1 00:01:22,244 --> 00:01:24,179 2 00:01:24,179 --> 00:01:29,179 (雷鳴) 3 00:01:35,257 --> 00:01:38,257 (雷鳴) 4 00:01:41,129 --> 00:01:45,267 (ナレーター) <戦国乱世は遠い昔のことながら・ 5 00:01:45,267 --> 00:01:48,267 武士の魂 やはり剣> 6 00:01:51,139 --> 00:01:53,141 <あえて 戦がなければこそ・ 7 00:01:53,141 --> 00:01:58,280 腕に覚えの剣客どもは 売り込み合戦に明け暮れる> 8 00:01:58,280 --> 00:02:04,152 <いや まさしく 昨今 剣術は商売なり> 9 00:02:04,152 --> 00:02:15,297 ・~ 10 00:02:15,297 --> 00:02:29,244 ・~ 11 00:02:29,244 --> 00:02:43,258 ・~ 12 00:02:43,258 --> 00:02:55,270 ・~ 13 00:02:55,270 --> 00:03:06,281 ・~ 14 00:03:06,281 --> 00:03:21,296 ・~ 15 00:03:21,296 --> 00:03:30,105 ・~ 16 00:03:30,105 --> 00:03:42,250 ・~ 17 00:03:42,250 --> 00:03:59,267 ・~ 18 00:03:59,267 --> 00:04:08,267 ・~ 19 00:04:24,226 --> 00:04:32,100 <ここは 今をときめく老中 田沼主殿頭意次の浜町 中屋敷> 20 00:04:32,100 --> 00:04:36,238 <十代将軍 徳川家治の 深い寵愛を受け・ 21 00:04:36,238 --> 00:04:39,141 わずか300石の幕臣から・ 22 00:04:39,141 --> 00:04:44,112 天下を治める最高権力者へと のし上がった意次は・ 23 00:04:44,112 --> 00:04:47,249 また大いに武術を好み・ 24 00:04:47,249 --> 00:04:51,119 年に一度は こうした非公式の試合を催して・ 25 00:04:51,119 --> 00:04:56,119 江戸の剣客たちの 動向を知ることに努めていた> 26 00:04:58,260 --> 00:05:00,195 (剣士)ヤーッ! 27 00:05:00,195 --> 00:05:02,130 ま… まいった! 28 00:05:02,130 --> 00:05:07,130 (牛堀) 勝負あった! 秋山大治郎どの! 29 00:05:10,272 --> 00:05:13,175 (田沼)うむ! 強い 30 00:05:13,175 --> 00:05:19,281 (生島)これにて 6人の勝ち抜き 次は7人目にござります 31 00:05:19,281 --> 00:05:22,184 秋山小兵衛の せがれだと申したな? 32 00:05:22,184 --> 00:05:26,087 御意! 大治郎 一人息子だと言うておられました 33 00:05:26,087 --> 00:05:29,090 (田沼)うむ… 34 00:05:29,090 --> 00:05:33,228 奴め さぞかし 鼻が高かろう (生島)はっ! 35 00:05:33,228 --> 00:05:38,099 (侍)佐賀 鍋島藩 望月小弥太どの 36 00:05:38,099 --> 00:05:53,248 ・~ 37 00:05:53,248 --> 00:06:01,122 ・~ 38 00:06:01,122 --> 00:06:07,262 (望月)天源流 望月小弥太 (大治郎)無外流 秋山大治郎 39 00:06:07,262 --> 00:06:11,132 勝負一本… 始め! 40 00:06:11,132 --> 00:06:13,132 ・(太鼓の音) 41 00:06:17,272 --> 00:06:21,142 オオーッ! ハッ! 42 00:06:21,142 --> 00:06:36,224 ・~ 43 00:06:36,224 --> 00:06:47,235 ・~ 44 00:06:47,235 --> 00:06:50,235 ウオーッ! ウッ… 45 00:06:52,107 --> 00:06:55,110 秋山大治郎どの 46 00:06:55,110 --> 00:06:57,110 ハァ… 7人目… 47 00:07:10,258 --> 00:07:13,161 (笑い声) 48 00:07:13,161 --> 00:07:16,131 いやぁ~ 見事 見事 49 00:07:16,131 --> 00:07:21,269 8番目の… 「森なにがし」とか 申す剣士に敗れはしたが・ 50 00:07:21,269 --> 00:07:26,107 なぁに あれは さすがに疲れよ のう? 牛堀 51 00:07:26,107 --> 00:07:29,077 (笑い声) いや さよう 52 00:07:29,077 --> 00:07:33,214 江戸市中に 立派な道場を構える剣客たちや・ 53 00:07:33,214 --> 00:07:38,086 諸藩自慢の剣士たちばかりが 集まった中での7人抜き 54 00:07:38,086 --> 00:07:40,088 いや それが 年も若く・ 55 00:07:40,088 --> 00:07:44,225 名も顔も 全く知られていなかった ご子息の 56 00:07:44,225 --> 00:07:48,096 試合ぶりでござったからのう 皆 もう度肝を抜かれて… 57 00:07:48,096 --> 00:07:51,099 (小兵衛) もうもう そう褒めてくださるな 58 00:07:51,099 --> 00:07:55,236 図体ばかり でかくても まだまだ 世間知らずの はなたれ小僧 59 00:07:55,236 --> 00:07:58,139 思い上がって 天狗になられても困る 60 00:07:58,139 --> 00:08:03,111 一人息子… 諸国武者修行の旅に 出ておったそうだのぅ? 61 00:08:03,111 --> 00:08:06,247 はっ! いや 男子のたしなみとして・ 62 00:08:06,247 --> 00:08:10,118 まあ 幼きころより 手ほどきだけは しておりましたが 63 00:08:10,118 --> 00:08:14,122 15のころに 本人 どうしても剣士として生きたいと 64 00:08:14,122 --> 00:08:17,258 言いだしよりましてな それならば それ 65 00:08:17,258 --> 00:08:21,129 この父の手もとを離れなくては いかんと言い含めまして 66 00:08:21,129 --> 00:08:26,067 じゃが これから どうする? 大治郎の行く末については… 67 00:08:26,067 --> 00:08:30,205 真崎稲荷の近くの わしが道場を くれてやりましたわい 68 00:08:30,205 --> 00:08:34,075 あとは奴の勝手 生きようが 死のうが わしは知りませぬ 69 00:08:34,075 --> 00:08:37,078 楽隠居 …というわけでござるな? 70 00:08:37,078 --> 00:08:42,217 大川を渡った先の寺島村に 百姓屋を買い取りましてな 71 00:08:42,217 --> 00:08:47,088 あの世へ行くまで 侘びの住まいと いうところでござるかな 72 00:08:47,088 --> 00:08:51,088 (笑い声) 73 00:08:53,228 --> 00:09:10,245 ・~ 74 00:09:10,245 --> 00:09:27,195 ・~ 75 00:09:27,195 --> 00:09:44,212 ・~ 76 00:09:44,212 --> 00:09:54,222 ・~ 77 00:09:54,222 --> 00:10:00,095 <秋山小兵衛は 浅草の 真崎稲荷に近い大治郎の道場まで 78 00:10:00,095 --> 00:10:05,233 寺島村から大川を舟で渡っていく> 79 00:10:05,233 --> 00:10:19,247 ・~ 80 00:10:19,247 --> 00:10:36,197 ・~ 81 00:10:36,197 --> 00:10:40,068 ・ おはる! もう そのような… うん? 82 00:10:40,068 --> 00:10:43,071 ・ おはる! ・(おはる)だって… 83 00:10:43,071 --> 00:10:48,071 父上! ああ よいよい 続けろ続けろ 84 00:10:50,211 --> 00:10:54,082 また 麦飯に根深汁と 大根の漬物か? 85 00:10:54,082 --> 00:10:56,084 毎日が これでは 味気なかろう 86 00:10:56,084 --> 00:11:00,221 いいえ ゆっくりと かみしめて 腹の底へ収めれば・ 87 00:11:00,221 --> 00:11:03,124 なかなか味わい深いものです ハハッ そうか 88 00:11:03,124 --> 00:11:07,095 父上も いかがですか? いやいや 要らん要らん 89 00:11:07,095 --> 00:11:12,095 いや その… 晩飯を馳走になりに 来たわけではないのだ 90 00:11:19,240 --> 00:11:22,143 ・(大治郎)何か大事な話でも ございましょうか? 91 00:11:22,143 --> 00:11:27,115 うむ… まあ 大事といえば大事 92 00:11:27,115 --> 00:11:31,252 まあ これから 親子の行く末についての… 93 00:11:31,252 --> 00:11:35,123 覚悟といったようなものかな? 覚悟? 94 00:11:35,123 --> 00:11:40,261 うむ… まあ お前は この道場を 背負っていくことになる 95 00:11:40,261 --> 00:11:44,132 まだ1人も弟子は おらぬようだが なに 心配は要らん 96 00:11:44,132 --> 00:11:48,136 看板さえ出しておけば いずれ 集まってくる 97 00:11:48,136 --> 00:11:55,276 まあ わしは 少々の蓄えもあるし 金を得る術も心得ておる 98 00:11:55,276 --> 00:11:58,179 だから お前のやっかいには ならんし・ 99 00:11:58,179 --> 00:12:00,148 わしも お前の面倒は見ぬ 100 00:12:00,148 --> 00:12:04,285 まあ しょせん 人は ひとりじゃからな 101 00:12:04,285 --> 00:12:08,156 これから お互い 勝手次第に 暮らしていこうではないか 102 00:12:08,156 --> 00:12:12,160 承知いたしております ああ ハッハッハ! 