1 00:00:02,388 --> 00:00:28,088 ♬~ 2 00:00:33,119 --> 00:00:36,055 (銃声) 3 00:00:36,055 --> 00:00:42,355 本願寺は毛利や上杉などと手を結び 反信長勢の中心であった。 4 00:00:44,197 --> 00:00:48,067 信長と本願寺の戦いは 7年余りにも及び➡ 5 00:00:48,067 --> 00:00:55,541 この戦のさなか 参戦していた松永久秀が 突如 陣から逃亡を図り➡ 6 00:00:55,541 --> 00:00:58,841 織田家中に衝撃を与えた。 7 00:01:00,413 --> 00:03:41,113 ♬~ 8 00:03:42,842 --> 00:03:53,486 (セミの声) 9 00:03:53,486 --> 00:04:27,887 ♬~ 10 00:04:27,887 --> 00:04:31,757 (たま)父上は 母上がお亡くなりになった折➡ 11 00:04:31,757 --> 00:04:37,163 皆に内緒で 母上の爪の切れ端を 小さな入れ物の中に収めて➡ 12 00:04:37,163 --> 00:04:41,500 それを今も 大事に持ち歩いておられるのです。➡ 13 00:04:41,500 --> 00:04:49,175 それを耳の所で こうやって振ると 爪が かわいらしい音を立てるのだそうです。 14 00:04:49,175 --> 00:04:53,512 (駒)そう。 15 00:04:53,512 --> 00:04:58,184 お父上は そんなお話までなさるのですか。 16 00:04:58,184 --> 00:05:05,524 以前は無口な父上だったのに… 母上がお亡くなりになってから➡ 17 00:05:05,524 --> 00:05:09,195 いろいろ 話しかけてきて下さるようになって…。 18 00:05:09,195 --> 00:05:14,066 そう お駒さんの話も時折出ますよ。 美濃にいらした頃のこと…。 19 00:05:14,066 --> 00:05:17,870 へえ~ どんなことをおっしゃいます? 20 00:05:17,870 --> 00:05:20,206 内緒。 あら! 21 00:05:20,206 --> 00:05:23,876 (笑い声) 22 00:05:23,876 --> 00:05:26,779 (明智十兵衛光秀) 女子同士で何の密談かな? 23 00:05:26,779 --> 00:05:31,779 今日も薬の話を申し上げておりました。 うむ。 24 00:05:35,488 --> 00:05:39,825 たまが 駒殿から薬のことを学びたいと 言いだした時は➡ 25 00:05:39,825 --> 00:05:43,162 どこまで本気かと疑うたが…。 26 00:05:43,162 --> 00:05:47,500 覚えるのが それはお早くて 十兵衛様の腹痛ぐらいでしたら➡ 27 00:05:47,500 --> 00:05:51,170 もう立派に調合おできになると 思いますよ。 ほほう! 28 00:05:51,170 --> 00:05:56,509 それはありがたい。 では たまを医者にして 長生きするとしよう。 29 00:05:56,509 --> 00:05:59,412 お任せ下さりませ! 申したな! 30 00:05:59,412 --> 00:06:03,712 (笑い声) 31 00:06:05,851 --> 00:06:10,189 こちらへ参る時 太夫が来て 十兵衛様の所へ行くのなら➡ 32 00:06:10,189 --> 00:06:13,489 これを届けてほしいと頼まれました。 33 00:06:28,207 --> 00:06:30,907 ゆっくりしていかれるがよい。 34 00:06:52,164 --> 00:06:56,502 おお… これは実澄卿。 35 00:06:56,502 --> 00:07:01,841 (三条西実澄) 明智殿 その後 お変わりはないか。 36 00:07:01,841 --> 00:07:07,513 はっ。 戦に追われ 歌を詠む間もないありさまにて。 37 00:07:07,513 --> 00:07:10,850 まことにお恥ずかしき限りでございます。 38 00:07:10,850 --> 00:07:17,523 そなたを中で待つ御仁も 同じことを申しておった。 39 00:07:17,523 --> 00:07:23,195 いつまでたっても戦が絶えぬ。 目が回ると。 40 00:07:23,195 --> 00:07:25,865 は…。 41 00:07:25,865 --> 00:07:28,565 (実澄)そうじゃ。 42 00:07:31,470 --> 00:07:40,479 お上が 一度そなたと話をしてみたいと 仰せになっておる。 