1 00:00:02,202 --> 00:00:07,908 (正親町天皇) 実澄… 気に入ったのであろう 明智を…。 2 00:00:11,278 --> 00:00:15,582 (正親町天皇) 折を見て 連れてまいるがよい。 3 00:00:22,289 --> 00:00:26,593 (侍女)明智様の支度が 整いましてございます。 4 00:00:29,162 --> 00:00:32,299 (伊呂波太夫)フフフッ…。 5 00:00:32,299 --> 00:00:35,636 おや お似合いとは申しませんが➡ 6 00:00:35,636 --> 00:00:41,308 いかにも三条西家の御用人のようで よろしいのではありませんか? 7 00:00:41,308 --> 00:00:43,243 (三条西実澄)うむ。 8 00:00:43,243 --> 00:00:47,180 (明智十兵衛光秀)これで御所へ? 9 00:00:47,180 --> 00:00:50,317 (実澄)さよう。 10 00:00:50,317 --> 00:00:59,660 そなたは 帝が いかなるお方か 知りたいと言うて参られた。 11 00:00:59,660 --> 00:01:06,466 人を知るには 目を見 声を聞くこと。 12 00:01:06,466 --> 00:01:15,609 今日 それができるかどうかであるが ご尊顔を拝するのは無理として➡ 13 00:01:15,609 --> 00:01:21,281 お声は僅かに拝聴できるやもしれぬ。 14 00:01:21,281 --> 00:01:25,152 それゆえ お誘いしたまでじゃ。 15 00:01:25,152 --> 00:01:28,455 いかがなされる? 16 00:01:30,290 --> 00:01:33,627 お供させて頂きます。 17 00:01:33,627 --> 00:01:50,978 ♬~ 18 00:01:50,978 --> 00:01:55,649 そなたは ここに控えておれ。 19 00:01:55,649 --> 00:01:57,651 はっ。 20 00:02:14,935 --> 00:02:22,943 (鐘の音) 21 00:02:25,946 --> 00:05:07,641 ♬~ 22 00:06:20,113 --> 00:06:28,255 (実澄)「春風吹く中 川を渡り 水を看➡ 23 00:06:28,255 --> 00:06:35,595 頭上の花を看ながら いつの間にか友の家に着いていた」。 24 00:06:35,595 --> 00:06:44,604 人は水の流れや花を見る時 無心に時を過ごす。 25 00:06:44,604 --> 00:06:51,911 いつの世も そうありたいものよのう。 26 00:06:54,948 --> 00:07:02,555 この詩を読む時 ちんも そう生きたいと思うが➡ 27 00:07:02,555 --> 00:07:06,426 実澄はどうか? 28 00:07:06,426 --> 00:07:08,428 は…。 29 00:07:11,898 --> 00:07:20,907 今日は 庭に珍しき鳥が舞い降りております。 30 00:07:20,907 --> 00:07:26,579 「万葉」の歌を好む 珍しき鳥ゆえ➡ 31 00:07:26,579 --> 00:07:33,920 そのことを お聞きあそばれてみるのも 一興かと。 32 00:07:33,920 --> 00:07:37,791 かの者が参っておるのか? 33 00:07:37,791 --> 00:08:01,881 ♬~ 34 00:08:01,881 --> 00:08:07,187 珍しき庭の鳥へ。 35 00:09:00,073 --> 00:09:03,810 私も そのように生きたく存じまする。 36 00:09:03,810 --> 00:09:11,117 さりながら 迷いながらの道でございます。 37 00:09:14,454 --> 00:09:18,458 ⚟(正親町天皇)目指すは いずこぞ? 38 00:09:22,896 --> 00:09:26,566 穏やかな世でございます! 39 00:09:26,566 --> 00:09:31,237 ⚟(正親町天皇)その道は遠いのう…➡ 40 00:09:31,237 --> 00:09:42,248 ちんも迷う… なれど 迷わずに歩もうではないか。 41 00:09:47,587 --> 00:09:58,298 明智十兵衛 その名を胸にとどめ置くぞよ。 42 00:10:01,134 --> 00:10:03,603 は…。 43 00:10:03,603 --> 00:10:41,307 ♬~ 44 00:10:41,307 --> 00:10:51,618  回想 (正親町天皇)ちんも迷う… なれど 迷わずに歩もうではないか。 45 00:10:55,655 --> 00:10:57,657 (熙子)殿。 