1 00:00:36,237 --> 00:00:39,908 天文17年。 2 00:00:39,908 --> 00:00:44,579 都で随一の権勢を誇っていた 管領家の細川晴元と➡ 3 00:00:44,579 --> 00:00:49,250 その家臣で 力をつけてきた三好長慶が➡ 4 00:00:49,250 --> 00:00:55,924 京の覇権を巡り 一触即発の緊張状態にあった。 5 00:00:55,924 --> 00:01:00,595 主君を家臣が討つ 下克上が横行していた都は➡ 6 00:01:00,595 --> 00:01:05,295 不気味な静けさに包まれていたのである。 7 00:01:19,614 --> 00:01:22,283 (三好長慶)京の様子は どうじゃ。 8 00:01:22,283 --> 00:01:26,154 (松永久秀)はっ。 細川晴元様は➡ 9 00:01:26,154 --> 00:01:32,560 殿が明日にでも摂津で兵を挙げ この京に攻め寄せてくるのではないかと➡ 10 00:01:32,560 --> 00:01:36,231 疑心暗鬼のご様子。 (長慶)はっ あのお方は これまで➡ 11 00:01:36,231 --> 00:01:39,567 幾たびも人を裏切り 裏切られて生きてこられた。 12 00:01:39,567 --> 00:01:45,240 人を疑うのは あのお方の習い性じゃ。 やむをえまい。 13 00:01:45,240 --> 00:01:51,579 (松永)しかし 殿がこうして お忍びで 京においでと知れば➡ 14 00:01:51,579 --> 00:01:55,917 皆 さぞ 仰天するでしょうな。 15 00:01:55,917 --> 00:01:59,254 それも 公家衆との連歌の集いに来るとはな。 16 00:01:59,254 --> 00:02:05,126 (笑い声) 17 00:02:05,126 --> 00:02:13,268 その連歌の一座に 晴元様もお呼びしてはいかがでしょう。 18 00:02:13,268 --> 00:02:19,607 さすれば 殿の平らかなお気持ちも 少しはお分かりになるかも。 19 00:02:19,607 --> 00:02:24,479 よせよせ。 今日は 我が連歌の師 宗養様もおいでというので➡ 20 00:02:24,479 --> 00:02:30,618 参ったのじゃ。 誰にも悟られとうない。 終わり次第 越水へ戻る。 21 00:02:30,618 --> 00:02:35,618 はっ お供つかまつります。 うむ。 22 00:02:51,573 --> 00:02:54,909 (いななき) 23 00:02:54,909 --> 00:05:35,609 ♬~ 24 00:05:37,205 --> 00:05:39,505 (明智十兵衛光秀)おお! 25 00:05:41,876 --> 00:05:47,576 伊平次。 悪童も成長したな! ハハハ…。 26 00:05:51,552 --> 00:05:55,890 見事に玉の通り道が貫かれている。 見事だ。 27 00:05:55,890 --> 00:05:59,560 (伊平次)そうでなくては 玉は飛びません。 28 00:05:59,560 --> 00:06:03,431 はあ… 美しき物じゃ。 29 00:06:03,431 --> 00:06:06,234 (伊平次)美しき物ですか。 30 00:06:06,234 --> 00:06:11,906 それを見て美しいとおっしゃったのは 十兵衛様と松永様だけです。 31 00:06:11,906 --> 00:06:16,244 松永様が…。 あのお方は よくおっしゃっております。 32 00:06:16,244 --> 00:06:20,114 人が工夫を凝らしたものは 皆 美しいと。 33 00:06:20,114 --> 00:06:26,254 世間では怖い方だと言われておりますが いいお方でございます。 34 00:06:26,254 --> 00:06:30,925 しかし 松永様も 今日という日を うまく切り抜けられるかどうか…。 35 00:06:30,925 --> 00:06:34,529 ん? ご主君の三好様と 一緒に討たれてしまわれたら➡ 36 00:06:34,529 --> 00:06:39,400 おしまいだ。 討たれる? 誰に? 37 00:06:39,400 --> 00:06:42,870 図面をお描きになるのでしたら これで全てでございます。 38 00:06:42,870 --> 00:06:46,207 待て 伊平次。 松永様が誰に討たれるのだ? 39 00:06:46,207 --> 00:06:48,142 申してみよ。 誰が討つんだ。 40 00:06:48,142 --> 00:06:51,079 (ため息) 41 00:06:51,079 --> 00:06:55,550 わしは 遊女屋に長く出入りしております。 42 00:06:55,550 --> 00:07:02,423 そうしますと 隣の席で酒を飲んでいる 客の話が つい耳に入ります。 43 00:07:02,423 --> 00:07:07,895 ≪斬るのは2人か? ≪三好長慶と側近の松永久秀だ。 44 00:07:07,895 --> 00:07:11,232 ≪場所は? ≪万里小路家の離れ。 45 00:07:11,232 --> 00:07:15,103 ≪警護の数は? ≪お忍びで行く連歌の会ゆえ➡ 46 00:07:15,103 --> 00:07:20,241 供は少ないはず。 