1 00:01:22,198 --> 00:01:24,133 2 00:01:24,133 --> 00:01:29,133 (雷鳴) 3 00:01:35,211 --> 00:01:38,211 (雷鳴) 4 00:01:41,084 --> 00:01:45,221 (ナレーター) <戦国乱世は遠い昔のことながら➡ 5 00:01:45,221 --> 00:01:48,221 武士の魂 やはり剣> 6 00:01:51,094 --> 00:01:53,096 <あえて 戦がなければこそ➡ 7 00:01:53,096 --> 00:01:58,234 腕に覚えの剣客どもは 売り込み合戦に明け暮れる> 8 00:01:58,234 --> 00:02:04,107 <いや まさしく 昨今 剣術は商売なり> 9 00:02:04,107 --> 00:02:14,250 ♬~ 10 00:02:14,250 --> 00:02:29,198 ♬~ 11 00:02:29,198 --> 00:02:40,209 ♬~ 12 00:02:40,209 --> 00:03:00,229 ♬~ 13 00:03:00,229 --> 00:03:20,249 ♬~ 14 00:03:20,249 --> 00:03:34,197 ♬~ 15 00:03:34,197 --> 00:03:48,197 ♬~ 16 00:03:53,216 --> 00:04:06,229 ♬~ 17 00:04:06,229 --> 00:04:25,181 ♬~ 18 00:04:25,181 --> 00:04:45,201 ♬~ 19 00:04:45,201 --> 00:04:50,201 ♬~ 20 00:04:54,210 --> 00:04:59,210 <三冬が住まいなす 根岸の寮である> 21 00:05:05,221 --> 00:05:08,221 <小兵衛が呼ばれてきた> 22 00:05:10,093 --> 00:05:15,231 (道歩)この書状が届けられたのは 3日前の昼過ぎ 23 00:05:15,231 --> 00:05:19,102 娘 房野の帰りが遅いと 家の者が 24 00:05:19,102 --> 00:05:23,039 ようやく心配し始めたころの ことでございました 25 00:05:23,039 --> 00:05:26,175 (小兵衛)侍だと申されましたな? はい 26 00:05:26,175 --> 00:05:29,078 受け取ったのは 住み込みの下男でございましたが 27 00:05:29,078 --> 00:05:33,078 身なりは きちりとした侍だったと 28 00:05:35,184 --> 00:05:40,184 (大月)((これを… 村岡道歩先生に間違いなく)) 29 00:05:44,193 --> 00:05:46,193 (男性)((あの…)) 30 00:05:51,067 --> 00:05:57,206 「娘御の命が惜しくば おひとりで 浅草 山谷堀の三好屋へ➡ 31 00:05:57,206 --> 00:06:01,077 『大月の客』と申して」と 書いてあるが… 32 00:06:01,077 --> 00:06:06,215 はい ですから 家の者には お上に届け出るのは➡ 33 00:06:06,215 --> 00:06:10,086 今少し待つようにと命じて この書状のとおりに… 34 00:06:10,086 --> 00:06:13,089 で… 行かれたのですか? 三好屋へ 35 00:06:13,089 --> 00:06:15,224 はい 36 00:06:15,224 --> 00:06:19,095 それで 大月と申す男は? 37 00:06:19,095 --> 00:06:24,033 いや それが… 通された部屋には 誰も… 38 00:06:24,033 --> 00:06:27,170 いなかったのかえ? はい 39 00:06:27,170 --> 00:06:32,041 で… しばらく待っておりますと 女中が やってまいりまして➡ 40 00:06:32,041 --> 00:06:34,041 裏口へ出るようにと… 41 00:06:37,180 --> 00:06:39,115 ≪(大月)((では…)) 42 00:06:39,115 --> 00:06:42,115 (女中)((ありがとうございます)) 43 00:06:44,053 --> 00:06:46,189 ((あのぅ…)) (大月)((ご無礼つかまつる)) 44 00:06:46,189 --> 00:06:48,189 ((えっ?)) 45 00:06:51,060 --> 00:06:53,062 ((あっ…)) 46 00:06:53,062 --> 00:07:10,213 ♬~ 47 00:07:10,213 --> 00:07:21,224 ♬~ 48 00:07:21,224 --> 00:07:25,094 (道歩)どこをどう歩いたのか 全く見当がつきませぬ 49 00:07:25,094 --> 00:07:28,030 半刻は かかったように思われました 50 00:07:28,030 --> 00:07:33,030 大名屋敷に… はい そのように思われました 51 00:07:37,173 --> 00:07:42,044 ((毒薬? 毒薬を 調合せよと申されるのか?)) 52 00:07:42,044 --> 00:07:47,183 ((人ひとりの命…)) 53 00:07:47,183 --> 00:07:55,057 ((名医として聞こえの高い 村岡道歩どののこと…)) 54 00:07:55,057 --> 00:07:57,193 ((造作もあるまい)) 55 00:07:57,193 --> 00:08:03,065 ((医者というものは 人の命を救うため 己の技を磨く)) 56 00:08:03,065 --> 00:08:06,202 ((奪うためのものでは…)) 57 00:08:06,202 --> 00:08:09,105 ((救えばよいではないか…)) 58 00:08:09,105 --> 00:08:13,075 ((娘御の命を…)) 59 00:08:13,075 --> 00:08:16,212 ((7日の猶予をやる)) 60 00:08:16,212 --> 00:08:22,018 ((7日 過ぎても 心が定まらぬときは…)) 61 00:08:22,018 --> 00:08:27,156 ((娘御の命をいただく)) 62 00:08:27,156 --> 00:08:31,027 ((よいか? 決心がついたならば➡ 63 00:08:31,027 --> 00:08:38,167 表の木戸門の上に 赤い紙切れを貼り付けるのだ)) 64 00:08:38,167 --> 00:08:43,039 ((さすれば また お迎えに参上しよう)) 65 00:08:43,039 --> 00:08:47,176 一体 どうすればよいのか… 66 00:08:47,176 --> 00:08:52,048 3日の間 思案し尽くしたのでございますが 67 00:08:52,048 --> 00:08:57,048 娘の命は惜しく… さりとて 毒薬など… 68 00:09:00,189 --> 00:09:03,092 思い余って 三冬さまに… 69 00:09:03,092 --> 00:09:05,061 (三冬)道歩先生は➡ 70 00:09:05,061 --> 00:09:09,198 私の伯父 和泉屋吉右衛門の 長年の掛かりつけ 71 00:09:09,198 --> 00:09:14,070 それで 内々に ご相談があったのです 72 00:09:14,070 --> 00:09:17,073 力になっていただけましょうか? 