103 00:12:12,160 --> 00:12:16,297 あ~ 実は その… 104 00:12:16,297 --> 00:12:20,168 あっ… え~… 105 00:12:20,168 --> 00:12:23,104 下女の おはるじゃがな はっ? 106 00:12:23,104 --> 00:12:28,104 いや あれに… 手をつけてしまった 107 00:12:30,245 --> 00:12:34,115 できたのじゃ 何がですか? 108 00:12:34,115 --> 00:12:38,119 「何がですか?」と 言うことはあるまい 男女の話じゃ 109 00:12:38,119 --> 00:12:42,257 わしとおはるが できてしもうたと 言うておるんじゃ 110 00:12:42,257 --> 00:12:45,159 …はっ! 111 00:12:45,159 --> 00:12:48,129 いや 実はな 大治郎 112 00:12:48,129 --> 00:12:52,267 お前が旅に出たのち わしは あるとき この… 113 00:12:52,267 --> 00:12:56,137 かつ然として 女体を好むように なってしもうてのぅ… 114 00:12:56,137 --> 00:13:00,141 今は 剣術よりも 女のほうが大好きじゃ 115 00:13:00,141 --> 00:13:08,283 (笑い声) 116 00:13:08,283 --> 00:13:12,153 おはるは19… わしとは40ばかり 年が違うがな 117 00:13:12,153 --> 00:13:15,156 いや おはるも 家へ来て もう2年になる 118 00:13:15,156 --> 00:13:19,294 わしの身の回りのことは 心得ておる 心配は要らん 119 00:13:19,294 --> 00:13:21,229 お前とわしとは これから・ 120 00:13:21,229 --> 00:13:24,132 勝手次第に 生きていくわけじゃから・ 121 00:13:24,132 --> 00:13:27,101 まあ このようなこと お前に話すことはないのだが 122 00:13:27,101 --> 00:13:30,238 いつまでも 内緒にしておくと いうわけには いかんのでな 123 00:13:30,238 --> 00:13:34,108 あ~ 含んでおいてくれ 124 00:13:34,108 --> 00:13:38,112 (ため息) そうでしたか それで… 125 00:13:38,112 --> 00:13:44,252 「それで」 何じゃ? いえ 先程から あちらに 126 00:13:44,252 --> 00:13:48,252 遠慮は要らぬ おはるどの 中へ入られよ 127 00:14:00,268 --> 00:14:03,268 さあさあ 上がられよ 128 00:14:05,139 --> 00:14:08,139 おはる! うん? 129 00:14:20,288 --> 00:14:25,126 話は伺いました 父上のお手がつきましたからには 130 00:14:25,126 --> 00:14:29,097 おはるどのは この大治郎にとって 母上も同然 131 00:14:29,097 --> 00:14:34,235 父上ともども 幾久しく よろしくお願いいたします 132 00:14:34,235 --> 00:14:38,106 (おはる)やだ 母上だなんて… 133 00:14:38,106 --> 00:14:43,244 大治郎さま おいくつになられます? 134 00:14:43,244 --> 00:14:45,179 25になります 135 00:14:45,179 --> 00:14:48,116 やだ! おら 19ですよ 136 00:14:48,116 --> 00:14:52,116 母上だなんて… こっぱずかしい! 137 00:14:59,260 --> 00:15:03,131 あ~ まずは かくのごときしだい お邪魔をした 138 00:15:03,131 --> 00:15:06,134 おい おはる! 139 00:15:06,134 --> 00:15:08,269 ・ おはる! 140 00:15:08,269 --> 00:15:22,216 ・~ 141 00:15:22,216 --> 00:15:29,090 ・~ 142 00:15:29,090 --> 00:15:34,228 どうだ? 機嫌は直ったか? うん? 143 00:15:34,228 --> 00:15:38,099 約束どおり せがれにも 引き合わせた これで文句あるまい 144 00:15:38,099 --> 00:15:41,102 大治郎さまは いい人だ 145 00:15:41,102 --> 00:15:44,238 おらは いい女房にもなるけど・ 146 00:15:44,238 --> 00:15:48,109 大治郎さまのために いい母上にもなってみせますよ 147 00:15:48,109 --> 00:15:54,248 ホッホッホ そうかそうか そうかそうか うん? 148 00:15:54,248 --> 00:15:57,151 さあ 行くか うん? 149 00:15:57,151 --> 00:16:17,151 ・~ 150 00:17:14,262 --> 00:17:16,262 ・(素振りの音) 151 00:17:23,070 --> 00:17:26,070 ・ たのもう! お頼み申す! 152 00:17:28,209 --> 00:17:33,080 拙者は野村佐兵衛と申す者 153 00:17:33,080 --> 00:17:41,222 実は先日の田沼さまお屋敷での お手前の剣技 拝見つかまつったが 154 00:17:41,222 --> 00:17:45,092 いやぁ まったくもって 感服つかまつった 155 00:17:45,092 --> 00:17:48,095 選び抜かれた 剛の者どもを相手の7人抜き 156 00:17:48,095 --> 00:17:56,237 その手練 太刀さばき 若年ながら 実に お見事としか言いようがない 157 00:17:56,237 --> 00:18:00,107 (大治郎)それで? 私に何のご用なのでしょうか? 158 00:18:00,107 --> 00:18:02,107 されば… 159 00:18:05,246 --> 00:18:10,117 世のため人のため お頼みいたしたき儀がござる 160 00:18:10,117 --> 00:18:12,119 はあ? 161 00:18:12,119 --> 00:18:16,257 お手並みをお示しくだされたい 162 00:18:16,257 --> 00:18:19,160 試合をせよと? 163 00:18:19,160 --> 00:18:22,063 まあ そのような… 164 00:18:22,063 --> 00:18:24,063 「そのような」とは? 165 00:18:26,067 --> 00:18:32,206 人ひとり その両腕を たたき折っていただきたい 166 00:18:32,206 --> 00:18:36,077 かまえて 切り落とすのでは ござりませぬぞ 167 00:18:36,077 --> 00:18:39,080 両腕の骨を 折っていただきたいのだ 168 00:18:39,080 --> 00:18:45,219 ついては 誠に失礼ながら これを… 169 00:18:45,219 --> 00:18:51,092 金50両ござる そこもとを 見込んでのことでござる 170 00:18:51,092 --> 00:18:54,228 よく分かりませんな… 171 00:18:54,228 --> 00:18:59,100 どこの誰の腕を? いかな訳にて たたき折れと申されますか? 172 00:18:59,100 --> 00:19:04,238 名は… 名は申せませぬ 173 00:19:04,238 --> 00:19:09,110 ご承知くだされば 我らが手引きいたす 174 00:19:09,110 --> 00:19:14,248 是非とも お引き受け願いたい 首尾よく しおおせたるのちは・ 175 00:19:14,248 --> 00:19:17,151 行く末 そこもとのためにもなりましょう 176 00:19:17,151 --> 00:19:24,058 さあ… 訳も言わず 相手の名も居所も言わず・ 177 00:19:24,058 --> 00:19:29,196 ただ承知してくれと申されても 当方 返答に困りますな 178 00:19:29,196 --> 00:19:35,069 あっ! お願い申す! 世のため人のためでござる 179 00:19:35,069 --> 00:19:40,069 何とぞ 当方の心中 おくみ取りくだされたい! 180 00:19:48,215 --> 00:19:50,151 お断りいたす 181 00:19:50,151 --> 00:19:52,151 ウウ… 182 00:19:59,226 --> 00:20:12,239 ・~ 183 00:20:12,239 --> 00:20:17,111 <大川 荒川 綾瀬の 3つの川が合流する・ 184 00:20:17,111 --> 00:20:24,185 鐘ヶ淵辺りの広い林の中に 父 小兵衛の住まいはあった> 185 00:20:24,185 --> 00:20:41,202 ・~ 186 00:20:41,202 --> 00:20:58,219 ・~ 187 00:20:58,219 --> 00:21:16,237 ・~ 188 00:21:16,237 --> 00:21:19,140 あっ 大治郎さまが見えたよ 189 00:21:19,140 --> 00:21:21,108 そうかえ 190 00:21:21,108 --> 00:21:26,247 父上 おはようございます 191 00:21:26,247 --> 00:21:29,150 根深汁のにおいがするのぅ 192 00:21:29,150 --> 00:21:35,256 あれ? しませんよ そんなにおい いやいや こいつの話さ 193 00:21:35,256 --> 00:21:39,256 朝飯は 済ませてきたということだよ 194 00:21:47,268 --> 00:21:50,268 いや! 