1 00:00:07,541 --> 00:00:11,879 (皐月) <私の舅殿 森口慶次郎様の➡ 2 00:00:11,879 --> 00:00:16,216 非業の死を 遂げられた一人娘 三千代様は➡ 3 00:00:16,216 --> 00:00:22,089 わが夫 晃之助様の 許婚でもありました。➡ 4 00:00:22,089 --> 00:00:26,393 三千代様の敵 常蔵が現れ➡ 5 00:00:26,393 --> 00:00:31,899 6年前と同じ悲劇が 再び 繰り返されます。➡ 6 00:00:31,899 --> 00:00:38,205 舅殿と晃之助様のお心には 深い傷が 残されました> 7 00:00:41,909 --> 00:00:44,745 <常蔵と 娘の おぶんさんは➡ 8 00:00:44,745 --> 00:00:49,550 お手先の辰吉さんと 巡礼の旅に出ます> 9 00:00:51,518 --> 00:00:56,089 (慶次郎)お前 その親子を 守ってくれねえか? 10 00:00:56,089 --> 00:01:00,060 (辰吉) 守る… 何からでございます? 11 00:01:00,060 --> 00:01:03,063 俺が 殺さぬようにだ。 12 00:01:04,798 --> 00:01:06,733 八千代。 13 00:01:06,733 --> 00:01:10,604 <皐月でございます。 あれから1年。➡ 14 00:01:10,604 --> 00:01:17,878 娘は 数え2歳となり 江戸に再び 春が巡って参りました> 15 00:01:17,878 --> 00:01:27,888 ♬~ 16 00:01:27,888 --> 00:01:33,393 雛人形でございますか? (左門)おう。 八千代は➡ 17 00:01:33,393 --> 00:01:35,729 去年 まだ 産まれたばかりであったが…。 18 00:01:35,729 --> 00:01:37,764 初節句も それで 今年に 致しました。 19 00:01:37,764 --> 00:01:41,401 ほうほう それよ。 初節句の雛は➡ 20 00:01:41,401 --> 00:01:43,904 嫁の里が 支度するのが ならわし。 21 00:01:43,904 --> 00:01:46,940 そこで 早速 懇意にしてる➡ 22 00:01:46,940 --> 00:01:49,242 呉服問屋が 気を利かせてくれてのう➡ 23 00:01:49,242 --> 00:01:51,912 いや 見事な雛人形を 贈ってくれたのだ。 24 00:01:51,912 --> 00:01:56,083 さぞかし 贅を尽くした。 まあ それなりにのう。 25 00:01:56,083 --> 00:01:59,586 ところが…。 (佐七)どうぞ。 26 00:01:59,586 --> 00:02:04,424 どうも あの男は苦手だ。 辛気くさくて かなわん。 27 00:02:04,424 --> 00:02:06,860 ぬしは よく一緒に 暮らせるな。 28 00:02:06,860 --> 00:02:11,732 あれはあれで 慣れると 味のある男です。分からん。 29 00:02:11,732 --> 00:02:16,536 それで? 晃之助が…。 おう それよ。 30 00:02:16,536 --> 00:02:21,208 店に 送り返してきたのだ。 雛人形をでございますか? 31 00:02:21,208 --> 00:02:24,544 そのまんまかい? う~ん。 32 00:02:24,544 --> 00:02:27,381 はい。 要らぬと おっしゃいまして…。 33 00:02:27,381 --> 00:02:32,219 だが お前の父上が 初節句にと わざわざ 届けさせたものだろう。 34 00:02:32,219 --> 00:02:37,391 ですが… 花も あのように 丹精したものが 咲きますし➡ 35 00:02:37,391 --> 00:02:40,193 人形も お嬢さん方が…。 36 00:02:41,895 --> 00:02:44,564 しばらく 来ぬうちに あのような…。 37 00:02:44,564 --> 00:02:49,903 生け花のお稽古を 始めました。 八千代も 皆に すっかり懐いて➡ 38 00:02:49,903 --> 00:02:54,241 おかげさまで 人見知りという事が ございません。 39 00:02:54,241 --> 00:02:58,245 あ 八千代! これ…。 40 00:03:02,516 --> 00:03:05,419 (しづ)雛人形どころでは ございません。 41 00:03:05,419 --> 00:03:09,856 旦那様は 近ごろ 一切の届け物を 断ってるんでございますよ。 42 00:03:09,856 --> 00:03:12,659 あいさつや 礼の品もか? 43 00:03:14,361 --> 00:03:19,032 <私の里 与力の宅も そうでしたが➡ 44 00:03:19,032 --> 00:03:23,904 定町廻り同心には さまざまな ごあいさつが 届きます。➡ 45 00:03:23,904 --> 00:03:29,709 町を よく守ってほしいとの 気持ちの表れなのでしょうが…> 46 00:03:31,545 --> 00:03:35,382 「礼や あいさつに名を借りた お目こぼしは せぬ。➡ 47 00:03:35,382 --> 00:03:39,052 頂いた禄だけで お役を務めるのだ」と…。 48 00:03:39,052 --> 00:03:41,888 旦那さまご自身は それで ようござんすよ。 49 00:03:41,888 --> 00:03:45,225 ですが 奥の賄いや 出入りの者への お小遣い。 50 00:03:45,225 --> 00:03:50,731 苦労なさるのは ご新造様で ございます。それで 生け花か…。 51 00:03:50,731 --> 00:03:57,237 そこのところ 旦那様に よ~く 申し上げて下さいまし。 