1 00:00:03,604 --> 00:00:11,311 (斎藤道三)勝ったのは 道三じゃ。 2 00:00:14,248 --> 00:00:19,953 (明智十兵衛光秀)殿…。 道三様…。 3 00:00:19,953 --> 00:00:29,663 (明智光安)わしは 今日この場で 明智家の主の座を そなたに譲りたい。 4 00:00:32,532 --> 00:00:40,274 一旦 城を離れ 逃げよ。 逃げて逃げて生き延び➡ 5 00:00:40,274 --> 00:00:48,649 明智家の主として 再び城を持つ身になってもらいたい。 6 00:00:48,649 --> 00:00:52,953 構え~! 放て~! 7 00:00:55,322 --> 00:00:58,659 (明智左馬助)十兵衛様!➡ 8 00:00:58,659 --> 00:01:01,929 東門の辺りで 乱戦となっております。➡ 9 00:01:01,929 --> 00:01:06,266 なんとか敵兵を食い止めていますが あの数の差では…。 10 00:01:06,266 --> 00:01:09,169 急ぐぞ! (左馬助)いずこへ向かいますか? 11 00:01:09,169 --> 00:01:15,275 尾張を目指す。 平地を避け 山伝いに進めば追っ手の目も届かぬはず。 12 00:01:15,275 --> 00:01:18,946 (駒)十兵衛様! 13 00:01:18,946 --> 00:01:21,281 駒殿 菊丸。 14 00:01:21,281 --> 00:01:25,619 高政様は 尾張へ続く道に関を設け 見張りを増やしています。 15 00:01:25,619 --> 00:01:29,289 尾張は無理です! (菊丸)手薄なのは 北です。 16 00:01:29,289 --> 00:01:31,959 分かった! 17 00:01:31,959 --> 00:01:34,628 (牧)駒さん! (駒)奥方様! 18 00:01:34,628 --> 00:01:36,964 逃げましょう! 19 00:01:36,964 --> 00:01:40,834 母上 熙子 離れず わしのあとを! (熙子)心得ました。 20 00:01:40,834 --> 00:01:44,538 後ろを頼む!(左馬助)はっ! さあ 菊丸。 21 00:01:49,977 --> 00:01:56,650 (高政軍)エエヤアエエ! エエヤアエエ! 22 00:01:56,650 --> 00:02:00,921 光安殿は いかがなされた!? 23 00:02:00,921 --> 00:02:07,260 (左馬助)父は… 城の最期を見届けるのだと…。➡ 24 00:02:07,260 --> 00:02:11,131 そなただけは逃げろと…。 25 00:02:11,131 --> 00:02:15,135 光安殿は… ああ…➡ 26 00:02:15,135 --> 00:02:18,872 あの城に! 27 00:02:18,872 --> 00:02:21,875 行きましょう! 28 00:02:33,954 --> 00:05:14,648 ♬~ 29 00:05:16,249 --> 00:05:20,554 (雷鳴) 30 00:05:29,796 --> 00:05:34,100 捜せ~! (一同)はっ! 31 00:05:42,275 --> 00:05:45,612 (菊丸)こちらには行けません! 敵がいます! 32 00:05:45,612 --> 00:05:48,615 向こうへ! 33 00:05:56,957 --> 00:05:58,959 何者だ!? 34 00:06:01,561 --> 00:06:04,564 (伊呂波太夫)そちらにも大勢の敵が。 35 00:06:06,233 --> 00:06:08,568 (駒)太夫! 36 00:06:08,568 --> 00:06:14,908 (太夫)明智十兵衛様 尾張の帰蝶様から 明智家の方々をお助けするよう➡ 37 00:06:14,908 --> 00:06:18,778 命じられ参りました。 伊呂波太夫と申します。 38 00:06:18,778 --> 00:06:21,581 帰蝶様から? 39 00:06:21,581 --> 00:06:24,251 (太夫) もはや 逃げ道は一つしかありませぬ。 40 00:06:24,251 --> 00:06:27,921 越前へ参りましょう。 越前? 41 00:06:27,921 --> 00:06:32,592 抜け道があります。 皆様を こちらへ! 42 00:06:32,592 --> 00:06:35,262 太夫は 私の親しいお方です。 43 00:06:35,262 --> 00:06:39,566 頼りになるお方です。 参りましょう。 44 00:06:42,135 --> 00:06:44,437 参りましょう。 45 00:06:53,280 --> 00:06:57,150 明日は越前へ入ります。 46 00:06:57,150 --> 00:06:59,853 今夜は ここで休みましょう。 