1 00:00:15,315 --> 00:00:17,618 ⚟(吉次)お蝶! 2 00:00:19,786 --> 00:00:25,492 (おみつ)離して。 堪忍して。 3 00:00:33,133 --> 00:00:37,004 申し訳なくて…。 4 00:00:37,004 --> 00:00:40,307 お前さんにゃ あんなに よくしてもらって…。 5 00:00:40,307 --> 00:00:42,342 (吉次)お前のせいじゃねえ。 6 00:00:42,342 --> 00:00:47,180 お前だけのせいじゃねえ。 できるなら もういっぺん…。 7 00:00:47,180 --> 00:00:50,384 おみつ! おみつ…。 8 00:00:54,488 --> 00:01:00,193 ⚟(きわ)兄さん…。 うん? なんでえ…。 9 00:01:07,434 --> 00:01:14,775 (きわ)たまには 掃除を。 ああ すぐに 出かけるよ。 10 00:01:14,775 --> 00:01:18,645 (皐月)<過ぎ去って十数年 吉次さんには➡ 11 00:01:18,645 --> 00:01:22,449 忘れられない人が いるのでございます> 12 00:01:22,449 --> 00:01:33,794 ♬~ 13 00:01:33,794 --> 00:01:39,132 (慶次郎)吉次に 女? はい。 近ごろ 兄さん➡ 14 00:01:39,132 --> 00:01:42,970 いつも白粉の匂いが…。探索で ついたもんじゃねえのかい。 15 00:01:42,970 --> 00:01:44,905 (菊松)旦那 どうぞ。 16 00:01:44,905 --> 00:01:49,710 ひげもあたって まめに着替えもいたします。 17 00:01:54,481 --> 00:01:58,485 幾日か前の事です。 18 00:02:05,926 --> 00:02:11,131 兄さん! うん なんでえ? 19 00:02:14,635 --> 00:02:17,637 お前…。 20 00:02:20,774 --> 00:02:26,446 (きわ)岡場所から逃げてきた 風情の女でした。 21 00:02:26,446 --> 00:02:30,317 そのあと その人を連れて どこかに行き…。 22 00:02:30,317 --> 00:02:35,122 それからです。 兄さんが まめに ひげを あたりだしたのも➡ 23 00:02:35,122 --> 00:02:39,459 白粉の匂いも…。吉次が ここに 転がり込んで どのぐらいになる? 24 00:02:39,459 --> 00:02:43,130 あれは 女房の おみつさんが 出てって すぐだから…。 25 00:02:43,130 --> 00:02:46,033 14年です。 だったら そっとしといてやんな。 26 00:02:46,033 --> 00:02:54,741 兄さんだって いろいろあるだろ。 違うんです 私が 心配してるのは。 27 00:02:54,741 --> 00:02:57,978 義兄さんが その… 嫌がらせを…➡ 28 00:02:57,978 --> 00:03:01,782 女に つきまとってんじゃねえか って こいつが。 29 00:03:03,750 --> 00:03:09,423 <北町奉行所の 定町廻り同心から 十手を預かる 吉次さんは➡ 30 00:03:09,423 --> 00:03:12,325 蝮と 呼ばれております> 31 00:03:12,325 --> 00:03:16,296 ああ ちょいと 近くまで 寄ったもんでな。 32 00:03:16,296 --> 00:03:21,134 いや~ 大した繁盛ぶりじゃ ねえか。(番頭)おかげさまで。 33 00:03:21,134 --> 00:03:24,771 若旦那が 賭場…。 34 00:03:24,771 --> 00:03:27,274 賭場に入り浸ってる時分は➡ 35 00:03:27,274 --> 00:03:32,446 どうなる事かと 思ったけどな。 こ… これを。 36 00:03:32,446 --> 00:03:38,452 <つかんだ秘密で 商家や お屋敷を ゆするのです> 37 00:03:44,458 --> 00:03:49,329 なんだい 来てたのかい。 38 00:03:49,329 --> 00:03:54,468 妹が なんか 余計な話を お耳に入れたようで…。 39 00:03:54,468 --> 00:03:57,137 そうだったかなあ。 40 00:03:57,137 --> 00:03:59,906 いや… 越中島の岡場所から➡ 41 00:03:59,906 --> 00:04:04,077 女を一人 中町へ連れてったんですわ。 42 00:04:04,077 --> 00:04:09,249 店が 手入れに遭って 行き場に 困ってたもんで…。 43 00:04:09,249 --> 00:04:13,754 まあ それだけの話でさ。 44 00:04:13,754 --> 00:04:19,760 (佐七)おや どうしたね? やけに こざっぱりして…。 45 00:04:23,096 --> 00:04:26,433 帰るとこだよ! もう…。 46 00:04:26,433 --> 00:04:29,736 ありゃあ…。 