46 00:11:01,261 --> 00:11:05,932 (熙子)近江より柴田勝家様と 佐久間信盛様がお着きになり➡ 47 00:11:05,932 --> 00:11:08,935 お待ちでございます。 48 00:11:10,603 --> 00:11:13,506 ああ そうか。 49 00:11:13,506 --> 00:11:17,510 すっかり お待たせしてしもうたな。 50 00:11:22,615 --> 00:11:28,955 (木下藤吉郎)柴田様も佐久間様も 織田家では昔からのお重役。 51 00:11:28,955 --> 00:11:33,293 私ごとき成り上がり者が➡ 52 00:11:33,293 --> 00:11:38,164 かように申し上げるのは はなはだ無礼とは存じますが➡ 53 00:11:38,164 --> 00:11:41,167 あえて申し上げたい。 54 00:11:41,167 --> 00:11:49,309 お二方は 信長様に おもねり過ぎる。 55 00:11:49,309 --> 00:11:52,612 (柴田勝家)もうよい 黙れ! 56 00:11:55,181 --> 00:12:00,920 ただいま戻りました。 お待たせいたし申し訳ございませぬ。 57 00:12:00,920 --> 00:12:03,256 (しゃっくり) (柴田)おお! 58 00:12:03,256 --> 00:12:07,126 (佐久間信盛)我らこそ かようなお気遣い かたじけのうござる。 59 00:12:07,126 --> 00:12:09,429 いえ いえ…。 60 00:12:14,867 --> 00:12:18,605 信長様から 文で子細は承っております。 61 00:12:18,605 --> 00:12:24,477 大和の国は 松永久秀様と 筒井順慶様の争いが あちこちに広がり➡ 62 00:12:24,477 --> 00:12:27,614 河内の国にまで飛び火している由。 63 00:12:27,614 --> 00:12:31,484 私にも出陣の備えをせよとの お達しがありました。 64 00:12:31,484 --> 00:12:34,287 やっかいな話じゃ。 65 00:12:34,287 --> 00:12:39,959 殿は 公方様の強いご意向ゆえ 松永を討つと仰せられ➡ 66 00:12:39,959 --> 00:12:46,299 我らに出陣を命じられたが いつになく歯切れが悪うてな。 67 00:12:46,299 --> 00:12:50,637 そりゃ やる気がないからじゃ。 68 00:12:50,637 --> 00:12:56,509 先ほど 二条城へ参り 公方様にご挨拶をしてまいったが➡ 69 00:12:56,509 --> 00:13:03,216 なんとしても松永の首を取れと仰せられ 明智殿にもお知恵を借りて➡ 70 00:13:03,216 --> 00:13:08,121 戦支度を急げと きつく催促されました。 71 00:13:08,121 --> 00:13:10,923 (ため息) 72 00:13:10,923 --> 00:13:15,261 松永 筒井両所には 一度 和睦をして頂いたが➡ 73 00:13:15,261 --> 00:13:18,598 しょせん 水と油の仲。 74 00:13:18,598 --> 00:13:24,270 おまけに 公方様は 前の将軍で兄君の 義輝様を殺した張本人は➡ 75 00:13:24,270 --> 00:13:28,941 松永じゃと思い込んでおられる。 始末に負えぬわ! 76 00:13:28,941 --> 00:13:34,814 柴田殿 始末に負えぬとは言葉が過ぎようぞ。 77 00:13:34,814 --> 00:13:39,952 い~や! 始末に負えぬ。 78 00:13:39,952 --> 00:13:43,823 松永を討つ暇があったら 近江の浅井長政を討つべきであり➡ 79 00:13:43,823 --> 00:13:46,826 越前の朝倉も片づけるべきでござる。➡ 80 00:13:46,826 --> 00:13:53,499 公方様は ああ見えて油断のならぬお方じゃ。 81 00:13:53,499 --> 00:13:57,970 わしは 公方様が朝倉や浅井に密書を送り➡ 82 00:13:57,970 --> 00:14:01,240 上洛を促しておるのは つかんでおる。➡ 83 00:14:01,240 --> 00:14:05,111 信長様が 大和と河内に兵を送って➡ 84 00:14:05,111 --> 00:14:08,581 近江や美濃が手薄になったところへ 朝倉たちに➡ 85 00:14:08,581 --> 00:14:13,453 一気に信長様を攻めさせようとの 魂胆とにらんでおりますが いかがか! 86 00:14:13,453 --> 00:14:16,255 わしは そこまで思うておらぬ。 87 00:14:16,255 --> 00:14:19,158 それが甘いと申し上げておるのじゃ! 