よ~く! 52 00:03:58,905 --> 00:04:04,911 <早速 舅殿は 旦那様のもとへ向かわれました> 53 00:04:07,180 --> 00:04:09,483 かっぱらいだ! 54 00:04:13,053 --> 00:04:16,356 晃之助! (晃之助)義父上! 55 00:04:23,730 --> 00:04:27,033 晃之助! あの方角なら こっちが 早い。 56 00:04:27,033 --> 00:04:29,836 義父上! そっちは…。 57 00:04:47,888 --> 00:04:51,558 義父上! 抜け道だと思ったんだが…。 58 00:04:51,558 --> 00:04:53,493 この辺りは 先年から➡ 59 00:04:53,493 --> 00:04:56,396 通り抜けできる路地が 減ったのです。 60 00:04:56,396 --> 00:04:59,199 そうだったのか…。 61 00:05:01,001 --> 00:05:07,808 「二度と やらない」。 先日 そう言ってなかったか? 62 00:05:09,709 --> 00:05:13,413 あれは 口先だけの 方便だったのか? 63 00:05:19,853 --> 00:05:22,856 俺を 知ってるのか? 64 00:05:26,726 --> 00:05:31,865 どこで会った? 調べは こちらで…。 65 00:05:31,865 --> 00:05:34,201 商売 何してる? 義父上! 66 00:05:34,201 --> 00:05:39,873 (徳三)賭場の歩きです。 名前を 直太。賭場? 67 00:05:39,873 --> 00:05:43,710 ええ。 賭場に出入りする 若旦那連中に掛金がなくなると➡ 68 00:05:43,710 --> 00:05:47,881 頼まれて それぞれの店や家から かっぱらってくるんでさ。 69 00:05:47,881 --> 00:05:53,553 その場しのぎで 暮らしていても お前のためになるまい! 70 00:05:53,553 --> 00:05:58,058 なぜ まっとうに 正直に生きようとしないのだ! 71 00:05:58,058 --> 00:06:02,829 (直太・小声で)正直は 嫌だ…。 何だ? 72 00:06:02,829 --> 00:06:08,702 正直は 嫌だ。 正直になんぞ 生きたくねえ! 73 00:06:08,702 --> 00:06:10,704 お前のためでは ないか! 74 00:06:12,505 --> 00:06:14,841 なぜ 分からぬ!? (伍助)旦那! 75 00:06:14,841 --> 00:06:18,511 ⚟(番頭)申し訳ございません! てまえども ゆかりの者が➡ 76 00:06:18,511 --> 00:06:21,815 少々 いたずらが 過ぎたようで…。 77 00:06:28,521 --> 00:06:31,424 博打は 御法度だ。 78 00:06:31,424 --> 00:06:35,862 今度 何かあったら 直太だけじゃねえ。 79 00:06:35,862 --> 00:06:38,865 若旦那連中も しょっぴく…。 80 00:06:44,537 --> 00:06:47,540 これが 最後だぞ。 81 00:06:57,117 --> 00:07:01,321 (お登世) では 常蔵って男の事が…。 82 00:07:01,321 --> 00:07:04,824 傷になっているんだろう…。 83 00:07:04,824 --> 00:07:07,661 言ってくれ すまぬと。 84 00:07:07,661 --> 00:07:12,465 三千代殿の事も 心から わびると…。 85 00:07:14,167 --> 00:07:16,169 なぜ 変わらぬ! 86 00:07:19,039 --> 00:07:23,176 あの男の性根は 直らなかった。 87 00:07:23,176 --> 00:07:26,846 6年前 晃之助が 許したにもかかわらず➡ 88 00:07:26,846 --> 00:07:29,349 同じ罪を 重ねた。 89 00:07:29,349 --> 00:07:36,690 その事で あいつは… 殊更 罪に厳しくなったのだ。 90 00:07:36,690 --> 00:07:39,592 付け届けを 拒むのも…。 91 00:07:39,592 --> 00:07:42,495 隙を見せぬためだろう。 92 00:07:42,495 --> 00:07:46,399 「それで食べている」と言われては 示しがつかん。 93 00:07:46,399 --> 00:07:49,202 ですが ご新造さんも…➡ 94 00:07:49,202 --> 00:07:53,373 八千代さんが 産まれたばかりだというのに。 95 00:07:53,373 --> 00:07:58,878 あいつの事だ。 皐月の苦労は 分かっているんだろうが…。 96 00:08:01,481 --> 00:08:08,788 ああ… 夜になると まだ風が 冷とうござんすね。 97 00:08:12,192 --> 00:08:16,029 今夜 どうされます? 98 00:08:16,029 --> 00:08:19,332 そうだなあ…。 99 00:08:21,334 --> 00:08:25,505 ⚟(お秋)失礼いたします。 100 00:08:25,505 --> 00:08:28,341 (お秋)女将さん 帳場に 桃見の宴で➡ 101 00:08:28,341 --> 00:08:32,512 こちらを使われたいというお方が。 お茶を出しといて下さいな。 102 00:08:32,512 --> 00:08:35,415 (お秋)はい! (おかつ)女将さん! 103 00:08:35,415 --> 00:08:39,386 月清水が 売り切れました。 あっ あの お酒。 104 00:08:39,386 --> 00:08:42,021 今時分に 口当たりが合うと 思ってたんだよ。 105 00:08:42,021 --> 00:08:43,957 読みが 当たりましたね。 