1 00:00:33,435 --> 00:00:39,135 (正親町天皇) 実澄… 気に入ったのであろう 明智を…。 2 00:00:42,511 --> 00:00:46,811 (正親町天皇) 折を見て 連れてまいるがよい。 3 00:00:53,522 --> 00:00:57,822 (侍女)明智様の支度が 整いましてございます。 4 00:01:00,395 --> 00:01:03,532 (伊呂波太夫)フフフッ…。 5 00:01:03,532 --> 00:01:06,868 おや お似合いとは申しませんが➡ 6 00:01:06,868 --> 00:01:12,541 いかにも三条西家の御用人のようで よろしいのではありませんか? 7 00:01:12,541 --> 00:01:14,476 (三条西実澄)うむ。 8 00:01:14,476 --> 00:01:18,413 (明智十兵衛光秀)これで御所へ? 9 00:01:18,413 --> 00:01:21,550 (実澄)さよう。 10 00:01:21,550 --> 00:01:30,892 そなたは 帝が いかなるお方か 知りたいと言うて参られた。 11 00:01:30,892 --> 00:01:37,699 人を知るには 目を見 声を聞くこと。 12 00:01:37,699 --> 00:01:46,842 今日 それができるかどうかであるが ご尊顔を拝するのは無理として➡ 13 00:01:46,842 --> 00:01:52,514 お声は僅かに拝聴できるやもしれぬ。 14 00:01:52,514 --> 00:01:56,384 それゆえ お誘いしたまでじゃ。 15 00:01:56,384 --> 00:01:59,684 いかがなされる? 16 00:02:01,523 --> 00:02:04,860 お供させて頂きます。 17 00:02:04,860 --> 00:02:22,210 ♬~ 18 00:02:22,210 --> 00:02:26,882 そなたは ここに控えておれ。 19 00:02:26,882 --> 00:02:28,882 はっ。 20 00:02:46,168 --> 00:02:54,168 (鐘の音) 21 00:02:57,179 --> 00:05:38,879 ♬~ 22 00:06:51,346 --> 00:06:59,487 (実澄)「春風吹く中 川を渡り 水を看➡ 23 00:06:59,487 --> 00:07:06,828 頭上の花を看ながら いつの間にか友の家に着いていた」。 24 00:07:06,828 --> 00:07:15,837 人は水の流れや花を見る時 無心に時を過ごす。 25 00:07:15,837 --> 00:07:23,137 いつの世も そうありたいものよのう。 26 00:07:26,181 --> 00:07:33,788 この詩を読む時 ちんも そう生きたいと思うが➡ 27 00:07:33,788 --> 00:07:37,659 実澄はどうか? 28 00:07:37,659 --> 00:07:39,659 は…。 29 00:07:43,131 --> 00:07:52,140 今日は 庭に珍しき鳥が舞い降りております。 30 00:07:52,140 --> 00:07:57,812 「万葉」の歌を好む 珍しき鳥ゆえ➡ 31 00:07:57,812 --> 00:08:05,153 そのことを お聞きあそばれてみるのも 一興かと。 32 00:08:05,153 --> 00:08:09,023 かの者が参っておるのか? 33 00:08:09,023 --> 00:08:33,114 ♬~ 34 00:08:33,114 --> 00:08:38,414 珍しき庭の鳥へ。 35 00:09:31,306 --> 00:09:35,043 私も そのように生きたく存じまする。 36 00:09:35,043 --> 00:09:42,343 さりながら 迷いながらの道でございます。 37 00:09:45,687 --> 00:09:49,687 ≪(正親町天皇)目指すは いずこぞ? 38 00:09:54,128 --> 00:09:57,799 穏やかな世でございます! 39 00:09:57,799 --> 00:10:02,470 ≪(正親町天皇)その道は遠いのう…➡ 40 00:10:02,470 --> 00:10:13,470 ちんも迷う… なれど 迷わずに歩もうではないか。 41 00:10:18,820 --> 00:10:29,520 明智十兵衛 その名を胸にとどめ置くぞよ。 42 00:10:32,367 --> 00:10:34,836 は…。 43 00:10:34,836 --> 00:11:12,540 ♬~ 44 00:11:12,540 --> 00:11:22,840 [ 回想 ] (正親町天皇)ちんも迷う… なれど 迷わずに歩もうではないか。 45 00:11:26,888 --> 00:11:28,888 (熙子)殿。 46 00:11:32,493 --> 00:11:37,165 (熙子)近江より柴田勝家様と 佐久間信盛様がお着きになり➡ 47 00:11:37,165 --> 00:11:40,165 お待ちでございます。 