88 00:14:19,158 --> 00:14:23,930 何が甘い! 大~甘じゃ。 89 00:14:23,930 --> 00:14:29,235 お育ちのよろしい方々は そういうところが手ぬるい。 90 00:14:30,803 --> 00:14:35,942 そもそも 柴田様も佐久間様も➡ 91 00:14:35,942 --> 00:14:40,947 本心で松永を討ちたいと思われますか? 92 00:14:46,285 --> 00:14:50,623 さて 厠へ行くとするか。➡ 93 00:14:50,623 --> 00:14:56,963 明日は近江へ戻って 浅井を討つ算段じゃ~! 94 00:14:56,963 --> 00:14:58,965 猿めが! 95 00:15:07,907 --> 00:15:11,244 長居をいたしました。 いえ。 96 00:15:11,244 --> 00:15:16,916 こたびは いろいろ やっかい。 何かと相談に乗って頂きたい。 97 00:15:16,916 --> 00:15:18,918 喜んで。 98 00:15:22,789 --> 00:15:27,794 一度 申し上げようと思うていたのだが…。 99 00:15:31,264 --> 00:15:39,138 比叡山を攻めた折 殿は 叡山の者は ことごとく殺せと命じられた。 100 00:15:39,138 --> 00:15:45,812 だが 明智殿は 女子と子どもを助け 戦のあとで➡ 101 00:15:45,812 --> 00:15:50,516 それを殿に はっきり申し上げたと聞きました。 102 00:15:52,285 --> 00:16:00,593 こたびの戦も 明智殿の思うところを 殿に直言して頂きたい。 103 00:16:02,094 --> 00:16:05,798 それを申し上げたかった。 104 00:16:07,567 --> 00:16:10,269 では。 105 00:16:14,240 --> 00:16:16,943 (佐久間)待たせた。 106 00:16:22,582 --> 00:16:25,918 元亀2年から元亀3年にかけ➡ 107 00:16:25,918 --> 00:16:31,257 大和の松永久秀は 筒井順慶ら近隣の幕府方と➡ 108 00:16:31,257 --> 00:16:34,927 戦を繰り広げていた。 その松永に対し➡ 109 00:16:34,927 --> 00:16:37,263 足利義昭と幕府は➡ 110 00:16:37,263 --> 00:16:39,966 鎮圧に乗り出そうと していた。 111 00:16:41,601 --> 00:16:44,270 (三淵藤英)おお 参られたか。➡ 112 00:16:44,270 --> 00:16:47,940 公方様もお待ちかねじゃ。 113 00:16:47,940 --> 00:16:50,843 広間でございますか? 114 00:16:50,843 --> 00:16:57,283 庭じゃ。 庭で これをやっておられる。 115 00:16:57,283 --> 00:16:59,585 (足利義昭)セイッ! 116 00:17:05,892 --> 00:17:08,561 (小姓)恐れ入りましてござります! 117 00:17:08,561 --> 00:17:13,900 もう音を上げるのか。 張り合いのないやつじゃ。 118 00:17:13,900 --> 00:17:20,573 公方様が… 剣術を。 119 00:17:20,573 --> 00:17:25,244 兄君の義輝様は 剣の達人におわした。 120 00:17:25,244 --> 00:17:28,915 公方様は ここのところ それを気にされていてな➡ 121 00:17:28,915 --> 00:17:33,252 戦に行くにも 多少の心得があった方がよかろうと➡ 122 00:17:33,252 --> 00:17:37,924 剣の心得がある者を捕まえては 指南を受けておられる。 123 00:17:37,924 --> 00:17:44,597 兄君は兄君。 公方様は公方様なのだが…。 124 00:17:44,597 --> 00:17:49,468 私はよいと思う。 公方様は武家の棟梁。 125 00:17:49,468 --> 00:17:52,939 諸国の大名たちに侮られるようでは困る。 126 00:17:52,939 --> 00:17:56,809 そういう心構えの表れと 拝察しておるのじゃ。 127 00:17:56,809 --> 00:18:04,517 摂津殿を追放して以来 ご自身の役割を しかと悟られたようじゃ。 128 00:18:08,220 --> 00:18:11,524 おう 十兵衛か。 129 00:18:14,560 --> 00:18:18,898 (義昭)どうじゃ 下りてきて 手合わせをしてくれぬか。➡ 130 00:18:18,898 --> 00:18:23,903 こやつらでは 相手にならぬ。 