1 00:00:07,574 --> 00:00:10,043 (皐月)<嫁いで まだ ふたつき➡ 2 00:00:10,043 --> 00:00:14,715 森口家の 不束な嫁 皐月でございます。➡ 3 00:00:14,715 --> 00:00:18,385 私の愛しい旦那様 晃之助様は➡ 4 00:00:18,385 --> 00:00:22,389 森口の家を継いだ 養子でございます> 5 00:00:24,057 --> 00:00:27,094 <舅殿の森口慶次郎様は➡ 6 00:00:27,094 --> 00:00:32,399 故あって 根岸の里で 別荘の寮番をされておりますが➡ 7 00:00:32,399 --> 00:00:37,070 かつては 南町奉行所の定町廻り同心で➡ 8 00:00:37,070 --> 00:00:41,942 「仏の慶次郎」と慕われる お方でございます> 9 00:00:41,942 --> 00:00:53,620 ♬~ 10 00:00:53,620 --> 00:00:57,624 (慶次郎)よいしょ よいしょ。 11 00:01:01,028 --> 00:01:06,366 <義父上様が 大切にしておられる 書物や書画などを➡ 12 00:01:06,366 --> 00:01:10,237 八丁堀の家から 根岸の寮に お運びになったのは➡ 13 00:01:10,237 --> 00:01:14,241 師走初めの事でした。➡ 14 00:01:14,241 --> 00:01:18,946 暮れの煤払いを前に 身の回りを片づけようという➡ 15 00:01:18,946 --> 00:01:20,914 お心づもりのようでしたが…> 16 00:01:20,914 --> 00:01:24,384 あ~っ! 17 00:01:24,384 --> 00:01:29,256 ああ 痛っ。 痛…。 18 00:01:29,256 --> 00:01:32,726 はあ…。 19 00:01:32,726 --> 00:01:37,597 あ~あ…。 (ため息) 20 00:01:37,597 --> 00:01:41,735 (佐七)旦那! いつになったら 片づけるんですかい。 21 00:01:41,735 --> 00:01:44,071 今 やってるじゃねえか! こういうのはね➡ 22 00:01:44,071 --> 00:01:46,907 右の端から左の端に物を動かした っていうんだよ。 23 00:01:46,907 --> 00:01:48,842 片づけのうちには入らねえよ。 24 00:01:48,842 --> 00:01:51,745 棚に入れようと思ってるのが どうにも 納まらねえんだよ。 25 00:01:51,745 --> 00:01:54,414 もういいから 外でも歩いてきな。 26 00:01:54,414 --> 00:01:59,252 旦那が いなくなりゃ 掃除の邪魔が一つ減るってもんだ。 27 00:01:59,252 --> 00:02:03,023 煤払いが近いのにさ ちっとも片づきゃしねえ! 28 00:02:03,023 --> 00:02:05,025 さあ 行った 行った。 29 00:02:07,694 --> 00:02:14,701 ああ 佐七の奴 どうして ああ 口うるせえかね。 30 00:02:38,659 --> 00:02:40,961 ⚟(物音) 31 00:02:57,044 --> 00:03:01,748 あの娘 盗みか…? 32 00:03:16,363 --> 00:03:21,868 おや 森口の旦那 随分と お久しいじゃ ござんせんか。 33 00:03:21,868 --> 00:03:24,371 おお 俺も この年だからな➡ 34 00:03:24,371 --> 00:03:27,874 今じゃ 隠居して 根岸の里の侘び住まいさ。 35 00:03:27,874 --> 00:03:30,544 そりゃ 風流ですねえ。 36 00:03:30,544 --> 00:03:32,479 ところで 長屋の差配どうしてる? 37 00:03:32,479 --> 00:03:34,414 今 ちょっと のぞいてみたんだが 留守のようだったが…。 38 00:03:34,414 --> 00:03:36,883 仁右衛門さんですか? お内儀さんと➡ 39 00:03:36,883 --> 00:03:38,819 観音様に お参り行ったようですよ。 40 00:03:38,819 --> 00:03:43,757 そうかい。 ところで 頼まれて 若え娘を 捜してるんだ。 41 00:03:43,757 --> 00:03:46,893 今 そこに入ってった娘が どうも それらしいんだが…。 42 00:03:46,893 --> 00:03:49,796 おはるちゃんですか? 43 00:03:49,796 --> 00:03:55,068 そうかい。 やっぱり 今のが おはるか。 44 00:03:55,068 --> 00:03:57,971 ⚟池袋村の親御さんにでも 頼まれたんですか? 45 00:03:57,971 --> 00:04:01,174 ⚟池袋…。 ああ そう… そうなんだよ。 46 00:04:01,174 --> 00:04:04,978 呼んだって 素直に出てくるような 子じゃ ありませんがねえ。 47 00:04:06,680 --> 00:04:11,551 おはるちゃん。 お客さんだよ! 48 00:04:11,551 --> 00:04:15,355 ほ~ら これだ。 逆に 戸締まりしちまった。 49 00:04:15,355 --> 00:04:18,258 ハハハハハハ。 50 00:04:18,258 --> 00:04:47,287 ♬~ 51 00:04:47,287 --> 00:04:52,559 煙草盆か。 って事は お前 差配の家から➡ 52 00:04:52,559 --> 00:04:56,062 煙管を拝借してきたな。 53 00:04:56,062 --> 00:04:59,833 出しな。 俺が そこで拾ったと言って➡ 54 00:04:59,833 --> 00:05:02,636 仁右衛門に返してやるよ。 55 00:05:04,337 --> 00:05:10,644 心配するな。 俺は もう 定町廻りじゃねえんだ。 56 00:05:13,013 --> 00:05:15,682 分からねえ子だなあ。 57 00:05:15,682 --> 00:05:19,019 その煙草盆も 大方 どっかから 盗んだもんだろうが➡ 58 00:05:19,019 --> 00:05:23,857 そんな事してちゃ いずれ 番屋に引っ張られるぜ。 59 00:05:23,857 --> 00:05:26,359 (おはる)いいよ。 60 00:05:30,630 --> 00:05:36,570 私を番屋に突き出したりすりゃ そいつが 笑われるだけさ。 61 00:05:36,570 --> 00:05:38,872 どうしてだい? 62 00:05:38,872 --> 00:05:44,044 半人前のおはるに 物を取られた 大まぬけだって言われらぁ。 