ちゃんと 15本…。 166 00:13:31,711 --> 00:13:34,614 何か ありました? 167 00:13:34,614 --> 00:13:37,583 1本は おまけだ。 168 00:13:37,583 --> 00:13:42,055 おすみは 14本買って 4文は 財布に入れたよ。 169 00:13:42,055 --> 00:13:47,927 まあ…。 だが 腑に落ちねえ事があるんだ。 170 00:13:47,927 --> 00:13:51,064 何ですか? いや…。 171 00:13:51,064 --> 00:13:55,935 こそこそしねえんだよ。 こそこそ? 172 00:13:55,935 --> 00:13:59,405 くすねた銭なら 人目を忍んで こそっと財布に➡ 173 00:13:59,405 --> 00:14:04,711 しまいそうなもんだろう? おすみは 悪びれずに財布に? 174 00:14:07,013 --> 00:14:11,718 旦那… どうかなさいました? 175 00:14:13,686 --> 00:14:19,492 いい匂いだなと思って…。 まあ…。 176 00:14:19,492 --> 00:14:22,695 ⚟女将さん お汁粉をお運びしましょうか? 177 00:14:22,695 --> 00:14:26,699 あ… もう少しあとで。 ⚟はい。 178 00:14:29,369 --> 00:14:32,071 お登世さん。 179 00:14:33,706 --> 00:14:36,008 あっ あ… いや…。 180 00:14:38,578 --> 00:14:45,051 女将さん。 ひとつ 試してもらいてえんだがね。 181 00:14:45,051 --> 00:14:46,986 はい。 182 00:14:46,986 --> 00:14:49,722 いつもより多く 金を渡してやってもらいてえんだ。 183 00:14:49,722 --> 00:14:53,726 釣り銭は 駄賃だと言ってね。 184 00:14:57,230 --> 00:15:01,100 こんなに沢山! お客様のお望みだからね➡ 185 00:15:01,100 --> 00:15:04,670 間違えずに 「舞」っていう煙草を 買ってきておくれ。 186 00:15:04,670 --> 00:15:07,006 半斤もあれば 十分だから。 187 00:15:07,006 --> 00:15:09,909 あとは お駄賃におし。 188 00:15:09,909 --> 00:15:24,023 ♬~ 189 00:15:24,023 --> 00:15:28,694 すいやせんが 旦那に言づてを お願えしやす。はい。 190 00:15:28,694 --> 00:15:30,730 大黒屋で 動きがありやした。 191 00:15:30,730 --> 00:15:33,366 辰吉親分が 見張っていなさるんで➡ 192 00:15:33,366 --> 00:15:36,035 お戻りになったら すぐ おいで願いたいと。 193 00:15:36,035 --> 00:15:41,340 大黒屋ですね。 分かりました。 へい。 194 00:15:42,909 --> 00:15:46,612 ご苦労さまでした。 195 00:16:03,663 --> 00:16:06,966 あっ! お小遣い! 196 00:16:10,436 --> 00:16:14,674 ⚟森口の旦那のとこじゃ お足は頂けなかったのかい。 197 00:16:14,674 --> 00:16:18,177 与力のお嬢さんにしちゃ しみったれだな。 198 00:16:18,177 --> 00:16:21,013 悪気じゃねえんだろうが 気が利かなくっていけねえや。 199 00:16:21,013 --> 00:16:25,852 三千代お嬢様は 万事 心遣いが 細やかな お人だったからね。 200 00:16:25,852 --> 00:16:28,888 こんなこっちゃ 別の親分に鞍替えした方が➡ 201 00:16:28,888 --> 00:16:31,357 得かもしらねえ。 202 00:16:31,357 --> 00:16:45,371 ♬~ 203 00:16:45,371 --> 00:16:51,244 (おすみ)ただいま 戻りました。 お帰り。 204 00:16:51,244 --> 00:17:12,532 ♬~ 205 00:17:12,532 --> 00:17:17,536 ご苦労だったね。 いいえ。 206 00:17:22,008 --> 00:17:25,878 (お秋)女将さん。 萩の間のお客さん…。➡ 207 00:17:25,878 --> 00:17:29,348 どうかしなすったんですか? 208 00:17:29,348 --> 00:17:33,686 何だか おすみちゃん 試したみたいで…。 え? 209 00:17:33,686 --> 00:17:37,857 いや 何でもないよ。 萩の間のお客様がどうしたって? 210 00:17:37,857 --> 00:17:40,526 松島屋が よこした人ですよ! 