1 00:00:33,912 --> 00:00:39,350 (吽慶)氷ノ介は 我が息子 九郎にございます。 2 00:00:39,350 --> 00:00:44,222 (光圀)息子!? 親子だというのか? 3 00:00:44,222 --> 00:00:47,091 (氷ノ介) このように尽くした我らを取り囲み➡ 4 00:00:47,091 --> 00:00:50,862 息子を殺そうとしたのは 父上ではないか! 5 00:00:50,862 --> 00:00:54,165 九郎。 6 00:00:54,165 --> 00:00:56,165 やあ! 7 00:01:02,540 --> 00:01:04,576 うあ~! 8 00:01:04,576 --> 00:01:10,281 あやつの始末をつけるのは 私の役目でございますれば…。 9 00:01:10,281 --> 00:01:15,553 その役目 私にも背負わせてはくれぬか? 10 00:01:15,553 --> 00:01:20,553 吽慶殿の息子は わしが捕らえる。 11 00:01:23,428 --> 00:01:27,265 <徳川の世になって 50年余り。➡ 12 00:01:27,265 --> 00:01:32,003 ここ 江戸において 人命を最も奪う災いは➡ 13 00:01:32,003 --> 00:01:36,341 戦ではなく 大火事であった。➡ 14 00:01:36,341 --> 00:01:41,145 後に 水戸の黄門様と呼ばれることになる 徳川光圀は➡ 15 00:01:41,145 --> 00:01:45,350 異能の技を持つ隠密集団 拾人衆を率い➡ 16 00:01:45,350 --> 00:01:50,150 江戸の民を守るべく 人知れず奔走していた> 17 00:01:56,361 --> 00:02:00,531 (中山)錦 氷ノ介の一味と思われる 男の動きを つかみました。➡ 18 00:02:00,531 --> 00:02:04,402 松前屋にいた 顔に傷のある男。 19 00:02:04,402 --> 00:02:06,404 (両火房)あちらへ。 20 00:02:06,404 --> 00:02:08,406 (中山)「両火房」と名乗り➡ 21 00:02:08,406 --> 00:02:11,042 市中をうろつく浪人たちに 声をかけ➡ 22 00:02:11,042 --> 00:02:16,180 「極楽組」なる悪党一味に入らぬかと 誘っているようで。 23 00:02:16,180 --> 00:02:19,717 (罔両子)極楽組…。 なんと罰当たりな。 24 00:02:19,717 --> 00:02:26,057 その極楽組とやらを束ねておるのが 錦 氷ノ介かと。 25 00:02:26,057 --> 00:02:32,330 氷ノ介めが ご公儀を逆恨みし 同志を募っておるのでございましょう。 26 00:02:32,330 --> 00:02:35,833 誠に申し訳…。 吽慶殿。 27 00:02:35,833 --> 00:02:38,870 力をお貸しいただきたい。 28 00:02:38,870 --> 00:02:41,706 そんな… 光圀様 おやめください。 29 00:02:41,706 --> 00:02:46,144 私がお力になれるのであれば いかなることでも…。 30 00:02:46,144 --> 00:02:51,349 この寺に とどまっていてくだされ。 31 00:02:51,349 --> 00:02:55,849 囮になっていただきたいのです。 囮…。 32 00:02:57,855 --> 00:03:01,359 なるほど 承知いたしました。 33 00:03:01,359 --> 00:03:04,028 警護は 我らが務めまする。 34 00:03:04,028 --> 00:03:06,531 (了助)俺も吽慶さんを守る! 35 00:03:06,531 --> 00:03:08,831 お主は 黙っておれ。 36 00:03:12,336 --> 00:03:16,708 何とぞ。 ははっ! 37 00:03:16,708 --> 00:03:24,182 ♬~(笛) 38 00:03:24,182 --> 00:03:34,325 ♬~ 39 00:03:34,325 --> 00:03:36,260 (村岡)泰姫様。 40 00:03:36,260 --> 00:03:40,198 懐かしい京の菓子にござりまする。 41 00:03:40,198 --> 00:03:42,667 (泰姫)まあ。 42 00:03:42,667 --> 00:03:45,503 旦那様。 43 00:03:45,503 --> 00:03:51,008 これは? 京の里より送られてまいりました。 44 00:03:51,008 --> 00:03:55,513 そうか。 随分 いろいろと…。 45 00:03:55,513 --> 00:04:00,351 このお菓子は 吽慶殿に。 あ~…。 46 00:04:00,351 --> 00:04:04,689 お医者様を世話していただいたお礼です。 そうじゃな。 47 00:04:04,689 --> 00:04:08,860 旦那様には こちらを。 