1 00:01:22,237 --> 00:01:24,172 2 00:01:24,172 --> 00:01:29,172 (雷鳴) 3 00:01:35,250 --> 00:01:38,250 (雷鳴) 4 00:01:41,122 --> 00:01:45,260 (ナレーター) <戦国乱世は遠い昔のことながら➡ 5 00:01:45,260 --> 00:01:48,260 武士の魂 やはり剣> 6 00:01:51,132 --> 00:01:53,134 <あえて 戦がなければこそ➡ 7 00:01:53,134 --> 00:01:58,273 腕に覚えの剣客どもは 売り込み合戦に明け暮れる> 8 00:01:58,273 --> 00:02:04,145 <いや まさしく 昨今 剣術は商売なり> 9 00:02:04,145 --> 00:02:14,289 ♬~ 10 00:02:14,289 --> 00:02:26,234 ♬~ 11 00:02:26,234 --> 00:02:40,248 ♬~ 12 00:02:40,248 --> 00:02:57,265 ♬~ 13 00:02:57,265 --> 00:03:07,275 ♬~ 14 00:03:07,275 --> 00:03:25,226 ♬~ 15 00:03:25,226 --> 00:03:37,238 ♬~ 16 00:03:37,238 --> 00:03:48,238 ♬~ 17 00:03:53,254 --> 00:04:10,271 ♬~ 18 00:04:10,271 --> 00:04:15,143 <その日 大治郎は 小兵衛の呼び出しを受けて➡ 19 00:04:15,143 --> 00:04:18,146 真夏の大川を渡った> 20 00:04:18,146 --> 00:04:36,230 ♬~ 21 00:04:36,230 --> 00:04:50,244 ♬~ 22 00:04:50,244 --> 00:04:52,180 (大治郎)うん! うまい! (おはる)フフッ 23 00:04:52,180 --> 00:04:56,117 おとんの作った自慢の西瓜だ (小兵衛)うむ… 24 00:04:56,117 --> 00:04:58,119 何か急用がございますとか? 25 00:04:58,119 --> 00:05:02,256 うむ… ご苦労だが 旅に出てほしいのじゃ 26 00:05:02,256 --> 00:05:05,159 旅へ? 実はな… 27 00:05:05,159 --> 00:05:10,131 かつて 辻平右衛門先生の下で 共に修行をした わしの剣術仲間➡ 28 00:05:10,131 --> 00:05:14,268 横川彦五郎という お方が 病に かかってのぅ 29 00:05:14,268 --> 00:05:17,171 箱根で 養生しておると聞いたのじゃ 30 00:05:17,171 --> 00:05:21,142 大分 お悪いのですか? いやいや それが しかと分からん 31 00:05:21,142 --> 00:05:25,213 横川さんは故郷の相州 小田原で➡ 32 00:05:25,213 --> 00:05:28,115 ささやかな町道場を 開いておられたが➡ 33 00:05:28,115 --> 00:05:35,223 お前同様 剣術商売が下手でな 門人も金も 集まらなんだそうじゃ 34 00:05:35,223 --> 00:05:39,093 しかし 飯よりも 剣術が好きな お人でのぅ 35 00:05:39,093 --> 00:05:41,095 道を極めるために➡ 36 00:05:41,095 --> 00:05:44,232 女房も もらわなんだという 生一本な お人じゃ 37 00:05:44,232 --> 00:05:47,134 先生とは えらい違いだな そうそう そのとおり… 38 00:05:47,134 --> 00:05:49,103 こらこら 何を言わすのじゃ 39 00:05:49,103 --> 00:05:51,105 で… 頼みというのは ほかでもない 40 00:05:51,105 --> 00:05:56,244 わしの名代として 横川さんに 見舞金を届けてほしいのじゃ 41 00:05:56,244 --> 00:05:58,244 承知いたしました うむ… 頼むぞ 42 00:06:00,114 --> 00:06:07,255 わしのような年になると 剣術仲間の数も減ってのぅ 43 00:06:07,255 --> 00:06:10,157 どうも気がかりでならんのじゃ 44 00:06:10,157 --> 00:06:13,127 先生 そんなに気になるんだったら 45 00:06:13,127 --> 00:06:17,265 自分で 見舞いに行けばいいんですよぅ… 46 00:06:17,265 --> 00:06:19,200 できれば そうしたいのじゃが➡ 47 00:06:19,200 --> 00:06:23,070 わしが行けば かえって 迷惑が かかるのではないかと… 48 00:06:23,070 --> 00:06:26,073 迷惑? うむ… 49 00:06:26,073 --> 00:06:29,210 どうしてだ? いや 横川さんほどの剣客が➡ 50 00:06:29,210 --> 00:06:34,081 己の病み衰えた姿を 昔の友には見せたくなかろう 51 00:06:34,081 --> 00:06:37,084 そう思えてな そんなことねえ! 52 00:06:37,084 --> 00:06:41,222 先生が見舞いに行けば きっと喜ぶよぅ 53 00:06:41,222 --> 00:06:44,125 そうかな? 決まってるでねえか 54 00:06:44,125 --> 00:06:49,096 だから 先生と若先生とわたしと 3人で箱根へ行って➡ 55 00:06:49,096 --> 00:06:53,234 お見舞いのついでに ゆっくり お湯にでも つかって 56 00:06:53,234 --> 00:06:58,105 ハッハッハ! お目当ては それか いや いかんいかん 57 00:06:58,105 --> 00:07:04,245 見舞いは見舞い 遊びは遊び また改めて行けばよい うん? 58 00:07:04,245 --> 00:07:07,148 ああ 横川さんに 手紙を書かねばならぬ 59 00:07:07,148 --> 00:07:10,117 大治郎 晩飯を食っていけ はい 60 00:07:10,117 --> 00:07:14,255 今夜は どじょう鍋だったな? うん? 61 00:07:14,255 --> 00:07:18,125 おはる! ハッハッハ! 62 00:07:18,125 --> 00:07:23,125 いや あれが いちばん 精がつくのじゃ ハッハッハ! 