47 00:07:09,562 --> 00:07:15,435 駒ちゃん 皆様には休んで頂いて。 私はこの近くで食べ物を探してきます。 48 00:07:15,435 --> 00:07:19,906 (駒)はい。 左馬助 お供せよ。はっ。 49 00:07:19,906 --> 00:07:25,211 明日 越前に入ったら 朝倉様のもとへ参ります。 50 00:07:35,922 --> 00:07:38,625 駒殿。 51 00:07:42,595 --> 00:07:48,935 一度 道三様のおられた大桑城で 擦れ違うたことがある。 52 00:07:48,935 --> 00:07:51,604 どういうお人だ? 53 00:07:51,604 --> 00:07:58,912 私が子どもの頃にいた旅の一座の頭で 私にとっては姉のようなお方です。 54 00:08:01,214 --> 00:08:06,553 (牧)どうしました? (常)奥方様 そのお手 どうされました? 55 00:08:06,553 --> 00:08:09,456 どうした? お気になされますな。 56 00:08:09,456 --> 00:08:15,228 ヤブを抜けた時 トゲに触ったのでしょう。 (常)ですが 血が…。 57 00:08:15,228 --> 00:08:17,230 ご無礼を。 58 00:08:19,899 --> 00:08:23,570 菊丸さん。(菊丸)はい。 血止めの膏薬 ありましたよね。 59 00:08:23,570 --> 00:08:26,473 それ 下さい。 (牧)暗いであろう。 60 00:08:26,473 --> 00:08:30,243 十兵衛様 水をくんできて頂けますか? ああ 分かった。 61 00:08:30,243 --> 00:08:32,579 (木助)私も。 うむ。 62 00:08:32,579 --> 00:08:35,582 すいません 私の荷を。 (常)はい。 63 00:08:42,255 --> 00:08:44,557 ほれ。 64 00:08:52,599 --> 00:08:55,268 (菊丸)十兵衛様。 ああ。 65 00:08:55,268 --> 00:08:58,605 越前は よい国と聞きますよ。 66 00:08:58,605 --> 00:09:01,875 海があって 山もあって…。 67 00:09:01,875 --> 00:09:05,545 うむ。 (菊丸)わしは 今 駿河におります。➡ 68 00:09:05,545 --> 00:09:10,216 薬屋で仕事を見つけて。 ほう 薬屋で。 69 00:09:10,216 --> 00:09:17,557 それで お駒さんに頼まれて 店に4~5日休むと言って出てきて…➡ 70 00:09:17,557 --> 00:09:23,229 こう長くなるとは思わず そろそろ帰らなければ。 71 00:09:23,229 --> 00:09:29,102 そうか。 けれど 今 駿河に戻ると言うたら…➡ 72 00:09:29,102 --> 00:09:34,574 お駒さんに悔いが残ると思い…。 十兵衛様が一緒におられるので➡ 73 00:09:34,574 --> 00:09:36,910 案ずることはないとは思うのですが…。 74 00:09:36,910 --> 00:09:41,247 お駒さんは 怖い物知らずなところがありますので…。 75 00:09:41,247 --> 00:09:44,150 うん…。 76 00:09:44,150 --> 00:09:52,258 後で お伝え下さい。 わしは どこまでもついていきたかったと。 77 00:09:52,258 --> 00:09:58,131 分かった。 どこまでもと伝えればよいのだな? 78 00:09:58,131 --> 00:10:02,435 はい! うむ。 79 00:10:14,280 --> 00:10:16,616 (駒)こうして 様子を見ましょう。 80 00:10:16,616 --> 00:10:20,286 ありがとうございます。 81 00:10:20,286 --> 00:10:24,157 駒さん。 82 00:10:24,157 --> 00:10:29,629 駒さんは 何故 私たちを助けて下さるのですか? 83 00:10:29,629 --> 00:10:37,303 以前 美濃で 明智の方々に それはよくして頂き…。 84 00:10:37,303 --> 00:10:42,175 戦と聞いて 何かできることはないかと…。 85 00:10:42,175 --> 00:10:46,646 それに… あるお方のことも 気にかかっていて…。 86 00:10:46,646 --> 00:10:52,986 あるお方? そのお方は 私の命の恩人なのです。 87 00:10:52,986 --> 00:11:02,262 私が まだ3つだった時 戦で焼けた 家の中から… 私を救い出してくれました。 88 00:11:02,262 --> 00:11:07,133 大きな手で… 優しくて… 立派なお武家様だったそうです。 