48 00:04:08,860 --> 00:04:12,530 うん? 49 00:04:12,530 --> 00:04:16,701 これは… 「東国紀行」ではないか! 50 00:04:16,701 --> 00:04:22,039 「中右記」「類聚歌合」「白氏文集」も! 51 00:04:22,039 --> 00:04:27,178 大火事で 旦那様の大事な書物も 焼けてしまいましたゆえ➡ 52 00:04:27,178 --> 00:04:31,482 近衛の縁者に写本を送るよう 頼んでいたのです。 53 00:04:31,482 --> 00:04:38,682 何より うれしい品じゃ。 泰 感謝するぞ。 いえ ようございました。 54 00:04:42,827 --> 00:04:49,133 父上様には 印籠を。 印籠? 55 00:04:49,133 --> 00:04:53,671 このところ 胃の腑の調子が悪いと 伺いましたので➡ 56 00:04:53,671 --> 00:04:57,542 京で評判の薬を取り寄せました。 57 00:04:57,542 --> 00:05:02,346 これに入れておけば いつでも おのみいただけます。 58 00:05:02,346 --> 00:05:05,683 それは かたじけない。 59 00:05:05,683 --> 00:05:11,856 泰は いつの間に 父上と そのように親しくなったのだ? 60 00:05:11,856 --> 00:05:15,693 さて… いつでしょう? 61 00:05:15,693 --> 00:05:18,529 (笑い声) 62 00:05:18,529 --> 00:05:25,169 泰には あの父上も太刀打ちできぬな。 (泰姫)ん? フフ…。 63 00:05:25,169 --> 00:05:56,869 (仏像を彫る音) 64 00:06:02,673 --> 00:06:05,373 なぜ泣いている? 65 00:06:08,479 --> 00:06:12,683 おとう…。 66 00:06:12,683 --> 00:06:16,183 俺のおとうに そっくりだ。 67 00:06:20,024 --> 00:06:23,027 これがか? 68 00:06:23,027 --> 00:06:39,810 ♬~ 69 00:06:39,810 --> 00:06:43,310 おとう…。 70 00:06:45,616 --> 00:06:49,120 お前の父親は? 71 00:06:49,120 --> 00:06:56,327 4つの頃 浅草で侍に殺された。 72 00:06:56,327 --> 00:07:01,132 殺された? 73 00:07:01,132 --> 00:07:06,003 おっかあは 俺を産んで すぐに死んじゃって…➡ 74 00:07:06,003 --> 00:07:12,203 俺は 無宿人の おとうに育てられた。 75 00:07:14,679 --> 00:07:19,517 すごく優しくて…➡ 76 00:07:19,517 --> 00:07:25,389 俺のことを おとうの神様仏様だって。 77 00:07:25,389 --> 00:07:27,858 (与惣次郎)神様仏様だ。 78 00:07:27,858 --> 00:07:31,295 抱いて寝てくれた顔は 覚えてる。 79 00:07:31,295 --> 00:07:33,995 そっくりだ。 80 00:07:39,036 --> 00:07:43,641 あの日も 浅草寺のお堂の下で寝てたんだ。 81 00:07:43,641 --> 00:07:48,980 そしたら 旗本奴たちが やって来て…➡ 82 00:07:48,980 --> 00:07:51,649 おとうを引きずり出した。 83 00:07:51,649 --> 00:07:57,822 (与惣次郎)あああ… あああ あ~!➡ 84 00:07:57,822 --> 00:08:01,492 おやめください! おやめください お侍様!➡ 85 00:08:01,492 --> 00:08:05,129 たとえ このような身に落ちぶれたとしても➡ 86 00:08:05,129 --> 00:08:09,667 命を惜しく思うことは 万人と同じでございます! 87 00:08:09,667 --> 00:08:16,367 そう言った おとうの声は 覚えてる。 88 00:08:18,009 --> 00:08:27,018 三吉おじさんと 逃げて 逃げて 朝戻ったら…➡ 89 00:08:27,018 --> 00:08:31,288 おとうは いなくて➡ 90 00:08:31,288 --> 00:08:34,788 血の跡だけが…。 91 00:08:37,628 --> 00:08:42,500 無宿人が侍に斬られても 誰も気にしやしない。 92 00:08:42,500 --> 00:08:49,106 吽慶さんみたいに 俺も 何年かかっても 国じゅうを旅してでも捜し出す。 93 00:08:49,106 --> 00:08:52,476 おとうを殺したやつらを。 94 00:08:52,476 --> 00:08:58,816 わしが歩んできた道はな 地獄をはう鬼の道だ。➡ 95 00:08:58,816 --> 00:09:02,119 よく考えろ。 