43 00:07:40,479 --> 00:07:43,816 帝が? 44 00:07:43,816 --> 00:07:55,161 信長殿の行く末を案じておるのじゃ。➡ 45 00:07:55,161 --> 00:07:58,461 では また…。 46 00:08:23,856 --> 00:08:27,526 (松永久秀)よっ! 来たな。 47 00:08:27,526 --> 00:08:30,196 (伊呂波太夫)どうぞ こちらへ。➡ 48 00:08:30,196 --> 00:08:35,496 今 三条西のじい様が出ていかれたでしょ。 お会いになりました? 49 00:08:37,469 --> 00:08:42,169 いいから座れ。 おい…。 50 00:08:44,143 --> 00:08:47,479 (松永)あのじい様とは長いつきあいでな。 51 00:08:47,479 --> 00:08:50,816 死んだ女房が何かと世話になっておった。 52 00:08:50,816 --> 00:08:57,489 京へ来る度に 昔話をするのだ。 ハッハッハッハ…。 53 00:08:57,489 --> 00:09:02,361 私も酒を頂こう。 おや お飲みになるのですか? 54 00:09:02,361 --> 00:09:06,832 フフッ… 珍しい。 55 00:09:06,832 --> 00:09:12,504 時折 飲んでは わしに絡むのじゃ。 フッフッフッフ…。 56 00:09:12,504 --> 00:09:17,504 今日は飲みます! 飲まずにはおられぬ! 57 00:09:39,465 --> 00:09:44,336 ふたつき前 加賀で戦をしていた羽柴秀吉殿が➡ 58 00:09:44,336 --> 00:09:47,806 総大将の柴田勝家殿と 大げんかをしたあげく➡ 59 00:09:47,806 --> 00:09:52,678 勝手に陣を捨て 近江へ帰り 大騒ぎとなった。 60 00:09:52,678 --> 00:09:59,418 理由はどうあれ 戦のさなかに 陣を抜け出す者は死罪と決まっておる。 61 00:09:59,418 --> 00:10:04,356 信長様も 秀吉殿に切腹をさせると 大層なお怒りで➡ 62 00:10:04,356 --> 00:10:10,829 家臣一同 ひたすらとりなし ようやくお許しを頂いた。 63 00:10:10,829 --> 00:10:14,529 それは松永様もご存じのはず! 64 00:10:17,503 --> 00:10:24,843 わしには秀吉の気持ちがよう分かる。 65 00:10:24,843 --> 00:10:30,182 あの無能な柴田勝家が 総大将になれたのは➡ 66 00:10:30,182 --> 00:10:35,054 織田家の代々続く重臣の家柄だからだ。 67 00:10:35,054 --> 00:10:42,528 非は 謙信相手に柴田ごときを 総大将にした信長殿にある! 68 00:10:42,528 --> 00:10:44,863 それは…! (松永)信長殿は➡ 69 00:10:44,863 --> 00:10:51,203 家柄筋目にこだわらず よう働く者を お取り立てになるという評判じゃ。 70 00:10:51,203 --> 00:10:55,074 だが 実は違う。 71 00:10:55,074 --> 00:10:59,878 わしがおる大和もそうじゃ。 72 00:10:59,878 --> 00:11:03,749 守護の原田直政が討ち死にした。 73 00:11:03,749 --> 00:11:11,890 次の守護は 当然 わしかと思うていたが 信長殿は即座に筒井順慶に決められた。 74 00:11:11,890 --> 00:11:17,229 筒井が 大和の古い家柄で筋目がよいからじゃ。 75 00:11:17,229 --> 00:11:21,929 信長様には信長様のお考えが…! もうよい。 76 00:11:25,104 --> 00:11:28,574 わしは決めたのじゃ。 77 00:11:28,574 --> 00:11:32,444 わしは寝返る。 78 00:11:32,444 --> 00:11:36,382 本願寺方につくことにした。 79 00:11:36,382 --> 00:11:39,184 何を申しておる。 80 00:11:39,184 --> 00:11:50,195 本願寺は わしに大和一国を任せると言うておる。 81 00:11:50,195 --> 00:11:56,895 それゆえ寝返るのじゃ。 82 00:12:03,742 --> 00:12:09,214 松永様が寝返るとなれば 私は松永様と戦うことになります。 83 00:12:09,214 --> 00:12:11,884 (松永)分かっておる。 分かっておる!? 