48 00:11:41,836 --> 00:11:44,739 ああ そうか。 49 00:11:44,739 --> 00:11:48,739 すっかり お待たせしてしもうたな。 50 00:11:53,848 --> 00:12:00,188 (木下藤吉郎)柴田様も佐久間様も 織田家では昔からのお重役。 51 00:12:00,188 --> 00:12:04,525 私ごとき成り上がり者が➡ 52 00:12:04,525 --> 00:12:09,397 かように申し上げるのは はなはだ無礼とは存じますが➡ 53 00:12:09,397 --> 00:12:12,400 あえて申し上げたい。 54 00:12:12,400 --> 00:12:20,541 お二方は 信長様に おもねり過ぎる。 55 00:12:20,541 --> 00:12:23,841 (柴田勝家)もうよい 黙れ! 56 00:12:26,414 --> 00:12:32,153 ただいま戻りました。 お待たせいたし申し訳ございませぬ。 57 00:12:32,153 --> 00:12:34,489 (しゃっくり) (柴田)おお! 58 00:12:34,489 --> 00:12:38,359 (佐久間信盛)我らこそ かようなお気遣い かたじけのうござる。 59 00:12:38,359 --> 00:12:40,659 いえ いえ…。 60 00:12:46,100 --> 00:12:49,837 信長様から 文で子細は承っております。 61 00:12:49,837 --> 00:12:55,710 大和の国は 松永久秀様と 筒井順慶様の争いが あちこちに広がり➡ 62 00:12:55,710 --> 00:12:58,846 河内の国にまで飛び火している由。 63 00:12:58,846 --> 00:13:02,717 私にも出陣の備えをせよとの お達しがありました。 64 00:13:02,717 --> 00:13:05,520 やっかいな話じゃ。 65 00:13:05,520 --> 00:13:11,192 殿は 公方様の強いご意向ゆえ 松永を討つと仰せられ➡ 66 00:13:11,192 --> 00:13:17,532 我らに出陣を命じられたが いつになく歯切れが悪うてな。 67 00:13:17,532 --> 00:13:21,869 そりゃ やる気がないからじゃ。 68 00:13:21,869 --> 00:13:27,742 先ほど 二条城へ参り 公方様にご挨拶をしてまいったが➡ 69 00:13:27,742 --> 00:13:34,449 なんとしても松永の首を取れと仰せられ 明智殿にもお知恵を借りて➡ 70 00:13:34,449 --> 00:13:39,353 戦支度を急げと きつく催促されました。 71 00:13:39,353 --> 00:13:42,156 (ため息) 72 00:13:42,156 --> 00:13:46,494 松永 筒井両所には 一度 和睦をして頂いたが➡ 73 00:13:46,494 --> 00:13:49,831 しょせん 水と油の仲。 74 00:13:49,831 --> 00:13:55,503 おまけに 公方様は 前の将軍で兄君の 義輝様を殺した張本人は➡ 75 00:13:55,503 --> 00:14:00,174 松永じゃと思い込んでおられる。 始末に負えぬわ! 76 00:14:00,174 --> 00:14:06,047 柴田殿 始末に負えぬとは言葉が過ぎようぞ。 77 00:14:06,047 --> 00:14:11,185 い~や! 始末に負えぬ。 78 00:14:11,185 --> 00:14:15,056 松永を討つ暇があったら 近江の浅井長政を討つべきであり➡ 79 00:14:15,056 --> 00:14:18,059 越前の朝倉も片づけるべきでござる。➡ 80 00:14:18,059 --> 00:14:24,732 公方様は ああ見えて油断のならぬお方じゃ。 81 00:14:24,732 --> 00:14:29,203 わしは 公方様が朝倉や浅井に密書を送り➡ 82 00:14:29,203 --> 00:14:32,473 上洛を促しておるのは つかんでおる。➡ 83 00:14:32,473 --> 00:14:36,344 信長様が 大和と河内に兵を送って➡ 84 00:14:36,344 --> 00:14:39,814 近江や美濃が手薄になったところへ 朝倉たちに➡ 85 00:14:39,814 --> 00:14:44,685 一気に信長様を攻めさせようとの 魂胆とにらんでおりますが いかがか! 86 00:14:44,685 --> 00:14:47,488 わしは そこまで思うておらぬ。 87 00:14:47,488 --> 00:14:50,391 それが甘いと申し上げておるのじゃ! 88 00:14:50,391 --> 00:14:55,162 何が甘い! 大~甘じゃ。 