63 00:05:44,044 --> 00:05:46,713 誰も番屋には 突き出しゃしねえと➡ 64 00:05:46,713 --> 00:05:49,749 たかぁ くくってるようだが そうは いかねえよ。 65 00:05:49,749 --> 00:05:52,219 これだけの物を 盗んだとあっちゃ➡ 66 00:05:52,219 --> 00:05:56,089 半人前じゃねえ 一人前だ。 67 00:05:56,089 --> 00:05:58,992 だったら それでもいいや。 なに? 68 00:05:58,992 --> 00:06:01,027 おはるは 一人前だって➡ 69 00:06:01,027 --> 00:06:03,863 世間の奴らに 思い知らせてやれる。 70 00:06:03,863 --> 00:06:09,169 フッ お前なあ 盗みが一人前で 自慢になるかよ。 71 00:06:09,169 --> 00:06:12,505 とにかく これは 俺が返しておくから。 72 00:06:12,505 --> 00:06:14,708 (仁右衛門)あ…! 73 00:06:18,678 --> 00:06:21,014 これは 森口の旦那。 74 00:06:21,014 --> 00:06:26,686 おう 久しぶりだな。 今 お前の家に行くとこだったんだ。 75 00:06:26,686 --> 00:06:30,557 この子が これを拾ったってんでな。 76 00:06:30,557 --> 00:06:32,559 ああ 助かった。 77 00:06:32,559 --> 00:06:37,697 いやいや 煙管は 私の たった一つの道楽でしてね。 78 00:06:37,697 --> 00:06:40,600 拾ったねえ…。 79 00:06:40,600 --> 00:06:44,204 おはる! 煙草盆も返してもらうよ。 80 00:06:44,204 --> 00:06:49,042 何の話さ。 昨日 預けたろ。 81 00:06:49,042 --> 00:06:51,945 何するんだよ! 離さないか! 82 00:06:51,945 --> 00:06:54,547 全く 煙草なんか のむんじゃないよ! 83 00:06:54,547 --> 00:06:57,217 半人前のくせに。 84 00:06:57,217 --> 00:07:00,186 余計なお世話だ! (仁右衛門)なに…! 85 00:07:00,186 --> 00:07:03,657 てめえなんかに 半人前呼ばわりされたかねえや! 86 00:07:03,657 --> 00:07:08,161 私はね 折れ釘や ゆで卵売って 暮らしてんだよ! 87 00:07:08,161 --> 00:07:11,665 てめえんとこで 世話になってるわけじゃねえ! 88 00:07:11,665 --> 00:07:17,337 (泣き声) 馬鹿野郎! 馬鹿野郎! 89 00:07:17,337 --> 00:07:27,647 (泣き声) 90 00:07:34,688 --> 00:07:39,192 (晃之助)うまい。 皐月。 はい。 91 00:07:39,192 --> 00:07:43,697 腕を上げたな。 はい! 92 00:07:43,697 --> 00:07:48,001 (しづ)ようございましたね。 おかげさまで。 93 00:07:56,710 --> 00:08:01,147 そういえば 義父上は お見えにならなかったか? 94 00:08:01,147 --> 00:08:06,953 義父上様? いいえ。 何か あったのですか? 95 00:08:06,953 --> 00:08:10,824 辰吉が 浅草辺りで 義父上を見かけたそうだから➡ 96 00:08:10,824 --> 00:08:13,660 こっちにも 足を伸ばされたかと 思ってな。 97 00:08:13,660 --> 00:08:17,364 いいえ こちらには…。 98 00:08:18,998 --> 00:08:22,502 ご遠慮なされているのでしょうか。 99 00:08:22,502 --> 00:08:25,005 え…? 100 00:08:25,005 --> 00:08:28,675 私が こちらに参って ふたつき。 101 00:08:28,675 --> 00:08:33,013 義父上様は まだ 1度しか お見えになっておりません。 102 00:08:33,013 --> 00:08:35,048 皐月…。 103 00:08:35,048 --> 00:08:40,887 きっと 頼りにならぬ嫁だと 思っておいでなのですね。 104 00:08:40,887 --> 00:08:45,525 いや そんな事はない。 ないぞ! 105 00:08:45,525 --> 00:08:49,696 義父上は 皐月を いたく 気に入っておられる。 106 00:08:49,696 --> 00:08:54,034 さようでございましょうか。 107 00:08:54,034 --> 00:09:00,340 皐月は 義父上様のお役に 立ちとうございます。 108 00:09:04,310 --> 00:09:08,481 煙草盆だの 煙管だの 何だって そんな物ばかり 盗むのかねえ。 109 00:09:08,481 --> 00:09:12,986 (お登世)そのおはるって娘さん 煙草は? いや のまねえんだよ。 110 00:09:12,986 --> 00:09:17,857 どうにもなあ… 若え娘の気持ち ってのは よく分からねえ。 111 00:09:17,857 --> 00:09:20,326 親御さん どうしてるんですか? 112 00:09:20,326 --> 00:09:23,663 池袋村に 居るらしいよ。 113 00:09:23,663 --> 00:09:28,501 若い娘が 長屋で 一人住まい… 何か 訳があるんでしょうね。 114 00:09:28,501 --> 00:09:34,307 ああ…。 それにしても おはるの 泣きっぷりには 往生したぜ。 115 00:09:34,307 --> 00:09:37,510 災難でしたね。 家をほうり出されるは➡ 116 00:09:37,510 --> 00:09:39,446 妙な娘に出くわすは。 117 00:09:39,446 --> 00:09:41,848 それもこれも 佐七の奴が➡ 118 00:09:41,848 --> 00:09:44,884 「掃除の邪魔…」なんぞと 言いやがるから。 119 00:09:44,884 --> 00:09:48,354 お寒い中 大変でしたこと。 120 00:09:48,354 --> 00:09:53,226 俺はね どうも 佐七に 頭が上がらねえんだよ。 121 00:09:53,226 --> 00:09:57,363 いやいや 嫌いじゃねえんだよ。 そうじゃねえんだが…➡ 122 00:09:57,363 --> 00:10:00,700 怖い。 