1 00:01:22,167 --> 00:01:24,103 2 00:01:24,103 --> 00:01:29,103 (雷鳴) 3 00:01:35,180 --> 00:01:38,180 (雷鳴) 4 00:01:41,053 --> 00:01:45,190 (ナレーター) <戦国乱世は遠い昔のことながら➡ 5 00:01:45,190 --> 00:01:48,190 武士の魂 やはり剣> 6 00:01:51,063 --> 00:01:53,065 <あえて 戦がなければこそ➡ 7 00:01:53,065 --> 00:01:58,203 腕に覚えの剣客どもは 売り込み合戦に明け暮れる> 8 00:01:58,203 --> 00:02:04,076 <いや まさしく 昨今 剣術は商売なり> 9 00:02:04,076 --> 00:02:14,219 ♬~ 10 00:02:14,219 --> 00:02:29,168 ♬~ 11 00:02:29,168 --> 00:02:40,179 ♬~ 12 00:02:40,179 --> 00:02:59,198 ♬~ 13 00:02:59,198 --> 00:03:19,218 ♬~ 14 00:03:19,218 --> 00:03:34,166 ♬~ 15 00:03:34,166 --> 00:03:48,166 ♬~ 16 00:03:58,190 --> 00:04:05,190 <その日 小兵衛は おはるを連れて 浅草寺境内を散策していた> 17 00:04:17,209 --> 00:04:21,080 (おはる) あっ! この店の汁粉ときたら➡ 18 00:04:21,080 --> 00:04:25,017 ほっぺたが落ちるんだよ (小兵衛)ああ 噂には聞いておる 19 00:04:25,017 --> 00:04:27,019 あっ いいから行こう 20 00:04:27,019 --> 00:04:30,155 汁粉なぁ… うん ねっ? いいから行こう 21 00:04:30,155 --> 00:04:33,058 先生 早く! ああ 22 00:04:33,058 --> 00:04:35,027 (店の娘)いらっしゃいまし! どうぞ こちらへ! 23 00:04:35,027 --> 00:04:38,030 先生 こっちこっち! 24 00:04:38,030 --> 00:04:43,168 どうぞ あっ 白玉汁粉2つね (店の娘)かしこまりました 25 00:04:43,168 --> 00:04:45,168 ≪(店の娘) ありがとうございました 26 00:04:47,039 --> 00:04:51,043 フフフッ… 何が おかしいのじゃ? 27 00:04:51,043 --> 00:04:57,182 だって 先生とわたし 誰が見ても 親子にしか見えねえべと思って 28 00:04:57,182 --> 00:05:01,182 ウフフッ… それが おかしいのか? 29 00:05:03,055 --> 00:05:06,191 (笑い声) 30 00:05:06,191 --> 00:05:09,094 (男性)おいしいね ≪(店の娘)いらっしゃいまし 31 00:05:09,094 --> 00:05:11,063 どうぞ こちらへ 32 00:05:11,063 --> 00:05:19,204 ♬~ 33 00:05:19,204 --> 00:05:21,204 こちらでございます 34 00:05:23,075 --> 00:05:29,014 はて あの若侍 どこかで見た顔じゃな 35 00:05:29,014 --> 00:05:33,152 お旗本の お坊ちゃんだべ 着てる物が違うもの 36 00:05:33,152 --> 00:05:40,025 うんうん… いやいや 思い出せぬが 確か あの顔は… 37 00:05:40,025 --> 00:05:50,169 ♬~ 38 00:05:50,169 --> 00:05:54,169 (お照)白玉汁粉2つ (店の娘)はい どうぞ ごゆっくり 39 00:05:59,178 --> 00:06:03,048 伊織さま… (伊織)お照! 40 00:06:03,048 --> 00:06:08,187 このまま二度と会えないような… 41 00:06:08,187 --> 00:06:12,057 いつだって そうなんです 42 00:06:12,057 --> 00:06:15,060 あなたと別れたら… 43 00:06:15,060 --> 00:06:19,060 もう二度と… (伊織)捨てるもんか 44 00:06:21,200 --> 00:06:26,200 お前のような かわいい女を どうして… 45 00:06:28,006 --> 00:06:30,006 伊織さま 46 00:06:44,156 --> 00:06:47,059 あの2人… できてるね 47 00:06:47,059 --> 00:06:50,028 おはるも そう思うか 48 00:06:50,028 --> 00:06:56,168 先生とわたしも はたから見たら そう見えるだべか… 49 00:06:56,168 --> 00:07:00,038 馬鹿… 「親子に見える」 そう言ったではないか 50 00:07:00,038 --> 00:07:05,177 うん… でも わたし 本当は そう見られたい 51 00:07:05,177 --> 00:07:08,080 フフッ はしたないかねえ そういう気持ち 52 00:07:08,080 --> 00:07:11,049 はしたない? うん… 53 00:07:11,049 --> 00:07:15,187 そんなことはないさ フフッ うれしい! 54 00:07:15,187 --> 00:07:17,122 (笑い声) 55 00:07:17,122 --> 00:07:21,059 先生? いや どうしても思い出せんのじゃ 56 00:07:21,059 --> 00:07:26,131 どっかで見た顔なんじゃがな そんなに気にせんでもいいのに 57 00:07:26,131 --> 00:07:29,034 うむ… いやいや ここまで出ているんじゃが… 58 00:07:29,034 --> 00:07:32,004 背中たたいてあげようか? いやいや 違うのじゃ 59 00:07:32,004 --> 00:07:35,140 その… のどに 魚の小骨が刺さったようで… 60 00:07:35,140 --> 00:07:40,012 ご飯を噛まずに飲み込むといいよ いやいや 違うんじゃ 61 00:07:40,012 --> 00:07:48,153 ♬~ 62 00:07:48,153 --> 00:07:50,088 あっ! 63 00:07:50,088 --> 00:07:52,024 お照? 64 00:07:52,024 --> 00:07:56,028 お照! どうした? (お照)あっ… 65 00:07:56,028 --> 00:07:59,164 足をくじいたのか? どれどれ… 66 00:07:59,164 --> 00:08:02,067 いや! 恥ずかしい 67 00:08:02,067 --> 00:08:05,067 何を言う… 歩けるか? 68 00:08:11,176 --> 00:08:13,111 痛むか? 69 00:08:13,111 --> 00:08:21,186 ♬~ 70 00:08:21,186 --> 00:08:25,186 近くに船宿がある そこでな… 71 00:08:30,996 --> 00:08:37,135 おきち! (おきち)お嬢さま! 