89 00:14:55,162 --> 00:15:00,462 お育ちのよろしい方々は そういうところが手ぬるい。 90 00:15:02,036 --> 00:15:07,174 そもそも 柴田様も佐久間様も➡ 91 00:15:07,174 --> 00:15:12,174 本心で松永を討ちたいと思われますか? 92 00:15:17,518 --> 00:15:21,856 さて 厠へ行くとするか。➡ 93 00:15:21,856 --> 00:15:28,195 明日は近江へ戻って 浅井を討つ算段じゃ~! 94 00:15:28,195 --> 00:15:30,195 猿めが! 95 00:15:39,140 --> 00:15:42,476 長居をいたしました。 いえ。 96 00:15:42,476 --> 00:15:48,149 こたびは いろいろ やっかい。 何かと相談に乗って頂きたい。 97 00:15:48,149 --> 00:15:50,149 喜んで。 98 00:15:54,021 --> 00:15:59,021 一度 申し上げようと思うていたのだが…。 99 00:16:02,496 --> 00:16:10,371 比叡山を攻めた折 殿は 叡山の者は ことごとく殺せと命じられた。 100 00:16:10,371 --> 00:16:17,044 だが 明智殿は 女子と子どもを助け 戦のあとで➡ 101 00:16:17,044 --> 00:16:21,744 それを殿に はっきり申し上げたと聞きました。 102 00:16:23,517 --> 00:16:31,817 こたびの戦も 明智殿の思うところを 殿に直言して頂きたい。 103 00:16:33,327 --> 00:16:37,027 それを申し上げたかった。 104 00:16:38,799 --> 00:16:41,499 では。 105 00:16:45,473 --> 00:16:48,173 (佐久間)待たせた。 106 00:16:53,814 --> 00:16:57,151 元亀2年から元亀3年にかけ➡ 107 00:16:57,151 --> 00:17:02,490 大和の松永久秀は 筒井順慶ら近隣の幕府方と➡ 108 00:17:02,490 --> 00:17:06,160 戦を繰り広げていた。 その松永に対し➡ 109 00:17:06,160 --> 00:17:08,496 足利義昭と幕府は➡ 110 00:17:08,496 --> 00:17:11,196 鎮圧に乗り出そうと していた。 111 00:17:12,833 --> 00:17:15,503 (三淵藤英)おお 参られたか。➡ 112 00:17:15,503 --> 00:17:19,173 公方様もお待ちかねじゃ。 113 00:17:19,173 --> 00:17:22,076 広間でございますか? 114 00:17:22,076 --> 00:17:28,516 庭じゃ。 庭で これをやっておられる。 115 00:17:28,516 --> 00:17:30,816 (足利義昭)セイッ! 116 00:17:37,124 --> 00:17:39,794 (小姓)恐れ入りましてござります! 117 00:17:39,794 --> 00:17:45,132 もう音を上げるのか。 張り合いのないやつじゃ。 118 00:17:45,132 --> 00:17:51,806 公方様が… 剣術を。 119 00:17:51,806 --> 00:17:56,477 兄君の義輝様は 剣の達人におわした。 120 00:17:56,477 --> 00:18:00,147 公方様は ここのところ それを気にされていてな➡ 121 00:18:00,147 --> 00:18:04,485 戦に行くにも 多少の心得があった方がよかろうと➡ 122 00:18:04,485 --> 00:18:09,156 剣の心得がある者を捕まえては 指南を受けておられる。 123 00:18:09,156 --> 00:18:15,830 兄君は兄君。 公方様は公方様なのだが…。 124 00:18:15,830 --> 00:18:20,701 私はよいと思う。 公方様は武家の棟梁。 125 00:18:20,701 --> 00:18:24,171 諸国の大名たちに侮られるようでは困る。 126 00:18:24,171 --> 00:18:28,042 そういう心構えの表れと 拝察しておるのじゃ。 127 00:18:28,042 --> 00:18:35,742 摂津殿を追放して以来 ご自身の役割を しかと悟られたようじゃ。 128 00:18:39,453 --> 00:18:42,753 おう 十兵衛か。 129 00:18:45,793 --> 00:18:50,131 (義昭)どうじゃ 下りてきて 手合わせをしてくれぬか。➡ 130 00:18:50,131 --> 00:18:55,131 こやつらでは 相手にならぬ。 は? 131 00:18:56,804 --> 00:19:02,476 公方様 十兵衛殿は 弟 藤孝も舌を巻くほどの剣の使い手。 132 00:19:02,476 --> 00:19:05,379 あまりお勧めはいたしませぬ。 