47 00:04:32,305 --> 00:04:34,774 俺 一人に ご大層な! 48 00:04:34,774 --> 00:04:38,645 (辰吉)調べました。 女の名前は お蝶といいます。 49 00:04:38,645 --> 00:04:43,116 吉次の口利きで 確かに深川中町の店におります。 50 00:04:43,116 --> 00:04:46,987 どんな女だい?どうもこうも なにも 出やしません。➡ 51 00:04:46,987 --> 00:04:50,457 下駄屋の子守や 女中をして働いておりましたが➡ 52 00:04:50,457 --> 00:04:53,126 父親の病が長引いて 岡場所に…。 53 00:04:53,126 --> 00:04:55,061 (お蝶)いい お客様でした。 54 00:04:55,061 --> 00:04:56,997 (辰吉)ちょいと のんびりした女だそうで➡ 55 00:04:56,997 --> 00:04:59,466 気の利いた ひいき客も つかないうち➡ 56 00:04:59,466 --> 00:05:02,068 前の店が 手入れに遭っています。 57 00:05:02,068 --> 00:05:06,940 で ひとつだけ よくない男の噂が…。 58 00:05:06,940 --> 00:05:12,078 どんな奴だい? フフフ 吉次の事でした。 59 00:05:12,078 --> 00:05:16,416 (笑い声) 60 00:05:16,416 --> 00:05:21,087 さあ どうだい? 熱いうち。 俺は…。 これから ちょいと。 61 00:05:21,087 --> 00:05:25,792 お役目かい? 藤沢へ 参ります。 62 00:05:27,427 --> 00:05:33,300 おぶんを 連れていきます。 戻りは 明日に。 63 00:05:33,300 --> 00:05:36,002 そうかい。 64 00:05:40,774 --> 00:05:46,780 <藤沢には おぶんさんの父親 常蔵が います> 65 00:05:48,648 --> 00:05:55,956 <常蔵は 舅殿の一人娘 三千代様を 死に追いやった男ですが➡ 66 00:05:55,956 --> 00:05:59,759 重い病の床に ついています> 67 00:06:01,728 --> 00:06:04,631 (久作) 線香は 立てておりませんので➡ 68 00:06:04,631 --> 00:06:07,601 お一人で ごゆっくり…。 そんなんじゃねえ。 69 00:06:07,601 --> 00:06:13,340 お奉行所の手入れの折には 一声 おかけ下さいまし。 70 00:06:13,340 --> 00:06:17,043 あっしは 手鎖は ごめんでさあね。 71 00:06:19,079 --> 00:06:23,750 <お上に認められていない 岡場所というところには➡ 72 00:06:23,750 --> 00:06:27,420 時折 警動と呼ばれる 手入れがあり➡ 73 00:06:27,420 --> 00:06:34,127 捕まった主には 罰金と 100日の手鎖が 科せられました> 74 00:06:36,763 --> 00:06:44,104 馬鹿! 葉っぱなんぞに。 だって きれいなんですもの。 75 00:06:44,104 --> 00:06:49,409 人も木も 枯れる前に 色づくだけのこった。 76 00:06:56,683 --> 00:07:02,589 あの… 聞いても いいですか? ん? 77 00:07:02,589 --> 00:07:06,293 なんで 私を拾ってくれたんですか? 78 00:07:29,082 --> 00:07:32,385 置いてかれたのかい? 79 00:07:34,421 --> 00:07:39,292 ぐずだから 私…。 80 00:07:39,292 --> 00:07:45,131 (きわ)兄さん…。 なんでえ? 81 00:07:45,131 --> 00:07:47,434 (吉次)ついてきたのは お前だろう。 82 00:07:47,434 --> 00:07:54,140 だって… 一人で戻る所なんか…。 店を 世話しただけだ。 83 00:08:00,714 --> 00:08:06,586 姐さんに 叱られました。 親分さんには こうするんだって。 84 00:08:06,586 --> 00:08:20,900 気が利かなくて…。そのとおり。 俺は こいつが 目当てでね。 85 00:08:20,900 --> 00:08:26,706 さてと…。 また来て下さいね。 86 00:08:26,706 --> 00:08:31,611 お客が つかないと 私… お六さんみたいに なっちまう。 87 00:08:31,611 --> 00:08:33,913 お六? 88 00:08:45,759 --> 00:08:51,097 ただの下働きじゃねえか。 女将さんなんですって。 89 00:08:51,097 --> 00:08:54,000 本当は 桔梗屋さんの。➡ 90 00:08:54,000 --> 00:08:58,438 桔梗屋の旦那さんには 若~い いい人がいてね➡ 91 00:08:58,438 --> 00:09:00,707 お前は 出ていけって 言われたのを➡ 92 00:09:00,707 --> 00:09:03,743 飯炊きでも なんでもするから 置いてくれって…。 