1 00:00:06,740 --> 00:00:16,884 (悲鳴) 2 00:00:16,884 --> 00:00:19,786 (辰吉)よせ! あ~っ! あ~っ! 3 00:00:19,786 --> 00:00:25,392 離せ! あいつは 俺の女房を 殺したんだ! 4 00:00:25,392 --> 00:00:28,896 離せ! 離せ! 離せ! 5 00:00:28,896 --> 00:00:31,932  回想 離せ! やっと 見つけたんだ! 離せ! 6 00:00:31,932 --> 00:00:36,770 (慶次郎)殺すな! 離せ! 離せ! 7 00:00:36,770 --> 00:00:41,241 (皐月)<晃之助様の お手先 辰吉さんは➡ 8 00:00:41,241 --> 00:00:44,278 かつて 最愛の妻を殺され➡ 9 00:00:44,278 --> 00:00:49,783 その下手人を狙おうとして 舅殿に止められました> 10 00:00:54,588 --> 00:01:00,394 <以来20年 辰吉さんは 亡き人の面影と➡ 11 00:01:00,394 --> 00:01:06,867 敵を討てなかった 己への悔いを 胸に抱えて 生きております> 12 00:01:06,867 --> 00:01:17,878 ♬~ 13 00:01:17,878 --> 00:01:20,380 ⚟(戸が開く音) 14 00:01:32,426 --> 00:01:43,236 ♬~ 15 00:01:47,574 --> 00:01:50,577 (佐七)どうなすったね。 こんなに 早く。 16 00:01:54,448 --> 00:01:58,919 (吉次)浅草福井町の中宿で 主が殺されやした。➡ 17 00:01:58,919 --> 00:02:03,190 向かいの魚屋が 明け方 宿から走りだす 男と女を➡ 18 00:02:03,190 --> 00:02:06,893 見ておりやす。 その男ってのが…。 19 00:02:12,532 --> 00:02:14,868 (魚屋)親分さん? 20 00:02:14,868 --> 00:02:24,378 ♬~ 21 00:02:24,378 --> 00:02:26,380 うわっ! 22 00:02:28,248 --> 00:02:31,885 辰吉が? まさか 下手人だってのかい? 23 00:02:31,885 --> 00:02:35,555 北町の秋山様の手下が 辰吉を 追っておりやす。 24 00:02:35,555 --> 00:02:39,559 おっつけ 晃之助の旦那から お知らせが 参りましょう。 25 00:02:43,430 --> 00:02:46,733 (店主)八丁堀の旦那が 用だって…。 26 00:02:49,903 --> 00:02:52,606 (おぶん)旦那…。 27 00:02:56,243 --> 00:03:02,249 元気で やっているか? はい。 28 00:03:05,052 --> 00:03:10,357 辰吉のところに 時々 行っているそうだな? 29 00:03:17,864 --> 00:03:22,869 近ごろ 何か 辰吉に 変わった事は? 30 00:03:24,538 --> 00:03:32,279 変わった事? 知らない者や 女の出入り。 31 00:03:32,279 --> 00:03:37,884 親分さんに 何か? いや。 32 00:03:37,884 --> 00:03:41,188 教えて下さい。 何が あったんです? 33 00:04:07,514 --> 00:04:09,850 (おもん)一体 ここは どこなんだい? 34 00:04:09,850 --> 00:04:12,752 もう一息で 六郷の渡しだ。 行くぞ。 35 00:04:12,752 --> 00:04:19,526 待っとくれよ。 鼻緒が…。 急げ。 千助に捕まると 面倒だ。 36 00:04:19,526 --> 00:04:23,396 あんな事に なるなんて…。 37 00:04:23,396 --> 00:04:27,868 どうしよう…。 千助に見つかったら 私…。 38 00:04:27,868 --> 00:04:34,741 今度は 殺させねえ。え? 駆け込み寺までは まだある。 39 00:04:34,741 --> 00:04:37,043 行くぞ。 40 00:04:46,887 --> 00:04:51,191 お前…。 旦那。 41 00:04:53,760 --> 00:04:58,899 浅草で 人殺しがあって 親分さんが 疑われてるって。 42 00:04:58,899 --> 00:05:03,737 一緒にいる女ってのは あの女ですか? 43 00:05:03,737 --> 00:05:06,740 心当たりが あるのか? 44 00:05:10,177 --> 00:05:12,479 ゆうべ…。 45 00:05:14,347 --> 00:05:17,851  回想 これ… 女将さんが。 