は? 131 00:18:25,571 --> 00:18:31,243 公方様 十兵衛殿は 弟 藤孝も舌を巻くほどの剣の使い手。 132 00:18:31,243 --> 00:18:34,146 あまりお勧めはいたしませぬ。 133 00:18:34,146 --> 00:18:38,117 それゆえ 太刀さばきを見てみたいのじゃ。 134 00:18:38,117 --> 00:18:42,855 十兵衛 たっての所望ぞ。 下りてまいれ。 135 00:18:42,855 --> 00:18:46,792 いえ その儀ばかりはご容赦を…。 136 00:18:46,792 --> 00:18:50,096 それを十兵衛に渡せ。 (近習)はっ。 137 00:18:54,934 --> 00:18:58,804 公方様のお望みじゃ。 お受けなされ。 138 00:18:58,804 --> 00:19:03,109 十兵衛 参れ。 139 00:19:34,240 --> 00:19:36,542 タ~ッ! 140 00:19:40,112 --> 00:19:42,114 来~い! 141 00:20:03,936 --> 00:20:09,642 (荒い息遣い) 142 00:20:18,284 --> 00:20:24,990 死にとうない… その一心で 大和を出てまいった。 143 00:20:26,625 --> 00:20:29,328 タァ~ッ! 144 00:20:32,965 --> 00:20:37,303 私がもし将軍になれば 人を救える。 145 00:20:37,303 --> 00:20:40,306 貧しい人々を…。 146 00:20:43,976 --> 00:20:45,978 わ~っ! 147 00:20:49,849 --> 00:20:54,620 美濃へ行く。 そなたを信じよう。 148 00:20:54,620 --> 00:20:58,324 公方様 ここまでにいたしましょう。 149 00:20:58,324 --> 00:21:01,927 もっとじゃ! このままでは引き下がらぬぞ! 150 00:21:01,927 --> 00:21:06,232 うわ~っ! うわ~っ うわ~っ! ああ~っ! 151 00:21:12,571 --> 00:21:15,875 さあ…。 うわ~っ! 152 00:21:19,278 --> 00:21:24,150 我らにとって ここは夢の都であった。 153 00:21:24,150 --> 00:21:27,953 その美しき都に戻さねばなりませぬ。 154 00:21:27,953 --> 00:21:30,289 (義昭)自信はあるか? 155 00:21:30,289 --> 00:21:32,992 ございます! 156 00:21:34,627 --> 00:21:42,635 (荒い息遣い) 157 00:21:45,638 --> 00:21:48,974 もう今日は ここまでで よいではありませぬか? 158 00:21:48,974 --> 00:21:52,311 さあ あちらへ参りましょう。 159 00:21:52,311 --> 00:22:12,932 ♬~ 160 00:22:12,932 --> 00:22:17,269 (熙子)白湯でも お持ちいたしましょうか? 161 00:22:17,269 --> 00:22:21,574 いや 何も要らん。 162 00:22:41,961 --> 00:22:47,299 昨日 御所へ行った。 163 00:22:47,299 --> 00:22:50,636 (熙子)御所へ? 164 00:22:50,636 --> 00:22:56,308 御所で 帝のお声を聞いた…。 165 00:22:56,308 --> 00:23:05,017 信長様が 帝を敬うておられるのが 少し分かった。 166 00:23:08,888 --> 00:23:20,933 我ら武士は 将軍の名の下に集まり 世を平らかにすべき そう思うてきた。 167 00:23:20,933 --> 00:23:30,943 だが 信長様は もはや そう思うておられぬのかもしれぬ。 168 00:23:30,943 --> 00:23:34,647 そう思うた。 169 00:23:44,290 --> 00:23:51,163 (熙子)昨日 左馬助が 近江から帰りました。➡ 170 00:23:51,163 --> 00:23:56,869 坂本城が だいぶ出来上がったと うれしそうに話していました。 171 00:23:56,869 --> 00:23:59,571 うむ…。 172 00:24:03,242 --> 00:24:09,581 そうじゃ。 一緒に城を見に行かぬか。 坂本へ…。 173 00:24:09,581 --> 00:24:13,919 は…? 城が出来たら まず誰よりも先➡ 174 00:24:13,919 --> 00:24:16,922 そなたに見せてやろうと。 175 00:24:19,591 --> 00:24:23,929 はい うれしうございます! 