怖い? 123 00:10:00,700 --> 00:10:05,205 ああ。 いや 男って奴は どんなに 威張っていても➡ 124 00:10:05,205 --> 00:10:08,541 てめえの女房を どこかで 恐れてるもんなんだが…➡ 125 00:10:08,541 --> 00:10:11,044 どうも そんなふうなんだ。 126 00:10:11,044 --> 00:10:16,349 という事は 佐七さんが 旦那のお内儀さん? 127 00:10:25,592 --> 00:10:29,729 (笑い声) 128 00:10:29,729 --> 00:10:32,432 ⚟(おすみ)失礼します。 あいよ! 129 00:10:34,067 --> 00:10:37,937 女将さん 伊勢屋さんが お見えです。あら もう…。 130 00:10:37,937 --> 00:10:40,573 旦那 ちょいと ようござんすか? ああ。 131 00:10:40,573 --> 00:10:43,409 おすみ。 元気だったかい? はい。 132 00:10:43,409 --> 00:10:48,715 女将さんの代わりに ついでくんな。はい。 133 00:10:52,085 --> 00:10:54,787 すまねえな。 134 00:10:59,425 --> 00:11:02,128 馬鹿野郎…。 135 00:11:06,232 --> 00:11:08,935 馬鹿野郎! 136 00:11:20,213 --> 00:11:24,017 (三千代) また 父上様のやりっぱなし。 137 00:11:28,388 --> 00:11:33,393 (三千代)こんなに散らかして 佐七さんに 叱られますよ。 138 00:11:40,733 --> 00:11:43,403 三千代…。 139 00:11:43,403 --> 00:11:58,952 ♬~ 140 00:11:58,952 --> 00:12:02,255 ⚟(仁右衛門) ごめんくださりませ。 141 00:12:07,026 --> 00:12:13,032 さあ 遠慮せずに入ってくんな。 はあ。 142 00:12:14,701 --> 00:12:18,571 それで おはるは どうして番屋に? 143 00:12:18,571 --> 00:12:23,209 はい。 家内が娘のために買ってあった➡ 144 00:12:23,209 --> 00:12:25,545 銀足の簪を盗まれまして。 145 00:12:25,545 --> 00:12:27,480 またやったのか? 146 00:12:27,480 --> 00:12:29,415 聖天町の源八親分に➡ 147 00:12:29,415 --> 00:12:32,719 留守の間の見張りを お願いしてあったんですが➡ 148 00:12:32,719 --> 00:12:35,054 小娘だと思って 油断したんでしょうね。 149 00:12:35,054 --> 00:12:37,957 ちょっと目を離したすきに 盗みに入られまして…。 150 00:12:37,957 --> 00:12:44,397 で 顔を潰された親分が怒って 自身番に。 そうか…。 151 00:12:44,397 --> 00:12:47,300 長屋から 縄付きは 出したくはなし… かと言って➡ 152 00:12:47,300 --> 00:12:51,270 お解き放ちも願えず… それで つい➡ 153 00:12:51,270 --> 00:12:55,041 「この娘は 森口の旦那の 関わり合いの者だから」と➡ 154 00:12:55,041 --> 00:12:59,245 申しまして。 急いで 俺を迎えにきたってわけか。 155 00:12:59,245 --> 00:13:04,684 はい。 八丁堀の若旦那にも 知らせをやりました。 156 00:13:04,684 --> 00:13:11,357 晃之助に? ならば すぐに どうこうという事はあるまい。 157 00:13:11,357 --> 00:13:15,862 あっ あいにく 佐七が出かけてるんだがね➡ 158 00:13:15,862 --> 00:13:19,699 まあ 茶ぐれえは俺が…。 いや 旦那 そんな…。 159 00:13:19,699 --> 00:13:24,537 あれ? 茶筒は どこだっけな…。 160 00:13:24,537 --> 00:13:33,713 湯飲み 湯飲み… 湯飲みは どこだ? 161 00:13:33,713 --> 00:13:36,049 待たせたな。 162 00:13:36,049 --> 00:13:40,920 あっ ああ! ああ 旦那! 163 00:13:40,920 --> 00:13:47,060 いやいや もう 私がいたします。 あ~あ。 164 00:13:47,060 --> 00:13:51,364 ⚟(佐七) 旦那! 何やってるんですか! 165 00:14:00,606 --> 00:14:05,011 店子の世話をするのも 差配のつとめでございますから➡ 166 00:14:05,011 --> 00:14:07,847 食べるにも困っている おはるの事が気がかりで➡ 167 00:14:07,847 --> 00:14:10,750 近くの居酒屋で働けるように してやったんですが…。 168 00:14:10,750 --> 00:14:14,620 つとまらなかったのかい。 半月と もちません。 169 00:14:14,620 --> 00:14:16,556 注文は覚えられない 勘定は できない➡ 170 00:14:16,556 --> 00:14:18,558 愛想はないと きてますから➡ 171 00:14:18,558 --> 00:14:22,695 あの子が居ちゃ 客が減る一方だと 居酒屋の主に言われまして。 172 00:14:22,695 --> 00:14:24,630 そうか…。 173 00:14:24,630 --> 00:14:28,201 でも まあ あのとおりの半人前ですから➡ 174 00:14:28,201 --> 00:14:30,136 しかたございませんが。 175 00:14:30,136 --> 00:14:32,371 それ以来 おはるの奴➡ 176 00:14:32,371 --> 00:14:35,274 うちに盗みに入っては 長屋の者に見つかって➡ 177 00:14:35,274 --> 00:14:39,245 取り戻されるという 繰り返しでして。 ふ~ん。 178 00:14:39,245 --> 00:14:42,548 大番屋送りにでもなったら 大ごとでございます。 179 00:14:42,548 --> 00:14:49,055 そうだなあ。 まあ 盗みと言っても 所詮 半人前の仕事だ。 180 00:14:49,055 --> 00:14:52,892 北の同心も おはるを ひっくくりは しねえだろうが➡ 181 00:14:52,892 --> 00:14:56,229 今のうちに 何とかしてやらねえとな。 182 00:14:56,229 --> 00:14:59,732 よろしくお願い致します。 