93 00:09:03,743 --> 00:09:08,548 惨めね あんな格好になってまで…。 94 00:09:17,257 --> 00:09:22,395 (お蝶)あの女将さんも 行く所が ないのかしら。 95 00:09:22,395 --> 00:10:05,438 ♬~ 96 00:10:05,438 --> 00:10:12,445 おい あそこの家な あれは住んでるのは 男かい? 97 00:10:14,447 --> 00:10:18,785 おい 男だろ? ざる売りの…。 98 00:10:18,785 --> 00:10:22,455 (おみつ)ざるなんか 売っちゃいませんよ。➡ 99 00:10:22,455 --> 00:10:26,159 福松は 左官です。 100 00:10:33,800 --> 00:10:40,507 お前さん… 久しぶり。 101 00:10:51,818 --> 00:10:55,522 なんで こんなところで…。 102 00:10:59,159 --> 00:11:03,429 勝手が違って 調子が出ませんか? 103 00:11:03,429 --> 00:11:09,235 変わってないんですね。 追うのは めっぽう強いくせに➡ 104 00:11:09,235 --> 00:11:16,142 されるのには てんで弱い。 そうだ。 変わっちゃいねえよ。 105 00:11:16,142 --> 00:11:19,879 お前が出てったぐらいじゃ なんにもな…。 106 00:11:19,879 --> 00:11:25,118 福松は 仕事でね。 夜まで 戻っちゃきません。 107 00:11:25,118 --> 00:11:32,125 私は ちょいと 片づけに…。 福松っていうのは イロかい? 108 00:11:34,460 --> 00:11:38,965 亭主に 若い女ができて 意趣返しってわけか? 109 00:11:38,965 --> 00:11:46,139 よく ご存じで。 おみつ。 110 00:11:46,139 --> 00:11:51,010 今は お六といいます。 おみつ。 111 00:11:51,010 --> 00:11:54,814 一緒に逃げた ざる売りは どうした? 112 00:11:54,814 --> 00:11:57,517 お払い箱か? 113 00:12:00,086 --> 00:12:03,089 死んだのか? 114 00:12:11,698 --> 00:12:14,400 音吉は? 115 00:12:27,780 --> 00:12:32,652 お前 まさか 音吉も? 116 00:12:32,652 --> 00:12:38,124 家を出て すぐ 旅の途中で 熱を出して…。 117 00:12:38,124 --> 00:12:41,794 あの人も 私も 寝ずに 看病…。 118 00:12:41,794 --> 00:12:45,465 男と飛び出したあげく 男もガキも 殺して➡ 119 00:12:45,465 --> 00:12:49,135 江戸に戻って 名前を変えて 女郎屋かい? おい! 120 00:12:49,135 --> 00:12:56,476 亭主に 追んだされそうなところ 飯炊きで しがみついて➡ 121 00:12:56,476 --> 00:13:01,314 あげくに 懲りもせず 男を つくりやがって! 122 00:13:01,314 --> 00:13:05,084 しかたないじゃない。 なにが しかたがないだ。 123 00:13:05,084 --> 00:13:10,757 生きてゆかないと…。 なぜ生きる? 124 00:13:10,757 --> 00:13:18,464 音吉も ざる売りも 死んだのに お前だけが なんで…。 125 00:13:30,777 --> 00:13:37,450 俺の… 俺のせいか? 126 00:13:37,450 --> 00:13:41,321 あんたには よくしてもらったよ。 127 00:13:41,321 --> 00:13:44,323 「死ぬまで 不自由させない。➡ 128 00:13:44,323 --> 00:13:46,793 情は そのうち わいてくれればいい。➡ 129 00:13:46,793 --> 00:13:55,501 だから… 夫婦になってくれ」。 約束のとおりだった。 130 00:13:57,136 --> 00:14:03,943 大切にしてもらって 好きなだけ 着物も 芝居見物も…。 131 00:14:03,943 --> 00:14:11,651 金のせいか? ゆすりで稼いだ 俺の金が 嫌だったのか? 132 00:14:11,651 --> 00:14:17,256 金なんか…。 あんたが どこの誰をゆすろうと➡ 133 00:14:17,256 --> 00:14:20,460 何で稼ごうと 私にゃ…。 134 00:14:23,062 --> 00:14:27,967 惚れた男と 暮らしたかったんですよ。 135 00:14:27,967 --> 00:14:34,674 惚れて 惚れて 惚れぬいた人と 苦労してみたかった…。 136 00:14:36,442 --> 00:14:42,148 あの人は いい人でしたよ。 貧しいけど まじめな…。 