先生! 195 00:22:06,287 --> 00:22:09,190 (大治郎)いかがいたすべきかと 存じましたが・ 196 00:22:09,190 --> 00:22:12,159 田沼さまお屋敷での わたしの試合を見てと申しました 197 00:22:12,159 --> 00:22:15,296 ならば その試合は 父上のお声がかり 198 00:22:15,296 --> 00:22:18,199 一応 お耳に 入れておかねば ならんと思いまして 199 00:22:18,199 --> 00:22:22,102 野村佐兵衛と言ったか… ご存じで? 200 00:22:22,102 --> 00:22:25,105 いや 知らぬのぅ 201 00:22:25,105 --> 00:22:28,242 橋場の不二楼の提灯を 手にしておりましたが… 202 00:22:28,242 --> 00:22:31,242 よく目が届いたのぅ 見るともなしに… 203 00:22:43,257 --> 00:22:48,128 人の両腕をたたき折れとな? はい 204 00:22:48,128 --> 00:22:53,267 50両といえば お前風情なら 5年は暮らしていける大金じゃ 205 00:22:53,267 --> 00:22:56,170 引き受ける気に ならなかったのかえ? 206 00:22:56,170 --> 00:22:59,139 いやぁ 斬るのではない 折るのじゃ 207 00:22:59,139 --> 00:23:02,276 さしたることもあるまい 208 00:23:02,276 --> 00:23:07,147 弟子が1人も来ぬでは 暮らしも立ち行くまい 209 00:23:07,147 --> 00:23:09,149 徳川将軍のご威光で・ 210 00:23:09,149 --> 00:23:13,287 戦のない世の中が もう百何十年も続いておる 211 00:23:13,287 --> 00:23:16,190 いやいや 結構なことよ 212 00:23:16,190 --> 00:23:24,231 さらばよ 大治郎… 侍の腰の物も そしてな 侍の剣術も商売さ 213 00:23:24,231 --> 00:23:27,134 つまりは 世渡りの道具だ 214 00:23:27,134 --> 00:23:31,105 はあ… 剣術は商売ですか… 215 00:23:31,105 --> 00:23:36,105 そうさ そのつもりでおらぬと 飢え死にをするぞ 216 00:23:41,248 --> 00:23:48,122 若先生 上等なお茶と お菓子… 落雁ですよ 217 00:23:48,122 --> 00:23:51,258 これは田沼さまより頂き物の・ 218 00:23:51,258 --> 00:23:53,193 両国米沢町 京桝屋の嵯峨落雁 219 00:23:53,193 --> 00:23:55,129 特別な客にだけと言っただろう? 220 00:23:55,129 --> 00:23:59,133 だって 若先生は 誰より大事な客だもの 221 00:23:59,133 --> 00:24:05,272 さあ 大治郎さま どうぞ (大治郎)いただきます 222 00:24:05,272 --> 00:24:19,272 ・~ 223 00:24:38,172 --> 00:24:41,172 ・(おもと)失礼いたします 224 00:24:45,245 --> 00:24:49,116 (おもと) 先生 随分 お久しぶりですこと 225 00:24:49,116 --> 00:24:53,120 お前さんも しばらく見ぬうちに また一段と・ 226 00:24:53,120 --> 00:24:56,256 色香が増したようじゃのぅ あら うれしい 227 00:24:56,256 --> 00:24:59,159 まったくもって その脂の乗りきった肌身を・ 228 00:24:59,159 --> 00:25:03,130 好き放題にする奴は 一体 どこの誰だ? うん? 229 00:25:03,130 --> 00:25:06,266 田沼のお殿さまでなくとも 気がかりでならぬよ 230 00:25:06,266 --> 00:25:09,169 いやですよ 変な言い方 ハッハッハ 231 00:25:09,169 --> 00:25:12,139 田沼のお殿さまは 大切なお客さま 232 00:25:12,139 --> 00:25:15,275 時々 お忍びで 気晴らしにいらっしゃるだけで・ 233 00:25:15,275 --> 00:25:19,146 それ以上 何にもないんですから まあまあ そうしておこう 234 00:25:19,146 --> 00:25:21,148 男女の仲というやつはな・ 235 00:25:21,148 --> 00:25:25,085 はたから見ても分からぬ 摩訶不思議なものじゃからな 236 00:25:25,085 --> 00:25:28,085 うん? ハッハッハ 237 00:25:30,224 --> 00:25:34,224 冗談は さて置き ひとつ聞きたいことがあるのだ 238 00:25:36,096 --> 00:25:40,234 ゆうべな 四十絡みで でっぷりとした・ 239 00:25:40,234 --> 00:25:45,105 この辺りに ほくろをつけた侍は 来なかったかえ? 240 00:25:45,105 --> 00:25:48,108 ええ 見えました どこのお人だえ? 241 00:25:48,108 --> 00:25:53,247 存じません 初めてのお方です うむ… 242 00:25:53,247 --> 00:26:00,120 なんでも 浅草御門外の船宿の 近江屋さんから 舟で見えたお方で 243 00:26:00,120 --> 00:26:04,258 ちょっと御酒を召し上がってから 小半刻ほど外に出て・ 244 00:26:04,258 --> 00:26:08,128 また お戻りになって… それから どうした? 245 00:26:08,128 --> 00:26:13,267 待たせていた舟で お帰りになりました うむ… 246 00:26:13,267 --> 00:26:18,138 そいつを乗せてきた舟の船頭な なじみの顔だったかえ? 247 00:26:18,138 --> 00:26:23,077 さあ どうだか… あっ 長さんに聞いてみたら? 248 00:26:23,077 --> 00:26:27,214 この店の客の出入りには 気を配ってくれているし・ 249 00:26:27,214 --> 00:26:30,214 あの人なら分かると思うけど… うんうん 250 00:26:37,224 --> 00:26:39,159 (およね)長さん 長さん (長次)何だい? 251 00:26:39,159 --> 00:26:41,095 女将さんが お呼びだよ (長次)はいよ! 252 00:26:41,095 --> 00:26:46,233 おい あとは頼むぞ (板前)へい! 253 00:26:46,233 --> 00:26:48,168 ゆうべ 近江屋さんから・ 254 00:26:48,168 --> 00:26:51,105 舟で見えた お客のことを お聞きなさりたいんだってさ 255 00:26:51,105 --> 00:26:56,243 覚えてるかい? 四十絡みで ここの所に ほくろのある… 256 00:26:56,243 --> 00:26:59,146 ああ 大垣さまで 257 00:26:59,146 --> 00:27:02,116 大垣? そうなのかえ? 258 00:27:02,116 --> 00:27:06,253 ええ 大垣四郎兵衛さまとかって… 259 00:27:06,253 --> 00:27:09,156 船頭の話じゃ 近江屋さんのなじみの客で・ 260 00:27:09,156 --> 00:27:12,126 前にも 2~3回 乗せたことがあったそうで 261 00:27:12,126 --> 00:27:16,263 うむ… ならば その人に違いあるまい 262 00:27:16,263 --> 00:27:20,134 永井和泉守さまの ご用人でございますよ 263 00:27:20,134 --> 00:27:23,070 永井? 264 00:27:23,070 --> 00:27:31,211 おう 永井和泉守尚恒 5000石の大身旗本じゃ 265 00:27:31,211 --> 00:27:34,211 そうか 永井和泉守… 266 00:27:43,223 --> 00:27:46,126 ・(中盆)さあ 半方ないか? ・(男性)半! 267 00:27:46,126 --> 00:27:50,097 ・ 盆中 手どまり! 勝負! 268 00:27:50,097 --> 00:27:53,233 二六の丁! (中盆)丁と出ました! 269 00:27:53,233 --> 00:27:59,106 (男性) くそっ! また やられちまったよ ついてねえしなぁ… 270 00:27:59,106 --> 00:28:04,244 (中間)そりゃ めでてえ話さ 相手は天下のご老中 田沼さまだい 271 00:28:04,244 --> 00:28:06,180 その お身内となりゃ・ 272 00:28:06,180 --> 00:28:09,116 いろいろ うめぇ汁が 吸えるってもんだからな 273 00:28:09,116 --> 00:28:12,119 (弥七)なるほどねぇ 274 00:28:12,119 --> 00:28:19,259 今をときめく田沼さまのご息女と ご当家の若さまとの ご縁談か… 275 00:28:19,259 --> 00:28:24,097 確かに そいつは めでてぇが しかし それにしちゃ 妙だなぁ… 276 00:28:24,097 --> 00:28:26,066 何がよ? 277 00:28:26,066 --> 00:28:30,204 いえね ちょいと小耳に挟んだんだよ 278 00:28:30,204 --> 00:28:35,075 ご用人の大垣さまが このところ 妙な動きをなさってるってね 279 00:28:35,075 --> 00:28:38,078 ヘッ! お前 それ どっから聞いた? 280 00:28:38,078 --> 00:28:43,217 どっからだか覚えちゃいねえが 気になる噂だもんだからよぅ 281 00:28:43,217 --> 00:28:49,089 実はな それには深え訳があってよ ヘヘヘッ 聞きてえかい? 