96 00:09:02,119 --> 00:09:07,324 お前なら まだ 人の道を生きることを選べる。 97 00:09:07,324 --> 00:09:09,660 俺は それでも…! 98 00:09:09,660 --> 00:09:15,466 この仏様のおわす 蓮の台座は➡ 99 00:09:15,466 --> 00:09:20,838 これも「蓮のうてな」 というんだ。 100 00:09:20,838 --> 00:09:24,675 極楽往生した者は 皆 このうてなに➡ 101 00:09:24,675 --> 00:09:27,975 座ることができるという。 102 00:09:29,547 --> 00:09:35,086 わしは 死んでも極楽には行けぬ。 103 00:09:35,086 --> 00:09:38,386 蓮のうてなに座ることも ない。 104 00:09:41,792 --> 00:09:49,467 だがな 了助が天寿を全うしたら➡ 105 00:09:49,467 --> 00:09:54,972 お前のおとう… 父親と並んで➡ 106 00:09:54,972 --> 00:10:03,314 このうてなに… 蓮のうてなに座ってほしいのだ。 107 00:10:03,314 --> 00:10:10,514 お前は おとうの神様仏様なのであろう? 108 00:10:12,990 --> 00:10:15,493 吽慶さん…。 109 00:10:15,493 --> 00:10:29,840 ♬~ 110 00:10:29,840 --> 00:10:46,140 (仏像を彫る音) 111 00:10:57,868 --> 00:11:00,771 ≪(亀一) 「お待たせいたしました 氷ノ介様」。 112 00:11:00,771 --> 00:11:03,374 やっぱり 氷ノ介か! 113 00:11:03,374 --> 00:11:06,877 (小声で)何て話してる? 114 00:11:06,877 --> 00:11:11,549 ≪「吽慶が龍雲寺に とう留していること 間違いござりませぬ。➡ 115 00:11:11,549 --> 00:11:18,422 水戸の小せがれと その配下が 足しげく通う寺でございます」。➡ 116 00:11:18,422 --> 00:11:24,122 「都合がよい。 では 父上もろとも 龍雲寺を焼き払うとしよう」。 117 00:11:37,675 --> 00:11:40,578 ≪両火房 いかがした? 118 00:11:40,578 --> 00:11:47,778 ≪いや なにゆえ 龍雲寺にご執心か まあ いささか…。 119 00:11:50,387 --> 00:11:53,524 (物音) 何やつ! 120 00:11:53,524 --> 00:12:21,385 ♬~ 121 00:12:21,385 --> 00:12:23,385 ≪(両火房)おい! 122 00:12:27,191 --> 00:12:29,126 (両火房)ああっ! 123 00:12:29,126 --> 00:12:51,426 ♬~ 124 00:13:02,359 --> 00:13:07,359 はあ はあ はあ… 怖かった! 125 00:13:15,706 --> 00:13:23,047 久しぶりに 天に立ちのぼる紅蓮の炎が見たい。 126 00:13:23,047 --> 00:13:25,382 ただ燃やしたいのだ。 127 00:13:25,382 --> 00:13:28,419 ≪「ただ燃やしたいのだ」。 128 00:13:28,419 --> 00:13:35,492 この手を斬り落とした父も 憎き徳川の小せがれも➡ 129 00:13:35,492 --> 00:13:39,830 ともに焼き尽くしてしまえば 皆 同じ➡ 130 00:13:39,830 --> 00:13:43,667 清らかな灰になる。 131 00:13:43,667 --> 00:13:52,142 ♬~ 132 00:13:52,142 --> 00:13:56,680 (亀一)「この手を斬り落とした父も 憎き徳川の小せがれも➡ 133 00:13:56,680 --> 00:14:02,152 ともに焼き尽くしてしまえば 皆 同じ 清らかな灰になる」。 134 00:14:02,152 --> 00:14:05,852 何ということを…。 135 00:14:07,858 --> 00:14:15,058 この目で見た。 氷ノ介と この男 両火房がいた。 136 00:14:18,502 --> 00:14:23,173 韋駄天 すぐに光圀様と日下に知らせたい。 どれぐらいかかる? 137 00:14:23,173 --> 00:14:26,076 (韋駄天)四半刻あれば。 (中山)頼む。 はい。 138 00:14:26,076 --> 00:14:30,914 亀一 巳助 早速 隠れがへ案内せよ。 (2人)はい! 139 00:14:30,914 --> 00:14:34,485 (中山)了助と鳩は 吽慶殿と共にいてくれ。 140 00:14:34,485 --> 00:14:36,485 (2人)はい! 141 00:14:46,096 --> 00:14:49,967 あそこです。 142 00:14:49,967 --> 00:14:52,267 ≪(足音) 光圀様です。 