旦那さまが… 72 00:08:37,135 --> 00:08:40,038 どうして お前が こんな所に来たのよ 73 00:08:40,038 --> 00:08:45,010 旦那さまが… 具合が悪いんです 74 00:08:45,010 --> 00:08:48,146 お父っつぁんが? (おきち)さあ 早くまいりましょう 75 00:08:48,146 --> 00:09:05,163 ♬~ 76 00:09:05,163 --> 00:09:07,099 ごめんなさいね 77 00:09:07,099 --> 00:09:10,035 いいんだ 気にしないで 78 00:09:10,035 --> 00:09:26,118 ♬~ 79 00:09:26,118 --> 00:09:42,134 ♬~ 80 00:09:42,134 --> 00:09:49,134 ♬~ 81 00:09:52,144 --> 00:09:55,047 (利助)村松伊織だな? 82 00:09:55,047 --> 00:09:59,017 さようだが (利助)顔を貸してくんねえ 83 00:09:59,017 --> 00:10:01,017 (宗次)嫌だとは言わせねえぜ 84 00:10:04,156 --> 00:10:06,156 (利助)来な 85 00:10:09,027 --> 00:10:12,027 ウッ! 待て こらっ! (利助)こらっ! 86 00:10:14,166 --> 00:10:17,069 おお (弥七)おっとっと… 87 00:10:17,069 --> 00:10:20,069 先生 いけませんね 雑魚ばっかりじゃありませんか 88 00:10:25,110 --> 00:10:28,013 はい! 89 00:10:28,013 --> 00:10:31,983 不二楼のおもとなら 猫の餌にしてしまうところだが 90 00:10:31,983 --> 00:10:34,983 うちのおはるが煮つけると 結構いけるぞ 91 00:10:39,124 --> 00:10:42,124 ええい! おらっ! 92 00:10:44,996 --> 00:10:46,998 弥七 へい! 93 00:10:46,998 --> 00:10:50,135 (伊織)ウウ… (利助)往生しやがれい! 94 00:10:50,135 --> 00:10:52,070 アイタッ! 95 00:10:52,070 --> 00:10:54,005 てめえら 何しやんでえ! 96 00:10:54,005 --> 00:10:57,008 ああ! こらこらこら! 馬鹿者どもが! 97 00:10:57,008 --> 00:11:01,146 ワーッ! (弥七)ああ どうなさいました? 98 00:11:01,146 --> 00:11:03,146 あ~あ こいつは ひでえや 99 00:11:08,019 --> 00:11:13,158 秋山先生! 秋山先生ではございませぬか? 100 00:11:13,158 --> 00:11:15,093 えっ? そなたは? 101 00:11:15,093 --> 00:11:17,028 村松伊織でございます 102 00:11:17,028 --> 00:11:22,167 以前 父が 先生の四谷の道場で お世話になった 103 00:11:22,167 --> 00:11:26,037 おお! 村松左馬之助さまの そうであったか 104 00:11:26,037 --> 00:11:29,040 お久しゅうございました アイタッ! ウウ… 105 00:11:29,040 --> 00:11:31,040 おう 弥七 へい 106 00:11:42,187 --> 00:11:44,187 アアッ! 107 00:11:51,196 --> 00:11:53,131 (おもと) でも お知り合いの秋山先生が➡ 108 00:11:53,131 --> 00:11:55,066 その場に居合わせたなんて 109 00:11:55,066 --> 00:11:59,070 あなたは よっぽど運が強いんですよ 本当に 110 00:11:59,070 --> 00:12:02,070 (伊織) ああ はい わたしも そう思います 111 00:12:04,209 --> 00:12:09,080 何者なのかな? あの2人は はあ それが… 112 00:12:09,080 --> 00:12:15,220 顔見知りか? いえ 見たことはありませんが… 113 00:12:15,220 --> 00:12:18,123 イテッ! (およね)我慢なさい お侍でしょう 114 00:12:18,123 --> 00:12:21,092 あっ はい 115 00:12:21,092 --> 00:12:27,165 あのような狼藉をされて 何か身に覚えがあるのかい? 116 00:12:27,165 --> 00:12:29,100 このようなことになるのでしたら 117 00:12:29,100 --> 00:12:32,037 あんなことを するのではありませんでした 118 00:12:32,037 --> 00:12:35,037 「あんなこと」とは? 119 00:12:37,175 --> 00:12:39,175 あっ そうか! 120 00:12:45,050 --> 00:12:50,188 ハッハッハ… 女出入りだな 121 00:12:50,188 --> 00:12:54,059 先生!? 先生が どうして それを? 122 00:12:54,059 --> 00:12:58,063 見たのよ 10日前にもなろうかのぅ 123 00:12:58,063 --> 00:13:03,201 この江戸は狭い 悪いことはできんぞ 伊織 うん? 124 00:13:03,201 --> 00:13:06,104 (笑い声) そうでしたか 125 00:13:06,104 --> 00:13:10,075 こちら お顔に似合わず 隅に置けないんですね 126 00:13:10,075 --> 00:13:12,210 ああ… ハッハッハ… 127 00:13:12,210 --> 00:13:15,113 で… どういう筋の娘なんだ? あれは 128 00:13:15,113 --> 00:13:20,085 はい お照の父親は 浅草の香具師の元締めとかで 129 00:13:20,085 --> 00:13:22,020 なに? 香具師の? 130 00:13:22,020 --> 00:13:26,157 鎌屋辰蔵という 大層な顔役だそうで 131 00:13:26,157 --> 00:13:31,029 鎌屋の親分さんなら 以前に一度 うちに見えたことがありますよ 132 00:13:31,029 --> 00:13:35,166 (伊織)えっ? で… どういう男なのだ? 