73 00:09:17,073 --> 00:09:20,209 うむ… 無論のこと 74 00:09:20,209 --> 00:09:24,080 いや これは奉行所などに 届け出ぬほうがよいわ 75 00:09:24,080 --> 00:09:27,016 騒ぎ立てては 娘御のお命がな 76 00:09:27,016 --> 00:09:32,154 目隠しをされて 半刻も駕籠に揺られていたとの話 77 00:09:32,154 --> 00:09:36,025 わざと遠回りをしたようにも 思われますが うむ… 多分な 78 00:09:36,025 --> 00:09:43,165 となると この三好屋から さほど 遠くない所ということになる 79 00:09:43,165 --> 00:09:46,068 けれど 娘御の命を奪うなどと➡ 80 00:09:46,068 --> 00:09:49,038 単なる脅しでは ございますまいか? 81 00:09:49,038 --> 00:09:51,040 いやいや そうではあるまい 82 00:09:51,040 --> 00:09:56,178 有無も言わさぬ このやり方 どうも気になるな 83 00:09:56,178 --> 00:09:59,081 秋山先生! 娘 房野を… 84 00:09:59,081 --> 00:10:03,081 房野を何とぞ… 何とぞ お助けください! 85 00:10:05,187 --> 00:10:12,061 まだ18になったばっかりの たった1人の娘… 86 00:10:12,061 --> 00:10:14,196 心の優しい… 87 00:10:14,196 --> 00:10:22,004 色白で… まるで 兎のような かわいい娘にございます 88 00:10:22,004 --> 00:10:28,144 何としても… 何としても… 無事に この手に… 89 00:10:28,144 --> 00:10:33,015 色白で… 兎のような娘御か… 90 00:10:33,015 --> 00:10:43,159 ♬~ 91 00:10:43,159 --> 00:10:45,094 先生! おお 92 00:10:45,094 --> 00:10:50,032 いや 嘉助どの 雨の中の草むしり つらかろうと思うてな 93 00:10:50,032 --> 00:10:53,169 三冬どのも 手伝うてあげなさい はい! 94 00:10:53,169 --> 00:11:12,169 ♬~ 95 00:11:17,193 --> 00:11:21,063 (大治郎) 頼もう! お頼み申します! 96 00:11:21,063 --> 00:11:27,063 <翌日 村岡道歩の住まいを 見ず知らずの若者が訪ねてきた> 97 00:11:29,205 --> 00:11:33,075 どちらさまでございましょう? (大治郎)秋山小太郎と申す者です 98 00:11:33,075 --> 00:11:35,077 かねてより 道歩先生には➡ 99 00:11:35,077 --> 00:11:39,215 医学見習いとして 入門の許しを受けておりました 100 00:11:39,215 --> 00:11:54,230 ♬~ 101 00:11:54,230 --> 00:12:05,230 ♬~ 102 00:12:14,250 --> 00:12:18,120 (およし)見習いをお入れに なるのですか? このようなときに 103 00:12:18,120 --> 00:12:21,123 いや… まあ そういうことになるが… 104 00:12:21,123 --> 00:12:23,058 どういうおつもりなのですか? 105 00:12:23,058 --> 00:12:27,196 房野が まだ戻ってこぬと… (道歩)およし! 106 00:12:27,196 --> 00:12:31,066 わたしに任せてくれないか? 頼む… 107 00:12:31,066 --> 00:12:35,070 わたしを信じて このまま じっとしててくれ 108 00:12:35,070 --> 00:12:37,070 なっ? 109 00:12:55,224 --> 00:13:05,234 ♬~ 110 00:13:05,234 --> 00:13:08,137 (弥七)おう おみね! お前 一体 何の真似だ? 111 00:13:08,137 --> 00:13:10,105 (おみね)だって 話の邪魔しちゃいけないと思って 112 00:13:10,105 --> 00:13:12,107 馬鹿 そんな静かに歩いてきたらな 113 00:13:12,107 --> 00:13:15,244 泥棒か何かと思うじゃねえかよ (おみね)あら そう? 114 00:13:15,244 --> 00:13:17,179 (徳次郎)そうそう! 親分は➡ 115 00:13:17,179 --> 00:13:21,116 おかみさんの やることなすこと み~んな気になっちまうんで 116 00:13:21,116 --> 00:13:25,116 (笑い声) 117 00:13:27,189 --> 00:13:31,060 ハァ… すみません どうも 話の腰を折っちまって 118 00:13:31,060 --> 00:13:34,063 夫婦仲が良うて 結構なことだ 119 00:13:34,063 --> 00:13:36,198 いえいえ… (笑い声) 120 00:13:36,198 --> 00:13:38,133 ほら 徳! (徳次郎)へい 121 00:13:38,133 --> 00:13:43,072 で… 先生は その兎のお嬢さまを かどわかした奴らってのが➡ 122 00:13:43,072 --> 00:13:46,208 大身の旗本か 大名だと おっしゃるんで? 123 00:13:46,208 --> 00:13:48,143 うむ… 恐らくな 124 00:13:48,143 --> 00:13:51,080 まあ 雲をつかむような話で 悪いのだが… 125 00:13:51,080 --> 00:13:59,221 その下屋敷… それも 浅草から さほど離れていない場所 126 00:13:59,221 --> 00:14:01,156 その辺りを 当たってみてくれぬか? 