211 00:17:40,526 --> 00:17:43,863 松島屋… ああ 茅町の料理屋の? 212 00:17:43,863 --> 00:17:47,366 また 探りに来たんでしょ うちが 繁盛してるもんだから。 213 00:17:47,366 --> 00:17:50,036 「これだけの料理を こう安く出されちゃ➡ 214 00:17:50,036 --> 00:17:52,705 太刀打ち出来ない」って 話してましたけどね➡ 215 00:17:52,705 --> 00:17:55,374 どうせ 悪い噂 まくんですよ。 216 00:17:55,374 --> 00:17:57,310 「花ごろも」で 腹をこわした。 217 00:17:57,310 --> 00:17:59,979 安い材料を使ってる。 味が落ちた。 218 00:17:59,979 --> 00:18:02,882 もう3度目ですよ。 あいつら 追い出してきます! 219 00:18:02,882 --> 00:18:09,655 およし。 どんな人でも お座敷に 通したからには お客様だよ。 220 00:18:09,655 --> 00:18:12,325 立派に もてなしておやり。 221 00:18:12,325 --> 00:18:14,360 そうですか…。 222 00:18:14,360 --> 00:18:18,664 ⚟(おちえ)女将さん。 はい。 223 00:18:18,664 --> 00:18:24,370 (おちえ)藤の間のお客様が お呼びです。はあ… はい。 224 00:18:38,985 --> 00:18:45,691 三千代お嬢様は 万事 心遣いが 細やかな お人だったからね。 225 00:18:52,565 --> 00:18:57,403 うん。 この煮つけは なかなか うまいな。 226 00:18:57,403 --> 00:19:05,211 はい。 あの… 旦那様。 ん? 227 00:19:06,979 --> 00:19:09,649 (戸をたたく音) ⚟(辰吉)ごめんくだせえやし。➡ 228 00:19:09,649 --> 00:19:11,584 旦那は まだ お戻りじゃございやせんか? 229 00:19:11,584 --> 00:19:13,886 はい。 230 00:19:15,521 --> 00:19:17,990 旦那 帰ってらしたんですか。 231 00:19:17,990 --> 00:19:20,026 大黒屋に お越し願いてえと 使いの者に➡ 232 00:19:20,026 --> 00:19:22,862 言づて頼んだんですが。 233 00:19:22,862 --> 00:19:27,333 あっ! 申し訳ございません。 234 00:19:27,333 --> 00:19:32,204 私が お伝えするのを忘れました。 235 00:19:32,204 --> 00:19:34,907 すぐ行く。 へい。 236 00:19:43,682 --> 00:19:46,986 ただいま戻りました。 237 00:19:55,294 --> 00:20:01,700 そうか… 皐月も苦労してるな。 238 00:20:01,700 --> 00:20:05,371 で お前さん 俺に何をしろと? 239 00:20:05,371 --> 00:20:08,040 ご隠居様から 皐月様に➡ 240 00:20:08,040 --> 00:20:12,711 「八丁堀同心の家の心得」を お教え頂けないかと。 241 00:20:12,711 --> 00:20:14,647 心得ね…。 242 00:20:14,647 --> 00:20:17,383 一生懸命なのでございます。 243 00:20:17,383 --> 00:20:21,053 ただ 慣れぬ事で しくじりも多く…。 244 00:20:21,053 --> 00:20:23,956 ご自分を責めていらっしゃるのが お可哀想で。 245 00:20:23,956 --> 00:20:27,560 ですから ご隠居様から…。 246 00:20:27,560 --> 00:20:30,396 しづ。 はい。 247 00:20:30,396 --> 00:20:35,267 それは 晃之助の役目だ。 え? 248 00:20:35,267 --> 00:20:38,270 森口の家は 晃之助が継いだのだ。 249 00:20:38,270 --> 00:20:43,409 隠居の俺が あれこれ指図するのは 筋が違う。 250 00:20:43,409 --> 00:20:48,280 いや 情け知らずだと 思われるかもしれねえが➡ 251 00:20:48,280 --> 00:20:53,285 晃之助と皐月 苦労しながら やってくしかねえんだよ。 252 00:20:55,020 --> 00:20:57,423 分かってくれるかい? 253 00:20:57,423 --> 00:21:04,029 はい。 申し訳ございません。 しづの心得違いでございました。 254 00:21:04,029 --> 00:21:09,702 案じてくれるのは ありがてえよ。 