133 00:13:35,166 --> 00:13:40,038 45~46の それは 貫録の備わった人でしたねえ 134 00:13:40,038 --> 00:13:45,176 なんでも 幡随院長兵衛の血を引く 筋の通った親分さんだとか 135 00:13:45,176 --> 00:13:50,048 鎌屋の表看板は 中間 小者を 周旋する人入れ稼業です 136 00:13:50,048 --> 00:13:54,185 ですが 香具師の元締めとしての 実入りのほうが… 137 00:13:54,185 --> 00:14:01,059 ええ 江戸市中の20人ばかりいる 元締めの中でも 指折りのお人とか 138 00:14:01,059 --> 00:14:06,197 嘘や隠し事がねえ 本当の 江戸っ子だと言われているようで 139 00:14:06,197 --> 00:14:14,072 ほう… 伊織 お前また 大層な男の 娘に手を出したもんじゃのぅ 140 00:14:14,072 --> 00:14:16,207 はっ… 141 00:14:16,207 --> 00:14:20,078 その お照さんというのは 一人娘じゃないかしら 142 00:14:20,078 --> 00:14:24,015 ええ そうです 母親が亡くなって➡ 143 00:14:24,015 --> 00:14:28,153 蝶よ花よと育てられた 箱入り娘だそうで 144 00:14:28,153 --> 00:14:32,023 お前さん よくも そんな宝物に… 145 00:14:32,023 --> 00:14:34,023 お恥ずかしい 146 00:14:37,162 --> 00:14:41,032 とんだところに 妙なじじいが 出てきやがったなあ 兄貴 147 00:14:41,032 --> 00:14:45,032 そうよ 今ひと息のところだったのに! 148 00:14:48,173 --> 00:14:51,076 いやぁ~ 見ていても すさまじかったぜぇ 149 00:14:51,076 --> 00:14:56,047 俺は本当に兄貴が あの村松伊織を やっつけるのかと思ったよ 150 00:14:56,047 --> 00:15:00,185 フッ… 元締めは まだ そこまでは考えていなさらねえ 151 00:15:00,185 --> 00:15:03,088 だが 腕の一本ぐらいは➡ 152 00:15:03,088 --> 00:15:07,058 たたき折っても かまわねえって言いなすった 153 00:15:07,058 --> 00:15:10,195 だがな! 俺は… あの伊織の野郎の… 154 00:15:10,195 --> 00:15:15,066 あの生っ白い面 見ただけで 腸 煮えくり返ってきたんだよ 155 00:15:15,066 --> 00:15:18,069 分かるよ 兄貴の気持ちは 156 00:15:18,069 --> 00:15:20,205 それにしても お嬢さんも お嬢さんだよ 157 00:15:20,205 --> 00:15:25,043 なんで あんな青びょうたんに… (利助)言うなよ 宗次 158 00:15:25,043 --> 00:15:33,151 本当に 俺にとっちゃ お嬢さんは高根の花だったのに… 159 00:15:33,151 --> 00:15:38,022 何を言うんだ 兄貴 元締めは お嬢さんのお婿さんは➡ 160 00:15:38,022 --> 00:15:41,025 兄貴以外にはいねえと 決めていなさるんだぜ 161 00:15:41,025 --> 00:15:43,161 言うな! 162 00:15:43,161 --> 00:15:46,064 ハァ… ああ くそっ! 163 00:15:46,064 --> 00:15:49,033 おお 乙松 どうだった? (乙松)へい 164 00:15:49,033 --> 00:15:53,171 あの3人 近くの不二楼とかいう 料理屋に入っていきやした 165 00:15:53,171 --> 00:15:56,074 3人だと? (乙松)へい 伊織と じじいと➡ 166 00:15:56,074 --> 00:15:59,074 もうひとりは 十手持ちに 違いありませんぜ (宗次)なに!? 167 00:16:01,045 --> 00:16:04,182 先生 こちらのほうで ああ ご苦労だったな 168 00:16:04,182 --> 00:16:07,085 へい では先生 あっしは これで うむ… 169 00:16:07,085 --> 00:16:10,054 どうも お世話になりました (弥七)おう 170 00:16:10,054 --> 00:16:12,056 先生 うん? 171 00:16:12,056 --> 00:16:14,192 わたし お屋敷まで お送りいたします 172 00:16:14,192 --> 00:16:17,095 馬鹿言っちゃいかん わしが お前さんを送るんだ 173 00:16:17,095 --> 00:16:20,064 いや そのようにいたされましては 誠に恐縮… 174 00:16:20,064 --> 00:16:25,136 死んでもいいんなら 1人でお帰り えっ? 何と おっしゃいました? 175 00:16:25,136 --> 00:16:27,071 悪い友達に そそのかされて➡ 176 00:16:27,071 --> 00:16:30,008 岡場所の女を 買ったのとは訳が違うぞ 177 00:16:30,008 --> 00:16:32,010 お前さんは 香具師の元締めが➡ 178 00:16:32,010 --> 00:16:36,147 どんなものであるか 知っておるのか? 知りませぬ 179 00:16:36,147 --> 00:16:38,082 じゃ お乗り 180 00:16:38,082 --> 00:16:55,166 ♬~ 181 00:16:55,166 --> 00:17:11,182 ♬~ 182 00:17:11,182 --> 00:17:17,182 ♬~ 183 00:17:21,192 --> 00:17:24,095 <浅草福井町の銀杏八幡の➡ 184 00:17:24,095 --> 00:17:30,095 小さな森の裏側に 鎌屋辰蔵の家があった> 185 00:17:50,154 --> 00:17:52,090 (辰蔵)お照 186 00:17:52,090 --> 00:17:58,029 (舌打ち) できちまったもんは しかたがねえ 187 00:17:58,029 --> 00:18:01,165 村松伊織が お前を女房にして➡ 188 00:18:01,165 --> 00:18:06,037 きちんと 祝言を挙げるなら 話は別だ 189 00:18:06,037 --> 00:18:14,178 だが 男手ひとつで育てた 大切な娘に 手をつけておきながら 190 00:18:14,178 --> 00:18:19,050 ただの 遊び事で済まそうってんなら… 191 00:18:19,050 --> 00:18:26,050 たとえ 将軍さまのせがれでも 俺は勘弁しねえぜ 192 00:18:29,127 --> 00:18:32,030 どうしようってんです? お父っつぁん 193 00:18:32,030 --> 00:18:36,000 それは 男と男の けりのつけ方がある 194 00:18:36,000 --> 00:18:38,000 女の出る幕じゃねえ 195 00:18:42,140 --> 00:18:45,140 それが この稼業の掟だ 196 00:18:47,011 --> 00:18:53,151 もし… 伊織さまに 乱暴なことしたら わたし… 197 00:18:53,151 --> 00:18:56,054 お嬢さま! 198 00:18:56,054 --> 00:18:59,054 わたし 死んでやるから! 