282 00:28:49,089 --> 00:28:55,229 おお 聞きてえ 聞きてえ 随分と面白そうな話じゃねえかよ 283 00:28:55,229 --> 00:29:13,247 ・~ 284 00:29:13,247 --> 00:29:22,055 ・~ 285 00:29:22,055 --> 00:29:27,055 おう お前さんは 永井さまのお屋敷の用心棒の… 286 00:29:32,199 --> 00:29:37,070 (浅田) 貴様 何のために探りを入れる? 287 00:29:37,070 --> 00:29:39,070 誰に頼まれた? 288 00:29:43,210 --> 00:29:45,145 ンン! 289 00:29:45,145 --> 00:30:04,231 ・~ 290 00:30:04,231 --> 00:30:14,231 ・~ 291 00:30:30,190 --> 00:30:33,093 そりゃ 危ない目に遭わせてしまったね 292 00:30:33,093 --> 00:30:35,062 まあ 無事で良かった 293 00:30:35,062 --> 00:30:38,065 今 どこぞで 稽古でもしてるのかえ? 294 00:30:38,065 --> 00:30:42,202 いえ ここんとこ こっちのほうが 忙しゅうござんしてね 295 00:30:42,202 --> 00:30:47,074 ただ… 先生のお言葉どおり 毎日 起きてから寝るまで・ 296 00:30:47,074 --> 00:30:51,211 何事につけ てめえの勘を研いでおりやす 297 00:30:51,211 --> 00:30:56,083 女を抱くときの 差す手 引く手は 剣術の息と同じだからな 298 00:30:56,083 --> 00:30:58,085 (笑い声) 299 00:30:58,085 --> 00:31:02,222 (おみね)この人の十手は 半分は道楽ですからね 300 00:31:02,222 --> 00:31:05,125 たまには ちょっとぐらい 怖い目に遭ったほうが・ 301 00:31:05,125 --> 00:31:08,095 身が引き締まっていいんですよ (弥七)なんだと・ 302 00:31:08,095 --> 00:31:11,231 人を魚の切り身みてえに 言いやがって 道楽なんかじゃねえ 303 00:31:11,231 --> 00:31:14,134 命懸けてんだぞ 俺は! (おみね)あら まあ 304 00:31:14,134 --> 00:31:19,134 そりゃ初耳だったねえ べえ~だ! (笑い声) 305 00:31:21,241 --> 00:31:25,112 で… どうだった? 用人が変名を使って・ 306 00:31:25,112 --> 00:31:28,115 50両もの 大金を積んでの頼み事だ 307 00:31:28,115 --> 00:31:31,251 裏には やっぱり大変な隠し事が あったんだろうねえ 308 00:31:31,251 --> 00:31:36,123 ええ… それがね 永井さまには跡継ぎの若さまに・ 309 00:31:36,123 --> 00:31:39,126 右京さまってのが おいでなんですが… 310 00:31:39,126 --> 00:31:42,262 このお方に 縁談が持ち上がってるそうなんで 311 00:31:42,262 --> 00:31:46,262 縁談が? 相手は誰だと思いやす? 312 00:31:48,135 --> 00:31:50,137 驚いちゃいけやせんぜ 313 00:31:50,137 --> 00:31:54,274 ご老中 田沼さまの 隠し子なんだそうで なんだと・ 314 00:31:54,274 --> 00:31:58,145 そのお嬢さん 嫁に来るについちゃ たったひとつだけ・ 315 00:31:58,145 --> 00:32:01,148 条件を出してるんだそうですぜ どんな? 316 00:32:01,148 --> 00:32:05,285 「てめえより 強いお人じゃなきゃ嫌だ」ってんで 317 00:32:05,285 --> 00:32:09,156 試合をして てめえが負けたら 嫁に行くってんですわ 318 00:32:09,156 --> 00:32:12,159 今どき そんな娘がいたかのぅ 319 00:32:12,159 --> 00:32:15,295 で… 永井のせがれは こっちのほうは やるのかえ? 320 00:32:15,295 --> 00:32:20,167 ハハッ… 大小を腰に差すと 腰が ふらつくんだそうで 321 00:32:20,167 --> 00:32:22,102 ご時世じゃな ハハッ… 322 00:32:22,102 --> 00:32:26,239 だけど相手は女ですぜ? 強いったって たかが知れてまさぁ 323 00:32:26,239 --> 00:32:29,142 なにも びくつくことはねえと 思いますがねえ 324 00:32:29,142 --> 00:32:33,113 うむ… そりゃまあ そうだがねえ 325 00:32:33,113 --> 00:32:35,248 ・(開く音) 326 00:32:35,248 --> 00:32:39,119 (徳次郎)親分 行ってめえりやした (弥七)おう 徳! すまなかったな 327 00:32:39,119 --> 00:32:43,123 いえ… あっ! 若先生 今すぐ お見えになりやす 328 00:32:43,123 --> 00:32:46,259 汗になったんで 井戸端で 流してからとおっしゃって 329 00:32:46,259 --> 00:32:50,130 せがれめ 何をしていたかえ? へい! いや 何なんですか… 330 00:32:50,130 --> 00:32:56,269 道場の真ん中に1人きりで立って 刀を抜いて ぶん回して ふぅん 331 00:32:56,269 --> 00:33:00,140 傘徳 せっかくのご苦労だったが・ 332 00:33:00,140 --> 00:33:03,143 この話 せがれに 言うまでのこともあるまい 333 00:33:03,143 --> 00:33:05,278 さようでございますかい 334 00:33:05,278 --> 00:33:08,181 ひと事だと 放っておくが良かったのだが・ 335 00:33:08,181 --> 00:33:12,152 どうも気がかりだったのでな ごもっともなことで 336 00:33:12,152 --> 00:33:15,288 油断のならぬ世の中じゃ 337 00:33:15,288 --> 00:33:17,224 剣をもって立つ以外は 何も知らぬは・ 338 00:33:17,224 --> 00:33:22,095 せがれも わしも同じじゃが なにぶんにも時世が違う 339 00:33:22,095 --> 00:33:25,098 わしは この江戸で いろんな目に遭うてきたから・ 340 00:33:25,098 --> 00:33:27,234 何が起こっても平気じゃが・ 341 00:33:27,234 --> 00:33:31,104 せがれめは 図体が大きくても 世の裏表を知らぬ 342 00:33:31,104 --> 00:33:35,108 それだけに 変なことに 巻き込まれては困ると思うてな 343 00:33:35,108 --> 00:33:38,245 なるほど ・(大治郎)御免! 344 00:33:38,245 --> 00:33:40,245 おお 若先生! 345 00:33:46,119 --> 00:33:49,256 父上 何かご用がおありだとか 346 00:33:49,256 --> 00:33:53,126 いやいや 用と いうほどのことでもないのじゃ 347 00:33:53,126 --> 00:33:56,129 根深汁と大根の漬物ばかりでは 悲しかろうと思うてな 348 00:33:56,129 --> 00:33:59,266 うまい物をたらふく 食わしてやろうと思う親心よ 349 00:33:59,266 --> 00:34:04,137 まあまあまあ かけろかけろ うん おみねさん! こやつに・ 350 00:34:04,137 --> 00:34:07,140 ほっぺたの落ちるような物を たんと食べさせてやってくれ 351 00:34:07,140 --> 00:34:10,140 頼みますよ (おみね)はい 352 00:34:24,224 --> 00:34:28,094 へぇ~ 田沼のお殿さまがねえ 353 00:34:28,094 --> 00:34:32,098 巡り巡って 妙な話になったもんですねえ 354 00:34:32,098 --> 00:34:38,238 話を聞いて驚いたよ 田沼さまの絡む裏話となると・ 355 00:34:38,238 --> 00:34:43,109 まあ お前さんが いちばん 詳しかろうと思うてな ハハハ… 356 00:34:43,109 --> 00:34:45,111 (店主)いらっしゃいまし! 357 00:34:45,111 --> 00:34:47,247 茶をくれんか? へい! 358 00:34:47,247 --> 00:34:52,247 お前さんも聞いたことあるだろう その娘御の話を 359 00:34:54,120 --> 00:34:58,258 それは 多分 三冬さまのことです 360 00:34:58,258 --> 00:35:00,193 三冬さま? 361 00:35:00,193 --> 00:35:04,130 側室の おひろさまのお子さま 362 00:35:04,130 --> 00:35:08,268 生まれて間もなく おひろさまが亡くなって・ 363 00:35:08,268 --> 00:35:10,203 すぐに ご家来衆のひとり・ 364 00:35:10,203 --> 00:35:14,140 佐々木又右衛門勝正さまの 養女にされて 365 00:35:14,140 --> 00:35:20,280 領国の遠州 相良へ送り出されて しまわれたんです なるほど 366 00:35:20,280 --> 00:35:23,183 田沼さまは手放したく なかったらしいんですけど・ 367 00:35:23,183 --> 00:35:25,118 しかたがなかったんですよ 368 00:35:25,118 --> 00:35:31,224 奥方さまの おひろさまへの やきもちで ほぅ… 369 00:35:31,224 --> 00:35:36,096 よろしゅう頼むと 佐々木さまに言ったとき・ 370 00:35:36,096 --> 00:35:41,234 思わず涙が出てしもうたって おっしゃってた 371 00:35:41,234 --> 00:35:44,137 おまちどおさま! 