46 00:05:20,520 --> 00:05:24,191 「ここへは あまり来るな」と 言ったろう。 47 00:05:24,191 --> 00:05:26,493 どうした? 48 00:05:28,061 --> 00:05:30,864 藤沢から 知らせが。 49 00:05:30,864 --> 00:05:33,900 お父っつぁんが 近ごろ 目も弱くなって➡ 50 00:05:33,900 --> 00:05:37,737 自棄になってるって…。 分かった。 後で 店に行く。 51 00:05:37,737 --> 00:05:41,208 悪いが ちょいと 取り込んでる最中でな。 52 00:05:41,208 --> 00:05:43,510 ⚟(おもん)誰だい? 53 00:05:46,079 --> 00:05:50,884 おや まあ。 かわいい娘さんだこと。 54 00:05:50,884 --> 00:05:55,222 ありがとう。 お前さん 何 やってるの? 55 00:05:55,222 --> 00:05:59,392 かわいそうに。 ひどく寒そうじゃないか。 56 00:05:59,392 --> 00:06:04,364 早く 行きな。 白湯の一杯ぐらい いいだろう。 57 00:06:04,364 --> 00:06:06,100 ごめんね こんな調子で。 58 00:06:06,100 --> 00:06:10,036 昔から この人 気が利かないっていうか。 59 00:06:10,036 --> 00:06:14,741 おもん。 なんだい お前さん。 60 00:06:19,179 --> 00:06:27,187 親分さんは… 気遣いの細やかな 優しい方です。 61 00:06:30,790 --> 00:06:35,095 まさか… あの女の事で親分さん…。 62 00:06:37,197 --> 00:06:41,868 辰は 人は殺さねえ。 でも…。 63 00:06:41,868 --> 00:06:47,741 あいつが殺してえのは… この世に 2人しかいねえ。 64 00:06:47,741 --> 00:06:50,877 2人? 65 00:06:50,877 --> 00:06:53,179 早く 店へ帰んな。 66 00:06:57,751 --> 00:07:00,320 2人…。 67 00:07:00,320 --> 00:07:03,823 皐月! 皐月! 68 00:07:05,492 --> 00:07:09,329 お帰りなさいませ。 着替えを。 すぐ出かける。 69 00:07:09,329 --> 00:07:11,831 しばらく 留守にするかもしれん。 70 00:07:11,831 --> 00:07:14,334 辰吉は 品川のほうへ 向かったらしい。 71 00:07:14,334 --> 00:07:17,671 なんとしても 北町より先に 子細を聞かねば…。 72 00:07:17,671 --> 00:07:21,474 義父上様が お見えです。 蝮さんも…。 73 00:07:24,844 --> 00:07:28,715 (吉次)おもんってのは 辰吉が 無頼の暮らしをしていたころ➡ 74 00:07:28,715 --> 00:07:33,186 一緒に暮らしてた女でしてね。 昔の女か。 75 00:07:33,186 --> 00:07:39,359 けんかで死んだ弟分の妹で 兄貴代わりに 面倒をみてた。 76 00:07:39,359 --> 00:07:43,196 ところが 辰吉は おたかと出会って➡ 77 00:07:43,196 --> 00:07:45,131 おたかに 惚れた。 78 00:07:45,131 --> 00:07:49,069 それを知って おもんは 黙って 家を出た。 79 00:07:49,069 --> 00:07:53,373 それが なぜ 今ごろ…。 辰吉に捨てられて…➡ 80 00:07:53,373 --> 00:07:56,876 あちこち 巡ったあげく 一緒になったのが➡ 81 00:07:56,876 --> 00:07:59,779 千助という油売りでしてね。 82 00:07:59,779 --> 00:08:03,149 (千助)馬鹿野郎! (悲鳴) 83 00:08:03,149 --> 00:08:06,820 (吉次)この千助ってのが ちょいと やっかいな野郎で…。➡ 84 00:08:06,820 --> 00:08:09,322 惚れてるといや 聞こえはいいが➡ 85 00:08:09,322 --> 00:08:14,127 男との仲を 勘ぐっちゃ おもんを殴る。 86 00:08:19,833 --> 00:08:24,504 (吉次)耐えかねて おもんが 駆け込んだ先が…。 87 00:08:24,504 --> 00:08:26,439 辰吉か…。 88 00:08:26,439 --> 00:08:31,177 十手持ちになったと どこかで耳にしたんでやんしょう。 