127 00:14:01,156 --> 00:14:03,092 分かりやした 128 00:14:03,092 --> 00:14:07,096 屋敷に出入りの商人から 中間部屋の博打の客まで➡ 129 00:14:07,096 --> 00:14:10,232 しらみつぶしに 当たってみやしょう なあ? 130 00:14:10,232 --> 00:14:15,104 へい! そりゃもう うむ… その意気で頼むぞ 131 00:14:15,104 --> 00:14:19,104 これはな 当座の探索の足しにしてくれ 132 00:14:26,181 --> 00:14:31,053 あと3日… あしたになれば あと2日か… 133 00:14:31,053 --> 00:14:33,055 (おはる)先生? うん? 134 00:14:33,055 --> 00:14:38,193 何が2日なんです? いやいや 何でもない 135 00:14:38,193 --> 00:14:40,129 あっ そうだ 先生 うん… 136 00:14:40,129 --> 00:14:43,065 昼間 道場のほうに お掃除に行ったら… おお 137 00:14:43,065 --> 00:14:47,202 誰かが訪ねてきていたよ 大治郎にではなく わしにか? 138 00:14:47,202 --> 00:14:50,105 そう 昔 お世話になったんだと うん… 139 00:14:50,105 --> 00:14:55,077 内田… 内田 何とかっていう 熊みてえな 140 00:14:55,077 --> 00:14:57,212 熊? うん 141 00:14:57,212 --> 00:15:01,083 こう ずんぐりしていて 毛むくじゃらで… 142 00:15:01,083 --> 00:15:03,085 内田… うん 143 00:15:03,085 --> 00:15:07,222 あっ 内田久太郎! いや わしの昔の弟子じゃ そう 144 00:15:07,222 --> 00:15:11,093 いや その当時からな 門人どもに 「熊 熊」と呼ばれておった 145 00:15:11,093 --> 00:15:14,096 どうしても会いてえから また あした来るんだと ほう 146 00:15:14,096 --> 00:15:18,233 わたしが女房だって言ったら びっくりしてただよ ハッハッハ! 147 00:15:18,233 --> 00:15:22,104 もう! そりゃ びっくりするわさ 148 00:15:22,104 --> 00:15:29,104 そうか 内田の熊か… これはまた 珍しいな 149 00:15:35,184 --> 00:15:43,058 ≪(掛け声) 150 00:15:43,058 --> 00:15:49,058 (掛け声) 151 00:15:51,200 --> 00:15:54,103 (内田)テヤーッ! フゥ… 152 00:15:54,103 --> 00:15:57,072 ンン! テヤーッ! 153 00:15:57,072 --> 00:15:59,074 アアッ… 154 00:15:59,074 --> 00:16:03,212 (笑い声) 155 00:16:03,212 --> 00:16:05,147 秋山先生! 156 00:16:05,147 --> 00:16:09,084 熊よ 相変わらず 熱心じゃが もうひとつじゃのぅ 157 00:16:09,084 --> 00:16:11,086 ハッ! 158 00:16:11,086 --> 00:16:16,225 なに? 仕官が かなった? それは本当か? 159 00:16:16,225 --> 00:16:19,128 はい! この7日ほど前 正式に… 160 00:16:19,128 --> 00:16:24,032 9500石の旗本 花房筑後守秀方さまの家来に 161 00:16:24,032 --> 00:16:28,170 それは大身じゃ! あと500を加えれば1万石 162 00:16:28,170 --> 00:16:32,040 もはや 大名ではないか! はっ! 163 00:16:32,040 --> 00:16:36,044 親の代からの浪々の暮らしとも これで ようやく… 164 00:16:36,044 --> 00:16:40,182 それもこれも いまひとつ 力の足りぬ わたしに 165 00:16:40,182 --> 00:16:43,085 無外流認定の 折紙をお与えくださった➡ 166 00:16:43,085 --> 00:16:48,056 先生のおかげでございます ハッハッハ! なに 少々 おまけよ 167 00:16:48,056 --> 00:16:53,195 お前の熱心さが 気に入ってな そうか 良かった良かった… 168 00:16:53,195 --> 00:16:59,067 その折紙が ものを言うてくれたか はっ! 叔父の知り合いに➡ 169 00:16:59,067 --> 00:17:03,205 花房家のご家中の方が おられまして そのお方が➡ 170 00:17:03,205 --> 00:17:07,075 奥御用人の曽我権左衛門さまに お引き合わせくださったのです 171 00:17:07,075 --> 00:17:13,215 そうか そのご家中の方のご恩義 終生 忘れるでないぞ 172 00:17:13,215 --> 00:17:19,087 はい! 大月弥惣次さまと 申される お方でございます 173 00:17:19,087 --> 00:17:21,089 大月? 174 00:17:21,089 --> 00:17:25,160 先生 いかがなされました? えっ? いやいや 175 00:17:25,160 --> 00:17:29,031 で… その花房さまのお屋敷は どの辺りじゃ? 176 00:17:29,031 --> 00:17:35,031 赤坂は溜池でございますが わたしは 三ノ輪の下屋敷のほうへ 177 00:17:37,172 --> 00:17:39,107 うむ… 178 00:17:39,107 --> 00:17:45,047 どうじゃ? 熊… 積もる話もある どこぞで 昼飯でも食わんか? 179 00:17:45,047 --> 00:17:49,184 はっ… お気持ちは うれしゅうございますが ちと… 180 00:17:49,184 --> 00:17:52,087 なに? 都合が悪いのか 181 00:17:52,087 --> 00:17:56,058 いや それは… 182 00:17:56,058 --> 00:18:00,195 熊… どうかしたのか? 183 00:18:00,195 --> 00:18:04,066 わたし… 今 差し迫った役目に 就いておりまして 184 00:18:04,066 --> 00:18:07,069 めったに お屋敷を空けることは… 185 00:18:07,069 --> 00:18:11,206 きのう 今日 抜け出したのは どうしても 秋山先生に➡ 186 00:18:11,206 --> 00:18:15,077 こたびの ご報告と お礼を 申し上げたかったために➡ 187 00:18:15,077 --> 00:18:18,077 矢も盾もたまらず… 188 00:18:20,215 --> 00:18:23,215 先生 失礼いたします うむ… 189 00:18:25,053 --> 00:18:32,160 ♬~ 190 00:18:32,160 --> 00:18:35,063 ♬~ 大月弥惣次… 191 00:18:35,063 --> 00:18:53,181 ♬~ 192 00:18:53,181 --> 00:19:07,195 ♬~ 193 00:19:07,195 --> 00:19:17,205 ♬~ 194 00:19:17,205 --> 00:19:32,154 ♬~ 195 00:19:32,154 --> 00:19:34,089 (たたく音) 196 00:19:34,089 --> 00:19:38,026 内田久太郎にございます! ただいま立ち戻りました! 