133 00:19:05,379 --> 00:19:09,350 それゆえ 太刀さばきを見てみたいのじゃ。 134 00:19:09,350 --> 00:19:14,088 十兵衛 たっての所望ぞ。 下りてまいれ。 135 00:19:14,088 --> 00:19:18,025 いえ その儀ばかりはご容赦を…。 136 00:19:18,025 --> 00:19:21,325 それを十兵衛に渡せ。 (近習)はっ。 137 00:19:26,167 --> 00:19:30,037 公方様のお望みじゃ。 お受けなされ。 138 00:19:30,037 --> 00:19:34,337 十兵衛 参れ。 139 00:20:05,472 --> 00:20:07,772 タ~ッ! 140 00:20:11,345 --> 00:20:13,345 来~い! 141 00:20:35,169 --> 00:20:40,869 (荒い息遣い) 142 00:20:49,516 --> 00:20:56,216 死にとうない… その一心で 大和を出てまいった。 143 00:20:57,858 --> 00:21:00,558 タァ~ッ! 144 00:21:04,198 --> 00:21:08,535 私がもし将軍になれば 人を救える。 145 00:21:08,535 --> 00:21:11,535 貧しい人々を…。 146 00:21:15,209 --> 00:21:17,209 わ~っ! 147 00:21:21,081 --> 00:21:25,853 美濃へ行く。 そなたを信じよう。 148 00:21:25,853 --> 00:21:29,556 公方様 ここまでにいたしましょう。 149 00:21:29,556 --> 00:21:33,160 もっとじゃ! このままでは引き下がらぬぞ! 150 00:21:33,160 --> 00:21:37,460 うわ~っ! うわ~っ うわ~っ! ああ~っ! 151 00:21:43,804 --> 00:21:47,104 さあ…。 うわ~っ! 152 00:21:50,511 --> 00:21:55,382 我らにとって ここは夢の都であった。 153 00:21:55,382 --> 00:21:59,186 その美しき都に戻さねばなりませぬ。 154 00:21:59,186 --> 00:22:01,522 (義昭)自信はあるか? 155 00:22:01,522 --> 00:22:04,222 ございます! 156 00:22:05,859 --> 00:22:13,859 (荒い息遣い) 157 00:22:16,870 --> 00:22:20,207 もう今日は ここまでで よいではありませぬか? 158 00:22:20,207 --> 00:22:23,544 さあ あちらへ参りましょう。 159 00:22:23,544 --> 00:22:44,164 ♬~ 160 00:22:44,164 --> 00:22:48,502 (熙子)白湯でも お持ちいたしましょうか? 161 00:22:48,502 --> 00:22:52,802 いや 何も要らん。 162 00:23:13,193 --> 00:23:18,532 昨日 御所へ行った。 163 00:23:18,532 --> 00:23:21,869 (熙子)御所へ? 164 00:23:21,869 --> 00:23:27,541 御所で 帝のお声を聞いた…。 165 00:23:27,541 --> 00:23:36,241 信長様が 帝を敬うておられるのが 少し分かった。 166 00:23:40,120 --> 00:23:52,166 我ら武士は 将軍の名の下に集まり 世を平らかにすべき そう思うてきた。 167 00:23:52,166 --> 00:24:02,176 だが 信長様は もはや そう思うておられぬのかもしれぬ。 168 00:24:02,176 --> 00:24:05,876 そう思うた。 169 00:24:15,522 --> 00:24:22,396 (熙子)昨日 左馬助が 近江から帰りました。➡ 170 00:24:22,396 --> 00:24:28,102 坂本城が だいぶ出来上がったと うれしそうに話していました。 171 00:24:28,102 --> 00:24:30,802 うむ…。 172 00:24:34,475 --> 00:24:40,814 そうじゃ。 一緒に城を見に行かぬか。 坂本へ…。 173 00:24:40,814 --> 00:24:45,152 は…? 城が出来たら まず誰よりも先➡ 174 00:24:45,152 --> 00:24:48,152 そなたに見せてやろうと。 175 00:24:50,824 --> 00:24:55,162 はい うれしうございます! 176 00:24:55,162 --> 00:24:57,498 うむ…。 177 00:24:57,498 --> 00:25:22,189 ♬~ 178 00:25:22,189 --> 00:25:27,528 これが 天主というものですか? 