106 00:08:43,957 --> 00:08:48,461 次は 少々 多めに 注文致しましょうか。そうだね。 107 00:08:55,535 --> 00:09:00,240 (佐七)おや。 今夜は帰らないのかと思ったよ。 108 00:09:03,810 --> 00:09:07,514 帰らねえで どこ行くってんだい。 109 00:09:12,519 --> 00:09:14,521 飯なら ないよ。 110 00:09:14,521 --> 00:09:20,026 八丁堀か不忍に 泊まりだと 思ったんでね。 よいしょ。 111 00:09:33,173 --> 00:09:39,846 ここかなあ。 やはり 俺は…。 え? なんだって? 112 00:09:39,846 --> 00:09:41,781 なんでもねえ。 113 00:09:41,781 --> 00:09:50,490 あ~あ… ふう…。 あ~あ 足も 洗わねえで…。 114 00:09:53,393 --> 00:09:57,096 はあ…。 115 00:10:03,536 --> 00:10:06,372 誰だったかなあ。 116 00:10:06,372 --> 00:10:11,244 あっ そういえば 旦那が留守の間に 客が来てたよ。 117 00:10:11,244 --> 00:10:14,047 客? いつもと 同じ。 118 00:10:14,047 --> 00:10:18,551 声もかけずに ス~ッと 行っちまいやがった。 119 00:10:21,554 --> 00:10:26,893 戻ってますよ。 戻ってる? まさか。 120 00:10:26,893 --> 00:10:31,764 ええ それを お知らせしに 根岸のほうへ…。 121 00:10:31,764 --> 00:10:39,906 おい まだかい? 大旦那の分。 (おきわ)ただいま すぐ。 122 00:10:39,906 --> 00:10:43,409 俺の扱いとは 大違いだな。 123 00:10:43,409 --> 00:10:51,150 戻ったって… あいつか…。 いつだい? 124 00:10:51,150 --> 00:10:57,924 <辰吉親分が住む 天王町の長屋でございます> 125 00:10:57,924 --> 00:11:00,226 ごめんよ! 126 00:11:01,794 --> 00:11:04,731 明日にでも 根岸に伺おうと 思っておりました。 127 00:11:04,731 --> 00:11:10,370 戻って参りました。 長旅させちまったな。 128 00:11:10,370 --> 00:11:13,273 いえ。 ご苦労だった。 129 00:11:13,273 --> 00:11:16,543 大した事 ございません。 130 00:11:16,543 --> 00:11:20,413 常蔵は どうした? 江戸を はばかりまして➡ 131 00:11:20,413 --> 00:11:25,051 藤沢に とめてあります。 体も かなり弱っております。 132 00:11:25,051 --> 00:11:27,086 あっしの若いころ かわいがってもらった➡ 133 00:11:27,086 --> 00:11:32,559 親分がおりやして 見張りがてら 世話を頼みました。 134 00:11:32,559 --> 00:11:35,895 八丁堀へは? 135 00:11:35,895 --> 00:11:42,235 ご新造さんには お心遣い頂きましたんで 近々…。 136 00:11:42,235 --> 00:11:45,238 晃之助には? 137 00:11:49,976 --> 00:11:55,415 旅は どうだった? 常蔵の様子は? 138 00:11:55,415 --> 00:11:59,586 初めは… 泣いておりました。 139 00:11:59,586 --> 00:12:13,533 ♬~ 140 00:12:13,533 --> 00:12:17,036 (辰吉)どういうんだか てめえは ひどい事 しやがるくせに➡ 141 00:12:17,036 --> 00:12:20,873 てんで 意気地のない男で。 崖で すくんで 動けねえと泣き➡ 142 00:12:20,873 --> 00:12:24,377 道がつらいと言って泣き 堂の前で おびえて➡ 143 00:12:24,377 --> 00:12:28,581 動こうとしませんでした。 ここは 怖いと…。 144 00:12:35,888 --> 00:12:39,592 立て ほら… ほら! 145 00:12:43,229 --> 00:12:47,100 (辰吉)そのたび おぶんが…。 146 00:12:47,100 --> 00:12:49,902 (おぶん)死んじまえ。 147 00:12:49,902 --> 00:12:54,774 終わりのあたりは もう 二度と 泣き言を 言わなくなりました。➡ 148 00:12:54,774 --> 00:12:59,579 黙って 半日も 仏を見ている事もありました。 149 00:12:59,579 --> 00:13:25,204 ♬~ 150 00:13:25,204 --> 00:13:28,908 あ…。 お前…。 151 00:13:32,879 --> 00:13:37,550 これ 女将さんが持っていけって。 うん…。 152 00:13:37,550 --> 00:13:40,253 やっていけそうか? 153 00:13:51,097 --> 00:13:55,735 深川の料理屋で 住み込みを 見つけました。 154 00:13:55,735 --> 00:13:58,571 こっちに 連れてきたのか? 155 00:13:58,571 --> 00:14:02,542 あの親子は 一緒に居ると どちらも 駄目になります。 156 00:14:02,542 --> 00:14:06,312 おぶんが 藤沢には 時々 行くと 言ってます。 157 00:14:06,312 --> 00:14:13,853 お前は どうする? 当分 ぶらぶら致しやす。 158 00:14:13,853 --> 00:14:17,156 晃之助の お手先には? 