89 00:08:31,177 --> 00:08:35,849 痣だらけの女が たびたび 泣きながら 訴えに来ていたと➡ 90 00:08:35,849 --> 00:08:39,352 長屋の連中も 見ておりやす。 91 00:08:39,352 --> 00:08:42,856 「駆け込み寺まで 連れてってくれ」と。 92 00:08:42,856 --> 00:08:45,759 駆け込み寺? 93 00:08:45,759 --> 00:08:50,363 <駆け込み寺というのは 鎌倉にある 東慶寺という➡ 94 00:08:50,363 --> 00:08:54,868 お寺でございます。 離縁を承知しない夫から逃れ➡ 95 00:08:54,868 --> 00:08:59,706 そこへ 駆け込み 24か月の寺務めを果たせば➡ 96 00:08:59,706 --> 00:09:04,477 縁が切れ 離縁が認められると されておりました> 97 00:09:04,477 --> 00:09:17,190 ♬~ 98 00:09:19,492 --> 00:09:24,497 きれいねえ。 寒椿。 99 00:09:31,104 --> 00:09:34,107 おぶんさん? 100 00:09:38,845 --> 00:09:42,182 待って! 101 00:09:42,182 --> 00:09:44,884 おぶんさん。 102 00:09:54,194 --> 00:09:59,866 八千代といいます。 3つになりました。 103 00:09:59,866 --> 00:10:02,869 3つ…。 104 00:10:17,417 --> 00:10:22,255 何か 話したい事が あったのでしょう? 105 00:10:22,255 --> 00:10:25,892 それで みえたのでしょ? 106 00:10:25,892 --> 00:10:30,063  回想 人の女房 寝取っておいて なにが 十手持ちだ! 107 00:10:30,063 --> 00:10:31,998 おもんとは 何もねえ。 108 00:10:31,998 --> 00:10:34,901 お前が 昔 おもんと いい仲だったって事はな➡ 109 00:10:34,901 --> 00:10:36,836 こちとら とっくに 承知なんだよ! 110 00:10:36,836 --> 00:10:42,575 およし! どこやった? おもん どこやったんだ? 111 00:10:42,575 --> 00:10:45,578 知らねえって言ってんだろう。 112 00:10:48,381 --> 00:10:50,316 必ず おもんを見つける。 113 00:10:50,316 --> 00:10:53,219 その時は お前も ただじゃおかねえ。 114 00:10:53,219 --> 00:10:55,154 覚えてやがれ! 115 00:10:55,154 --> 00:10:59,125 どけ! どけ! 116 00:10:59,125 --> 00:11:01,861 なんでもねえよ。 117 00:11:01,861 --> 00:11:06,032 (吉次)こりゃ 中宿の殺しも 千助がらみでやんすかね。 118 00:11:06,032 --> 00:11:09,903 辰吉が 危ない。 俺が行こう。 119 00:11:09,903 --> 00:11:14,741 辰吉は 私の手先です。 始末は 私が つける。 120 00:11:14,741 --> 00:11:16,743 千助だけじゃねえ。 121 00:11:16,743 --> 00:11:21,047 北町の連中も 辰吉を 下手人で追っておりやす。 122 00:11:21,047 --> 00:11:25,885 千助と お奉行所 両方が 辰吉さんを? 123 00:11:25,885 --> 00:11:29,756 なぜ逃げた? 身の証しを立てずに 去れば➡ 124 00:11:29,756 --> 00:11:33,226 疑われるだけではないか! 125 00:11:33,226 --> 00:11:37,564 立ち去ったのは おもんのためだろう。 126 00:11:37,564 --> 00:11:40,900 千助から おもんを守り➡ 127 00:11:40,900 --> 00:11:45,071 駆け込み寺に 送り届けるが先と 腹をくくったんだろう。 128 00:11:45,071 --> 00:11:47,907 なぜ? 129 00:11:47,907 --> 00:11:53,780 敵討ちでござんすか? ほんの20年遅れの…。 130 00:11:53,780 --> 00:11:59,786 敵? 敵…。 131 00:12:04,857 --> 00:12:08,728 千助は 2人を狙ってるに違えねえ。 132 00:12:08,728 --> 00:12:14,367 急がねえと 2人が危ねえ。 義父上! 133 00:12:14,367 --> 00:12:18,571 これは 俺が見届ける。 