183 00:15:04,337 --> 00:15:07,840 番屋に行ってくる。 ことによると 明日は➡ 184 00:15:07,840 --> 00:15:10,743 池袋の親元を訪ねる事に なるかもしれねえ。 185 00:15:10,743 --> 00:15:13,246 旦那に分かるのかなあ。 186 00:15:15,014 --> 00:15:21,187 俺も ガキのころ 奉公先から暇を出された時➡ 187 00:15:21,187 --> 00:15:25,358 半人前の役立たずと言われた。 188 00:15:25,358 --> 00:15:29,695 旦那に 半人前の気持ちが 分かるのかな。 189 00:15:29,695 --> 00:15:31,731 佐七…。 190 00:15:31,731 --> 00:15:35,935 それじゃ 気を付けて。 191 00:15:45,044 --> 00:15:47,713 義父上。 192 00:15:47,713 --> 00:15:49,649 ご苦労だな。 193 00:15:49,649 --> 00:15:52,952 この娘 北の大石様から こっちに預かりやした。 194 00:15:57,390 --> 00:16:00,293 だから言わねえこっちゃねえ。 195 00:16:00,293 --> 00:16:02,361 いくら 半人前の盗みでも➡ 196 00:16:02,361 --> 00:16:07,667 度重なりゃ 大番屋送りにも なるんだぜ。うるせえ! 197 00:16:07,667 --> 00:16:10,369 おはる。 198 00:16:12,538 --> 00:16:17,376 おはるは しばらく 俺が 面倒をみるよ。 199 00:16:17,376 --> 00:16:22,682 明日 池袋の親を訪ねる間 預かってくれねえか。 200 00:16:22,682 --> 00:16:25,585 おはるをですか? 201 00:16:25,585 --> 00:16:30,356 義父上 うちで預かりましょう。 お前が? 202 00:16:30,356 --> 00:16:34,227 皐月が 面倒をみますよ。 203 00:16:34,227 --> 00:16:40,032 あの娘 皐月の手に負えるかねえ。 204 00:16:40,032 --> 00:16:44,904 なに 皐月なら 何とかなりますよ。 205 00:16:44,904 --> 00:16:49,375 そうか… じゃあ おはるを連れて 先に帰っててくれ。 206 00:16:49,375 --> 00:16:51,310 俺は 山口屋に寄って➡ 207 00:16:51,310 --> 00:16:55,014 今夜は 八丁堀に泊まるからと 断りを入れてくる。 208 00:17:02,321 --> 00:17:05,224 お帰りなさいませ。 お帰りなさいませ。 209 00:17:05,224 --> 00:17:08,661 この子が おはるだ。 よろしく頼む。 210 00:17:08,661 --> 00:17:12,965 はい。 精いっぱい お世話させて頂きます。 211 00:17:14,534 --> 00:17:20,273 おはるさん。 自分のうちだと 思って くつろいで下さいね。 212 00:17:20,273 --> 00:17:22,508 誰が こんなうちの 世話になるかよ! 213 00:17:22,508 --> 00:17:25,177 (しづ)まあ! (晃之助)おはる。 214 00:17:25,177 --> 00:17:28,214 おはる! 離せ!おとなしくしろ! 215 00:17:28,214 --> 00:17:30,216 離せ! 216 00:17:34,186 --> 00:17:38,524 ⚟お待ちなさい! ⚟(おはる)離せよ! 217 00:17:38,524 --> 00:17:41,193 食べなさい! やなこった。 218 00:17:41,193 --> 00:17:44,030 きちんと食べてくれなくては 困ります。 219 00:17:44,030 --> 00:17:46,532 夜中に おなかがすいても 知りませんよ。 220 00:17:46,532 --> 00:17:50,703 てやんでい! 誰が お前んとこの もんなんか 食うかよ! 221 00:17:50,703 --> 00:17:53,372 なんという お言葉! 222 00:17:53,372 --> 00:17:56,709 16にも 17にもなった娘が 使う言葉じゃありません! 223 00:17:56,709 --> 00:17:59,378 そっちこそ 16にもなった娘に➡ 224 00:17:59,378 --> 00:18:02,682 子供に言うような 小言を言うんじゃねえ! 225 00:18:05,151 --> 00:18:09,989 小言が嫌なら 四の五の言わずに 食べなさい! 226 00:18:09,989 --> 00:18:13,826 いやはや 驚きました。 ああいうところを見ては➡ 227 00:18:13,826 --> 00:18:16,862 恐ろしくて 夫婦喧嘩など できませぬな。 228 00:18:16,862 --> 00:18:19,999 ああ 強い。 (笑い声) 229 00:18:19,999 --> 00:18:21,934 ⚟(せきばらい) 230 00:18:21,934 --> 00:18:25,338 ご隠居様も 旦那様も 笑い事では ございませんよ! 231 00:18:25,338 --> 00:18:27,273 ああ すまぬ。 232 00:18:27,273 --> 00:18:29,508 恐ろしいのは おはるでございます。 233 00:18:29,508 --> 00:18:32,345 あんな乱暴な口を利いて。 234 00:18:32,345 --> 00:18:39,218 そうだな。 あれでは 皐月の身が持たんかもしれんな。 235 00:18:39,218 --> 00:18:43,522 さ~て どうしたものか。 236 00:18:43,522 --> 00:18:46,359 任せてやってもらえませんか? うん? 237 00:18:46,359 --> 00:18:49,261 張り切っているのですよ 皐月は。 238 00:18:49,261 --> 00:18:53,699 義父上のお役に立てるのが うれしくて。 239 00:18:53,699 --> 00:18:59,405 義父上に頼られる嫁になりたい そう言っておりましたから。 240 00:19:00,973 --> 00:19:05,311 ⚟おはるさん!そうか…。 ⚟ああ もう うるせえ うるせえ! 241 00:19:05,311 --> 00:19:09,181 ⚟(柝の音) 242 00:19:09,181 --> 00:19:15,187 ⚟火の用心…。 