137 00:14:43,783 --> 00:14:52,792 福松は… 似てるんですよ 死んじまった あの人に。 138 00:14:54,794 --> 00:15:02,235 女郎屋の女将が 亭主に女ができて 今は 飯炊き女にされてるって➡ 139 00:15:02,235 --> 00:15:08,040 世間は あざ笑うけど 私にゃ そんなの何でもない。 140 00:15:08,040 --> 00:15:12,745 飯炊きでも 雑巾がけでも お金をためて…➡ 141 00:15:12,745 --> 00:15:18,751 今度こそ 添い遂げるんだ。 142 00:15:22,422 --> 00:15:25,758 惚れた男とね。 143 00:15:25,758 --> 00:15:36,769 ♬~ 144 00:15:36,769 --> 00:15:40,640 (うめき声) 145 00:15:40,640 --> 00:15:53,786 ♬~ 146 00:15:53,786 --> 00:15:58,291 (久作)お蝶は 今…。 お待ちになって下さいまし! 147 00:15:58,291 --> 00:16:01,727 なんでえ! (女の悲鳴) 148 00:16:01,727 --> 00:16:18,277 ♬~ 149 00:16:18,277 --> 00:16:21,280 親分さん…。 150 00:16:27,954 --> 00:16:30,656 (吉次)おみつ…。 151 00:16:34,260 --> 00:16:40,466 ごめん… お前さん ごめん…。 152 00:16:42,969 --> 00:16:48,674 (吉次)おみつ… おみつ…。 153 00:17:30,082 --> 00:17:33,753 もう泣くな。 154 00:17:33,753 --> 00:17:36,422 泣いてはいません。 155 00:17:36,422 --> 00:17:41,127 お父っつぁんに会うたび お前は そんな顔をする。 156 00:17:44,297 --> 00:17:50,603 殺したくなるんです。 会うと いつも殺したくなる。 157 00:17:52,438 --> 00:17:56,776 どうして 生きてるの? 158 00:17:56,776 --> 00:18:02,782 大勢の女の人を ひどい目に 遭わせといて どうして? 159 00:18:05,051 --> 00:18:17,063 なのに 帰ってくると 今度は 私が 死にたくなるんです。 160 00:18:17,063 --> 00:18:24,937 ♬~(三味線) 161 00:18:24,937 --> 00:18:28,407 死にたい…。 162 00:18:28,407 --> 00:18:57,103 ♬~(三味線) 163 00:18:57,103 --> 00:19:03,376 女将さんが 待ってるぞ。 早く戻んな。 164 00:19:03,376 --> 00:19:05,678 じゃあな。 165 00:19:32,405 --> 00:19:38,744 辰吉さん 戻られたでしょうか。 (晃之助)さあな。 166 00:19:38,744 --> 00:19:43,416 <辰吉さんと おぶんさんが 父親の所へ 行かれる日は➡ 167 00:19:43,416 --> 00:19:47,720 旦那様の口数が 少なくなります> 168 00:19:50,756 --> 00:19:54,093 <そして 義父上様も…> 169 00:19:54,093 --> 00:20:01,767 (お登世)どうされました? いや… どこまで話した? 170 00:20:01,767 --> 00:20:04,437 許すという事を。 171 00:20:04,437 --> 00:20:09,308 人が人を許すという事は たやすい事でないと。 172 00:20:09,308 --> 00:20:15,314 許そうとする時 己の底も のぞくのだと。 173 00:20:20,786 --> 00:20:25,458 吉次がな…。 蝮さん? 174 00:20:25,458 --> 00:20:29,795 吉次には 惚れた女房がいたんだ。 175 00:20:29,795 --> 00:20:33,132 評判の器量よしだった。 176 00:20:33,132 --> 00:20:36,802 その気がないのを 口説いて 口説いて…➡ 177 00:20:36,802 --> 00:20:41,140 女房にした女を あいつは 大切にした。 178 00:20:41,140 --> 00:20:43,809 贅沢をさせて やりたかったんだろう。 179 00:20:43,809 --> 00:20:47,480 得意のゆすりで 金も稼いだ。 180 00:20:47,480 --> 00:20:50,816 お内儀さん それ嫌がって? 181 00:20:50,816 --> 00:20:59,158 いや。 14年前 茶屋で 刃傷沙汰が起きた。 182 00:20:59,158 --> 00:21:03,929 たまたま 居合わせて 事を見ちまったはずの 男と女を➡ 183 00:21:03,929 --> 00:21:06,132 吉次が追った。 184 00:21:07,766 --> 00:21:15,441 密通が知られるのを恐れ その場を逃げたに 違いない。 