1 00:00:37,889 --> 00:00:42,027 (語り) 武家の棟梁である 将軍 足利氏は➡ 2 00:00:42,027 --> 00:00:48,366 家臣たちの権力闘争と 足利家の内紛により 力を失っていた。 3 00:00:48,366 --> 00:00:54,039 幕府は弱体化し 争いは各地へ伝染していった。 4 00:00:54,039 --> 00:01:00,378 京から40里離れた 美濃の国にも 戦乱の波は押し寄せていた。 5 00:01:00,378 --> 00:01:03,048 待て~! やだ もう待たない! 6 00:01:03,048 --> 00:02:08,348 ♬~ 7 00:02:23,061 --> 00:02:43,761 ♬~ 8 00:02:46,284 --> 00:02:59,898 ♬~ 9 00:02:59,898 --> 00:03:03,368 (藤田伝吾)敵の数 15騎は下りませぬな。 10 00:03:03,368 --> 00:03:07,705 (与八)物見が伝えてきた数は もっと少なかった。 話が違う。 11 00:03:07,705 --> 00:03:12,043 (伝吾)館へ戻り 叔父上様に加勢を願いますか。 12 00:03:12,043 --> 00:03:15,713 (明智十兵衛光秀)地の利はこちらにある。 手はずどおりでよい。 13 00:03:15,713 --> 00:03:18,616 (一同)はっ! 14 00:03:18,616 --> 00:03:24,389 (指笛の音) (伝吾)皆 手はずどおり 隠れるのじゃ! 15 00:03:24,389 --> 00:03:28,259 与八! (与八)はっ! 16 00:03:28,259 --> 00:03:31,663 ここは お前のじい様が手塩にかけた田畑だ。 17 00:03:31,663 --> 00:03:34,566 野盗どもには 指一本触れさせんぞ。 18 00:03:34,566 --> 00:03:37,001 はっ! 19 00:03:37,001 --> 00:04:13,301 ♬~ 20 00:05:02,687 --> 00:05:04,622 (頭領)かかれ~! 21 00:05:04,622 --> 00:05:08,026 (喚声) 22 00:05:08,026 --> 00:05:27,378 ♬~ 23 00:05:27,378 --> 00:05:29,378 うっ! 24 00:05:30,982 --> 00:05:33,282 うわっ! 25 00:05:36,321 --> 00:05:38,321 うわ~っ! 26 00:05:40,191 --> 00:05:42,491 うっ! うわ~! 27 00:05:44,195 --> 00:05:46,331 かかれ~! 28 00:05:46,331 --> 00:05:54,205 ♬~ 29 00:05:54,205 --> 00:05:56,205 寄るな! 30 00:05:59,877 --> 00:06:02,347 おい! 貴様! 31 00:06:02,347 --> 00:06:15,693 ♬~ 32 00:06:15,693 --> 00:06:17,629 来い! 33 00:06:17,629 --> 00:06:29,240 ♬~ 34 00:06:29,240 --> 00:06:32,176 ああ~! 35 00:06:32,176 --> 00:06:46,476 ♬~ 36 00:06:52,530 --> 00:06:54,999 ううっ…! 37 00:06:54,999 --> 00:06:57,669 うお~っ! 38 00:06:57,669 --> 00:07:23,695 ♬~ 39 00:07:23,695 --> 00:07:26,364 運べ~! 40 00:07:26,364 --> 00:08:01,999 ♬~ 41 00:08:01,999 --> 00:08:03,935 来るな…! 42 00:08:03,935 --> 00:08:06,337 うわ~っ! 43 00:08:06,337 --> 00:08:19,684 ♬~ 44 00:08:19,684 --> 00:08:21,984 覚悟しろ! 45 00:08:26,023 --> 00:08:28,023 (頭領)おい! 46 00:08:29,694 --> 00:08:31,694 (銃声) 47 00:08:33,297 --> 00:08:35,297 (与八)うっ! 48 00:08:39,637 --> 00:08:41,937 与八! 49 00:08:45,309 --> 00:08:47,979 引き揚げるぞ~! 50 00:08:47,979 --> 00:08:50,279 (野盗たち)おお~っ! 51 00:09:02,326 --> 00:09:06,664 (伝吾)与八! 大事ないか!? 52 00:09:06,664 --> 00:09:12,964 何か… 火の塊が肩に当たったような痛みが…。 53 00:09:14,539 --> 00:09:16,839 何だ? これは…。 54 00:09:18,676 --> 00:09:20,976 (佐助)十兵衛様! 55 00:09:23,347 --> 00:09:26,684 (伝吾)野盗か? (佐助)いえ 野盗に捕らえられて➡ 56 00:09:26,684 --> 00:09:29,587 連れ回されていたと申しております。 やつらめ➡ 57 00:09:29,587 --> 00:09:32,957 慌てて置き忘れていったものと…。 そうだな? 58 00:09:32,957 --> 00:09:35,860 (菊丸)はい。 どこで捕らえられた? 59 00:09:35,860 --> 00:09:40,631 三河の山あいで山菜を採っていたら…。 近江辺りへ連れていって➡ 60 00:09:40,631 --> 00:09:45,503 売り飛ばそうと申しておりました。 恐ろしゅうございました。 61 00:09:45,503 --> 00:09:49,640 (伝吾)いかがいたしましょう? 62 00:09:49,640 --> 00:09:52,940 放してやれ。 はっ。 63 00:09:55,313 --> 00:09:58,649 おい。 野盗の頭が➡ 64 00:09:58,649 --> 00:10:01,986 火を噴く長い筒のようなものを 持っていたであろう。 65 00:10:01,986 --> 00:10:06,858 あれは何だ? ああ… 鉄砲ですか。 66 00:10:06,858 --> 00:10:09,660 鉄砲? 67 00:10:09,660 --> 00:10:13,531 (菊丸)あの頭 ずっと自慢してました。 鉄の塊を飛ばし➡ 68 00:10:13,531 --> 00:10:19,670 鎧も突き破る戦道具だと。 堺でしか 手に入らないものだそうです。 69 00:10:19,670 --> 00:10:24,008 鉄砲…。 70 00:10:24,008 --> 00:10:28,308 ありがとうございました。 このご恩は忘れませぬ。 71 00:10:29,881 --> 00:10:35,353 (伝吾)安心しろ~! 野盗は追い払った! 72 00:10:35,353 --> 00:10:50,902 ♬~ 73 00:10:50,902 --> 00:10:56,902 よろしうございました。 我らの勝ちにございます。 74 00:10:59,377 --> 00:11:02,377 我らの勝ち? 75 00:11:07,251 --> 00:11:13,251 野盗どもは また来るぞ。 その度に このありさまだ! 76 00:11:24,402 --> 00:11:27,702 何度戦えば ここを守れる? 77 00:11:32,677 --> 00:11:35,977 何度戦えば! 78 00:11:46,691 --> 00:14:26,991 ♬~ 79 00:14:34,191 --> 00:14:36,994 (明智光安)駄目だ 駄目だ! そちが殿に会うて➡ 80 00:14:36,994 --> 00:14:40,331 何を申し上げるのじゃ! 大事な話があれば➡ 81 00:14:40,331 --> 00:14:43,667 わしが じきじきに申し上げる。 それが この城を預かる➡ 82 00:14:43,667 --> 00:14:45,967 わしの務めじゃ。 83 00:14:48,539 --> 00:14:52,676 何を申し上げたいのか言うてみよ! ですから➡ 84 00:14:52,676 --> 00:14:56,013 今日 野盗と戦うてみて思うたことを いろいろと…。 85 00:14:56,013 --> 00:15:01,886 いろいろとは何だ? この明智の里は 美濃の国境にあるゆえ➡ 86 00:15:01,886 --> 00:15:06,023 野盗に狙われやすい。 他国からも すぐ攻め込まれる。 87 00:15:06,023 --> 00:15:08,926 それゆえ 殿も 何かと ご配慮下さっている。 88 00:15:08,926 --> 00:15:12,897 どう ご配慮下さってるんですか! 我ら明智の一党だけで➡ 89 00:15:12,897 --> 00:15:16,367 この国境を守り切れるとお思いですか!? 守り切るのだ! 90 00:15:16,367 --> 00:15:20,037 そなたの父上は強く 立派な武士であった。 