63 00:07:26,200 --> 00:07:30,200 <翌日 大治郎は箱根へ旅立った> 64 00:07:33,074 --> 00:07:37,211 <当時 「天下の険」ともいわれた箱根は➡ 65 00:07:37,211 --> 00:07:43,084 江戸から東海道 小田原を経て およそ二十と三里> 66 00:07:43,084 --> 00:07:47,084 <男の足で 2日半も かかる距離にあった> 67 00:07:52,226 --> 00:08:12,246 ♬~ 68 00:08:12,246 --> 00:08:30,197 ♬~ 69 00:08:30,197 --> 00:08:38,072 ♬~ 70 00:08:38,072 --> 00:08:42,209 (当たる音) (侍)待てい! 無礼者! 71 00:08:42,209 --> 00:08:45,209 逃げるか 貴様! おのれ! 72 00:08:47,081 --> 00:08:50,084 あっ! (侍)おのれ! ウワッ! 73 00:08:50,084 --> 00:09:10,084 ♬~ 74 00:09:25,186 --> 00:09:28,089 ほぉ~ これは うまそうじゃ 75 00:09:28,089 --> 00:09:33,060 実は おはるの奴の機嫌を損ねて どじょう鍋を食いそびれてな 76 00:09:33,060 --> 00:09:36,197 (長次)けんかでも なすったんで? いやいや そうではないのだが 77 00:09:36,197 --> 00:09:38,132 このところ おはるの奴が➡ 78 00:09:38,132 --> 00:09:41,068 箱根へ遊びに連れていけと うるさくてかなわぬ 79 00:09:41,068 --> 00:09:44,071 家にいては おちおち昼寝もできぬでな 80 00:09:44,071 --> 00:09:46,207 たまらず逃げてきたところじゃ ハッハッハ 81 00:09:46,207 --> 00:09:50,077 へぇ~ 先生ほどの剣の達人でも やっぱり 女房には手を焼きますか 82 00:09:50,077 --> 00:09:53,080 うむ… こればっかりは 斬って捨てるわけにはいかんでな 83 00:09:53,080 --> 00:09:56,217 違えねえや (笑い声) 84 00:09:56,217 --> 00:09:58,152 うまい… うん… 85 00:09:58,152 --> 00:10:01,088 (おもと) 先生 ちょうどいいところに 来てくださいました 86 00:10:01,088 --> 00:10:05,226 じゃ あっしは これで ああ ご苦労だったな 87 00:10:05,226 --> 00:10:08,129 ちょっと 聞いていただきたいことが… 88 00:10:08,129 --> 00:10:10,097 何かな? それが… 89 00:10:10,097 --> 00:10:14,235 人ひとり 突然 消えてしまったようなんです 90 00:10:14,235 --> 00:10:18,105 うむ …で 消えたのは誰じゃ? 91 00:10:18,105 --> 00:10:21,108 うちとも 長年 つきあいがございます➡ 92 00:10:21,108 --> 00:10:26,180 桔梗屋の番頭さんです 市ヶ谷 左内坂の桔梗屋かね? 93 00:10:26,180 --> 00:10:29,083 まあ ご存じでいらっしゃいましたか 94 00:10:29,083 --> 00:10:33,053 うむ… あそこの嵯峨饅頭は おはるの好物でな 95 00:10:33,053 --> 00:10:36,190 ちょくちょく買いに行く まあ そうでしたか 96 00:10:36,190 --> 00:10:42,062 桔梗屋の番頭といえば 四十の半ばで 実直そうな… 97 00:10:42,062 --> 00:10:45,199 ええ 茂兵衛さんと おっしゃるんですけど 98 00:10:45,199 --> 00:10:48,102 5日ほど前に ちょうど このお座敷で➡ 99 00:10:48,102 --> 00:10:51,071 お連れの方と一緒に お酒を召し上がって➡ 100 00:10:51,071 --> 00:10:54,208 ほろ酔い加減で お帰りになったっきり… 101 00:10:54,208 --> 00:10:56,143 行方知れずか? 102 00:10:56,143 --> 00:11:02,082 何しろ まじめ一方の方ですから 店にも家の者にも 何の断りもなく 103 00:11:02,082 --> 00:11:06,220 急に いなくなるなんてことは もう考えられなくて 104 00:11:06,220 --> 00:11:12,092 それで… 桔梗屋の女将さんが案じて➡ 105 00:11:12,092 --> 00:11:15,092 ご相談に 見えてらっしゃるんですけど 106 00:11:22,236 --> 00:11:27,107 おのぶさん さあ… さあ どうぞ おのぶさん お入りになって 107 00:11:27,107 --> 00:11:29,107 そちらに… (おのぶ)はい 108 00:11:31,245 --> 00:11:35,245 先生 力になってあげて いただけませんでしょうか? 109 00:11:39,119 --> 00:11:41,255 ≪(笑い声) 110 00:11:41,255 --> 00:11:43,190 (男性) おみねさん 相変わらずきれいだね 111 00:11:43,190 --> 00:11:46,190 (おみね)また そんな… (笑い声) 112 00:11:48,128 --> 00:11:51,265 あら いらっしゃいまし 弥七は おるか? 113 00:11:51,265 --> 00:11:56,136 それが 今夜は寄り合いで あいにくと留守に… 急用ですか? 114 00:11:56,136 --> 00:11:59,139 うん… いや ちょいと人捜しを してもらおうと思うてな 115 00:11:59,139 --> 00:12:01,275 (徳次郎)ひとっ走り 呼んでまいりましょうか? 116 00:12:01,275 --> 00:12:03,210 いや それには及ばぬ 待たせてもらおう 117 00:12:03,210 --> 00:12:05,145 でも 一刻や そこらじゃ 帰ってきませんよ? 