84 00:12:11,884 --> 00:12:15,884 それゆえ 呼んだのじゃ。 85 00:12:17,556 --> 00:12:22,556 そなたに見せておきたいものがある。 86 00:12:39,812 --> 00:12:47,853 これは わしが命の次に大切にしておる 茶道具でな➡ 87 00:12:47,853 --> 00:12:53,725 平蜘蛛と名付けられた 天下一の名物じゃ。➡ 88 00:12:53,725 --> 00:13:00,866 信長殿がご執心でな これを持てば 天下一の物持ちになれる。➡ 89 00:13:00,866 --> 00:13:07,539 しかし 意地でも これを渡す気はない。 90 00:13:07,539 --> 00:13:24,839 もし やむなく渡すことになるとすれば 十兵衛 そなたになら渡してもよい。 91 00:13:29,228 --> 00:13:36,034 わしは そなたと戦うのは本意ではない。 92 00:13:36,034 --> 00:13:41,807 そなたとだけは戦いたくない。 93 00:13:41,807 --> 00:13:51,107 初めて 堺の鉄砲屋で会うた時から今日まで…。 94 00:13:55,854 --> 00:14:00,526 頼もしき武士と思い 頼りにもしてきた。 95 00:14:00,526 --> 00:14:07,866 戦えば そなたを討つやもしれぬ。 96 00:14:07,866 --> 00:14:11,166 わしが討たれる…。 97 00:14:16,542 --> 00:14:20,212 私も戦いとうない! 98 00:14:20,212 --> 00:14:28,887 陣を抜け出たことは 私が信長様に 命懸けて おとりなしつかまつる! 99 00:14:28,887 --> 00:14:33,158 それゆえ どうか 寝返るのだけはやめて頂きたい。 100 00:14:33,158 --> 00:14:37,829 どうか このとおりだ! (松永)そうはいかんのだ! 101 00:14:37,829 --> 00:14:41,500 わしにも意地がある!➡ 102 00:14:41,500 --> 00:14:43,835 見ろ この釜を。➡ 103 00:14:43,835 --> 00:14:49,174 これは わしじゃ! 104 00:14:49,174 --> 00:14:53,045 天下一の名物なのじゃ。➡ 105 00:14:53,045 --> 00:14:58,517 そなたに討たれたとしても これは生き残る。➡ 106 00:14:58,517 --> 00:15:04,517 そなたの手の中で生き続ける。 それでよいと思うたのじゃ! 107 00:15:08,860 --> 00:15:11,860 松永様! 108 00:15:13,532 --> 00:15:20,232 げせぬ げせぬ げせぬ! 109 00:15:23,208 --> 00:15:30,508 さあ いいから 今日は飲め! さあ! 110 00:15:32,484 --> 00:15:38,357 この茶釜は 一旦 太夫に預けておく。➡ 111 00:15:38,357 --> 00:15:42,828 わしが負ければ そなたの手に渡る。 わしが勝てば わしのもとに戻る。 112 00:15:42,828 --> 00:15:45,731 いいな わかったな。 113 00:15:45,731 --> 00:15:48,431 しかと…。 114 00:15:59,378 --> 00:16:05,378 平蜘蛛など欲しくはない! 戦などしたくはない! 115 00:16:16,728 --> 00:16:23,201 この秋 松永久秀は 大和の信貴山城で挙兵した。 116 00:16:23,201 --> 00:16:30,542 本願寺や上杉謙信らに呼応し 反信長の戦いに加わったのである。 117 00:16:30,542 --> 00:16:38,350 我らは大和を押さえ 上杉謙信殿に応じて京に攻め入る! 118 00:16:38,350 --> 00:16:43,650 信長 恐るるに足らず! 119 00:16:45,490 --> 00:16:50,829 これに対し信長は 嫡男の信忠を総大将とする大軍を➡ 120 00:16:50,829 --> 00:16:52,764 大和に送り込んだ。 121 00:16:52,764 --> 00:16:54,764 承知。 122 00:17:03,408 --> 00:17:09,181 (佐久間信盛) 実は 安土の殿から密命があるのじゃ。 123 00:17:09,181 --> 00:17:15,053 我らが この戦に勝ち 松永が命乞いをしてきた場合➡ 124 00:17:15,053 --> 00:17:20,192 許してやってもよい。 