20人もいれば必ずやれる。 47 00:07:20,241 --> 00:07:23,911 万里小路家? 連歌の会があるのか。 48 00:07:23,911 --> 00:07:27,782 今日の昼だと。 たわ言を申していたのではないか? 49 00:07:27,782 --> 00:07:31,482 だとよろしいのですがね。 50 00:07:35,189 --> 00:07:45,199 〽 討たれて失せし身の 51 00:07:45,199 --> 00:07:56,811 〽 因果は廻り逢いたり敵はこれぞと 52 00:07:56,811 --> 00:08:06,888 〽 討たんとするに 仇をば恩にて 53 00:08:06,888 --> 00:08:17,532 〽 法事の念仏して弔わるれば 54 00:08:17,532 --> 00:08:22,236 〽 終には共に 55 00:08:22,236 --> 00:08:26,908 (三淵藤英)しばし お待ち頂け。 (近習の者)はっ。 56 00:08:26,908 --> 00:08:35,183 〽 同じ蓮の蓮生法師 57 00:08:35,183 --> 00:08:41,055 〽 敵にてはなかりけり 58 00:08:41,055 --> 00:08:51,055 〽 跡弔いて 賜び給え 59 00:09:01,409 --> 00:09:08,082 (三淵)これは 明智殿 いかがされました? よくここが…。➡ 60 00:09:08,082 --> 00:09:11,082 伊平次! 61 00:09:17,225 --> 00:09:22,096 伊平次に 三淵殿の館へ行きたいと申し 案内させました。 62 00:09:22,096 --> 00:09:26,901 断りもなく参り ご無礼の段 お許し下さい。 63 00:09:26,901 --> 00:09:31,239 で 御用の向きは? 64 00:09:31,239 --> 00:09:36,844 卒爾ながら 松永久秀様の お命に関わることを耳にし➡ 65 00:09:36,844 --> 00:09:38,779 ご相談いたしたく参りました。 66 00:09:38,779 --> 00:09:42,717 ほう 命に関わること? 67 00:09:42,717 --> 00:09:47,188 本日 万里小路様の館で 連歌の集いがあり➡ 68 00:09:47,188 --> 00:09:52,059 その席に 松永様が ご主君の三好様とおいでになる由。 69 00:09:52,059 --> 00:09:58,199 その折をとらえ 不逞の輩が お二人を討つ企てがあると聞き及び➡ 70 00:09:58,199 --> 00:10:01,536 三淵殿のお耳に入れるべきかと…。 71 00:10:01,536 --> 00:10:04,872 うむ… さようか。 72 00:10:04,872 --> 00:10:09,744 そのこと 松永殿のご家来衆には お伝え頂きましたか? 73 00:10:09,744 --> 00:10:13,214 ご宿泊所には行きましたが ご家来衆の姿は見えず➡ 74 00:10:13,214 --> 00:10:15,883 やむなく こちらに参った次第です。 75 00:10:15,883 --> 00:10:20,555 (細川藤孝)万里小路様の連歌の会のことは 私も聞いている。 76 00:10:20,555 --> 00:10:23,457 すぐに参らねば 手遅れとなりましょう。 77 00:10:23,457 --> 00:10:26,227 しかし 我らが駆けつける理由はあるのか? 78 00:10:26,227 --> 00:10:32,099 三好殿も松永殿も 去年まで血を流して争うていた相手ぞ。 79 00:10:32,099 --> 00:10:38,239 されど 今は 共に手を携え 京を安寧に保つべく話し合うていると➡ 80 00:10:38,239 --> 00:10:41,239 兄上は仰せではありませぬか。 81 00:10:45,580 --> 00:10:50,251 (三淵)本日の連歌の会は 裏で細川晴元様が動き➡ 82 00:10:50,251 --> 00:10:54,589 行うことになったと漏れ聞いておる。 83 00:10:54,589 --> 00:10:59,460 お二人を討ちたいのは晴元様であろう。 で あるなら➡ 84 00:10:59,460 --> 00:11:06,160 しょせん 細川勢の内輪もめだ。 手を出すまでもない。 85 00:11:09,937 --> 00:11:16,277 私は 細川晴元は嫌いです。 86 00:11:16,277 --> 00:11:20,615 去年まで 義輝様が近江に身を潜めていたのは➡ 87 00:11:20,615 --> 00:11:24,485 ひとえに 細川晴元の専横なる振る舞いゆえ。 88 00:11:24,485 --> 00:11:29,624 我らが戦うたのは晴元であり 三好 松永ではない。 89 00:11:29,624 --> 00:11:35,924 兄上も分かっておられよう。 晴元では 京の安寧はもちませぬぞ。 90 00:11:38,432 --> 00:11:43,904 (藤孝)晴元は義輝様の御前で…➡ 91 00:11:43,904 --> 00:11:47,575 平気で はなをかむ男ですよ。