1 00:00:03,103 --> 00:00:06,607 (日下)この男の名が「氷ノ介」ということは 分かりましたが➡ 2 00:00:06,607 --> 00:00:09,509 捕らえた手下どもは ほかには何も知らぬようで。 3 00:00:09,509 --> 00:00:14,348 (光圀)さようか。 (中山)渡辺が松前屋から盗んだ2千両は➡ 4 00:00:14,348 --> 00:00:19,186 ご公儀の取り調べが済み 近々 戻されることになりました。 5 00:00:19,186 --> 00:00:24,791 このあと氷ノ介は 何を仕掛けてくるつもりか…。 6 00:00:24,791 --> 00:00:27,127 こちらに 手の内を知られた以上➡ 7 00:00:27,127 --> 00:00:29,630 火付けをすることは しばらくなかろうかと。 8 00:00:29,630 --> 00:00:32,532 (中山)氷ノ介らの行方を 懸命に追っておりますが➡ 9 00:00:32,532 --> 00:00:36,403 いまだ つかめぬまま。 面目ありません。 10 00:00:36,403 --> 00:00:41,241 しかし これほど美しい姿形で 片腕の剣士とあらば➡ 11 00:00:41,241 --> 00:00:43,176 人目につくはずでしょうに。 12 00:00:43,176 --> 00:00:47,180 目立たなくすれば かえって 容易に紛れ込めるものだ。 13 00:00:47,180 --> 00:00:51,451 なるほど。 そうやって かつては 夜の町に繰り出されたんですね! 14 00:00:51,451 --> 00:00:53,520 日下! あっ…! 15 00:00:53,520 --> 00:00:55,989 フッ…。 16 00:00:55,989 --> 00:00:59,326 氷ノ介のねらいは 何か…。 17 00:00:59,326 --> 00:01:04,932 ただ盗みをするためだけに 火付けをする輩とは思えぬ。 18 00:01:04,932 --> 00:01:17,511 ♬~ 19 00:01:17,511 --> 00:01:20,781 (足音) 20 00:01:20,781 --> 00:01:25,285 (吽慶)手習いか? 何と書いておる? 21 00:01:25,285 --> 00:01:27,287 (了助)間違えたかな? 22 00:01:27,287 --> 00:01:29,489 「ひのすけ」って 書いたんだけど。 23 00:01:33,026 --> 00:01:37,297 「ひのすけ」とは? 浪人の名前。 24 00:01:37,297 --> 00:01:41,969 見たんだ。 大火事の火を付けた 人殺しだ。 25 00:01:41,969 --> 00:01:49,309 (氷ノ介)よい眺めだ。 首尾よく燃え広がったのう。 26 00:01:49,309 --> 00:01:53,113 ハハハハハ ハハハハ…。 27 00:01:57,050 --> 00:01:59,953 どのような男だ? 28 00:01:59,953 --> 00:02:04,257 右手がない。 けど すごく強いんだ。 29 00:02:05,792 --> 00:02:09,262 右手…。 30 00:02:09,262 --> 00:02:15,936 (両火房)氷ノ介様は 何の咎もない我らが 浪々の身となり 困窮せねばならぬ世を➡ 31 00:02:15,936 --> 00:02:17,971 憂いておられるのだ。 32 00:02:17,971 --> 00:02:20,273 のうのうと暮らす大名どもは➡ 33 00:02:20,273 --> 00:02:23,110 我らから 何もかも奪ってしまったのだ!➡ 34 00:02:23,110 --> 00:02:26,613 武士としての本分も忘れて 己の利ばかりを求めて➡ 35 00:02:26,613 --> 00:02:31,785 何が公儀じゃ! 徳川じゃ! このような世は 間違うておる! 36 00:02:31,785 --> 00:02:33,720 (一同)そうだ! 37 00:02:33,720 --> 00:02:40,293 まずは 奪われたものは 奪い返さねばならぬ。 38 00:02:40,293 --> 00:02:43,096 何もかも。 39 00:02:48,435 --> 00:02:52,305 <徳川の世になって 50年余り。➡ 40 00:02:52,305 --> 00:02:56,977 ここ 江戸において 人命を最も奪う災いは➡ 41 00:02:56,977 --> 00:03:01,248 戦ではなく 大火事であった。➡ 42 00:03:01,248 --> 00:03:05,919 後に 水戸の黄門様と呼ばれることになる 徳川光圀は➡ 43 00:03:05,919 --> 00:03:09,790 異能の技を持つ隠密集団 拾人衆を率い➡ 44 00:03:09,790 --> 00:03:14,995 江戸の民を守るべく 人知れず奔走していた> 45 00:03:28,608 --> 00:03:34,114 <光圀の兄 讃岐高松藩主 松平頼重は➡ 46 00:03:34,114 --> 00:03:39,619 この年 高松から江戸に来ていた> 47 00:03:39,619 --> 00:03:42,522 (頼重)父上におかれましては ご機嫌麗しゅう 何よりでございます。 48 00:03:42,522 --> 00:03:45,959 (頼房)うむ。 よう参った 頼重。 49 00:03:45,959 --> 00:03:50,831 お二人とも 大火事の後始末で お忙しいことと存じます。 50 00:03:50,831 --> 00:03:57,571 いや 忙しいのは わしだけだ。 光圀は 拾人衆に かかりきりだからのう。 51 00:03:57,571 --> 00:04:01,441 私は 正月の火付けを働いた悪党を 追っているのでございます。 