91 00:15:20,037 --> 00:15:27,711 それゆえ 国が乱れた折も この城は明智のものと皆が認めたのだ。 92 00:15:27,711 --> 00:15:32,316 そなたも亡き父上に負けぬよう 務めを果たせ。 93 00:15:32,316 --> 00:15:34,251 そういうことは…! 94 00:15:34,251 --> 00:15:40,991 では 下がれ。 殿にお会いしたいなどと 出過ぎたことを言うでない。 95 00:15:40,991 --> 00:15:44,291 万出過ぎてロクなことはない! 96 00:15:57,541 --> 00:16:01,011 あああ~っ! 97 00:16:01,011 --> 00:16:52,663 ♬~ 98 00:16:52,663 --> 00:16:55,332 (斎藤高政)おい 十兵衛! 99 00:16:55,332 --> 00:16:57,668 おう。 100 00:16:57,668 --> 00:17:02,006 何用で来た? 下がってよい。 はっ。 101 00:17:02,006 --> 00:17:06,343 うむ 今日 殿が鷹狩りに行かれると聞き➡ 102 00:17:06,343 --> 00:17:08,279 ここにおれば お目にかかれるかと思うてな。 103 00:17:08,279 --> 00:17:12,016 何だ 父上に用か。 それなら 中へ入ればよかろう。 104 00:17:12,016 --> 00:17:15,686 いや それが 叔父上から じきじきにお会いするのは➡ 105 00:17:15,686 --> 00:17:18,022 恐れ多いと止められておる。 106 00:17:18,022 --> 00:17:22,359 ここで偶然お目にかかれるのであれば お許し下さるかと思うてな。 107 00:17:22,359 --> 00:17:26,697 我が学びの友は 相変わらず堅物じゃのう。 108 00:17:26,697 --> 00:17:30,567 まあ 中へ入れ。 わしが許す。 109 00:17:30,567 --> 00:17:34,972 そうか。 お主が許すか。 110 00:17:34,972 --> 00:17:40,311 実はな このところ 小見の方が難しい病にかかって➡ 111 00:17:40,311 --> 00:17:45,182 今日もよくないという。 それで 父上の鷹狩りは やめになったのだ。 112 00:17:45,182 --> 00:17:49,320 小見の方? 奥方様が? (高政)ああ。➡ 113 00:17:49,320 --> 00:17:53,020 それゆえ 父上は 暇を持て余しているはずだ。 114 00:18:00,931 --> 00:18:04,668 (斎藤山城守利政)よいな? 大ぶりでよいものは 右側じゃ。 115 00:18:04,668 --> 00:18:07,571 そうでないものは 左側に置け! 116 00:18:07,571 --> 00:18:18,682 ♬~ 117 00:18:18,682 --> 00:18:20,682 おっと…。 118 00:18:22,553 --> 00:18:27,691 よかろう それでよい。 では 皆 下がれ。 119 00:18:27,691 --> 00:18:29,991 (小姓衆たち)はっ! 120 00:18:36,967 --> 00:18:39,636 (利政)高政。 (高政)はっ。 121 00:18:39,636 --> 00:18:44,308 常在寺の和尚が 我が家中の女たちに 数珠を作ってやってくれと➡ 122 00:18:44,308 --> 00:18:49,980 この珊瑚の玉をよこしたのじゃ。 一体 何個の玉があるか 当ててみよ。 123 00:18:49,980 --> 00:18:54,318 (高政)ざっと 1, 500~1, 600ぐらいかと。 124 00:18:54,318 --> 00:18:58,655 遠くの敵兵は このように見える。 125 00:18:58,655 --> 00:19:03,327 お前は 必ず 敵の数を見誤り 戦は苦戦する。➡ 126 00:19:03,327 --> 00:19:07,664 困った若殿じゃの。 127 00:19:07,664 --> 00:19:10,567 なんじも申してみよ。 いくつある? 128 00:19:10,567 --> 00:19:12,567 はっ。 129 00:19:14,338 --> 00:19:17,241 2, 000を少々超えるかと…。 130 00:19:17,241 --> 00:19:24,982 数珠ならば一連で108個 20人分として 2, 160個となります。 131 00:19:24,982 --> 00:19:28,352 なんじの名は? 132 00:19:28,352 --> 00:19:30,954 明智十兵衛と申します。 133 00:19:30,954 --> 00:19:33,624 おお。 134 00:19:33,624 --> 00:19:38,495 父上 お忘れなさいますな。 十兵衛は小見の方の甥御。 135 00:19:38,495 --> 00:19:42,299 大仙寺で 私と机を並べて学んだ仲でもある。 136 00:19:42,299 --> 00:19:46,637 そのころ 城へ何度も来ておりますぞ。 (利政)覚えておる。➡ 137 00:19:46,637 --> 00:19:52,309 四書五経を僅か2年で読み終えたと 大仙寺の者が驚嘆した子であったな。➡ 138 00:19:52,309 --> 00:19:55,212 お前は 7年もかかったが。 139 00:19:55,212 --> 00:19:58,182 6年です! 140 00:19:58,182 --> 00:20:02,319 十兵衛が 父上にお話ししたき儀が あるというので連れてまいりました。 141 00:20:02,319 --> 00:20:04,619 私はこれにて。 142 00:20:16,667 --> 00:20:22,539 数を当てた褒美じゃ。 市場へ持っていけば よい値で売れるぞ。 143 00:20:22,539 --> 00:20:26,677 お願いの儀があり 参上いたしました。 144 00:20:26,677 --> 00:20:30,347 本来 叔父 光安より 殿にお願いいたすべきところ➡ 145 00:20:30,347 --> 00:20:35,219 じきじきにお願いいたす不調法 平にお許し下さい。 146 00:20:35,219 --> 00:20:37,221 願いの儀? 147 00:20:37,221 --> 00:20:44,361 昨日 領内に野盗が襲来いたしました。 今年に入って 3度目となります。 148 00:20:44,361 --> 00:20:47,698 そのつど 光安殿から知らせを受けておる。 149 00:20:47,698 --> 00:20:53,036 毎度 追い払うておりますが 昨日は肝を冷やしました。 150 00:20:53,036 --> 00:20:57,708 敵が 新しい戦道具を持っていたのです。 151 00:20:57,708 --> 00:21:00,611 鉄砲という道具です。 152 00:21:00,611 --> 00:21:07,050 鉄砲? 野盗が? ご存じでございますか? 鉄砲を。 153 00:21:07,050 --> 00:21:12,389 南蛮のものが 堺へ持ち込まれ 高い値で売り買いされてるという。 154 00:21:12,389 --> 00:21:17,389 興味深い話と思うていた。 その堺で手に入れたらしいのです。 155 00:21:20,731 --> 00:21:28,405 長い筒で火を噴き そばにいた者の 小手を射ぬき 重い傷を負わせました。 156 00:21:28,405 --> 00:21:33,010 それが 戦で どれほど役立つものなのか しかとは存じませぬ。 157 00:21:33,010 --> 00:21:37,681 が あのようなものが 美濃の外で作られ 野盗どもが持ち歩いている。 158 00:21:37,681 --> 00:21:41,018 私は 美濃の外に出たことはありませぬ。 159 00:21:41,018 --> 00:21:45,689 都のことも 堺のことも この美濃が どうあればよいのか➡ 160 00:21:45,689 --> 00:21:51,028 まるで見当がつきませぬ。 ただ はっきりしているのは➡ 161 00:21:51,028 --> 00:21:53,931 この先 野盗は 何度でも来るということです。 162 00:21:53,931 --> 00:22:00,370 そして 野盗は ほかの国々を知っている。 鉄砲を知っている。 163 00:22:00,370 --> 00:22:05,370 我々は それを知らないということです。 164 00:22:15,385 --> 00:22:18,055 だから? 165 00:22:18,055 --> 00:22:21,925 私は野盗に負けたくない。 166 00:22:21,925 --> 00:22:24,928 外の国々が見てみたいのです。 167 00:22:24,928 --> 00:22:28,699 堺がどういう所で 鉄砲がどういうものなのか➡ 168 00:22:28,699 --> 00:22:33,337 この目で見てきたいのです。 