143 00:14:54,338 --> 00:14:56,538 ここです。 144 00:14:59,843 --> 00:15:02,043 (小声で)下がっておれ。 145 00:15:09,019 --> 00:15:19,663 ♬~ 146 00:15:19,663 --> 00:15:21,663 (日下)逃したか…。 147 00:15:29,173 --> 00:15:31,173 待て! (ひもが切れる音) 148 00:15:33,043 --> 00:15:34,978 (日下)中山様! 149 00:15:34,978 --> 00:15:37,178 大丈夫か? 150 00:15:46,123 --> 00:15:48,058 氷ノ介と両火房らしき者が➡ 151 00:15:48,058 --> 00:15:50,661 江戸を出て 上州へ向かったとの 知らせが入りましてございます。 152 00:15:50,661 --> 00:15:54,498 上州? クソ! (日下)すぐさま追っ手を差し向けました! 153 00:15:54,498 --> 00:15:59,136 ご苦労。 では この寺へ やつらが来ることは? 154 00:15:59,136 --> 00:16:03,006 もう なかろう。 何か ほかの手を考えておるはずじゃ。 155 00:16:03,006 --> 00:16:06,877 それは ひとまず 安心でございます。 156 00:16:06,877 --> 00:16:09,346 いや 分からぬ。 157 00:16:09,346 --> 00:16:15,686 我らの裏をかき 吽慶殿を襲うてこそ 目的を遂げたと考えるのが➡ 158 00:16:15,686 --> 00:16:17,621 氷ノ介ではないか? 159 00:16:17,621 --> 00:16:22,159 警護を緩めては ならぬ。 (中山 日下)はっ! 160 00:16:22,159 --> 00:16:42,980 ♬~ 161 00:16:42,980 --> 00:16:45,980 (吽慶)おお…。 162 00:16:50,320 --> 00:16:57,661 こんな折ですが 奥方様が京より取り寄せられ 吽慶殿にと。 163 00:16:57,661 --> 00:17:03,661 これは わざわざ…。 いや 奥方様のお心が身にしみます。 164 00:17:07,838 --> 00:17:12,342 あっ では… 私は 外で見張っておりますので➡ 165 00:17:12,342 --> 00:17:15,012 ご安心くださりませ。 166 00:17:15,012 --> 00:17:20,684 よろしかったら ご一緒に。 そうですか? ええ。 167 00:17:20,684 --> 00:17:25,556 中山様は 甘いものがお好きなようですね。 168 00:17:25,556 --> 00:17:27,858 ん? ええ。 169 00:17:27,858 --> 00:17:32,358 (笑い声) 170 00:17:35,599 --> 00:17:41,972 その… 了助は 迷惑をかけてはおりませぬか? 171 00:17:41,972 --> 00:17:47,778 いや 救われております。 フフ…。 仏師になった意味があったと。 172 00:17:47,778 --> 00:17:52,983 ハハハハ… そうでございますか。 173 00:17:52,983 --> 00:18:00,857 務めが終わった拾人衆の子らは 皆 士官先や働き口を世話されると? 174 00:18:00,857 --> 00:18:08,465 はい。 光圀様が それぞれに合うたところへと。 175 00:18:08,465 --> 00:18:10,834 うん…。 176 00:18:10,834 --> 00:18:15,339 よい主君に仕えられ お幸せでございますな。 177 00:18:15,339 --> 00:18:18,008 はい。 178 00:18:18,008 --> 00:18:26,516 光圀様は 我らを照らす 日輪のような方でございます。 179 00:18:26,516 --> 00:18:29,853 日輪…。 (中山)はい。 180 00:18:29,853 --> 00:18:39,096 下々の者にも分け隔てなく接し もう非のうちどころ一つ…。 181 00:18:39,096 --> 00:18:41,965 あっ…。 182 00:18:41,965 --> 00:18:45,802 一つだけ 不可解なとこが。 183 00:18:45,802 --> 00:18:48,105 不可解? はい。 184 00:18:48,105 --> 00:18:53,644 光圀様は 浅草にだけは なぜか 一切 近寄ろうとせぬのでござる。 185 00:18:53,644 --> 00:18:57,514 浅草? (中山)殊に 浅草寺の辺りは➡ 186 00:18:57,514 --> 00:19:00,317 かたくなに…。 浅草寺…。 187 00:19:00,317 --> 00:19:06,823 (中山)せんだっても 当節評判の茶飯屋に 誘ったのでございますが 「行かぬ」と。 