159 00:14:18,725 --> 00:14:24,564 あっしを見れば 旦那は 嫌でも 常蔵を思い出します。 160 00:14:24,564 --> 00:14:32,371 おぶんが居れば なおさら…。 八丁堀の旦那の所へは もう…。 161 00:14:39,979 --> 00:14:44,784 <その夜 舅殿が お見えになりました> 162 00:14:46,753 --> 00:14:49,756 (晃之助)辰吉が? 163 00:14:49,756 --> 00:14:52,759 お手先に 戻してやっちゃくれまいか? 164 00:14:55,461 --> 00:15:00,166 あいつから お前には 言いにくかろう。 165 00:15:00,166 --> 00:15:02,835 せっかくですが…。 166 00:15:02,835 --> 00:15:10,510 辰吉ほどの男なら 使いたい同心は いくらでも おりましょう。 167 00:15:10,510 --> 00:15:15,815 お前に 使ってほしいのだ。 お断り致します。 168 00:15:17,383 --> 00:15:23,689 常蔵を 思い出すからか? 己を 思い出すからです。 169 00:15:25,858 --> 00:15:31,731 常蔵を許した己… あの男が 心を改めると➡ 170 00:15:31,731 --> 00:15:38,871 改めたに違いないと信じていた おめでたい己…。 171 00:15:38,871 --> 00:15:45,878 はあ… 己 己! 義父上。 172 00:15:47,547 --> 00:15:55,288 お前の話には てめえしかねえ! 皐月も 八千代も 辰吉も 居ねえ。 173 00:15:55,288 --> 00:15:58,491 人ってもんが どこにもねえ! 174 00:16:06,499 --> 00:16:13,840 てめえ一人 己を正したつもりで それで 一体 何が出来る? 175 00:16:13,840 --> 00:16:16,742 義父上は 思い出す事はないのですか? 176 00:16:16,742 --> 00:16:21,747 あの時 常蔵を討てなかった事を。 177 00:16:26,419 --> 00:16:28,421 旦那! 178 00:16:32,859 --> 00:16:34,794 晃之助…。 179 00:16:34,794 --> 00:16:39,732 その男は… 三千代の敵だ! 180 00:16:39,732 --> 00:16:50,877 ♬~ 181 00:16:50,877 --> 00:16:55,381 辰吉を 使ってくれ。 182 00:16:55,381 --> 00:16:58,417 義父上のお指図は 受けませぬ! 183 00:16:58,417 --> 00:17:12,798 ♬~ 184 00:17:12,798 --> 00:17:16,702 駕籠を呼んで参ります。 185 00:17:16,702 --> 00:17:21,841 根岸までの夜道は 近ごろ 物騒ですから。 186 00:17:21,841 --> 00:17:24,543 要らねえよ。 187 00:17:28,180 --> 00:17:32,852 すまなかったな 声を荒げたりして。 いえ…。 188 00:17:32,852 --> 00:17:36,722 奥のやりくりも 晃之助が 苦労をかけるが…。 189 00:17:36,722 --> 00:17:39,725 義父上様。 うん? 190 00:17:39,725 --> 00:17:45,197 ふと思ったのですが 晃之助様が 礼の品を拒んだり➡ 191 00:17:45,197 --> 00:17:48,100 辰吉さんのお世話を 断られたりするのは➡ 192 00:17:48,100 --> 00:17:51,871 まことに 常蔵という人の せいなのでしょうか? 193 00:17:51,871 --> 00:17:53,806 なんだと? 194 00:17:53,806 --> 00:17:57,810 もちろん それも ございましょうが…。 195 00:17:59,545 --> 00:18:05,818 どういう事だ? ただ正義 ただ己のため➡ 196 00:18:05,818 --> 00:18:09,322 それだけで周りに 苦労をかけるような方では➡ 197 00:18:09,322 --> 00:18:13,192 ございません。 若い時分なら いざ知らず➡ 198 00:18:13,192 --> 00:18:19,699 今や 子の親でございます。 きっと 何か 訳があるのでは…。 199 00:18:23,836 --> 00:18:33,846 お前は… いい嫁だ。 ありがとうございます。 200 00:18:33,846 --> 00:18:36,749 よしよしよし… ほ~れ ほりゃ。 201 00:18:36,749 --> 00:18:41,053 ほりゃりゃりゃ。 アハハハハ。 202 00:18:53,866 --> 00:18:57,703 そういえば 義父上様。 直太という者を➡ 203 00:18:57,703 --> 00:19:03,142 ご存じありませんか? 直太? 賭場の歩きか? 204 00:19:03,142 --> 00:19:08,314 いえ。 あさりの 剥き身売りで ございます。あさり? 205 00:19:08,314 --> 00:19:11,650 売る品も 生きがよく 釣り銭を間違えると➡ 206 00:19:11,650 --> 00:19:16,822 必ず返しにくるのです。 黙って 懐に入れればよいものを。 207 00:19:16,822 --> 00:19:20,326 正直な子で しづも ひいきに しておりました。 208 00:19:20,326 --> 00:19:24,163 今年は まだ来ません。 確か 以前 義父上を➡ 209 00:19:24,163 --> 00:19:27,833 知ってるように 言っておりましたので…。 