197 00:19:38,026 --> 00:19:40,026 ご開門ください! 198 00:19:46,168 --> 00:19:51,039 内田どの 今 お帰りかな? (内田)はっ! これは 大月さま 199 00:19:51,039 --> 00:19:55,177 手前 勝手にも 外出の許可を いただき ありがとうございました 200 00:19:55,177 --> 00:19:59,047 いやいや 一刻も早く 恩師に 仕官の喜びを伝えたいという➡ 201 00:19:59,047 --> 00:20:02,050 そこもとの気持ち 分からぬではない 202 00:20:02,050 --> 00:20:09,191 これで当面の心残りはなかろう 勤めに いそしむことだな 203 00:20:09,191 --> 00:20:13,061 ははっ! 内田久太郎 命に代えましても 204 00:20:13,061 --> 00:20:15,061 うむ! 205 00:20:21,203 --> 00:20:23,138 ≪(侍)よっと… ハハッ… 206 00:20:23,138 --> 00:20:27,009 (侍)おお 帰ったか! 助かった (内田)どうもすいません 207 00:20:27,009 --> 00:20:29,011 房野さまのご様子は? 208 00:20:29,011 --> 00:20:33,148 困ったものさ 分かるだろう? 209 00:20:33,148 --> 00:20:36,051 食事は お済みに? (侍)ああ 済んだよ 210 00:20:36,051 --> 00:20:40,022 だが ひと言も 口を利かん 貴様じゃないと駄目なようだ 211 00:20:40,022 --> 00:20:42,022 (笑い声) 212 00:20:51,166 --> 00:20:55,037 房野さま! 内田です! 久太郎です! 213 00:20:55,037 --> 00:20:59,041 ただいま帰りました! 214 00:20:59,041 --> 00:21:02,177 房野さま! 215 00:21:02,177 --> 00:21:05,080 房野さま? 216 00:21:05,080 --> 00:21:07,080 房野さま 入りますぞ 217 00:21:09,051 --> 00:21:15,190 ♬~ 218 00:21:15,190 --> 00:21:19,061 房野さま! 何をなさるんですか! (房野)離して! 219 00:21:19,061 --> 00:21:21,063 房野さま! (房野)離してください 220 00:21:21,063 --> 00:21:24,199 おやめください! 221 00:21:24,199 --> 00:21:26,134 (房野)ウッ… (内田)房野さま! 222 00:21:26,134 --> 00:21:29,071 (房野)痛い… (内田)一体 何をなさるんです!? 223 00:21:29,071 --> 00:21:33,208 死ぬんです だから ほっといて! 224 00:21:33,208 --> 00:21:36,111 房野さま! どうしたのです? 225 00:21:36,111 --> 00:21:39,081 誰かに 意地悪でもされたのですか? 226 00:21:39,081 --> 00:21:42,217 意地悪なのは久太郎さまです! 227 00:21:42,217 --> 00:21:45,120 わたしひとり こんな所に残して… 228 00:21:45,120 --> 00:21:50,092 きのうも… また今日も どこかへ… 229 00:21:50,092 --> 00:21:53,228 それは… ちと大事な用件がありまして 230 00:21:53,228 --> 00:21:57,099 わたしより大事な? (内田)とんでもない! 231 00:21:57,099 --> 00:22:00,099 わたしにとっては 何よりも 房野さまが… 232 00:22:03,238 --> 00:22:06,141 嘘って 顔に書いてある 233 00:22:06,141 --> 00:22:08,141 そんな! 234 00:22:10,112 --> 00:22:14,112 痛い… ほら こんなに… 235 00:22:18,253 --> 00:22:23,091 ずっと… ずっと… 出かけてる間 気になっていたんです 236 00:22:23,091 --> 00:22:27,062 だから 急いで帰ってきたんです 237 00:22:27,062 --> 00:22:31,199 お役目だからでしょう? わたしを見張るのが… 238 00:22:31,199 --> 00:22:33,135 本当は わたしのことなんて➡ 239 00:22:33,135 --> 00:22:36,071 死のうと 生きようと どうなったっていいんでしょう? 240 00:22:36,071 --> 00:22:40,071 そんなんじゃない! 違います 241 00:22:43,211 --> 00:22:47,082 だったら わたしと一緒に逃げて (内田)えっ? 242 00:22:47,082 --> 00:22:52,220 いいでしょう? わたしをここから連れ出して 243 00:22:52,220 --> 00:22:57,220 それは いけません! わたしの立場で それはできません 244 00:23:02,230 --> 00:23:05,133 やっぱり そう言うと思ったわ 245 00:23:05,133 --> 00:23:08,103 房野さま 246 00:23:08,103 --> 00:23:12,240 だって わたしは 殺されるかもしれないのよ 247 00:23:12,240 --> 00:23:16,111 いいえ 本当に殺されるのよ 248 00:23:16,111 --> 00:23:18,113 また そういうことを… 249 00:23:18,113 --> 00:23:22,050 そんなことは決してありません! 決して 250 00:23:22,050 --> 00:23:26,188 言い切れるの? (内田)もちろんです 251 00:23:26,188 --> 00:23:29,090 あなたが いい子にして もうしばらく➡ 252 00:23:29,090 --> 00:23:33,061 辛抱していただければ 必ず ご両親のもとへ お返しします 253 00:23:33,061 --> 00:23:35,197 お約束いたします 254 00:23:35,197 --> 00:23:38,099 「もうしばらく」って いつまで? 255 00:23:38,099 --> 00:23:42,070 それは… 一件が落着するまで 256 00:23:42,070 --> 00:23:45,207 いつ 落着するの? 