89 00:11:07,133 --> 00:11:09,135 へえ~。 その方は➡ 90 00:11:09,135 --> 00:11:13,273 私に麒麟のことを話してくれました。 (熙子)麒麟? 91 00:11:13,273 --> 00:11:17,610 (駒)麒麟というのは 戦のない穏やかな国にやってくる➡ 92 00:11:17,610 --> 00:11:21,948 不思議な生き物だそうです。 そう言って➡ 93 00:11:21,948 --> 00:11:25,285 戦が怖いと言って泣く私を 慰めてくれたのです。➡ 94 00:11:25,285 --> 00:11:31,958 戦は必ず終わる 麒麟を連れてくる人が 必ず現れると言って。 95 00:11:31,958 --> 00:11:37,297 駒さん。 その話…。 96 00:11:37,297 --> 00:11:43,970 そなた… 腕に その時の傷がありますか?➡ 97 00:11:43,970 --> 00:11:49,842 逃げる途中 火の粉が飛んできて… 腕に…。 98 00:11:49,842 --> 00:11:54,614 (駒)何故… 牧様がそれを…。➡ 99 00:11:54,614 --> 00:11:57,317 これです。 100 00:11:57,317 --> 00:12:00,587 あ… ああ!➡ 101 00:12:00,587 --> 00:12:03,289 ああ…。 102 00:12:09,929 --> 00:12:17,804 亡き夫 光綱様が… 話して下さいました。 103 00:12:17,804 --> 00:12:28,615 土岐様のおそばについて京に上る折 火事に遭うたと…。 104 00:12:28,615 --> 00:12:36,289 燃え盛る家の中 小さな女の子を救い出し➡ 105 00:12:36,289 --> 00:12:42,629 旅の一座の者たちに預けたと…。➡ 106 00:12:42,629 --> 00:12:47,967 光綱様は… ずっと気にかけておられ➡ 107 00:12:47,967 --> 00:12:54,641 その後も 京に行く度に 捜しておられました。 108 00:12:54,641 --> 00:12:57,343 そなたが…。 109 00:12:59,512 --> 00:13:02,815 光綱様が…。 110 00:13:06,586 --> 00:13:11,457 亡くなられた光綱様が…。 111 00:13:11,457 --> 00:13:15,461 では… もう…! 112 00:13:26,606 --> 00:13:29,909 お会いしたかった。 113 00:13:32,945 --> 00:13:37,650 お会いして お礼を言いたかったのに…。 114 00:13:41,287 --> 00:13:48,161 大きな手の人に… またお会いできると思って…➡ 115 00:13:48,161 --> 00:13:53,299 ずっと捜してきたのに…。 116 00:13:53,299 --> 00:13:57,003 駒さん…! 117 00:13:58,971 --> 00:14:08,981 (牧)私は うれしゅうございます。 光綱様の言葉をそなたから聞けて。 118 00:14:14,921 --> 00:14:17,824 私も信じます。 119 00:14:17,824 --> 00:14:23,830 いつの日か必ず戦は終わる。 120 00:14:26,933 --> 00:14:30,803 麒麟がくると…。 121 00:14:30,803 --> 00:14:52,959 ♬~ 122 00:14:52,959 --> 00:14:57,296  回想  (光安)一旦 城を離れ 逃げよ。➡ 123 00:14:57,296 --> 00:15:00,900 逃げて逃げて生き延び。 124 00:15:00,900 --> 00:15:02,835 えい! 125 00:15:02,835 --> 00:15:09,575  回想 (光安)明智家の主として 再び 城を持つ身になってもらいたい。 126 00:15:09,575 --> 00:15:11,577 えい! 127 00:15:19,919 --> 00:15:25,591 光秀の一行は 北の越前へと落ち延びた。 128 00:15:25,591 --> 00:15:29,462 大大名 朝倉義景の治める越前は➡ 129 00:15:29,462 --> 00:15:36,769 畿内を中心とする勢力争いをよそに 確かな繁栄を築く国であった。 130 00:16:08,901 --> 00:16:15,608 (足音) 131 00:16:29,922 --> 00:16:35,228 (朝倉義景) この朝倉家へよう参った。 面を上げよ。 132 00:16:38,931 --> 00:16:45,271 太夫 大いに不満と顔に見ゆるな。 フフッ。 133 00:16:45,271 --> 00:16:49,141 待ちぼうけて 居眠りでもいたそうかと 思うておりました。 