210 00:19:27,833 --> 00:19:31,504 <昨年の春の事でございます> 211 00:19:31,504 --> 00:19:37,843 あの これ…。 銭 返しに来たのか? 212 00:19:37,843 --> 00:19:40,179 多く もらっちまったから…。 213 00:19:40,179 --> 00:19:47,053 偉えなあ。 「正直者の頭に 神 宿る」だ。 214 00:19:47,053 --> 00:19:49,855 取っときな。 215 00:19:49,855 --> 00:19:52,191 ありがとうございます! 216 00:19:52,191 --> 00:19:54,126 ああ…。 217 00:19:54,126 --> 00:19:57,863 <この時 舅殿は まだ 肝心な事を➡ 218 00:19:57,863 --> 00:20:00,533 思い出しては おられなかったのですが…➡ 219 00:20:00,533 --> 00:20:06,872 直太さんを捜しに お旗本の お屋敷を 訪ねたのでございます> 220 00:20:06,872 --> 00:20:10,543 おっととと… 仏の旦那! こっから先は…。 221 00:20:10,543 --> 00:20:13,212 いいじゃねえか。 俺は もう お役じゃねえ。 222 00:20:13,212 --> 00:20:15,715 直太って歩きが 居るはずなんだが…。 223 00:20:15,715 --> 00:20:17,650 直太? 224 00:20:17,650 --> 00:20:21,387 ああ あの 馬鹿っ正直な 直太ですかい。 225 00:20:21,387 --> 00:20:23,889 馬鹿っ正直? ええ。 226 00:20:23,889 --> 00:20:36,902 (賭ける声) 227 00:20:45,277 --> 00:20:48,481 直太! へい! 228 00:21:04,196 --> 00:21:06,866 直太! 229 00:21:06,866 --> 00:21:14,173 あさり売りの直太だな。 「正直もんの直太」だろ? 230 00:21:16,876 --> 00:21:21,547 違う! 頼まれて また かっぱらいか? 231 00:21:21,547 --> 00:21:25,417 違う。 今夜は 客が スッちまっただ。 232 00:21:25,417 --> 00:21:28,420 家まで 受け取りに…。 やっぱり 直太だ。 233 00:21:28,420 --> 00:21:32,191 ごまかしが言えねえ。 234 00:21:32,191 --> 00:21:35,728 なぜだい? なぜ そうなっちまった? 235 00:21:35,728 --> 00:21:39,398 あのころの お前は 一日中 天びん担いでも➡ 236 00:21:39,398 --> 00:21:43,269 笑って 商いしてたじゃねえか。 237 00:21:43,269 --> 00:21:47,139 直太! 直太! 義父上! 238 00:21:47,139 --> 00:21:53,579 お前 なぜ ここへ? 時々 直太の様子見に…。 239 00:21:53,579 --> 00:21:58,918 口の重い子ですが それでも 近ごろは 身の上話など…。 240 00:21:58,918 --> 00:22:02,788 そうだったのかい。 241 00:22:02,788 --> 00:22:09,361 義父上。 直太が なぜ 道を外したか…。 242 00:22:09,361 --> 00:22:14,867 義父上には まことに 心当たりは ないのですか? 243 00:22:14,867 --> 00:22:17,369 なんだと? 244 00:22:19,205 --> 00:22:21,874 (晃之助)去年の夏だったそうです。 245 00:22:21,874 --> 00:22:26,212 多い… お客さん! 246 00:22:26,212 --> 00:22:31,884 直太なら すぐ戻るよ。 あんたも やってごらんよ。 247 00:22:31,884 --> 00:22:34,720 あの あさり売り 多めに 銭を渡すと➡ 248 00:22:34,720 --> 00:22:36,755 鼻に汗かいて 飛んでくるんだ。 249 00:22:36,755 --> 00:22:39,892 ペコペコ おわびの 大安売りしてさ。 250 00:22:39,892 --> 00:22:41,827 おかしいったら ありゃしない。 251 00:22:41,827 --> 00:22:45,564 およしよ 意地悪は。 いいんだよ! 252 00:22:45,564 --> 00:22:47,600 ムカムカすんだ ああいう手合いを見てると。 253 00:22:47,600 --> 00:22:50,436 てめえだけは 正直でござい って面しやがって。 254 00:22:50,436 --> 00:22:52,905 何が 正直だ。 勘定が苦手の➡ 255 00:22:52,905 --> 00:22:58,611 ただのグズじゃねえか。 癪に障んだよ! アハハハ。 256 00:23:00,512 --> 00:23:03,182 (晃之助) 返そうとした銭を握ったまま➡ 257 00:23:03,182 --> 00:23:07,052 そのあと 直太は 途方に暮れたそうです。 258 00:23:07,052 --> 00:23:10,055 坊主 どうした? 259 00:23:13,525 --> 00:23:16,428 旦那…。 260 00:23:16,428 --> 00:23:19,865 旦那。 誰だった? 261 00:23:19,865 --> 00:23:21,800 物忘れが ひどくてな。 262 00:23:21,800 --> 00:23:26,372 すまねえ もう一度 教えてくれな。 263 00:23:26,372 --> 00:23:30,876 「正直者の頭に 神 宿る」だ。 264 00:23:37,883 --> 00:23:40,786 馬鹿野郎。 