118 00:12:05,145 --> 00:12:10,284 うんうん そのほうがよいのじゃ わしも 家へ帰らずに済むからな 119 00:12:10,284 --> 00:12:13,187 何かあったんですか? うん? まあ いろいろと… 120 00:12:13,187 --> 00:12:16,156 帰ってくるまで 2階で ひと眠りさせてもらうぞ 121 00:12:16,156 --> 00:12:19,293 それは かまいませんけど (あくび) 122 00:12:19,293 --> 00:12:23,293 おはるのせいで ああ… 昼寝をしそびれてのぅ 123 00:12:30,237 --> 00:12:50,237 ♬~ 124 00:12:52,259 --> 00:12:56,130 <江戸をたって3日目の午後➡ 125 00:12:56,130 --> 00:13:00,130 大治郎は 箱根 塔の沢へ着いた> 126 00:13:08,275 --> 00:13:11,178 (女中)いらっしゃいませ (大治郎)こちらで療養中の➡ 127 00:13:11,178 --> 00:13:14,178 横川彦五郎先生に 取り次ぎを願いたい 128 00:13:17,284 --> 00:13:20,187 これを (女中)はい 129 00:13:20,187 --> 00:13:22,187 しばらく お待ちを 130 00:13:31,231 --> 00:13:33,231 こちらでございます 131 00:13:36,103 --> 00:13:38,103 御免 132 00:13:40,240 --> 00:13:44,111 (彦五郎) お前さんが 小兵衛のせがれか… 133 00:13:44,111 --> 00:13:46,111 まあ 入りなさい (大治郎)はっ! 134 00:13:51,251 --> 00:13:53,187 大治郎と申します 135 00:13:53,187 --> 00:13:58,125 わしに おんぶされて 神田祭を 見に行ったのを覚えてるかね? 136 00:13:58,125 --> 00:14:01,261 あっ… いえ 一向に… 137 00:14:01,261 --> 00:14:04,164 まあ 無理もない (せき) 138 00:14:04,164 --> 00:14:08,135 あの折 お前さんは まだ 3つのガキだった 139 00:14:08,135 --> 00:14:14,274 それが… 大きゅうなられたものよ 140 00:14:14,274 --> 00:14:19,146 フッ… よく訪ねてくださった 141 00:14:19,146 --> 00:14:24,146 卒爾ながら 父から見舞金を 預かってまいっております 142 00:14:28,222 --> 00:14:36,222 小兵衛の心遣い… うれしくいただいておこう 143 00:14:39,233 --> 00:14:43,103 ところで 大治郎どのは すぐに江戸に戻られるか? 144 00:14:43,103 --> 00:14:45,105 そのつもりで まいったのですが 145 00:14:45,105 --> 00:14:47,107 2~3日 泊まってゆかぬか? 146 00:14:47,107 --> 00:14:51,245 あっ… しかし お体に障りませぬか? 147 00:14:51,245 --> 00:14:58,118 なに… わしも 胸の病で 倒れたときには死ぬかと思うたが 148 00:14:58,118 --> 00:15:00,254 こうして持ち直してみると➡ 149 00:15:00,254 --> 00:15:06,126 今度は 毎日が無聊の苦しみでのぅ 150 00:15:06,126 --> 00:15:09,263 聞くところによれば 小兵衛め 151 00:15:09,263 --> 00:15:13,133 我が子ほどの年の違う女房を もらったそうではないか 152 00:15:13,133 --> 00:15:17,137 その辺のところも詳しく知りたい 153 00:15:17,137 --> 00:15:19,273 承知しました 154 00:15:19,273 --> 00:15:26,273 今夜は久しぶりに 酒でも食らうとするか ハハッ… 155 00:15:59,246 --> 00:16:02,246 昨日 街道で お会いしましたな 156 00:16:04,118 --> 00:16:07,121 わたしは 江戸の秋山大治郎と申します 157 00:16:07,121 --> 00:16:26,121 ♬~ 158 00:16:29,209 --> 00:16:32,112 (徳次郎)親分! (弥七)おう! 159 00:16:32,112 --> 00:16:35,082 ああ どうも こんな暑い中 申し訳ございません いやいや 160 00:16:35,082 --> 00:16:39,219 桔梗屋の番頭が見つかった そうじゃないか へい こっちで 161 00:16:39,219 --> 00:16:44,091 寺の者が このにおいに気づいて 境内 調べたところ➡ 162 00:16:44,091 --> 00:16:47,094 枯れ井戸の中に 死体が 放り込んであったってわけで 163 00:16:47,094 --> 00:16:51,231 (読経) 164 00:16:51,231 --> 00:16:53,167 先生 お願いします 165 00:16:53,167 --> 00:17:04,244 (読経) 166 00:17:04,244 --> 00:17:08,115 どうです? この肩口から斬り下げた一刀は? 167 00:17:08,115 --> 00:17:11,118 見事な太刀筋じゃ 168 00:17:11,118 --> 00:17:14,118 まずは 相当な使い手の仕業であろうよ 169 00:17:20,260 --> 00:17:23,260 聞いたかな? 番頭さんのことは 170 00:17:25,098 --> 00:17:28,098 何か事情が おありのようだが… 171 00:17:33,207 --> 00:17:37,077 わたしどもは 房吉という男に➡ 172 00:17:37,077 --> 00:17:42,216 ずっと脅され続けて いるのでございます 173 00:17:42,216 --> 00:17:47,216 何か脅されるような弱みでも おありなさんのかい? 174 00:17:49,089 --> 00:17:52,226 うちの一人娘の お初は➡ 175 00:17:52,226 --> 00:17:56,096 わたしども夫婦の 実の子ではありません 176 00:17:56,096 --> 00:18:00,096 じゃ… あの お初さんは? 177 00:18:02,236 --> 00:18:05,138 生まれたばかりの赤ん坊を もらい受けて➡ 178 00:18:05,138 --> 00:18:11,245 18年間 我が子も同然に育ててきました 179 00:18:11,245 --> 00:18:15,115 このことは わたしと 夫の徳右衛門➡ 180 00:18:15,115 --> 00:18:19,119 そして 番頭の 茂兵衛だけしか知らぬことです 181 00:18:19,119 --> 00:18:25,192 ところが ひと月ばかり前 突然 房吉が訪ねてきて… 182 00:18:25,192 --> 00:18:28,095 その房吉ってのは? 183 00:18:28,095 --> 00:18:33,066 お初の実の父親です 184 00:18:33,066 --> 00:18:37,204 18年前 お初を引き取った折➡ 185 00:18:37,204 --> 00:18:40,107 「今後一切 娘の前に現れぬ」という約束で➡ 186 00:18:40,107 --> 00:18:44,077 わたしどもは 房吉に20両 渡しました 187 00:18:44,077 --> 00:18:49,216 それなのに 今ごろになって 急に 娘を返せと 188 00:18:49,216 --> 00:18:52,119 房吉は 金でも ゆするつもりで脅しに? 