1 00:00:02,202 --> 00:00:04,137 よ~いやさ! 2 00:00:04,137 --> 00:00:11,278 将軍 足利義昭の御座所 二条城の築城が 着々と進んでいた。 3 00:00:11,278 --> 00:00:16,950 織田信長は 近隣の国々から 人や物をかき集め➡ 4 00:00:16,950 --> 00:00:23,624 京のめぼしい屋敷や寺社からも 庭石や調度品などを差し出させ➡ 5 00:00:23,624 --> 00:00:26,960 自ら陣頭に立ち 工事を進めた。 6 00:00:26,960 --> 00:00:29,630 (織田信長)この石は どこから来た? 7 00:00:29,630 --> 00:00:33,300 (奉行)東山 慈照寺の庭石でございます。 8 00:00:33,300 --> 00:00:36,003 うむ。 9 00:00:41,975 --> 00:00:44,878 馬場には桜が欲しい。 10 00:00:44,878 --> 00:00:47,848 どこぞの寺に 桜の名木はないか? 11 00:00:47,848 --> 00:00:50,984 (奉行)桜でございますか? 12 00:00:50,984 --> 00:00:56,857 (初老の公家)おお 織田殿。 ご尊顔を拝そうと➡ 13 00:00:56,857 --> 00:01:00,594 皆で打ちそろうて 参りましたぞ。 14 00:01:00,594 --> 00:01:04,898 これは 大納言様… ようこそ。 15 00:01:25,819 --> 00:01:28,956 (細川藤孝) 見たことのある襖絵だと思うたら➡ 16 00:01:28,956 --> 00:01:33,827 我が館の隣の寺のものだ。 驚き入った。 17 00:01:33,827 --> 00:01:36,630 (明智十兵衛光秀)しかたがありますまい。 18 00:01:36,630 --> 00:01:41,969 4月までに この城を造り上げるとなると 出来合いのものを使うほかありませぬ。 19 00:01:41,969 --> 00:01:48,275 (藤孝)うむ… しかし いささか やり過ぎのような気もする。 20 00:01:50,444 --> 00:01:54,982 幕府の中には 信長様は将軍の名を借りて➡ 21 00:01:54,982 --> 00:02:01,088 京中の金めの物をかすめ取っていると 陰口をたたく者もいるそうだ。 22 00:02:01,088 --> 00:02:04,758 言いたい者には 言わせておけばよろしいのです。 23 00:02:04,758 --> 00:02:08,929 将軍をお守りする城を 造ろうとしなかった者たちが➡ 24 00:02:08,929 --> 00:02:12,599 あれこれ申すことなど もっての外! 25 00:02:12,599 --> 00:02:14,635 それはそうだが…。 26 00:02:14,635 --> 00:02:18,472 幕府の中には 寺や神社と深く関わり➡ 27 00:02:18,472 --> 00:02:22,609 寺社が営む金貸しに食い込んで 利を得ている者もいます。 28 00:02:22,609 --> 00:02:27,414 調べれば調べるほど 幕府の内側は醜い。 29 00:02:27,414 --> 00:02:32,786 今日も これらのものを 持ち出された寺の者が集まり➡ 30 00:02:32,786 --> 00:02:36,623 幕府に返納を迫るつもりだと 聞き及んでおります。 31 00:02:36,623 --> 00:02:43,130 政所の摂津殿が どう裁かれるか よく見る必要があります。 32 00:02:44,798 --> 00:02:49,669 恐れ多くも 公方様の御前ぞ! 33 00:02:49,669 --> 00:02:55,142 金を差し出されて おお そうかと受け取るわけにはまいらぬ。 34 00:02:55,142 --> 00:02:59,012 何事も慎みが肝要ぞ! 35 00:02:59,012 --> 00:03:05,585 (僧正)恐れがましきことと 重々承知いたしておりますれど➡ 36 00:03:05,585 --> 00:03:13,326 織田信長様のお仕打ちに対して こうしてお願いするほか➡ 37 00:03:13,326 --> 00:03:21,134 手だてのない我ら寺社の窮状を お察し頂きとう存じます。➡ 38 00:03:21,134 --> 00:03:26,873 こちらの寺では 襖戸を全て召し出された由。 39 00:03:26,873 --> 00:03:33,113 もはや 寺の形をとどめぬと 悲嘆に暮れております。 40 00:03:33,113 --> 00:03:37,617 (高僧)何とぞ! お返し頂きたく! 41 00:03:39,419 --> 00:03:43,790 公方様 かかる訴えを➡ 42 00:03:43,790 --> 00:03:51,531 じきじき お耳に入れねばならぬ 我らの苦衷をお察し下されませ。 43 00:03:51,531 --> 00:03:58,305 このままでは 都中の寺社が 織田様を恨み➡ 44 00:03:58,305 --> 00:04:06,580 ひいては 城の主たる 公方様に恨みの矢を向けましょう。➡ 45 00:04:06,580 --> 00:04:13,587 このこと いかがおぼし召されます? 