265 00:23:40,786 --> 00:23:46,392 顔も覚えてねえくせに いいかげんな事言うな 馬鹿野郎! 266 00:23:46,392 --> 00:23:52,898 俺が…。 (晃之助)「正直者にはならない」。➡ 267 00:23:52,898 --> 00:23:57,403 むろん 義父上の事は きっかけに すぎない。 268 00:23:57,403 --> 00:24:03,208 だが それで 直太は 心底 嫌気がさしたのだ。 269 00:24:04,843 --> 00:24:08,347 いいように 人に むしられて いくのは もう たくさんだ。 270 00:24:08,347 --> 00:24:12,851 やくざもんでも 島帰りでもいい。 だが 決して➡ 271 00:24:12,851 --> 00:24:18,190 正直もんにだけは なりたくない! 272 00:24:18,190 --> 00:24:34,206 ♬~ 273 00:24:34,206 --> 00:24:36,508 遅い! 274 00:24:53,058 --> 00:24:57,229 どうしたね? うん…。 275 00:24:57,229 --> 00:25:01,100 ここんとこ 立て続けに 出かけたかと 思ったら➡ 276 00:25:01,100 --> 00:25:08,841 今日は 朝から ひなたぼっこかい。 俺が もとだった。え? 277 00:25:08,841 --> 00:25:13,846 知らねえうちに 俺が もとに なってやがった かっぱらいのな。 278 00:25:15,714 --> 00:25:21,553 いい調子で 人を褒めた。 褒めたのを 忘れてた。 279 00:25:21,553 --> 00:25:24,323 俺に褒められりゃ 励みにもなるだろう。 280 00:25:24,323 --> 00:25:28,861 どっかで そう思い上がってたんだ。 281 00:25:28,861 --> 00:25:36,535 「己ばかりが 偉そうになるな」 晃之助には そう説教したが…。 282 00:25:36,535 --> 00:25:40,539 偉そうなのは てめえのほうだった。 283 00:25:43,409 --> 00:25:47,413 なんだ そんな事か…。 284 00:25:49,114 --> 00:25:53,719 旦那が偉そうなのは 昔からだ。 え? 285 00:25:53,719 --> 00:25:57,055 「慶次郎だ よろしく頼む」って きた時は それは まあ➡ 286 00:25:57,055 --> 00:26:04,496 ずうずうしい事だったよ。 でも まあ いいじゃないか。 287 00:26:04,496 --> 00:26:07,100 偉そうだって なんだって せいぜい 褒めてやりゃ。 288 00:26:07,100 --> 00:26:13,672 口先だけでもか?旦那…。 人を見くびっちゃ いけないよ。 289 00:26:13,672 --> 00:26:16,708 いくら 口先だけだって➡ 290 00:26:16,708 --> 00:26:21,847 思ってねえ事は 簡単に 口から 出やしねえよ。 291 00:26:21,847 --> 00:26:28,720 そん時 そう思ったら そん時 そう言ってやりゃあ いいんだよ。 292 00:26:28,720 --> 00:26:35,861 何度でも 褒めてやりゃ いいんだよ。 はい。 293 00:26:35,861 --> 00:26:49,374 ♬~ 294 00:26:49,374 --> 00:26:52,878 (雨音) 295 00:27:00,819 --> 00:27:04,990 (中間)何です? 蝮の親分。 296 00:27:04,990 --> 00:27:07,659 ちょいと 小耳に 挟んだんだが…。 297 00:27:07,659 --> 00:27:14,166 本所辺りの旗本屋敷で 開帳している賭場 知らないか? 298 00:27:14,166 --> 00:27:16,835 客に 手持ちがなくなると➡ 299 00:27:16,835 --> 00:27:23,709 歩きに 客の家に 盗みに入らせて 無理やり 金を まき上げる…。 300 00:27:23,709 --> 00:27:27,713 なかなか やっかいな賭場 らしいんだが…。 301 00:27:29,848 --> 00:27:34,019 さあ そういう話は…。 302 00:27:34,019 --> 00:27:41,827 そういう話を耳にしましたら 親分さんには 必ず… へい。 303 00:27:47,866 --> 00:27:51,169 (舌打ち) しけてやがる。 304 00:28:01,413 --> 00:28:05,717 <それから 数日後の事で ございました> 305 00:28:12,824 --> 00:28:15,527 直太。 (直太)へい。 306 00:28:17,162 --> 00:28:19,464 へい。 307 00:28:26,838 --> 00:29:05,477 ♬~ 308 00:29:05,477 --> 00:29:07,412 直太…。 309 00:29:07,412 --> 00:29:09,348 直太! 310 00:29:09,348 --> 00:29:32,504 ♬~ 311 00:29:32,504 --> 00:29:35,207 ⚟直太! 312 00:29:38,176 --> 00:29:40,846 直太 大丈夫か!? 313 00:29:40,846 --> 00:29:44,716 仏の旦那…。 314 00:29:44,716 --> 00:29:49,421 外すつもりが 急所に 入っちまった。 315 00:29:54,192 --> 00:29:56,495 義父上! 316 00:30:01,533 --> 00:30:06,204 この男 預からせてもらえますか。 317 00:30:06,204 --> 00:30:10,542 ちょいと あの屋敷の事 聞きたいと 思いましてね。 318 00:30:10,542 --> 00:30:15,414 晃之助。 