52 00:04:01,441 --> 00:04:04,077 なんと あの大火事は 火付けであったと!? 53 00:04:04,077 --> 00:04:08,949 はい。 その火付けの首領の名も 「氷ノ介」と分かっております。 54 00:04:08,949 --> 00:04:10,951 氷ノ介? 55 00:04:10,951 --> 00:04:14,087 私も一太刀交えました。 56 00:04:14,087 --> 00:04:18,258 片腕ながら剣の達人で ただ者ではござりませ…。 57 00:04:18,258 --> 00:04:22,929 刃を交えただと!? お前は 己の立場が分かっておるのか? 58 00:04:22,929 --> 00:04:25,966 水戸徳川家の世継ぎが そのようなバカなまねを! 59 00:04:25,966 --> 00:04:29,402 火付けを捕まえることの 何がバカなのです?光圀! 60 00:04:29,402 --> 00:04:36,276 ハハハハハハハ… 光圀がおれば 水戸徳川家は 安泰でございますな 父上。 61 00:04:36,276 --> 00:04:38,979 ざれ言を申すな! 62 00:04:50,123 --> 00:04:55,929 水戸家の世継ぎは 光圀 お前じゃ。 よいな。 63 00:04:55,929 --> 00:04:59,299 はっ! げせませぬ! 64 00:04:59,299 --> 00:05:04,070 父上 なにゆえ 兄上ではなく 私が世継ぎなのですか? 65 00:05:04,070 --> 00:05:06,106 決まったことじゃ。 兄上の方が➡ 66 00:05:06,106 --> 00:05:08,375 私より ずっと世継ぎに ふさわしい…! 67 00:05:08,375 --> 00:05:10,377 くどい! 68 00:05:13,213 --> 00:05:15,916 兄上!? ハハハ! 69 00:05:15,916 --> 00:05:17,951 これでも世継ぎに ふさわしいか? 70 00:05:17,951 --> 00:05:22,088 う~! それ。それ! 71 00:05:22,088 --> 00:05:25,792 ハハ…。 それ! 72 00:05:29,596 --> 00:05:35,936 相変わらずじゃな 父上も お主も。 73 00:05:35,936 --> 00:05:38,605 兄上も変わりませぬ。 74 00:05:38,605 --> 00:05:44,778 誰一人 成長しておらぬということか。 75 00:05:44,778 --> 00:05:48,114 (笑い声) 76 00:05:48,114 --> 00:05:50,784 懐かしいのう! ほれ! 77 00:05:50,784 --> 00:05:54,654 ハハハ…。 なあ! ほれ! ほれ! おおっ! 78 00:05:54,654 --> 00:05:59,960 (猫の鳴き声) (頼重)ハハハハハ…。 79 00:05:59,960 --> 00:06:02,863 それで その猫の名を「左馬之助」と? (泰姫)はい。 80 00:06:02,863 --> 00:06:07,767 旦那様が市中に ふらりと出向かれる際のお名前なら➡ 81 00:06:07,767 --> 00:06:11,605 ぴったりだと思いまして。 (笑い声) 82 00:06:11,605 --> 00:06:13,907 なぜ その名を知っておるのじゃ? 83 00:06:13,907 --> 00:06:20,247 お屋敷には 猫に手を焼いたものが 大勢いるようで。 84 00:06:20,247 --> 00:06:25,585 (笑い声) あのころのことは わしも悔いておる。 85 00:06:25,585 --> 00:06:28,488 責めているのではござりませぬ。 86 00:06:28,488 --> 00:06:32,926 お心だけでも 猫のように気ままになられたら➡ 87 00:06:32,926 --> 00:06:38,798 旦那様の背負う荷も 少しは 軽くなりましょう? 88 00:06:38,798 --> 00:06:43,270 まさに 評判どおりの奥方様でございますな。➡ 89 00:06:43,270 --> 00:06:48,775 朗らかで とらわれるところがない。 お元気になられて 本当によかった。 90 00:06:48,775 --> 00:06:50,710 ずっとお会いしたいと思うておりました。 91 00:06:50,710 --> 00:06:57,484 私も 旦那様がお話しされてるとおり ご立派な兄上様で➡ 92 00:06:57,484 --> 00:07:01,054 お会いできて うれしゅうございます。 93 00:07:01,054 --> 00:07:06,559 光圀 お主は よい奥方を迎えて幸せ者だ。 94 00:07:06,559 --> 00:07:10,897 夫として この奥方様のことを心より…。 95 00:07:10,897 --> 00:07:14,367 はい。 お頼りするとよい。 96 00:07:14,367 --> 00:07:17,570 頼る? 97 00:07:17,570 --> 00:07:22,442 お任せくださりませ 兄上様。 98 00:07:22,442 --> 00:07:29,749 (笑い声) 99 00:07:29,749 --> 00:07:37,057 <大火事の日に盗まれた2千両が 松前屋に戻された> 100 00:07:39,759 --> 00:07:44,597 しかし 白昼堂々 千両箱が2つ運び込まれたとあっては➡ 101 00:07:44,597 --> 00:07:48,935 たちまち 「松前屋に金が戻った」と 噂になりましょう。 102 00:07:48,935 --> 00:07:53,273 取り戻したのは 我らの手柄だと 皆に 言って回りたいぐらいでございますな。 103 00:07:53,273 --> 00:07:58,611 お主は 何もしておらぬではないか。 