46 00:04:18,191 --> 00:04:24,598 (足利義昭)信長殿は… わしの上洛をかなえてくれた恩人じゃ。 47 00:04:24,598 --> 00:04:29,936 こたびのことも わしの身を案じてのこと➡ 48 00:04:29,936 --> 00:04:33,440 それを今更よせとは言えぬ。 49 00:04:39,279 --> 00:04:45,952 ただ… ただ わしは こう思うておる。 50 00:04:45,952 --> 00:04:51,758 信長殿が いつまでも京にいるわけではない。 51 00:04:51,758 --> 00:04:55,962 いずれ岐阜へ戻るであろう。 52 00:04:55,962 --> 00:05:06,673 その折を見て 各寺の品々は 少しずつ返すのに やぶさかではないと。 53 00:05:12,379 --> 00:05:16,583 京には織田の家臣たちがあまた残る。 54 00:05:16,583 --> 00:05:23,890 一度に全て返せば角が立つ。 目立たぬようにじゃ。 55 00:05:25,592 --> 00:05:32,766 それは名案! かつて興福寺一乗院で かたじけなくも門跡であられた➡ 56 00:05:32,766 --> 00:05:38,638 公方様ならではのお言葉じゃ。 そうであろう。 57 00:05:38,638 --> 00:05:46,846 ははっ! 一縷の望みが見えたる心地がいたします。 58 00:05:52,419 --> 00:05:59,626 (義昭)摂津 あとはよしなに計らえ。 (摂津)はっ。 59 00:06:05,098 --> 00:06:19,112 ♬~ 60 00:06:21,081 --> 00:09:01,775 ♬~ 61 00:09:05,578 --> 00:09:09,883 待たせたな。 許せ許せ! 62 00:09:09,883 --> 00:09:15,755 (駒)お待ちしている間に おだんごを一皿頂きました。 63 00:09:15,755 --> 00:09:21,061 (義昭)うまかったか? (駒)はい とても。 64 00:09:21,061 --> 00:09:26,366 そうか。 よう来てくれた。➡ 65 00:09:26,366 --> 00:09:31,204 ここは重い病の者を入れる館じゃ。➡ 66 00:09:31,204 --> 00:09:38,378 池を造り 花を植え この表門の方には 貧しい者に食べ物を与え➡ 67 00:09:38,378 --> 00:09:43,917 休息できる館を造る。 古の悲田院のごときものじゃ。 68 00:09:43,917 --> 00:09:47,253 この館は誰でも入れるのですか? うむ。 69 00:09:47,253 --> 00:09:53,593 身寄りなき者 幼き者 老いて路頭に迷う者 誰でも入れる。 70 00:09:53,593 --> 00:10:00,266 わしは 一乗院にいた頃 大和の国にそれを造りたいと思うた。 71 00:10:00,266 --> 00:10:07,273 しかし 大和も戦に明け暮れ そんな話は夢じゃと笑われた。 72 00:10:08,942 --> 00:10:13,279 だが 今ならできるやもしれぬ。 73 00:10:13,279 --> 00:10:19,419 わしは将軍じゃ。 命じれば土地ぐらいは手に入る。 74 00:10:19,419 --> 00:10:28,128 ただ 館を造り 医者や 働く者たちを集めるには金が要る。 75 00:10:28,128 --> 00:10:33,800 それが悩みじゃ。お金? うむ。 76 00:10:33,800 --> 00:10:37,670 金がなければ 小屋一つ 建たん。➡ 77 00:10:37,670 --> 00:10:41,975 今の幕府には そのようなゆとりはない。➡ 78 00:10:41,975 --> 00:10:47,780 城も 織田信長の才覚に頼るほかないのじゃ。 79 00:10:47,780 --> 00:10:51,985 金がないのじゃ。 80 00:10:51,985 --> 00:10:55,655 初めから大きくおやりにならずに➡ 81 00:10:55,655 --> 00:11:00,660 この悲田処を一つお造りになってみては いかがでございましょう。 82 00:11:02,262 --> 00:11:04,931 一つか。 83 00:11:04,931 --> 00:11:10,103 それなら いかほどお金がかかりましょうか? 84 00:11:10,103 --> 00:11:15,909 それでも… 1千貫は要るな。 85 00:11:15,909 --> 00:11:20,613 ふ~ん… 1千貫で造れますか? 86 00:11:20,613 --> 00:11:24,951 1千貫は大金じゃぞ。 87 00:11:24,951 --> 00:11:28,254 (駒)それはそうですけど…。 88 00:11:49,442 --> 00:11:53,646 ⚟あっ 駒ちゃん お帰り。 ⚟(駒)ただいま。 89 00:12:00,386 --> 00:12:05,592 (望月東庵)おお お帰り。 早かったじゃないか。 90 00:12:05,592 --> 00:12:07,594 先生。 