134 00:12:23,876 --> 00:12:26,179 ⚟(おぶん)旦那! 135 00:12:33,553 --> 00:12:39,225 私を…。 私も連れていって下さい! 136 00:12:39,225 --> 00:12:54,574 ♬~ 137 00:12:54,574 --> 00:12:58,911 今日中に 川崎に渡り 鎌倉道に入る。 138 00:12:58,911 --> 00:13:01,814 もう 一歩も歩けやしないよ。 139 00:13:01,814 --> 00:13:04,517 駆け込み寺へ行くと言ったのは お前だろう。 140 00:13:04,517 --> 00:13:07,220 そうだけど…。 141 00:13:08,855 --> 00:13:16,529 中宿の話だが…。 下手人なら 見てないよ。 142 00:13:16,529 --> 00:13:21,200 明け方近くに 下で音がして お前さんかなって思ったら➡ 143 00:13:21,200 --> 00:13:26,539 「金を よこせ」って…。 押し込みか? 144 00:13:26,539 --> 00:13:31,377 もう怖くて。 無我夢中で 隠れて…。 145 00:13:31,377 --> 00:13:33,880 お前さんが来た途端 辛抱できなくなって➡ 146 00:13:33,880 --> 00:13:38,751 飛び出したんだ。 男は 千助じゃなかったんだな? 147 00:13:38,751 --> 00:13:41,754 だから 見てないって 言ってるだろ。 148 00:13:46,893 --> 00:13:51,064 ごめんよ。 駆け込み寺まで 無理に つきあわせるのは➡ 149 00:13:51,064 --> 00:13:54,567 私のほうだったね。 いや…。 150 00:13:54,567 --> 00:13:58,905 お前は 必ず鎌倉まで連れていく。 151 00:13:58,905 --> 00:14:01,607 誰にも 殺させねえ。 152 00:14:10,183 --> 00:14:12,852 あそこに あの人が! 153 00:14:12,852 --> 00:14:16,189 この辺りです! (役人)ぬかるな! 154 00:14:16,189 --> 00:14:20,059 (役人)あっちだ! 155 00:14:20,059 --> 00:14:22,528 (店主)いらっしゃいませ。 さあ どうぞ。 156 00:14:22,528 --> 00:14:24,864 行くぞ。 157 00:14:24,864 --> 00:14:59,866 ♬~ 158 00:15:10,843 --> 00:15:16,182 (店主)いらっしゃいませ。 すまねえ 部屋を…。 159 00:15:16,182 --> 00:15:18,117 込み合っております。 160 00:15:18,117 --> 00:15:22,054 あいにく ほかのお客様と 相部屋となりますが…。 161 00:15:22,054 --> 00:15:28,761 娘さんですか? 親子水入らずの旅 よろしゅうございますなあ。 162 00:15:30,730 --> 00:15:33,733 お客様ですよ~! 163 00:15:33,733 --> 00:15:41,874 <おぶんの父 常蔵に乱暴されて 義父上様の一人娘 三千代様は➡ 164 00:15:41,874 --> 00:15:45,578 自ら お命を断たれました> 165 00:16:06,499 --> 00:16:12,805 お前さんと 親子に思われようとはな。 166 00:16:16,509 --> 00:16:19,412 すいません! 167 00:16:19,412 --> 00:16:24,717 よりによって お嬢様に間違えられるなんて…。 168 00:16:27,520 --> 00:16:32,825 すいません わがまま言って ついてきてしまって…。 169 00:16:35,862 --> 00:16:44,170 辰とは いつも そんなふうかい? 謝ってばかりじゃねえか。 170 00:16:50,209 --> 00:16:53,513 分からないんです。 171 00:16:56,549 --> 00:17:04,824 もう ずっと 私… 気づいた時から そう言って 暮らしてきたから…。 172 00:17:04,824 --> 00:17:12,532 心から すまないと思ってるのか ただ言ってるだけなのか もう…。 173 00:17:15,468 --> 00:17:19,839 いくつになった? 174 00:17:19,839 --> 00:17:22,508 19。 175 00:17:22,508 --> 00:17:32,518 ♬~ 176 00:17:32,518 --> 00:17:37,690 <三千代様が亡くなられたのは 18歳の冬でした。