➡ 92 00:11:47,575 --> 00:11:51,875 兄上も見ておられたはず。 あのような者に! 93 00:11:53,447 --> 00:11:55,449 (細川晴元)ハハハ…。 94 00:11:55,449 --> 00:12:01,122 三好が斬られれば 晴元をおさえる者は皆無となる。 95 00:12:01,122 --> 00:12:05,593 あの無礼者が この都を…! 96 00:12:05,593 --> 00:12:08,262 急ぎ 人を集める! 97 00:12:08,262 --> 00:12:10,197 はっ。 98 00:12:10,197 --> 00:12:12,133 (三淵)待て 藤孝!➡ 99 00:12:12,133 --> 00:12:14,433 行くことは相ならぬ! 100 00:12:24,612 --> 00:12:30,484 ≪(三淵)わざわざお越し頂いたが 我らは 将軍 義輝様にお仕えする身じゃ。➡ 101 00:12:30,484 --> 00:12:34,889 我らが動けば 将軍のご上意と受け止められる。➡ 102 00:12:34,889 --> 00:12:41,228 それは困る。 そのことをお含み頂き お帰り願う。➡ 103 00:12:41,228 --> 00:12:43,228 御免。 104 00:12:45,900 --> 00:12:49,570 私が幼き頃 父から教わったのは➡ 105 00:12:49,570 --> 00:12:53,240 将軍は 武家の棟梁で あらせられるということです。 106 00:12:53,240 --> 00:12:57,111 全ての武士の頭であり 武士の鑑であり➡ 107 00:12:57,111 --> 00:13:01,916 武士を一つにまとめ 世を平らかに治めるお方であると。 108 00:13:01,916 --> 00:13:08,789 今 この世は平らかではありませぬ。 この京でも 将軍のお膝元で➡ 109 00:13:08,789 --> 00:13:12,259 ご家臣同士が争われている。 それに目を塞ぎ➡ 110 00:13:12,259 --> 00:13:15,162 背を向けて 関わりなしと仰せになる。 111 00:13:15,162 --> 00:13:19,462 それでは 我ら武士が一つにまとまる 手だてがないではありませぬか! 112 00:13:21,268 --> 00:13:26,140 将軍が争うなと ひと言 お命じにならねば 世は平らかにはなりませぬ! 113 00:13:26,140 --> 00:13:31,278 三淵殿が将軍のおそばにおいでのお方なら そのようにご進言頂きたい。 114 00:13:31,278 --> 00:13:33,214 これは 私情で 申し上げているのではありませぬ! 115 00:13:33,214 --> 00:13:37,514 武士の一人として お願い申し上げているのです! 116 00:13:42,556 --> 00:13:45,256 では これにて! 117 00:14:06,580 --> 00:14:08,516 (足利義輝)あの者の後を追え。 118 00:14:08,516 --> 00:14:10,451 (家臣たち)はっ! 119 00:14:10,451 --> 00:14:33,207 ♬~ 120 00:14:33,207 --> 00:14:38,207 では 始めさせて頂きます。 121 00:14:39,880 --> 00:14:46,554 ♬~(笛) 122 00:14:46,554 --> 00:14:58,566 (公家) 「いとはやも 天のとわたる 雁首や」。 123 00:14:58,566 --> 00:15:07,266 (祐筆) 「いとはやも 天のとわたる 雁首や」。 124 00:15:10,911 --> 00:15:16,584 (万里小路) 「かなたこなたに なき渡る声」。 125 00:15:16,584 --> 00:15:25,284 (祐筆)「かなたこなたに なき渡る声」。 126 00:15:38,839 --> 00:15:43,544 (宗養)「遠つ松山 波越えて」。 127 00:15:43,544 --> 00:15:50,544 (祐筆)「きく人の 遠つ松山」。 128 00:15:54,555 --> 00:16:03,230 「月に孤影の 愁いとむろう」。 129 00:16:03,230 --> 00:16:11,230 (祐筆)「月に孤影の 愁いとむろう」。 130 00:16:16,577 --> 00:16:21,916 ん… う~ん…。 131 00:16:21,916 --> 00:16:24,585 (あくび) 132 00:16:24,585 --> 00:16:33,861 ♬~ 133 00:16:33,861 --> 00:16:36,764 やあ~っ! 134 00:16:36,764 --> 00:16:54,548 ♬~ 135 00:16:54,548 --> 00:16:56,884 (藤孝)明智殿! 136 00:16:56,884 --> 00:17:02,884 これを! 兄も参ります。 急ぎましょう! 137 00:17:04,558 --> 00:17:10,431 (祐筆)「葦をふくみて 雁となるらん」。 138 00:17:10,431 --> 00:17:14,568 (喚声) 139 00:17:14,568 --> 00:17:18,238 殿~! お逃げ下さい! 