176 00:24:23,929 --> 00:24:26,265 うむ…。 177 00:24:26,265 --> 00:24:50,956 ♬~ 178 00:24:50,956 --> 00:24:56,295 これが 天主というものですか? 179 00:24:56,295 --> 00:24:58,297 うむ。 180 00:25:07,906 --> 00:25:16,915 ここに立って外を見ると この城が 湖に浮かんでいるように思える。 181 00:25:16,915 --> 00:25:24,590 (熙子) まことに… 湖の中にいるような…! 182 00:25:24,590 --> 00:25:33,265 この城は水城。 堀は外湖に続いておる。 183 00:25:33,265 --> 00:25:39,571 そなたと子どもたちを舟に乗せ 月見に 漕ぎ出してゆくのだ。 184 00:25:41,607 --> 00:25:47,913 湖の上で 子どもたちに古き歌を教える。 185 00:25:50,282 --> 00:25:57,956 「月は舟 星は白波」…。 186 00:25:57,956 --> 00:26:06,231 「雲は海 いかに漕ぐらん桂男は」…。 187 00:26:06,231 --> 00:26:11,537 「ただ一人して」。 (笑い声) 188 00:26:19,778 --> 00:26:23,482 必ず皆をここへ呼び寄せる。 189 00:26:25,584 --> 00:26:31,590 人質として そなたたちを京に残せとは…。 190 00:26:34,593 --> 00:26:38,464 いかに公方様でも➡ 191 00:26:38,464 --> 00:26:45,471 何と仰せになろうと その儀だけは のめぬ! 192 00:26:56,281 --> 00:27:01,553 この近江の国は➡ 193 00:27:01,553 --> 00:27:14,266 美濃の国と京との ちょうど中ほどでございましょうか? 194 00:27:18,570 --> 00:27:23,275 今 どちらに心を引かれておられますか? 195 00:27:48,267 --> 00:27:51,169 どちらも大事なのだ。 196 00:27:51,169 --> 00:27:54,473 どちらも。 197 00:27:58,277 --> 00:28:01,280 ただ…。 198 00:28:03,549 --> 00:28:07,553 今のままでは済まぬやもしれぬ。 199 00:28:16,562 --> 00:28:24,903 元亀3年 春 幕府と織田の連合軍が 河内の国に向けて出陣をした。 200 00:28:24,903 --> 00:28:28,574 松永久秀と 松永に急接近してきた➡ 201 00:28:28,574 --> 00:28:33,879 三好の一党を討つための 大がかりな出陣であった。 202 00:28:35,914 --> 00:28:42,588 これより 松永を討つ! 203 00:28:42,588 --> 00:28:44,590 (一同)はっ! 204 00:28:46,258 --> 00:28:53,599 しかし 織田信長は この戦に加わらず 河内に攻め込んだ連合軍も➡ 205 00:28:53,599 --> 00:28:58,604 松永久秀を取り逃がし 戦を終えた。 206 00:29:07,546 --> 00:29:13,218 (武田信玄)このところ 信長の動きが鈍い。 207 00:29:13,218 --> 00:29:18,924 公方様との足並みにも 乱れがある。 208 00:29:20,892 --> 00:29:29,568 その公方様は わしに上洛せよと矢の催促じゃ。 209 00:29:29,568 --> 00:29:38,243 出陣の機は熟したと思うが どうじゃ? 210 00:29:38,243 --> 00:29:41,146 (一同)はっ! 211 00:29:41,146 --> 00:29:51,590 まず 遠江へ出て 浜松城の徳川家康を討つ! 212 00:29:51,590 --> 00:29:57,462 その年の10月 信玄は 京に向かって進撃を開始した。 213 00:29:57,462 --> 00:30:00,599 出陣じゃ! 214 00:30:00,599 --> 00:30:03,602 (一同)はは~っ! 215 00:30:16,148 --> 00:30:21,887 (織田信長)十兵衛が坂本にいると 便利じゃ。 呼べば翌日には来る。 216 00:30:21,887 --> 00:30:26,625 私も申し上げたき儀があり 好都合でございました。 217 00:30:26,625 --> 00:30:31,963 まず わしの話じゃ。 はっ。 218 00:30:31,963 --> 00:30:37,636 3日前 夢を見た。 