257 00:23:45,207 --> 00:23:49,077 房野さま… わたしは新参者で➡ 258 00:23:49,077 --> 00:23:52,080 まだ 詳しい事情は 教えてもらえんのです 259 00:23:52,080 --> 00:23:55,217 ただ お家の大事のために➡ 260 00:23:55,217 --> 00:24:01,089 あなたを保護し お守りするように 命じられてるだけです 261 00:24:01,089 --> 00:24:06,228 しかし これだけは言える いくら お家の大事でも➡ 262 00:24:06,228 --> 00:24:13,101 大身の旗本が一介の町娘の命を 奪うことはない 絶対にない 263 00:24:13,101 --> 00:24:15,237 それが武士というものです 264 00:24:15,237 --> 00:24:20,108 わたしは信じています あなたをここに お連れしたのも➡ 265 00:24:20,108 --> 00:24:25,046 きっと やむにやまれぬ事情が あったからです 266 00:24:25,046 --> 00:24:31,046 何事かが終われば あなたはきっと 無事 解き放たれます 267 00:24:34,189 --> 00:24:49,204 ♬~ 268 00:24:49,204 --> 00:24:52,107 駕籠に押し込まれるときに 破れたのよ 269 00:24:52,107 --> 00:25:00,215 ♬~ 270 00:25:00,215 --> 00:25:04,085 お母さまが 作ってくださった着物… 271 00:25:04,085 --> 00:25:07,085 お母さまの お気持ちが こもっている 272 00:25:10,225 --> 00:25:12,225 それを 引き裂いたのは あなたたちよ! 273 00:25:15,096 --> 00:25:19,234 あなたたちに どんな言い分が あるのか わたしは知らない 274 00:25:19,234 --> 00:25:22,137 あなただって 何も聞かされて いないっていうんだから➡ 275 00:25:22,137 --> 00:25:24,072 しかたない… 276 00:25:24,072 --> 00:25:29,044 でも この着物を引き裂いたって ことだけは忘れないで! 277 00:25:29,044 --> 00:25:31,179 お母さまの お気持ちを➡ 278 00:25:31,179 --> 00:25:34,179 踏みにじったことだけは 忘れないで! 279 00:25:36,051 --> 00:25:39,054 忘れませぬ 280 00:25:39,054 --> 00:25:46,194 房野さまの お身の上についての 責めは わたしが負います 281 00:25:46,194 --> 00:25:51,066 こののち 何があろうとも わたしが守ってみせます 282 00:25:51,066 --> 00:25:55,203 おっしゃるとおり 花房家の三ノ輪の下屋敷➡ 283 00:25:55,203 --> 00:25:58,106 調べてみたんですが どうやら ずばりですぜ 284 00:25:58,106 --> 00:26:01,076 あの屋敷は長え間 殿さまのおなりがなくて➡ 285 00:26:01,076 --> 00:26:03,078 がらんとしてたそうなんで 286 00:26:03,078 --> 00:26:08,216 ところが この10日ほど前から 妙に 人の出入りが多くて➡ 287 00:26:08,216 --> 00:26:11,119 うかつには 近寄ることも できねえそうなんです 288 00:26:11,119 --> 00:26:13,088 その中で いちばん偉そうにしてる奴が➡ 289 00:26:13,088 --> 00:26:15,090 奥御用人の曽我権左衛門 290 00:26:15,090 --> 00:26:21,229 その下で 侍たちを束ねているのが 大月弥惣次だそうですぜ 291 00:26:21,229 --> 00:26:23,229 そうか… 292 00:26:25,100 --> 00:26:29,037 いや まったく 何が9500石じゃ 馬鹿な奴め! 293 00:26:29,037 --> 00:26:33,174 …てことは 何ですかい? 大先生の昔の弟子の熊さんって方 294 00:26:33,174 --> 00:26:36,077 そいつらの 手下になんなすったんですかい 295 00:26:36,077 --> 00:26:39,047 馬鹿! 手下って言いぐさは ねえだろう お前 いや 確かに➡ 296 00:26:39,047 --> 00:26:44,185 熊の奴 かどわかされた兎どのの 見張りをしているのやもしれぬ 297 00:26:44,185 --> 00:26:46,121 いや もしかするとじゃ➡ 298 00:26:46,121 --> 00:26:50,058 そのためだけに 雇われたのかもしれぬな 299 00:26:50,058 --> 00:26:55,196 兎と熊… 妙な取り合わせでござんすねえ 300 00:26:55,196 --> 00:27:01,069 うむ… 熊の奴め いつまで 手を焼かせることやら 301 00:27:01,069 --> 00:27:05,069 しかし やっとこれで 目に見えぬ敵に追いついたわ 302 00:27:19,220 --> 00:27:22,123 じい! 私が やろう 303 00:27:22,123 --> 00:27:24,059 (嘉助) えっ!? いえいえ もったいない 304 00:27:24,059 --> 00:27:26,059 かまわぬ 305 00:27:41,176 --> 00:27:43,176 (せきばらい) 306 00:27:45,046 --> 00:27:49,050 (生島)花房筑後守は 旗本の最高位にあって➡ 307 00:27:49,050 --> 00:27:52,187 2万石 3万石の大名よりは➡ 308 00:27:52,187 --> 00:27:55,090 内情が はるかに裕福だと お聞きしている 309 00:27:55,090 --> 00:28:00,061 その下屋敷は 確かに 下谷の外れの三ノ輪 310 00:28:00,061 --> 00:28:04,199 村岡道歩が 駕籠で運ばれた屋敷と見て➡ 311 00:28:04,199 --> 00:28:06,134 おかしくはない場所でござる 312 00:28:06,134 --> 00:28:09,070 いや 思えば 正に 「瓢箪から駒」 313 00:28:09,070 --> 00:28:13,208 熊の奴めの口から 大月なにがしの名前を聞いて➡ 314 00:28:13,208 --> 00:28:15,143 もしやと思いましてな 315 00:28:15,143 --> 00:28:19,080 でも 一介の町医者の 娘をかどわかしてまで➡ 316 00:28:19,080 --> 00:28:23,017 毒薬を手に入れねばならぬような どんな訳があったのでしょうか? 317 00:28:23,017 --> 00:28:25,153 さあ そのことでござりまするが 318 00:28:25,153 --> 00:28:29,023 花房家の ご当主 秀方どのは当年60歳 319 00:28:29,023 --> 00:28:34,162 しかも この2年ほどは 病の床に就かれたきりで➡ 320 00:28:34,162 --> 00:28:39,033 誰も 顔を見たことがござらん ほう… 321 00:28:39,033 --> 00:28:43,171 その跡目について何か? 