140 00:17:18,238 --> 00:17:23,110 いたぞ! 逃すな! お逃げ下さい! 141 00:17:23,110 --> 00:17:45,399 ♬~ 142 00:17:45,399 --> 00:17:47,699 殿~! 143 00:17:49,536 --> 00:17:51,836 ううっ…。 144 00:17:53,407 --> 00:17:55,409 十兵衛? 145 00:17:55,409 --> 00:18:06,109 ♬~ 146 00:18:16,764 --> 00:18:19,064 三好殿! 147 00:18:29,576 --> 00:18:31,576 藤孝殿! 148 00:19:16,557 --> 00:19:18,557 や~っ! 149 00:19:20,427 --> 00:19:23,897 三好殿 松永殿! 表に馬が! 150 00:19:23,897 --> 00:19:26,567 かたじけない! 松永様 早く! 151 00:19:26,567 --> 00:19:28,567 おう! 152 00:19:40,114 --> 00:19:43,414 退け! (刺客たち)はっ! 153 00:20:03,403 --> 00:20:07,103 しくじりおって~! 154 00:20:14,882 --> 00:20:21,882 (荒い息遣い) 155 00:20:34,902 --> 00:20:39,602 いかがなされました? あ… ご案じなく。 156 00:20:41,241 --> 00:20:46,113 肩ですか? そのようです。 157 00:20:46,113 --> 00:20:48,916 すぐに医者を手配しましょう。 ああ それには及びませぬ。 158 00:20:48,916 --> 00:20:50,851 しかし…。 159 00:20:50,851 --> 00:20:56,590 医者なら 京に1人 親しいお方を存じています。 160 00:20:56,590 --> 00:21:00,460 ご案じなく。 何という医者ですか? 161 00:21:00,460 --> 00:21:04,264 望月東庵というお方です。 162 00:21:04,264 --> 00:21:07,167 (貞永久四郎) 望月東庵先生なら 存じ上げています。 163 00:21:07,167 --> 00:21:11,939 しばらく京を離れておられたが また お戻りになったと聞いております。 164 00:21:11,939 --> 00:21:15,809 (三淵)場所は? 以前おられた所の近くだと…。 165 00:21:15,809 --> 00:21:20,809 (三淵)その場所に 明智殿を案内いたせ。 (貞永)はっ。 166 00:21:28,288 --> 00:21:32,288 炭は要らんか~。 167 00:21:40,867 --> 00:21:46,167 この辺りのはず。 そこで聞いてまいります。 168 00:22:05,926 --> 00:22:24,611 〽 (駒)ヨシナノワレラガヒトリネヤ 169 00:22:24,611 --> 00:22:27,281 (駒)十兵衛様! 170 00:22:27,281 --> 00:22:36,089 〽 カバカリサヤケ 171 00:22:36,089 --> 00:22:39,226 (駒)十兵衛様…。➡ 172 00:22:39,226 --> 00:22:41,161 十兵衛様! 173 00:22:41,161 --> 00:22:43,563 気付かれましたか? 174 00:22:43,563 --> 00:22:48,435 先生… 東庵先生! 175 00:22:48,435 --> 00:22:52,135 駒殿…。 はい。 176 00:22:53,907 --> 00:22:57,778 …昔の今様かな? 177 00:22:57,778 --> 00:23:04,078 誰かが歌っていた…。 私です。 178 00:23:06,920 --> 00:23:10,590 誰に教わった? 179 00:23:10,590 --> 00:23:15,262 子どもの頃 旅芸人の親方様に…。 180 00:23:15,262 --> 00:23:18,962 旅芸人…。 181 00:23:21,134 --> 00:23:25,906 (望月東庵)おお 気付かれたか! 182 00:23:25,906 --> 00:23:30,610 よかった よかった! ハハッ。 183 00:23:30,610 --> 00:23:33,610 先生…。 うん 御免。 184 00:23:37,217 --> 00:23:41,088 随分 熱が下がった。 うん。 185 00:23:41,088 --> 00:23:45,892 これなら大事ない。 大事ないぞ。 186 00:23:45,892 --> 00:23:48,892 脈をとろう。 187 00:23:51,765 --> 00:23:54,568 ここは どこですか? 188 00:23:54,568 --> 00:23:59,439 うむ わしの家じゃ。 189 00:23:59,439 --> 00:24:04,911 (駒)十兵衛様は 家の前で倒れ 気を失われていたのですよ。 190 00:24:04,911 --> 00:24:13,587 高熱でな。 ほっておけば 命に関わるところであった。 