ただし その引き換えに➡ 125 00:17:20,192 --> 00:17:25,530 松永の所有する茶道具を 全て無傷で引き渡すこと。 126 00:17:25,530 --> 00:17:31,136 なかんずく 平蜘蛛の釜は必ずよこすことじゃと。➡ 127 00:17:31,136 --> 00:17:38,810 さもなくば 裏切りの見せしめに はりつけにして殺せとの命じゃ。 128 00:17:38,810 --> 00:17:46,151 殿は このところ 安土城の天主をお造りになることと➡ 129 00:17:46,151 --> 00:17:51,022 茶道具の名物を集めることに ご執心じゃ。 130 00:17:51,022 --> 00:17:56,322 ともあれ その旨 お伝えするよう仰せつかった。 131 00:18:04,169 --> 00:18:07,072 (細川藤孝)十兵衛殿! 132 00:18:07,072 --> 00:18:09,040 おお。 133 00:18:09,040 --> 00:18:13,512 せがれの忠興が ご挨拶いたしたいと申すので 何とぞ。 134 00:18:13,512 --> 00:18:18,383 おお 先日の片岡城攻めでは 見事なお働きであったと➡ 135 00:18:18,383 --> 00:18:20,385 皆が 褒めそやしておりましたぞ。 136 00:18:20,385 --> 00:18:24,856 明智様からお褒めを頂くのは 無上の誉にござります。 137 00:18:24,856 --> 00:18:28,193 明日 信貴山城に攻め寄せるとのこと。 138 00:18:28,193 --> 00:18:31,463 是非是非 先陣にお加え頂きとうございます。 139 00:18:31,463 --> 00:18:33,763 承った。 140 00:18:42,808 --> 00:18:52,150 ♬~ 141 00:18:52,150 --> 00:18:57,823 松永は どこにおるか~!? 捜せ 捜せ~! 142 00:18:57,823 --> 00:19:03,695 松永は どこじゃ~!? 押せ 押せ~! 143 00:19:03,695 --> 00:19:10,168 (喚声) 144 00:19:10,168 --> 00:19:45,470 ♬~ 145 00:19:45,470 --> 00:19:48,373 よいか。 146 00:19:48,373 --> 00:19:56,114 わしの首をこの箱に入れ 名物と共に焼き払え。 147 00:19:56,114 --> 00:19:58,414 (一同)はっ! 148 00:20:01,486 --> 00:20:09,361 げに 何事も一炊の夢。 149 00:20:09,361 --> 00:20:21,806 ♬~ 150 00:20:21,806 --> 00:20:25,806 ううっ! うううっ…。 151 00:20:29,848 --> 00:20:37,522 あああああ…! 152 00:20:37,522 --> 00:20:39,457 ううっ! 153 00:20:39,457 --> 00:20:47,157 あああああ~! 154 00:20:54,873 --> 00:20:58,573 南無三宝! 155 00:21:07,452 --> 00:21:11,423 (信忠)エイエイ。 (一同)オ~! 156 00:21:11,423 --> 00:21:15,560 (信忠)エイエイ。 (一同)オ~! 157 00:21:15,560 --> 00:21:23,560 (一同)エイエイ オ~! エイエイ オ~! 158 00:21:27,572 --> 00:22:00,272 (泣き声) 159 00:22:15,553 --> 00:22:18,853 (織田家若侍) 明智様がお見えでございます。 160 00:22:22,427 --> 00:22:25,127 帰蝶様。 161 00:22:39,511 --> 00:22:42,847 お久しうございます。 162 00:22:42,847 --> 00:22:45,750 (帰蝶)久しいのう。➡ 163 00:22:45,750 --> 00:22:52,524 そなたの噂は よう聞いておる。 戦続きで難儀をしている由。 164 00:22:52,524 --> 00:22:55,524 恐れ入りまする。 165 00:22:57,395 --> 00:23:00,198 殿は? 166 00:23:00,198 --> 00:23:04,869 (帰蝶)向こうの部屋で泣いておられる。 は? 167 00:23:04,869 --> 00:23:09,541 (帰蝶)近頃 時折お泣きになるのじゃ。 168 00:23:09,541 --> 00:23:13,411 こたびの理由は何であろう。 169 00:23:13,411 --> 00:23:18,111 松永殿の死を悼んでおられるのか。 