91 00:12:09,262 --> 00:12:13,600 今 懐にお入れになったもの お戻し下さい。 92 00:12:13,600 --> 00:12:18,271 (東庵)み… 見られたか。 はあ…。 93 00:12:18,271 --> 00:12:29,616 ♬~ 94 00:12:29,616 --> 00:12:32,285 あっ! 95 00:12:32,285 --> 00:12:35,989 誰がこんなに!? 96 00:12:40,994 --> 00:12:44,631 近頃 時々 行き先もおっしゃらずに お出かけになるので➡ 97 00:12:44,631 --> 00:12:47,667 また双六仲間ができたのかと 案じておりました。 98 00:12:47,667 --> 00:12:52,305 やはり そうですか。 99 00:12:52,305 --> 00:13:05,585 このごろは ここを あの… 1日置きに 丸薬作りの仕事場に譲るであろう。 100 00:13:05,585 --> 00:13:11,924 わしの仕事が減って 手元不如意でな… ハハハ…。 101 00:13:11,924 --> 00:13:16,629 (駒)ですから こうして いくらか 差し上げているではありませんか。 102 00:13:18,264 --> 00:13:20,767 え? そんなことより➡ 103 00:13:20,767 --> 00:13:23,803 今 何貫くらいあります? ここに。 104 00:13:23,803 --> 00:13:29,942 ん? う~ん 2百貫ぐらいはあるかな。 105 00:13:29,942 --> 00:13:32,779 2百貫…。 106 00:13:32,779 --> 00:13:37,283 堺の今井宗久様がご助言下さいました。 107 00:13:37,283 --> 00:13:41,954 仕事場をもっと広い所に移して 職人の数も もっと増やして➡ 108 00:13:41,954 --> 00:13:46,793 今の5倍くらい丸薬を作れば もっと商いがしやすくなると…。 109 00:13:46,793 --> 00:13:52,598 そんなに薬を売って どうするのだ。 110 00:13:52,598 --> 00:13:58,304 千貫ためたいのです。 千貫!? 111 00:13:58,304 --> 00:14:03,142 蔵が3つぐらい建つお金じゃぞ! 112 00:14:03,142 --> 00:14:07,947 将軍様から 大層よいお話を伺ったのです。 113 00:14:30,603 --> 00:14:32,805 何じゃ? 114 00:14:35,274 --> 00:14:37,276 ん? 115 00:14:37,276 --> 00:14:39,579 おい! 116 00:14:44,283 --> 00:15:27,760 ♬~ 117 00:15:27,760 --> 00:15:33,566 太夫が このような文を届けさせるとは よくよくのことでしょうか? 118 00:15:33,566 --> 00:15:38,471 (伊呂波太夫)よくよくのことゆえ つまらぬ策を弄しました。 119 00:15:38,471 --> 00:15:43,176 私に会わせたいお方とは どなたかな? 120 00:15:45,178 --> 00:15:50,016 前の関白 近衛前久様でございます。 121 00:15:50,016 --> 00:15:56,789 三好の一党とのつながりを疑われて 公方様のご上洛以来➡ 122 00:15:56,789 --> 00:16:02,562 都から追われ 姿を消しておられましたが ひそかにお戻りになられているのです。 123 00:16:02,562 --> 00:16:07,433 私は義昭様のおそばに仕える者ですよ。 124 00:16:07,433 --> 00:16:12,638 それゆえに 会うて頂きたいのです。 125 00:16:29,589 --> 00:16:33,092 鼓を打ったことは? 126 00:16:33,092 --> 00:16:36,963 叔父の明智光安より 少々手ほどきを。 127 00:16:36,963 --> 00:16:39,966 打ってみよ。 128 00:17:08,227 --> 00:17:23,709 (鼓の音) 129 00:17:23,709 --> 00:17:26,612 (掛け声) 130 00:17:26,612 --> 00:17:28,614 (鼓の音) 131 00:17:32,385 --> 00:17:36,889 よい音じゃ。 は…。 132 00:17:50,770 --> 00:17:55,641 私は 摂津たちから追われている。 133 00:17:55,641 --> 00:18:02,715 三好たちと前の将軍 足利義輝の暗殺に 関わったという理由じゃ。➡ 134 00:18:02,715 --> 00:18:09,055 それを言い触らしたのは 近衛家を毛嫌いする二条晴良じゃ。➡ 135 00:18:09,055 --> 00:18:13,726 晴良は足利義昭が 将軍になったのをいいことに➡ 136 00:18:13,726 --> 00:18:19,532 摂津と幕府を味方につけ 私を都から追い払うた。 137 00:18:19,532 --> 00:18:24,437 目当ては はっきりしておる。 