中山様とて 氷ノ介には手も足も…。 104 00:07:58,611 --> 00:08:03,216 何じゃと!戻ろう。 はい。 105 00:08:03,216 --> 00:08:06,886 ここから少し足を伸ばせば 浅草寺でございます。➡ 106 00:08:06,886 --> 00:08:09,789 近頃 あの辺りに 「奈良茶飯」を食わせる店が出来て➡ 107 00:08:09,789 --> 00:08:12,692 にぎわってるそうでございます。 (中山)評判は 私も聞いております。➡ 108 00:08:12,692 --> 00:08:14,761 なかなかの美味だと。 109 00:08:14,761 --> 00:08:18,498 (日下)ものは試しに お忍びで いかがでございますか? 110 00:08:18,498 --> 00:08:22,302 わしはよい。 2人で 行ってまいれ。 111 00:08:26,573 --> 00:08:30,877 ♬~(笛) 112 00:08:37,217 --> 00:08:42,055 ♬~ 113 00:08:42,055 --> 00:08:47,594 ♬~(笛) 114 00:08:47,594 --> 00:09:07,347 ♬~ 115 00:09:07,347 --> 00:09:09,349 ああっ! 116 00:09:17,090 --> 00:09:19,926 それ 少し振ってみてもいい? 117 00:09:19,926 --> 00:09:22,128 うむ。 118 00:09:31,905 --> 00:09:35,208 すごく重いね。 119 00:09:38,244 --> 00:09:40,747 この字 お不動様の? 120 00:09:40,747 --> 00:09:45,585 「うてな」と読む。 その木剣の名だ。 121 00:09:45,585 --> 00:09:48,488 「うてな」? 122 00:09:48,488 --> 00:09:53,493 花の ここをな 「うてな」という。 123 00:09:55,261 --> 00:09:59,766 この朝顔のつるには もはや 花がないように➡ 124 00:09:59,766 --> 00:10:02,268 その木剣にも刃は ない。 125 00:10:02,268 --> 00:10:05,271 振ってみよ。 126 00:10:20,620 --> 00:10:25,492 ほほう。 その年で 振り切れるとは思わなんだ。 127 00:10:25,492 --> 00:10:28,128 振り切れる? 128 00:10:28,128 --> 00:10:32,432 きちんと振れているということだ。 129 00:10:32,432 --> 00:10:37,136 それを使いたい時は いつでも声をかけてくれ。 130 00:10:38,805 --> 00:10:45,445 それとな おなかの ここ 丹田に力をためれば➡ 131 00:10:45,445 --> 00:10:50,283 腰が もっと定まる。 132 00:10:50,283 --> 00:10:52,585 やってみるか? 133 00:11:00,393 --> 00:11:02,929 うむ。 本当だ! 134 00:11:02,929 --> 00:11:24,217 ♬~ 135 00:11:24,217 --> 00:11:28,087 (韋駄天)何か 振るの速くなったな。 136 00:11:28,087 --> 00:11:31,291 丹田だよ。 (巳助)えっ 何でん? 137 00:11:31,291 --> 00:11:36,296 (亀一)ん? この無駄のない足のお運び…。 138 00:11:37,964 --> 00:11:40,667 来る… 光圀様だ! 139 00:11:54,147 --> 00:11:57,050 (鳩・巳助の声まねで) ちゃんと おじぎ できんだな お前。 140 00:11:57,050 --> 00:12:00,386 痛え! おいらじゃねえよ 鳩だよ! 141 00:12:00,386 --> 00:12:02,922 (鳩・巳助の声まねで) 鳩じゃねえよ おいらだよ。 142 00:12:02,922 --> 00:12:05,391 (巳助)えっ あれ…? (笑い声) 143 00:12:05,391 --> 00:12:08,294 (笑い声) 144 00:12:08,294 --> 00:12:11,264 (韋駄天)巳助 ちょっと来い! 145 00:12:11,264 --> 00:12:16,603 (罔両子)光圀様のおかげで 了助も鬼河童から だいぶ童らしく…➡ 146 00:12:16,603 --> 00:12:20,406 いや 人らしく笑うようになりました。 147 00:12:20,406 --> 00:12:23,109 わしは 何もしておらぬ。 148 00:12:23,109 --> 00:12:28,982 (巳助)おい 了助…! (子供たちの声) 149 00:12:28,982 --> 00:12:31,184 鳩。 150 00:12:33,820 --> 00:12:37,657 あの棒は いかがした? 吽慶さんに借りたって。 151 00:12:37,657 --> 00:12:40,293 吽慶殿に…。 152 00:12:40,293 --> 00:12:46,165 (巳助)韋駄天も亀一も やめろ! (笑い声) 153 00:12:46,165 --> 00:13:08,755 ♬~ 154 00:13:08,755 --> 00:13:11,457 やはり お前だったのか! 155 00:13:13,259 --> 00:13:17,597 何じゃ? 随分と年寄りの用心棒じゃな。 156 00:13:17,597 --> 00:13:22,268 これはこれは… お久しぶりでございます。 157 00:13:22,268 --> 00:13:27,940 生きているとは聞いた。 まさか このようなことを! 