191 00:24:13,587 --> 00:24:19,887 肩の傷が 思いの外 悪うてな。 192 00:24:22,262 --> 00:24:31,538 駒が この2日間 ず~っと 付きっきりで手当てをしてくれたのじゃ。 193 00:24:31,538 --> 00:24:34,207 2日…? (東庵)うむ。 194 00:24:34,207 --> 00:24:37,544 私は 2日も…? 195 00:24:37,544 --> 00:24:40,881 (駒)ずっと眠っておいででした。 196 00:24:40,881 --> 00:24:45,218 もう大丈夫。➡ 197 00:24:45,218 --> 00:24:51,091 あとは 傷がどれぐらいで塞がるかじゃ。 198 00:24:51,091 --> 00:24:57,391 よかった。 本当に よかった! 199 00:25:00,567 --> 00:25:04,438 先生が 初めて 薬師如来のように見えます! 200 00:25:04,438 --> 00:25:09,242 ん? いつもは 何に見えるのじゃ。 201 00:25:09,242 --> 00:25:12,145 それは申しません。 202 00:25:12,145 --> 00:25:17,117 どうせ 双六大明神といったところであろう。 203 00:25:17,117 --> 00:25:22,589 フフフッ。 薬は いつもどおりじゃぞ。 はい! 204 00:25:22,589 --> 00:25:26,889 先生…。 駄目 駄目 動いてはいけません! 205 00:25:37,537 --> 00:25:46,546 2日も… さほどに長く…。 206 00:25:46,546 --> 00:25:51,218 かたじけない。 207 00:25:51,218 --> 00:25:54,888 2日ごとき どうということはありませぬ。 208 00:25:54,888 --> 00:25:59,759 3日でも4日でも ずっと おそばにいますから…。➡ 209 00:25:59,759 --> 00:26:04,231 そう ずっと…。➡ 210 00:26:04,231 --> 00:26:09,903 変だけれど… ちょっと楽しゅうございます。 211 00:26:09,903 --> 00:26:12,572 こうして おそばにいるのが…。 212 00:26:12,572 --> 00:26:38,872 ♬~ 213 00:26:55,882 --> 00:26:58,582 (藤孝)御免。 214 00:27:05,225 --> 00:27:11,898 これは 松永殿から明智殿へと 兄上に託されたものです。 215 00:27:11,898 --> 00:27:16,770 万里小路家では命拾いをした。 明智殿のおかげと仰せられ➡ 216 00:27:16,770 --> 00:27:22,909 今は動けず お顔を拝せぬが よしなにお伝え下されとのことです。 217 00:27:22,909 --> 00:27:30,250 はあ…。 わざわざ お持ち下さいましたか。 ご丁寧に恐れ入ります。 218 00:27:30,250 --> 00:27:32,852 つぼには 水あめが入っています。 219 00:27:32,852 --> 00:27:36,552 水あめ!? 大好きです! 220 00:27:49,202 --> 00:27:52,872 (笑い声) 221 00:27:52,872 --> 00:27:57,210 松永殿が 明智殿は 酒は あまり たしなまれないようなので➡ 222 00:27:57,210 --> 00:28:02,882 甘いものにしたと仰せられたそうですが… さようですか? 223 00:28:02,882 --> 00:28:10,557 いや… まあ 松永様がそう仰せなら そうなのでしょう。 224 00:28:10,557 --> 00:28:14,427 (笑い声) 225 00:28:14,427 --> 00:28:19,566 (藤孝) ああ しかし 明智殿は不思議なお方だ。 226 00:28:19,566 --> 00:28:24,237 この都では 松永殿といえば 鬼か蛇かと言われ➡ 227 00:28:24,237 --> 00:28:28,575 皆が恐れているお方です。 そのお方に やすやすと近づかれ➡ 228 00:28:28,575 --> 00:28:33,179 親しくしておられる。 美濃に置いておくには惜しい御仁じゃと➡ 229 00:28:33,179 --> 00:28:37,517 兄が申しておりました。 いや… それは買いかぶりです。 230 00:28:37,517 --> 00:28:42,856 松永様は 田舎者の私を 面白がっておられるだけです。 231 00:28:42,856 --> 00:28:47,193 失礼ながら 私も面白がっています。 232 00:28:47,193 --> 00:28:53,533 はっ? 明智殿は 大層 面白い。➡ 233 00:28:53,533 --> 00:29:00,407 兄の館へおいでになり 大きな声で 将軍様は武家の棟梁であり➡ 234 00:29:00,407 --> 00:29:07,547 鑑であると申された。 将軍様が争うなと ひと言 お命じにならねば➡ 235 00:29:07,547 --> 00:29:12,218 世は平らかにならないと。 いや あれは…。 