189 00:18:52,119 --> 00:18:56,089 あっ わたしどもも 最初は そう思いました 190 00:18:56,089 --> 00:18:58,225 ところが… 191 00:18:58,225 --> 00:19:00,160 (小判の音) 192 00:19:00,160 --> 00:19:04,097 (房吉)((あっしは 「娘が かわいいから返してください」と➡ 193 00:19:04,097 --> 00:19:09,236 お願いしてるんです! それを… 金で追い払うんですか?)) 194 00:19:09,236 --> 00:19:11,171 (徳右衛門) ((お初は わたしたちのことを➡ 195 00:19:11,171 --> 00:19:13,106 実の親だと信じきってるんだ)) 196 00:19:13,106 --> 00:19:17,110 ((今更 お前さんに 会わすことはできない)) 197 00:19:17,110 --> 00:19:22,182 ((このとおりだ… お願いします)) 198 00:19:22,182 --> 00:19:27,054 ((今の あっしは 18年前とは違う)) 199 00:19:27,054 --> 00:19:31,191 ((あのころは 博打の 借金に困り抜いて➡ 200 00:19:31,191 --> 00:19:34,094 お初を売るような真似も しましたが…)) 201 00:19:34,094 --> 00:19:37,064 ((あれ以来 きれいさっぱり 心を入れ替えて➡ 202 00:19:37,064 --> 00:19:40,200 今は まじめに働いておりやす)) 203 00:19:40,200 --> 00:19:44,071 ((板前をしながら こつこつ貯めた金で➡ 204 00:19:44,071 --> 00:19:48,075 この秋には 自分の店が 持てるようになっております)) 205 00:19:48,075 --> 00:19:52,212 ((桔梗屋さん あんたは知らねえだろうが➡ 206 00:19:52,212 --> 00:19:57,084 これまでも あっしは お初をずっと見守ってきた)) 207 00:19:57,084 --> 00:20:01,221 ((遠くから… こっそりと…)) 208 00:20:01,221 --> 00:20:06,221 ((でも そんなんじゃ… もう辛抱できねえ)) 209 00:20:08,095 --> 00:20:14,234 ((こないだ 久方ぶりに お初を見に来たら…)) 210 00:20:14,234 --> 00:20:17,137 ((すっかり 娘らしくなっちまって…)) 211 00:20:17,137 --> 00:20:19,106 ((なのに あっしは➡ 212 00:20:19,106 --> 00:20:23,043 声をかけることも 手を触れることもできねえ)) 213 00:20:23,043 --> 00:20:27,180 ((そんな あっしの気持ち… 分かりますか?)) 214 00:20:27,180 --> 00:20:30,083 ((お初が かわいいのは お前さんだけじゃない!)) 215 00:20:30,083 --> 00:20:35,055 ((わたしたちだって 同じだよ!)) (房吉)((いや 同じわけはねえ!)) 216 00:20:35,055 --> 00:20:40,055 ((こっちは… 血のつながった実の親なんだ!)) 217 00:20:42,195 --> 00:20:48,068 ((桔梗屋さん お願いだ お初を返してください)) 218 00:20:48,068 --> 00:20:52,205 ((そんな無理を言われても困る! さあ 引き取ってもらいましょう)) 219 00:20:52,205 --> 00:20:56,205 ((ちょっと待って お願いしやす)) (徳右衛門)((離さないか!)) 220 00:20:59,079 --> 00:21:02,079 (おのぶ)((あっ! ああ…)) 221 00:21:04,217 --> 00:21:08,088 ((お初を… 連れてこい!)) 222 00:21:08,088 --> 00:21:13,226 ((脅したって無駄だよ)) (房吉)((脅しじゃ ございません)) 223 00:21:13,226 --> 00:21:16,129 ((お初 取り返すためなら➡ 224 00:21:16,129 --> 00:21:20,129 あっしは 人殺しでも何でもしますぜ!)) 225 00:21:22,235 --> 00:21:25,138 その翌日も 房吉は押しかけてきました 226 00:21:25,138 --> 00:21:31,244 もう すさまじい剣幕で 何をしでかすか分かりません 227 00:21:31,244 --> 00:21:35,115 ですから 夫の徳右衛門は お初を連れて➡ 228 00:21:35,115 --> 00:21:39,119 今は江戸を離れております 229 00:21:39,119 --> 00:21:44,257 こんな騒ぎを お初にだけは 知られたくありません 230 00:21:44,257 --> 00:21:49,129 知れば お初が どれほど傷つくか… 231 00:21:49,129 --> 00:21:52,132 それを思うと… (泣き声) 232 00:21:52,132 --> 00:21:55,268 おのぶさん 233 00:21:55,268 --> 00:21:59,139 番頭の茂兵衛さんは 行方知れずになった晩➡ 234 00:21:59,139 --> 00:22:03,143 この不二楼で 房吉と会っていたのだな? 235 00:22:03,143 --> 00:22:10,283 はい… あの日は 房吉から 突然に 呼び出しがございまして 236 00:22:10,283 --> 00:22:14,154 房吉の居場所は 知っていなさるかい? 237 00:22:14,154 --> 00:22:24,154 ♬~ 238 00:22:57,264 --> 00:22:59,264 ≪(徳右衛門)あのぅ もし 239 00:23:01,134 --> 00:23:04,137 田村屋に お泊まりの方でございますな? 240 00:23:04,137 --> 00:23:06,273 さようですが 241 00:23:06,273 --> 00:23:10,143 わたしも 同じ宿の 離れのほうに泊まっております 242 00:23:10,143 --> 00:23:13,146 お土産ですか? (大治郎)はあ 243 00:23:13,146 --> 00:23:17,284 ハハハッ どなたに? (大治郎)あっ わたしの母に 244 00:23:17,284 --> 00:23:22,122 おお… ああ それならば… 245 00:23:22,122 --> 00:23:26,092 この裁縫箱は いかがですかな? 