近衛の領地を奪い➡ 138 00:18:24,437 --> 00:18:29,742 摂津たちと我がものにするということだ。 139 00:18:31,911 --> 00:18:36,782 (前久)以前 越後の上杉輝虎と話したことがある。 140 00:18:36,782 --> 00:18:41,087 立派な武将じゃ。 その上杉が言うた。 141 00:18:41,087 --> 00:18:45,958 今の幕府は己の利しか頭にない。 142 00:18:45,958 --> 00:18:50,763 天下をにらみ 天下のために働く者がおらぬ。 143 00:18:50,763 --> 00:18:55,968 それゆえ いつまでも世は収まらぬと。 144 00:18:58,638 --> 00:19:06,879 私は 今 それができるのは 織田信長かと思うておる。➡ 145 00:19:06,879 --> 00:19:09,782 あの上洛ぶりを見て そう思うた。➡ 146 00:19:09,782 --> 00:19:16,555 今 幕府を変えられるのは信長じゃ。➡ 147 00:19:16,555 --> 00:19:22,361 それを そなたに申しておきたかった。 148 00:19:22,361 --> 00:19:25,898 何故 私に? 149 00:19:25,898 --> 00:19:30,770 将軍のそばにいて 信長にも はばかりなく物申せるのは➡ 150 00:19:30,770 --> 00:19:34,073 明智十兵衛と聞いた。 151 00:19:34,073 --> 00:19:39,278 摂津を嫌っているという噂も耳にした。 152 00:19:44,784 --> 00:19:49,588 タの音が弱かったぞ。 薬指かな? 153 00:19:51,624 --> 00:19:57,930 太夫 言いたいことは言うた。 あとは任せた。 154 00:19:57,930 --> 00:20:01,767 もっとお話がおありだったのでは? 155 00:20:01,767 --> 00:20:05,471 (前久)命乞いまでしたくはない。 156 00:20:17,249 --> 00:20:24,990 本当は 前久様は こういうことも おっしゃりたかったのです。 157 00:20:24,990 --> 00:20:33,632 この都には 公家や武家や私のような町衆がいて➡ 158 00:20:33,632 --> 00:20:38,337 そして 帝がおいでだと。 159 00:20:40,506 --> 00:20:45,644 (太夫)帝も御料地を奪われ 大層お困りと聞きます。 160 00:20:45,644 --> 00:20:51,317 今の帝のひいおじい様は 崩御されても お弔いの費用がなく➡ 161 00:20:51,317 --> 00:20:58,190 ふたつき 放っておかれたと申します。 それを助けるべき幕府は➡ 162 00:20:58,190 --> 00:21:03,596 手も差し伸べず 見て見ぬふりをした。 163 00:21:03,596 --> 00:21:06,398 (ため息) 164 00:21:06,398 --> 00:21:14,707 御所をご覧になれば よく分かります。 帝がどれほどお困りか。 165 00:21:30,289 --> 00:21:32,992 (木下藤吉郎)明智様! 166 00:21:34,960 --> 00:21:38,797 公方様のお城 ようやく なんとかなりそうではございませぬか。 167 00:21:38,797 --> 00:21:41,700 日々 ご苦労に存じます。 木下殿こそ➡ 168 00:21:41,700 --> 00:21:44,603 城のかかりを あちこちで工面しておられるそうで➡ 169 00:21:44,603 --> 00:21:46,539 ご苦労に存じまする。 いやいやいやいやいや…。 170 00:21:46,539 --> 00:21:50,409 信長様から 今後 京のことは頼むと 命じられておりますゆえ➡ 171 00:21:50,409 --> 00:21:52,978 多少のお手伝いは…。 172 00:21:52,978 --> 00:21:57,316 今日は いかなる御用で? ああ…。 173 00:21:57,316 --> 00:21:59,652 信長様に申し上げたき儀があり…。 174 00:21:59,652 --> 00:22:04,256 昨日 お会いになった 近衛前久様の件でございますか? 175 00:22:04,256 --> 00:22:08,594 よう ご存じだな。 フフフフ…。 176 00:22:08,594 --> 00:22:13,465 公家衆の動きは 大体つかんでおります。 177 00:22:13,465 --> 00:22:16,769 京を治めるためには 公家衆の機嫌を取っておくのが一番。 178 00:22:16,769 --> 00:22:20,406 特に近衛様は公家衆の筆頭。 179 00:22:20,406 --> 00:22:23,609 使えるかどうか 見計ろうておるところで…。 180 00:22:23,609 --> 00:22:27,112 木下殿は 京の奉行になると聞きました。 181 00:22:27,112 --> 00:22:30,783 そのお役目は 将軍のおそばにいる者たちが➡ 182 00:22:30,783 --> 00:22:35,287 信長様を裏切らぬよう 見張るためとの噂があるが…。 