199 00:19:03,161 --> 00:19:05,161 お照… 200 00:19:11,035 --> 00:19:17,175 お照… お前は今夜から 南馬道の おじきの家に預かってもらう 201 00:19:17,175 --> 00:19:20,078 俺がいいって言うまで➡ 202 00:19:20,078 --> 00:19:24,983 おじきの家を 一歩も出るんじゃねえぞ いいな? 203 00:19:24,983 --> 00:19:29,120 利助 連れていけ (利助)かしこまりました 204 00:19:29,120 --> 00:19:32,991 お嬢さま さあ (利助)お嬢さん 205 00:19:32,991 --> 00:19:34,991 まいりましょう 206 00:19:38,129 --> 00:19:40,064 照! 207 00:19:40,064 --> 00:19:56,147 ♬~ 208 00:19:56,147 --> 00:20:01,019 <そのころ 小兵衛は伊織を送って➡ 209 00:20:01,019 --> 00:20:06,019 お玉ヶ池にある 村松左馬之助の屋敷を訪れていた> 210 00:20:11,162 --> 00:20:14,065 (左馬之助)分かりました 211 00:20:14,065 --> 00:20:19,037 伊織は 実の息子同様に 育てたつもりですが… 212 00:20:19,037 --> 00:20:25,109 監督不行き届き 誠に お恥ずかしい 213 00:20:25,109 --> 00:20:28,012 何をおっしゃる 左馬之助どの 214 00:20:28,012 --> 00:20:32,984 色恋沙汰は 伊織どのの年ごろには よく ありがちのことゆえ 215 00:20:32,984 --> 00:20:38,122 先生に そうおっしゃられると ますます身が細ります 216 00:20:38,122 --> 00:20:42,122 では 伊織どのをこれへ (松江)はい 217 00:20:59,143 --> 00:21:03,014 父上 秋山先生が お帰りになるので? 218 00:21:03,014 --> 00:21:07,018 伊織! お控えなさい! 219 00:21:07,018 --> 00:21:13,157 伊織 己のなしたることすべて ご両親に申し伝えた 220 00:21:13,157 --> 00:21:19,030 幸い わしの申すことを 誠に素直に お聞き入れくだされた 221 00:21:19,030 --> 00:21:24,168 これは なかなかできぬことじゃ ありがたいと思え 222 00:21:24,168 --> 00:21:28,039 わしはな 伊織 昔 父上に大変お世話になった 223 00:21:28,039 --> 00:21:31,042 貧乏道場の やりくりに困ったときに➡ 224 00:21:31,042 --> 00:21:36,180 2度ほど助けていただいた そのことが 今も忘れられぬ 225 00:21:36,180 --> 00:21:39,083 ああ 先生 さように申されては… 226 00:21:39,083 --> 00:21:44,055 いや そのことを思えばこそ ご子息のお力になるつもりです 227 00:21:44,055 --> 00:21:47,191 いや それでなくては こんな やっかいなことに➡ 228 00:21:47,191 --> 00:21:49,127 我から 首を突っ込むつもりはないわ 229 00:21:49,127 --> 00:21:52,063 はあ… 230 00:21:52,063 --> 00:21:57,201 さて 事を丸く収めるためにじゃ 231 00:21:57,201 --> 00:22:00,104 今宵より しばらくの間 伊織どのをわしが手もとに➡ 232 00:22:00,104 --> 00:22:04,075 お預かりしたいと思うのじゃが いかがじゃな? 233 00:22:04,075 --> 00:22:07,211 はっ それは 一存もございませぬ なあ 松江 234 00:22:07,211 --> 00:22:11,082 はい! どうぞ よしなに お計らいくださいませ 235 00:22:11,082 --> 00:22:15,082 これ 伊織 そなたも! (伊織)あっ! はっ はい! 236 00:22:18,222 --> 00:22:31,169 ♬~ 237 00:22:31,169 --> 00:22:34,071 のぅ 伊織 お前は3つのときに➡ 238 00:22:34,071 --> 00:22:38,042 村松家に養子に来て 大事に育てられたから➡ 239 00:22:38,042 --> 00:22:41,179 世の中の恐ろしいことや まがまがしいことに➡ 240 00:22:41,179 --> 00:22:43,179 一度も出会うたことはあるまい 241 00:22:45,049 --> 00:22:50,188 鎌屋辰蔵という男たちの することは恐ろしいことよ 242 00:22:50,188 --> 00:22:53,090 お前が たとえ 将軍さまの ご子息でも➡ 243 00:22:53,090 --> 00:22:58,062 殺そうと思えば 必ず殺す 先生! 244 00:22:58,062 --> 00:23:03,201 それだけではないぞ このことが ご公儀に知れたら 父上は切腹 245 00:23:03,201 --> 00:23:08,072 村松の家は たちまちにして お取り潰しになる 246 00:23:08,072 --> 00:23:12,210 さっきから お前を脅すようなこと ばかり言っておるが 247 00:23:12,210 --> 00:23:14,145 お前は憎めん奴よ 248 00:23:14,145 --> 00:23:17,081 これから お前を連れていく所はな 249 00:23:17,081 --> 00:23:21,219 「鬼に金棒」と言える わしの相棒がおる所じゃ 250 00:23:21,219 --> 00:23:25,089 どうせ退屈しておる いい話し相手になるじゃろう 251 00:23:25,089 --> 00:23:27,024 (笑い声) 252 00:23:27,024 --> 00:23:44,175 ♬~ 253 00:23:44,175 --> 00:24:04,195 ♬~ 254 00:24:04,195 --> 00:24:20,195 ♬~ 255 00:24:22,146 --> 00:24:25,049 (宗次)ほらよっと! ヘヘッ! 256 00:24:25,049 --> 00:24:28,049 クッ! ああ くそっ! (利助)ヘヘヘッ! 257 00:24:32,156 --> 00:24:34,091 青短! こいこい ヘヘッ! 258 00:24:34,091 --> 00:24:37,028 ケッ! 尻の毛まで抜く気だな 259 00:24:37,028 --> 00:24:40,031 ちょいと臭ぇけどな ハハッ! 260 00:24:40,031 --> 00:24:42,166 それにしても 乙松の野郎 遅えなあ 261 00:24:42,166 --> 00:24:45,069 遅い遅い 遅まきの唐辛子! 