188 00:19:06,823 --> 00:19:14,698 [ 回想 ] (吽慶)お前の父親は? 4つの頃 浅草で侍に殺された。 189 00:19:14,698 --> 00:19:21,338 あの日も 浅草寺のお堂の下で寝てたんだ。 190 00:19:21,338 --> 00:19:25,038 そしたら 旗本奴たちが やって来て…。 191 00:19:27,210 --> 00:19:29,846 (中山)吽慶殿? 192 00:19:29,846 --> 00:19:33,083 フッ いえいえいえ…。 193 00:19:33,083 --> 00:19:52,583 ♬~ 194 00:19:57,974 --> 00:20:00,877 どなたでございますか? 195 00:20:00,877 --> 00:20:04,877 ああ… うん。 196 00:20:08,485 --> 00:20:11,285 (泰姫)きれいなお顔。 197 00:20:13,323 --> 00:20:18,662 こちらの方は 随分 お顔に傷が…。 198 00:20:18,662 --> 00:20:24,334 まあ よい人相ではないな。 (泰姫)はい。 199 00:20:24,334 --> 00:20:28,672 悲しげで…。 悲しげ? 200 00:20:28,672 --> 00:20:32,008 泰には そう見えるか? はい。 201 00:20:32,008 --> 00:20:37,681 このお二人 仲がよいとは思えませぬ。 202 00:20:37,681 --> 00:20:41,151 なぜじゃ? 203 00:20:41,151 --> 00:20:49,025 この方のほうが どこか恐ろしい… 誰も寄せつけぬような。 204 00:20:49,025 --> 00:20:53,825 目が 石つぶてのようにございまする。 205 00:20:55,665 --> 00:20:57,734 石つぶて…。 206 00:20:57,734 --> 00:21:03,734 (泰姫)暗く どこも見ていないような目に 私には見えまする。 207 00:21:06,042 --> 00:21:10,046 泰の目は 侮れぬな。 208 00:21:10,046 --> 00:21:13,917 描く者の目が よいのでございましょう。 209 00:21:13,917 --> 00:21:18,755 拾人衆の子が 描いたのでございますか? ああ。 210 00:21:18,755 --> 00:21:21,892 一度見ただけで 描いてしまうのだ。 211 00:21:21,892 --> 00:21:27,892 誰にも まねできぬ力で 皆 それぞれ よう励んでいる。 212 00:21:29,566 --> 00:21:32,135 了助は? 213 00:21:32,135 --> 00:21:37,340 それが すり足を教えたら 瞬く間に覚えてしもうた。 214 00:21:37,340 --> 00:21:40,677 手習いも すぐに。 賢いのだ。 215 00:21:40,677 --> 00:21:45,015 それでいて 心優しくてな。 216 00:21:45,015 --> 00:21:48,852 吽慶殿を守ると 日々励んでおる。 217 00:21:48,852 --> 00:21:56,159 フフ…。 まるで 息子の働きを喜ぶ 父上様のようでございます。 218 00:21:56,159 --> 00:21:59,029 (風の音) 219 00:21:59,029 --> 00:22:02,365 (障子が揺れる音) 220 00:22:02,365 --> 00:22:11,374 ♬~ 221 00:22:11,374 --> 00:22:18,048 今宵は 風が強くなりそうですね。 222 00:22:18,048 --> 00:22:22,385 あの日のように…。 223 00:22:22,385 --> 00:22:24,888 (悲鳴) 泰姫様! 224 00:22:24,888 --> 00:22:28,391 泰! 225 00:22:28,391 --> 00:22:31,127 (せきこみ) 煙を吸われて…。 226 00:22:31,127 --> 00:22:36,499 はあ はあ… 大事ありませ…。 泰…。 227 00:22:36,499 --> 00:22:38,535 泰! 泰! 228 00:22:38,535 --> 00:22:44,241 ♬~ 229 00:22:44,241 --> 00:22:46,843 行って参る。 230 00:22:46,843 --> 00:22:55,543 ♬~ 231 00:23:08,131 --> 00:23:12,535 おお すまなかった。 起こしてしまったか。 232 00:23:12,535 --> 00:23:16,335 出来上がったの? うむ。 233 00:23:18,041 --> 00:23:20,377 ありがとう。 234 00:23:20,377 --> 00:23:23,577 吽慶さん ありがとう。 235 00:23:26,549 --> 00:23:31,388 礼を言うのは わしの方だ。 236 00:23:31,388 --> 00:23:35,888 やはり 因果とはあるものだな。 