183 00:22:38,958 --> 00:22:43,162 私のことも調べておられるのか? 184 00:22:45,831 --> 00:22:50,436 まさか! ハッハッハッハ! 185 00:22:50,436 --> 00:22:56,809 明智様も信長様のご意向で 近々 奉行におなりになると伺うております。➡ 186 00:22:56,809 --> 00:23:00,246 そういうお方をお調べするなど 恐れ多い! 187 00:23:00,246 --> 00:23:03,582 ただ 公家衆には お気を付け下さい。 188 00:23:03,582 --> 00:23:08,254 あのお方らは 必ず 寺や どこかの大名とつながっている。 189 00:23:08,254 --> 00:23:14,393 油断すれば 足をすくわれます。➡ 190 00:23:14,393 --> 00:23:18,597 そのことを申し上げたかったまでのこと。 191 00:23:22,101 --> 00:23:26,105 では… これにて。 192 00:23:37,283 --> 00:23:41,620 ハッハッハッハッハッハ…! 193 00:23:41,620 --> 00:23:43,956 藤吉郎は そういうやつだ。 194 00:23:43,956 --> 00:23:46,625 私の後を誰かにつけさせております。 195 00:23:46,625 --> 00:23:51,297 あまりいい気はしませぬ。 まあ 勘弁してやってくれ。 196 00:23:51,297 --> 00:23:56,135 わしが調べろと命じたら 犬の尻の穴まで調べてくる男じゃ。 197 00:23:56,135 --> 00:23:58,637 それゆえ信用できる。 198 00:23:58,637 --> 00:24:03,242 ま 何かと助けになる男ゆえ➡ 199 00:24:03,242 --> 00:24:08,380 うまく使うて 幕府の役に立ててもらいたい。 200 00:24:08,380 --> 00:24:11,583 その幕府ですが。 201 00:24:11,583 --> 00:24:14,920 腐り果てているのであろう? 202 00:24:14,920 --> 00:24:17,756 よくお分かりで…。 203 00:24:17,756 --> 00:24:26,098 皆 口をそろえて幕府の非道を責め わしになんとかしろと言いおる。 204 00:24:26,098 --> 00:24:32,404 しかし わしは将軍ではない。 205 00:24:32,404 --> 00:24:38,277 幕府のやることに いちいち口出しはせぬ。 206 00:24:38,277 --> 00:24:43,048 口をお出しになるべきかと存じまする。 207 00:24:43,048 --> 00:24:47,353 城だけ造れば 都が安泰というわけではありませぬ。 208 00:24:51,423 --> 00:24:55,627 4月に岐阜へお帰りになると伺いました。 209 00:24:55,627 --> 00:24:59,798 その前に 幕府の方々を 全て入れ替えるべきと存じまする。 210 00:24:59,798 --> 00:25:06,305 それは 将軍のおそばにおる そなたの役目であろう。 211 00:25:08,240 --> 00:25:13,112 越前の朝倉義景のもとに 三好の一党が出入りし➡ 212 00:25:13,112 --> 00:25:19,952 わしの留守の間に 美濃を攻めようと 企てているとの知らせが届いた。 213 00:25:19,952 --> 00:25:24,256 美濃を失えば この京も危ない。 214 00:25:24,256 --> 00:25:28,093 帰って戦支度をせねばならぬ。 215 00:25:28,093 --> 00:25:36,402 そのために そなたや権六や藤吉郎を 京の奉行にするよう幕府にのませたのだ。 216 00:25:36,402 --> 00:25:40,105 やり方は任せる。 217 00:25:40,105 --> 00:25:44,109 わしは 二条の城を見てくる。 218 00:25:49,281 --> 00:25:57,790 昔 幼い頃 父に尋ねたことがある。 219 00:26:00,225 --> 00:26:04,063 この世で一番偉いのは誰かと。 220 00:26:04,063 --> 00:26:09,935 それはお日様じゃと言われた。 フフッ…。 221 00:26:09,935 --> 00:26:15,774 お日様か。 その次に偉いのはと尋ねると➡ 222 00:26:15,774 --> 00:26:23,916 都におわす天子様 帝じゃと申された。 223 00:26:23,916 --> 00:26:28,587 わしには帝というものが分からなかった。 224 00:26:28,587 --> 00:26:36,929 その次はと尋ねると 帝をお守りする将軍様じゃと…。 225 00:26:36,929 --> 00:26:44,636 フフフ… 何だ 将軍は帝の門番かと思うた。 226 00:26:46,271 --> 00:26:54,947 我らは その門番をお守りするため 城を造っておるのだ。 