力になってやってくれ。 255 00:21:09,702 --> 00:21:11,704 はい。 256 00:21:14,573 --> 00:21:20,045 へえ~ 栗のイガを小紋に…。 それは 面白うございますね。 257 00:21:20,045 --> 00:21:22,948 そう思うかい? なかなか 粋でございますよ。 258 00:21:22,948 --> 00:21:26,385 ハハハハハ。 259 00:21:26,385 --> 00:21:29,288 女将さん! 260 00:21:29,288 --> 00:21:32,992 おすみちゃんが いなくなりました! 261 00:21:44,737 --> 00:21:49,074 お前のたたずまいの残る家だ。 262 00:21:49,074 --> 00:21:56,081 よそから来て比べられる皐月は たまらねえかも しれねえな…。 263 00:22:06,025 --> 00:22:09,528 佐七。 すまねえが ちょいと出てくる。 264 00:22:09,528 --> 00:22:15,034 何の用か 知らねえが 忙しい寮番だね。 265 00:22:22,708 --> 00:22:25,711 おすみちゃん…。 266 00:22:28,380 --> 00:22:31,083 おすみちゃん…。 267 00:22:37,056 --> 00:22:39,725 ああ。 うちの おすみちゃん 見なかったかい? 268 00:22:39,725 --> 00:22:42,027 今日は 見てねえな。 269 00:22:44,396 --> 00:22:48,400 おすみちゃん どこへ行っちまったんだよ。 270 00:23:07,519 --> 00:23:10,022 おすみじゃねえか。 271 00:23:11,690 --> 00:23:17,997 どうしたんだい。 口入れ屋に 何か用かい? 272 00:23:23,302 --> 00:23:25,704 (おかつ) どこに行ってらしたんですか。 273 00:23:25,704 --> 00:23:29,208 おすみちゃん 見つからない。 戻ってきてますよ。 274 00:23:29,208 --> 00:23:33,012 森口の旦那も一緒です。 さあ 早く。 275 00:23:43,389 --> 00:23:48,894 馬鹿! どこ行ってたんだよ! 276 00:23:48,894 --> 00:23:53,732 心配したじゃないか。 277 00:23:53,732 --> 00:23:57,603 お前に もしもの事あったら 私は…。 278 00:23:57,603 --> 00:24:02,308 すみません 心配かけて。 279 00:24:12,217 --> 00:24:15,988 みつきほど前 おすみは使いの途中で➡ 280 00:24:15,988 --> 00:24:18,691 おばあさんに会ったんだそうだ。 281 00:24:20,893 --> 00:24:27,366 おすみは 車坂町の家まで おばあさんを送ってったんだがね。 282 00:24:27,366 --> 00:24:34,039 「たった一人の伜に先立たれ 身よりはない 蓄えもない。➡ 283 00:24:34,039 --> 00:24:39,378 それなのに 寿命だけが残ってる」 そう言って 泣くんだそうだよ。 284 00:24:39,378 --> 00:24:44,750 で おすみは 自分が おばあさんの孫になろう。 285 00:24:44,750 --> 00:24:47,453 そう思ったんだそうだ。 286 00:24:48,387 --> 00:24:54,259 孫に? おばあさんの面倒を 見てあげようと思ったのかい。 287 00:24:54,259 --> 00:24:57,396 そんなんじゃ…。 288 00:24:57,396 --> 00:25:04,003 ただ 私にも おばあさんが いるんだって思ったら➡ 289 00:25:04,003 --> 00:25:10,876 何だか うれしくって。 私も 身よりは誰もいませんから。 290 00:25:10,876 --> 00:25:14,013 ためていた給金で 店賃払ってやって➡ 291 00:25:14,013 --> 00:25:17,683 ちょくちょく 見舞いに行ってやってたんだとよ。 292 00:25:17,683 --> 00:25:21,353 おばあさんの好物の団子やら➡ 293 00:25:21,353 --> 00:25:26,024 身の回りのものを 土産に持ってな。 294 00:25:26,024 --> 00:25:30,362 それで お金が 入り用だったんだね。 295 00:25:30,362 --> 00:25:33,198 一人前の働きもないくせに➡ 296 00:25:33,198 --> 00:25:36,235 おばあさんの お見舞いに 行きたいだなんて➡ 297 00:25:36,235 --> 00:25:40,372 私 間違ってました。 