134 00:16:49,141 --> 00:16:53,145 近衛の姫君は 顔を出さなんだか? 135 00:16:53,145 --> 00:16:57,850 (太夫)近衛の姫君? ああ…➡ 136 00:16:57,850 --> 00:17:04,757 この芸人風情が 近衛家で育ったなどと ゆめゆめ申すでない! 137 00:17:04,757 --> 00:17:08,227 …と私に申された お方様でござりましょうか? 138 00:17:08,227 --> 00:17:12,565 その物言い よう似ておる。 ハッハッハッハ…。 139 00:17:12,565 --> 00:17:21,240 朝倉に嫁いで数年になりますのに まだ子をなされぬと聞きまするが…。➡ 140 00:17:21,240 --> 00:17:26,112 義景様も いつ近衛家にお返ししたものかと➡ 141 00:17:26,112 --> 00:17:29,582 頭を悩ませているのでは? 142 00:17:29,582 --> 00:17:34,921 そなた 近衛家から探りを入れるよう 言われてまいったか? 143 00:17:34,921 --> 00:17:41,594 まさか。 この家出娘に探らせるほど 近衛家も落ちぶれてはおられますまい。 144 00:17:41,594 --> 00:17:47,266 では 別のやっかい事かな?➡ 145 00:17:47,266 --> 00:17:51,938 この者か? 明智十兵衛光秀にございます。 146 00:17:51,938 --> 00:17:56,809 (太夫)明智様を この越前に おかくまい頂きたいのです。 147 00:17:56,809 --> 00:17:59,111 う~む…。 148 00:18:21,100 --> 00:18:28,774 これは 細川藤孝様の文… ご存じでございましたか。 149 00:18:28,774 --> 00:18:34,513 (義景)藤孝殿は 同じ文を 方々にお出しになっておるそうじゃ。➡ 150 00:18:34,513 --> 00:18:39,919 明智という者 美濃より落ち延びることあらば➡ 151 00:18:39,919 --> 00:18:44,256 よしなに取り計られたいと。➡ 152 00:18:44,256 --> 00:18:50,930 わしは 余計な争いに巻き込まれたくはない。 153 00:18:50,930 --> 00:18:56,268 日々穏やかに暮らしたいのじゃ。 154 00:18:56,268 --> 00:18:58,604 ご案じなさりますな。 155 00:18:58,604 --> 00:19:05,411 明智様は 尾張織田家の奥方 帰蝶様の縁者。 156 00:19:05,411 --> 00:19:10,549 万に一つ 美濃が越前に攻め入ることがあれば➡ 157 00:19:10,549 --> 00:19:16,856 尾張は美濃を背後より刺し この越前を守りましょう。 158 00:19:38,911 --> 00:19:42,214 太夫が申したことは まことか? 159 00:19:43,783 --> 00:19:49,488 (義景)そちのために 尾張は動くと思うか? 160 00:19:54,260 --> 00:19:57,563 答えよ。 161 00:20:00,599 --> 00:20:06,605 私に 尾張を動かすほどの力はござりませぬ。 162 00:20:13,946 --> 00:20:17,249 ふむ…。 163 00:20:20,619 --> 00:20:26,959 このまま美濃へ帰すわけにもいくまい。 しばらくおればよい。➡ 164 00:20:26,959 --> 00:20:33,299 そなたは運がよいぞ。 この一乗谷は安楽の地じゃ。➡ 165 00:20:33,299 --> 00:20:36,969 のう 太夫。 (太夫)まことに。➡ 166 00:20:36,969 --> 00:20:40,306 古の都を見るような心地がいたします。 167 00:20:40,306 --> 00:20:43,976 フフッ うむ。 168 00:20:43,976 --> 00:20:50,850 で そなた 金が要るのであろう? 169 00:20:50,850 --> 00:20:53,319 は? 170 00:20:53,319 --> 00:20:58,657 さしあたって 今日の米代にも困るのであろう。 171 00:20:58,657 --> 00:21:02,528 それは…。 172 00:21:02,528 --> 00:21:05,531 くれてやろうぞ。 173 00:21:08,934 --> 00:21:14,807 それは 頂けませぬ。 (義景)ん? 174 00:21:14,807 --> 00:21:18,511 頂く理由がございませぬ。 175 00:21:21,280 --> 00:21:24,283 そうか。 