➡ 177 00:17:37,690 --> 00:17:42,528 その時 三千代様は 晃之助様との祝言を➡ 178 00:17:42,528 --> 00:17:46,232 間近に控えていたのでございます> 179 00:17:49,201 --> 00:17:53,039 中宿から 千助が? (伍助) 夜更けに出ていくところを➡ 180 00:17:53,039 --> 00:17:56,876 夜鳴き蕎麦屋が 見ております。 宿の主を刺した匕首も➡ 181 00:17:56,876 --> 00:18:00,846 まだ見つからねえらしい。 それも千助が持ったままか? 182 00:18:00,846 --> 00:18:03,683 北町の下っ引き連中 決して しゃべらねえ。 183 00:18:03,683 --> 00:18:07,520 つきまとって なだめすかして ようやく聞き出しやした。 184 00:18:07,520 --> 00:18:10,823 よくやった。 185 00:18:10,823 --> 00:18:13,526 ありがとうございます。 186 00:18:16,495 --> 00:18:22,168 支度は できております。 すぐ 発たれますか?ああ。 187 00:18:22,168 --> 00:18:33,179 ♬~ 188 00:18:33,179 --> 00:18:35,514 (辰吉) 追っ手に 先 川を渡らせる。➡ 189 00:18:35,514 --> 00:18:38,351 さきざきで見つからなければ ほかを捜せろ。 190 00:18:38,351 --> 00:18:42,021 その間に 押し込みが お縄になるかもしれねえ。 191 00:18:42,021 --> 00:18:45,524 鎌倉に着くのは 遅れるが…。 192 00:18:45,524 --> 00:18:54,834 いいよ お前さんと一緒なら。 よしな。 193 00:18:57,136 --> 00:19:02,808 あの時と一緒だね。 「よしな」。 194 00:19:02,808 --> 00:19:06,479 お前さんに 女が できた。 すぐ分かったよ。 195 00:19:06,479 --> 00:19:11,817 おたかの話は するな。 私がしたいんだよ。 196 00:19:11,817 --> 00:19:18,691 あの時 私が 引かなかったら どうなってたんだろうねえ。 197 00:19:18,691 --> 00:19:21,827 お前さんは おたかを 諦めて➡ 198 00:19:21,827 --> 00:19:26,699 そのせいで 私は もっと うとまれて…。 199 00:19:26,699 --> 00:19:29,702 でも そうなったら お前さん➡ 200 00:19:29,702 --> 00:19:33,539 女房は 死なずにすんだかもしれないね。 201 00:19:33,539 --> 00:19:38,277 表 見てくる。駆け込み寺までは つきあってもらうよ。 202 00:19:38,277 --> 00:19:42,848 守ってもらうよ。 お前さんじゃなきゃ駄目なんだ。 203 00:19:42,848 --> 00:19:46,852 あの おたかって女も…。 おたかの話 するな! 204 00:20:30,229 --> 00:20:32,164  回想 (辰吉)旦那! 205 00:20:32,164 --> 00:20:36,402 死んじまえ! お父っつぁんなんか死んじまえ。 206 00:20:36,402 --> 00:20:39,905 旦那! 旦那は 鬼か!? 207 00:20:46,579 --> 00:20:48,514 お前…。 208 00:20:48,514 --> 00:20:51,817 私が こっちで寝ますから。 209 00:20:57,223 --> 00:21:03,062 旦那は お部屋で…。 そんなんじゃねえや。 210 00:21:03,062 --> 00:21:06,365 思い事していただけだ。 211 00:21:20,045 --> 00:21:23,849 足を さすってなすったから。 212 00:21:27,786 --> 00:21:31,490 お父っつぁんには 会ってるのか? 213 00:21:33,225 --> 00:21:40,232 親分さんが 「顔だけは 出してやれ」って。そうか。 214 00:21:46,572 --> 00:21:52,244 2人…。 なんだ? 215 00:21:52,244 --> 00:21:58,584 「親分は 人を殺さない」。 旦那 そう言いましたよね? 216 00:21:58,584 --> 00:22:02,454 「あいつは 殺さない。 あいつが 殺したいのは➡ 217 00:22:02,454 --> 00:22:05,758 この世に 2人しかいない」。 218 00:22:08,260 --> 00:22:14,066 2人って… 誰ですか? 219 00:22:19,538 --> 00:22:25,211 あいつには 女房がいた。 20年前だ。 