372 00:35:44,137 --> 00:35:49,109 それで いつ江戸へ戻られたのか? 373 00:35:49,109 --> 00:35:55,248 4~5年前 奥方さまのお気持ちが やっと落ち着いたからって… 374 00:35:55,248 --> 00:36:00,120 ところが今度は 三冬さまが承知しないんですよ 375 00:36:00,120 --> 00:36:04,257 うむ… 娘心というのかしら… 376 00:36:04,257 --> 00:36:07,160 「わたしは佐々木三冬で ございます」と言い張って・ 377 00:36:07,160 --> 00:36:10,130 お屋敷にお入りにならないんです 378 00:36:10,130 --> 00:36:14,267 伯父にあたる 書物問屋の 和泉屋吉右衛門さんが お持ちの・ 379 00:36:14,267 --> 00:36:19,139 根岸の寮に じいやと一緒に暮らしておられて 380 00:36:19,139 --> 00:36:22,075 そのときから 一段と・ 381 00:36:22,075 --> 00:36:27,213 剣術への身の入れ方も 激しくなったそうなんですよ 382 00:36:27,213 --> 00:36:30,116 三冬さまが 通うている道場は どこじゃ? 383 00:36:30,116 --> 00:36:34,087 確か 市ヶ谷の井関道場とか… 384 00:36:34,087 --> 00:36:40,226 井関… おお 井関忠八郎どの 一刀流の名人じゃ 385 00:36:40,226 --> 00:36:43,129 去年 亡くなられてしもうたがのぅ 386 00:36:43,129 --> 00:36:46,099 三冬さまは その四天王の ひとりなんだそうですよ 387 00:36:46,099 --> 00:36:49,235 ハッハッハ それは大したもんじゃな 388 00:36:49,235 --> 00:36:54,107 ハハハッ だけど いくら剣術ができるったって・ 389 00:36:54,107 --> 00:36:58,244 自分より強い相手でなきゃ お嫁に行かないなんて・ 390 00:36:58,244 --> 00:37:04,117 一度 お顔が見てみたい おうおう 世も末じゃな 391 00:37:04,117 --> 00:37:07,253 それで 永井家の用人が せがれに頼んで・ 392 00:37:07,253 --> 00:37:11,124 「三冬さまの腕の骨を」と いうわけじゃな 393 00:37:11,124 --> 00:37:13,126 …でしょうね うむ 394 00:37:13,126 --> 00:37:16,262 いかな三冬さまも 腕が使えなくなったら・ 395 00:37:16,262 --> 00:37:18,198 試合をあきらめて・ 396 00:37:18,198 --> 00:37:23,069 おとなしく 永井の家に 嫁がれるかもしれませんからね 397 00:37:23,069 --> 00:37:25,071 まあ 永井和泉守としては・ 398 00:37:25,071 --> 00:37:31,211 是非にも 田沼さまとの縁を 結んでおきたいところじゃからな 399 00:37:31,211 --> 00:37:34,114 で… どうなさるんですか? 400 00:37:34,114 --> 00:37:37,083 いや ここまで察しがつけばよいのだ 401 00:37:37,083 --> 00:37:41,221 せがれも 金を突き返して ぴしゃりと断ったのだから・ 402 00:37:41,221 --> 00:37:44,124 もう 何のことはあるまい 403 00:37:44,124 --> 00:37:46,124 だけど 先生… 404 00:37:48,094 --> 00:37:52,232 大治郎さまの代わりに 今ごろは別の誰かが・ 405 00:37:52,232 --> 00:37:55,135 永井家の頼みを 引き受けてるかもしれませんよ? 406 00:37:55,135 --> 00:38:00,106 そうか… いや それもそうじゃな 407 00:38:00,106 --> 00:38:06,106 ・(掛け声) 408 00:38:09,249 --> 00:38:12,152 (掛け声) 409 00:38:12,152 --> 00:38:15,121 (門人)オーッ! ウオーッ! 410 00:38:15,121 --> 00:38:18,121 (掛け声) (三冬)ンン! 411 00:38:24,197 --> 00:38:26,197 セヤーッ! (三冬)ンン! 412 00:38:29,068 --> 00:38:31,070 ウオーッ! 413 00:38:31,070 --> 00:38:34,070 アッ! まいりました! 414 00:38:36,209 --> 00:38:40,079 次! 次 まいれ! 415 00:38:40,079 --> 00:38:42,079 (門人)おう! 416 00:38:55,228 --> 00:38:58,131 エイッ! エイッ! 417 00:38:58,131 --> 00:39:00,131 ウッ… (三冬)ンン! 418 00:39:02,101 --> 00:39:04,101 ターッ! 419 00:39:06,239 --> 00:39:24,190 ・~ 420 00:39:24,190 --> 00:39:26,190 (手代)ありがとうございました 421 00:39:28,061 --> 00:39:34,200 <三冬の亡き母の兄 つまり 彼女にとっては伯父にあたる・ 422 00:39:34,200 --> 00:39:40,200 和泉屋吉右衛門の店は 下谷五条天神前にあった> 423 00:39:42,075 --> 00:39:45,075 ・(手代)あっ これは三冬さま いらっしゃいまし 424 00:39:56,222 --> 00:39:58,157 (吉右衛門) 三冬さま このところは・ 425 00:39:58,157 --> 00:40:02,095 随分と 剣術のお稽古に 励まれているようで 426 00:40:02,095 --> 00:40:07,233 お身柄のことも 考えてもらわぬと困ります 427 00:40:07,233 --> 00:40:14,107 (お栄) 本当に 男なんだか女なんだか だんだん 分からなくなってきて 428 00:40:14,107 --> 00:40:20,107 田沼のお殿さまも 身が細るほど ご心配なさってるんですよ 429 00:40:23,182 --> 00:40:27,053 井関先生が亡くなられたあとの 道場の行く末が・ 430 00:40:27,053 --> 00:40:30,056 わたしたちの 双肩にかかっているのです 431 00:40:30,056 --> 00:40:34,193 しっかりと 守っていかねばなりません 432 00:40:34,193 --> 00:40:36,129 お気持ちは分かりますけれど・ 433 00:40:36,129 --> 00:40:39,065 少しは お父上のことも お考えくださらなくちゃ 434 00:40:39,065 --> 00:40:41,067 どんなことを? 435 00:40:41,067 --> 00:40:47,206 いいかげんに 神田橋のお屋敷へ お戻りになっては いかがですか? 436 00:40:47,206 --> 00:40:51,077 田沼のお殿さまも それを望んでおいでです 437 00:40:51,077 --> 00:40:54,080 三冬さまだって ご存じでしょう? 438 00:40:54,080 --> 00:40:57,216 この度の縁談がまとまるときは・ 439 00:40:57,216 --> 00:41:01,087 嫌でも 田沼の父上のもとへ 帰らねばなりますまい 440 00:41:01,087 --> 00:41:04,090 そうですとも そのとおり 441 00:41:04,090 --> 00:41:10,229 もっとも それは… 私の夫となる方が・ 442 00:41:10,229 --> 00:41:14,100 剣をもって 私を 打ち負かしたときの話ですけれど 443 00:41:14,100 --> 00:41:17,100 フッ… フフッ… 444 00:41:19,238 --> 00:41:21,174 (ため息) 445 00:41:21,174 --> 00:41:27,174 ごちそうさま 根岸の寮へ帰ります じいやが待っておりますから 446 00:42:25,104 --> 00:42:27,104 雪か… 447 00:42:30,243 --> 00:42:33,146 あっ! ああっ! 448 00:42:33,146 --> 00:42:36,115 (浪人)ターッ! (三冬)ウッ! 何者… 449 00:42:36,115 --> 00:42:38,117 ウワッ! (浪人)ヤーッ! 450 00:42:38,117 --> 00:42:41,254 ハッ! (浪人)エーイ! 451 00:42:41,254 --> 00:42:43,189 ヤッ! (三冬)アッ! 452 00:42:43,189 --> 00:42:45,189 エーイ! (三冬)ウッ… 453 00:42:47,126 --> 00:42:50,126 網を取りのけろ! (浪人)はっ! 454 00:42:53,266 --> 00:42:55,266 手を押さえろ 455 00:42:59,138 --> 00:43:01,138 よし 456 00:43:04,277 --> 00:43:07,277 骨をたたき折ってくれよう 457 00:43:09,148 --> 00:43:11,150 アッ! ウウ… (浪人)どうした・ 458 00:43:11,150 --> 00:43:13,286 何奴・ 459 00:43:13,286 --> 00:43:16,189 ヤーッ! (浪人)ワーッ! 460 00:43:16,189 --> 00:43:19,158 エーイ! ウワッ! 461 00:43:19,158 --> 00:43:21,160 ンン! よせ 462 00:43:21,160 --> 00:43:27,160 無駄じゃ 出直してこい わしの名は秋山小兵衛 463 00:43:29,235 --> 00:43:32,235 おい… ひけ! 464 00:43:44,250 --> 00:43:46,250 アッ… 465 00:43:51,124 --> 00:43:53,259 大丈夫かな? 