179 00:25:27,528 --> 00:25:29,528 うむ。 180 00:25:39,139 --> 00:25:48,148 ここに立って外を見ると この城が 湖に浮かんでいるように思える。 181 00:25:48,148 --> 00:25:55,822 (熙子) まことに… 湖の中にいるような…! 182 00:25:55,822 --> 00:26:04,498 この城は水城。 堀は外湖に続いておる。 183 00:26:04,498 --> 00:26:10,798 そなたと子どもたちを舟に乗せ 月見に 漕ぎ出してゆくのだ。 184 00:26:12,839 --> 00:26:19,139 湖の上で 子どもたちに古き歌を教える。 185 00:26:21,515 --> 00:26:29,189 「月は舟 星は白波」…。 186 00:26:29,189 --> 00:26:37,464 「雲は海 いかに漕ぐらん桂男は」…。 187 00:26:37,464 --> 00:26:42,764 「ただ一人して」。 (笑い声) 188 00:26:51,011 --> 00:26:54,711 必ず皆をここへ呼び寄せる。 189 00:26:56,817 --> 00:27:02,817 人質として そなたたちを京に残せとは…。 190 00:27:05,826 --> 00:27:09,696 いかに公方様でも➡ 191 00:27:09,696 --> 00:27:16,696 何と仰せになろうと その儀だけは のめぬ! 192 00:27:27,514 --> 00:27:32,786 この近江の国は➡ 193 00:27:32,786 --> 00:27:45,486 美濃の国と京との ちょうど中ほどでございましょうか? 194 00:27:49,803 --> 00:27:54,503 今 どちらに心を引かれておられますか? 195 00:28:19,499 --> 00:28:22,402 どちらも大事なのだ。 196 00:28:22,402 --> 00:28:25,702 どちらも。 197 00:28:29,509 --> 00:28:32,509 ただ…。 198 00:28:34,781 --> 00:28:38,781 今のままでは済まぬやもしれぬ。 199 00:28:47,794 --> 00:28:56,136 元亀3年 春 幕府と織田の連合軍が 河内の国に向けて出陣をした。 200 00:28:56,136 --> 00:28:59,806 松永久秀と 松永に急接近してきた➡ 201 00:28:59,806 --> 00:29:05,106 三好の一党を討つための 大がかりな出陣であった。 202 00:29:07,147 --> 00:29:13,820 これより 松永を討つ! 203 00:29:13,820 --> 00:29:15,820 (一同)はっ! 204 00:29:17,491 --> 00:29:24,831 しかし 織田信長は この戦に加わらず 河内に攻め込んだ連合軍も➡ 205 00:29:24,831 --> 00:29:29,831 松永久秀を取り逃がし 戦を終えた。 206 00:29:38,779 --> 00:29:44,451 (武田信玄)このところ 信長の動きが鈍い。 207 00:29:44,451 --> 00:29:50,151 公方様との足並みにも 乱れがある。 208 00:29:52,125 --> 00:30:00,801 その公方様は わしに上洛せよと矢の催促じゃ。 209 00:30:00,801 --> 00:30:09,476 出陣の機は熟したと思うが どうじゃ? 210 00:30:09,476 --> 00:30:12,379 (一同)はっ! 211 00:30:12,379 --> 00:30:22,823 まず 遠江へ出て 浜松城の徳川家康を討つ! 212 00:30:22,823 --> 00:30:28,695 その年の10月 信玄は 京に向かって進撃を開始した。 213 00:30:28,695 --> 00:30:31,832 出陣じゃ! 214 00:30:31,832 --> 00:30:34,832 (一同)はは~っ! 215 00:30:47,380 --> 00:30:53,119 (織田信長)十兵衛が坂本にいると 便利じゃ。 呼べば翌日には来る。 216 00:30:53,119 --> 00:30:57,858 私も申し上げたき儀があり 好都合でございました。 217 00:30:57,858 --> 00:31:03,196 まず わしの話じゃ。 はっ。 218 00:31:03,196 --> 00:31:08,869 3日前 夢を見た。 219 00:31:08,869 --> 00:31:19,569 甲斐より 大入道が上洛し わしを捕らえて 公方様の前に突き出すのじゃ。 220 00:31:21,214 --> 00:31:30,557 公方様は 事もなげに 耳と鼻とをそぎ落とし➡ 221 00:31:30,557 --> 00:31:36,162 五条の橋にさらせと仰せになる。 222 00:31:36,162 --> 00:31:39,499 そこで目が覚めた。 