220 00:22:25,211 --> 00:22:31,884 惚れて… 惚れて一緒になった女だった。 221 00:22:31,884 --> 00:22:37,556 辰は 変わった。 悪い仲間から 足を洗って➡ 222 00:22:37,556 --> 00:22:41,260 堅気の塩売りになった。 223 00:22:45,898 --> 00:22:47,833  回想 こら! 224 00:22:47,833 --> 00:22:51,136 しばらくは 幸せな暮らしが続いた。 225 00:22:52,771 --> 00:22:57,509 だが おたかって その女房には 男がいた。 226 00:22:57,509 --> 00:23:01,847 おたかに 手をつかれ 一度は 手放したが…➡ 227 00:23:01,847 --> 00:23:06,518 やはり 諦めきれなかったんだろうな。 228 00:23:06,518 --> 00:23:09,855  回想 (おたか)「安心おし」と 言ってるだろ。➡ 229 00:23:09,855 --> 00:23:13,192 あの男なら 私が きっぱり ケリをつけたんだ。 230 00:23:13,192 --> 00:23:17,696 今更 何も言わせないさ。 だけど 昔の仲間が➡ 231 00:23:17,696 --> 00:23:19,632 男が お前 つけ狙ってるって。 232 00:23:19,632 --> 00:23:26,138 昔の仲間と私と どちらの言う事を 信じるんだい?おたか…。 233 00:23:27,873 --> 00:23:36,548 さ 行っといで! いい男だねえ。 234 00:23:36,548 --> 00:23:38,851 行ってくら。 235 00:23:47,893 --> 00:23:51,230 (辰吉)おたか! 236 00:23:51,230 --> 00:24:00,039 ♬~ 237 00:24:00,039 --> 00:24:05,744 おたか… おたか…。 238 00:24:05,744 --> 00:24:12,851 おたか… おたか… おたか…。 239 00:24:12,851 --> 00:24:20,526 惚れた女房を 守りきれなかった。 辰吉は 己を憎んだ。 240 00:24:20,526 --> 00:24:25,397 朝も昼も晩も 辰吉は 男を捜した。 241 00:24:25,397 --> 00:24:31,870 捜して 捜して やっと そいつを見つけた。 242 00:24:31,870 --> 00:24:34,173 だが…。 243 00:24:47,886 --> 00:24:50,923 殺すな!離せ! 殺すな! 244 00:24:50,923 --> 00:24:53,559 離せ! やっと 見つけたんだ! 245 00:24:53,559 --> 00:24:59,832 離せ! 殺すな!離せ! 離せ! 離せ! 246 00:24:59,832 --> 00:25:08,006 男は お縄になった。 辰吉は 男を殺せなかった。 247 00:25:08,006 --> 00:25:14,780 20年…。 あいつは いまだに 男を憎んでる。 248 00:25:14,780 --> 00:25:21,487 殺せなかった 己を 許せねえでいる。 そして…。 249 00:25:23,188 --> 00:25:26,892 (おぶん)止めた旦那を憎んでいる。 250 00:25:29,528 --> 00:25:35,200 親分が殺したいのは おかみさんを殺した男だ。 251 00:25:35,200 --> 00:25:37,503 そして…。 252 00:25:41,974 --> 00:25:46,712 敵討ちを止めた 旦那だ。 253 00:25:46,712 --> 00:25:49,214 そうだ。 254 00:25:51,550 --> 00:25:55,421 旦那も…。 255 00:25:55,421 --> 00:26:00,159 私のお父っつぁんを 憎んでいる。 256 00:26:00,159 --> 00:26:08,834 お父っつぁんを救った… 辰吉親分を 憎んでいる。 257 00:26:08,834 --> 00:26:23,849 ♬~ 258 00:26:23,849 --> 00:26:29,521 <義父上様と 辰吉さんは それぞれの敵を殺さぬように➡ 259 00:26:29,521 --> 00:26:33,525 互いを 封じ合って 生きております> 260 00:26:45,871 --> 00:26:49,708 岡っ引き連中が 舟に乗った。 様子を見て 後から発つ。 261 00:26:49,708 --> 00:26:52,211 それまで ほかへ移るぞ。 262 00:26:58,884 --> 00:27:06,325 お前さん…。 寒い夜でしたよ 独り身にゃ…。 263 00:27:06,325 --> 00:27:10,496 そちらは さぞかし 暖かかった事だろうが…。 