298 00:25:40,372 --> 00:25:43,709 どうして 言ってくれなかったんだよ。 299 00:25:43,709 --> 00:25:47,012 打ち明けてくれれば 私だって。 300 00:25:48,580 --> 00:25:54,053 嫌だったんです。 嫌? 301 00:25:54,053 --> 00:26:00,159 私… 女将さんが 贅沢な着物を 次々 こしらえなさるのが➡ 302 00:26:00,159 --> 00:26:03,829 ずっと嫌でした。 303 00:26:03,829 --> 00:26:06,732 「花ごろも」の台所が苦しくって➡ 304 00:26:06,732 --> 00:26:09,001 それでも お客様の前に 出るために➡ 305 00:26:09,001 --> 00:26:10,936 無理して 作っていなさるんだったら➡ 306 00:26:10,936 --> 00:26:13,872 きっと嫌じゃなかったんです。 307 00:26:13,872 --> 00:26:21,346 でも ご親戚が うっとうしいから 憂さ晴らしだなんて…。 308 00:26:21,346 --> 00:26:24,249 おばあさんには お米を買う銭もないのに➡ 309 00:26:24,249 --> 00:26:28,020 女将さんは そんな事に お金を使いなさる。 310 00:26:28,020 --> 00:26:35,694 女将さんだって 貧乏のつらさは ご存じのはずなのに…。 311 00:26:35,694 --> 00:26:39,031 そう思ったら 私➡ 312 00:26:39,031 --> 00:26:42,901 なんだか 女将さんの事 憎らしくなって➡ 313 00:26:42,901 --> 00:26:48,040 お使いのお金 ごまかしてやれって。 314 00:26:48,040 --> 00:26:51,710 おすみちゃん…。 315 00:26:51,710 --> 00:26:57,049 でも 昨日…➡ 316 00:26:57,049 --> 00:27:04,656 女将さんに 試されている事に 気づいて もう ここには…。 317 00:27:04,656 --> 00:27:10,329 おすみ。 お前を試すようなまね させたのは この俺だ。 318 00:27:10,329 --> 00:27:12,998 すまなかったな。 319 00:27:12,998 --> 00:27:16,335 だけど 女将さんも 俺も➡ 320 00:27:16,335 --> 00:27:19,004 お前が こんな事をするのは➡ 321 00:27:19,004 --> 00:27:22,708 きっと 何か訳があるんじゃねえか と思ったんだよ。 322 00:27:24,343 --> 00:27:28,213 途方もねえ お駄賃を渡しゃ きっと その金を使う。 323 00:27:28,213 --> 00:27:36,522 そうすりゃ 使いみちが分かる。 そう思ってな。 許してくんな。 324 00:27:39,191 --> 00:27:44,696 けどな 女将さんが 案じていたのは➡ 325 00:27:44,696 --> 00:27:50,569 金の事でも 店の信用の事でもねえんだぜ。 326 00:27:50,569 --> 00:27:57,042 お前に 何かあっちゃいけねえ 悪い道に進んじゃいけねえ。 327 00:27:57,042 --> 00:28:03,749 女将さん お前の事ばかり 案じていたんだぜ。 328 00:28:06,318 --> 00:28:10,188 それだけは分かってやってくんな。 329 00:28:10,188 --> 00:28:14,193 俺からの頼みだ。 なっ おすみ。 330 00:28:17,663 --> 00:28:29,274 ごめんなさい。 私… ごめんなさい…。 331 00:28:29,274 --> 00:28:37,683 女将さんの事 憎いだなんて… ごめんなさい。 332 00:28:37,683 --> 00:28:55,234 ♬~ 333 00:28:55,234 --> 00:28:59,638 おすみちゃん。 334 00:28:59,638 --> 00:29:05,344 次に 車坂町 行く時…。 335 00:29:07,512 --> 00:29:13,652 これ持ってっておやり。 え? 336 00:29:13,652 --> 00:29:20,359 私からの お見舞いだよ。 でも…。 337 00:29:23,662 --> 00:29:27,100 黙って お取り。 338 00:29:27,100 --> 00:29:34,673 だって おすみちゃんの おばあさんだろ。 339 00:29:34,673 --> 00:29:38,543 そしたら 私にだって 親戚じゃないか。 340 00:29:38,543 --> 00:29:41,546 女将さん…。 341 00:29:43,682 --> 00:29:48,353 お前が どう思おうと➡ 342 00:29:48,353 --> 00:29:55,227 私は おすみちゃんの 親代わりのつもりだよ。 