223 00:31:39,499 --> 00:31:47,374 恐ろしい夢じゃ。 しかし こう思うた。 224 00:31:47,374 --> 00:31:53,046 近頃 わしは 公方様に冷たく当たったかもしれぬ。 225 00:31:53,046 --> 00:32:00,520 そなたも目を通したであろう。 公方様に送った あの文を。 226 00:32:00,520 --> 00:32:06,860 いくつもの例を挙げて 公方様をおいさめした。 227 00:32:06,860 --> 00:32:12,532 よく働いた家臣に褒美をやらず➡ 228 00:32:12,532 --> 00:32:19,873 己がかわいいと思う近習の者にのみ 金品を与える。 229 00:32:19,873 --> 00:32:29,549 わしの許しも得ず 諸国に御内書を送り 寺社の領地を没収したり➡ 230 00:32:29,549 --> 00:32:34,387 お支えするこの信長も面目が立たぬと。 231 00:32:34,387 --> 00:32:40,493 まことに手厳しい文でございました。 232 00:32:40,493 --> 00:32:49,836 後で思うた。 どうも 遠慮が足りなんだようじゃ。 233 00:32:49,836 --> 00:32:58,845 夢とはいえ あれで わしは 耳 鼻をそがれることになったのだ。 234 00:32:58,845 --> 00:33:02,182 違うか? 235 00:33:02,182 --> 00:33:06,182 そこで思いついたのじゃ。 236 00:33:11,191 --> 00:33:16,863 この鵠を差し上げ 日々のお慰みにして頂こうかと。 237 00:33:16,863 --> 00:33:22,563 公方様も 幾分 ご機嫌を直して頂けると思うてな。 238 00:33:27,507 --> 00:33:35,348 松永久秀を討てと命じられた折も すかさず兵を出した。 239 00:33:35,348 --> 00:33:39,819 わしなりに気を遣うておるのじゃ。 240 00:33:39,819 --> 00:33:43,156 そう思わぬか。 241 00:33:43,156 --> 00:33:47,027 気をお遣いになるのであれば 親しきお大名にも➡ 242 00:33:47,027 --> 00:33:50,497 いま少し お気を遣われるべきかと。 243 00:33:50,497 --> 00:33:52,832 何? 244 00:33:52,832 --> 00:33:58,505 徳川家康殿の領地に 武田信玄が 攻め込んでいるとの知らせが入りました。 245 00:33:58,505 --> 00:34:02,375 武田勢は 2万以上の兵だと聞いております。 246 00:34:02,375 --> 00:34:05,845 家康殿の軍は せいぜい7, 000~8, 000。 247 00:34:05,845 --> 00:34:12,185 3, 000の援軍では 到底 勝ち目がございますまい。 248 00:34:12,185 --> 00:34:18,525 しかたあるまい。 こちらも ギリギリでやっておる。 249 00:34:18,525 --> 00:34:24,825 越前の朝倉が 北近江に1万5, 000の兵を繰り出し…。 250 00:34:26,399 --> 00:34:31,104 明日 わしも出陣する。 251 00:34:31,104 --> 00:34:38,478 家康を助けても わしが負けたら元も子もあるまい。 252 00:34:38,478 --> 00:34:41,815 信長様には 公方様がついておられます。 253 00:34:41,815 --> 00:34:45,685 そのお声一つで 畿内の大名が はせ参じましょう。 254 00:34:45,685 --> 00:34:50,156 しかし 家康殿は違います。 家康殿は信長様を敬い➡ 255 00:34:50,156 --> 00:34:56,029 頼りにしておられます。 我らも 家康殿に どれほど助けられたか分かりませぬ。 256 00:34:56,029 --> 00:35:01,167 せめて あと3, 000。 いや 2, 000でも構いませぬ。 援軍を! 257 00:35:01,167 --> 00:35:03,503 十兵衛。 258 00:35:03,503 --> 00:35:12,178 夢の話をしたであろう。 公方様が そうまで当てになるお方と思うか? 259 00:35:12,178 --> 00:35:22,188 信玄も 朝倉も 浅井も 皆 公方様が上洛を促しておられる。 260 00:35:22,188 --> 00:35:26,059 わしを追い落とすつもりか? 261 00:35:26,059 --> 00:35:28,862 さようなことは断じて…! 262 00:35:28,862 --> 00:35:32,465 公方様をお支えしているのは 信長様であると➡ 263 00:35:32,465 --> 00:35:37,337 公方様もご存じのはず。 