185 00:21:15,441 --> 00:21:21,113 金づるだ。 吉次は 2人の素性を追った。 186 00:21:21,113 --> 00:21:25,451 女は 弁慶縞の着物を着ていた。 187 00:21:25,451 --> 00:21:31,791 心当たりの店を回って 吉次は ついに 女を 突き止めた。 188 00:21:31,791 --> 00:21:48,140 ♬~ 189 00:21:48,140 --> 00:21:54,480 女は 吉次の女房だった。 190 00:21:54,480 --> 00:21:57,383 密通が 吉次に ばれたと気づいた時➡ 191 00:21:57,383 --> 00:22:04,089 女房は 子を連れ 密通相手のざる売りと江戸を出た。 192 00:22:08,994 --> 00:22:12,765 女房を 楽させてやりたいばっかりに➡ 193 00:22:12,765 --> 00:22:17,436 当の女房を 追い詰めた。 194 00:22:17,436 --> 00:22:20,339 吉次のゆすりが 一層 激しくなった。 195 00:22:20,339 --> 00:22:26,612 お内儀さん いなくなったのに…。 あいつが欲しいのは 金じゃねえ。 196 00:22:26,612 --> 00:22:33,285 あいつは ただ 暴きてえんだ。 人様の隠し事をでございますか? 197 00:22:33,285 --> 00:22:40,960 いや。 暴くだけじゃねえ。 暴いて 暴いて 知りたいのだ➡ 198 00:22:40,960 --> 00:22:47,132 人の底を…。 人の底…。 199 00:22:47,132 --> 00:22:50,803 人ってのは 一体…。 200 00:22:50,803 --> 00:23:00,613 ♬~ 201 00:23:00,613 --> 00:23:08,287 人ってのは 一体 どこまで 悪いのか…。 202 00:23:08,287 --> 00:23:30,976 ♬~ 203 00:23:35,114 --> 00:23:42,454 ああ そうか 深川だったな 常蔵の娘。 204 00:23:42,454 --> 00:23:50,796 そっちは お蝶か。 ここんとこ 夢を見る。 205 00:23:50,796 --> 00:23:59,305 夢の中で 女房が泣いてる。 許してくれと わびている。 206 00:23:59,305 --> 00:24:02,207 だが 現は 逆だ。 207 00:24:02,207 --> 00:24:07,413 「惚れた男と駆け落ちをして 後悔はない」と➡ 208 00:24:07,413 --> 00:24:11,283 そんなふうに言いやがる。 女房と 会ったのか? 209 00:24:11,283 --> 00:24:18,757 ちょいと のんびりしていてね 何をするにも 俺に伺いをたてる。 210 00:24:18,757 --> 00:24:23,062 昔は そんな女だったんだが…。 211 00:24:25,097 --> 00:24:31,970 お蝶みたいだな。 お蝶? そうか…。 212 00:24:31,970 --> 00:24:35,441 ハハハ… なるほどね。 213 00:24:35,441 --> 00:24:42,314 いや~ 道理で ここんとこ 夢の多いわけだ。 214 00:24:42,314 --> 00:24:51,457 俺のほうは 夢にも 出てこねえ。 俺は あいつの敵をとれなかった。 215 00:24:51,457 --> 00:24:58,764 もし夢に出てきたら… わびるのは 俺のほうだ。 女房に。 216 00:25:01,066 --> 00:25:03,002 どっちが いいのかね。 217 00:25:03,002 --> 00:25:06,872 お前さんみたいに 二度と会えねえのと➡ 218 00:25:06,872 --> 00:25:12,378 俺みたいに 会いたくもねえ姿を 見ちまうのと…。 219 00:25:14,079 --> 00:25:21,420 同じでやんしょう。 食べて 走って 寝るには変わりねえ。 220 00:25:21,420 --> 00:25:28,927 俺は 嫌だね。 しでかした奴と された奴が➡ 221 00:25:28,927 --> 00:25:34,433 同じ様で生きてるってのは ムシが好かねえ。 222 00:25:38,103 --> 00:25:43,809 お前さんだって 腹の底じゃ そう思ってるはずだ。 223 00:25:53,652 --> 00:26:00,426 許してくれ。 夢の中で あいつが泣く。 224 00:26:00,426 --> 00:26:06,064 許してやる。 俺が答える。 225 00:26:06,064 --> 00:26:15,073 分かったよ。 俺は あいつに 悔やんでほしかったんだ。 226 00:26:15,073 --> 00:26:25,384 俺から離れて 間違いだった。 ただ ひと言 戻りてえと…。 227 00:26:32,091 --> 00:26:38,797 言わねえなら… 言わせるまでだ。 