243 00:19:39,678 --> 00:19:41,614 ⚟(物音) うわっ! 244 00:19:41,614 --> 00:19:44,550 だから 夕飯を食べなさいと 言ったでしょ! 245 00:19:44,550 --> 00:19:46,552 わあ! 246 00:19:46,552 --> 00:19:49,688 おなかがすくから 眠れないのですよ! 247 00:19:49,688 --> 00:19:51,624 うるせえ! そんなんじゃねえよ! 248 00:19:51,624 --> 00:19:55,027 いいから いらっしゃい。 249 00:19:55,027 --> 00:19:57,363 ⚟おはるさん! 250 00:19:57,363 --> 00:20:00,066 食べなさい。 251 00:20:03,035 --> 00:20:06,372 ほら。 いらねえよ。 252 00:20:06,372 --> 00:20:10,076 いいから 食べなさい! 253 00:20:13,713 --> 00:20:16,716 (おなかが鳴る音) 254 00:20:26,058 --> 00:20:43,609 ♬~ 255 00:20:43,609 --> 00:20:45,911 (悲鳴) 256 00:20:52,752 --> 00:20:55,421 おはるさん! 離せ! 257 00:20:55,421 --> 00:20:59,258 この娘は 全く もう! おしづ 手出しは無用です。 258 00:20:59,258 --> 00:21:01,694 おはるさんは 私が お預かりしたのです。 259 00:21:01,694 --> 00:21:04,396 私が何とか…。 260 00:21:11,704 --> 00:21:15,374 義父上様 これを。 261 00:21:15,374 --> 00:21:21,714 おお… 弁当か? すまぬな。 262 00:21:21,714 --> 00:21:24,617 では 行ってくる。 263 00:21:24,617 --> 00:21:28,053 (一同)行ってらっしゃいませ。 264 00:21:28,053 --> 00:21:42,067 ♬~ 265 00:21:42,067 --> 00:21:49,742 <おはるさんの里は 池袋村の貧しいお百姓でした> 266 00:21:49,742 --> 00:21:54,246 <八丁堀から池袋村まで およそ3里。➡ 267 00:21:54,246 --> 00:21:58,450 舅殿の早足で いっときほど かかりました> 268 00:22:00,019 --> 00:22:03,022 和助さん こちらかい? 269 00:22:04,890 --> 00:22:09,195 (和助)あの… ど… どちらさんでしょうか? 270 00:22:11,030 --> 00:22:13,866 長屋の差配とは 懇意しておりましてな。 271 00:22:13,866 --> 00:22:17,369 おはるさんが 親御さんの事を 案じているようだから➡ 272 00:22:17,369 --> 00:22:20,206 池袋に行くなら 様子を見てきてほしいと➡ 273 00:22:20,206 --> 00:22:22,241 頼まれたんですよ。 274 00:22:22,241 --> 00:22:26,712 さようでごぜえますか。 あの半人前が そんな事を? 275 00:22:26,712 --> 00:22:31,383 実は 少々 相談したき…。 (すすり泣き) 276 00:22:31,383 --> 00:22:36,555 雑巾 縫うのにも 1日かかる娘でございましたよ。 277 00:22:36,555 --> 00:22:40,726 そんな のろまが わしらを 案じてくれるようになるとは…。 278 00:22:40,726 --> 00:22:43,395 親父さん…。 お寺の和尚さんも➡ 279 00:22:43,395 --> 00:22:48,267 この子は いくら教えても 字は覚えねえと見放したんですよ。 280 00:22:48,267 --> 00:22:52,738 そんなだから ちっちゃいころから 近所の子供らに➡ 281 00:22:52,738 --> 00:22:55,074 いじめられましてね…。 282 00:22:55,074 --> 00:22:59,245 おまけに わしが 後添いをもらったもんで➡ 283 00:22:59,245 --> 00:23:04,216 母親にも 妹や弟にも 半人前 半人前と 馬鹿にされて➡ 284 00:23:04,216 --> 00:23:09,889 とうとう 江戸へ行くって言って 出てっちまったけんど…。 285 00:23:09,889 --> 00:23:14,360 あんな のろまが 江戸へ行って どうなるものかと➡ 286 00:23:14,360 --> 00:23:16,295 案じておりやした。 287 00:23:16,295 --> 00:23:21,600 何かあったって 文の一つも書けねえだから…。 288 00:23:28,374 --> 00:23:32,077 (おすえ)おや お客さんかね。 289 00:23:33,712 --> 00:23:36,749 おはるさん 待ちなさい! 290 00:23:36,749 --> 00:23:39,051 待ちなさい! 291 00:23:39,051 --> 00:23:41,954 (辰吉)ああ…。 お前か 大丈夫か。 292 00:23:41,954 --> 00:23:45,224 おい おい…! また 何かやったのか! お前。 293 00:23:45,224 --> 00:23:48,127 離せ! あっ 辰吉さん。 294 00:23:48,127 --> 00:23:51,997 離せ… 離せ! おとなしくしろ。すみません。 295 00:23:51,997 --> 00:24:06,545 ♬~ 296 00:24:06,545 --> 00:24:08,547 あっ! 297 00:24:10,349 --> 00:24:12,384 おはるさん 待ちなさい! 298 00:24:12,384 --> 00:24:17,022 <何が気に入らないのでしょうか。 止めても 止めても➡ 299 00:24:17,022 --> 00:24:21,694 おはるさんは 島抜けを試みるのです> 300 00:24:21,694 --> 00:24:27,366 (けたたましい笑い声) 301 00:24:27,366 --> 00:24:30,402 勘弁しておくんなせえまし。 302 00:24:30,402 --> 00:24:34,139 あの半人前がと思ったら どうにも おかしくてよ。 303 00:24:34,139 --> 00:24:36,075 ハハハハハハ。 304 00:24:36,075 --> 00:24:38,544 そんなふうに言っちゃ おはるさんが気の毒だぜ。 