227 00:26:54,947 --> 00:27:00,552 わしの父は不思議なお方でな 近頃の将軍様は➡ 228 00:27:00,552 --> 00:27:06,425 帝をお守りすることを忘れておられるゆえ わしがお守りするのじゃと申して➡ 229 00:27:06,425 --> 00:27:14,066 帝の御所の塀を直すために 4千貫もの大金を帝のもとに送った。 230 00:27:14,066 --> 00:27:19,238 都へ来たが わしは まだその塀を見たことがない。 231 00:27:19,238 --> 00:27:26,445 近頃 その塀が気になる。 奇妙じゃな。 232 00:27:34,720 --> 00:27:38,090  回想 (太夫)御所をご覧になれば よく分かります。 233 00:27:38,090 --> 00:27:41,293 帝がどれほどお困りか。 234 00:27:51,937 --> 00:27:55,774 (藤孝)藤孝でござる。 入ってよろしいか。 235 00:27:55,774 --> 00:27:58,076 ⚟お入り下され。 236 00:28:02,214 --> 00:28:06,552 十兵衛殿 面倒なことに巻き込まれておりますぞ。 237 00:28:06,552 --> 00:28:09,454 ん? これによると➡ 238 00:28:09,454 --> 00:28:12,424 十兵衛殿は 東寺八幡宮領の一部を押領したので➡ 239 00:28:12,424 --> 00:28:15,427 返せと訴えられている。 240 00:28:21,567 --> 00:28:24,603 (藤孝)ごく最近のこととある。➡ 241 00:28:24,603 --> 00:28:28,907 八幡宮領を手に入れられたのか? 242 00:28:32,210 --> 00:28:39,718 公方様より下されたので… 頂いた。 243 00:28:49,261 --> 00:28:51,463 御免! 244 00:29:02,541 --> 00:29:04,876 摂津殿。 245 00:29:04,876 --> 00:29:11,650 これはこれは 明智様 わざわざ政所に何用でござります? 246 00:29:11,650 --> 00:29:15,454 話がございます。 (摂津)ほう。 247 00:29:31,003 --> 00:29:38,744 ああ 八幡宮の領地… これが何か? 248 00:29:38,744 --> 00:29:43,582 私は公方様より 京へ妻子を呼び寄せるなら➡ 249 00:29:43,582 --> 00:29:47,085 家も要るであろう そのためのかかりもあろうと➡ 250 00:29:47,085 --> 00:29:52,591 領地を授かりました。 上洛を 支えてくれた礼にと仰せられてです。 251 00:29:52,591 --> 00:29:56,762 まさか 押領した土地とは 思いもしませんでした。 252 00:29:56,762 --> 00:30:00,265 公方様もご存じなかった。 253 00:30:00,265 --> 00:30:05,103 この手はずをつけたのは 政所ではありませぬか。 254 00:30:05,103 --> 00:30:08,607 それで? 255 00:30:08,607 --> 00:30:13,278 誰が押領した土地で 政所が いかにして手に入れたのか➡ 256 00:30:13,278 --> 00:30:18,784 教えて頂きたいのです。 山城の国は広うございます。 257 00:30:18,784 --> 00:30:22,287 八幡宮が どこに いかほど領地を持っていて➡ 258 00:30:22,287 --> 00:30:26,291 誰がどこを押領したか いちいち存じておりませぬ。 259 00:30:26,291 --> 00:30:30,162 ほう~ ハッハッハ! それで政所の頭人とは➡ 260 00:30:30,162 --> 00:30:36,435 いささか驚きますな。 公方様のおそばに 仕える者が訴えられておるのです。 261 00:30:36,435 --> 00:30:39,137 いちいち存じておらぬとは 何事でございますか。 262 00:30:39,137 --> 00:30:43,442 この政所には かような訴えは 山ほど参っております。 263 00:30:43,442 --> 00:30:47,312 さほど気になさるには及ばぬと 申し上げておるのです。 264 00:30:47,312 --> 00:30:51,316 その山ほどの訴えを 政所では どう裁いておられる。 265 00:30:51,316 --> 00:31:01,393 一つ一つ 念入りに 5年かけ 10年かけ 中身を吟味してまいります。 266 00:31:01,393 --> 00:31:04,296 そうやって 帝の丹波の御料地も➡ 267 00:31:04,296 --> 00:31:08,767 お仲間の武家に 与えられたのか? 268 00:31:08,767 --> 00:31:14,639 さほどにご不快なら この領地 お返しなさればよい。 269 00:31:14,639 --> 00:31:21,113 寺やお宮の領地などというものは 武士が 長年 守ってやってきたもの➡ 270 00:31:21,113 --> 00:31:24,416 その謝礼代わりに いささかの土地を預かり➡ 271 00:31:24,416 --> 00:31:27,285 日々の用の足しにするのは 当たり前のこと。 