170 00:23:22,554 --> 00:23:27,892 松永殿のあまたの名品が このありさまになったことを➡ 171 00:23:27,892 --> 00:23:30,592 嘆いておられるのか…。 172 00:23:32,163 --> 00:23:38,463 このごろ 殿のお気持ちが 私にも よう分からぬ。 173 00:23:40,505 --> 00:23:47,846 帰蝶様がお分かりにならぬのなら 誰にも分かりませぬな。 174 00:23:47,846 --> 00:23:53,518 (帰蝶)殿は 何かを怖がっておられるように見える。 175 00:23:53,518 --> 00:23:56,218 怖い? 176 00:23:57,856 --> 00:24:04,195 駿河の国に 富士という日の本一の高い山がある。 177 00:24:04,195 --> 00:24:11,069 高い山には神仏が宿り そこへ登った者は たたりを受けるそうじゃ。 178 00:24:11,069 --> 00:24:17,208 殿は 朝廷より右大将の官職を賜った。 179 00:24:17,208 --> 00:24:20,545 足利将軍と同じ身分になられた。 180 00:24:20,545 --> 00:24:23,882 天下一高い山じゃ。 181 00:24:23,882 --> 00:24:29,220 ここまで登り詰めるとは ゆめゆめ 思わなんだ。 182 00:24:29,220 --> 00:24:38,830 登れ登れとけしかけた私も 殿と一緒に たたりを受けるやもしれぬ。 183 00:24:38,830 --> 00:24:43,168 けしかけたのは 私も同様。 184 00:24:43,168 --> 00:24:49,040 共に たたりを受けなければなりませぬな。 185 00:24:49,040 --> 00:24:54,340 (帰蝶)殿は それを恐れてお泣きになるのかも…。 186 00:24:56,181 --> 00:24:59,881 私は少々疲れた。 187 00:25:05,857 --> 00:25:09,194 (帰蝶)この城は石段が多すぎる。➡ 188 00:25:09,194 --> 00:25:14,532 殿は天にも届く立派な城を お造りになろうとしているが➡ 189 00:25:14,532 --> 00:25:18,403 上がるのに息が切れる。➡ 190 00:25:18,403 --> 00:25:24,403 近頃は 戦の度に 親しい者が大勢消えてゆく。 191 00:25:32,016 --> 00:25:36,154 私は そろそろ この山を下りようと思うのじゃ。➡ 192 00:25:36,154 --> 00:25:42,827 美濃の鷺山の麓に 昔いた 小さな館がある。➡ 193 00:25:42,827 --> 00:25:46,127 そこで暮らしてみようかと…。 194 00:25:50,168 --> 00:25:53,071 帰蝶様…。 195 00:25:53,071 --> 00:26:00,178 戦が終わって 穏やかな世になったら 遊びにおいでなされ。 196 00:26:00,178 --> 00:26:04,515 渋くて おいしい茶を一緒に飲もう。➡ 197 00:26:04,515 --> 00:26:07,852 約束じゃぞ。 198 00:26:07,852 --> 00:26:33,852 ♬~ 199 00:26:38,483 --> 00:26:42,820 (織田信長)佐久間信盛は役立たずじゃ。 200 00:26:42,820 --> 00:26:51,162 松永の茶道具を無傷で持ち帰れと 命じておいたのに このざまじゃ。 201 00:26:51,162 --> 00:26:56,034 申し訳ございませぬ。 お下知は 佐久間殿より聞き及んでおりましたが➡ 202 00:26:56,034 --> 00:27:00,505 すぐ城に火の手が上がり 手のつけようがなく…。 203 00:27:00,505 --> 00:27:07,205 そなたを責めてはおらぬ。 わしは佐久間に命じたのだ。 204 00:27:10,515 --> 00:27:14,185 (帰蝶)では 私はこれにて。 205 00:27:14,185 --> 00:27:17,088 十兵衛との話は済んだのか。 206 00:27:17,088 --> 00:27:19,057 はい。 207 00:27:19,057 --> 00:27:24,829 わしを見捨てて 鷺山へ行くという話はしたのか。 208 00:27:24,829 --> 00:27:27,198 いたしました。 209 00:27:27,198 --> 00:27:33,004 わしは その話を昨日聞いたのじゃ。 