246 00:23:26,092 --> 00:23:31,231 箱根細工と申しましてな 古くから この土地に伝わる工芸品です 247 00:23:31,231 --> 00:23:35,101 はあ… これはいい 気に入りました 248 00:23:35,101 --> 00:23:39,105 いや 実は以前 わたしも 女房への 土産にしたことがございましてな 249 00:23:39,105 --> 00:23:44,244 (笑い声) ああ ちょっと… 250 00:23:44,244 --> 00:23:46,179 ご主人 (店主)はい 251 00:23:46,179 --> 00:23:50,116 これをな 綿でくるんで 風呂敷で包んでおあげなさい 252 00:23:50,116 --> 00:23:52,118 かしこまりました (大治郎)これは ご親切に 253 00:23:52,118 --> 00:23:56,118 いやいや… おい 行こうか (お初)はい 254 00:24:18,144 --> 00:24:27,220 ♬~ 255 00:24:27,220 --> 00:24:29,155 ンン! 256 00:24:29,155 --> 00:24:42,235 ♬~ 257 00:24:42,235 --> 00:24:46,106 このお方は病み上がりの体で 決闘には堪えられぬ 258 00:24:46,106 --> 00:24:48,106 刀を引いてもらいたい 259 00:24:51,244 --> 00:24:54,147 たってとあらば わたしが代わって 相手になろう 260 00:24:54,147 --> 00:25:09,262 ♬~ 261 00:25:09,262 --> 00:25:11,262 今は やめておこう 262 00:25:18,271 --> 00:25:22,271 やすやすとは殺さん 存分に苦しめ 263 00:25:28,081 --> 00:25:31,217 あの男 一体 何者です? 264 00:25:31,217 --> 00:25:35,217 わしに深い恨みを抱く者だ 265 00:25:38,091 --> 00:25:44,230 (彦五郎)あの男が 小田原の わしの道場に現れたのは➡ 266 00:25:44,230 --> 00:25:48,230 今から 12~13年も前のことじゃ 267 00:25:51,104 --> 00:25:56,242 わしを倒すために ひたすら修行を 積んできたと言うてな 268 00:25:56,242 --> 00:26:01,114 いきなり真剣勝負を挑んできた 269 00:26:01,114 --> 00:26:04,117 しかし… 力の差は歴然としていた 270 00:26:04,117 --> 00:26:06,117 ((エイッ!)) 271 00:26:09,255 --> 00:26:13,255 ((ヤーッ! ウッ!)) 272 00:26:15,128 --> 00:26:17,128 ((アーッ!)) 273 00:26:19,265 --> 00:26:22,265 ((アア… ウウ…)) 274 00:26:26,072 --> 00:26:28,072 ((アッ…)) 275 00:26:30,210 --> 00:26:32,145 ((ウウ…)) 276 00:26:32,145 --> 00:26:51,231 ♬~ 277 00:26:51,231 --> 00:26:55,101 ♬~ 278 00:26:55,101 --> 00:26:57,101 ((今に見ておれ…)) 279 00:26:59,105 --> 00:27:05,245 ((今に見ておれ! 必ず…)) 280 00:27:05,245 --> 00:27:08,148 (彦五郎) 恐ろしいほどの執念じゃった 281 00:27:08,148 --> 00:27:15,255 それ以来 あの男は怨念のように わしに取りついて離れぬ 282 00:27:15,255 --> 00:27:17,190 (せき) 283 00:27:17,190 --> 00:27:23,062 しかも 現れる度に強くなって… 284 00:27:23,062 --> 00:27:27,200 今では わしを はるかにしのぐ腕前になった 285 00:27:27,200 --> 00:27:34,073 先生 わたしは 今しばらく ここへ逗留させていただきます 286 00:27:34,073 --> 00:27:38,073 わしを 守ってくれようというのか? 287 00:27:40,213 --> 00:27:44,083 うらやましいことよのぅ (大治郎)はあ? 288 00:27:44,083 --> 00:27:48,087 お前さんのような せがれを持った➡ 289 00:27:48,087 --> 00:27:51,087 小兵衛が うらやましいということよ 290 00:28:09,242 --> 00:28:12,145 あっ… (大治郎)これは失礼を 291 00:28:12,145 --> 00:28:15,145 いやいや どういたしまして 292 00:28:38,204 --> 00:28:40,204 房吉! 293 00:28:43,076 --> 00:28:48,214 (悲鳴) 294 00:28:48,214 --> 00:28:50,149 ウッ! 295 00:28:50,149 --> 00:28:53,086 お前さんが現れるのを ずっと待っていた 296 00:28:53,086 --> 00:28:56,086 房吉! 神妙にしやがれい! 297 00:28:59,225 --> 00:29:02,128 (弥七) 桔梗屋の番頭が殺される前➡ 298 00:29:02,128 --> 00:29:05,098 お前と不二楼で 会っていたことは紛れもねえ 299 00:29:05,098 --> 00:29:09,098 あの晩 何があったか じっくり話してもらおうか 300 00:29:12,238 --> 00:29:15,141 今更 しらを切ることもあるめえ 301 00:29:15,141 --> 00:29:20,113 こうなった以上 お前は もう 娘を取り戻すことはできねえんだ 302 00:29:20,113 --> 00:29:24,183 その代わり 徳右衛門にも渡さねえ 303 00:29:24,183 --> 00:29:27,183 そいつは 一体 どういうことだ? ああ? 304 00:29:29,055 --> 00:29:35,194 番頭は… 俺が殺した 305 00:29:35,194 --> 00:29:38,097 殺して 井戸へ放り込んだ (弥七)おう 房吉! 306 00:29:38,097 --> 00:29:42,068 そんな でたらめが 通じるとでも思ってるのか? 307 00:29:42,068 --> 00:29:46,205 番頭の茂兵衛はな 刀で斬り殺されていたんだぜ 308 00:29:46,205 --> 00:29:52,078 だからよ 俺が刀でよ… (弥七)嘘も 大概にしやがれい! 309 00:29:52,078 --> 00:29:55,078 茂兵衛を殺ったのは 尋常の使い手じゃねえ! 