237 00:23:37,661 --> 00:23:39,996 因果? 238 00:23:39,996 --> 00:23:49,696 わしは お前のために これを彫れと この寺に流れ着いたやもしれぬ。 239 00:23:59,015 --> 00:24:38,655 ♬~ 240 00:24:38,655 --> 00:24:40,590 きいや~! 241 00:24:40,590 --> 00:24:43,526 うわ~! 242 00:24:43,526 --> 00:24:45,829 (中山)かかれ! (家臣一同)おう! 243 00:24:45,829 --> 00:24:48,131 消せ! 消せ~! 244 00:24:48,131 --> 00:24:50,831 やあ! おら! うっ! 245 00:24:52,669 --> 00:24:54,604 罰当たりめ~! 246 00:24:54,604 --> 00:24:57,340 やはり 現れたか。 247 00:24:57,340 --> 00:24:59,376 (中山)やあ! 248 00:24:59,376 --> 00:25:01,511 ああ…! 249 00:25:01,511 --> 00:25:04,547 中山! 250 00:25:04,547 --> 00:25:08,018 そやつが 水戸の若殿様だ。 251 00:25:08,018 --> 00:25:12,022 我が父の冥土の土産に ちょうどいい。 252 00:25:12,022 --> 00:25:14,157 かかれ。 253 00:25:14,157 --> 00:25:20,697 ♬~ 254 00:25:20,697 --> 00:25:24,567 おら! やあ! うう…。 255 00:25:24,567 --> 00:25:31,307 さて 父上は どちらに? 256 00:25:31,307 --> 00:25:43,887 ♬~ 257 00:25:43,887 --> 00:25:46,790 氷ノ介。 258 00:25:46,790 --> 00:25:49,492 ああ! たあ! 259 00:25:49,492 --> 00:26:19,355 ♬~ 260 00:26:19,355 --> 00:26:23,026 えいや! はあっ! 261 00:26:23,026 --> 00:26:25,929 フフフハハハハ…。 262 00:26:25,929 --> 00:26:34,929 ♬~ 263 00:26:45,648 --> 00:26:52,989 父上…。 どちらにおられますか? 父上。 264 00:26:52,989 --> 00:26:54,924 きいや~! 265 00:26:54,924 --> 00:26:56,924 はあっ! 266 00:27:03,633 --> 00:27:07,933 俺は見た! お前は火付けの人殺しだ! 267 00:27:10,340 --> 00:27:12,540 さようか。 268 00:27:14,210 --> 00:27:16,410 (吽慶)待て! 269 00:27:19,516 --> 00:27:24,020 お前が捜しておるのは わしであろう! 九郎。 270 00:27:24,020 --> 00:27:27,857 九郎? その名は とうに捨てた。 271 00:27:27,857 --> 00:27:30,693 決着をつけようではないか。 272 00:27:30,693 --> 00:27:45,341 ♬~ 273 00:27:45,341 --> 00:27:54,484 ほう。 いくら仏を彫ろうとも やはり 剣は捨てられませぬか 父上。 274 00:27:54,484 --> 00:28:27,850 ♬~ 275 00:28:27,850 --> 00:28:29,850 あっ! 276 00:28:32,288 --> 00:28:34,224 ああっ! 277 00:28:34,224 --> 00:28:36,626 吽慶さん! 来るな! 278 00:28:36,626 --> 00:28:42,298 ♬~ 279 00:28:42,298 --> 00:28:45,298 さすが 父上。 280 00:28:51,007 --> 00:28:53,910 うあ~! 281 00:28:53,910 --> 00:29:07,323 ♬~ 282 00:29:07,323 --> 00:29:09,259 うああ! 283 00:29:09,259 --> 00:29:11,661 ああああ! 284 00:29:11,661 --> 00:29:14,161 ハハハハハハ…。 285 00:29:16,132 --> 00:29:18,332 うっ! 286 00:29:20,003 --> 00:29:22,338 ぐう! 287 00:29:22,338 --> 00:29:24,674 う… ああ。 288 00:29:24,674 --> 00:29:51,834 ♬~ 289 00:29:51,834 --> 00:29:54,470 吽慶さん! 290 00:29:54,470 --> 00:29:58,170 うわ~! やあ~! 291 00:30:02,979 --> 00:30:05,979 ものは ついでじゃ。 