176 00:21:28,954 --> 00:21:36,662 いやいや 太夫 久しぶりに酒でも酌もう。 ゆるりとしていけ。 フフッ。 177 00:21:46,305 --> 00:21:50,643 かすみを食うて生きるおつもりですか? 178 00:21:50,643 --> 00:21:53,979 くれると言うもの もろうておけばいいのに。➡ 179 00:21:53,979 --> 00:22:01,253 朝倉家は国持ちの大名でございます。 世話する家の一つや二つ増えたところで➡ 180 00:22:01,253 --> 00:22:04,156 痛くもかゆくもございませぬ。 181 00:22:04,156 --> 00:22:14,266 されど… 私が金を頂けば それは 藤孝殿や帰蝶様が頂くことと同じです。 182 00:22:14,266 --> 00:22:17,603 心苦しい限りです。 183 00:22:17,603 --> 00:22:23,275 それはお受けできませぬ。 184 00:22:23,275 --> 00:22:25,978 なるほど…。 185 00:22:27,613 --> 00:22:34,954 私は 近衛の姫君のお顔を 見てまいりますので 失礼。 186 00:22:34,954 --> 00:22:37,957 太夫殿。 187 00:22:40,626 --> 00:22:43,629 かたじけのうござりました。 188 00:23:00,112 --> 00:23:02,581 うむ…。 189 00:23:02,581 --> 00:23:07,920 もっとえぐるように拭こう。 はっ。 190 00:23:07,920 --> 00:23:11,223 このまま ここまでな。 はっ。 191 00:23:23,936 --> 00:23:26,605 (熙子)ここですか? 192 00:23:26,605 --> 00:23:30,276 ここなら空いていると…。 193 00:23:30,276 --> 00:23:48,627 ♬~ 194 00:23:48,627 --> 00:23:52,498 (せきこみ) 195 00:23:52,498 --> 00:24:30,235 ♬~ 196 00:24:30,235 --> 00:24:32,171 (駒)わっ! 197 00:24:32,171 --> 00:24:37,876 ごめんなさい。 かまどから蛇が…。 198 00:24:40,279 --> 00:24:43,182 さあ 掃除をせねば。 199 00:24:43,182 --> 00:24:48,887 さりとて ほうきがございませぬ。 (木助)炭やまきも手に入れねば。 200 00:24:50,923 --> 00:24:54,626 私 質へ行ってきましょうか? 201 00:24:54,626 --> 00:24:58,964 質? 先ほど通った市場のそばにありました。 202 00:24:58,964 --> 00:25:03,268 ただ 質ぐさが要ります。 203 00:25:07,773 --> 00:25:16,081 駒殿 それは数珠ではいけませぬか? 204 00:25:19,918 --> 00:25:22,588 古い物ですが。 205 00:25:22,588 --> 00:25:26,925 それは父上の大切な…! 持っていってくれ。 206 00:25:26,925 --> 00:25:32,631 どうか お願いいたします。 207 00:25:34,800 --> 00:25:39,271 駒さん 私も連れていって下さい! 208 00:25:39,271 --> 00:25:43,942 質屋というのはどういう所か 私も知っておきたいのです。 209 00:25:43,942 --> 00:25:48,614 (駒)では 一緒に参りましょうか。 (熙子)はい。 210 00:25:48,614 --> 00:25:52,317 (左馬助)私がお二人をお守りいたします。 211 00:25:55,287 --> 00:25:57,589 (木助)片づけよう。 212 00:26:10,569 --> 00:26:14,440 あの店主 相当ケチですよ。 もう少し粘れば➡ 213 00:26:14,440 --> 00:26:17,910 あと20文くらい取れましたのに。 もう十分です。 214 00:26:17,910 --> 00:26:20,913 また お世話になるかもしれませんから。 215 00:26:22,581 --> 00:26:27,920 でも 熙子様の帯を入れてしまって… よろしかったのですか? 216 00:26:27,920 --> 00:26:36,228 帯は もう一本あるのです。 それに 帯の代わりはあっても…。 217 00:26:40,265 --> 00:26:44,937 (熙子) この数珠の代わりはありませんから。 218 00:26:44,937 --> 00:26:49,274 この数珠は 十兵衛様が亡きお義父上から受け継いだ➡ 219 00:26:49,274 --> 00:26:51,977 大切なものですから。 