210 00:27:33,004 --> 00:27:37,008 帰蝶がいなければ 何かの折➡ 211 00:27:37,008 --> 00:27:41,713 わしは誰と相談して やっていけばいいのだと問うたら➡ 212 00:27:41,713 --> 00:27:48,152 十兵衛に相談すればよいと そっけない答えじゃ。 213 00:27:48,152 --> 00:27:51,152 どう思う。 214 00:27:56,027 --> 00:27:58,796 弱りましたな。 215 00:27:58,796 --> 00:28:05,496 わしがか? そなたがか? 216 00:28:07,505 --> 00:28:11,805 殿も 私も…。 217 00:28:17,515 --> 00:28:20,215 では…。 218 00:28:36,000 --> 00:28:39,470 (せきばらい) 219 00:28:39,470 --> 00:28:45,810 忙しい中 わざわざ来てもろうたのは 2つ用件があるからじゃ。 220 00:28:45,810 --> 00:28:47,745 はっ。 221 00:28:47,745 --> 00:28:55,820 そなた 松永が所持していた天下の名物 平蜘蛛という釜を存じているな? 222 00:28:55,820 --> 00:28:59,157 は…。 223 00:28:59,157 --> 00:29:04,495 佐久間の家臣が 焼けた城跡をくまなく探したが➡ 224 00:29:04,495 --> 00:29:10,835 破片も見つからなかったという。 恐らく 松永が戦の前に➡ 225 00:29:10,835 --> 00:29:14,705 どこかに預けたのではないかと 思うておるのじゃ。 226 00:29:14,705 --> 00:29:17,508 はは…。 227 00:29:17,508 --> 00:29:23,181 そなたは 松永とは親しい間柄であった。 228 00:29:23,181 --> 00:29:29,181 松永が誰に預けたのか 聞いているのではないかと思うたのじゃ。 229 00:29:31,456 --> 00:29:35,326 そのようなことは…。 230 00:29:35,326 --> 00:29:38,796 聞いておらぬか? 231 00:29:38,796 --> 00:29:47,138 わしは 松永が上杉方と ひそかに通じておるとの知らせを受けて➡ 232 00:29:47,138 --> 00:29:54,479 大和と京に忍びを配して 松永を見張らせておいたのじゃ。 233 00:29:54,479 --> 00:30:00,818 松永は天王寺の陣を抜け出し 京へ入り➡ 234 00:30:00,818 --> 00:30:05,156 下京の伊呂波太夫の小屋へ行った。 235 00:30:05,156 --> 00:30:12,856 そこで 何人かの親しい者と会うた。 236 00:30:20,505 --> 00:30:27,505 その中に そなたがいたというのだ。 237 00:30:30,181 --> 00:30:32,881 まことか? 238 00:30:36,854 --> 00:30:39,524 その小屋へは参りました。 239 00:30:39,524 --> 00:30:41,859 松永と何の話をした? 240 00:30:41,859 --> 00:30:47,198 信長様から離れるなと…➡ 241 00:30:47,198 --> 00:30:50,868 上杉方に寝返らぬようにと…。 242 00:30:50,868 --> 00:30:54,739 それだけか? 243 00:30:54,739 --> 00:30:58,739 あとは…。 244 00:31:08,419 --> 00:31:11,719 昔話を少々…。 245 00:31:13,558 --> 00:31:18,558 平蜘蛛の話は出なかったのだな? 246 00:31:23,568 --> 00:31:29,240 うむ… そうか。 247 00:31:29,240 --> 00:31:33,240 それは残念だな。 248 00:31:35,046 --> 00:31:40,851 わしは松永を死なせたくはなかった。 249 00:31:40,851 --> 00:31:47,191 いずれ 畿内のしかるべき国を与えようと 思うていたのじゃ。 250 00:31:47,191 --> 00:31:50,528 何故 裏切る? 251 00:31:50,528 --> 00:31:55,228 帰蝶も そうじゃ。 252 00:31:56,867 --> 00:32:01,205 帝も そうじゃ。 253 00:32:01,205 --> 00:32:08,879 わしは 帝がお喜びになると思うて あの蘭奢待を差し上げたのじゃ。 254 00:32:08,879 --> 00:32:15,753 だが 帝は あまりお喜びでなかったという。 