158 00:13:27,940 --> 00:13:30,276 なぜ ここが? 159 00:13:30,276 --> 00:13:36,783 金を奪われたまま捨て置けるはずがない。 必ずや2千両 取り返しに来る。 160 00:13:36,783 --> 00:13:42,588 それも 金のためではない! ご公儀を あざ笑うためだろう! 161 00:13:42,588 --> 00:13:46,125 フッ よくご存じで。 162 00:13:46,125 --> 00:13:50,296 お前のことは 捜し続けてきた。 163 00:13:50,296 --> 00:13:53,633 私も お会いしとうございました。 164 00:13:53,633 --> 00:14:20,793 ♬~ 165 00:14:20,793 --> 00:14:25,398 (日下)氷ノ介だ! 捕らえよ! (一同)お~! 166 00:14:25,398 --> 00:14:36,776 ♬~ 167 00:14:36,776 --> 00:14:38,711 あちらへ。 168 00:14:38,711 --> 00:14:48,788 ♬~ 169 00:14:48,788 --> 00:14:55,094 氷ノ介 お主は なぜ火付けを働く? 170 00:14:57,296 --> 00:14:59,999 逃げるか 九郎! 171 00:15:06,105 --> 00:15:08,908 いずれ また。 172 00:15:08,908 --> 00:15:16,249 ♬~ 173 00:15:16,249 --> 00:15:18,184 引け! 174 00:15:18,184 --> 00:15:28,594 ♬~ 175 00:15:28,594 --> 00:15:32,098 ただの金目当ての盗賊ではない。 176 00:15:32,098 --> 00:15:38,271 あの男には 何か格別の意図があるように思えました。 177 00:15:38,271 --> 00:15:41,774 それで 松前屋に金が戻ったと噂を流し➡ 178 00:15:41,774 --> 00:15:46,112 夜は 店の者を よそへ移して 見張っておりました。 179 00:15:46,112 --> 00:15:51,784 すると 吽慶殿が姿を現された。 180 00:15:51,784 --> 00:15:54,420 光圀様のお察しどおり➡ 181 00:15:54,420 --> 00:16:00,893 あれは 決して負けを認めぬ 執念深い男にございます。➡ 182 00:16:00,893 --> 00:16:06,365 ですから 私は 松前屋で待っておったのです。 183 00:16:06,365 --> 00:16:08,301 何ゆえに? 184 00:16:08,301 --> 00:16:14,907 殺そうと思ったのです。 錦 氷ノ介を。 185 00:16:14,907 --> 00:16:17,577 錦 氷ノ介? 186 00:16:17,577 --> 00:16:22,081 今は そう名乗っております。 187 00:16:22,081 --> 00:16:29,288 吽慶殿 錦 氷ノ介とは どのような…? 188 00:16:35,261 --> 00:16:41,133 私は 霜山重蔵と申します。 189 00:16:41,133 --> 00:16:46,873 かつて 丹波稲川家 家老を務めておりました。 190 00:16:46,873 --> 00:16:52,678 確か ご当主は乱心の末 切腹。 お家断絶に。 191 00:16:52,678 --> 00:16:59,118 もう9年前のことでございます。 そうであったか。 192 00:16:59,118 --> 00:17:05,892 我が当主は 家中より剣術自慢の若い者を集め➡ 193 00:17:05,892 --> 00:17:10,363 「錦組」と名付けて 重用しておりました。 194 00:17:10,363 --> 00:17:16,736 その錦組にいたのですね? 氷ノ介は。 195 00:17:16,736 --> 00:17:19,071 道理で腕が立つと…。 196 00:17:19,071 --> 00:17:22,942 氷ノ介に剣術を教えたのは 私でございます。 197 00:17:22,942 --> 00:17:29,248 (中山)なんと!? (吽慶)氷ノ介は➡ 198 00:17:29,248 --> 00:17:33,920 恥ずかしながら 我が息子 九郎にございます。 199 00:17:33,920 --> 00:17:41,127 息子!? 親子だというのか? 200 00:17:46,499 --> 00:17:55,207 錦組は 当主に寵愛を受け➡ 201 00:17:55,207 --> 00:17:59,078 いつも おそば近くに つとめておりました。 202 00:17:59,078 --> 00:18:04,216 (稲川)さあ 飲め! よいから 飲め! 203 00:18:04,216 --> 00:18:10,723 (吽慶)<ただ 殿のご気性は 極めて苛烈でございますれば…> 204 00:18:10,723 --> 00:18:15,027 (稲川)そうじゃ 飲め。 皆 飲み干すのじゃ!➡ 205 00:18:16,595 --> 00:18:19,231 ハハハハハハ…。 206 00:18:19,231 --> 00:18:25,738 殿 間もなく お使いが参りますれば➡ 207 00:18:25,738 --> 00:18:28,574 この辺りで…。 (稲川)うるさい! 208 00:18:28,574 --> 00:18:33,779 何をしておる? 早う酌をせぬか。 はい。 209 00:18:37,249 --> 00:18:40,586 (稲川)何をする! も… 申し訳ございません! 210 00:18:40,586 --> 00:18:44,256 ああ…!おやめくだされ! 粗相をした罰じゃ! 