この美濃のために! 169 00:22:33,337 --> 00:22:38,037 どうか 旅をさせて頂きたいのです! 170 00:22:46,350 --> 00:22:52,022 旅か…。 光安殿が何と言われるかの。 171 00:22:52,022 --> 00:22:56,893 叔父は よせと申しましょう。 我ら明智の者は➡ 172 00:22:56,893 --> 00:23:01,698 父祖伝来の領地を死守すればそれでよい ほかの国のことなど➡ 173 00:23:01,698 --> 00:23:05,398 殿がご存じであれば それでよいと。 174 00:23:14,711 --> 00:23:19,583 旅は 金がかかるぞ。 175 00:23:19,583 --> 00:23:25,055 は? 光安殿は頑固者ゆえ 金は出すまい。 176 00:23:25,055 --> 00:23:27,724 そなたに蓄えはあるのか? 177 00:23:27,724 --> 00:23:32,562 少々は…。 少々か。 178 00:23:32,562 --> 00:23:38,001 そもそも 旅の許しを出して わしに何の得があるというのだ。 179 00:23:38,001 --> 00:23:41,672 得… ですか? 180 00:23:41,672 --> 00:23:46,343 わしは 得にならぬことは やらぬことにしておる。 181 00:23:46,343 --> 00:23:49,012 得? 182 00:23:49,012 --> 00:23:52,349 そなたは旅をして学ぶことがあろう。 183 00:23:52,349 --> 00:23:57,349 しかし わしには この珊瑚ほどの値打ちもない! 184 00:24:01,024 --> 00:24:05,362 何かあるか? 得になることは。 185 00:24:05,362 --> 00:24:08,031 鉄砲を買うてまいります! 186 00:24:08,031 --> 00:24:14,905 その大事な金をお預け下されば 必ずや 殿のために鉄砲を手に入れてまいります! 187 00:24:14,905 --> 00:24:17,040 殿 お待ち下され。 188 00:24:17,040 --> 00:24:21,712 京には立派な医者もいて さまざまな難病を治すと聞いております。 189 00:24:21,712 --> 00:24:25,712 それがどうした。 奥方様がご病気と伺いました。 190 00:24:30,053 --> 00:24:33,323 名医にお診せになられては いかがでございましょう。 191 00:24:33,323 --> 00:24:36,623 私が京より連れてまいります。 192 00:24:38,662 --> 00:24:41,662 それでいかがでございましょう。 193 00:24:49,673 --> 00:24:53,343 旅のかかり いくら欲しい? 194 00:24:53,343 --> 00:24:56,246 ハッハッハッハッハ…! 195 00:24:56,246 --> 00:24:59,946 ハッハッハッハッハ…! 196 00:25:29,713 --> 00:25:32,315 (常)お帰りなさいませ。 ただいま帰りました。 197 00:25:32,315 --> 00:25:34,251 (2人)お帰りなさいませ。 (牧)お帰り。➡ 198 00:25:34,251 --> 00:25:38,989 何故 背を向けておるのじゃ? 子どもの頃 よく母上に言われました。 199 00:25:38,989 --> 00:25:42,659 悪いことをして帰ってきたら お尻から入っておいでと。 200 00:25:42,659 --> 00:25:46,530 頭はたたかぬ お尻をたたくと。 201 00:25:46,530 --> 00:25:53,670 フフフ… お上がりなさい。 今日は どんな悪いことをしでかしましたか? 202 00:25:53,670 --> 00:25:58,542 母上に相談もせず 殿に旅に出たいと申し出ました。 203 00:25:58,542 --> 00:26:02,542 堺や京の都へ。 204 00:26:08,218 --> 00:26:11,021 申し訳ありませぬ。 205 00:26:11,021 --> 00:26:14,891 殿は…? 「行ってよい」と。 206 00:26:14,891 --> 00:26:21,031 いつ発ちます? 一両日中に。 207 00:26:21,031 --> 00:26:26,731 それは… お尻をたたかねばなりませんね。 208 00:26:37,514 --> 00:26:42,814 (常)さあ わらじをお解きいたします。 うん…。 209 00:27:01,338 --> 00:27:04,638 お湯が沸きました。 210 00:27:12,682 --> 00:27:18,555 あの… 梅干しはお詰めいたしましたが 干し餅は…? 211 00:27:18,555 --> 00:27:22,255 後で。 はい。 212 00:27:28,231 --> 00:27:33,970 そなたが旅に出ると聞いて もう 常たちは大騒ぎですよ。 213 00:27:33,970 --> 00:27:38,642 何を持っていかれるのか あれも要る これも要ると言うて。 214 00:27:38,642 --> 00:27:45,515 身軽でよいとお申しつけ下さい。 そうは言うても長旅ゆえ。 215 00:27:45,515 --> 00:27:49,653 あっという間です。 ひとつきなど。 216 00:27:49,653 --> 00:27:55,992 父上も そう仰せられて よく旅立たれましたよ。 217 00:27:55,992 --> 00:27:59,863 土岐様が目をかけて下さり 将軍様のお呼びで➡ 218 00:27:59,863 --> 00:28:04,668 都へ上がる時は 必ず 供に加えて頂き…。 219 00:28:04,668 --> 00:28:08,004 我ら明智の者は 土岐家の血が流れているゆえ➡ 220 00:28:08,004 --> 00:28:12,704 亡き父上は 殊の外 大事にされていたと。 221 00:28:14,878 --> 00:28:20,350 旅先でも そのことは忘れてはなりませんよ。 222 00:28:20,350 --> 00:28:29,050 そなたは 土岐源氏の誉を 身に受けているのですから。 223 00:28:30,961 --> 00:28:33,261 はい。 224 00:28:45,976 --> 00:29:17,276 ♬~ 225 00:29:23,346 --> 00:29:30,020 (職人風の男)堺で刀といえば まず宗次郎の辻屋でございますな。 226 00:29:30,020 --> 00:29:35,291 名だたるお大名が 我も我もと太刀を注文している。 227 00:29:35,291 --> 00:29:39,162 ほう 辻屋…。 228 00:29:39,162 --> 00:30:10,162 ♬~ 229 00:30:15,331 --> 00:30:19,002 広いのう…。 230 00:30:19,002 --> 00:30:40,002 ♬~ 231 00:30:43,693 --> 00:30:49,032 ≪ここを通りたければ 1人15文 置いていけ! 232 00:30:49,032 --> 00:30:52,902 1人15文だ。 15文 置いていけ! 233 00:30:52,902 --> 00:30:57,373 ここを通りたければ 15文置いていけ。 234 00:30:57,373 --> 00:31:02,045 先ほども支払ったというのに 何故? ほう~。 235 00:31:02,045 --> 00:31:04,714 ううっ…! 236 00:31:04,714 --> 00:31:09,586 15文 置いていけ。 払わぬ者は通さぬぞ! 237 00:31:09,586 --> 00:31:16,886 ここを通りたければ 15文置いていけ! 15文だ! 238 00:31:34,677 --> 00:31:37,347 通してくれ。 239 00:31:37,347 --> 00:31:39,347 や~っ! 240 00:31:45,688 --> 00:31:47,688 返す。 241 00:31:50,560 --> 00:31:54,030 ≪ほら ちゃんと歩け! 242 00:31:54,030 --> 00:31:57,901 急げ! 早くしろ! 243 00:31:57,901 --> 00:32:01,901 さっさと歩け! ほら! 244 00:32:55,358 --> 00:32:58,358 何だ? ここは! 245 00:33:08,905 --> 00:33:31,995 ♬~ 246 00:33:31,995 --> 00:33:34,295 うおっ! 247 00:33:41,337 --> 00:33:44,674 遊んでいかない? いやいや…。 248 00:33:44,674 --> 00:33:47,974 いいじゃないか。 今日は そのような用はないんだ。 249 00:33:49,545 --> 00:33:53,845 ちょっと おにいさん。 ああ… いやいや…。 250 00:34:00,023 --> 00:34:02,723 おっ ここだ。 