272 00:31:27,285 --> 00:31:31,123 それを とやかく申されては話にならぬ。 これは お返し頂こう! 273 00:31:31,123 --> 00:31:36,428 返して済む話ではありませぬ。 誰が押領したのか➡ 274 00:31:36,428 --> 00:31:41,800 幕府内に不正があるなら それをただし 処断するのが私の務めです。 275 00:31:41,800 --> 00:31:46,638 それまで お返しにならぬと? 276 00:31:46,638 --> 00:31:52,444 早々に政所で この訴えを詮議の上 事のてんまつをつまびらかにし➡ 277 00:31:52,444 --> 00:31:57,149 私にお教え願いたい。 その上でお返ししましょう。 278 00:31:57,149 --> 00:32:03,588 この訴え 見逃すわけにはいきませぬ。 279 00:32:03,588 --> 00:32:17,769 よろしうござります。 長々とした詮議になりましょうな。 280 00:32:17,769 --> 00:32:32,284 ♬~ 281 00:32:32,284 --> 00:32:36,955 困ったお方じゃ。 282 00:32:36,955 --> 00:32:44,696 世の仕組みを 教えてさしあげたのじゃが…。 283 00:32:44,696 --> 00:32:49,201 …じゃが! 284 00:33:07,586 --> 00:33:10,388 ハア…。 285 00:33:37,282 --> 00:33:43,154 (太夫)鼓打ちをお捜しなら もうここにはおりませぬよ。➡ 286 00:33:43,154 --> 00:33:47,959 それとも 道にお迷いになりましたか? 287 00:33:50,795 --> 00:33:57,969 御所へ… 帝の御所を拝見いたそうかと…。 288 00:33:57,969 --> 00:34:02,774 案内いたしましょうか。 289 00:34:21,259 --> 00:34:24,930 (太夫)随分 あちこち直したのですよ。➡ 290 00:34:24,930 --> 00:34:27,966 それでも まだこのように。➡ 291 00:34:27,966 --> 00:34:32,804 御門を守るお役人は数が少なく➡ 292 00:34:32,804 --> 00:34:38,276 お公家衆が 夜通し代わる代わる見回られて…➡ 293 00:34:38,276 --> 00:34:43,114 でも これでは誰でも中へ入れてしまう。 294 00:34:43,114 --> 00:34:50,789 子どもが入り込んで 木を折ったり 御殿に石を投げたりするそうです。➡ 295 00:34:50,789 --> 00:34:54,659 中へ入ってみますか? 296 00:34:54,659 --> 00:34:59,664 いや… 私は。 297 00:35:02,233 --> 00:35:07,906 中に入ると まず 小御所がございます。 298 00:35:07,906 --> 00:35:33,598 ♬~ 299 00:35:33,598 --> 00:35:40,305 私は捨て子で 近衛様に拾われたと申し上げましたね。 300 00:35:44,943 --> 00:35:52,117 私がここへ連れてこられた日は 私の行く末を案じた近衛様が➡ 301 00:35:52,117 --> 00:35:58,890 私を尼寺へ送ることを決め それをお伝えになったすぐ後で➡ 302 00:35:58,890 --> 00:36:05,764 私はまだ子どもで… また捨てられるのかと思い…➡ 303 00:36:05,764 --> 00:36:11,236 悲しくて… ずっと泣いていたのです。 304 00:36:11,236 --> 00:36:17,575 冬の日で 寒くて…。 305 00:36:17,575 --> 00:36:23,081 それで ここを歩いていたら 若いお公家が1人で➡ 306 00:36:23,081 --> 00:36:30,822 蹴鞠の稽古をしていたのです。 大層上手で 見とれていたら➡ 307 00:36:30,822 --> 00:36:35,260 そのお方が私に気付いて こう申されたのです。 308 00:36:35,260 --> 00:36:39,264 そんなに悲しいことがあるのかと…。 309 00:36:39,264 --> 00:36:43,401 そういう顔をしているぞと…。 310 00:36:43,401 --> 00:36:49,274 私に近づいてきて これをやるから もう泣くな。 311 00:36:49,274 --> 00:37:00,819 そう言って 懐から石を取り出し 私の手の上に載せてくれたのです。➡ 312 00:37:00,819 --> 00:37:10,495 とても温かい石で たき火で温めた温石だと申されました。➡ 313 00:37:10,495 --> 00:37:15,800 今でも その石を大事に持っていますよ。 314 00:37:21,906 --> 00:37:28,713 (太夫) 後で その方が方仁親王様と伺いました。 315 00:37:32,617 --> 00:37:36,421 今の帝であられます。 