255 00:32:15,753 --> 00:32:25,453 何故じゃ! 何故 皆 わしに背を向ける? 256 00:32:35,506 --> 00:32:39,206 これは たわけの愚痴じゃな。 257 00:32:40,845 --> 00:32:50,521 さて もう一つはの… そなたの娘 たまの件じゃ。 258 00:32:50,521 --> 00:32:53,858 は? 嫁入り先だが➡ 259 00:32:53,858 --> 00:33:00,197 細川藤孝の嫡男で 忠興という者がいる。 存じておるな。 260 00:33:00,197 --> 00:33:06,070 はっ。 あの忠興へ嫁がせよ。 261 00:33:06,070 --> 00:33:09,540 たまを!? 262 00:33:09,540 --> 00:33:13,540 話は以上じゃ。 263 00:33:15,212 --> 00:33:20,084 帰って 丹波に取りかかるがよい。 264 00:33:20,084 --> 00:33:25,556 わしは 本願寺をやる。 長島一揆の時のように➡ 265 00:33:25,556 --> 00:33:29,856 門徒どもを 皆 焼き殺してやるつもりじゃ。 266 00:33:36,500 --> 00:33:40,838 では 御免。 267 00:33:40,838 --> 00:34:00,858 ♬~ 268 00:34:00,858 --> 00:34:09,533 十兵衛が 初めて わしに嘘をついたぞ。 269 00:34:09,533 --> 00:34:20,878 このわしに 嘘をつきおった。 十兵衛が! 270 00:34:20,878 --> 00:34:23,781 羽柴秀吉は いずこにいる! 271 00:34:23,781 --> 00:34:25,781 ≪(羽柴秀吉)はっ! 272 00:34:27,752 --> 00:34:34,825 秀吉 そちの調べたことに間違いはないな。 273 00:34:34,825 --> 00:34:41,699 (秀吉)この秀吉に抜かりはござりませぬ。 274 00:34:41,699 --> 00:35:22,873 ♬~ 275 00:35:22,873 --> 00:35:25,173 たま。 276 00:35:27,211 --> 00:35:32,049 (たま)お帰りなされませ。 お出迎えもせず 申し訳ございませぬ。➡ 277 00:35:32,049 --> 00:35:35,820 父上が いつお帰りになるか 誰も教えてくれぬのです。 278 00:35:35,820 --> 00:35:40,691 いや よい よい。 しかし すごい臭いだの。 279 00:35:40,691 --> 00:35:44,829 これも 駒殿伝授の煎じ薬か。 はい。 280 00:35:44,829 --> 00:35:49,500 父上が戦で疲れてお帰りの時に 必ずのんで頂くようにと…➡ 281 00:35:49,500 --> 00:35:54,500 秘伝のお薬でございます。 少しお待ち下さい。 282 00:36:20,197 --> 00:36:23,897 どうぞ。 うむ。 283 00:36:33,143 --> 00:36:35,813 あ…。 284 00:36:35,813 --> 00:36:38,113 あ~…。 285 00:36:43,487 --> 00:36:49,187 (藤田伝吾)殿 ただいま 伊呂波太夫が参りましたが。 286 00:36:53,497 --> 00:37:00,197 (太夫)松永様とのお約束どおり 平蜘蛛の釜を持参いたしました。 287 00:37:08,045 --> 00:37:11,045 (太夫)お受け取り下さいませ。 288 00:37:56,393 --> 00:38:36,800 ♬~ 289 00:38:36,800 --> 00:38:40,500 いかがなされました? 290 00:38:45,809 --> 00:38:54,151 信長様に この平蜘蛛の行方を問われ➡ 291 00:38:54,151 --> 00:38:58,822 知っていると…➡ 292 00:38:58,822 --> 00:39:03,694 ここまで言いかけたが…。 293 00:39:03,694 --> 00:39:07,831 言えなかった。 294 00:39:07,831 --> 00:39:19,831 言えば これが信長様の手に落ち わしは楽になれた。 295 00:39:22,846 --> 00:39:33,123 しかし なぜか言えなかった。 296 00:39:33,123 --> 00:39:39,823 そうか… これは罠だ。 297 00:39:52,142 --> 00:39:55,813 まんまと引っ掛かってしもうた。 