236 00:29:12,218 --> 00:29:14,154 (藤孝)そのとおりなのです! 237 00:29:14,154 --> 00:29:17,090 明智殿は当たり前のことを仰せられた。 238 00:29:17,090 --> 00:29:24,230 しかし 今 この京で そう思う武士は ごく僅かにすぎぬ。 239 00:29:24,230 --> 00:29:29,102 あの折 義輝様も あの館におられました。➡ 240 00:29:29,102 --> 00:29:33,840 明智殿の言葉を じっとお聞きになっていた。➡ 241 00:29:33,840 --> 00:29:39,512 私は 胸が痛かった。 242 00:29:39,512 --> 00:29:42,182 口惜しかった! 243 00:29:42,182 --> 00:29:46,853 明智殿のようなお方が あと2人でも3人でもいて➡ 244 00:29:46,853 --> 00:29:50,153 我らの味方になってくれればと…。 245 00:29:56,196 --> 00:29:58,896 あ…。 246 00:30:03,536 --> 00:30:13,536 いかがです。 美濃へ帰らず しばらく 京にいらっしゃいませんか。 247 00:30:24,824 --> 00:30:28,561 そうはいきませぬ。 248 00:30:28,561 --> 00:30:32,899 美濃も京と同じです。 249 00:30:32,899 --> 00:30:43,543 美濃の柱であった守護の土岐家は 力を失い 家臣が皆バラバラになっている。 250 00:30:43,543 --> 00:30:51,918 辛うじて 私の主君 斎藤山城守が 美濃を一つにまとめてはいるが➡ 251 00:30:51,918 --> 00:30:59,793 国の者が皆 土岐家に代わる柱として 従っているかというと そうではない。 252 00:30:59,793 --> 00:31:04,497 心苦しいが 私も何かが違うと思うている。 253 00:31:04,497 --> 00:31:09,469 しかし どうすれば 我らが一つになれるか➡ 254 00:31:09,469 --> 00:31:12,769 それが分からない。 255 00:31:14,607 --> 00:31:20,307 それゆえ 美濃に戻り 考えなければならない。 256 00:31:28,154 --> 00:31:34,894 5年先か10年先か 美濃が一つになれた折 また お目にかかります。 257 00:31:34,894 --> 00:31:42,594 その折には 美濃を挙げて藤孝殿を支えます。 258 00:31:48,241 --> 00:31:52,541 今は そう申し上げるほかはない。 259 00:31:54,113 --> 00:32:02,255 分かりました。 争いを終え 一つになった諸大名が京へ上り➡ 260 00:32:02,255 --> 00:32:07,594 将軍家を支えるならば 世は平らかになるはず。 261 00:32:07,594 --> 00:32:10,930 我らは それを待ちます。➡ 262 00:32:10,930 --> 00:32:16,230 それまで戦うほかない。 263 00:32:27,480 --> 00:32:30,283 ≪(東庵)十兵衛様! 264 00:32:30,283 --> 00:32:33,553 十兵衛様! 265 00:32:33,553 --> 00:32:41,227 戦じゃ! 山城守様が また戦を始めたそうじゃ!➡ 266 00:32:41,227 --> 00:32:46,566 たった今 美濃から戻った油屋が申しておる。 267 00:32:46,566 --> 00:32:50,904 美濃の大柿城が主戦場だと。 268 00:32:50,904 --> 00:32:53,239 大柿!? では 敵は! 269 00:32:53,239 --> 00:32:58,912 尾張の織田信秀様じゃ! 270 00:32:58,912 --> 00:33:00,847 織田方と! 271 00:33:00,847 --> 00:33:05,585 天文17年の末 美濃の斎藤利政は➡ 272 00:33:05,585 --> 00:33:09,455 西美濃にある大柿城を急襲した。 273 00:33:09,455 --> 00:33:12,458 かつて この城は 利政が押さえていたが➡ 274 00:33:12,458 --> 00:33:16,596 今は 尾張の織田信秀に 奪われていたのである。 275 00:33:16,596 --> 00:33:21,267 かかれ~! (斎藤軍)オオ~!➡ 276 00:33:21,267 --> 00:33:25,138 エエトウエエ! エエトウエエ! 277 00:33:25,138 --> 00:33:29,142 エエトウエエ! エエトウエエ! 278 00:33:29,142 --> 00:33:33,212 エエトウエエ! エエトウ! 279 00:33:33,212 --> 00:33:35,882 エエ! 280 00:33:35,882 --> 00:33:37,817 エエ! 281 00:33:37,817 --> 00:33:42,555 エエトウエエ! エエトウエエ! 