305 00:24:38,544 --> 00:24:40,479 いえねえ 私だって➡ 306 00:24:40,479 --> 00:24:43,048 継子いじめだなんて 言われたかねえですから➡ 307 00:24:43,048 --> 00:24:46,085 あの子によかれと思って 名主様に頼み込んで➡ 308 00:24:46,085 --> 00:24:48,387 奉公させた事もあったんですよ。 309 00:24:48,387 --> 00:24:53,058 けどね みつきと たたずに 暇 出されましたさ。 310 00:24:53,058 --> 00:24:59,565 何をさせても のろまだし 気は利かねえしってね。 ハハハ…。 311 00:24:59,565 --> 00:25:02,534 あの半人前が 一人前にやってるだなんて➡ 312 00:25:02,534 --> 00:25:05,337 そりゃ 何かの間違いでしょうよ。 313 00:25:05,337 --> 00:25:13,212 (けたたましい笑い声) 314 00:25:13,212 --> 00:25:16,682 お嬢様? ちょっと目を離したすきに➡ 315 00:25:16,682 --> 00:25:18,717 おはるさんが…。 まあ! 316 00:25:18,717 --> 00:25:20,853 あの子の足では そう遠くへは行けませんよ。 317 00:25:20,853 --> 00:25:23,889 さあ お急ぎになって…。 ⚟(吉次)ごめんくだせえやし。 318 00:25:23,889 --> 00:25:26,024 はい。 319 00:25:26,024 --> 00:25:32,331 あの どちらさまでしょう…。 あっ 大根河岸の…。 320 00:25:33,899 --> 00:25:37,035 おはるさん! 321 00:25:37,035 --> 00:25:41,907 (吉次)やっぱり こちらのお宅から 抜け出したんだな。 322 00:25:41,907 --> 00:25:46,545 おはるさん 一体 どこに 行ってたんですか。 323 00:25:46,545 --> 00:25:49,348 どれだけ案じた事か…。 324 00:25:52,051 --> 00:25:56,722 吉次さんでしたね。 ありがとうございました。 325 00:25:56,722 --> 00:26:01,326 いや なに… 道に迷ったらしく うろうろしてやがったんで➡ 326 00:26:01,326 --> 00:26:04,163 声をかけたら 言う事が あやふやだ。 327 00:26:04,163 --> 00:26:06,198 言葉の端々からすると➡ 328 00:26:06,198 --> 00:26:10,669 どうも こちらのお屋敷から 逃げてきたようでしたんでね。 329 00:26:10,669 --> 00:26:13,572 義父からの 大切な預かり人なんです。 330 00:26:13,572 --> 00:26:16,008 何とお礼を言えばいいか…。 331 00:26:16,008 --> 00:26:22,347 へえ… 仏の旦那が また 酔狂を始めたんですかい。 332 00:26:22,347 --> 00:26:24,283 酔狂? 333 00:26:24,283 --> 00:26:28,020 ああ いや… じゃ あっしは これで。 334 00:26:28,020 --> 00:26:49,708 ♬~ 335 00:26:49,708 --> 00:26:53,712 相変わらず まっつぐなお嬢さんだぜ。 336 00:27:03,255 --> 00:27:08,260  回想 (佐七)旦那に 半人前の気持ちが分かるのかな。 337 00:27:16,869 --> 00:27:20,005 (お登世)生さぬ仲とはいえ➡ 338 00:27:20,005 --> 00:27:23,675 おっかさんにまで 半人前呼ばわりされて➡ 339 00:27:23,675 --> 00:27:29,014 おはるさん さぞ つらい思いしたんでしょうね。 340 00:27:29,014 --> 00:27:33,352 仕返しだよ。 仕返し? 341 00:27:33,352 --> 00:27:40,692 おはるの盗みさ。 見下した奴らを 見返してやりたかったんだ。 342 00:27:40,692 --> 00:27:43,028 佐七に言われたよ。 343 00:27:43,028 --> 00:27:47,366 「半人前の気持ちが 旦那に分かるか」ってね。 344 00:27:47,366 --> 00:27:50,269 そう…。 345 00:27:50,269 --> 00:27:54,239 佐七の言うとおりだ。 346 00:27:54,239 --> 00:27:58,710 俺も おはるの事を 半人前と言った。 347 00:27:58,710 --> 00:28:04,316 それが あの子を どんなに 傷つけるか 考えもしねえで…。 348 00:28:04,316 --> 00:28:08,320 俺は また しくじっちまった。 349 00:28:11,990 --> 00:28:15,494 一人前にしてやらなきゃなあ。 350 00:28:15,494 --> 00:28:19,998 おはるには 居場所がねえんだ 親元にも どこにも。 351 00:28:19,998 --> 00:28:28,006 ここで 江戸でやっていけるよう 一人前にしてやらなきゃな…。 352 00:28:29,675 --> 00:28:38,984 そうなさいまし。 及ばずながら 私も お力になりますよ。 353 00:28:45,691 --> 00:28:49,027 なに? 皐月が熱を出した? はい。 354 00:28:49,027 --> 00:28:50,963 おはるとの追いかけっこで➡ 355 00:28:50,963 --> 00:28:52,898 すっかり まいってしまったようで。 356 00:28:52,898 --> 00:28:55,367 具合どうなんだ? 大した事はございません。 357 00:28:55,367 --> 00:28:58,704 隣の玄庵先生に 診て頂きましたが➡ 358 00:28:58,704 --> 00:29:01,139 疲れたのだろうという事でした。➡ 359 00:29:01,139 --> 00:29:04,343 おしづが 様子を見ています。 360 00:29:06,945 --> 00:29:08,880 どうしたんだ これは!? 361 00:29:08,880 --> 00:29:12,317 義父上が 書物やら書画やらを 持っていかれたので➡ 362 00:29:12,317 --> 00:29:15,654 押し入れの空いたところに 荷物を 入れようとしたそうなんです。 363 00:29:15,654 --> 00:29:21,827 ところが 皐月が踏み台に上ると おはるが逃げるの繰り返しで…。 364 00:29:21,827 --> 00:29:25,998 まあ 私が少し片づけましたが。 365 00:29:25,998 --> 00:29:28,333 こりゃ 片づけたとは言わねえぜ。 