264 00:27:10,496 --> 00:27:13,832 おもんと俺は 何もねえ。 そう言ってんだろうが。 265 00:27:13,832 --> 00:27:16,735 殺してやる! よしとくれ! 266 00:27:16,735 --> 00:27:18,704 よせ! 267 00:27:18,704 --> 00:27:22,407 間男に そんな事言われる 筋合いは ねえ! 268 00:27:40,526 --> 00:27:45,397 殺してやる! 殺させねえ! 269 00:27:45,397 --> 00:28:20,165 ♬~ 270 00:28:20,165 --> 00:28:22,868 蝮…。 271 00:28:31,176 --> 00:28:35,514 勘違いするんじゃねえ。 俺の目当ては こいつでねえ。 272 00:28:35,514 --> 00:28:39,217 これは 北町の捕り物だ。 273 00:28:57,769 --> 00:29:00,072 おもん。 274 00:29:18,490 --> 00:29:22,160 お前…。 275 00:29:22,160 --> 00:29:26,832 なぜだ? なぜ? 276 00:29:26,832 --> 00:29:32,704 千助は もう いない。 俺は お前を守ったじゃないか。 277 00:29:32,704 --> 00:29:39,177 守った? お前さんは 私を 守ったんじゃないよ。 278 00:29:39,177 --> 00:29:42,881 20年前の おたかを 守ったんだ。 279 00:29:44,850 --> 00:29:49,187 私を使って てめえの重荷から 逃げようとしただけだ。 280 00:29:49,187 --> 00:29:54,860 おたか もういない。 20年前に 死んだんだ。 殺されたんだ! 281 00:29:54,860 --> 00:29:59,531 それだ。 その顔が 気に入らねえんだ。 282 00:29:59,531 --> 00:30:03,035 自分ばっかり つらい目に遭ったと 思ってやがる。 283 00:30:03,035 --> 00:30:08,206 殺されただって? じゃあ お前さんは➡ 284 00:30:08,206 --> 00:30:11,910 今まで 誰も 殺さなかったとでも 言うのかい? 285 00:30:13,879 --> 00:30:17,716 お前さんだって 殺したじゃないか! 286 00:30:17,716 --> 00:30:23,221 20年前… 私の ここを! 287 00:30:37,569 --> 00:30:40,572 お前さんも…。 288 00:30:43,909 --> 00:30:47,779 おぶん! どけ! 289 00:30:47,779 --> 00:30:54,486 そうかい。 今度は お前さんかい。 290 00:30:56,254 --> 00:31:02,060 いいさ 望みどおり…。 よっ! 291 00:31:02,060 --> 00:31:05,363 よせ! 離せ! 292 00:31:05,363 --> 00:31:07,399 殺すな! 離せ! 293 00:31:07,399 --> 00:31:10,402 殺すな 生きろ! 294 00:31:16,074 --> 00:31:19,544 おもん…。 295 00:31:19,544 --> 00:31:23,849 おもん 俺は…。 謝るんじゃないよ。 296 00:31:33,091 --> 00:31:36,094 歩けるかい? 297 00:31:36,094 --> 00:32:52,404 ♬~ 298 00:32:52,404 --> 00:32:58,076 ず~っと 張ってたんすよ。 (秋山)辰吉をか? 299 00:32:58,076 --> 00:33:04,349 案の定 おもんを 中宿へ 送ってゆくのに出くわしましてね。 300 00:33:04,349 --> 00:33:08,687 寝静まったのを 見計らって 宿 行った。 301 00:33:08,687 --> 00:33:13,358 俺と おもんの諍えに 主が しゃしゃり出やがって。 302 00:33:13,358 --> 00:33:17,028 お前 あの晩 おもんと 会ったのかい? 303 00:33:17,028 --> 00:33:21,867 旦那。 はずみだったんですよ。 刺しちまった後もね➡ 304 00:33:21,867 --> 00:33:24,202 すぐ 番屋へ 駆け込もうと 思ってたんだ。 305 00:33:24,202 --> 00:33:29,541 なのに あいつが 逃げろって。 306 00:33:29,541 --> 00:33:35,247 なぜ 千助を 逃がした? なぜだ? 307 00:33:38,550 --> 00:33:44,422 どうせ すぐ 捕まっちまうんだ。 だったら 最後に…➡ 308 00:33:44,422 --> 00:33:48,894 あの人と 旅に出たかった。 