322 00:28:43,171 --> 00:28:49,043 秀方どのには27歳になる長男 一学どのが おわすが… 323 00:28:49,043 --> 00:28:54,182 ところが この一学どのの 出来が よろしくない 324 00:28:54,182 --> 00:29:00,054 何の病か 今日まで 嫁ももらえぬ有様だとか ほほぅ 325 00:29:00,054 --> 00:29:05,193 それに引き換え ご妾腹の将之助どのと申す お方が 326 00:29:05,193 --> 00:29:09,063 なかなかに利発な 生まれつきらしゅうござってな 327 00:29:09,063 --> 00:29:12,066 いや いろいろと もめ事があるようでござる 328 00:29:12,066 --> 00:29:15,203 うむ… なるほど そうか… 329 00:29:15,203 --> 00:29:18,106 先生 見えてまいりましたね 330 00:29:18,106 --> 00:29:22,010 うむ… 跡目を争って 一方が一方を毒殺せんとする 331 00:29:22,010 --> 00:29:25,013 その毒薬の調合に当たって➡ 332 00:29:25,013 --> 00:29:28,149 町医者として 評判の高い道歩どのに➡ 333 00:29:28,149 --> 00:29:33,021 白羽の矢を立てたのであろう さよう 花房家の出入りの医者では 334 00:29:33,021 --> 00:29:36,024 秘密が漏れると 考えたのでござりましょうなあ 335 00:29:36,024 --> 00:29:41,162 (笑い声) それにしても 間が抜けておるわ 336 00:29:41,162 --> 00:29:44,065 人質をとって 脅しをかければ➡ 337 00:29:44,065 --> 00:29:48,036 町方の者など 泣き寝入りをすると 思っておるのだ 338 00:29:48,036 --> 00:29:52,173 そうは ゆくものか! これから どうなされます? 339 00:29:52,173 --> 00:29:57,045 うむ… いちか ばちか… いちか ばちか? 340 00:29:57,045 --> 00:29:59,045 うむ… 341 00:30:01,182 --> 00:30:06,054 鬼ヶ島の鬼退治でござるよ 342 00:30:06,054 --> 00:30:09,054 (笑い声) 343 00:30:12,193 --> 00:30:15,096 <村岡邸の木戸門の上に➡ 344 00:30:15,096 --> 00:30:20,068 相手方への承諾の意を 示す赤い紙が貼り出されたのは➡ 345 00:30:20,068 --> 00:30:23,068 次の日の朝であった> 346 00:30:27,141 --> 00:30:31,012 房野さま! お喜びください 347 00:30:31,012 --> 00:30:35,016 ようやくにして お家へ ご両親のもとへ帰れますぞ 348 00:30:35,016 --> 00:30:37,151 えっ? 349 00:30:37,151 --> 00:30:39,087 上役の方々が その話をしていたんです 350 00:30:39,087 --> 00:30:41,022 何やら 事が上首尾に運んで➡ 351 00:30:41,022 --> 00:30:46,160 お父上の道歩さまが 房野さまを お迎えに上がる手はずだと 352 00:30:46,160 --> 00:30:50,031 ハハッ! いやぁ~ わたしも ほっとしました 353 00:30:50,031 --> 00:30:55,169 約束どおり 無傷のまま房野さまを ご両親のもとへ お返しできる 354 00:30:55,169 --> 00:30:57,169 無事 大任 果たせたというものです 355 00:30:59,040 --> 00:31:03,044 わたしを迎えに お父さまが? 356 00:31:03,044 --> 00:31:06,180 わたしは ここを出ていくの? (内田)そうですとも 357 00:31:06,180 --> 00:31:09,083 長い間 辛抱していただきましたが 358 00:31:09,083 --> 00:31:13,054 もう二度と このような所へ おいでいただくことはありません 359 00:31:13,054 --> 00:31:17,191 わたしも 肩の荷が下りて せいせいしました 360 00:31:17,191 --> 00:31:20,094 そう… そんなに うれしいの 361 00:31:20,094 --> 00:31:23,064 それはもう! 362 00:31:23,064 --> 00:31:26,200 そんなに わたしが お荷物だったの? 363 00:31:26,200 --> 00:31:29,103 はあ? 364 00:31:29,103 --> 00:31:33,074 いや… 房野さまは うれしくないんでございますか? 365 00:31:33,074 --> 00:31:37,211 うれしいわ (内田)だったら… 366 00:31:37,211 --> 00:31:41,082 でも まるで邪魔者みたいな そんな言われ方をしたら➡ 367 00:31:41,082 --> 00:31:44,085 女は 誰だって悲しいわ 368 00:31:44,085 --> 00:31:49,223 じゃ どうして連れてきたの? (内田)それは… 369 00:31:49,223 --> 00:31:55,096 お仕事だったからでしょう? しかたがなかったんでしょう? 370 00:31:55,096 --> 00:31:58,232 わたしのことなんか 大嫌いだったんでしょう? 371 00:31:58,232 --> 00:32:05,106 えっ!? 嫌いだなんて わたし ただの一度でも 申しましたか? 372 00:32:05,106 --> 00:32:09,243 やっかい払いができて 良かったこと… 373 00:32:09,243 --> 00:32:15,116 どうせ もう 一生 会いません あなたのお荷物にはなりません 374 00:32:15,116 --> 00:32:17,116 いや… 375 00:32:20,254 --> 00:32:27,061 (曽我)ご正室 松子さまも さぞや お待ちかねであろう 376 00:32:27,061 --> 00:32:34,202 いかに利発であっても 将之助さまは妾腹の子 377 00:32:34,202 --> 00:32:42,076 跡目を継ぐのは ご嫡子 一学さまでなければならん 378 00:32:42,076 --> 00:32:45,213 仰せのとおりにございまする 379 00:32:45,213 --> 00:32:51,085 しかしながら この一件 決して 外に漏れてはならぬこと 380 00:32:51,085 --> 00:33:00,228 将之助さまについては 病死として 御公儀に報告する 381 00:33:00,228 --> 00:33:11,239 同時に 屋敷で行われたことは すべて 闇から闇に葬らねばならん 382 00:33:11,239 --> 00:33:16,239 では… 村岡道歩と娘も? 