ご随意に。 319 00:30:15,414 --> 00:30:17,883 ありがとうございます。 320 00:30:17,883 --> 00:30:21,386 これで やっと まともな商売になりそうだ。 321 00:30:21,386 --> 00:30:24,056 妹夫婦が しけてやがってね。 322 00:30:24,056 --> 00:30:26,091 兄貴の俺からも 蕎麦代 取りやがる。 323 00:30:26,091 --> 00:30:29,394 せちがらくていけねえや なあ。 324 00:30:37,402 --> 00:30:43,208 大事ないか? なんで…。 325 00:30:43,208 --> 00:30:50,916 口封じだ。 口封じ… なんでですか。 326 00:30:50,916 --> 00:30:52,851 俺は 言われたとおり しただけだ。 327 00:30:52,851 --> 00:30:55,787 なのに どうして こんな目に 遭わなくちゃならないんです? 328 00:30:55,787 --> 00:31:00,792 なんで! それは お前が 正直者だからだ。 329 00:31:03,862 --> 00:31:06,865 なぜ あいつらのために働いた? 330 00:31:09,534 --> 00:31:12,437 それは…。 331 00:31:12,437 --> 00:31:18,710 「お前しかいない 頼れるのは お前だけだ」。 332 00:31:18,710 --> 00:31:21,546 そう言われて 信じたからではないのか➡ 333 00:31:21,546 --> 00:31:24,249 あいつらを…。 334 00:31:32,557 --> 00:31:37,429 馬鹿だ。 335 00:31:37,429 --> 00:31:41,733 俺は ただの馬鹿だ…。 馬鹿ではない! 336 00:31:49,908 --> 00:31:55,580 「約束する」。 そう言われたら 信じる。 337 00:31:55,580 --> 00:32:02,587 「助けてくれ」。 そう泣かれたら 俺も助ける。 338 00:32:04,389 --> 00:32:07,392 旦那…。 339 00:32:09,861 --> 00:32:19,871 昔の事だ。 そうして 俺は 助けちゃならない奴を 助けた。 340 00:32:21,473 --> 00:32:30,782 信じたからだ。 けれど そいつは また罪を犯した。 341 00:32:34,085 --> 00:32:39,925 信じて… そして 裏切られた。 342 00:32:39,925 --> 00:32:45,430 お前のせいではないか! なぜ 変わらぬ! 343 00:32:50,235 --> 00:32:57,242 俺も 馬鹿っ正直だ。 お前と 同じだ。 344 00:33:01,513 --> 00:33:04,516 まっとうになれ! 345 00:33:12,224 --> 00:33:16,027 悪さがいけないから 言うのではない。 346 00:33:16,027 --> 00:33:20,899 悪さは お前に似合わない。 嫌だ! 347 00:33:20,899 --> 00:33:24,703 直太! 正直は こりごりだ。 348 00:33:24,703 --> 00:33:27,539 正直を褒める奴は なおさらだ。 349 00:33:27,539 --> 00:33:32,544 名前も ロクに覚えねえくせに! 悪さを 人のせいにするな! 350 00:33:36,548 --> 00:33:42,888 己から もう 目をそらすな! 351 00:33:42,888 --> 00:34:22,527 ♬~ 352 00:34:22,527 --> 00:34:26,865 ありがとやんした! いつも ご苦労さま。 353 00:34:26,865 --> 00:34:29,534 あさり~! 354 00:34:29,534 --> 00:34:34,873 <それから しばらくして 直太さんの 剥き身を売る声が➡ 355 00:34:34,873 --> 00:34:37,876 また路地に戻って参りました> 356 00:34:44,215 --> 00:34:46,518 旦那…。 357 00:34:58,763 --> 00:35:04,069 八丁堀に 戻ってくれないか? 358 00:35:08,406 --> 00:35:15,113 俺は 立ち会いだ。 これは お前と 晃之助の話だ。 359 00:35:17,215 --> 00:35:23,855 私の手先に 戻ってほしい。 360 00:35:23,855 --> 00:35:27,192 そいつは…。 361 00:35:27,192 --> 00:35:33,898 お前だけは 雇うまい! そう思っていた。 362 00:35:35,867 --> 00:35:38,870 恨みで言うのではない。 363 00:35:40,739 --> 00:35:46,578 おぶんが… つらいのではないかと…。 364 00:35:46,578 --> 00:35:50,215 おぶん? 365 00:35:50,215 --> 00:35:56,554 俺が お前を見て 常蔵を思い出すように➡ 366 00:35:56,554 --> 00:36:01,393 私を見れば おぶんも 父親のした事を 思い出す。 367 00:36:01,393 --> 00:36:06,097 そして また 父を恨む。 368 00:36:07,832 --> 00:36:15,140 子が 親を恨む。 それでは あまりに悲しすぎる。 369 00:36:16,841 --> 00:36:23,515 八千代が産まれ 人の親となって そう思った。 370 00:36:23,515 --> 00:36:29,854 お前…。 じゃあ 辰吉を遠ざけたのは…。 371 00:36:29,854 --> 00:36:36,728 おぶんのためで ございました。 初めは…。 372 00:36:36,728 --> 00:36:42,567 でも 先日 気づきました。 