366 00:29:28,333 --> 00:29:31,236 右の端から左の端に 物を動かしただけじゃねえか。 367 00:29:31,236 --> 00:29:35,941 よろしいでは ありませんか。 床は とれますよ。 368 00:29:40,679 --> 00:29:42,614 ⚟お待ちなさい! 369 00:29:42,614 --> 00:29:44,850 (おはる)離せよ! いけません! 370 00:29:44,850 --> 00:29:48,353 離せよ! 逃げるんじゃねえんだ! 371 00:29:50,022 --> 00:29:54,726 気持ちが悪いんだよ やりっぱなしはさ。 372 00:29:57,362 --> 00:30:23,388 ♬~ 373 00:30:23,388 --> 00:30:29,695 おはるさん…。 ついでに 片づけといてやるよ。 374 00:30:37,402 --> 00:30:40,739 あれ? ん? どうした? 375 00:30:40,739 --> 00:30:45,610 私の膳が 片づいてる。 膳? 376 00:30:45,610 --> 00:30:49,748 (晃之助)食べ終わったところに 義父上が戻られたので➡ 377 00:30:49,748 --> 00:30:53,752 後で片づけようと ほっておいたのですが…。 378 00:30:55,420 --> 00:30:58,924 (晃之助)しづかい? (しづ)いいえ。 379 00:30:58,924 --> 00:31:03,729 ん? すると…。 380 00:31:09,368 --> 00:31:12,704 おはる。 お前 それ…。 381 00:31:12,704 --> 00:31:15,540 ああ 旦那が 帰ってきたから➡ 382 00:31:15,540 --> 00:31:18,043 茶の葉を 入れ替えるかと思ってさ。 383 00:31:18,043 --> 00:31:22,047 じゃあ ここを片づけたのも? 384 00:31:24,716 --> 00:31:27,018 あっ! 385 00:31:29,054 --> 00:31:35,360 そういえば おはるの家 やけに きれいに片づいていたな。 386 00:31:40,665 --> 00:31:45,504 何だよ。 偉えなあ!え? 387 00:31:45,504 --> 00:31:49,708 よく そう 次から次へと 片づけられるもんだぜ。 388 00:31:57,082 --> 00:32:00,685 こんな事 誰にだって できるよ。 389 00:32:00,685 --> 00:32:02,621 いや そうじゃねえ。 390 00:32:02,621 --> 00:32:05,557 この 若い旦那が片づけたって 俺の部屋 見てみな。 391 00:32:05,557 --> 00:32:08,560 俺は 今夜 荷物のすき間に 寝るはめになったぜ。 392 00:32:08,560 --> 00:32:12,197 義父上こそ 部屋の中に懐紙だの 紙入れだの ほうりっぱなしで。➡ 393 00:32:12,197 --> 00:32:15,233 そんな事だから 片づかんのです。 何言ってやがる。 394 00:32:15,233 --> 00:32:18,003 お前に説教される覚えは ねえや。 395 00:32:18,003 --> 00:32:20,372 (笑い声) 396 00:32:20,372 --> 00:32:23,375 どれ 飯にするか。 397 00:32:25,710 --> 00:32:28,613 おお うまそうだな。 398 00:32:28,613 --> 00:32:32,584 しかし だらしがないですな 我々は。 399 00:32:32,584 --> 00:32:37,322 全くだ。 ちっとは おはるに習わなきゃな。 400 00:32:37,322 --> 00:32:40,725 そんなに無理して 褒めなくたっていいよ。 401 00:32:40,725 --> 00:32:46,398 無理してるもんか。 心底 感心してるのさ。 402 00:32:46,398 --> 00:32:51,069 こんな事 できたって 字も読めないし➡ 403 00:32:51,069 --> 00:32:53,405 勘定だって できないし。 404 00:32:53,405 --> 00:32:57,742 そんなものな 根気よく習ってりゃ いつか覚える。 405 00:32:57,742 --> 00:33:03,014 だがな 片づけの才ってなあ 持って生まれたもんだ。 406 00:33:03,014 --> 00:33:06,518 俺たちには それがねえ。 なあ 晃之助。 407 00:33:06,518 --> 00:33:10,355 片づけに関しちゃ 俺たちは 半人前以下だな。 408 00:33:10,355 --> 00:33:15,060 (晃之助)さようですな。 ハハハハハハ。 409 00:33:19,064 --> 00:33:24,870 旦那…。 ん? 410 00:33:26,705 --> 00:33:29,708 ごめん…。 411 00:33:34,045 --> 00:33:39,384 (泣き声) 412 00:33:39,384 --> 00:33:48,727 俺の矢立か… 皐月 やられたな。 413 00:33:48,727 --> 00:33:52,063 ごめんよ。 414 00:33:52,063 --> 00:34:02,674 (泣き声) 415 00:34:02,674 --> 00:34:09,381 おはる。 お前は 半人前じゃねえ。 416 00:34:11,016 --> 00:34:14,352 半人前なんかじゃねえよ。 417 00:34:14,352 --> 00:34:35,373 ♬~ 418 00:34:35,373 --> 00:34:40,679 ⚟よろしゅうございますか? ああ お入り。 419 00:34:46,718 --> 00:34:50,021 どうした? 寝てなくていいのか? 420 00:34:52,057 --> 00:34:56,728 申し訳ございません。 私が いたりませんでした。 421 00:34:56,728 --> 00:34:59,431 矢立の事かい? 422 00:35:00,999 --> 00:35:06,338 それも ありますけど…。 それも? 423 00:35:06,338 --> 00:35:10,508 私… おはるさんを 逃がしてはいけないと➡ 424 00:35:10,508 --> 00:35:13,345 そればかり思っておりました。 425 00:35:13,345 --> 00:35:17,682 義父上様から お預かりしたのだからと…。 426 00:35:17,682 --> 00:35:21,353 一日一緒にいながら おはるさんの事➡ 427 00:35:21,353 --> 00:35:28,226 少しも分かろうとしませんでした。 