262 00:24:45,069 --> 00:24:49,040 おお 三光が出来たよ ヘヘヘッ! ≪(乙松)兄貴! 263 00:24:49,040 --> 00:24:51,175 (利助)おお 乙! (宗次)おお どうした? あれから 264 00:24:51,175 --> 00:24:55,046 それが どうもこうもねえんでさ じじいが若造をお玉ヶ池の➡ 265 00:24:55,046 --> 00:24:57,048 屋敷まで 送っていきやした (利助)ちきしょう 266 00:24:57,048 --> 00:24:59,050 見張っていますと またまた じじいが➡ 267 00:24:59,050 --> 00:25:02,186 若造を連れて出ていきやした (利助)なんだと!? 268 00:25:02,186 --> 00:25:06,057 神田河岸から舟で大川に出て 橋場の外れの畑の中の➡ 269 00:25:06,057 --> 00:25:09,060 百姓家みてえな所へ 2人して入っていきやした 270 00:25:09,060 --> 00:25:11,195 半刻もして じじいが 1人で 出てめえりやして 271 00:25:11,195 --> 00:25:13,130 どっかへ行っちまいました 272 00:25:13,130 --> 00:25:15,066 伊織は その百姓家に残ったんだな? 273 00:25:15,066 --> 00:25:18,069 へい いつまでたっても 出てこねえんで➡ 274 00:25:18,069 --> 00:25:20,204 近所に当たりをつけてみますと➡ 275 00:25:20,204 --> 00:25:24,075 なんと兄貴 その百姓家は 剣術の道場だそうで 276 00:25:24,075 --> 00:25:26,010 剣術の道場だと!? 277 00:25:26,010 --> 00:25:31,010 ちきしょう 伊織の野郎め そこへ かくまわれやがったな 278 00:25:46,163 --> 00:25:50,034 おはようございます (大治郎)やあ よく眠れましたか 279 00:25:50,034 --> 00:25:52,034 はい もう ぐっすりと 280 00:25:55,172 --> 00:25:58,172 大治郎さんは早起きなんですね 281 00:26:00,044 --> 00:26:03,047 わたしに何かできることが あったら おっしゃってください 282 00:26:03,047 --> 00:26:05,182 お手伝いいたしますが 283 00:26:05,182 --> 00:26:09,053 じゃ 道場の雑巾がけでも してもらおうかな 284 00:26:09,053 --> 00:26:11,055 まあ その前に朝飯だ 285 00:26:11,055 --> 00:26:15,055 じき支度しますから 顔でも洗って待っていてください 286 00:26:26,137 --> 00:26:29,040 さあさあ 根深汁だ (伊織)いただきます 287 00:26:29,040 --> 00:26:32,009 お屋敷に おられるときのようには まいらぬが➡ 288 00:26:32,009 --> 00:26:36,147 まあ 我慢してください (伊織)いえ 289 00:26:36,147 --> 00:26:42,019 わたしのところは 一汁一菜 いや その一菜もないときがある 290 00:26:42,019 --> 00:26:46,157 いえ おいしくいただいています 291 00:26:46,157 --> 00:26:48,157 元気を出しなさい 292 00:26:51,028 --> 00:26:56,167 安心なさい まさかに その香具師の元締めとやらも… 293 00:26:56,167 --> 00:26:59,070 伊織さんが こんな所にいようとは 夢にも思うまい 294 00:26:59,070 --> 00:27:01,038 そうでしょうか? 295 00:27:01,038 --> 00:27:05,176 大丈夫 わたしの父に 任せておきなさい 296 00:27:05,176 --> 00:27:07,111 はい… 297 00:27:07,111 --> 00:27:10,047 うん? おかわりは? 298 00:27:10,047 --> 00:27:13,047 結構です もう十分にいただきました 299 00:27:17,188 --> 00:27:21,058 もっと食べなくてはいけないなあ 300 00:27:21,058 --> 00:27:25,996 伊織さんは剣術をなさらんのか? (伊織)はい 301 00:27:25,996 --> 00:27:29,996 剣術をすると 腹がすきますよ 302 00:27:43,147 --> 00:27:45,147 うん! 303 00:27:49,019 --> 00:27:55,159 おはる この鮒の甘露煮 味が格別じゃったぞ 304 00:27:55,159 --> 00:28:00,030 そうかなぁ だったら 大治郎さまにも届けてやんべ 305 00:28:00,030 --> 00:28:03,033 フフッ はい ああ そうしよう 306 00:28:03,033 --> 00:28:08,172 朝昼 根深汁と たくあんだけでは あの伊織も閉口しとるじゃろう 307 00:28:08,172 --> 00:28:14,044 フフッ… でも あのお坊ちゃん たくあんなんか食うだべか? 308 00:28:14,044 --> 00:28:17,044 うん? うん… 309 00:28:25,122 --> 00:28:27,057 (弥七)おはようございます 310 00:28:27,057 --> 00:28:30,995 おお 弥七親分 さあ どうぞどうぞ 311 00:28:30,995 --> 00:28:34,131 どうも おはようございます ああ ご苦労だな 312 00:28:34,131 --> 00:28:37,034 お照のことは 何か つかめたか? へい 313 00:28:37,034 --> 00:28:40,004 きのう ようやく 行き先を突き止めました 314 00:28:40,004 --> 00:28:43,140 さすがだな 弥七 いやいや 315 00:28:43,140 --> 00:28:47,011 お照は 亡くなった母親の 実家に預けられておりやす 316 00:28:47,011 --> 00:28:49,013 どうぞ (弥七)ああ こりゃ どうも 317 00:28:49,013 --> 00:28:52,149 南馬道の料理屋 稲屋勝治郎ってのが➡ 318 00:28:52,149 --> 00:28:54,084 お照のおじなんですがね 319 00:28:54,084 --> 00:28:58,022 辰蔵の子分が2人 見張りに張りついておりやした 320 00:28:58,022 --> 00:29:03,160 かわいそうに お照さん 手足をもがれたようなもんだねえ 321 00:29:03,160 --> 00:29:08,032 うむ… 伊織が知ったら何と言うかのぅ 322 00:29:08,032 --> 00:29:11,035 なんとかならないのかねえ 323 00:29:11,035 --> 00:29:16,173 救いに乗り込むような勇気は… それは とてもとても… ええ 324 00:29:16,173 --> 00:29:19,076 ないものねだりか? ええ 325 00:29:19,076 --> 00:29:22,076 (笑い声) 326 00:29:35,125 --> 00:29:38,125 (三冬)御免! 大治郎どのは おられますか? 327 00:29:39,997 --> 00:29:43,997 おお 三冬どの お入りください 328 00:29:47,137 --> 00:29:50,040 お弟子さんですか ようございましたね 329 00:29:50,040 --> 00:29:53,010 フフッ… そんなんじゃありませんよ 330 00:29:53,010 --> 00:29:56,146 父からの預かり物ですよ 331 00:29:56,146 --> 00:29:58,146 大治郎どの 332 00:30:08,158 --> 00:30:11,061 大治郎どの この家は囲まれております 333 00:30:11,061 --> 00:30:13,030 なんですと!? 