228 00:26:47,639 --> 00:26:51,944 <それから 数日後の事です> 229 00:26:54,112 --> 00:26:58,450 来た来た 来た来た… いいかい。 今日一日 この店は 料理屋だ。 230 00:26:58,450 --> 00:27:01,420 何を聞かれても 余計な事 言うんじゃないよ! 231 00:27:01,420 --> 00:27:04,723 (一同)はい。 232 00:27:04,723 --> 00:27:06,725 来た! 233 00:27:08,594 --> 00:27:12,598 (女たちの悲鳴) 234 00:27:12,598 --> 00:27:17,736 <深川に お奉行所の手が 入りました> 235 00:27:17,736 --> 00:27:20,572 (女たちの悲鳴) 236 00:27:20,572 --> 00:27:24,076 (同心)お上のお手調べである。 神妙に致せ! 237 00:27:30,282 --> 00:27:34,119 (女主)畜生! 蝮! 何で 手入れ 教えなかった! 238 00:27:34,119 --> 00:27:40,926 吉原に いくら もらったんだい! あいにく 今度は 商売抜きでね。 239 00:27:44,096 --> 00:27:47,099 桔梗屋のご主人! 240 00:27:54,106 --> 00:27:58,777 お前さん…。(おちか)旦那! だから あれほど➡ 241 00:27:58,777 --> 00:28:01,380 こんな稼業から足を洗ってと 頼んだのに…。 242 00:28:01,380 --> 00:28:04,283 お願いでございます。 女房でございます。 243 00:28:04,283 --> 00:28:08,053 この人の代わりに どうぞ私を…。 あなたなんかに 何ができます!? 244 00:28:08,053 --> 00:28:12,925 控えろ! 女房? ただの飯炊きじゃないの!➡ 245 00:28:12,925 --> 00:28:16,228 旦那! 246 00:28:23,068 --> 00:28:39,418 ♬~ 247 00:28:39,418 --> 00:28:41,720 親分さん! 248 00:28:49,428 --> 00:28:53,131 (吉次)礼を言ってもらいてえな。 249 00:28:55,100 --> 00:28:59,705 お前を追い出し 若い女に走った亭主は 手鎖。 250 00:28:59,705 --> 00:29:04,876 お前を笑った女たちは 捕まったり 吉原へ やられたり。 251 00:29:04,876 --> 00:29:11,650 ざまあみろ 違うか? お前さん…。 252 00:29:11,650 --> 00:29:18,423 それだけじゃねえ。 縁切り寺まで 走らなくても➡ 253 00:29:18,423 --> 00:29:23,061 誰も お前と福松を 悪く言う奴は いねえ。 254 00:29:23,061 --> 00:29:28,734 惚れた男と添い遂げたい。 255 00:29:28,734 --> 00:29:33,405 お前の望みを かなえてやったんだ。 256 00:29:33,405 --> 00:29:39,077 礼ぐらい言われたって 罰は 当たるめえ。 257 00:29:39,077 --> 00:29:44,783 じゃあ これは お前さんが? 258 00:29:46,418 --> 00:29:49,755 手入れの日を知ってて わざと教えなかったね? 259 00:29:49,755 --> 00:29:52,791 言ったろ お前と一緒になる時。 260 00:29:52,791 --> 00:29:56,995 お前の好きなように させてやるって。 261 00:29:59,097 --> 00:30:02,401 そんな…。 262 00:30:10,442 --> 00:30:19,117 言ってみな。 俺のおかげで 晴れて 好き勝手 暮らせるんだ。 263 00:30:19,117 --> 00:30:22,454 言ってみろ。 264 00:30:22,454 --> 00:30:31,163 お前さんの おかげです。 お前さん すまないって。 265 00:30:33,465 --> 00:30:40,472 お前さん ひょっとして 私を まだ…。 言え! 266 00:30:44,109 --> 00:30:55,153 馬鹿… 馬鹿だよ…。 私を… 私なんかを…。 267 00:30:55,153 --> 00:30:58,156 勘違いするな! 268 00:31:01,426 --> 00:31:07,766 二度と 俺の前に 顔出すな。 269 00:31:07,766 --> 00:31:33,458 ♬~ 270 00:31:37,129 --> 00:31:41,133 (福松)帰ったよ。 お帰り!ご苦労さん。 271 00:31:43,001 --> 00:31:48,006 (福松)女将さん。 いらしてたんですか。 272 00:31:52,477 --> 00:31:57,349 福松。 この間 私があげた着物 どうした? 273 00:31:57,349 --> 00:32:01,586 その行李に。 結城なんざもらったって➡ 274 00:32:01,586 --> 00:32:04,389 俺が着ていくとこなんか ないですから。 