251 00:34:12,368 --> 00:34:17,240 お尋ね申す。 ここは 宗次郎殿の辻屋とお見受けしたが➡ 252 00:34:17,240 --> 00:34:21,711 相違ございませぬか? (三上)御用の向きは? 253 00:34:21,711 --> 00:34:26,049 こちらに鉄砲を売っておられるかどうか 伺いたいのだが…。 254 00:34:26,049 --> 00:34:34,657 (三上)鉄砲…? はて… そんなもの ここで売っていたかな? 255 00:34:34,657 --> 00:34:38,528 (三淵藤英) 鉄砲にご興味がおありかな? 256 00:34:38,528 --> 00:34:42,999 手に入れて帰りたいのです。 我が主が所望しておりますので。 257 00:34:42,999 --> 00:34:48,671 (三淵)御主? 美濃の国の守護代 斎藤山城守にございます。 258 00:34:48,671 --> 00:34:54,544 (三上)ああ 成り上がりの田舎大名だな。 259 00:34:54,544 --> 00:34:59,544 ハッハッハ…。 (三淵)三上殿 言葉がすぎるぞ。 260 00:35:03,686 --> 00:35:06,386 (宗次郎)三淵様。 261 00:35:12,695 --> 00:35:15,365 おっ…! 262 00:35:15,365 --> 00:35:21,237 (宗次郎)ご用意ができました。 試し撃ちをなさいますか? 263 00:35:21,237 --> 00:35:23,237 うむ。 264 00:35:32,315 --> 00:35:34,984 ついてまいられるがよい。 265 00:35:34,984 --> 00:35:37,284 はっ! 266 00:35:46,329 --> 00:35:49,999 ≪(いななき) 267 00:35:49,999 --> 00:36:28,704 ♬~ 268 00:36:28,704 --> 00:36:30,640 (銃声) 269 00:36:30,640 --> 00:36:32,640 (一同)おお~! 270 00:36:39,649 --> 00:36:44,320 弓矢なら すぐに次の矢を射ることができる。 271 00:36:44,320 --> 00:36:52,662 しかし これは それができん。 筒を掃除し 弾を込めねば 次を撃てぬ。 272 00:36:52,662 --> 00:36:56,532 私から見たら 戦には不向きだ。 273 00:36:56,532 --> 00:37:02,338 宗次郎 美濃の国から来られたお方だ。 274 00:37:02,338 --> 00:37:06,008 これを買いたいとお望みだ。 はあ…。 275 00:37:06,008 --> 00:37:11,347 美濃の守護代であり 稲葉山城城主 斎藤山城守が➡ 276 00:37:11,347 --> 00:37:14,684 是非 是非にと所望しております。 何とぞ。 277 00:37:14,684 --> 00:37:21,023 それは ありがたきお話。 なれど 何分 手に入れ難き代物。 278 00:37:21,023 --> 00:37:25,895 既に 何件ものご注文を頂いておりますので➡ 279 00:37:25,895 --> 00:37:32,301 ふたつき… あるいは みつきほど お待ち頂くことになりますが。 280 00:37:32,301 --> 00:37:37,640 三淵様は 将軍家じきじきのお声がかりで➡ 281 00:37:37,640 --> 00:37:43,513 ご用意いたしましたが それでも ひとつき かかりました。 282 00:37:43,513 --> 00:37:51,187 店主の前で申し訳ないが これは 手がかかる割に 使い勝手が悪すぎる。 283 00:37:51,187 --> 00:37:57,326 まあ 飾って眺めるにはよいがな。 284 00:37:57,326 --> 00:38:01,998 (三上)美濃は山奥ゆえ タヌキを撃つにはよいかもしれぬ。 285 00:38:01,998 --> 00:38:05,668 (笑い声) 286 00:38:05,668 --> 00:38:11,340 ご主君には 見たとおりをお伝えすればよろしかろう。 287 00:38:11,340 --> 00:38:14,040 ささ…。 288 00:38:27,690 --> 00:38:45,641 ♬~ 289 00:38:45,641 --> 00:38:48,544 (松永久秀)宗次郎。 290 00:38:48,544 --> 00:38:51,981 今日 わしが来るのを知りながら➡ 291 00:38:51,981 --> 00:38:57,653 なぜ あの将軍の家来どもを 客に呼んだ? 292 00:38:57,653 --> 00:39:03,526 この堺では 商人は客を分け隔てなく扱う。 293 00:39:03,526 --> 00:39:09,265 それが流儀と わしも認めてはおるが…。 294 00:39:09,265 --> 00:39:18,674 あの連中は例外ぞ。 それを知らぬお前でもあるまい。 295 00:39:18,674 --> 00:39:22,545 このわしを怒らせて 無事に生き延びた者は➡ 296 00:39:22,545 --> 00:39:26,245 堺といえども一人もおらん。 297 00:39:28,351 --> 00:39:33,651 間が悪いぞ 宗次郎。 298 00:39:36,959 --> 00:39:40,259 お許しを…。 299 00:39:53,509 --> 00:39:58,247 (松永)山城守様が 鉄砲を所望と仰せられたのか。 300 00:39:58,247 --> 00:40:01,651 はあ…。 ああ 案ずるではない。 301 00:40:01,651 --> 00:40:05,521 あの宗次郎は 己のために 2~3丁は所持しておるはずだ。 302 00:40:05,521 --> 00:40:07,990 それを吐き出させてやる。 フフッ…。 303 00:40:07,990 --> 00:40:13,663 そうか! おお 美濃から来たのか。 304 00:40:13,663 --> 00:40:18,334 わしは 美濃の国が好きだ。 美濃の者も好きだ。➡ 305 00:40:18,334 --> 00:40:21,237 何故か分かるか? いえ…。 306 00:40:21,237 --> 00:40:26,008 斎藤山城守様の国だからだ。 ハッハッハ…。 307 00:40:26,008 --> 00:40:31,347 存じておろうが 山城守様のお父上は 京の西ノ岡という所で➡ 308 00:40:31,347 --> 00:40:36,686 油売りをしていた商人であった。 わしも 何度か西ノ岡には行ったことがあるが➡ 309 00:40:36,686 --> 00:40:41,023 町の者たちは 皆 褒めたたえておったぞ。 310 00:40:41,023 --> 00:40:46,896 僅か二代にして美濃一国を意のままにする 大身となられた山城守様は➡ 311 00:40:46,896 --> 00:40:49,365 夢のようなお方じゃと。➡ 312 00:40:49,365 --> 00:40:52,702 名は? は? その方の名は? 313 00:40:52,702 --> 00:40:55,604 ああ… 明智十兵衛でございます。 314 00:40:55,604 --> 00:40:59,041 わしは 松永久秀じゃ。 315 00:40:59,041 --> 00:41:03,713 う~ん しかし 鉄砲を買うとなると➡ 316 00:41:03,713 --> 00:41:09,051 大金が入り用になるが 持参しておるのか? 317 00:41:09,051 --> 00:41:14,351 はあ。 殿から この金を預かってまいりました。 318 00:41:15,925 --> 00:41:21,630 そうか ああ ならばよい。 ハッハッハ…。 後で わしが話をつけてやる。 319 00:41:21,630 --> 00:41:26,602 まあ 腹を立てると腹が減るな。 飯でも食うか。 ついてまいれ。 320 00:41:26,602 --> 00:41:30,339 あ… いや…。 (松永)いいから。 さあ さあ! 321 00:41:30,339 --> 00:41:33,242 これ以上は… これ以上は…。 (松永)ハッハッハッハッ! 322 00:41:33,242 --> 00:41:39,348 宗次郎の店にいたのは 奉公衆と申してな 将軍の側近たちだ。 323 00:41:39,348 --> 00:41:44,220 わしの首を取れば 鉄砲3丁分の褒美が出るそうじゃ。 324 00:41:44,220 --> 00:41:49,992 この堺の町も居心地の悪い町になった。 325 00:41:49,992 --> 00:41:52,695 誰がそのような褒美を出すのですか? 326 00:41:52,695 --> 00:41:56,365 足利義輝という将軍じゃ。 フッフッフッフ…。 327 00:41:56,365 --> 00:42:02,037 今 京の都は 将軍と わしが仕えておる三好長慶様が➡ 328 00:42:02,037 --> 00:42:08,377 角突き合わせて争うておる。 その余波が この堺にも広がっておるのだ。 