直太を説いた時の事です。 373 00:36:42,567 --> 00:36:45,870 悪さを 人のせいにするな! 374 00:36:45,870 --> 00:36:52,744 己から もう 目をそらすな! 375 00:36:52,744 --> 00:37:00,819 おぶんを言い訳に 私も 逃げておりました。 376 00:37:00,819 --> 00:37:09,828 信じて 常蔵を 2度許した。 己の馬鹿っ正直から…。 377 00:37:15,366 --> 00:37:17,368 戻ってくれ! 378 00:37:19,170 --> 00:37:21,873 頼む! 379 00:37:26,845 --> 00:37:35,186 俺からも 頼む。 お前も おぶんも それは つれえ道かもしれねえ。 380 00:37:35,186 --> 00:37:38,890 だが… このとおり! 381 00:37:46,197 --> 00:37:53,872 巡礼をしていて 一つだけ気づいた事があります。 382 00:37:53,872 --> 00:37:59,677 道は… 前にしかないんです。 383 00:37:59,677 --> 00:38:06,818 どんな難所も てめえの足は 決して 戻ろうとしない。 384 00:38:06,818 --> 00:38:13,691 戻っても つらさは同じと 分かってるからでございます。 385 00:38:13,691 --> 00:38:20,398 戻れねえ道なら 巡るしか…。 386 00:38:23,835 --> 00:38:26,538 よろしくお願い致しやす。 387 00:38:32,844 --> 00:38:36,181 <こうして 辰吉さんは 再び➡ 388 00:38:36,181 --> 00:38:42,053 晃之助様の お手先に 戻られる事になりました> 389 00:38:42,053 --> 00:38:45,757 旦那様のお戻りでございます。 390 00:38:47,792 --> 00:38:51,196 お帰りなさいませ。 お帰りなさいませ。うん。 391 00:38:51,196 --> 00:38:55,066 昼間 実家の神山から 荷が 届きました。 392 00:38:55,066 --> 00:38:57,869 初節句のための 雛人形だそうでございます。 393 00:38:57,869 --> 00:39:01,306 そうか…。 使いの者が申すには➡ 394 00:39:01,306 --> 00:39:05,176 旦那様が 改めて 父に頼んだという事ですが…。 395 00:39:05,176 --> 00:39:09,981 どれ ひとつ拝見といくか。 396 00:39:14,485 --> 00:39:18,323 よろしいのですか? え? 397 00:39:18,323 --> 00:39:24,128 大店からの頂き物の雛は お嫌だったのでは…。 398 00:39:24,128 --> 00:39:30,501 見合った働きをすればよい。 それだけの事だ。 399 00:39:30,501 --> 00:39:37,175 旦那様…。 いい お顔されてますねえ。 400 00:39:37,175 --> 00:39:41,880 ああ。 よい人形だ。 401 00:39:50,521 --> 00:39:56,394 八千代。 お前の雛だぞ。 402 00:39:56,394 --> 00:40:12,777 ♬~ 403 00:40:12,777 --> 00:40:16,648 あさりか… こりゃ 生きがよさそうだ。 404 00:40:16,648 --> 00:40:20,585 今夜は それで ヌタ作るからね。 そりゃあ いいな。 405 00:40:20,585 --> 00:40:22,587 山口屋からの酒が あったな。 406 00:40:22,587 --> 00:40:26,891 あれで 今年初めの冷や酒…。 あの…➡ 407 00:40:26,891 --> 00:40:30,561 これ 間違えてます。 多すぎます。 408 00:40:30,561 --> 00:40:34,065 いいよ 取っときな。 いや でも…。 409 00:40:34,065 --> 00:40:39,404 取っときなよ。 「正直者の頭に 神 宿る」だ。 410 00:40:39,404 --> 00:40:42,240 ありがとうございます! 411 00:40:42,240 --> 00:40:46,110 なにが 「正直者の頭に 神 宿る」だ! 412 00:40:46,110 --> 00:40:49,414 え?気前よく 駄賃なんか やっちゃって…。 413 00:40:49,414 --> 00:40:53,751 甘やかしたら ためにならないよ! すぐ いい顔するんだから。 414 00:40:53,751 --> 00:40:55,687 思った時には すぐ褒めろって お前が! 415 00:40:55,687 --> 00:41:00,024 邪魔だよ ちょっと…。 なんだよ! ちょっと待てよ。 416 00:41:00,024 --> 00:41:03,061 お前が 言ったんだろ 褒めてやれって…。 417 00:41:03,061 --> 00:41:06,531 だって 駄賃は… 俺から渡す。 いいから 水くみなよ。 418 00:41:06,531 --> 00:41:09,434 人使いが荒いんだから もう! 419 00:41:09,434 --> 00:41:13,304 <花の盛りが もう間近でございます> 420 00:41:13,304 --> 00:41:16,808 早くしろよ。 分かってるよ…。 421 00:41:20,078 --> 00:41:26,384 ご自分の お顔… お持ちですか? 422 00:41:31,756 --> 00:41:33,758 顔…。 423 00:41:33,758 --> 00:41:35,760 <次回は…> 424 00:41:37,495 --> 00:41:39,897 <どうぞお楽しみに> 425 00:41:39,897 --> 00:42:54,605 ♬~