275 00:32:10,095 --> 00:32:12,130 俺は また出ます。 276 00:32:12,130 --> 00:32:15,901 棟梁の女将さんが ご馳走してくれるっていうんで。 277 00:32:15,901 --> 00:32:22,440 なんだか奉公に出てる お嬢さんも 戻ってくるんだそうで…。➡ 278 00:32:22,440 --> 00:32:24,743 じゃあ…。 279 00:32:46,665 --> 00:33:04,950 (笑い声) 280 00:33:09,754 --> 00:33:12,090 吉次の様子が おかしい? 281 00:33:12,090 --> 00:33:16,761 はい。 身づくろいも また元どおりに。 282 00:33:16,761 --> 00:33:21,933 実は 何日か前に 思いきって 義兄さんに話しました。 283 00:33:21,933 --> 00:33:25,770 悪い女じゃないと 辰吉親分から伺ったもので…。 284 00:33:25,770 --> 00:33:30,642 もし そのつもりがあるなら 店で働いてもらえないかと…。 285 00:33:30,642 --> 00:33:37,115 岡場所から 女を? はい。 実は こいつが…。 286 00:33:37,115 --> 00:33:42,621 兄さん… そういう人がいれば 少しは変わるんじゃないかって。 287 00:33:42,621 --> 00:33:46,491 兄さんのためかい? 違います! 288 00:33:46,491 --> 00:33:50,695 これ以上 兄さんの面倒なんて…。 (菊松)義兄さん! 289 00:33:56,801 --> 00:34:00,238 いらしてたんですか…。 出かけるのかい? 290 00:34:00,238 --> 00:34:03,041 いえ ちょいと…。 291 00:34:06,044 --> 00:34:12,417 ああ 菊松。はい! この間の話だが…。はい。 292 00:34:12,417 --> 00:34:15,754 聞いてみるよ。 えっ。 293 00:34:15,754 --> 00:34:18,790 俺も いつまでも 居候は できねえしな。 294 00:34:18,790 --> 00:34:21,927 いえ 義兄さんには ずっと いてもらって…。 295 00:34:21,927 --> 00:34:25,130 そうもいくめえ。 296 00:34:30,435 --> 00:34:32,370 失礼いたしやす。 297 00:34:32,370 --> 00:34:35,073 おきわ これ 流しにな。 298 00:34:36,775 --> 00:34:40,078 よかったじゃねえかよ。 299 00:34:46,451 --> 00:34:49,788 (久作)親分さん お蝶は 店 替わりましたよ。 300 00:34:49,788 --> 00:34:54,659 いねえ? ご存じだとばっかり…。 301 00:34:54,659 --> 00:34:57,462 いえね いきなりだったもんで➡ 302 00:34:57,462 --> 00:35:01,466 あっしは てっきり 親分さんの肝いりかと…。 303 00:35:07,072 --> 00:35:09,374 いらっしゃい。 304 00:35:10,942 --> 00:35:16,414 旦那! お蝶… お前…。 305 00:35:16,414 --> 00:35:19,751 元の店が また商売を始めたって聞いて。 306 00:35:19,751 --> 00:35:25,423 なぜ知らせなかった? 女将さんが まだ いいと。 307 00:35:25,423 --> 00:35:27,726 (おみつ)おや いらっしゃい。 308 00:35:32,297 --> 00:35:36,768 お蝶。 若旦那が お待ちだよ。 早く行っておあげ。 309 00:35:36,768 --> 00:35:41,473 はい 女将さん。 じゃあ 親分さん。 310 00:35:44,109 --> 00:35:49,447 おかげさまで お蝶には よい お客が つくんです。 311 00:35:49,447 --> 00:35:53,284 一見 商売抜きに見えるところが よろしいんでしょうね。 312 00:35:53,284 --> 00:35:59,457 さすが 見込んだだけの事はある。 一番の稼ぎ頭だ。 313 00:35:59,457 --> 00:36:04,729 どういう事だ? 亭主は 手鎖になっちまうし➡ 314 00:36:04,729 --> 00:36:09,067 店は つぶれるし… 自分で 稼ぐしかないじゃありませんか。 315 00:36:09,067 --> 00:36:14,939 金は どうした?少々ですが 蓄えも ございましたんで…。 316 00:36:14,939 --> 00:36:18,643 そういう事か…。 317 00:36:23,415 --> 00:36:27,752 最初から それが狙いか? 318 00:36:27,752 --> 00:36:32,624 亭主を主に立てて 手入れの時 捕まえさせる。 