466 00:43:53,259 --> 00:43:58,131 不覚じゃったのぅ… わしが お前のあとをつけておらなんだら 467 00:43:58,131 --> 00:44:01,134 とんだことになっていたぞ 468 00:44:01,134 --> 00:44:05,271 礼を言わんのか? かたじけない! 469 00:44:05,271 --> 00:44:07,206 心が こもっておらぬな 470 00:44:07,206 --> 00:44:12,145 どうせよと言うのだ・ 秋山どの うん? わしの名を? 471 00:44:12,145 --> 00:44:16,282 今 曲者に名乗られたのを 聞き申した ああ そうか 472 00:44:16,282 --> 00:44:19,185 秋山どの なぜ わたしのあとをつけられた? 473 00:44:19,185 --> 00:44:23,089 うむ… 3日もな 3日も・ 474 00:44:23,089 --> 00:44:27,226 訳をお聞かせ願いたい 退屈だったからさ 475 00:44:27,226 --> 00:44:30,129 なんですと・ ハッハッハ なるほど 476 00:44:30,129 --> 00:44:35,101 これでは 当分 嫁には行けまい とんだ暴れ馬だ 馬・ 477 00:44:35,101 --> 00:44:40,101 ハッハッハ… じゃ 気をつけて行きなさい 478 00:45:11,270 --> 00:45:14,270 (嘉助)あっ! お嬢さま! 479 00:45:19,145 --> 00:45:22,215 どうなさいましたか? このお姿は 480 00:45:22,215 --> 00:45:26,085 大事ない! 夕餉は 下谷の 伯父さまの所でいただいてきた 481 00:45:26,085 --> 00:45:30,085 今 お湯を持って参じます! へい 482 00:45:51,244 --> 00:45:54,146 ハァ… (三冬)ありがとう じいや 483 00:45:54,146 --> 00:45:57,116 ああ お嬢さまは お強いのに こんな目に遭わせた奴は・ 484 00:45:57,116 --> 00:46:00,253 一体 どんな奴なんで ございましょうねえ? 485 00:46:00,253 --> 00:46:02,188 アッ! (嘉助)ああ 大丈夫 大丈夫 486 00:46:02,188 --> 00:46:04,123 大丈夫 大丈夫 487 00:46:04,123 --> 00:46:08,123 う~ん 世の中には強い人が… 488 00:46:10,263 --> 00:46:14,263 いや… すばらしい人がいる (嘉助)えっ? 489 00:46:18,137 --> 00:46:22,208 そうですとも 世の中 広うございますから 490 00:46:22,208 --> 00:46:27,079 いろんな方が いらっしゃいますよ ええ… 491 00:46:27,079 --> 00:46:30,082 お風呂 沸かしておきました へい 492 00:46:30,082 --> 00:46:33,219 食事が お済みなら ゆっくりと入って・ 493 00:46:33,219 --> 00:46:37,219 まあ 今夜は早めにお休みください (三冬)ああ 494 00:46:52,238 --> 00:46:54,173 ・ おはる! はい! 495 00:46:54,173 --> 00:46:57,173 ・ もう1本 熱いの つけてくれ 496 00:47:01,247 --> 00:47:05,117 ああ もう駄目だ 先生 497 00:47:05,117 --> 00:47:10,256 この上に飲んだら 先生 すぐ いびきかいて寝ちまうんだから 498 00:47:10,256 --> 00:47:12,191 さあ 寝間着に着替えて うん? 499 00:47:12,191 --> 00:47:14,126 ねえ 早く うんうん 500 00:47:14,126 --> 00:47:17,129 早くぅ~! ああ 分かった 分かった 501 00:47:17,129 --> 00:47:22,201 あ~ おはるは 何でも覚えが早いからなぁ 502 00:47:22,201 --> 00:47:25,104 えっ? 先生 何か言った? 503 00:47:25,104 --> 00:47:29,075 ああ いやいや 何でもない 何でもない 504 00:47:29,075 --> 00:47:44,223 ・~ 505 00:47:44,223 --> 00:47:50,096 そろいもそろって いいざまだ 事は仕損じたばかりか・ 506 00:47:50,096 --> 00:47:53,232 たったひとりの じじいに 思うさま あしらわれて・ 507 00:47:53,232 --> 00:47:55,167 逃げ帰ってくるとはな 508 00:47:55,167 --> 00:47:59,105 おぬしが いつまでも腰を上げぬから・ 509 00:47:59,105 --> 00:48:03,242 俺たちだけで やろうと思ったのだ 510 00:48:03,242 --> 00:48:07,113 礼金50両は大きいからな! 511 00:48:07,113 --> 00:48:13,252 しかし あんなじじいが 出てくるとは思わん! 512 00:48:13,252 --> 00:48:17,123 大枚50両は 羽が生えて飛んでいったな 513 00:48:17,123 --> 00:48:22,061 (笑い声) いや! このままでは済まされん! 514 00:48:22,061 --> 00:48:26,198 秋山小兵衛 名は分かっている 515 00:48:26,198 --> 00:48:31,070 先程は 不意を打たれたが この次は そうはいかん 516 00:48:31,070 --> 00:48:36,208 仕返しは必ず… 必ず! 517 00:48:36,208 --> 00:48:38,208 フッ… 518 00:48:51,223 --> 00:48:53,223 ハァ… 519 00:49:27,059 --> 00:49:29,061 何か ご用でしょうか? 520 00:49:29,061 --> 00:49:32,198 秋山小兵衛先生にお会いしたい 521 00:49:32,198 --> 00:49:38,070 私は一刀流 井関道場の 佐々木三冬と申す者です 522 00:49:38,070 --> 00:49:41,207 小兵衛は父ですが ここには おりません 523 00:49:41,207 --> 00:49:46,078 いや そんなはずはない 確かな筋より お聞きしてまいった 524 00:49:46,078 --> 00:49:49,081 いや そう言われても いないものは いない 525 00:49:49,081 --> 00:49:52,081 (大治郎) ここには わたしひとりです 526 00:49:57,223 --> 00:50:01,093 分からん人だな… では ご案内しましょう 527 00:50:01,093 --> 00:50:19,245 ・~ 528 00:50:19,245 --> 00:50:34,193 ・~ 529 00:50:34,193 --> 00:50:46,205 ・~ 530 00:50:46,205 --> 00:51:00,205 ・~ 531 00:51:17,169 --> 00:51:19,169 (大治郎)すぐ戻る 532 00:51:44,263 --> 00:51:46,198 どうしたのです? 533 00:51:46,198 --> 00:51:49,198 いや… 別に 534 00:52:18,163 --> 00:52:20,163 あっ… 535 00:52:25,237 --> 00:52:29,108 父上! お客人です 536 00:52:29,108 --> 00:52:31,108 ああ これは 537 00:52:33,112 --> 00:52:35,247 お邪魔でしょうか? 538 00:52:35,247 --> 00:52:38,150 いや ひと息 入れようと思っていたところだ 539 00:52:38,150 --> 00:52:43,122 上がってもらおう おはるや 茶を入れなさい 540 00:52:43,122 --> 00:52:47,122 うん? 客人に茶を… 541 00:52:49,261 --> 00:52:53,132 では父上 わたしは これで 忙しいのか? 542 00:52:53,132 --> 00:52:56,135 いえ ちと… 543 00:52:56,135 --> 00:53:01,273 弟子は まだ1人も捕まらんか? ああ 残念ながら 544 00:53:01,273 --> 00:53:03,208 ああ それは困ったのぅ 545 00:53:03,208 --> 00:53:07,146 少し 触れ込みが 足らんのではないか? 546 00:53:07,146 --> 00:53:10,282 お前が道場に こもってばかりでは どうにもなるまい 547 00:53:10,282 --> 00:53:13,185 ご心配には およびません そのうち なんとかなりましょう 548 00:53:13,185 --> 00:53:15,185 そうか 549 00:53:21,293 --> 00:53:25,293 さあさあ こちらへ はい 550 00:53:33,238 --> 00:53:36,141 何者か・ 551 00:53:36,141 --> 00:53:41,141 秋山小兵衛に ご用であれば 一子 大治郎が代わって聞く 552 00:53:48,253 --> 00:53:50,189 (大治郎)名を名乗られよ 553 00:53:50,189 --> 00:53:53,125 尋常の勝負であれば 名を… 554 00:53:53,125 --> 00:53:55,125 ヤーッ! 555 00:53:59,264 --> 00:54:03,135 ンン! (浪人)ウワッ! アーッ! 556 00:54:03,135 --> 00:54:08,273 トリャーッ! アアッ! ウウ… 557 00:54:08,273 --> 00:54:11,176 <無外流に峰打ちはない> 558 00:54:11,176 --> 00:54:14,146 <命を奪うことなく 相手を倒したい場合には・ 559 00:54:14,146 --> 00:54:21,286 決死の気合いで その腕の筋を斬る 足の筋を断つ> 560 00:54:21,286 --> 00:54:26,125 <いわば それが 無外流の峰打ちなのである> 561 00:54:26,125 --> 00:54:33,232 (うめき声) 562 00:54:33,232 --> 00:54:39,104 ・(うめき声) 563 00:54:39,104 --> 00:54:43,242 一昨夜は 危ういところをお助けくだされ・ 564 00:54:43,242 --> 00:54:45,177 かたじけのうございました 565 00:54:45,177 --> 00:54:50,115 私 かねてより秋山先生の ご尊名は存じておりましたが・ 566 00:54:50,115 --> 00:54:54,253 あの夜は思いがけぬことにて 失礼を… 567 00:54:54,253 --> 00:55:01,126 うむ… 剣客というものはな いくら平穏な世の中でも・ 568 00:55:01,126 --> 00:55:04,263 いろいろと 危ういことがあるものじゃよ 569 00:55:04,263 --> 00:55:07,166 女子の身で それをお覚悟のうえかえ? 