316 00:37:38,456 --> 00:37:49,767 あの日 親王様にお会いして 生まれて初めて人の顔が美しいと思った。 317 00:37:49,767 --> 00:37:55,773 私は 尼寺へ行きたくなくて…。 318 00:37:57,642 --> 00:38:02,447 近衛家を飛び出し… 今日まで…。 319 00:38:04,883 --> 00:38:13,358 でも この壊れた塀を見ると ここを直さなくては…➡ 320 00:38:13,358 --> 00:38:18,196 ここだけでも きれいにしておかねば…➡ 321 00:38:18,196 --> 00:38:21,699 そう思って…。 322 00:38:25,103 --> 00:38:29,807 自分が泥にまみれて 生きているものだから…。 323 00:38:34,779 --> 00:38:37,482 (太夫)フフフ…。 324 00:38:48,193 --> 00:38:55,900 信長が総力を挙げた二条城が 約束にたがわず 2か月余りで完成した。 325 00:38:58,269 --> 00:39:05,577 各地の大名たちに 織田信長の底力を示す出来事であった。 326 00:39:08,880 --> 00:39:11,382 おお…。 327 00:39:25,330 --> 00:39:29,734 (義昭)信長殿! 見事な城じゃの! 328 00:39:29,734 --> 00:39:33,571 驚き入った! 大した出来栄えじゃ! 329 00:39:33,571 --> 00:39:37,442 かたじけない! かたじけない! 330 00:39:37,442 --> 00:39:39,444 我らも うれしうござります。 331 00:39:39,444 --> 00:39:46,918 皆 礼を申せ! 信長殿こそ この都をよみがえらせた恩人じゃ! 332 00:39:46,918 --> 00:39:50,588 大恩人ぞ! 礼を申せ! 333 00:39:50,588 --> 00:39:54,459 (一同)ありがとうございまする。 334 00:39:54,459 --> 00:39:58,263 こは 皆が力を合わせたるたまもの。 335 00:39:58,263 --> 00:40:02,934 公方様 どうぞ中をご覧下さりませ。 中へ。 336 00:40:02,934 --> 00:40:05,937 藤吉郎 ご案内いたせ! ははっ! 337 00:40:07,772 --> 00:40:12,277 公方様 皆様方 どちら様も➡ 338 00:40:12,277 --> 00:40:18,983 ズズッと~ 中へ~! 339 00:40:29,127 --> 00:40:32,964 両名 苦労をかけた。 340 00:40:32,964 --> 00:40:39,270 浅井殿 ご存じかと思うが 細川藤孝殿と明智十兵衛じゃ。 341 00:40:41,439 --> 00:40:44,342 浅井殿は 近江より わざわざ➡ 342 00:40:44,342 --> 00:40:47,812 大勢の大工や職人をお送り下された。 343 00:40:47,812 --> 00:40:51,649 妹の市を嫁に送り込んでおいたかいが あったというものじゃ。 344 00:40:51,649 --> 00:40:55,520 ハッハッハッハ…! (浅井長政)恐れ入りましてござります。 345 00:40:55,520 --> 00:40:57,822 私も中を拝見。 うむ。 346 00:40:57,822 --> 00:41:00,625 (藤孝)ご同道つかまつります。 347 00:41:02,660 --> 00:41:05,563 十兵衛。 は? 348 00:41:05,563 --> 00:41:08,266 折り入って話がある。 349 00:41:12,770 --> 00:41:19,477 2~3日でよい。 わしの後から美濃へ戻ってまいれ。 350 00:41:21,946 --> 00:41:30,121 越前の朝倉義景の件で そなたの話を聞いておきたい。 351 00:41:30,121 --> 00:41:46,671 ♬~ 352 00:41:46,671 --> 00:41:53,144 二条城築城後 信長は直ちに岐阜へ戻っていった。 353 00:41:53,144 --> 00:41:56,981 次の戦が迫っていた。 354 00:41:56,981 --> 00:42:22,974 ♬~ 355 00:42:30,281 --> 00:42:33,618 出陣じゃ! (一同)オ~! 356 00:42:33,618 --> 00:42:38,489 勅命を頂いたのじゃ。 戦の勅命を! 357 00:42:38,489 --> 00:42:41,793 戦の備えじゃ! 我らは 京の外へ➡ 358 00:42:41,793 --> 00:42:44,695 一歩たりとも出るつもりはない。 359 00:42:44,695 --> 00:42:47,298 信長殿お一人でどうぞ。 360 00:42:47,298 --> 00:42:50,968 信長様お一人の戦となります。 賭けだな…。 361 00:42:50,968 --> 00:42:53,304 それゆえ 私は申し上げました。 362 00:42:53,304 --> 00:42:55,306 朝倉をお討ちなされと。