292 00:30:09,652 --> 00:30:11,952 了助 引け! 293 00:30:15,525 --> 00:30:21,364 吽慶殿が どれほどの思いで 我が子に刃を向けたか 分からぬか! 294 00:30:21,364 --> 00:30:24,200 分かりたいとは思わぬ。 295 00:30:24,200 --> 00:30:54,230 ♬~ 296 00:30:54,230 --> 00:30:56,232 吽慶さん! 吽慶さん! 297 00:30:56,232 --> 00:31:00,036 吽慶さん! 吽慶さん! 298 00:31:00,036 --> 00:31:02,038 吽慶殿! 吽慶さん! 299 00:31:02,038 --> 00:31:05,338 (中山)追え! 追え! 吽慶殿! 300 00:31:09,178 --> 00:31:11,678 後を頼む。 はい。 301 00:31:15,885 --> 00:31:17,920 吽慶さん! 302 00:31:17,920 --> 00:31:23,192 おお… 無事か? 303 00:31:23,192 --> 00:31:27,492 俺は 平気だよ! 今 医者を呼んでるから! 304 00:31:29,399 --> 00:31:35,204 了助 手が足りぬ。 拾人衆を呼んでこい。 はい。 305 00:31:35,204 --> 00:31:37,204 了助。 306 00:31:41,010 --> 00:31:46,010 お前に これをやろう。 307 00:31:48,351 --> 00:31:56,051 いま一度 剣は 鞘に封じてくれ。 308 00:32:01,531 --> 00:32:07,031 待ってて 吽慶さん。 うむ。 309 00:32:18,714 --> 00:32:22,914 強い子だ 了助は。 310 00:32:28,424 --> 00:32:31,724 光圀様。 311 00:32:37,667 --> 00:32:41,467 お聞きくださいますか? 312 00:32:46,142 --> 00:32:53,883 「浅草寺の堂の下から➡ 313 00:32:53,883 --> 00:33:01,157 旗本奴に引っ張り出されて➡ 314 00:33:01,157 --> 00:33:07,857 父親は殺された」と了助が。 315 00:33:10,366 --> 00:33:15,705 浅草寺のお堂の下…。 316 00:33:15,705 --> 00:33:21,511 あ~! おやめください! おやめください お侍様! うわっ! 317 00:33:21,511 --> 00:33:32,989 ♬~ 318 00:33:32,989 --> 00:33:35,689 光圀様。 319 00:33:41,697 --> 00:33:49,497 一つ お願いしたいことが…。 320 00:33:53,009 --> 00:33:56,309 何ですか? 321 00:33:58,681 --> 00:34:01,717 どうか…➡ 322 00:34:01,717 --> 00:34:10,717 了助の父親代わりを…。 323 00:34:12,862 --> 00:34:16,699 吽慶殿…➡ 324 00:34:16,699 --> 00:34:21,037 私は決して…➡ 325 00:34:21,037 --> 00:34:25,908 父親代わりなど 務めてはならぬ人間なのです。 326 00:34:25,908 --> 00:34:30,208 なればこそです…! 327 00:34:36,118 --> 00:34:39,118 救いを…。 328 00:34:40,823 --> 00:34:49,332 了助を 九郎のような恨みにかられた魔物…➡ 329 00:34:49,332 --> 00:34:53,135 鬼には しとうない。➡ 330 00:34:53,135 --> 00:34:59,842 どうか お願い申します。 331 00:34:59,842 --> 00:35:15,858 ♬~ 332 00:35:15,858 --> 00:35:18,558 朝顔は…。 333 00:35:20,730 --> 00:35:23,532 朝顔は➡ 334 00:35:23,532 --> 00:35:28,404 闇の暗さを知りて➡ 335 00:35:28,404 --> 00:35:33,104 初めて咲く花。 336 00:35:41,651 --> 00:35:43,851 吽慶殿! 337 00:35:47,323 --> 00:35:52,128 九郎は 優しい子だ。➡ 338 00:35:52,128 --> 00:35:58,501 朝顔の花をな…➡ 339 00:35:58,501 --> 00:36:06,201 「摘んでは かわいそうだ」と言うのだ。 340 00:36:09,679 --> 00:36:16,479 「剣で斬ってみよ」と申したに…。 341 00:36:18,154 --> 00:36:28,898 武士の子が 何を言うかと思うたが…➡ 342 00:36:28,898 --> 00:36:37,698 わしは… 叱れなんだ。 343 00:36:42,344 --> 00:36:45,544 (吽慶)九郎は…。 