329 00:42:08,377 --> 00:42:12,248 何故 争うのですか? 330 00:42:12,248 --> 00:42:17,386 (松永)な… 何も知らんのじゃな お主は! 331 00:42:17,386 --> 00:42:22,725 よいか? あの一派は 代々続いた家柄の上にあぐらをかき➡ 332 00:42:22,725 --> 00:42:27,596 領地を広げ 上前をかすめ取ってきた。 力も能もない連中だ。 333 00:42:27,596 --> 00:42:32,535 何べんも言うが わしは 山城守様は偉いと思う! 334 00:42:32,535 --> 00:42:38,207 古くさい名ばかりの大名どもをたたき潰し 力さえあれば➡ 335 00:42:38,207 --> 00:42:41,677 腕一本で世を変えられることを 示されたのじゃ。 336 00:42:41,677 --> 00:42:46,977 見習うべきお方じゃ! それに従った美濃の国衆も偉い! 337 00:42:51,687 --> 00:42:55,558 お気持ちはありがたいのですが…。 ん? 338 00:42:55,558 --> 00:43:01,030 美濃の国の者が全て 殿に従ってるわけではありません。 339 00:43:01,030 --> 00:43:03,365 うん? 340 00:43:03,365 --> 00:43:07,036 殿に不満を持つ者も多いはず。 341 00:43:07,036 --> 00:43:12,708 守護の土岐家とは まだいざこざがあり 国は一つにまとまっていない。 342 00:43:12,708 --> 00:43:17,046 それを見越して 野盗どもが国境を荒らす。 343 00:43:17,046 --> 00:43:20,382 隣国も何かというと 戦の構えを見せる。 344 00:43:20,382 --> 00:43:25,054 それに呼応し 裏切る国衆もいる。 345 00:43:25,054 --> 00:43:28,390 今 美濃はそういう国なのです! 346 00:43:28,390 --> 00:43:30,993 それだけは申し上げておきたい! う~ん。 347 00:43:30,993 --> 00:43:34,663 では お主は 山城守様をどう思っておるのじゃ? 348 00:43:34,663 --> 00:43:37,363 どう思う? (松永)うん。 349 00:43:39,535 --> 00:43:42,235 どう思うも こうも…。 350 00:43:44,006 --> 00:43:47,343 正直に申し上げて ああいうお方は好きにはなれん! 351 00:43:47,343 --> 00:43:49,678 はあ? あの ケチくさいところが…。 352 00:43:49,678 --> 00:43:52,581 ケチなのか!? 何事も損得勘定をされる。 353 00:43:52,581 --> 00:43:56,018 それをご自分で申され 恥じるところがない! 354 00:43:56,018 --> 00:43:58,687 「恥有りて且つ格る」と「論語」にはある。 355 00:43:58,687 --> 00:44:03,559 つまり 恥じる心のない者は よい政はできぬというわけです。 356 00:44:03,559 --> 00:44:05,561 松永さん! おおおお…。 357 00:44:05,561 --> 00:44:10,032 これ まずいと思いませんか? う~ん… ああ…。 358 00:44:10,032 --> 00:44:15,704 しかし… 好き嫌いで 主君に仕えるわけではない。 359 00:44:15,704 --> 00:44:18,374 ああ そうじゃ。 それが難しい。 360 00:44:18,374 --> 00:44:20,309 そうじゃ! 361 00:44:20,309 --> 00:44:24,046 分かって頂けますか? 分かる! 松永様も? そうじゃ! 362 00:44:24,046 --> 00:44:27,383 ハッハッハ…。 おっ… おい おい 十兵衛! 363 00:44:27,383 --> 00:44:33,683 十兵衛! 十兵衛 寝るな! 十兵衛! 364 00:44:40,930 --> 00:44:49,230 (鐘の音) 365 00:45:02,017 --> 00:45:07,317 うう… わしは何をして…。 366 00:45:11,026 --> 00:45:13,326 あっ! 367 00:45:16,899 --> 00:45:19,199 ん? 368 00:45:44,660 --> 00:45:46,996 ああっ! 369 00:45:46,996 --> 00:45:49,696 おお…。 370 00:45:52,334 --> 00:45:56,034 おおお~! ハハハハッ! 371 00:46:00,676 --> 00:46:03,376 鉄砲だ! 372 00:46:05,347 --> 00:46:08,017 ハハハハ…! 373 00:46:08,017 --> 00:46:11,687 お… おお…! ハハハハ! 374 00:46:11,687 --> 00:46:15,357 鉄砲だ! 鉄砲だ~! 375 00:46:15,357 --> 00:46:17,657 久秀様~! 376 00:46:26,368 --> 00:46:29,705 おはようございます。 お世話になりました。 377 00:46:29,705 --> 00:46:31,974 お気を付けて。 378 00:46:31,974 --> 00:46:42,674 ♬~ 379 00:46:45,988 --> 00:46:49,688 (犬の鳴き声) 380 00:47:01,003 --> 00:47:08,343 光秀が向かった京は かつて誰もが憧れる 美しき都であった。 381 00:47:08,343 --> 00:47:13,015 しかし 度重なる戦や 内乱で町は荒れ果て➡ 382 00:47:13,015 --> 00:47:16,715 人々は住まいを追われていた。 383 00:47:18,687 --> 00:47:25,387 都は 貧しい者たちの巣窟と なっていたのである。 384 00:47:30,966 --> 00:47:33,869 名医です 京で一番の。 385 00:47:33,869 --> 00:47:37,306 (僧侶)京で一番の? はい。 386 00:47:37,306 --> 00:47:43,645 (僧侶)今はご覧のとおり。 京は 将軍様も近江にお逃げになるほど➡ 387 00:47:43,645 --> 00:47:50,345 戦で すさんでおる。 偉い先生方も 京にとどまってはおられまい。 388 00:48:01,196 --> 00:48:09,872 (僧侶)その先の六角堂の近くに 望月という名医がおられたはずじゃ。 389 00:48:09,872 --> 00:48:16,011 が 今は どうか…。 望月東庵というお方じゃ。 390 00:48:16,011 --> 00:48:18,011 望月東庵。 391 00:48:20,682 --> 00:48:23,382 かたじけない! 392 00:48:40,636 --> 00:48:42,971 おっ! 393 00:48:42,971 --> 00:48:46,842 (駒)今日は東庵先生はいません。 394 00:48:46,842 --> 00:48:51,980 治療はいたしませんから お帰り下さい。 395 00:48:51,980 --> 00:48:55,317 治療…? いや 治療ではない。 396 00:48:55,317 --> 00:48:57,986 お願いの儀があって参った。 397 00:48:57,986 --> 00:49:02,658 お借りしたお金なら返せません。 先生は 今 一文無しですから。 398 00:49:02,658 --> 00:49:06,528 お金? いやいやいや 私は…。 昨日も別の金貸しの者が来て➡ 399 00:49:06,528 --> 00:49:09,331 銭が払えないのなら 薬をカタに持っていくと言い➡ 400 00:49:09,331 --> 00:49:12,234 大事な人参丁香散と愛州薬を 全部持っていったのです。 401 00:49:12,234 --> 00:49:15,671 それじゃ 治療できないでしょ? 私は 薬を預かる者として➡ 402 00:49:15,671 --> 00:49:18,006 大変困っております。 403 00:49:18,006 --> 00:49:22,678 私が銭の取り立て人に見えますか? 404 00:49:22,678 --> 00:49:25,678 見えますか? 405 00:49:28,016 --> 00:49:29,952 (せきばらい) 406 00:49:29,952 --> 00:49:33,822 私は 美濃の国の城主 斎藤山城守より➡ 407 00:49:33,822 --> 00:49:39,122 京の名医を美濃へお連れするよう 命じられた 明智十兵衛と申す。 408 00:49:42,297 --> 00:49:45,968 あっ…。 美濃に重い病の方がいるのだ。 409 00:49:45,968 --> 00:49:48,303 こちらにおられる先生は 名医と伺いました。 