383 00:33:21,249 --> 00:33:24,152 内田久太郎めも? 384 00:33:24,152 --> 00:33:27,054 内田? 385 00:33:27,054 --> 00:33:32,193 ああ… 見張りに雇うた男か 386 00:33:32,193 --> 00:33:37,064 当人は 仕官の夢が かのうたと 思い込んでおりますが 387 00:33:37,064 --> 00:33:43,204 ハハハッ! 愚か者めが… フッ… 388 00:33:43,204 --> 00:33:50,077 で… そやつは腕は立つのか? 389 00:33:50,077 --> 00:33:52,213 まあ そこそこに… 390 00:33:52,213 --> 00:33:57,084 ただ あの男 何を勘違いしてか➡ 391 00:33:57,084 --> 00:34:01,222 人質の娘に対し 妙に奥ゆかしき対応 392 00:34:01,222 --> 00:34:06,093 「それが武士の道だ」などと申して 393 00:34:06,093 --> 00:34:10,231 (舌打ち) 斬って捨てい 394 00:34:10,231 --> 00:34:18,105 どうせ 世の中に 縁も身寄りもない浪人者 395 00:34:18,105 --> 00:34:23,105 命の相場も安かろう (大月)はっ! 396 00:34:26,180 --> 00:34:30,180 案ずるな 落ち着いていなさい 397 00:34:52,206 --> 00:34:55,109 花房筑後守… やはり ここでしたか うむ… 398 00:34:55,109 --> 00:34:58,079 いよいよ 桃太郎の 鬼退治でございますね? 399 00:34:58,079 --> 00:35:02,216 ああ 老いぼれの桃太郎が 犬と猿を引き連れてな 400 00:35:02,216 --> 00:35:05,119 犬と猿… わたしは どちらでございましょう? 401 00:35:05,119 --> 00:35:08,089 ハッハッハ! どちらでも 好きなほうを取るがよい 402 00:35:08,089 --> 00:35:10,091 弥七… 403 00:35:10,091 --> 00:35:14,228 まさか 旗本屋敷へ 十手 持って 乗り込むわけにもいくまい 404 00:35:14,228 --> 00:35:18,099 あとは わしらに任せておけ 承知でござんす 405 00:35:18,099 --> 00:35:21,102 それじゃ 雉は 飛んでいっちまいやすんで➡ 406 00:35:21,102 --> 00:35:25,102 皆さん どうぞ お気をつけなすって ハッハッハ 407 00:35:30,177 --> 00:35:34,177 約束の品は? 408 00:35:37,051 --> 00:35:42,189 ここに (大月)では… いただこう 409 00:35:42,189 --> 00:35:47,061 いや! まず 娘を! 娘をこの手にお返しくだされ! 410 00:35:47,061 --> 00:35:49,061 …でなければ 411 00:35:51,198 --> 00:35:54,101 もっともなこと 412 00:35:54,101 --> 00:35:56,101 (開く音) 413 00:35:58,072 --> 00:36:00,207 父御が お待ちかねだ 414 00:36:00,207 --> 00:36:03,110 房野どの いざ まいられよ 415 00:36:03,110 --> 00:36:06,080 お父さまが? 416 00:36:06,080 --> 00:36:09,216 よろしゅうございましたな さあ! 417 00:36:09,216 --> 00:36:15,216 内田! 差し出がましいぞ お前は新参者だ ここに控えていろ 418 00:36:17,091 --> 00:36:19,091 はっ! 419 00:36:37,178 --> 00:36:55,196 ♬~ 420 00:36:55,196 --> 00:37:05,206 ♬~ 421 00:37:05,206 --> 00:37:08,109 あっ! 房野! (房野)お父さま! 422 00:37:08,109 --> 00:37:12,079 房野… つらかったろうなぁ… (泣き声) 423 00:37:12,079 --> 00:37:17,218 もう大丈夫だ 安心しなさい (泣き声) 424 00:37:17,218 --> 00:37:22,056 さあ… (大月)村岡どの これでよかろう 425 00:37:22,056 --> 00:37:26,056 約束の品を渡されよ 426 00:37:42,176 --> 00:37:44,176 (合図) 427 00:37:46,047 --> 00:37:50,051 お父さま… (曽我)眠らせい 428 00:37:50,051 --> 00:37:53,051 何をする! (侍)ええい! 429 00:37:57,191 --> 00:38:01,062 ウッ… (道歩)秋山先生! 430 00:38:01,062 --> 00:38:05,066 貴様! このお屋敷を何と心得る? 431 00:38:05,066 --> 00:38:07,201 化け物屋敷じゃろうが! 432 00:38:07,201 --> 00:38:10,104 あまり 世間を騒がすから わしらが大掃除に やって来た 433 00:38:10,104 --> 00:38:12,073 なにっ!? (大治郎)ご用人どの! 434 00:38:12,073 --> 00:38:17,211 先程 お渡しした薬は 私が調合した胃腸の妙薬だ! 435 00:38:17,211 --> 00:38:19,146 (笑い声) なにぃ!? 436 00:38:19,146 --> 00:38:30,157 ♬~ 437 00:38:30,157 --> 00:38:48,175 ♬~ 438 00:38:48,175 --> 00:38:53,047 ≪(騒ぎ声) 439 00:38:53,047 --> 00:39:03,190 ♬~ 440 00:39:03,190 --> 00:39:20,207 ♬~ 441 00:39:20,207 --> 00:39:23,207 観念せい! 化け物めが! 442 00:39:27,014 --> 00:39:29,016 ≪(内田)房野さまーっ! 443 00:39:29,016 --> 00:39:38,159 ♬~ 444 00:39:38,159 --> 00:39:40,159 狼藉者! 445 00:39:42,029 --> 00:39:46,033 アッ! (侍)ウワッ! 446 00:39:46,033 --> 00:39:49,170 ウッ… ウウ… 447 00:39:49,170 --> 00:39:51,170 やめて! 448 00:40:04,185 --> 00:40:09,056 嫌です… この人を殺しては嫌! 