310 00:29:58,217 --> 00:30:00,217 誰なんだ? そいつは 311 00:30:02,088 --> 00:30:05,088 人を雇ったのではないかな? 312 00:30:07,226 --> 00:30:09,162 どうやら 図星のようですぜ 313 00:30:09,162 --> 00:30:12,098 このごろ 「仕掛人」と称して➡ 314 00:30:12,098 --> 00:30:16,235 金で ひそかに人を殺める連中が 増えているそうな 315 00:30:16,235 --> 00:30:21,107 しかし 妙じゃございませんか? 人を雇っておきながら➡ 316 00:30:21,107 --> 00:30:26,045 この野郎は なんで桔梗屋の女将を てめえの手で殺そうとしたのか… 317 00:30:26,045 --> 00:30:29,045 雇った仕掛人は どうした? 318 00:30:32,185 --> 00:30:34,185 先生! 319 00:30:38,057 --> 00:30:41,194 ご亭主と娘御は 今どこにおられる? 320 00:30:41,194 --> 00:30:46,065 箱根の田村屋という宿に 箱根の田村屋!? 321 00:30:46,065 --> 00:30:48,067 ご亭主の 行き先を知っていたのは? 322 00:30:48,067 --> 00:30:51,067 わたしと 番頭の茂兵衛だけです 323 00:30:54,207 --> 00:30:58,077 房吉! てめえ 番頭から そいつを聞き出して➡ 324 00:30:58,077 --> 00:31:02,081 箱根の徳右衛門へ 仕掛人を送りつけた! 325 00:31:02,081 --> 00:31:04,081 そうだな? 326 00:31:11,224 --> 00:31:14,127 おはる 買い置きのわらじ出してくれ 327 00:31:14,127 --> 00:31:17,096 (おはる)わらじなんて知らねえ 328 00:31:17,096 --> 00:31:20,233 先生ひとりで 箱根 行くんだから 支度も ひとりですりゃいいんだ 329 00:31:20,233 --> 00:31:22,168 わたしをのけ者にして➡ 330 00:31:22,168 --> 00:31:25,104 若先生と ふたりだけで いいことしようと思って 331 00:31:25,104 --> 00:31:28,107 遊びに行くんじゃないと 言ってるだろう うん? 332 00:31:28,107 --> 00:31:30,243 機嫌を直して さあ わらじ出してくれ 333 00:31:30,243 --> 00:31:35,114 知らねえってば! 庭下駄でも 何でも つっかけときゃいいんだ 334 00:31:35,114 --> 00:31:38,117 下駄で 箱根まで 行けるわけがないじゃないか 335 00:31:38,117 --> 00:31:41,254 さあ 早く ≪(弥七)先生 お早く願います 336 00:31:41,254 --> 00:31:43,189 分かった ちょっと待ってくれ 337 00:31:43,189 --> 00:31:48,127 おはる 頼むよ なっ? 338 00:31:48,127 --> 00:31:50,127 フン! 339 00:31:53,266 --> 00:32:09,266 ♬~ 340 00:32:43,249 --> 00:33:01,267 ♬~ 341 00:33:01,267 --> 00:33:19,285 ♬~ 342 00:33:19,285 --> 00:33:36,235 ♬~ 343 00:33:36,235 --> 00:33:51,250 ♬~ 344 00:33:51,250 --> 00:34:02,250 ♬~ 345 00:34:11,270 --> 00:34:14,173 あっ! ああ 先生 ちょいと! 待ってください 346 00:34:14,173 --> 00:34:16,173 わらじのひもが切れちまった 347 00:34:19,145 --> 00:34:21,280 おはるさんの たたりかもしれませんぜ 348 00:34:21,280 --> 00:34:23,216 たたりが来るなら わしのほうじゃ 349 00:34:23,216 --> 00:34:26,118 馬鹿なこと言ってないで 早くしなさい へいへい 350 00:34:26,118 --> 00:34:28,087 急がねば 大変なことになるやもしれぬ 351 00:34:28,087 --> 00:34:31,090 分かっておりますよ そう せかさなくても 352 00:34:31,090 --> 00:34:33,226 いいや お前さんには 分かってはおらん 353 00:34:33,226 --> 00:34:37,096 箱根の田村屋には 大治郎も 泊まり合わせているのじゃ 354 00:34:37,096 --> 00:34:41,100 えっ!? そりゃ 一層 好都合じゃございませんか 355 00:34:41,100 --> 00:34:45,238 何をのんきなことを! 例の仕掛人は恐ろしく腕が立つ 356 00:34:45,238 --> 00:34:49,108 大治郎とて やすやす 勝てる相手ではないのじゃ! 357 00:34:49,108 --> 00:34:53,112 (駕籠かき)えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 358 00:34:53,112 --> 00:34:56,112 えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 359 00:34:58,251 --> 00:35:03,122 奥庭の離れは 風雅な良い造りだが どなたが泊まっておるのだ? 360 00:35:03,122 --> 00:35:05,124 はい 江戸のお菓子屋さんで➡ 361 00:35:05,124 --> 00:35:09,262 桔梗屋徳右衛門さまと おっしゃる方ですけど 362 00:35:09,262 --> 00:35:11,197 それが何か? (大治郎)いやぁ… 363 00:35:11,197 --> 00:35:14,133 ちょっと言葉を交わしたが 親切な いい人だった 364 00:35:14,133 --> 00:35:17,136 本当に! あたしらにも親切で 365 00:35:17,136 --> 00:35:21,274 今朝は もう江戸に お帰りになるそうですけど 366 00:35:21,274 --> 00:35:23,274 さようか (女中)はい 367 00:35:26,112 --> 00:35:31,083 この宿に わたしと同じ年格好の 侍が泊まっているだろう 368 00:35:31,083 --> 00:35:33,219 あの気味の悪い? 369 00:35:33,219 --> 00:35:36,122 いつごろまで ご逗留の予定かな? 