309 00:33:48,894 --> 00:33:54,232 守ってやる 殺させない。 310 00:33:54,232 --> 00:34:00,038 そんな事を 一日中 言われながら 駆け込み寺まで…。 311 00:34:00,038 --> 00:34:02,741 悔いは ないのか? 312 00:34:04,509 --> 00:34:12,517 あの時…。 しがみついた あの人の…。 313 00:34:14,185 --> 00:34:21,192 あれは 辰吉の昔と おんなじ匂いだった。 314 00:34:24,195 --> 00:34:27,899 いい道行きで ござんしたよ。 315 00:34:30,869 --> 00:34:35,540 おもんが? ああ 千助は 言われるままに➡ 316 00:34:35,540 --> 00:34:40,879 中宿を 飛び出したものの 自棄になったんだな。 317 00:34:40,879 --> 00:34:44,215 おもんを とられるぐらいなら お前たちを殺して➡ 318 00:34:44,215 --> 00:34:46,918 自分も 死のうと思った。 319 00:35:09,007 --> 00:35:11,810 むちゃしやがって。 320 00:35:16,514 --> 00:35:19,417 お前に 何かあったら➡ 321 00:35:19,417 --> 00:35:22,120 お父っつぁんに どう言やいいんだ。 322 00:35:25,190 --> 00:35:31,529 お父っつぁんなんか…。 私が死んだら ほっとするよ。 323 00:35:31,529 --> 00:35:38,837 私だって…。 ほかの誰かが死ぬより ずっと…。 324 00:35:41,873 --> 00:35:47,879 親分が いなくなったら 私…。 325 00:35:50,882 --> 00:35:54,586 私の事なんか 誰も…。 326 00:36:15,507 --> 00:36:37,529 ♬~ 327 00:36:37,529 --> 00:36:43,401 <お役目で 晃之助様は 残られ 3人が 戻ってこられたのは➡ 328 00:36:43,401 --> 00:36:47,205 すでに 日が落ちてからの事でした> 329 00:36:47,205 --> 00:37:21,840 ♬~ 330 00:37:21,840 --> 00:37:24,843 戻るのか…。 331 00:37:28,513 --> 00:37:33,184 朝が 早いから…。 332 00:37:33,184 --> 00:38:16,161 ♬~ 333 00:38:16,161 --> 00:38:20,865 外は… 雪だ。 334 00:38:26,504 --> 00:38:29,207 知ってる。 335 00:38:31,176 --> 00:38:37,849 店へは… 朝 ここから行け。 336 00:38:37,849 --> 00:39:19,858 ♬~ 337 00:39:38,176 --> 00:39:44,883 どうしたい? 火鉢の火 消えそうじゃないか。 338 00:39:48,186 --> 00:39:56,894 同じ荷物を背負った男がいた。 なんだい 藪から棒に…。 339 00:39:56,894 --> 00:40:03,034 やり直したくても 消せねえ 取り戻したくても 戻せねえ➡ 340 00:40:03,034 --> 00:40:08,239 そっくりおんなじもんを背負った 男のはずだった。 341 00:40:09,807 --> 00:40:14,545 ところが 今日 気づいたんだ。 342 00:40:14,545 --> 00:40:19,250 そいつは これから まだ 生きるんだ。 343 00:40:20,885 --> 00:40:28,192 俺には もう なにも増えねえ。 344 00:40:34,899 --> 00:40:39,771 残り火が まだ あるはずなんだが…。 345 00:40:39,771 --> 00:41:08,533 ♬~ 346 00:41:08,533 --> 00:41:14,539 <雪は 夜半まで 静かに降り積もりました> 347 00:41:17,875 --> 00:41:19,811 憎いか? まだ。 348 00:41:19,811 --> 00:41:24,549 ならば 最後までお通しなさいまし。 349 00:41:24,549 --> 00:41:26,484 どうぞ…。 350 00:41:26,484 --> 00:41:31,422 幸せになりたいという自分を 決して 恥じてはなりませぬ。 351 00:41:31,422 --> 00:41:33,725 <次回は…> 352 00:41:35,727 --> 00:41:37,762 <お楽しみに> 353 00:41:37,762 --> 00:42:54,472 ♬~