211 00:18:44,256 --> 00:18:46,759 錦組! (錦組一同)はっ! 212 00:18:46,759 --> 00:18:49,962 首を さらしておけ。 (錦組一同)はっ! 213 00:18:52,565 --> 00:18:57,470 (吽慶)<いつしか錦組の務めは 殿の狼藉を助けるようなものとなり➡ 214 00:18:57,470 --> 00:19:03,042 領民は 錦組を見れば 逃げ出す始末で…> 215 00:19:03,042 --> 00:19:06,345 伝え聞いてはおる。 216 00:19:06,345 --> 00:19:12,551 稲川家当主による無礼討ちは 日常茶飯事であったと。 217 00:19:12,551 --> 00:19:20,059 ついには 不仲な隣国に錦組を率いて乗り込み➡ 218 00:19:20,059 --> 00:19:25,931 「領民たちの首を手当たりしだい はねよ」 と命じたことが➡ 219 00:19:25,931 --> 00:19:29,769 ご公儀に知れてしまいました。 220 00:19:29,769 --> 00:19:35,608 (中山)それは ただでは済みませぬな。 (吽慶)はい。 221 00:19:35,608 --> 00:19:42,081 事情を調べに ご公儀より使者が当家に。 222 00:19:42,081 --> 00:19:46,919 ところが 殿は逆上の末➡ 223 00:19:46,919 --> 00:19:52,725 あろうことか 使者に鉄砲を撃ちかけたのでございます。 224 00:19:52,725 --> 00:19:54,660 (銃声) 225 00:19:54,660 --> 00:19:57,363 (吽慶)殿! 226 00:19:59,398 --> 00:20:03,769 (吽慶)殿 何とぞ ご辛抱くださりませ。 227 00:20:03,769 --> 00:20:08,941 ここは ご公儀の命に従い➡ 228 00:20:08,941 --> 00:20:12,411 恭順の意を示すよりほかに 道はござりませぬ。 229 00:20:12,411 --> 00:20:19,118 恭順の意? お主 徳川の言うまま わしに「切腹せよ」と申すか! 230 00:20:19,118 --> 00:20:25,624 稲川家はもとより 家臣 領民全ての命運が かかっておりますれば➡ 231 00:20:25,624 --> 00:20:30,129 平に… 平にお願い申し上げます。 232 00:20:30,129 --> 00:20:33,032 ええい 黙れ! 233 00:20:33,032 --> 00:20:36,035 徳川の犬め! 234 00:20:38,437 --> 00:20:41,140 父上…。 (稲川)ついてまいれ。 235 00:20:41,140 --> 00:20:43,175 殿! お待ちください! 236 00:20:43,175 --> 00:20:45,478 (稲川)錦組! 237 00:20:51,317 --> 00:20:53,619 九郎! 238 00:20:55,321 --> 00:20:59,458 (足音) 錦組!しれ者どもが! 239 00:20:59,458 --> 00:21:01,927 覚悟せい! 240 00:21:01,927 --> 00:21:16,275 ♬~ 241 00:21:16,275 --> 00:21:19,178 (吽慶)<城内は 戦となり…> 242 00:21:19,178 --> 00:21:21,147 うあ! 243 00:21:21,147 --> 00:21:24,150 うっ あっ…! 244 00:21:24,150 --> 00:21:29,421 (吽慶)<錦組とともに籠城した主君に 刃を向け…> 245 00:21:29,421 --> 00:21:32,291 おら~! あっ…! 246 00:21:32,291 --> 00:21:36,128 おのれ…。 247 00:21:36,128 --> 00:21:38,164 おのれ~! 248 00:21:38,164 --> 00:21:40,366 あっ…! 249 00:21:46,772 --> 00:21:49,441 殿…。 250 00:21:49,441 --> 00:21:52,645 失礼つかまつる。 251 00:21:54,313 --> 00:21:56,315 ああっ! 252 00:21:56,315 --> 00:22:01,620 (吽慶)<この手で 主君を あやめたのでございます> 253 00:22:03,756 --> 00:22:09,261 なんとも すさまじき話でございますな。 254 00:22:09,261 --> 00:22:12,932 (吽慶)そんな中➡ 255 00:22:12,932 --> 00:22:20,272 錦組には 逃げ延びた者が一人おりました。 256 00:22:20,272 --> 00:22:24,476 氷ノ介? はい。 257 00:22:26,078 --> 00:22:39,124 姿を消した息子は 我が一族のみならず 重臣の方々 ご身内まで ことごとく…➡ 258 00:22:39,124 --> 00:22:41,427 皆殺しに。 259 00:22:49,134 --> 00:23:04,083 ♬~ 260 00:23:04,083 --> 00:23:10,256 さすが父上 思うたより早う見つかってしまいました。 261 00:23:10,256 --> 00:23:16,395 お前がやったのか? お前の兄も母も 一族皆! 262 00:23:16,395 --> 00:23:19,598 はい。 成敗いたしました。 263 00:23:19,598 --> 00:23:22,501 成敗だと…。 何を申す! 264 00:23:22,501 --> 00:23:28,107 徳川の言いなりになって 主君を裏切った 父上が悪いのでございます。 265 00:23:28,107 --> 00:23:32,611 武士として 決して許されることではありません。 