私は 自分の事ばかり。 428 00:35:28,226 --> 00:35:32,964 気にするな。 皐月は よくやってくれたよ。 429 00:35:32,964 --> 00:35:36,901 無理をしないで 早く おやすみ。 430 00:35:36,901 --> 00:35:41,673 世話をかけて すまなかった。 431 00:35:41,673 --> 00:35:44,976 義父上様…。 432 00:35:51,349 --> 00:35:57,055 やはり… 私には 遠慮していらっしゃる。 433 00:35:57,055 --> 00:36:01,059 ⚟(水の音) 434 00:36:02,861 --> 00:36:04,863 おはるさん! 435 00:36:04,863 --> 00:36:10,335 あれ? 寝てなくていいのかい。 熱があるんだろ? 436 00:36:10,335 --> 00:36:15,206 それ… 私に? 437 00:36:15,206 --> 00:36:21,513 朝昼晩と 飯を食わせて もらったから そのお礼にさ。 438 00:36:23,882 --> 00:36:29,187 うまかったよ お内儀さんの作る飯。 439 00:36:38,363 --> 00:36:44,702 何だよ。 おはるさん おはるさん。 440 00:36:44,702 --> 00:36:47,605 水が こぼれるよ。 441 00:36:47,605 --> 00:36:54,045 ありがとう おはるさん。 ありがとう。 442 00:36:54,045 --> 00:37:19,738 ♬~ 443 00:37:28,346 --> 00:37:31,850 おはるを預かりたい? はい。 444 00:37:31,850 --> 00:37:33,785 おはるを仕込むつもりかね。 445 00:37:33,785 --> 00:37:38,623 いいえ。 一緒に学んでいきたいんです。 446 00:37:38,623 --> 00:37:44,629 私も 覚えなければならない事が まだまだ 沢山ありますから。 447 00:37:53,705 --> 00:37:58,042 いや 気持ちは ありがたいがね➡ 448 00:37:58,042 --> 00:38:03,047 おはるは こっちで 佐七と面倒をみるよ。 449 00:38:04,649 --> 00:38:10,321 晃之助と2人で 森口の家を築いていく事が➡ 450 00:38:10,321 --> 00:38:14,626 今の皐月には 何より大切な仕事だよ。 451 00:38:16,661 --> 00:38:23,334 定町廻りのお役目は 苦労が多い。 晃之助も お前が頼りだ。 452 00:38:23,334 --> 00:38:30,341 頼んだよ 皐月。 はい。 453 00:38:32,043 --> 00:38:37,348 そうか 義父上は 聞き入れて下さらなかったか。 454 00:38:37,348 --> 00:38:42,353 はい。 旦那様のお世話が 第一だと。 455 00:38:44,022 --> 00:38:47,692 すまぬな。 え? 456 00:38:47,692 --> 00:38:49,627 俺が半人前なので➡ 457 00:38:49,627 --> 00:38:52,864 皐月は俺の世話で 手いっぱいだと 思っておられるのだ。 458 00:38:52,864 --> 00:38:57,035 何をおっしゃいます。 私の方こそ 半人前の嫁です。 459 00:38:57,035 --> 00:39:01,306 いいや。 皐月は よくやっている。 俺が いかんのだ。 460 00:39:01,306 --> 00:39:04,609 いいえ 私が…。 (しづ)失礼致します。 461 00:39:06,177 --> 00:39:09,180 お二人とも よくやっておいでですよ。 462 00:39:09,180 --> 00:39:13,318 え? 欲張ってはなりません。 463 00:39:13,318 --> 00:39:17,655 お若いのですから まだまだなのは 当たり前でございますよ。 464 00:39:17,655 --> 00:39:24,829 おしづ…。 お嬢さ… ご新造様。 465 00:39:24,829 --> 00:39:28,633 大人になられましたね。 466 00:39:31,603 --> 00:40:08,039 ♬~ 467 00:40:08,039 --> 00:40:10,942 何だよ! 468 00:40:10,942 --> 00:40:15,713 ああ そうか…。 469 00:40:15,713 --> 00:40:18,383 おお どうだい? おはるは。 470 00:40:18,383 --> 00:40:21,286 覚えは悪いが やる事は丁寧だ。 471 00:40:21,286 --> 00:40:23,254 あの子なら じっくり仕込めば➡ 472 00:40:23,254 --> 00:40:26,124 どこに奉公に出しても つとまるようになる。 473 00:40:26,124 --> 00:40:29,394 そうか…。 ハハハハハ。 474 00:40:29,394 --> 00:40:31,696 ⚟(物が落ちる音) 475 00:40:37,068 --> 00:40:42,407 旦那の掃除より よほどましだ。 476 00:40:42,407 --> 00:40:44,742 この際だから 言っておきますがね➡ 477 00:40:44,742 --> 00:40:47,645 飯の支度も 風呂炊きも 当てにしちゃいないが➡ 478 00:40:47,645 --> 00:40:50,415 せめて 自分の部屋ぐらいは…。 479 00:40:50,415 --> 00:40:52,750 ご自分で片づけなさい。 480 00:40:52,750 --> 00:40:55,053 そのとおり! 481 00:40:57,088 --> 00:41:01,693 <おはるさんのおかげで 暮れの煤払いが 随分楽だったと➡ 482 00:41:01,693 --> 00:41:06,564 後に 佐七さんから伺いました。➡ 483 00:41:06,564 --> 00:41:11,369 義父上様が おはるさんの 奉公先を決めてこられたのは➡ 484 00:41:11,369 --> 00:41:17,075 年が改まった ひとつきほど たったころの事でございました> 485 00:41:20,712 --> 00:41:23,381 男と男の約束だからな。 486 00:41:23,381 --> 00:41:25,683 頼むよ 蝮の親分。 487 00:41:27,251 --> 00:41:29,554 お見事。 488 00:41:36,728 --> 00:41:39,397 <どうぞ お楽しみに> 489 00:41:39,397 --> 00:42:54,705 ♬~