334 00:30:13,030 --> 00:30:17,167 畑の周りから 後ろの木立のほうへ 数名の男どもが 335 00:30:17,167 --> 00:30:21,038 私は気づかぬ振りをして ここへまいったのだが 336 00:30:21,038 --> 00:30:22,973 そうですか 337 00:30:22,973 --> 00:30:39,123 ♬~ 338 00:30:39,123 --> 00:30:41,058 待てい! 339 00:30:41,058 --> 00:30:44,058 もうすぐ日が暮れる 340 00:30:49,133 --> 00:30:52,133 さあ ここに入ってなさい (伊織)はあ 341 00:30:56,006 --> 00:30:59,143 騒ぎが収まるまで 決して出てはならんよ 342 00:30:59,143 --> 00:31:02,046 はい! では 御免 343 00:31:02,046 --> 00:31:17,046 ♬~ 344 00:31:39,183 --> 00:31:41,118 開けろ! 345 00:31:41,118 --> 00:31:45,055 浅草の鎌屋辰蔵だ! 346 00:31:45,055 --> 00:31:48,055 村松伊織を引き渡してもらいたい 347 00:31:59,203 --> 00:32:01,203 (手下たち)ああっ! 348 00:32:03,073 --> 00:32:07,073 大切な預かり物ゆえ 渡すことはできん! 349 00:32:10,214 --> 00:32:14,084 やれ! (手下たち)ヤーッ! 350 00:32:14,084 --> 00:32:31,168 ♬~ 351 00:32:31,168 --> 00:32:35,038 どうした! やれ! 352 00:32:35,038 --> 00:32:37,040 ヤーッ! 353 00:32:37,040 --> 00:32:50,187 ♬~ 354 00:32:50,187 --> 00:33:04,201 ♬~ 355 00:33:04,201 --> 00:33:21,218 ♬~ 356 00:33:21,218 --> 00:33:28,025 ♬~ 357 00:33:28,025 --> 00:33:30,027 おい! 358 00:33:30,027 --> 00:33:39,027 ♬~ 359 00:33:41,171 --> 00:33:43,106 (笑い声) 360 00:33:43,106 --> 00:33:48,045 そうか… 総勢14人 はいつくばったか 361 00:33:48,045 --> 00:33:53,183 いや 感心に皆 最後まで 立ち向かってまいりました 362 00:33:53,183 --> 00:33:58,055 そうか 鎌屋という男 なかなか面白い奴じゃのぅ 363 00:33:58,055 --> 00:34:02,192 面白がって済むんですか? 先生 いや 済まんじゃろう 364 00:34:02,192 --> 00:34:04,127 このまま済ますような男では あるまい 365 00:34:04,127 --> 00:34:07,064 鎌屋辰蔵 男伊達 366 00:34:07,064 --> 00:34:10,067 まあ あきれた (笑い声) 367 00:34:10,067 --> 00:34:13,203 先生 どうなさるおつもりなんですか? 368 00:34:13,203 --> 00:34:17,074 うむ… 大治郎 お前なら どうする? 369 00:34:17,074 --> 00:34:19,076 向こうの出方ひとつかと 370 00:34:19,076 --> 00:34:23,013 どこまで この男を かばったところで➡ 371 00:34:23,013 --> 00:34:27,150 また同じことを繰り返すだけだ 372 00:34:27,150 --> 00:34:30,053 いっそ その首たたき落として わびを入れるか 373 00:34:30,053 --> 00:34:32,022 えっ!? もともとは➡ 374 00:34:32,022 --> 00:34:36,159 お前の火遊びで 始まったことだからな 375 00:34:36,159 --> 00:34:40,030 私 覚悟いたしました うん? 376 00:34:40,030 --> 00:34:44,034 お照と夫婦になります 377 00:34:44,034 --> 00:34:47,170 なんじゃと? 378 00:34:47,170 --> 00:34:51,041 わたしは家を出ます 村松の家は 親類に➡ 379 00:34:51,041 --> 00:34:56,179 わたしよりも しっかりとした 次男 三男が いくらでもいます 380 00:34:56,179 --> 00:35:00,050 そのうちから1人を選び 養子に来てもらいます 381 00:35:00,050 --> 00:35:03,053 では お前は 香具師の婿になると言うのか? 382 00:35:03,053 --> 00:35:06,189 いえ そこまでは… 383 00:35:06,189 --> 00:35:11,061 ですが 浪々の身となれば お照と夫婦になったところで… 384 00:35:11,061 --> 00:35:16,199 文句は つけられぬというのか はい 385 00:35:16,199 --> 00:35:20,070 これは驚いた 本気で おっしゃるの? 386 00:35:20,070 --> 00:35:23,070 武士に二言はありません! 387 00:35:28,145 --> 00:35:34,145 秋山先生 お願いでございます そのように お取り計らいください 388 00:35:39,156 --> 00:35:43,026 そのほうがよいのです わたしは とても➡ 389 00:35:43,026 --> 00:35:48,165 あの立派な父上の跡を 継げるような男ではありません 390 00:35:48,165 --> 00:35:52,035 そのほうが… そのほうがよいのです 391 00:35:52,035 --> 00:36:07,035 (泣き声) 392 00:36:12,189 --> 00:36:17,060 <それから3日後 小兵衛は 四谷の弥七の案内で➡ 393 00:36:17,060 --> 00:36:22,060 南馬道の料亭 稲屋勝治郎方を訪れた> 394 00:36:30,140 --> 00:36:33,043 ごめんよ! 395 00:36:33,043 --> 00:36:35,012 何でえ! 396 00:36:35,012 --> 00:36:38,015 鎌屋辰蔵の娘 お照に会いに来た 397 00:36:38,015 --> 00:36:42,015 お照? そんな娘は おりやせんぜ 398 00:36:44,154 --> 00:36:46,154 御用の筋だ 399 00:36:51,028 --> 00:36:56,166 のぅ お照… よう聞けよ 400 00:36:56,166 --> 00:37:01,038 お前と伊織とでは 住む世間が全く違う 401 00:37:01,038 --> 00:37:04,041 分かっておろうのぅ 402 00:37:04,041 --> 00:37:07,177 はい 403 00:37:07,177 --> 00:37:10,080 ふたりが 天下晴れて夫婦になるには➡ 404 00:37:10,080 --> 00:37:13,050 いろいろと やっかいな手続きを 踏まねばならぬ 405 00:37:13,050 --> 00:37:18,188 それには 1年かかるか 2年かかるか… 406 00:37:18,188 --> 00:37:21,188 その間 辛抱できるかな? お照 407 00:37:23,026 --> 00:37:25,996 はい! 408 00:37:25,996 --> 00:37:31,134 5年でも10年でも お待ちいたします 409 00:37:31,134 --> 00:37:37,134 そうか… よう申した さすが 鎌屋辰蔵の娘じゃ! 