370 00:35:36,122 --> 00:35:40,092 あの お侍さんは ついさっき おたちになりました 371 00:35:40,092 --> 00:35:42,228 たった? (女中)はい! 372 00:35:42,228 --> 00:35:48,100 なんですか 急に ばたばたと… では ごゆっくり 373 00:35:48,100 --> 00:35:52,238 あっ 一昨日の夜 奇妙なことがありましてな 374 00:35:52,238 --> 00:35:54,173 ほう… 奇妙なこと 375 00:35:54,173 --> 00:35:59,111 あの男が 奥庭の離れへ 忍んでいくのを見たんです 376 00:35:59,111 --> 00:36:03,111 わしを殺しに来たと思うていたが 377 00:36:05,251 --> 00:36:08,154 わたしも これから 江戸へ たちます 378 00:36:08,154 --> 00:36:10,122 わしも行こう 379 00:36:10,122 --> 00:36:12,124 (女中)さあ (徳右衛門)どうも 380 00:36:12,124 --> 00:36:15,261 まいどありがとうございます (徳右衛門)お世話になりました 381 00:36:15,261 --> 00:36:20,132 お気をつけて さあ どうぞどうぞ 道中つつがなく 382 00:36:20,132 --> 00:36:24,070 また お越しくださいませ ありがとうございました 383 00:36:24,070 --> 00:36:28,207 (駕籠かき)よっ! (女中)ありがとうございました 384 00:36:28,207 --> 00:36:30,142 (駕籠かき)えっほ! えっほ! 385 00:36:30,142 --> 00:36:34,080 まいどありがとうございます お気をつけて 386 00:36:34,080 --> 00:36:36,082 いってらっしゃいませ 387 00:36:36,082 --> 00:36:47,082 ♬~ 388 00:36:49,228 --> 00:36:54,100 (駕籠かき)えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 389 00:36:54,100 --> 00:37:01,100 えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 390 00:37:06,245 --> 00:37:10,245 えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 391 00:37:18,257 --> 00:37:24,063 えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 392 00:37:24,063 --> 00:37:31,203 ♬~ 393 00:37:31,203 --> 00:37:34,106 (せき) 394 00:37:34,106 --> 00:37:45,217 ♬~ 395 00:37:45,217 --> 00:37:57,229 ♬~ 396 00:37:57,229 --> 00:38:04,103 えっほ! えっほ! えっほ! えっほ! 397 00:38:04,103 --> 00:38:09,241 (せき) 398 00:38:09,241 --> 00:38:14,113 先生! しっかり! (彦五郎)先に行ってくれ 399 00:38:14,113 --> 00:38:17,116 ≪(悲鳴) 400 00:38:17,116 --> 00:38:20,252 人殺しーっ! 401 00:38:20,252 --> 00:38:23,155 ≪(悲鳴) 402 00:38:23,155 --> 00:38:26,058 アッ… ウワーッ! 403 00:38:26,058 --> 00:38:28,058 待てーっ! 404 00:38:33,199 --> 00:38:35,199 ヤッ! 405 00:38:54,220 --> 00:39:04,230 ♬~ 406 00:39:04,230 --> 00:39:08,230 ウワーッ! 407 00:39:14,240 --> 00:39:16,240 ウッ! 408 00:39:25,184 --> 00:39:27,184 ウウ… 409 00:39:35,194 --> 00:39:38,194 なぜ このような真似を? 410 00:39:40,065 --> 00:39:44,203 なぜということもない 411 00:39:44,203 --> 00:39:48,073 金で頼まれた 412 00:39:48,073 --> 00:39:51,073 それだけのことだ 413 00:39:54,213 --> 00:39:58,083 おぬしのような… 414 00:39:58,083 --> 00:40:04,083 ひなたで育った人間には… 分かるまい 415 00:40:17,236 --> 00:40:22,074 お初! けがはないか? 良かった 良かった… 416 00:40:22,074 --> 00:40:24,074 大治郎! 417 00:40:26,045 --> 00:40:32,184 父上! どうして ここへ? その話は あとじゃ 418 00:40:32,184 --> 00:40:35,087 大事なかったか? 419 00:40:35,087 --> 00:40:38,057 おお そうじゃ 桔梗屋は どうした? 桔梗屋? 420 00:40:38,057 --> 00:40:40,057 うむ… あっ… 421 00:40:44,196 --> 00:40:48,067 桔梗屋徳右衛門さんですね? (徳右衛門)あっ はい… 422 00:40:48,067 --> 00:40:50,067 無事で よろしゅうござんした 423 00:41:02,214 --> 00:41:04,214 (大治郎)先生! 424 00:41:07,086 --> 00:41:09,086 横川さん 425 00:41:15,227 --> 00:41:19,098 先生 どうなされました? 