220 00:26:59,618 --> 00:27:03,489 私は 戦が好きではありませぬ。 221 00:27:03,489 --> 00:27:09,228 勝っても負けても 戦は戦でしかない。 222 00:27:09,228 --> 00:27:15,901 戦に赴くことは 武士の運命と思うておりました。 223 00:27:15,901 --> 00:27:27,212 田も起こさず 畑も耕さぬ 武士の生き方なのだと思うて…。 224 00:27:29,248 --> 00:27:38,957 されど 負けて全てを失うてみると…。 225 00:27:41,827 --> 00:27:46,131 己の無力さだけが残るんです。 226 00:27:51,937 --> 00:28:02,648 (牧)十兵衛 そなたの父上が 私に仰せになったことがあります。 227 00:28:06,885 --> 00:28:14,760 (牧)人には浮き沈みがある。 武士には勝ち負けがある。➡ 228 00:28:14,760 --> 00:28:23,769 沈んだ時にどう生きるか 負けた時にどう耐えるか。 229 00:28:25,904 --> 00:28:33,612 その時 その者の値打ちが決まると…。 230 00:28:37,916 --> 00:28:41,920 (いななき) 231 00:28:50,929 --> 00:28:58,604 幼き頃 父上と馬を走らせたことがあります。 232 00:28:58,604 --> 00:29:02,474 その時 父上は こう仰せられました。 233 00:29:02,474 --> 00:29:08,413 十兵衛 馬は誇り高き生き物ぞ。 234 00:29:08,413 --> 00:29:16,555 勝っても負けても 己の力の限り走る。 遠くへ。 235 00:29:16,555 --> 00:29:20,425 それが己の役目と知っておるのじゃ。 236 00:29:20,425 --> 00:29:24,129 我らも そうでありたい。 237 00:29:27,899 --> 00:29:30,602 誇り高く。 238 00:29:35,774 --> 00:29:38,543 誇り高く…。 239 00:29:38,543 --> 00:29:41,246 (いななき) 240 00:29:46,918 --> 00:29:52,257 世話になりました。 何とお礼を申し上げたらよいか…。 241 00:29:52,257 --> 00:29:57,929 (駒)私は ただ… 何もできなくて。 242 00:29:57,929 --> 00:30:02,801 自分の命を救ってくれたのは どなたかと…➡ 243 00:30:02,801 --> 00:30:08,273 いつかお会いできたら 恩返しをしなければと…➡ 244 00:30:08,273 --> 00:30:11,610 そう思うておりましたのに。 245 00:30:11,610 --> 00:30:15,947 何もできず 無念でなりません。 246 00:30:15,947 --> 00:30:21,820 何を言います。 あの戦の中 駒さんが来てくれたことは➡ 247 00:30:21,820 --> 00:30:25,957 どれほど心強う思えたか。 248 00:30:25,957 --> 00:30:31,630 私も 駒さんと質屋に行けて楽しかったです。 249 00:30:31,630 --> 00:30:35,300 次は もっと粘ってみます。 250 00:30:35,300 --> 00:30:41,173 本当に ありがとうございました。 251 00:30:41,173 --> 00:30:47,312 私も お会いできて うれしゅうございました。 252 00:30:47,312 --> 00:30:53,318 では 太夫が待っておりますので。 253 00:31:00,258 --> 00:31:06,598 斎藤道三の死は 尾張の情勢にも大きな変化をもたらした。 254 00:31:06,598 --> 00:31:12,904 かねてより信長に不満を抱く者たちが うごめき始めたのである。 255 00:31:16,608 --> 00:31:23,315 久々のお目通り 恐悦至極に存じまする。 256 00:31:25,951 --> 00:31:32,624 恐れながら 織田の内部に 再び謀反の兆しが…。 257 00:31:32,624 --> 00:31:38,296 (織田信長)我が弟 信勝か…。 258 00:31:38,296 --> 00:31:44,302 まことにもって 申し訳ござりませぬ! 259 00:31:45,971 --> 00:31:51,843 権六 そちは信勝の重臣であろう。 260 00:31:51,843 --> 00:32:00,485 己の言葉が 主君を斬る刃となるを 知らぬわけではあるまい。 261 00:32:00,485 --> 00:32:07,793 首をはねられてしかるべきことを 申しておるのじゃぞ。 262 00:32:09,928 --> 00:32:17,803 その覚悟で参りました。 