282 00:33:42,555 --> 00:33:44,891 (伝令)注進! 283 00:33:44,891 --> 00:33:50,763 大柿の一帯は 豊かな穀倉地帯であり 交通の要所であったため➡ 284 00:33:50,763 --> 00:33:56,063 利政にとって この地の奪回は 宿願であった。 285 00:33:58,237 --> 00:34:05,912 知らせを受けた織田信秀は 大軍を率いて 斎藤勢の背後をつこうとしたが➡ 286 00:34:05,912 --> 00:34:10,212 結局 城を守ることはできなかった。 287 00:34:12,251 --> 00:34:17,951 大柿城は美濃の蝮の手に落ちた。 288 00:34:29,802 --> 00:34:32,205 駒殿。 289 00:34:32,205 --> 00:34:35,541 は? もうよい。 290 00:34:35,541 --> 00:34:40,880 私は大丈夫だ。 ここから 京へお戻りなさい。 291 00:34:40,880 --> 00:34:43,549 (駒)どうしてですか? 292 00:34:43,549 --> 00:34:49,222 東庵殿を一人で残してくるのは やはり心苦しい。 293 00:34:49,222 --> 00:34:54,894 気持ちはありがたいが 駒殿が私のために 美濃まで来るのは大仰すぎる。 294 00:34:54,894 --> 00:35:00,233 (駒)大仰なものですか! 先生も おっしゃっていたではありませんか。➡ 295 00:35:00,233 --> 00:35:03,136 「そんな傷があるのに 旅をするのは むちゃです」と。 296 00:35:03,136 --> 00:35:06,105 「一人で行かせるのは 医者としての面目に関わる。➡ 297 00:35:06,105 --> 00:35:09,575 駒 そなた ついていけ」 そう おっしゃったのです。 298 00:35:09,575 --> 00:35:12,245 私は 東庵殿から じかには聞いてはいない。 299 00:35:12,245 --> 00:35:17,583 駒殿が そう申したのだ。 とにかく そうおっしゃったのです。 300 00:35:17,583 --> 00:35:21,254 美濃が案じられるとおっしゃいますが 戦も終わって➡ 301 00:35:21,254 --> 00:35:23,923 美濃に大事はなかったと 分かっているのです。➡ 302 00:35:23,923 --> 00:35:26,826 慌てることはないじゃありませんか。 303 00:35:26,826 --> 00:35:32,198 もし 私に戻れとおっしゃるのなら 一緒に戻って頂きます。 304 00:35:32,198 --> 00:35:35,535 それは困る。 305 00:35:35,535 --> 00:35:38,835 (駒)では 美濃まで ご一緒します。 306 00:35:43,876 --> 00:35:46,576 …はい。 307 00:35:51,551 --> 00:36:11,237 (強い風の音) 308 00:36:11,237 --> 00:36:14,574 (戸が開く音) 309 00:36:14,574 --> 00:36:19,445 (強い風の音) 310 00:36:19,445 --> 00:36:22,448 裏の小屋に1枚あったので 拝借してきました。 311 00:36:22,448 --> 00:36:25,918 これ 掛けて 寝て下さい。 駒殿は? 312 00:36:25,918 --> 00:36:28,821 私は たき火のそばで寝ますから 大丈夫です。 313 00:36:28,821 --> 00:36:30,790 いや これは すぐ消えるぞ。 314 00:36:30,790 --> 00:36:36,195 私は 体が犬のように ぬくいのです。 子どもの頃から そうです。 315 00:36:36,195 --> 00:36:38,531 ご案じなく。 316 00:36:38,531 --> 00:37:04,223 ♬~ 317 00:37:04,223 --> 00:37:06,159 どうぞ。 318 00:37:06,159 --> 00:37:09,859 おお…。 かたじけない。 319 00:37:17,570 --> 00:37:21,570 うん うまい。 320 00:37:28,581 --> 00:37:48,868 (強い風の音) 321 00:37:48,868 --> 00:37:50,868 駒殿。 322 00:37:52,738 --> 00:37:57,038 まだ お眠りになれませんか? 323 00:37:58,878 --> 00:38:05,178 駒殿が気になる。 ここへ入らぬか。 324 00:38:10,223 --> 00:38:14,560 頼む。 入ってくれ。 325 00:38:14,560 --> 00:38:17,560 そうでなくては眠れぬ。 326 00:38:26,172 --> 00:38:29,172 早う入れ。 327 00:38:31,510 --> 00:38:35,381 (駒)ですが…。 構わぬ。 328 00:38:35,381 --> 00:38:39,381 ここで寝よ。 329 00:38:41,520 --> 00:38:56,068 ♬~ 330 00:38:56,068 --> 00:38:58,537 はい。 