410 00:37:44,147 --> 00:37:51,021 村松伊織さまを 娘 お照の 婿として お迎えいたしたく 411 00:37:51,021 --> 00:37:55,158 まげて ご承知をお願いいたします 412 00:37:55,158 --> 00:38:01,158 黙れ黙れ! 旗本の嫡男を 町人の婿にくれてやれると思うか 413 00:38:09,172 --> 00:38:17,047 <その日の夕刻 鎌屋辰蔵方には 一家の子分衆が全員集まっていた> 414 00:38:17,047 --> 00:38:20,047 おい 早くしろ! 415 00:38:22,119 --> 00:38:25,119 元締め そろいやした 416 00:38:31,128 --> 00:38:35,128 伊織の父親に掛け合いに行ったが けんもほろろだ 417 00:38:37,000 --> 00:38:39,002 子を思う親の心は➡ 418 00:38:39,002 --> 00:38:43,140 旗本も町人も 変わりがねえって言ってやったが 419 00:38:43,140 --> 00:38:45,075 こうなったら 是も非もねえ! 420 00:38:45,075 --> 00:38:49,012 元締め 今度の一件を書きしたため お奉行所に差し出しておき➡ 421 00:38:49,012 --> 00:38:52,149 その上で 伊織の親父の お屋敷に火をかけ➡ 422 00:38:52,149 --> 00:38:54,084 焼き払ってしまいやしょう! (一同)そうだそうだ! 423 00:38:54,084 --> 00:38:56,084 待て! 424 00:38:58,021 --> 00:39:04,161 肝心なのは 伊織の始末をつけることだ 425 00:39:04,161 --> 00:39:07,063 今は おとなしく 手を引いたように見せかけ➡ 426 00:39:07,063 --> 00:39:13,170 半年でも1年でも 奴が ひとり歩きするのを待つんだ 427 00:39:13,170 --> 00:39:16,072 元締め そんな まだるいこと 言いなすっちゃいけやせん 428 00:39:16,072 --> 00:39:20,043 そいつは… (辰蔵)いいから待て! 429 00:39:20,043 --> 00:39:25,043 伊織を仏にしてから 村松屋敷に 火をかけても遅くはねえ 430 00:39:30,120 --> 00:39:33,120 奴の始末をつけねえうちは… 431 00:39:34,991 --> 00:39:39,129 俺は 死んでも死にきれねえ 432 00:39:39,129 --> 00:39:41,129 元締め! 433 00:39:49,139 --> 00:39:51,139 あっ! 434 00:39:55,011 --> 00:39:59,149 やいやい! ここをどこだと思ってやがんだ! 435 00:39:59,149 --> 00:40:01,084 てめえ! (手下)この! 436 00:40:01,084 --> 00:40:03,019 オッ… ウワッ! 437 00:40:03,019 --> 00:40:05,019 この野郎! ウワッ! 438 00:40:09,159 --> 00:40:11,094 大治郎 439 00:40:11,094 --> 00:40:21,171 ♬~ 440 00:40:21,171 --> 00:40:24,074 なんだなんだ! ウッ… 441 00:40:24,074 --> 00:40:27,074 オッ… ウワッ! 442 00:40:28,979 --> 00:40:30,981 ウワッ! 443 00:40:30,981 --> 00:40:35,118 勝手させてもらったぞ 門前払いは困るでな 444 00:40:35,118 --> 00:40:38,021 ウッ… ヤッ! ウウ… 445 00:40:38,021 --> 00:40:44,127 辰蔵! 村松伊織は お前の娘を女房にすると申したぞ 446 00:40:44,127 --> 00:40:48,999 なんだと!? 伊織とお照は夫婦になるのじゃ 447 00:40:48,999 --> 00:40:53,999 辰蔵 お前も それを望んで いたのであろうが! 違うのか? 448 00:40:58,141 --> 00:41:01,044 出ていけ 元締め… 449 00:41:01,044 --> 00:41:06,016 出ていかんと 素っ首 たたき落とすぞ! えっ… 450 00:41:06,016 --> 00:41:09,152 大治郎 こやつら ちょっと見張っててくれ 451 00:41:09,152 --> 00:41:13,023 はい 父上 (手下たち)ウウ… 452 00:41:13,023 --> 00:41:15,025 (大治郎)下がれ 下がれ! 453 00:41:15,025 --> 00:41:19,025 元締め まあ お座んなさい 454 00:41:31,174 --> 00:41:35,045 わしは今日 お照に会うてきた 455 00:41:35,045 --> 00:41:38,048 なにっ!? お照に? 456 00:41:38,048 --> 00:41:40,183 いい娘じゃのぅ 457 00:41:40,183 --> 00:41:44,054 お前に似合わず 器量はよし 気立てはよし 458 00:41:44,054 --> 00:41:47,057 わしは気に入った 459 00:41:47,057 --> 00:41:50,193 あとは頑固親父の 許しを得るだけじゃと➡ 460 00:41:50,193 --> 00:41:53,193 お照にも そう申してきた 461 00:41:56,066 --> 00:42:00,066 どうじゃ? 許してやらんか? 462 00:42:05,208 --> 00:42:13,083 辰蔵よ お照はな 伊織の子を身ごもっておるんだよ 463 00:42:13,083 --> 00:42:15,218 なんだって!? 464 00:42:15,218 --> 00:42:19,089 どうじゃ? 