410 00:49:48,303 --> 00:49:53,175 是非 来て 診てもらいたいのだ。 名医? 誰が そう言いました? 411 00:49:53,175 --> 00:49:57,646 ん? 先ほど 通りで お坊様に。 412 00:49:57,646 --> 00:50:02,985 確かに 以前はそう言われたけれど…。 ん? 今は名医ではないと? 413 00:50:02,985 --> 00:50:07,322 あっ 名医ですよ。 昔ほどではないと。 414 00:50:07,322 --> 00:50:11,193 おっ… どこへ行かれる? (駒)質屋。 415 00:50:11,193 --> 00:50:14,997 (牛蔵)蚊帳か…。➡ 416 00:50:14,997 --> 00:50:18,867 夏ならいざ知らず 秋も終わりとなると➡ 417 00:50:18,867 --> 00:50:23,338 30文がよいところだな。 30文!? 418 00:50:23,338 --> 00:50:28,338 それ いくらで手に入れたと…。 (牛蔵)嫌ならお帰り。 419 00:50:31,680 --> 00:50:34,380 今日の米代にはなる…。 420 00:50:38,020 --> 00:50:40,320 ちょっと待たれよ。 421 00:50:41,890 --> 00:50:46,361 (駒)あの質屋 5年前 重い黄疸 治してやったのに 恩知らずめ! 422 00:50:46,361 --> 00:51:08,050 (泣き声) 423 00:51:08,050 --> 00:51:14,389 美濃のご城主様は 行くと いかほど見立て代を下さるのですか? 424 00:51:14,389 --> 00:51:21,063 ん? まあ… それ相応にと。 425 00:51:21,063 --> 00:51:23,966 相応に? 100貫ぐらい? 426 00:51:23,966 --> 00:51:25,966 100貫…!? 427 00:51:30,072 --> 00:51:35,344 相応にと…。 ああ…。 428 00:51:35,344 --> 00:51:40,015 じゃあ 先生に相談して…。 一緒に来て下さい。 429 00:51:40,015 --> 00:51:43,315 先生は? (駒)家にいます。 430 00:51:44,886 --> 00:51:47,356 (望月東庵)よっ お~!➡ 431 00:51:47,356 --> 00:51:50,692 重六じゃあ! (ウメ)アハハハ! 432 00:51:50,692 --> 00:51:54,363 よし じゃあ 次は わしだぞ。 433 00:51:54,363 --> 00:51:57,265 ただいま帰りました。 (東庵)お~。 434 00:51:57,265 --> 00:51:59,265 どうぞ。 435 00:52:01,036 --> 00:52:04,706 (駒)先生! (ウメと東庵の笑い声) 436 00:52:04,706 --> 00:52:10,379 (東庵)いやいや おウメちゃんがな ゆうべから歯が痛いと言うそうで➡ 437 00:52:10,379 --> 00:52:13,048 さっき連れてこられたのじゃ。 (駒)駄目ですよ。➡ 438 00:52:13,048 --> 00:52:15,951 こんな小さな子にサイコロ教えて! (東庵)いやいや➡ 439 00:52:15,951 --> 00:52:20,922 鍼をうつ代わりに 双六をしようと約束したのじゃ。 440 00:52:20,922 --> 00:52:24,059 銭は賭けとらんよ。 441 00:52:24,059 --> 00:52:26,395 おウメちゃん もう 帰ろっか? 442 00:52:26,395 --> 00:52:30,265 はい! 鍼 痛くなかった。 さようなら。 443 00:52:30,265 --> 00:52:33,265 はい さようなら。 444 00:52:46,681 --> 00:52:49,584 どうぞ 中へ。 はっ。 445 00:52:49,584 --> 00:52:53,884 わしは 美濃などには行かん。 はっ? 446 00:52:55,690 --> 00:53:03,031 100貫だろうが 1, 000貫だろうが わしは金では動かん。 447 00:53:03,031 --> 00:53:06,368 いや… 私が仰せつかりましたのは…。 448 00:53:06,368 --> 00:53:11,368 わしは自分を名医とも思わん。 449 00:53:15,043 --> 00:53:24,052 名医なら 御所の周り 将軍様の周りに わんさとおられる。➡ 450 00:53:24,052 --> 00:53:31,326 第一 わしが京からいなくなると 双六仲間が寂しがる。 451 00:53:31,326 --> 00:53:36,665 ヘヘヘヘ…。 賭けに負けて夜逃げをしたと➡ 452 00:53:36,665 --> 00:53:41,536 勘ぐられるのも しゃくだからな。 ハッハッハッハ…! 453 00:53:41,536 --> 00:53:43,536 (駒)先生! 454 00:53:47,008 --> 00:53:50,345 ご本心をおっしゃって下さい! 455 00:53:50,345 --> 00:53:55,217 本当は 先生も私も 100貫が 喉から手が出るほど欲しいのでしょ? 456 00:53:55,217 --> 00:54:00,355 そのお金があれば 薬問屋にも銭が返せて もっといい薬草が集まるし➡ 457 00:54:00,355 --> 00:54:04,226 道具も もっと新しくして どこにも負けない治療ができる! 458 00:54:04,226 --> 00:54:09,030 こちらに余裕があれば お金に 困っている人でも診てあげられる。➡ 459 00:54:09,030 --> 00:54:13,368 京を空けるとしても 半年か それくらいのことじゃありませんか。➡ 460 00:54:13,368 --> 00:54:16,271 そうですよね? 461 00:54:16,271 --> 00:54:19,040 そうです。 462 00:54:19,040 --> 00:54:22,377 わしはな…➡ 463 00:54:22,377 --> 00:54:36,324 ある時 お公家や大名の脈をとるのを やめようと決めたのだ。 464 00:54:36,324 --> 00:54:41,663 具合が悪いから診に来てくれと言われ➡ 465 00:54:41,663 --> 00:54:48,003 多くの病人をここへ残して出かけた。 466 00:54:48,003 --> 00:54:56,344 まあ 見事な広間に通されたが 病人は どこにもいない。➡ 467 00:54:56,344 --> 00:55:06,688 しばらく待つと そこから 中庭に連れていかれた。 468 00:55:06,688 --> 00:55:15,363 そこに… 犬が一匹いた。➡ 469 00:55:15,363 --> 00:55:22,037 「大事な犬ゆえ 金はいくらでも出す」。➡ 470 00:55:22,037 --> 00:55:26,374 それで 申し上げた。 471 00:55:26,374 --> 00:55:32,180 「犬にうつ鍼はありませぬ」。➡ 472 00:55:32,180 --> 00:55:38,653 以後二度と お呼びはかかるまいと思うた。➡ 473 00:55:38,653 --> 00:55:43,353 フフッ… それでよいと。 474 00:55:50,665 --> 00:55:53,365 分かりました。 475 00:55:59,007 --> 00:56:09,007 私の父は 私が幼き頃 病で亡くなりました。 476 00:56:11,019 --> 00:56:21,319 生前の父を知る者は皆 口をそろえて 立派な武士であったと言われます。 477 00:56:23,598 --> 00:56:29,371 その父が よく私に申していたことがあります。 478 00:56:29,371 --> 00:56:35,977 大事なのは一つ。 ただ一つ。 479 00:56:35,977 --> 00:56:40,977 誇りを失わぬことだと。 480 00:56:43,652 --> 00:56:48,652 今のお話を伺い ふと そのことを…。 481 00:56:50,325 --> 00:56:56,325 これ以上は申しませぬ。 お気持ち 腑に落ちました。 482 00:56:58,199 --> 00:57:01,670 私はこれで。 483 00:57:01,670 --> 00:57:07,370 ≪逃げろ~ 逃げろ~ 火事だ~! (悲鳴) 484 00:57:12,013 --> 00:57:16,685 盗賊だ! 盗賊が火をつけて回ってるぞ~! 485 00:57:16,685 --> 00:57:19,020 駒! 薬じゃ! 486 00:57:19,020 --> 00:57:20,955 はい! 487 00:57:20,955 --> 00:57:30,965 ♬~ 488 00:57:30,965 --> 00:57:33,635 火をつけい! はっ。 489 00:57:33,635 --> 00:57:35,970 (東庵)あっ! 490 00:57:35,970 --> 00:57:38,670 ああ…。 