尾張の行く末を案じ やむにやまれず! 263 00:32:17,803 --> 00:32:24,943 信勝様の背後には 美濃の斎藤高政がおりまする。 264 00:32:24,943 --> 00:32:27,612 (帰蝶)兄上が!? 265 00:32:27,612 --> 00:32:32,951 (柴田)高政といえば あの今川義元とも 通ずるお方でございます。➡ 266 00:32:32,951 --> 00:32:38,623 謀反に乗じて 双方から 尾張をのみ込もうとする構えと存じます。 267 00:32:38,623 --> 00:32:45,297 信勝様は我が主君。 さりとて これは見過ごせませぬ。 268 00:32:45,297 --> 00:32:51,169 先にも信勝はわしに背いた。 269 00:32:51,169 --> 00:32:59,477 母上が許せと仰せになり わしは折れた。 270 00:33:01,246 --> 00:33:08,553 権六… わしは愚かじゃな。 271 00:33:10,255 --> 00:33:15,126 信勝様は よほど殿が目障りなのでしょうな。 272 00:33:15,126 --> 00:33:17,929 先の戦で どれほどの兵を失うたか➡ 273 00:33:17,929 --> 00:33:20,832 お忘れなのでしょうか? 274 00:33:20,832 --> 00:33:25,604 周りの者に おだてられ 己を見失うておるのじゃ。 275 00:33:25,604 --> 00:33:29,608 哀れな男じゃ。 276 00:33:32,277 --> 00:33:40,151 哀れなら お許しになりますのか? 277 00:33:40,151 --> 00:33:45,290 その哀れな男が起こす愚かな戦に➡ 278 00:33:45,290 --> 00:33:48,627 まだおつきあいなさるおつもりですか? 279 00:33:48,627 --> 00:33:50,562 いくら兵を失えば 気が済むのですか? 280 00:33:50,562 --> 00:33:53,565 どうしろというのだ? 281 00:33:55,500 --> 00:33:59,271 信勝様にお会いなさいませ。 会う? 282 00:33:59,271 --> 00:34:04,109 なんとしてもお会いなさいませ。 会うてどうする? 283 00:34:04,109 --> 00:34:10,815 お顔を見て どうすればよいか お決めになればよろしいのです。 284 00:34:19,591 --> 00:34:24,930 (織田信勝)兄上が病とはな。 国中の薬師 祈とう師が➡ 285 00:34:24,930 --> 00:34:27,265 清須へ集まってるというではないか。 286 00:34:27,265 --> 00:34:31,136 さような噂が 国の外に漏れるは一大事じゃ。 287 00:34:31,136 --> 00:34:35,140 清須の者は何を考えておる。 288 00:34:44,816 --> 00:34:47,118 (年長の侍女)大方様。 289 00:34:48,954 --> 00:34:52,257 こちらにございます。 290 00:35:05,236 --> 00:35:09,941 大方様 私は向こうでお待ちしております。 291 00:35:43,942 --> 00:35:46,845 (侍女頭)お越しにござります。 292 00:35:46,845 --> 00:35:52,951 兄上 お久しぶりでございます。 お加減はいかがでございますか。 293 00:35:52,951 --> 00:35:58,823 病とお聞きし 驚き とりあえず お見舞いをと 急ぎ参りました。 294 00:35:58,823 --> 00:36:01,526 それは? 295 00:36:03,228 --> 00:36:10,568 これは… 私と親しい行者が 美濃の白山より持ち帰った➡ 296 00:36:10,568 --> 00:36:14,906 霊験あらたかな湧き水でございます。➡ 297 00:36:14,906 --> 00:36:19,577 万病を鎮めると申しますので 兄上にどうかと思い➡ 298 00:36:19,577 --> 00:36:22,480 譲り受けてまいりました。 299 00:36:22,480 --> 00:36:26,251 それは ありがたい。 300 00:36:26,251 --> 00:36:32,924 病が重いと聞き及びましたが ご息災のようにお見受けいたします。 301 00:36:32,924 --> 00:36:37,595 病というのは偽りじゃ。 302 00:36:37,595 --> 00:36:39,531 は? 303 00:36:39,531 --> 00:36:45,270 そなたを呼び寄せ… 討ち果たすために偽りを申した。 