266 00:23:32,611 --> 00:23:36,482 主君が道を誤れば 正さねばならん。 267 00:23:36,482 --> 00:23:40,352 殿のご寵愛を受けたお前なら 止められたはずだ! 268 00:23:40,352 --> 00:23:43,956 寵愛? そうだ。 なぜ止めなかった? 269 00:23:43,956 --> 00:23:46,992 寵愛などではなかった! 270 00:23:46,992 --> 00:23:55,968 我らは 皆 気に食わぬことがあれば 首をはねられるだけの木偶人形じゃ。 271 00:23:55,968 --> 00:24:01,774 何ゆえ 殿の命に従うたかだと? 272 00:24:01,774 --> 00:24:16,922 家老の父上に類が及ばぬよう 家のため 母上 兄上 一族のため➡ 273 00:24:16,922 --> 00:24:23,595 従いたくもない殿の命に 必死で従うたに決まっておろう! 274 00:24:23,595 --> 00:24:31,403 この地獄のような苦しみ 父上には 分かるまい! 275 00:24:33,105 --> 00:24:40,979 あげく このように尽くした我らを取り囲み➡ 276 00:24:40,979 --> 00:24:45,284 斬りつけ…➡ 277 00:24:45,284 --> 00:24:49,621 私を…➡ 278 00:24:49,621 --> 00:24:52,424 息子を殺そうとしたのは 父上ではないか! 279 00:24:52,424 --> 00:24:55,327 お家のためだ。➡ 280 00:24:55,327 --> 00:25:03,902 お前が どれだけ苦しもうとも 皆を見殺しにするわけには いかんのだ。 281 00:25:03,902 --> 00:25:06,939 それが 家老の家に生まれた者の務め。 282 00:25:06,939 --> 00:25:09,441 武士の務めだ! 283 00:25:12,244 --> 00:25:15,080 父上…。 284 00:25:15,080 --> 00:25:17,583 九郎。 285 00:25:29,395 --> 00:25:34,099 父上に 私が斬れますでしょうか? 286 00:25:42,408 --> 00:25:44,343 やあ! 287 00:25:44,343 --> 00:26:00,726 ♬~ 288 00:26:00,726 --> 00:26:03,062 お前を斬るのは わしでなければならん! 289 00:26:03,062 --> 00:26:26,084 ♬~ 290 00:26:26,084 --> 00:26:28,754 うあ~! 291 00:26:28,754 --> 00:26:31,090 あ… ああ! 292 00:26:31,090 --> 00:26:33,091 父上! 293 00:26:35,761 --> 00:26:41,567 クソ… 許さぬ。 294 00:26:41,567 --> 00:26:44,069 許さぬ! 295 00:26:46,104 --> 00:26:49,007 ああ~! 九郎! 296 00:26:49,007 --> 00:26:58,016 ♬~ 297 00:27:05,891 --> 00:27:13,599 不覚にも あと一太刀というところで…。 298 00:27:16,602 --> 00:27:21,440 (吽慶) 落ちた川を捜したものの 姿はなく➡ 299 00:27:21,440 --> 00:27:26,145 どこを捜しても…。 300 00:27:29,581 --> 00:27:37,456 私は この手で あやめた殿 亡くなられた方々➡ 301 00:27:37,456 --> 00:27:44,096 皆を弔い 生きていこうと 仏師となりました。 302 00:27:44,096 --> 00:27:46,798 吽慶殿…。 303 00:27:54,806 --> 00:27:58,610 (中山)それで 江戸には…? 304 00:27:58,610 --> 00:28:03,448 姿を消した息子が➡ 305 00:28:03,448 --> 00:28:11,757 「『錦 氷ノ介』と名乗って 生きている」 と伝え聞き…。 306 00:28:13,559 --> 00:28:19,064 まさか 火付けに成り果てるとは…。 307 00:28:20,732 --> 00:28:30,542 まことに お詫びの言葉もござりませぬ! 308 00:28:34,279 --> 00:28:38,584 よう死なずに生きてこられたものだ。 309 00:28:38,584 --> 00:28:46,925 とうに 死んで お詫びをすべき身でございます。 310 00:28:46,925 --> 00:28:52,397 息子を討ち果たしましたなら 私は すぐに…。 311 00:28:52,397 --> 00:29:03,041 吽慶殿 生きていく方が はるかに つらい道であったであろう。 312 00:29:03,041 --> 00:29:08,847 よう死なずに 生きてこられた。 313 00:29:08,847 --> 00:29:19,358 ♬~ 314 00:29:19,358 --> 00:29:28,367 息子を あのような魔物にしたのは 私でございます。➡ 315 00:29:28,367 --> 00:29:32,738 松前屋で刃を交えて分かりました。➡ 316 00:29:32,738 --> 00:29:39,378 九郎の… 氷ノ介の➡ 317 00:29:39,378 --> 00:29:45,183 あの何も映しておらぬような うつろな魔物の目。 318 00:29:45,183 --> 00:29:58,096 この9年間 左手一本で剣術を極めるのに どれだけの鍛錬を積んだか。 319 00:29:58,096 --> 00:30:05,604 その鍛錬を支えたのは 恨みでございましょう。 