おい! 491 00:57:41,309 --> 00:57:43,645 ああっ! 492 00:57:43,645 --> 00:57:47,515 やるか!? おい 逃げるか? おう! 493 00:57:47,515 --> 00:58:00,195 ♬~ 494 00:58:00,195 --> 00:58:02,664 先生~! 495 00:58:02,664 --> 00:58:07,335 あ? 酒屋の娘が 火の中に取り残されている! 496 00:58:07,335 --> 00:58:09,671 おウメちゃんが!? 497 00:58:09,671 --> 00:58:24,686 ♬~ 498 00:58:24,686 --> 00:58:26,686 あ…。 499 00:58:28,356 --> 00:58:34,629 (ミキ)先生~! ウメが… 死んでしまう~! 500 00:58:34,629 --> 00:58:38,500 (竹造)柱が… 押しても引いてもビクともしない! 501 00:58:38,500 --> 00:58:41,200 (駒)もう一度 行きましょう! 502 00:58:44,973 --> 00:58:47,673 待て。 503 00:58:56,985 --> 00:58:59,685 子どものいる所へ! はい! 504 00:59:01,322 --> 00:59:03,322 お侍様! 505 00:59:04,993 --> 00:59:07,293 これを…。 506 00:59:11,866 --> 00:59:16,604 (竹造)ううっ… ああ… ウメ~!➡ 507 00:59:16,604 --> 00:59:20,008 ウメ~! (せきこみ) 508 00:59:20,008 --> 00:59:23,308 気を付けろ! (竹造)こっちです! 509 00:59:30,952 --> 00:59:33,252 熱っ! 510 00:59:37,292 --> 00:59:39,627 (せきこみ) 511 00:59:39,627 --> 00:59:41,963 ウメ… ウメ~! 512 00:59:41,963 --> 00:59:44,632 落ち着け! はい! 513 00:59:44,632 --> 00:59:53,641 (せきこみ) 514 00:59:53,641 --> 00:59:55,641 熱っ! 515 01:00:05,253 --> 01:00:07,553 (爆発音) 516 01:00:09,657 --> 01:00:11,957 うあっ! 517 01:00:13,995 --> 01:00:17,665 おい! その棒をこちらに! 518 01:00:17,665 --> 01:00:20,365 早う! 519 01:00:24,539 --> 01:00:27,675 くっ… うりゃ~っ! ぐうっ! 520 01:00:27,675 --> 01:00:30,345 どうじゃ!? もっと上げてくれ! 521 01:00:30,345 --> 01:00:34,015 うう~っ! うっ! 522 01:00:34,015 --> 01:00:36,918 うっ…! 523 01:00:36,918 --> 01:00:40,218 うわ~! ああっ! 524 01:00:49,030 --> 01:00:52,901 (ミキ)ウメ~! 525 01:00:52,901 --> 01:00:59,901 (泣き声) 526 01:01:11,052 --> 01:01:44,919 ♬~ 527 01:01:44,919 --> 01:01:48,356 あっ…。 ウメ… ウメ! 528 01:01:48,356 --> 01:01:52,026 気を失ってます。 息はある。 529 01:01:52,026 --> 01:01:55,726 駒! 気つけ薬じゃ! はい! 530 01:01:57,365 --> 01:02:02,236 (ミキ)ウメ! ウメ! お母さんですよ。 分かりますか?➡ 531 01:02:02,236 --> 01:02:04,236 ウメ! 532 01:02:07,041 --> 01:02:09,944 (せきこみ) ウメ! 533 01:02:09,944 --> 01:02:12,644 ウメ ウメ! 534 01:02:15,717 --> 01:02:21,055 う~ん 大したものだ…。 535 01:02:21,055 --> 01:02:26,728 体のどこにも大きな異常はない。 536 01:02:26,728 --> 01:02:28,663 (竹造)ああ…! 537 01:02:28,663 --> 01:02:31,566 先生…! ありがとうございます! 538 01:02:31,566 --> 01:02:35,336 ウメ! ウメ! ウメ よかったな。➡ 539 01:02:35,336 --> 01:02:39,636 ウメ もう大丈夫だ。 540 01:03:02,030 --> 01:03:10,330 (駒) 麝香 牛黄 竜脳 甘松 人参 沈香 香附子。 541 01:03:13,041 --> 01:03:16,377 おまじないですか? 542 01:03:16,377 --> 01:03:20,248 先生から教わった気つけ薬の中身です。 543 01:03:20,248 --> 01:03:24,719 全て混ぜたものを おウメちゃんに 飲ませました。 544 01:03:24,719 --> 01:03:27,388 飲んだか? 545 01:03:27,388 --> 01:03:33,088 先生の薬は よく効きます。 きっと元気になります。 546 01:03:36,664 --> 01:03:43,664 本当に みんな喜んでいます。 ありがとうございました。 547 01:03:46,340 --> 01:03:50,678 先生が わしの分も礼を言っておけと。 548 01:03:50,678 --> 01:03:57,018 フフッ 変な人ですね。 うれしいのなら 自分で言えばいいのに。 549 01:03:57,018 --> 01:04:03,357 子どもの頃から ずっと一緒なのに やっぱり 変な先生だと思います。 550 01:04:03,357 --> 01:04:06,694 子どもの頃から? 551 01:04:06,694 --> 01:04:11,365 私 子どもの頃 先生に拾われたんです。 552 01:04:11,365 --> 01:04:15,665 それから ずっと 薬のこと 教わって…。 553 01:04:33,321 --> 01:04:39,994 私… 親が…➡ 554 01:04:39,994 --> 01:04:45,294 戦の巻き添えで 死んでしまって… 火事で。 555 01:04:53,541 --> 01:04:57,345 だから さっき それを思い出して…。 556 01:04:57,345 --> 01:05:01,015 おウメちゃんと おんなじだったんだって…。 557 01:05:01,015 --> 01:05:07,889 私も 火事の中で 親と死ぬところを助けられたんです。 558 01:05:07,889 --> 01:05:11,589 常楽寺の近くにあった家で…。 559 01:05:15,563 --> 01:05:18,566 3つの時です。 560 01:05:18,566 --> 01:05:22,566 まだ何も分からなくて…。 561 01:05:25,239 --> 01:05:32,313 でも 助け出してくれた人の 大きな手だけは覚えているんです。➡ 562 01:05:32,313 --> 01:05:37,652 熱くて もう駄目だと思っていたのに➡ 563 01:05:37,652 --> 01:05:44,992 その大きな手が 私を抱き上げてくれて 火の外へ連れていって…➡ 564 01:05:44,992 --> 01:05:48,692 「もう大丈夫だ」って…。 565 01:05:50,665 --> 01:05:54,001 私 ずっと泣いていたんです。 566 01:05:54,001 --> 01:06:00,701 「戦は怖い 戦は怖い」って。 567 01:06:02,343 --> 01:06:10,685 そうしたら その大きな手の人が こう言って慰めてくれたんです。➡ 568 01:06:10,685 --> 01:06:16,557 「いつか 戦が終わる」って。➡ 569 01:06:16,557 --> 01:06:19,360 「戦のない世の中になる。➡ 570 01:06:19,360 --> 01:06:23,698 そういう世を作れる人が きっと出てくる。➡ 571 01:06:23,698 --> 01:06:31,305 その人は麒麟を連れてくるんだ。➡ 572 01:06:31,305 --> 01:06:39,647 麒麟というのは 穏やかな国にやってくる 不思議な生き物だよ」って…。➡ 573 01:06:39,647 --> 01:06:44,518 「それを呼べる人が 必ず現れる。➡ 574 01:06:44,518 --> 01:06:53,818 麒麟がくる世の中を…。 だから もう少しの辛抱だ」。 575 01:06:59,967 --> 01:07:02,967 麒麟か…。 576 01:07:12,346 --> 01:07:18,219 その大きな手の人は どういう方ですか? 577 01:07:18,219 --> 01:07:22,356 知りません。 