319 00:36:32,624 --> 00:36:35,627 てめえは かわいそうな飯炊き女を装い➡ 320 00:36:35,627 --> 00:36:42,634 亭主が 手鎖の間に 隠した金を 総取りか? 321 00:36:44,302 --> 00:36:55,447 やるじゃねえか。 お前が そういう女とは 知らなかったよ。 322 00:36:55,447 --> 00:37:00,285 お前さんが 知らなかっただけさ。 323 00:37:00,285 --> 00:37:05,256 自分がついててやらないと 何にもできない女だと➡ 324 00:37:05,256 --> 00:37:09,260 そっちが 勝手に 思い込んでただけさ。 325 00:37:15,400 --> 00:37:22,273 ならば… 話が早えや。 326 00:37:22,273 --> 00:37:26,111 俺も 近ごろ 忘れっぽくなってな。 327 00:37:26,111 --> 00:37:31,416 手入れの日を 何度聞かれても 思い出せねえ時がある。 328 00:37:31,416 --> 00:37:35,587 なんとか 忘れねえようにしねえとな。 329 00:37:35,587 --> 00:37:38,790 あんたの欲しいものは ここには ないよ。 330 00:37:40,758 --> 00:37:44,262 まだ分からないのかい? 331 00:37:44,262 --> 00:37:48,767 あんたは きれいなものが 見たいんだ。 332 00:37:48,767 --> 00:37:52,270 暴いても 暴いても 裏のないもの。 333 00:37:52,270 --> 00:37:56,774 苦しめても 苦しめても 裏切らないもの…。 334 00:37:56,774 --> 00:37:58,810 どういう意味だ? 335 00:37:58,810 --> 00:38:05,216 あんたは 一度だって 私に惚れた事なんか なかったよ。 336 00:38:05,216 --> 00:38:11,022 あんたは ただ… 一途ってやつに あこがれてただけだ。 337 00:38:11,022 --> 00:38:28,740 ♬~ 338 00:38:28,740 --> 00:38:31,543 確かに…。 339 00:38:36,080 --> 00:38:43,087 お前こそ どうなんだ? 私? 340 00:38:45,423 --> 00:38:51,763 惚れて惚れて 惚れぬいた男。 お前こそ 一度だって➡ 341 00:38:51,763 --> 00:38:54,666 そういう男と 会った事があるのかい? 342 00:38:54,666 --> 00:39:08,546 ♬~ 343 00:39:08,546 --> 00:39:11,049 蝮! 344 00:39:17,722 --> 00:39:20,024 ああ! 345 00:39:26,064 --> 00:39:29,934 女将さん! 大事ないですか!? 346 00:39:29,934 --> 00:40:00,431 ♬~ 347 00:40:00,431 --> 00:40:02,767 いつも ごひいきに ありがとうございます。 348 00:40:02,767 --> 00:40:07,105 きよさん いつもきれいだね。 おそばしか出しませんよ。 349 00:40:07,105 --> 00:40:09,407 何しましょう! 350 00:40:16,781 --> 00:40:18,816 うわ! わっ! 351 00:40:18,816 --> 00:40:21,653 旦那! あれほど やるなって 言ったのに➡ 352 00:40:21,653 --> 00:40:24,522 栗を まぜたね! いいじゃねえか。 353 00:40:24,522 --> 00:40:27,959 芋も 栗も似たようなもんだ。 どこが似てるんだい! 354 00:40:27,959 --> 00:40:30,862 はぜたら 葉が 散るだろ。 芋が 驚くだろ? 355 00:40:30,862 --> 00:40:33,631 芋は 驚かねえよ。 (佐七)うわ~っ! 356 00:40:33,631 --> 00:40:38,803 ほら ほら 見ろ。 うお~!何だ そんなに 驚いて。 357 00:40:38,803 --> 00:40:42,140 (笑い声) 何だよ その格好は。 358 00:40:42,140 --> 00:40:44,809 お前のほうが 驚いてる。 359 00:40:44,809 --> 00:40:56,421 (言い合う声) 360 00:40:56,421 --> 00:41:12,236 ♬~ 361 00:41:17,709 --> 00:41:20,445 今年 最後の富くじか…。 362 00:41:20,445 --> 00:41:23,348 これは 当たるぞ。 当たる! 363 00:41:23,348 --> 00:41:26,117 病に倒れて 富くじに溺れた男が➡ 364 00:41:26,117 --> 00:41:29,787 お前に 一体 何してくれるって言うの! 365 00:41:29,787 --> 00:41:32,090 <次回は…> 366 00:41:33,658 --> 00:41:37,128 <どうぞお楽しみに> 367 00:41:37,128 --> 00:42:54,839 ♬~