343 00:29:55,227 --> 00:30:20,218 ♬~ 344 00:30:27,059 --> 00:30:29,961 わざわざ来てもらって すまねえな。いえ。 345 00:30:29,961 --> 00:30:31,930 辰吉。 へい。 346 00:30:31,930 --> 00:30:34,933 これから晃之助に 昔話をするんだが➡ 347 00:30:34,933 --> 00:30:38,637 お前にも聞いてもらいてえんだ。 へい。 348 00:30:44,076 --> 00:30:46,111 お話というのは? 349 00:30:46,111 --> 00:30:52,751 昔 一度だけ 亡くなった女房の 里和に家を出られた事がある。 350 00:30:52,751 --> 00:30:55,420 三千代殿の母上が? 351 00:30:55,420 --> 00:31:00,258 里和は 内与力の娘でな。 内与力といや お奉行の懐刀だ。 352 00:31:00,258 --> 00:31:02,861 同心の森口家とは 格が違う。 353 00:31:02,861 --> 00:31:05,363 周囲が こぞって やめろと言うのを➡ 354 00:31:05,363 --> 00:31:08,266 俺が無理やり押し切って 嫁にもらった。 355 00:31:08,266 --> 00:31:11,703 フッ 父上がですか? 356 00:31:11,703 --> 00:31:13,638 おい そんな顔するな。 357 00:31:13,638 --> 00:31:18,577 俺にだって 若え時あったんだぜ。 はあ。 358 00:31:18,577 --> 00:31:25,584 それが 所帯を持って 油断したんだな。 359 00:31:27,719 --> 00:31:35,060 俺は 里和を ほったらかして お役目に かけずり回った。 360 00:31:35,060 --> 00:31:37,729 里和。 361 00:31:37,729 --> 00:31:41,066 ある日 里和が いなくなった。 362 00:31:41,066 --> 00:31:43,735 里和! 363 00:31:43,735 --> 00:31:47,406 俺は お役目も 手につかずに 捜し回ったんだが➡ 364 00:31:47,406 --> 00:31:50,709 皆目 行方が分からねえ。 365 00:31:55,280 --> 00:32:01,586 2日後に ひょっこり帰ってきて こう言うんだ。 366 00:32:03,355 --> 00:32:08,226 旦那様は お一人で生きていく おつもりですか? 367 00:32:08,226 --> 00:32:14,933 里和は 旦那様と共に生きるために 嫁いでまいりましたのに。 368 00:32:16,701 --> 00:32:22,874 2日の間 里和が どこに行っていたのか➡ 369 00:32:22,874 --> 00:32:26,378 それは 今でも 分からねえ。 370 00:32:29,047 --> 00:32:33,218 晃之助。 はい。 371 00:32:33,218 --> 00:32:38,056 皐月は お前と共に生きるために 嫁いできたんだ。 372 00:32:38,056 --> 00:32:43,395 それを忘れるな。 はい。 373 00:32:43,395 --> 00:32:51,069 森口の家は これから お前と皐月 2人で 作り上げていくんだぜ。 374 00:32:51,069 --> 00:32:54,406 はい。 375 00:32:54,406 --> 00:32:57,309 辰吉。 へい。 376 00:32:57,309 --> 00:33:03,615 すまねえが お前も 力を貸して やってくれ。 よろしく頼むよ。 377 00:33:05,684 --> 00:33:10,555 ⚟(お登世)入っても よろしゅう ございますか? おう。 378 00:33:10,555 --> 00:33:23,034 ♬~ 379 00:33:23,034 --> 00:33:28,373 焦らず ゆっくり おやりなさいませ。 380 00:33:28,373 --> 00:33:30,408 昔から申しますよ。 381 00:33:30,408 --> 00:33:36,047 「人と契らば 薄く契りて 末まで遂げよ」と。 382 00:33:36,047 --> 00:33:40,719 紅葉の葉も 色の濃いのが 先に散るっていうな。 383 00:33:40,719 --> 00:33:45,423 ゆっくり深まっていけば いいんですよ。 384 00:33:53,298 --> 00:33:58,069 すまねえな 座敷を借りて。 いいえ。 385 00:33:58,069 --> 00:34:01,039 旦那。 