304 00:36:45,270 --> 00:36:48,940 (唾を飲み込む音) 305 00:36:48,940 --> 00:36:54,612 しかし… そなたの顔を見て その気はうせた。 306 00:36:54,612 --> 00:36:59,951 そなたを殺せば 母上がお嘆きになる。 307 00:36:59,951 --> 00:37:04,255 母上の悲しむ顔を見とうはないのじゃ。 308 00:37:06,558 --> 00:37:11,896 子どもの頃より そなたは母上にかわいがられた。 309 00:37:11,896 --> 00:37:18,570 色白で 素直で賢く 誰もがそなたを褒めそやす。 310 00:37:18,570 --> 00:37:23,908 そういうそなたを 母上は いつも手元に置かれた。 311 00:37:23,908 --> 00:37:26,578 今もそうじゃ。 312 00:37:26,578 --> 00:37:30,448 わしは それが口惜しかった。 313 00:37:30,448 --> 00:37:37,222 わしは そなたに比べると醜い子であった。 314 00:37:37,222 --> 00:37:44,129 色が黒く 母上のお好きな和歌も詠めず 書も読まず➡ 315 00:37:44,129 --> 00:37:54,272 犬のように外を走り回り… 汗臭い子じゃと 母上から遠ざけられた。 316 00:37:54,272 --> 00:37:59,944 ある時 わしは そのことに気付いた。 317 00:37:59,944 --> 00:38:10,221 そなたの美しさ 賢さに 遠く及ばぬと分かった。 318 00:38:10,221 --> 00:38:22,233 妬んだ。 殺してやろうと 何度も思うた。 分かるか? 319 00:38:31,509 --> 00:38:41,186 私も… 兄上を妬ましく思うておりました。➡ 320 00:38:41,186 --> 00:38:47,926 いつも兄上は 私より先を走っておられる。➡ 321 00:38:47,926 --> 00:38:52,263 戦に勝ち 国を治め➡ 322 00:38:52,263 --> 00:38:59,971 私がせんと願うことを… 全て 成し遂げてしまわれる。 323 00:39:03,208 --> 00:39:10,915 兄上が疎ましい! 兄上さえいなければ…! 324 00:39:13,218 --> 00:39:20,925 それゆえ 高政と手を結んだか? 325 00:39:23,861 --> 00:39:25,863 (唾を飲み込む音) 326 00:39:30,235 --> 00:39:35,540 我らは 似た者同士ということか…。 327 00:39:39,577 --> 00:39:41,880 (唾を飲み込む音) 328 00:39:45,250 --> 00:39:52,257 信勝… そなた これを飲め。 329 00:39:53,925 --> 00:40:01,232 白山より湧きいでたる水であろう…。 ありがたき水であろう…。 330 00:40:02,934 --> 00:40:08,239 どうした? 飲んでみよ。 331 00:40:13,578 --> 00:40:17,582 申し訳ございませぬ。 332 00:40:22,287 --> 00:40:29,294 どうか… お許し下さいませ。 333 00:40:38,636 --> 00:40:41,939 そうか…。 334 00:40:46,511 --> 00:40:49,213 飲め。 335 00:40:52,984 --> 00:40:56,688 飲むんじゃ。 336 00:41:02,260 --> 00:41:05,963 飲め。 337 00:41:08,933 --> 00:41:12,270 飲め。 338 00:41:12,270 --> 00:41:19,577 飲め! お前が飲め! 339 00:41:28,619 --> 00:41:32,323 飲め。 340 00:42:09,260 --> 00:42:12,563 信勝…。 341 00:42:20,271 --> 00:42:23,574 愚か者…。 342 00:42:30,281 --> 00:42:33,618 今の世は どこかおかしい。 343 00:42:33,618 --> 00:42:36,521 信長様が。 不穏な動きがございましてな。 344 00:42:36,521 --> 00:42:40,291 不穏な動きとは? 上洛する信長殿のお命を➡ 345 00:42:40,291 --> 00:42:43,194 斎藤義龍殿の刺客が 狙っているというのです。 346 00:42:43,194 --> 00:42:45,630 何か手を打たねば…! 京へ行ってきてくれ。 347 00:42:45,630 --> 00:42:47,965 でかした! 348 00:42:47,965 --> 00:42:52,637 そなたがそばにいるだけで 私の心は穏やかではなかった…。 349 00:42:52,637 --> 00:42:55,339 信長は我が手で討ってみせる。