449 00:40:09,056 --> 00:40:13,194 いや! いや! 450 00:40:13,194 --> 00:40:16,096 いや いや! 451 00:40:16,096 --> 00:40:22,002 房野! お前 一体!? どうして? 452 00:40:22,002 --> 00:40:27,141 分かんない… 分かんない… 453 00:40:27,141 --> 00:40:32,012 でも いや! いや… (泣き声) 454 00:40:32,012 --> 00:40:41,155 (泣き声) 455 00:40:41,155 --> 00:40:56,155 ♬~ 456 00:40:58,172 --> 00:41:03,043 ≪ この度の一件はな ご老中 田沼さまの命によって➡ 457 00:41:03,043 --> 00:41:07,181 評定所の扱いとなった 458 00:41:07,181 --> 00:41:12,181 切腹を含めた 厳しい処罰が下るはずじゃ 459 00:41:15,055 --> 00:41:18,192 致し方あるまい 460 00:41:18,192 --> 00:41:21,095 いかに ご妾腹とはいいながら➡ 461 00:41:21,095 --> 00:41:26,066 跡目の決まった若君を 暗殺しようとしたのじゃからな 462 00:41:26,066 --> 00:41:29,203 お前は その辺りの詳しい事情を➡ 463 00:41:29,203 --> 00:41:35,075 何も知らずに 悪党どもの 手伝いをしていたのであろう 464 00:41:35,075 --> 00:41:39,213 はっ! 誠をもって 返す返すも… 465 00:41:39,213 --> 00:41:41,148 馬鹿者めが! 466 00:41:41,148 --> 00:41:49,223 まあ 本来ならば その腹を 切らねば収まらぬところじゃが➡ 467 00:41:49,223 --> 00:41:52,126 御公儀の格別の計らいがあって➡ 468 00:41:52,126 --> 00:41:57,097 3年間 江戸四方所払い 469 00:41:57,097 --> 00:41:59,097 はあ!? 470 00:42:01,235 --> 00:42:07,107 なぜ このような 軽い処分で済んだと思う? 471 00:42:07,107 --> 00:42:09,107 いえ… 472 00:42:12,246 --> 00:42:17,246 房野さんだよ… 白兎だよ 473 00:42:19,119 --> 00:42:24,119 泣いて… お前の命ごいを してくれたのだそうだ 474 00:42:28,195 --> 00:42:30,195 ゆめ忘れるでないぞ 475 00:42:38,205 --> 00:42:41,205 さあさあ 温かいうちに… 476 00:42:43,077 --> 00:42:48,215 この2~3日 あなたは 何も食べていないのでは? 477 00:42:48,215 --> 00:43:07,234 ♬~ 478 00:43:07,234 --> 00:43:27,187 ♬~ 479 00:43:27,187 --> 00:43:42,202 ♬~ 480 00:43:42,202 --> 00:43:46,202 <やがて 久太郎は あてもなく旅立った> 481 00:43:54,214 --> 00:44:07,227 ♬~ 482 00:44:07,227 --> 00:44:10,227 <房野は待った…> 483 00:44:16,236 --> 00:44:22,042 <降るような縁談も すべて断って ひたすら待ち続けた…> 484 00:44:22,042 --> 00:44:31,185 ♬~ 485 00:44:31,185 --> 00:44:34,088 <3年が過ぎた…> 486 00:44:34,088 --> 00:44:43,088 ♬~ 487 00:45:15,229 --> 00:45:17,164 久太郎さま! 488 00:45:17,164 --> 00:45:19,164 久太郎さま… 489 00:45:27,174 --> 00:45:32,174 (泣き声) 490 00:45:37,184 --> 00:45:42,055 (泣き声) 491 00:45:42,055 --> 00:45:48,195 へぇ~… 熊さんは お医者さまに なんなさるんかね? 492 00:45:48,195 --> 00:45:54,067 お侍をやめて 道歩先生の婿養子になって… 493 00:45:54,067 --> 00:45:59,206 思い切ったねえ 懲りちまったのかねえ 494 00:45:59,206 --> 00:46:01,141 なあ おはる 495 00:46:01,141 --> 00:46:05,141 人にはな 向き不向きというものがあるのさ 496 00:46:08,215 --> 00:46:10,215 これも運命だ 497 00:46:13,086 --> 00:46:15,088 おはる うん? 498 00:46:15,088 --> 00:46:19,226 この 小口茄子と切り胡麻の 味噌吸い物 なかなかいけるな 499 00:46:19,226 --> 00:46:21,161 そう? うん… 500 00:46:21,161 --> 00:46:24,064 おいしいかい? うん… うまい 501 00:46:24,064 --> 00:46:27,034 フフフッ… 502 00:46:27,034 --> 00:46:31,171 けど… なんで こんなことになったのかねえ? 503 00:46:31,171 --> 00:46:36,043 かわいい因幡の白兎と 毛むくじゃらの熊さんと… 504 00:46:36,043 --> 00:46:39,046 うんと おかしな取り合わせだ 505 00:46:39,046 --> 00:46:44,184 ハハッ! 人のことは言えんぞ おはる 506 00:46:44,184 --> 00:46:48,055 お前と わしも そう まともな 取り合わせではないわさ 507 00:46:48,055 --> 00:46:53,193 そうかねえ? そうだとも 508 00:46:53,193 --> 00:46:56,096 ふぅ~ん… (笑い声) 509 00:46:56,096 --> 00:47:00,096 あっ! 蛍だよ 先生! フフッ… 510 00:47:03,203 --> 00:47:08,075 <内田久太郎が 2代目の村岡道歩として➡ 511 00:47:08,075 --> 00:47:11,078 秋山小兵衛の最期を看取るのは➡ 512 00:47:11,078 --> 00:47:15,078 これより 30年ののちのことである> 513 00:47:27,160 --> 00:47:31,160 杢兵衛じゃからな ほ~んと 調子いいんだから 514 00:47:34,034 --> 00:47:36,034 母上… 515 00:47:39,172 --> 00:47:42,172 なんだって!? 嫌だ!