観念せい 465 00:42:19,089 --> 00:42:31,167 ♬~ 466 00:42:31,167 --> 00:42:34,070 (笑い声) 467 00:42:34,070 --> 00:42:38,041 そうか… そうなればな 辰蔵 468 00:42:38,041 --> 00:42:44,180 かわいい お照は 即刻 お前の 手もとから手放さねばならん 469 00:42:44,180 --> 00:42:47,180 よいか? なぜだ? 470 00:42:51,054 --> 00:42:55,191 お前たち侠客にも 古めかしい掟があるように➡ 471 00:42:55,191 --> 00:43:00,063 我ら武士にも ゆるがせぬ掟があるのじゃ 472 00:43:00,063 --> 00:43:04,200 のぅ 辰蔵 分かってくれい 473 00:43:04,200 --> 00:43:15,211 ♬~ 474 00:43:15,211 --> 00:43:21,211 よしなに お願えいたしやす 475 00:43:29,159 --> 00:43:33,159 <うら盆市でにぎわう 7月のある日> 476 00:43:39,169 --> 00:43:41,104 おもと はい 477 00:43:41,104 --> 00:43:43,039 この出汁の具合が なかなか良いのぅ 478 00:43:43,039 --> 00:43:46,042 ああ そうですか ありがとうございます 479 00:43:46,042 --> 00:43:51,181 弥七仕込みか? うん? (笑い声) 480 00:43:51,181 --> 00:43:54,084 ゆで加減どうですか? うんうんうん 481 00:43:54,084 --> 00:43:56,052 時に父上 うん… 482 00:43:56,052 --> 00:43:58,054 あの お照という娘を➡ 483 00:43:58,054 --> 00:44:01,191 田沼さま御用人 生島次郎太夫どのの➡ 484 00:44:01,191 --> 00:44:04,094 養女になさったのは真ですか? そうとも 485 00:44:04,094 --> 00:44:08,064 いや わしが ひそかに 生島どのに お願いしてな 486 00:44:08,064 --> 00:44:11,201 今 お照は 生島どのの お長屋に入って 487 00:44:11,201 --> 00:44:15,071 まあ 行く末は 500石の旗本の妻としての➡ 488 00:44:15,071 --> 00:44:18,074 恥ずかしからぬ しつけをしていただいておる 489 00:44:18,074 --> 00:44:22,145 お照さんは 一所懸命 努めているようです 490 00:44:22,145 --> 00:44:25,048 何しろ 伊織に惚れ抜いておるからのぅ 491 00:44:25,048 --> 00:44:28,048 いや あの娘なら きっと やってのけよう 492 00:44:30,019 --> 00:44:35,158 はあ (三冬)そういうものですか 493 00:44:35,158 --> 00:44:37,093 うん? 三冬どの 494 00:44:37,093 --> 00:44:39,028 私には分かりませぬ 495 00:44:39,028 --> 00:44:43,032 あんな意気地なしの 一体 どこが良いのか 496 00:44:43,032 --> 00:44:45,168 それは そうでしょうなあ 497 00:44:45,168 --> 00:44:49,168 蓼食う虫も何とやらですよ 三冬さま 498 00:44:51,040 --> 00:44:55,178 で… お照を 生島どのの養女にした件 499 00:44:55,178 --> 00:44:58,081 伊織の親御さんは ご承知なのですか? 500 00:44:58,081 --> 00:45:02,051 いいや ち… 父上 それは! 501 00:45:02,051 --> 00:45:04,187 村松左馬之助夫妻には➡ 502 00:45:04,187 --> 00:45:08,057 伊織と お照は きっぱり別れさせたと申してある 503 00:45:08,057 --> 00:45:12,061 それでは嘘を? いや その代わり 伊織の嫁は➡ 504 00:45:12,061 --> 00:45:16,199 わしが… この秋山小兵衛が 世話をすると約束して➡ 505 00:45:16,199 --> 00:45:19,102 事を丸く収めた (大治郎)はあ? 506 00:45:19,102 --> 00:45:23,006 で… 2年ばかりしてじゃのぅ 507 00:45:23,006 --> 00:45:28,144 今をときめく 老中 田沼さまの 御用人 生島さまの養女として➡ 508 00:45:28,144 --> 00:45:31,047 お照を村松家へ嫁がせる 509 00:45:31,047 --> 00:45:36,019 うん? ハッハッハ… これで 文句あるまい どうじゃな? 510 00:45:36,019 --> 00:45:38,154 「どうじゃ?」と申されても… 511 00:45:38,154 --> 00:45:42,025 伊織もお照も よいと言うのだから それでよいのさ 512 00:45:42,025 --> 00:45:45,028 真偽は紙一重 513 00:45:45,028 --> 00:45:49,165 嘘の皮をかぶって 真を貫く それでよいのさ 514 00:45:49,165 --> 00:45:52,068 (弥七)嘘も方便ってわけですか おお! ハッハッハ 515 00:45:52,068 --> 00:45:54,037 先生 うん? 516 00:45:54,037 --> 00:45:57,040 もしかして あのお照さんが 身ごもったっていうのも➡ 517 00:45:57,040 --> 00:46:01,177 嘘なんじゃありません? 見破ったか さすがは おもと 518 00:46:01,177 --> 00:46:06,177 やっぱり? (笑い声) 519 00:46:08,051 --> 00:46:12,188 よいのよ いずれは どのみち そうなるのだから 520 00:46:12,188 --> 00:46:15,091 (笑い声) 521 00:46:15,091 --> 00:46:27,136 ♬~ 522 00:46:27,136 --> 00:46:30,039 枝豆が ゆだったよ 先生 523 00:46:30,039 --> 00:46:32,008 うむ… はい 524 00:46:32,008 --> 00:46:36,145 何してるんだ? さっきから 525 00:46:36,145 --> 00:46:40,016 ああ! 竹とんぼ! フフッ 526 00:46:40,016 --> 00:46:42,018 いいか おはる 見てろよ 527 00:46:42,018 --> 00:46:47,018 あっ! あれ 先生 下手くそだ 528 00:46:52,161 --> 00:46:55,161 飛んだ 飛んだ! (拍手) 529 00:47:00,036 --> 00:47:04,173 行くよ! よいしょ! おっ! うまいなあ 530 00:47:04,173 --> 00:47:06,173 おお! よーし! 531 00:47:12,048 --> 00:47:14,048 よっ! あ~ 上手上手! 532 00:47:28,131 --> 00:47:33,131 せがれを討ってくだされ あのまま生かしておいては… 533 00:47:37,140 --> 00:47:39,140 やはり こやつ…