331 00:38:58,537 --> 00:39:46,052 ♬~ 332 00:39:46,052 --> 00:39:57,052 東庵殿の家で気を失って 2日の間 眠っていた…。 333 00:40:02,401 --> 00:40:11,401 夢の中で 駒殿の歌が聞こえてきた。 334 00:40:18,217 --> 00:40:23,217 どこで あのような歌を教わったのかと 聞いた。 335 00:40:28,227 --> 00:40:37,527 駒殿は 旅の一座の親方様から教わったと…。 336 00:40:45,578 --> 00:40:48,878 いささか気になっていた。 337 00:40:51,450 --> 00:40:55,150 子どもの頃か? 338 00:40:58,157 --> 00:41:05,598 私… 東庵先生に引き取られる前➡ 339 00:41:05,598 --> 00:41:10,936 伊呂波太夫という 旅芸人の一座に拾われて…➡ 340 00:41:10,936 --> 00:41:19,945 そこで育てられ… あちこちを旅して暮らしていたことが…。 341 00:41:19,945 --> 00:41:24,645 五つ 六つの頃…。 342 00:41:31,557 --> 00:41:35,227 そうか…。 343 00:41:35,227 --> 00:41:42,227 それで 今様を…。 344 00:41:46,238 --> 00:41:59,785 〽 ヨシナノワレラガ 345 00:41:59,785 --> 00:42:11,464 〽 ヒトリネヤ 346 00:42:11,464 --> 00:42:36,555 〽 カバカリサヤケキ冬ノヨニ 347 00:42:36,555 --> 00:42:59,555 〽 コロモハウスクテ夜ハサムシ 348 00:43:01,580 --> 00:43:05,918 あの尾張の向こうには海がある。 海を手に入れることじゃ。 349 00:43:05,918 --> 00:43:08,587 美濃の蝮めと手を結ぼうかと。 350 00:43:08,587 --> 00:43:10,923 織田信秀が和議を? 351 00:43:10,923 --> 00:43:13,826 ただし 帰蝶様を嫁にくれと。 352 00:43:13,826 --> 00:43:16,262 十兵衛 頼むぞ。 尾張に嫁に行かせてはならぬ! 353 00:43:16,262 --> 00:43:19,164 思うても 思いが遂げられぬ者もありましょう? 354 00:43:19,164 --> 00:43:21,934 私には無理だと申し上げているだけです! 帰れ! 355 00:43:21,934 --> 00:43:26,634 尾張などへ嫁には出してはならぬ。 皆に そう申してほしい。 356 00:43:33,512 --> 00:43:36,448 平安時代に都が置かれて以来➡ 357 00:43:36,448 --> 00:43:41,253 政治の中心地として発展を遂げてきた 京都。 358 00:43:41,253 --> 00:43:46,926 足利将軍家は 室町という地に邸宅を置き➡ 359 00:43:46,926 --> 00:43:49,926 栄華を極めました。 360 00:43:52,598 --> 00:43:57,937 しかし 応仁の乱など 大規模な戦が繰り返され➡ 361 00:43:57,937 --> 00:44:00,606 京の街は荒廃。 362 00:44:00,606 --> 00:44:04,276 幕府の権力基盤が不安定になる中➡ 363 00:44:04,276 --> 00:44:09,615 戦国時代へと 突入することとなったのです。 364 00:44:09,615 --> 00:44:13,485 畿内の国衆をまとめ 頭角を現したのは➡ 365 00:44:13,485 --> 00:44:18,485 阿波の戦国大名 三好長慶でした。 366 00:44:20,259 --> 00:44:25,965 長慶が畿内で最初に拠点を置いた越水城。 367 00:44:25,965 --> 00:44:33,965 四国から淡路島を通り 京都へ連絡する 重要な中間地点でした。 368 00:44:35,574 --> 00:44:41,246 小高い丘の上に築かれた越水城は 開発が進み➡ 369 00:44:41,246 --> 00:44:44,946 住宅地へと姿を変えました。 370 00:44:47,920 --> 00:44:51,790 畿内での影響力を強めた長慶は➡ 371 00:44:51,790 --> 00:44:57,790 松永久秀らを従え 躍進していくこととなるのです。 372 00:45:38,437 --> 00:45:42,074 (妙)ほら。 (一同)わあっ! 373 00:45:42,074 --> 00:45:44,710 桔梗屋の求肥餅って➡ 374 00:45:44,710 --> 00:45:47,579 今 江戸で一番売れてる お菓子なんですって。 375 00:45:47,579 --> 00:45:50,249 はい どうぞ。 あっ。 376 00:45:50,249 --> 00:45:54,586 これは 確かに うまそうだな~。 377 00:45:54,586 --> 00:45:56,588 お義母様が 半刻も並んで➡ 378 00:45:56,588 --> 00:45:58,590 買ってきてくださったそうですよ。