344 00:36:47,483 --> 00:36:52,655 九郎…。 345 00:36:52,655 --> 00:37:02,655 ♬~ 346 00:37:11,841 --> 00:37:15,678 <まばゆい朝日の中➡ 347 00:37:15,678 --> 00:37:23,152 吽慶は 息子の名を呼びながら その生涯を閉じた> 348 00:37:23,152 --> 00:37:28,023 うわあ~! 349 00:37:28,023 --> 00:37:39,668 ♬~ 350 00:37:39,668 --> 00:37:43,105 吽慶さん…! 351 00:37:43,105 --> 00:37:46,475 (泣き声) 352 00:37:46,475 --> 00:37:48,978 吽慶さん…。 353 00:37:48,978 --> 00:37:56,485 (泣き声) 354 00:37:56,485 --> 00:38:16,985 ♬~ 355 00:38:22,144 --> 00:38:28,517 闇の暗さなど知らず咲けるなら➡ 356 00:38:28,517 --> 00:38:31,517 それが一番じゃ。 357 00:38:36,325 --> 00:38:41,163 (与惣次郎)あああ… あああ あ~! おやめください!➡ 358 00:38:41,163 --> 00:38:44,967 あああ~! ああ!➡ 359 00:38:44,967 --> 00:38:47,636 ああ…! 360 00:38:47,636 --> 00:38:49,972 おやめください お侍様!➡ 361 00:38:49,972 --> 00:38:54,476 たとえ このような身に落ちぶれたとしても➡ 362 00:38:54,476 --> 00:38:58,176 命を惜しく思うことは 万人と同じでございます! 363 00:39:00,349 --> 00:39:08,649 (鶴市)徳川御三家の刀の切れ味 俺ら貧乏旗本にも 一目 見せてくれよ。 364 00:39:19,335 --> 00:39:27,009 わしは 因果を思い知るため➡ 365 00:39:27,009 --> 00:39:31,309 拾人衆の束ね役となったのかもしれぬ。 366 00:39:34,750 --> 00:39:42,050 了助は なぜ父が死んだのか 知らぬ。 367 00:39:45,494 --> 00:39:48,494 わしは 知っておる。 368 00:39:55,804 --> 00:39:59,304 だが…。 369 00:40:03,112 --> 00:40:06,315 言えぬのだ…。 370 00:40:06,315 --> 00:40:24,333 ♬~ 371 00:40:24,333 --> 00:40:35,010 ならば 亡くなられた方の後生安楽をお祈りし➡ 372 00:40:35,010 --> 00:40:42,010 残された子の行く末を 見守ってはいかがでございましょうか? 373 00:40:45,020 --> 00:40:53,696 私も共に祈り 共に見守りとうございます。 374 00:40:53,696 --> 00:41:05,874 ♬~ 375 00:41:05,874 --> 00:41:14,174 わしは お主に救われておる。 376 00:41:17,052 --> 00:41:32,001 ♬~ 377 00:41:32,001 --> 00:41:36,839 下手人は左利き しかも隻腕。 378 00:41:36,839 --> 00:41:39,341 氷ノ介の居場所は どこだ? 379 00:41:39,341 --> 00:41:43,212 左馬之助。 お前と また会うとはな。 380 00:41:43,212 --> 00:41:46,015 いつか必ず おとうの敵を討つ。 381 00:41:46,015 --> 00:41:49,018 わしの罪は 一生ついて回る。 382 00:41:49,018 --> 00:41:51,887 あなたに話を聞きに来ました。 383 00:41:51,887 --> 00:42:13,876 ♬~ 384 00:42:13,876 --> 00:42:15,911 ♬~ 385 00:42:15,911 --> 00:42:21,050 ♬~ 386 00:42:21,050 --> 00:42:26,188 ♬~ 387 00:42:26,188 --> 00:42:33,929 ♬~ 388 00:42:33,929 --> 00:42:43,005 ♬~ 389 00:42:43,005 --> 00:42:46,675 ♬~ 390 00:42:46,675 --> 00:43:26,975 ♬~ 391 00:45:34,876 --> 00:45:38,347 空から見れば読み解ける➡ 392 00:45:38,347 --> 00:45:43,218 歴史の物語があります。 393 00:45:43,218 --> 00:45:48,357 「空旅中国」。 394 00:45:48,357 --> 00:45:53,161 英雄たちの足跡をたどってみましょう。 395 00:45:53,161 --> 00:46:00,961 ♬~