うん? 386 00:34:01,039 --> 00:34:03,508 さっき 晃さんには ああ言いましたけど➡ 387 00:34:03,508 --> 00:34:08,346 私 少し羨ましいんですよ 皐月様が。どうしてだい? 388 00:34:08,346 --> 00:34:16,221 皐月様は ご自分から 晃さんに ぶつかっていったのですよね? 389 00:34:16,221 --> 00:34:23,228 晃之助様 お義父上様。 お願いがあって 参りました。 390 00:34:24,896 --> 00:34:30,368 どうか 私をこちらの お嫁様にして下さいませ。 391 00:34:30,368 --> 00:34:36,374 そんなにまで 一途に 思える人がいて 羨ましい。 392 00:34:38,043 --> 00:34:41,546 女将さんだって 亡くなったご亭主とは➡ 393 00:34:41,546 --> 00:34:44,382 惚れ合った 仲じゃないのかい? 394 00:34:44,382 --> 00:34:50,055 料理屋で働いてるところを 先代に見込まれて 嫁いだんです。 395 00:34:50,055 --> 00:34:54,392 亭主は 優しい人で➡ 396 00:34:54,392 --> 00:35:00,098 私を大事にしてくれて 幸せでした。 397 00:35:01,666 --> 00:35:08,673 幸せでしたけど 恋と 呼べるものだったかどうか…。 398 00:35:12,677 --> 00:35:15,680 お登世さん…。 399 00:35:18,350 --> 00:35:22,354 ⚟(お秋)女将さん ちょっと お願いします。 400 00:35:26,224 --> 00:35:31,696 旦那。 おすみの事 ありがとうございました。 401 00:35:31,696 --> 00:35:33,999 いや…。 402 00:35:36,368 --> 00:35:40,038 今は この店を やっていくのが 精いっぱい。 403 00:35:40,038 --> 00:35:44,042 みんなの暮らしが かかってますからね。 404 00:35:46,378 --> 00:35:53,184 これからも どうぞ ご贔屓に願います。 405 00:35:57,989 --> 00:36:03,662 そうそう 佐七さんに くれぐれも よろしく お伝え下さいまし。 406 00:36:03,662 --> 00:36:06,331 佐七に…? 407 00:36:06,331 --> 00:36:11,002 実は おすみを捜して 根岸を お訪ねした時に…。 408 00:36:11,002 --> 00:36:14,706 旦那は いましがた出かけたよ。 409 00:36:16,341 --> 00:36:20,211 あっ… 女将さん! どどどど… どうしたんだい。 410 00:36:20,211 --> 00:36:23,114 女将さん しっかりして下さい。 411 00:36:23,114 --> 00:36:26,051 (お登世) 親切に 介抱して下さったうえに➡ 412 00:36:26,051 --> 00:36:30,889 駕籠を呼んでくれて。 いい方ですね 佐七さん。 413 00:36:30,889 --> 00:36:33,691 佐七の…。 414 00:36:47,038 --> 00:36:52,377 急がずともよい。 分からない事は 何でも聞いてくれ。 415 00:36:52,377 --> 00:36:58,083 ゆっくりと 2人で 森口の家を 作っていこう。 416 00:37:00,185 --> 00:37:02,187 はい。 417 00:37:05,657 --> 00:37:08,993 しづ。 はい。 418 00:37:08,993 --> 00:37:11,329 よろしく頼む。 419 00:37:11,329 --> 00:37:24,676 ♬~ 420 00:37:24,676 --> 00:37:27,579 女将を 介抱してくれたんだってな。 421 00:37:27,579 --> 00:37:29,547 ありがとうよ。 422 00:37:29,547 --> 00:37:33,852 目の前に倒れたもんを ほっとく訳には いかないよ。 423 00:37:35,687 --> 00:37:38,690 (ため息) 424 00:37:41,559 --> 00:37:44,028 どうかしなすったのかい? 425 00:37:44,028 --> 00:37:49,200 いや 俺は つくづく つまらん奴だと思ってな。 426 00:37:49,200 --> 00:37:52,237 おすみの事だ。 427 00:37:52,237 --> 00:37:55,373 俺が 試すような事を したばっかりに➡ 428 00:37:55,373 --> 00:37:58,042 あの子を 追い詰めちまった。 429 00:37:58,042 --> 00:38:02,647 でも 戻ってきたんだろ? 