570 00:55:07,166 --> 00:55:09,134 はっ! 571 00:55:09,134 --> 00:55:11,136 のぅ 三冬どの 572 00:55:11,136 --> 00:55:16,275 剣など捨てて 田沼さまの所へ 帰られたらいかがじゃ? 573 00:55:16,275 --> 00:55:21,275 そなたをいとおしむ心に嘘はない 待っておられるぞ 574 00:55:23,081 --> 00:55:26,084 父が… 575 00:55:26,084 --> 00:55:30,222 父が もっと別の人でしたら 576 00:55:30,222 --> 00:55:33,125 ご老中の威勢が気に食わぬか? 577 00:55:33,125 --> 00:55:36,094 汚らわしいと思います 578 00:55:36,094 --> 00:55:39,094 ハッハッハ… 579 00:55:41,233 --> 00:55:47,105 さほどに剣術が好きかえ? はい! 三冬の命です 580 00:55:47,105 --> 00:55:50,242 どうして 女子の命が剣なのじゃ? 581 00:55:50,242 --> 00:55:55,113 剣を持って立つとき 迷いが消えます 582 00:55:55,113 --> 00:55:58,113 では 迷いがあるわけじゃな? 583 00:56:00,252 --> 00:56:02,187 男は嫌いかえ? 584 00:56:02,187 --> 00:56:05,123 嫌いです! 585 00:56:05,123 --> 00:56:12,264 でも 秋山先生だけは別… 586 00:56:12,264 --> 00:56:14,264 えっ? 587 00:56:17,135 --> 00:56:19,135 存じませぬ 588 00:56:25,210 --> 00:56:32,084 一昨夜 あのときの 先生の おはたらきの お見事な… 589 00:56:32,084 --> 00:56:36,084 それを… それを見て 私… 590 00:56:39,224 --> 00:56:41,159 いやいや… 591 00:56:41,159 --> 00:56:46,098 その まあ… そういうことはじゃな 592 00:56:46,098 --> 00:57:01,246 ・~ 593 00:57:01,246 --> 00:57:03,246 (せきばらい) 594 00:57:08,120 --> 00:57:13,258 さあ これをもって 当家とは縁を切ってもらおう 595 00:57:13,258 --> 00:57:16,161 何もせずに5両 結構な実入りであろうが 596 00:57:16,161 --> 00:57:23,068 いや ご用人 今一度… 今一度 我らに機会を! 597 00:57:23,068 --> 00:57:26,204 もうよい! もう遅い! 598 00:57:26,204 --> 00:57:29,107 事は隠密裏に 運ばねばならなかったのだ 599 00:57:29,107 --> 00:57:32,077 それを幾度も しくじっていたのでは・ 600 00:57:32,077 --> 00:57:34,079 そのうち 一切が露見してしまう 601 00:57:34,079 --> 00:57:38,216 もしも ご老中の耳に入ったら 永井家は ただでは済まん 602 00:57:38,216 --> 00:57:42,087 それに もう時間がない 試合の期日は迫っている 603 00:57:42,087 --> 00:57:44,089 もはや 若君 右京さまに・ 604 00:57:44,089 --> 00:57:47,225 正々堂々と 戦っていただくしかない 605 00:57:47,225 --> 00:57:53,098 なぁに 案ずるより産むがやすし いくら強いといっても 相手は女だ 606 00:57:53,098 --> 00:57:57,235 まさか 若君が遅れを取ることもあるまい 607 00:57:57,235 --> 00:58:02,107 それにしても まったく情けない! 口先ばかり偉そうなことを言って 608 00:58:02,107 --> 00:58:06,244 何の役にも立たんではないか! 野良犬どもが! 609 00:58:06,244 --> 00:58:10,115 金欲しさに しっぽを振って 集まってきただけか! 610 00:58:10,115 --> 00:58:13,118 武士道も 地に落ちたものよ 611 00:58:13,118 --> 00:58:17,255 ・(笑い声) 612 00:58:17,255 --> 00:58:20,158 貴様! 何が おかしい? 613 00:58:20,158 --> 00:58:23,061 なぁに… あまりに ばかばかしいからな 614 00:58:23,061 --> 00:58:26,064 なんだと・ 615 00:58:26,064 --> 00:58:29,201 れっきとした 5000石取りの大旗本が・ 616 00:58:29,201 --> 00:58:34,072 せがれの嫁に迎えようという女の 腕の骨をたたき折ろうという 617 00:58:34,072 --> 00:58:37,075 それも 時の権力者に擦り寄りたくて・ 618 00:58:37,075 --> 00:58:40,212 野良犬どもをかき集めてな 619 00:58:40,212 --> 00:58:43,115 目くそ鼻くそ… 武士道が聞いてあきれるわ 620 00:58:43,115 --> 00:58:49,221 フフッ! 笑止な! お家のためを 思うのは 武士として当然のこと 621 00:58:49,221 --> 00:58:52,221 貴様らのような 宿無しとは訳が違う 622 00:59:04,236 --> 00:59:07,139 ウッ! 623 00:59:07,139 --> 00:59:12,110 言うまでもない! 俺が俺自身に飽き飽きしてる 624 00:59:12,110 --> 00:59:15,247 こんな世の中を作った田沼意次に 625 00:59:15,247 --> 00:59:19,117 ひと泡 吹かせるのも 面白いと思って 仲間に入ったが・ 626 00:59:19,117 --> 00:59:21,119 くだらん! 627 00:59:21,119 --> 00:59:26,191 俺の剣は そのようなことのために 磨いたのではない 628 00:59:26,191 --> 00:59:31,063 この度のこと 俺は俺なりに けりをつけて 収めるつもりだ 629 00:59:31,063 --> 00:59:33,065 どうするつもりだ? 630 00:59:33,065 --> 00:59:37,202 案ずるな 貴様らのごとき 恥も外聞もなく・ 631 00:59:37,202 --> 00:59:40,202 主に へつらう飼い犬などに 用はないわ 632 00:59:51,216 --> 00:59:54,119 ・(落ちる音) うん? あっ! 633 00:59:54,119 --> 00:59:58,119 あっ! ああっ! ああ… 634 01:00:05,230 --> 01:00:08,133 わたしが 三冬どのの試合に? 635 01:00:08,133 --> 01:00:13,133 うむ… その試合の 審判を務めてやってほしいのだ 636 01:00:15,240 --> 01:00:19,111 かまいませんが しかし その試合 相手方は どなたで・ 637 01:00:19,111 --> 01:00:21,113 どのような 意向のものでしょうか? 638 01:00:21,113 --> 01:00:23,048 あっ そうか… 639 01:00:23,048 --> 01:00:27,185 お前は その辺りの事情を 何も知らんのであったな 640 01:00:27,185 --> 01:00:29,121 何かあったのですか? 641 01:00:29,121 --> 01:00:31,056 いやいや そんなことは どうでもよい 642 01:00:31,056 --> 01:00:35,060 これは 田沼さまの たってのご所望なのじゃ 643 01:00:35,060 --> 01:00:37,195 田沼さまは どうやら・ 644 01:00:37,195 --> 01:00:40,098 わしよりも お前のほうが お気に入りらしゅうてな 645 01:00:40,098 --> 01:00:43,068 ハハハッ! 喜ばしいことではないか 646 01:00:43,068 --> 01:00:48,068 そうですか (おみね)はい 先生 お待たせ 647 01:00:51,209 --> 01:00:53,145 若先生 おいしい? 648 01:00:53,145 --> 01:00:59,084 う~ん おいしかったら うんとか すんとか言って 649 01:00:59,084 --> 01:01:02,220 うまい! うまい! 本当に うまい! 650 01:01:02,220 --> 01:01:05,123 こら おみね! あんまり べたべたするんじゃねえぞ! 651 01:01:05,123 --> 01:01:09,094 若先生はなあ 白粉くせぇのは お嫌ぇなんだ 652 01:01:09,094 --> 01:01:12,230 あら あたしの どこが白粉くさいのさ? 653 01:01:12,230 --> 01:01:16,101 変な言いがかりつけて やきもち やいてるんでしょう? 