決して追い落とすなどと! 264 00:35:37,337 --> 00:35:43,337 もし さような動きがあれば この十兵衛が 食い止めてご覧に入れまする! 265 00:35:48,815 --> 00:35:51,515 ふむ…。 266 00:36:01,394 --> 00:36:07,500 以前 帰蝶が申しておった。 267 00:36:07,500 --> 00:36:15,200 十兵衛は どこまでも十兵衛じゃと。 268 00:36:21,848 --> 00:36:29,189 あの鳥を 公方様にお届けせよ。 269 00:36:29,189 --> 00:36:31,457 はっ。 270 00:36:31,457 --> 00:36:34,127 (若侍)申し上げます! ん? 271 00:36:34,127 --> 00:36:37,797 (若侍)遠江より急ぎの使者が参り 遠江の三方ヶ原において➡ 272 00:36:37,797 --> 00:36:42,797 徳川様と我が援軍が 武田の軍勢に大敗したとのこと! 273 00:36:48,441 --> 00:36:53,346 (駒)これは 徳大寺様の館へお持ちして。 これは 頂妙寺。 274 00:36:53,346 --> 00:36:56,482 (望月東庵)駒! (駒)はい。 ああ…。 275 00:36:56,482 --> 00:37:04,357 今 二条城から使いのお侍が見えて これを駒に渡してくれと言うて➡ 276 00:37:04,357 --> 00:37:11,657 お帰りになった。 いや~ 随分急いでおいでで…。 277 00:37:21,507 --> 00:37:24,410 公方様からの文だ。 278 00:37:24,410 --> 00:37:30,183 今までお渡ししたお金 全部 鉄砲を買わせてくれと! 279 00:37:30,183 --> 00:37:33,883 戦に勝ったら返すって…。 280 00:37:44,130 --> 00:37:51,130 この鵠は 来るのが遅かった。 281 00:37:53,139 --> 00:37:55,475 は? 282 00:37:55,475 --> 00:37:59,145 (義昭) もはや これを受け取るわけにはいかぬ。 283 00:37:59,145 --> 00:38:01,481 何故でございますか? 284 00:38:01,481 --> 00:38:08,781 わしは信長との戦を覚悟したのじゃ。 285 00:38:10,490 --> 00:38:13,190 公方様…! 286 00:38:19,165 --> 00:38:24,037 (義昭)信長が わしによこした 十七ヶ条の異見書じゃ。 287 00:38:24,037 --> 00:38:26,506 罵詈雑言じゃ!➡ 288 00:38:26,506 --> 00:38:32,779 帝への配慮が足りぬだの 将軍の立場を利用し➡ 289 00:38:32,779 --> 00:38:36,649 金銀をため込んで まことに評判悪しきゆえ➡ 290 00:38:36,649 --> 00:38:39,349 恥ずべきであると! 291 00:38:41,120 --> 00:38:44,420 (義昭)もはや 我慢がならぬ。 292 00:38:46,793 --> 00:38:51,464 今や 武田信玄が上洛の途上にある。 293 00:38:51,464 --> 00:38:59,339 朝倉と浅井が信玄に呼応して 近江で 信長を挟み撃ちにすると伝えてきておる。 294 00:38:59,339 --> 00:39:06,479 徳川も既に敗れ 松永も敵に回った。 295 00:39:06,479 --> 00:39:10,779 信長の命運は尽きた! 296 00:39:12,819 --> 00:39:19,492 松永様を敵に回すよう はかられたのは 公方様ではありませぬか! 297 00:39:19,492 --> 00:39:23,162 はかったとは何事! あ…➡ 298 00:39:23,162 --> 00:39:26,833 申し訳ございませぬ! 明智殿。 299 00:39:26,833 --> 00:39:32,638 上洛の折は 信長殿には 一方ならぬ恩を受けた。 300 00:39:32,638 --> 00:39:41,347 しかし このところの信長殿は 帝 帝と 御所のみに顔を向けておられる。➡ 301 00:39:41,347 --> 00:39:46,119 武家の棟梁など なきもののごとく 振る舞われておる。 302 00:39:46,119 --> 00:39:52,992 明智殿にも熟慮頂き 我らと共に公方様をお支えし➡ 303 00:39:52,992 --> 00:39:58,292 新しき世のための戦に はせ参じて頂きたい。 304 00:40:03,669 --> 00:40:08,141 戦に はせ参じよと? 305 00:40:08,141 --> 00:40:12,478 誰との戦に? 