320 00:30:11,410 --> 00:30:15,614 父と子でありながら…。 (吽慶)構いませぬ。 321 00:30:18,183 --> 00:30:23,422 あやつの始末をつけるのは 私の役目でございますれば…。 322 00:30:23,422 --> 00:30:31,630 その役目 私にも背負わせてはくれぬか? 323 00:30:31,630 --> 00:30:38,937 父と子で斬り合えば 生き残った者の心も殺されよう。 324 00:30:43,642 --> 00:30:48,847 吽慶殿の息子は わしが捕らえる。 325 00:30:54,286 --> 00:31:05,297 吽慶殿には ただ 仏師として仏を彫っていてほしいのです。 326 00:31:10,602 --> 00:31:13,405 ありがとうございます。 327 00:31:38,964 --> 00:31:41,466 吽慶さん。 328 00:31:44,836 --> 00:31:52,144 吽慶さん 俺 吽慶さんといると よく眠れるんだ。 329 00:31:55,981 --> 00:32:00,152 俺 氷ノ介は憎い。 330 00:32:00,152 --> 00:32:03,121 俺の敵だ。 331 00:32:03,121 --> 00:32:07,759 けど… けど 吽慶さんは 好きだ。 332 00:32:07,759 --> 00:32:11,396 吽慶さんには 生きててほしい。 333 00:32:11,396 --> 00:32:14,933 生きててほしいんだ。 334 00:32:14,933 --> 00:32:18,937 だから… だから 俺…。 335 00:32:22,674 --> 00:32:24,976 吽慶さん? 336 00:32:30,415 --> 00:32:35,720 何だ… お休みなさい。 337 00:32:44,429 --> 00:32:56,041 ♬~ 338 00:32:56,041 --> 00:33:00,045 なぜ父上が徳川と…。 339 00:33:13,258 --> 00:33:25,403 (子供たちの声) 340 00:33:25,403 --> 00:33:29,107 よし 次。 うわ~! 341 00:33:29,107 --> 00:33:31,776 うん! それ! 342 00:33:31,776 --> 00:33:33,712 ハッ 次! おう! 343 00:33:33,712 --> 00:33:36,414 おっ 了助! 頑張れ! 344 00:33:36,414 --> 00:33:38,350 来い! うお~! 345 00:33:38,350 --> 00:33:40,285 よし いいぞ! 346 00:33:40,285 --> 00:33:42,287 はい! あ~…。 347 00:33:42,287 --> 00:33:44,623 まだまだ! 来い! 348 00:33:44,623 --> 00:33:47,959 うっ! お~! 349 00:33:47,959 --> 00:33:50,862 ほれ! ハハ…。 350 00:33:50,862 --> 00:33:53,765 クソ! もう一回! 351 00:33:53,765 --> 00:33:57,435 ちょっと 了助! 構わぬ。 来い! 352 00:33:57,435 --> 00:34:00,338 あ~! 353 00:34:00,338 --> 00:34:05,577 (声援) いいぞ 了助。 354 00:34:05,577 --> 00:34:08,914 ほら。 ハハハ…。 355 00:34:08,914 --> 00:34:14,085 (声援) 356 00:34:14,085 --> 00:34:16,021 (頼重)楽しそうじゃのう。 357 00:34:16,021 --> 00:34:24,396 ♬~ 358 00:34:24,396 --> 00:34:28,934 いかがなされました? 寺まで お越しになられるとは。 359 00:34:28,934 --> 00:34:33,805 お主が そこまで熱心に励んでおる 拾人衆の寺を 一度 見てみたくてな。 360 00:34:33,805 --> 00:34:40,412 かわいい子猫がおると お主の奥方にすすめられてのう。 フフッ。 361 00:34:40,412 --> 00:34:45,250 確かに 子らも よう懐いておる。 楽しげに相撲まで。 362 00:34:45,250 --> 00:34:47,953 まるで 親子じゃ。 363 00:34:47,953 --> 00:34:53,124 どうでしょう? 子供なりに わしに 気を遣っていようかと。 364 00:34:53,124 --> 00:34:56,161 いや 見ておれば 分かる。 365 00:34:56,161 --> 00:35:01,833 心を許しておらぬ大人に 遠慮せず相撲を取る子は おらぬ。 366 00:35:01,833 --> 00:35:08,139 お主も わしも 父上とは 相撲を取ったことはなかった。 367 00:35:10,542 --> 00:35:16,348 だが 父上が お主を世継ぎに選んだ訳は よう分かる。 368 00:35:16,348 --> 00:35:22,253 それは 幼い頃 兄上が はやり病に伏せっておられたから。 369 00:35:22,253 --> 00:35:26,124 そうでなければ わしより ずっと世継ぎに…。 370 00:35:26,124 --> 00:35:28,927 違う! 371 00:35:28,927 --> 00:35:33,398 お主は 似ておるのじゃ。 父上と。 372 00:35:33,398 --> 00:35:40,939 時に 人といさかいを起こそうとも 己の正しいと思う道を貫く強さがある。 373 00:35:40,939 --> 00:35:44,809 お家を守り抜く強さが。 374 00:35:44,809 --> 00:35:49,648 そのようなこと 父上は 思うてはおりませぬ…。 