654 01:01:16,101 --> 01:01:18,103 (笑い声) なんだと・ おお! 655 01:01:18,103 --> 01:01:21,239 そうだそうだ やきもちだ ヘヘッ 656 01:01:21,239 --> 01:01:25,110 親分は おかみさんに惚れてるんだから! 657 01:01:25,110 --> 01:01:28,113 (笑い声) あいたっ! 658 01:01:28,113 --> 01:01:30,248 (笑い声) 659 01:01:30,248 --> 01:01:32,184 若先生! 660 01:01:32,184 --> 01:01:50,268 ・~ 661 01:01:50,268 --> 01:02:10,268 ・~ 662 01:02:15,293 --> 01:02:18,196 (右京) ウッ! ちと きつくないか? 663 01:02:18,196 --> 01:02:20,196 ・(大治郎)御免! 664 01:02:27,239 --> 01:02:32,110 本日 審判役 相務めます 無外流 秋山大治郎にござる 665 01:02:32,110 --> 01:02:38,110 (永井)ああ これはこれは よろしゅう お願い申す 666 01:02:42,254 --> 01:02:46,124 いやぁ これは… 野村どのでしたかな? 667 01:02:46,124 --> 01:02:49,127 あっ その折は 厳い ご無礼つかまつった 668 01:02:49,127 --> 01:02:54,266 あっ いや その… それは… ちと 何かの… 669 01:02:54,266 --> 01:02:57,168 大垣 いかがいたした? 670 01:02:57,168 --> 01:02:59,168 あ… あ… (永井)うん? 671 01:03:12,284 --> 01:03:16,284 勝負一本! 始め! 672 01:03:27,232 --> 01:03:29,232 エイッ! (右京)ウッ! 673 01:03:39,244 --> 01:03:41,179 ああ… 674 01:03:41,179 --> 01:03:43,179 エイ! エイ! 675 01:04:00,265 --> 01:04:03,265 ハァハァ… 676 01:04:16,281 --> 01:04:18,216 ヤッ! アッ! 677 01:04:18,216 --> 01:04:21,216 エイッ! (右京)アア… アッ! 678 01:04:25,090 --> 01:04:27,225 ・(大治郎)それまで! 679 01:04:27,225 --> 01:04:30,128 佐々木三冬どのの勝ち! 680 01:04:30,128 --> 01:04:32,128 ご無礼つかまつりました 681 01:04:36,234 --> 01:04:39,137 若! (永井)右京! 682 01:04:39,137 --> 01:04:42,107 (永井)誰ぞ 戸板を持て 戸板を! (侍)はっ! 683 01:04:42,107 --> 01:04:44,107 (大垣たち)若! 若! 684 01:04:49,247 --> 01:04:52,150 そっとな そっと… 右京! 685 01:04:52,150 --> 01:04:56,121 若どの! しっかりなさりませ! そっとしろ そっと! 686 01:04:56,121 --> 01:04:59,257 ここへ! (侍)はっ! 687 01:04:59,257 --> 01:05:01,257 ほれ 右京! 688 01:05:04,129 --> 01:05:08,266 父上… アイタタッ! (大垣)若! 689 01:05:08,266 --> 01:05:10,201 父上 これでようございました 690 01:05:10,201 --> 01:05:14,139 あのような 女弁慶を妻にするなど とんでもない 691 01:05:14,139 --> 01:05:18,276 アッ! アタタッ! アア… 692 01:05:18,276 --> 01:05:20,276 若… 693 01:05:26,084 --> 01:05:29,220 (笑い声) 694 01:05:29,220 --> 01:05:33,091 田沼の殿さまも がっくりしておられたよ 695 01:05:33,091 --> 01:05:36,094 「まさか 右京が勝つとは思わなんだが・ 696 01:05:36,094 --> 01:05:41,094 それにしても 三冬め」とな ハッハッハ! 697 01:05:45,236 --> 01:05:56,247 ・~ 698 01:05:56,247 --> 01:06:02,120 念流 浅田虎次郎 果たし合いを所望いたす 699 01:06:02,120 --> 01:06:04,122 訳は? 700 01:06:04,122 --> 01:06:08,259 いたぶってくれた仲間の 敵とでも言おうか… 701 01:06:08,259 --> 01:06:11,162 いや これは武士の意地だ 702 01:06:11,162 --> 01:06:16,134 控えておれ どうやら この遺恨 火種は このわしだ 703 01:06:16,134 --> 01:06:19,270 わしが受けよう しかし! 704 01:06:19,270 --> 01:06:23,141 当方は 親子ともどもに 討ち果たす所存でまいったのだ 705 01:06:23,141 --> 01:06:26,077 わしひとりでは不足かな? 706 01:06:26,077 --> 01:06:30,215 武士の意地を懸けてと申すなら 1対1がよい 707 01:06:30,215 --> 01:06:34,085 おぬしが勝てば せがれにとっては父の敵 708 01:06:34,085 --> 01:06:39,085 わしの葬式を済ませたのち いずれまた 立ち合う機会は来る 709 01:06:41,226 --> 01:06:43,226 よかろう 710 01:08:07,245 --> 01:08:09,245 ウオーッ! 711 01:09:08,206 --> 01:09:10,206 お見事でございました 712 01:09:22,186 --> 01:09:26,057 奴も やはり剣客よ 713 01:09:26,057 --> 01:09:31,195 強い者を見ると 胸が騒ぐ 挑みたくなる 714 01:09:31,195 --> 01:09:37,068 しかし 結局は… 商売に 徹しきれなかった 哀れな奴さ 715 01:09:37,068 --> 01:09:55,219 ・~ 716 01:09:55,219 --> 01:10:11,219 ・~ 717 01:10:25,183 --> 01:10:28,086 一体 何があったんです? 718 01:10:28,086 --> 01:10:32,056 田沼さまのお屋敷で 試合があったのは知ってるけど 719 01:10:32,056 --> 01:10:37,195 夜遅くに帰ってきて 着ている物も… ほれ 720 01:10:37,195 --> 01:10:43,067 この上 あちこち泥だらけ いや だから それはだな… 721 01:10:43,067 --> 01:10:47,205 行き倒れて死んだ大男を 埋めてきたって言うんでしょう? 722 01:10:47,205 --> 01:10:52,076 嘘ですよ そんなこと ねえ 嘘でしょう? 大治郎さま 723 01:10:52,076 --> 01:10:54,078 本当は どこかで転んだんでしょう? 724 01:10:54,078 --> 01:10:58,216 そうだよ 嘘だ嘘だ 大嘘だ! 725 01:10:58,216 --> 01:11:02,086 (笑い声) 726 01:11:02,086 --> 01:11:05,086 やあ これは三冬どの! 727 01:11:15,233 --> 01:11:18,233 お屋敷での試合 実にお見事でした 728 01:11:21,105 --> 01:11:24,242 今日はまた 何のご用かな? 729 01:11:24,242 --> 01:11:27,145 昨日の お礼にまいったのです 730 01:11:27,145 --> 01:11:30,114 これは 田沼の父からの言づけ物です 731 01:11:30,114 --> 01:11:32,116 おお… 732 01:11:32,116 --> 01:11:36,254 お女中! すまぬが これをさばいてくれぬか? 733 01:11:36,254 --> 01:11:39,157 おら お手伝いの女じゃねえ れっきとした女房だ! 734 01:11:39,157 --> 01:11:45,263 女房? 嘘でしょう だったら 祝言は? 735 01:11:45,263 --> 01:11:48,166 祝言なんて… そんなもの… 736 01:11:48,166 --> 01:11:51,135 それじゃ ただ お手がついたと いうだけではありませんか 737 01:11:51,135 --> 01:11:55,273 女房だなんて ずうずうしい (おはる)手だけじゃありません! 738 01:11:55,273 --> 01:11:58,273 手も足も おなかだって くっつきました! 739 01:12:00,144 --> 01:12:05,283 おはる! なにも そこまで… はしたない! 740 01:12:05,283 --> 01:12:22,233 ・~ 741 01:12:22,233 --> 01:12:26,103 <一件落着して 残った憂いが これ> 742 01:12:26,103 --> 01:12:30,107 <大川を渡って 佐々木三冬が なにかと 小兵衛の・ 743 01:12:30,107 --> 01:12:35,246 隠宅を訪問してくるように なったことである> 744 01:12:35,246 --> 01:12:40,117 <何のつもりか… この先 どうなることか…> 745 01:12:40,117 --> 01:12:45,117 <こればっかりは 小兵衛にも 全く予測がつかなかった> 746 01:12:51,262 --> 01:12:53,262 ハッハッハ! 747 01:13:07,278 --> 01:13:11,148 友情のしるし ンン! お手前に これを進呈しよう 748 01:13:11,148 --> 01:13:16,287 天罰… 神頼みですか… 749 01:13:16,287 --> 01:13:19,190 そうさ 天罰さ 750 01:13:19,190 --> 01:13:21,190 剣術の神さまの ばちがな