578 01:07:22,356 --> 01:07:26,694 通りがかりの人だったって…。 579 01:07:26,694 --> 01:07:33,968 私が泣きやむまで あやしてくれて 引き取ってくれる人が出てきて➡ 580 01:07:33,968 --> 01:07:39,307 それで行ってしまったって 後で聞きました。 581 01:07:39,307 --> 01:07:44,007 立派なお武家様だったそうです。 582 01:07:50,318 --> 01:07:57,618 明智様は おウメちゃんを助けた 大きな手の人ですね。 583 01:08:03,864 --> 01:08:07,668 私の手は そんなに大きくない。 584 01:08:07,668 --> 01:08:43,971 ♬~ 585 01:08:43,971 --> 01:08:50,271 旅をして よく分かりました。 586 01:08:53,647 --> 01:08:59,947 どこにも麒麟はいない。 587 01:09:04,658 --> 01:09:07,995 何かを変えなければ…➡ 588 01:09:07,995 --> 01:09:11,866 誰かが…。 589 01:09:11,866 --> 01:09:19,866 美濃にも 京にも… 麒麟はこない。 590 01:09:26,680 --> 01:09:29,980 (東庵のせきばらい) 591 01:09:31,952 --> 01:09:36,824 (東庵) おウメちゃんは 元気になりそうだ。➡ 592 01:09:36,824 --> 01:09:43,824 わしの顔を見て 双六をしようと言ったぞ。 (駒)よかった! 593 01:09:57,978 --> 01:10:01,678 困ったものだ。 594 01:10:03,317 --> 01:10:07,317 家が焼けた。 595 01:10:08,989 --> 01:10:14,689 あれでは治療などできぬ。 596 01:10:16,864 --> 01:10:23,164 直すには金がかかる。 597 01:10:27,341 --> 01:10:36,641 いっそ 美濃にでも行くかと…。 598 01:10:41,355 --> 01:10:47,055 「善は急げ」と申すからな。 599 01:10:54,368 --> 01:10:57,368 美濃へ…。 600 01:10:59,240 --> 01:11:02,940 帰れる。 601 01:11:05,713 --> 01:11:08,713 (いななき) 602 01:11:10,384 --> 01:11:15,256 そのころ 尾張の織田信秀が 大軍を率いて➡ 603 01:11:15,256 --> 01:11:19,556 隣国 美濃に攻め込む構えを見せていた。 604 01:11:25,399 --> 01:11:37,978 ♬~ 605 01:11:37,978 --> 01:11:41,682 国境に 急ぎ 兵を集めるよう 触れを出せ。 606 01:11:41,682 --> 01:11:43,682 (一同)はっ! 607 01:11:57,031 --> 01:11:59,934 (利政)帰蝶。 何用じゃ? 608 01:11:59,934 --> 01:12:04,705 (帰蝶)父上が戦を始めるとの噂があり 馬を飛ばして帰ってまいりました。 609 01:12:04,705 --> 01:12:06,640 (利政)帰ってどうしようというのだ。 610 01:12:06,640 --> 01:12:08,576 御陣にお加え頂きまする。 611 01:12:08,576 --> 01:12:12,580 わしは 嫁に出した娘に加勢を頼むほど 落ちぶれてはおらぬわ。 612 01:12:12,580 --> 01:12:14,880 父上! 613 01:12:16,717 --> 01:12:20,054 明智の叔父上。 あっ はい これは…。 614 01:12:20,054 --> 01:12:26,727 十兵衛は息災でいますか? まだ旅から戻りませぬ。 615 01:12:26,727 --> 01:12:29,727 旅? 616 01:12:39,306 --> 01:12:45,606 時は 天文16年 冬間近である。 617 01:12:48,983 --> 01:12:52,353 こたびは苦戦じゃ。 敵の数は2万。 618 01:12:52,353 --> 01:12:55,022 我が方は僅か4, 000ほど。 619 01:12:55,022 --> 01:12:57,925 もはや勝ちは疑いない! 620 01:12:57,925 --> 01:13:01,695 全軍を集めよ! 門を開け! 織田軍を追い打ちにするのじゃ! 621 01:13:01,695 --> 01:13:07,034 この美濃をのみ込まんとする蝮が…。 この成り上がり者! 蝮…? 622 01:13:07,034 --> 01:13:11,334 勝たなければ自分が討たれる。 戦がある限り勝つしかない。 623 01:13:13,707 --> 01:13:16,377 誰じゃ? 明智十兵衛と申します。 624 01:13:16,377 --> 01:13:19,713 明智…? あの成り上がり者から取り返すのじゃ! 625 01:13:19,713 --> 01:13:21,649 手だては選ばずじゃ! 626 01:13:21,649 --> 01:13:24,385 将軍は武家の棟梁であらせられる ということです。 627 01:13:24,385 --> 01:13:26,685 世を平らかに治めるお方であると。 628 01:13:28,255 --> 01:13:31,992 動くな~! 美濃に明智十兵衛という➡ 629 01:13:31,992 --> 01:13:34,895 若い家臣がいるそうですけど お会いになりました? 630 01:13:34,895 --> 01:13:38,332 この世には 見てはならぬものがあるのです。 631 01:13:38,332 --> 01:13:42,202 あれが父親なものか! それで満足なら そう思えばよい。 632 01:13:42,202 --> 01:13:45,005 この十兵衛の嫁になりませぬか? 633 01:13:45,005 --> 01:13:46,940 わしが手を貸す。 634 01:13:46,940 --> 01:13:50,678 松平家の汚辱をはらすのは今ぞ! 635 01:13:50,678 --> 01:13:55,678 そうだ 麒麟がくる国になる。 (銃声) 636 01:14:02,956 --> 01:14:08,362 明智光秀の前半生は 謎に包まれています。 637 01:14:08,362 --> 01:14:13,033 かつて明智荘が広がっていた 可児市。 638 01:14:13,033 --> 01:14:17,733 光秀のふるさとと伝わる場所の一つです。 639 01:14:19,707 --> 01:14:27,581 光秀は 明智荘を治めた 土岐明智氏の 出身ではないかと伝わっています。 640 01:14:27,581 --> 01:14:31,051 鎌倉時代後期に この地に土着し➡ 641 01:14:31,051 --> 01:14:35,923 東美濃に 強い影響力を持った一族でした。 642 01:14:35,923 --> 01:14:42,062 今は水田が広がるこの辺りに 明智家の屋敷があったといい➡ 643 01:14:42,062 --> 01:14:47,362 光秀は ここで生まれたと語り継がれています。 644 01:14:51,405 --> 01:14:56,276 明智荘を見守るようにそびえる 長山。 645 01:14:56,276 --> 01:14:59,976 ここに 明智城がありました。 646 01:15:01,682 --> 01:15:07,354 光秀の叔父 光安が 城主を務めたといわれるこの城は➡ 647 01:15:07,354 --> 01:15:11,225 自然の地形を生かした山城です。 648 01:15:11,225 --> 01:15:17,998 今も 曲輪の跡と見られる遺構などが 残っています。 649 01:15:17,998 --> 01:15:23,370 光秀が青春時代を過ごしたと伝わる 可児市。 650 01:15:23,370 --> 01:15:28,070 波乱に満ちた人生が この地から始まろうとしています。 651 01:15:32,713 --> 01:15:34,648 (求次郎 作左ヱ門)やあっ! 652 01:15:34,648 --> 01:15:37,050 (作左ヱ門)よ~し そうだ 求次郎。 653 01:15:37,050 --> 01:15:40,921 ではな もう一度 おじじ様にかかってきてごらん。 654 01:15:40,921 --> 01:15:42,923 (お花)若様 しっかり! 655 01:15:42,923 --> 01:15:44,925 (求次郎)参ります。 656 01:15:44,925 --> 01:15:48,762 はっ! ちょ ちょ… ちょっと…。 657 01:15:48,762 --> 01:15:50,898 たあっ! はくしょん! 658 01:15:50,898 --> 01:15:54,401 (雪絵)求次郎! (妙)早く こちらへいらっしゃい。 659 01:15:54,401 --> 01:15:57,304 おいおい くしゃみをしたのは わしだぞ。