375 00:35:49,648 --> 00:35:58,490 光圀 わしは お主が家督を継いだこと 少しも恨んではおらぬ。 376 00:35:58,490 --> 00:36:03,561 むしろ 申し訳なく思うておるのだ。 377 00:36:03,561 --> 00:36:14,072 兄を差し置いて 水戸徳川家の世継ぎに という重荷を背負わせた。 378 00:36:14,072 --> 00:36:17,108 あのころ 体の弱かったわしを➡ 379 00:36:17,108 --> 00:36:22,414 誰よりも気遣い いつもかばってくれたのは お主じゃ。 380 00:36:25,684 --> 00:36:29,387 はあ はあ はあ はあ…。 381 00:36:29,387 --> 00:36:32,257 ⚟兄上! 382 00:36:32,257 --> 00:36:34,926 なりませぬ 若君様 うつりまする! 383 00:36:34,926 --> 00:36:36,928 構わぬ! 384 00:36:40,598 --> 00:36:48,106 はあ… 寄るな。 うつる…。 385 00:36:48,106 --> 00:36:51,810 兄上は 必ず治りまする。 386 00:36:53,411 --> 00:36:58,116 (頼重)熱で苦しくて 熱かったからのう。➡ 387 00:36:58,116 --> 00:37:04,889 お主の小さな手が冷たく感じて。 388 00:37:04,889 --> 00:37:15,066 だが 殊の外 温かかった…。 389 00:37:15,066 --> 00:37:21,840 そんなお主が世継ぎとなり 苦しくないわけがない。 390 00:37:21,840 --> 00:37:29,914 つらくないわけがない。 弱音を吐けるわけがないのだ。 391 00:37:29,914 --> 00:37:34,786 わしに同情する者はおっても お主に同情する者は いなかったであろう。 392 00:37:34,786 --> 00:37:42,260 わしの ふがいなさが お主を悪者にしてしもうた。 393 00:37:42,260 --> 00:37:44,195 そんなことは…。 394 00:37:44,195 --> 00:37:50,135 お主は わしよりも ずっと…。 兄上 そんなことはござらぬ。 395 00:37:50,135 --> 00:37:53,271 優しい。 396 00:37:53,271 --> 00:38:16,594 ♬~ 397 00:38:16,594 --> 00:38:21,232 泰。 あっ お帰りなさいませ。 398 00:38:21,232 --> 00:38:23,735 うん。 399 00:38:27,739 --> 00:38:33,077 何か よいことがあったのでございますか? 400 00:38:33,077 --> 00:38:35,747 寺に兄上がお見えになった。 401 00:38:35,747 --> 00:38:42,520 「子猫を見に行け」と 泰にすすめられたと。 子猫を? フフ…。 402 00:38:42,520 --> 00:38:45,456 泰のおかげだ。 403 00:38:45,456 --> 00:38:50,094 頼りになりますか? ああ。 404 00:38:50,094 --> 00:38:53,965 もっと 早う 泰と夫婦になっておれば➡ 405 00:38:53,965 --> 00:39:01,706 もっと早う 兄上と話しておれば➡ 406 00:39:01,706 --> 00:39:05,510 あのようなことには ならなかった…。 407 00:39:10,415 --> 00:39:14,052 いや…。 408 00:39:14,052 --> 00:39:24,262 人には口にできぬ過去の一つや二つ あるものでございますな。 409 00:39:26,064 --> 00:39:32,237 私には 殿に話せぬことは 何もございませぬが…。 410 00:39:32,237 --> 00:39:38,743 まことか? 村岡が 泰は 相当な おてんばであったと。 411 00:39:38,743 --> 00:39:43,581 はて? 何のことでございましょう。 412 00:39:43,581 --> 00:39:48,453 御所のお庭で 鬼ごっこしていたことで ございましょうか? 413 00:39:48,453 --> 00:39:50,455 御所で!? 414 00:39:50,455 --> 00:39:56,928 桜の木に登って スズメの子を 捕まえたことでございましょうか? 415 00:39:56,928 --> 00:40:01,799 スズメの!? フフ…。 416 00:40:01,799 --> 00:40:08,640 ハハ… お主には かなわぬ。 417 00:40:08,640 --> 00:40:12,944 (笑い声) 418 00:40:21,152 --> 00:41:01,592 ♬~ 419 00:41:01,592 --> 00:41:05,763 極楽組。 囮になっていただきたいのです。 420 00:41:05,763 --> 00:41:09,400 「父上もろとも 龍雲寺を焼き払うとしよう」。 421 00:41:09,400 --> 00:41:11,936 地獄をはう鬼の道だ。 422 00:41:11,936 --> 00:41:14,839 うっ…! 423 00:41:14,839 --> 00:41:17,608 吽慶さん! うわ~! 424 00:41:17,608 --> 00:41:21,279 ものは ついでじゃ。 はあ はあ…。 425 00:41:21,279 --> 00:41:43,134 ♬~ 426 00:41:43,134 --> 00:41:45,169 ♬~ 427 00:41:45,169 --> 00:42:05,089 ♬~ 428 00:42:05,089 --> 00:42:56,274 ♬~