306 00:40:12,478 --> 00:40:15,148 信長様と戦えと!? 307 00:40:15,148 --> 00:40:18,051 (三淵)明智殿は 今や 幕府にとって なくてはならぬお方! 308 00:40:18,051 --> 00:40:22,051 ここは なんとしてもご決心頂きたい! 309 00:40:24,490 --> 00:40:34,190 公方様 どうか いま一度… いま一度 お考え直しを…! 310 00:40:35,835 --> 00:40:38,535 決めたのじゃ。 311 00:40:40,506 --> 00:40:47,380 わしは 信玄と共に戦う!➡ 312 00:40:47,380 --> 00:40:58,080 信長から離れろ。 わしのために… そうしてくれ。 313 00:41:10,870 --> 00:41:13,773 公方様…! 314 00:41:13,773 --> 00:41:34,093 ♬~ 315 00:41:34,093 --> 00:41:37,393 それは できませぬ。 316 00:41:39,031 --> 00:41:41,731 十兵衛…。 317 00:41:43,769 --> 00:41:46,172 御免! 318 00:41:46,172 --> 00:41:49,872 十兵衛殿! 追うな! 319 00:42:00,186 --> 00:42:06,186 十兵衛は鳥じゃ。 320 00:42:07,860 --> 00:42:11,531 籠から出た鳥じゃ…。 321 00:42:11,531 --> 00:42:18,871 また 飛んで戻ってくるやもしれぬ。 322 00:42:18,871 --> 00:42:32,418 ♬~ 323 00:42:32,418 --> 00:42:43,718 (おえつ) 324 00:42:47,833 --> 00:42:52,705 将軍 足利義昭が 畿内の大名を集め➡ 325 00:42:52,705 --> 00:42:56,175 織田信長に対し兵を挙げた。 326 00:42:56,175 --> 00:42:59,475 元亀4年3月のことである。 327 00:43:01,514 --> 00:43:05,184 今や将軍はおらぬ。 我らの世でござる。 328 00:43:05,184 --> 00:43:07,853 背後に武田がいるからじゃ。 お前 寝返ったな! 329 00:43:07,853 --> 00:43:09,789 いつから裏切り者になり果てた!? 330 00:43:09,789 --> 00:43:11,724 三淵様! なぜじゃ? 331 00:43:11,724 --> 00:43:15,194 信長を討つ! たたき潰せ! 332 00:43:15,194 --> 00:43:17,863 人もまた変わるとか…。 333 00:43:17,863 --> 00:43:21,534 蘭奢待を所望と言うてまいった。 334 00:43:21,534 --> 00:43:23,869 蘭奢待…! 335 00:43:23,869 --> 00:43:26,569 これが… 蘭奢待。 336 00:43:33,813 --> 00:43:36,716 滋賀県大津市。 337 00:43:36,716 --> 00:43:43,416 坂本は 比叡山延暦寺の門前町として 栄えました。 338 00:43:46,392 --> 00:43:52,498 延暦寺の監視と 京へ通じる水陸交通の拠点として➡ 339 00:43:52,498 --> 00:43:56,798 この地に築城された坂本城。 340 00:43:58,371 --> 00:44:01,841 琵琶湖の水を引き入れた城郭には➡ 341 00:44:01,841 --> 00:44:06,178 大小2つの天守があったといいます。 342 00:44:06,178 --> 00:44:09,081 宣教師のルイス・フロイスは➡ 343 00:44:09,081 --> 00:44:16,081 信長の安土城に次ぐ 豪壮華麗な城だと書き記しています。 344 00:44:17,790 --> 00:44:23,529 渇水時に 湖中の石垣が現れ 調査の結果➡ 345 00:44:23,529 --> 00:44:29,229 沈下を防ぐための胴木が 入れられていたことも分かりました。 346 00:44:30,870 --> 00:44:33,139 聖衆来迎寺。 347 00:44:33,139 --> 00:44:37,476 光秀により保護されたこの寺の表門は➡ 348 00:44:37,476 --> 00:44:44,176 坂本城の櫓門を移築したものだと 考えられています。 349 00:44:45,818 --> 00:44:51,490 一国一城の主となった光秀は 城下町を整備し➡ 350 00:44:51,490 --> 00:44:57,490 坂本の繁栄に尽力したと 伝えられています。 351 00:45:50,850 --> 00:45:55,550 (お民)<時は 明治の初めでございます>