430 00:38:02,647 --> 00:38:08,520 あの時 たまたま 口入れ屋の前で会わなかったら➡ 431 00:38:08,520 --> 00:38:14,826 今頃は 取り返しのつかねえ事に なってるんじゃねえかと。 432 00:38:14,826 --> 00:38:19,030 はあ… そう思うと ぞっとするよ。 433 00:38:21,332 --> 00:38:28,006 30年 お上のご用を勤めてきて 仏だなんぞと言われて➡ 434 00:38:28,006 --> 00:38:30,909 いい気になって…。 435 00:38:30,909 --> 00:38:37,348 人を試そうなんて 思い上がりも いいとこだな。 436 00:38:37,348 --> 00:38:43,354 俺は 人の気持ちも分からねえ ろくでなしだ。 437 00:38:51,362 --> 00:38:54,265 初めてだね。 438 00:38:54,265 --> 00:39:00,171 旦那が 気持ちを打ち明けてくれるのは。 439 00:39:00,171 --> 00:39:06,311 まあ ちっとは しくじったかもしれないよ。 440 00:39:06,311 --> 00:39:13,184 だけどね そうやって人のために悩むのが➡ 441 00:39:13,184 --> 00:39:16,888 旦那のいいところじゃないのかね。 442 00:39:18,656 --> 00:39:22,994 佐七…。 443 00:39:22,994 --> 00:39:28,333 そうだ。 明日は 紅葉狩りと しゃれ込むかい。 444 00:39:28,333 --> 00:39:32,670 山口屋に断って 2人で 下谷の 紅葉寺にでも 行こうじゃねえか。 445 00:39:32,670 --> 00:39:36,341 お断りだね。 え? 446 00:39:36,341 --> 00:39:39,244 そんな所に わざわざ 行かなくたって➡ 447 00:39:39,244 --> 00:39:43,014 紅葉狩りなら ここでいいや。 448 00:39:43,014 --> 00:39:47,518 そうだ。 旦那が土産にもらった 「衣かつぎ」を肴に➡ 449 00:39:47,518 --> 00:39:50,355 これから 一杯やるか? いいねえ。 450 00:39:50,355 --> 00:39:54,192 そうだ まだ栗が そのままだ。 あれも ゆでるか。 451 00:39:54,192 --> 00:39:56,127 いや 旦那 旦那。 452 00:39:56,127 --> 00:39:58,363 その手伝いが かえって 邪魔になる。 453 00:39:58,363 --> 00:40:01,266 旦那は ここで 下手な句でも 詠んでてくんな。 454 00:40:01,266 --> 00:40:06,237 気がついたんだよ。 その方が 納まりがいいって。 455 00:40:06,237 --> 00:40:19,384 ♬~ 456 00:40:19,384 --> 00:40:22,287 気をつけて下さいよ。 457 00:40:22,287 --> 00:40:25,056 親指と親指を つけるようにしないと➡ 458 00:40:25,056 --> 00:40:26,991 手切りますからね。 459 00:40:26,991 --> 00:40:29,927 (笑い声) 460 00:40:29,927 --> 00:40:35,400 <泣いたり怒ったり さまざまな思いを抱えて➡ 461 00:40:35,400 --> 00:40:39,737 それでも 大切な人と寄り添って 生きていきたい。➡ 462 00:40:39,737 --> 00:40:43,608 人とは そのようなものかも しれません> 463 00:40:43,608 --> 00:40:47,412 こら! 松の間に お銚子 2本! 464 00:40:47,412 --> 00:40:52,750 板さん 福の間のお造り 早めにね。 焼き物も 急いでちょうだい。 465 00:40:52,750 --> 00:40:56,087 <私と旦那様との絆も➡ 466 00:40:56,087 --> 00:41:01,526 その夜 ようやく 結ばれた思いが致しました。➡ 467 00:41:01,526 --> 00:41:08,032 紅葉の舞い落ちる 神無月も末の事でございます> 468 00:41:08,032 --> 00:41:20,378 ♬~ 469 00:41:20,378 --> 00:41:24,048 あの娘 盗みか…? 470 00:41:24,048 --> 00:41:26,884 自分のうちだと思って くつろいで下さいね。 471 00:41:26,884 --> 00:41:28,920 誰が こんなうちの 世話になるかよ!まあ! 472 00:41:28,920 --> 00:41:33,224 おはるさん! おなかがすくから 眠れないのですよ! 473 00:41:36,594 --> 00:41:39,597 <どうぞ お楽しみに> 474 00:41:39,597 --> 00:42:54,605 ♬~