298 00:39:55,813 --> 00:39:59,683 これは松永久秀の罠じゃ。 299 00:39:59,683 --> 00:40:04,383 (笑い声) 300 00:40:06,824 --> 00:40:10,494 松永様の笑い声が聞こえておるぞ。 301 00:40:10,494 --> 00:40:16,834 フフフ… どうだ 十兵衛 恐れ入ったかと…。 302 00:40:16,834 --> 00:40:23,507 ハハハ…。 ハハハハハ…! 303 00:40:23,507 --> 00:40:28,378 ハハハハハ…! ハハハハハ…! ハハハハハ…! 304 00:40:28,378 --> 00:40:31,849 (太夫)松永様は仰せられました。➡ 305 00:40:31,849 --> 00:40:40,549 これほどの名物を持つ者は 持つだけの覚悟がいると。 306 00:40:43,861 --> 00:40:54,872 (太夫)いかなる折も 誇りを失わぬ者。 志高き者。➡ 307 00:40:54,872 --> 00:40:58,172 心美しき者。 308 00:40:59,743 --> 00:41:07,743 (太夫)わしは その覚悟を どこかに置き忘れてしもうたと。 309 00:41:11,221 --> 00:41:18,521 十兵衛にそれを申し伝えてくれ… そのように。 310 00:41:28,238 --> 00:41:33,510 (太夫)私は 約束どおり お渡しいたしました。 311 00:41:33,510 --> 00:41:37,810 では これにて…。 312 00:41:46,523 --> 00:41:50,223 待たれよ! 313 00:41:53,197 --> 00:41:57,067 わしは明日 丹波に入る。 314 00:41:57,067 --> 00:42:00,537 戦じゃ。 315 00:42:00,537 --> 00:42:08,237 それが終わって帰り次第 帝に拝謁したい。 316 00:42:11,181 --> 00:42:21,825 今の世を… 信長様を… 帝が いかがご覧なのか➡ 317 00:42:21,825 --> 00:42:26,563 それをお尋ねしたい。 318 00:42:26,563 --> 00:42:33,370 その旨 三条西のじい様にお伝えいたします。 319 00:42:33,370 --> 00:42:36,840 では…。 320 00:42:36,840 --> 00:42:59,140 ♬~ 321 00:43:01,064 --> 00:43:06,837 信長殿の様子が 以前とは変わってきておる。 322 00:43:06,837 --> 00:43:11,742 男は花を全て木からふるい落とし 独り占めしようとしたところ➡ 323 00:43:11,742 --> 00:43:14,442 神の怒りに触れたと。 324 00:43:23,887 --> 00:43:26,187 信長は どうか? 325 00:43:33,130 --> 00:43:38,869 大和と河内の国境に位置する 奈良県平群町。 326 00:43:38,869 --> 00:43:44,541 信貴山には 聖徳太子が建立した朝護孫子寺があり➡ 327 00:43:44,541 --> 00:43:51,841 毘沙門天を祭るこの地は 武士たちのあつい信仰を集めていました。 328 00:43:57,120 --> 00:44:01,091 大和を掌握した松永久秀は➡ 329 00:44:01,091 --> 00:44:07,230 信貴山城を軍事拠点とし 大改修を行いました。 330 00:44:07,230 --> 00:44:11,101 久秀の屋敷があったと伝わるこの地には➡ 331 00:44:11,101 --> 00:44:16,101 大規模な曲輪の跡が残されています。 332 00:44:19,576 --> 00:44:25,916 織田信長に抵抗した久秀は この地で応戦。 333 00:44:25,916 --> 00:44:32,723 この戦いで 朝護孫子寺は焼け落ちたといいます。 334 00:44:32,723 --> 00:44:36,193 自害に追い込まれた久秀のなきがらは➡ 335 00:44:36,193 --> 00:44:44,868 宿敵 筒井順慶によって 達磨寺に 葬られたと寺に伝えられています。 336 00:44:44,868 --> 00:44:52,743 三好氏の家臣から一国の主へと上り詰め はかなく散った松永久秀。 337 00:44:52,743 --> 00:44:58,043 その生涯は まさに戦国武将を代表するものでした。 338 00:45:50,033 --> 00:45:53,233 (荒い息遣い) 339 00:45:56,339 --> 00:45:59,242 (荒い息遣い) こっちだ! いたぞ~!