426 00:41:19,098 --> 00:41:26,238 この男の名はのぅ 「横川彦蔵」というのじゃ… 427 00:41:26,238 --> 00:41:33,112 ♬~ 428 00:41:33,112 --> 00:41:36,112 では… こやつは? 429 00:41:38,250 --> 00:41:42,250 わしの… せがれじゃよ 430 00:41:46,125 --> 00:41:50,262 (彦五郎) 今から30年も前になろうか… 431 00:41:50,262 --> 00:41:56,135 わしは 小田原の実家に 奉公に来ていた女に手をつけた 432 00:41:56,135 --> 00:42:01,273 若気の至りというやつでのぅ (せき) 433 00:42:01,273 --> 00:42:06,145 女が子を宿すなどとは 思いもしなかった 434 00:42:06,145 --> 00:42:11,283 わしは 我が子に 会おうともしなかった 435 00:42:11,283 --> 00:42:14,186 6年の間 ただの一度も 436 00:42:14,186 --> 00:42:18,157 それがために 女は 小田原に おれなくなり➡ 437 00:42:18,157 --> 00:42:21,293 剣術の 修行をしていた わしを頼って… 438 00:42:21,293 --> 00:42:25,164 (せき) 江戸に出てきて… 439 00:42:25,164 --> 00:42:28,164 幼い子供の手を引いてな 440 00:42:30,102 --> 00:42:36,241 しかし わしにとっては2人とも 修行の邪魔でしかなかった 441 00:42:36,241 --> 00:42:42,114 そのころのわしは 剣術のことしか 頭になかったんじゃ 442 00:42:42,114 --> 00:42:45,250 で… 無情にも追い返した 443 00:42:45,250 --> 00:42:50,250 そのときの彦蔵の目を 今も忘れられぬ 444 00:42:52,124 --> 00:42:57,262 女は わしを 恨み抜いて死んだという 445 00:42:57,262 --> 00:43:03,135 それ以来 わしと せがれは 敵同士になった 446 00:43:03,135 --> 00:43:07,272 そのことをなぜ 打ち明けて くださらなかったのです? 447 00:43:07,272 --> 00:43:09,208 許してくだされ 448 00:43:09,208 --> 00:43:16,281 わしは大治郎どのに せがれを 斬ってもらいたかったのじゃ 449 00:43:16,281 --> 00:43:19,184 わしの心ない仕打ちが せがれを➡ 450 00:43:19,184 --> 00:43:25,090 あのような血も涙もない男に 仕立て上げてしまった 451 00:43:25,090 --> 00:43:33,090 その片を… 大治郎どのに つけてもらいたかったのじゃ 452 00:43:35,234 --> 00:43:38,137 お前さんは 彦蔵どのが➡ 453 00:43:38,137 --> 00:43:42,107 仕掛人を生業にしていたのを 知っていたのじゃな 454 00:43:42,107 --> 00:43:44,243 知っていた 455 00:43:44,243 --> 00:43:47,146 (せき) 456 00:43:47,146 --> 00:43:53,252 なれど… 今のわしに何ができよう 457 00:43:53,252 --> 00:43:56,155 若いころ あれほど打ち込んだ修行も➡ 458 00:43:56,155 --> 00:43:59,124 年を取れば跡形もない 459 00:43:59,124 --> 00:44:05,264 すべてをなげうって 結局 わしに残されたものといやぁ➡ 460 00:44:05,264 --> 00:44:09,134 老いさらばえた この身ひとつだ 461 00:44:09,134 --> 00:44:15,274 それに引き換え 小兵衛よ… おぬしは見上げたものじゃ 462 00:44:15,274 --> 00:44:18,177 わしがかえ? ああ 463 00:44:18,177 --> 00:44:25,083 男手ひとつで 大治郎どのを 立派に育て上げた ハッハッハ… 464 00:44:25,083 --> 00:44:29,221 いやいや わしとても そう褒められたものでもないが… 465 00:44:29,221 --> 00:44:34,092 いやいや わしには 到底できなかったことじゃ… 466 00:44:34,092 --> 00:44:36,094 そう自分を責めては いかんよ 467 00:44:36,094 --> 00:44:41,233 お前さんも わしも 親としては それほどの違いもないのじゃ 468 00:44:41,233 --> 00:44:47,105 ただ お前さんは わしよりも 少しだけ剣術に熱中しすぎた 469 00:44:47,105 --> 00:44:50,242 ただ それだけのことよ 470 00:44:50,242 --> 00:45:06,242 ♬~ 471 00:45:22,174 --> 00:45:27,079 <数日後 横川彦五郎は世を去った> 472 00:45:27,079 --> 00:45:33,079 <箱根には珍しい 焼けつくような 昼下がりのことであった> 473 00:45:46,231 --> 00:45:49,134 おはる! 帰ったぞ! 474 00:45:49,134 --> 00:45:53,105 あっ! 先生 おかえりなさい! 475 00:45:53,105 --> 00:45:56,241 留守中 何か変わったことはなかったか? 476 00:45:56,241 --> 00:46:01,113 はい もう変わんなさすぎて 死ぬほど退屈しちまったよぅ… 477 00:46:01,113 --> 00:46:04,116 ハッハッハ! そうかそうか… 箱根の お湯は➡ 478 00:46:04,116 --> 00:46:08,253 さぞかし気持ち良かったべ 遊びに行ったのではないのじゃ! 479 00:46:08,253 --> 00:46:12,124 嘘ばっかり 急ぎの旅だなんて言っといて➡ 480 00:46:12,124 --> 00:46:15,127 10日も 帰ってこなかったくせして 481 00:46:15,127 --> 00:46:20,265 ああ ああ 悪かった 悪かった 勘弁してくれ 482 00:46:20,265 --> 00:46:25,103 大治郎さまも ひどいでねえか 手紙一本よこさないで 483 00:46:25,103 --> 00:46:28,073 申し訳ございません 484 00:46:28,073 --> 00:46:33,211 ああ そうだ これは 母上への お土産です 485 00:46:33,211 --> 00:46:39,084 やだ 「母上」だなんて 開けてみなさい 「母上」 うん? 486 00:46:39,084 --> 00:46:42,084 (笑い声) あっ… 487 00:46:47,225 --> 00:46:51,096 箱根細工の裁縫箱です お気に召しますかどうか 488 00:46:51,096 --> 00:46:55,100 わぁ~! フフッ… 489 00:46:55,100 --> 00:46:59,100 うれしいよ 大治郎さま 490 00:47:06,244 --> 00:47:11,244 今夜は 鱸の洗いにでも しようかねえ フフッ! 491 00:47:28,200 --> 00:47:32,070 あの2人… できてるね 492 00:47:32,070 --> 00:47:34,070 おはるも そう思うか 493 00:47:37,209 --> 00:47:39,144 開けろ! 494 00:47:39,144 --> 00:47:42,144 大切な預かり物ゆえ 渡すことはできん!