219 00:30:37,636 --> 00:30:48,347 甲斐より 大入道が上洛し わしを捕らえて 公方様の前に突き出すのじゃ。 220 00:30:49,981 --> 00:30:59,324 公方様は 事もなげに 耳と鼻とをそぎ落とし➡ 221 00:30:59,324 --> 00:31:04,930 五条の橋にさらせと仰せになる。 222 00:31:04,930 --> 00:31:08,266 そこで目が覚めた。 223 00:31:08,266 --> 00:31:16,141 恐ろしい夢じゃ。 しかし こう思うた。 224 00:31:16,141 --> 00:31:21,813 近頃 わしは 公方様に冷たく当たったかもしれぬ。 225 00:31:21,813 --> 00:31:29,287 そなたも目を通したであろう。 公方様に送った あの文を。 226 00:31:29,287 --> 00:31:35,627 いくつもの例を挙げて 公方様をおいさめした。 227 00:31:35,627 --> 00:31:41,299 よく働いた家臣に褒美をやらず➡ 228 00:31:41,299 --> 00:31:48,640 己がかわいいと思う近習の者にのみ 金品を与える。 229 00:31:48,640 --> 00:31:58,316 わしの許しも得ず 諸国に御内書を送り 寺社の領地を没収したり➡ 230 00:31:58,316 --> 00:32:03,155 お支えするこの信長も面目が立たぬと。 231 00:32:03,155 --> 00:32:09,261 まことに手厳しい文でございました。 232 00:32:09,261 --> 00:32:18,603 後で思うた。 どうも 遠慮が足りなんだようじゃ。 233 00:32:18,603 --> 00:32:27,612 夢とはいえ あれで わしは 耳 鼻をそがれることになったのだ。 234 00:32:27,612 --> 00:32:30,949 違うか? 235 00:32:30,949 --> 00:32:34,953 そこで思いついたのじゃ。 236 00:32:39,958 --> 00:32:45,630 この鵠を差し上げ 日々のお慰みにして頂こうかと。 237 00:32:45,630 --> 00:32:51,336 公方様も 幾分 ご機嫌を直して頂けると思うてな。 238 00:32:56,274 --> 00:33:04,115 松永久秀を討てと命じられた折も すかさず兵を出した。 239 00:33:04,115 --> 00:33:08,587 わしなりに気を遣うておるのじゃ。 240 00:33:08,587 --> 00:33:11,923 そう思わぬか。 241 00:33:11,923 --> 00:33:15,794 気をお遣いになるのであれば 親しきお大名にも➡ 242 00:33:15,794 --> 00:33:19,264 いま少し お気を遣われるべきかと。 243 00:33:19,264 --> 00:33:21,600 何? 244 00:33:21,600 --> 00:33:27,272 徳川家康殿の領地に 武田信玄が 攻め込んでいるとの知らせが入りました。 245 00:33:27,272 --> 00:33:31,142 武田勢は 2万以上の兵だと聞いております。 246 00:33:31,142 --> 00:33:34,613 家康殿の軍は せいぜい7,000~8,000。 247 00:33:34,613 --> 00:33:40,952 3,000の援軍では 到底 勝ち目がございますまい。 248 00:33:40,952 --> 00:33:47,292 しかたあるまい。 こちらも ギリギリでやっておる。 249 00:33:47,292 --> 00:33:53,598 越前の朝倉が 北近江に1万5,000の兵を繰り出し…。 250 00:33:55,166 --> 00:33:59,871 明日 わしも出陣する。 251 00:33:59,871 --> 00:34:07,245 家康を助けても わしが負けたら元も子もあるまい。 252 00:34:07,245 --> 00:34:10,582 信長様には 公方様がついておられます。 253 00:34:10,582 --> 00:34:14,452 そのお声一つで 畿内の大名が はせ参じましょう。 254 00:34:14,452 --> 00:34:18,924 しかし 家康殿は違います。 家康殿は信長様を敬い➡ 255 00:34:18,924 --> 00:34:24,796 頼りにしておられます。 我らも 家康殿に どれほど助けられたか分かりませぬ。 256 00:34:24,796 --> 00:34:29,935 せめて あと3,000。 いや 2,000でも構いませぬ。 援軍を! 257 00:34:29,935 --> 00:34:32,270 十兵衛。 258 00:34:32,270 --> 00:34:40,946 夢の話をしたであろう。 公方様が そうまで当てになるお方と思うか? 259 00:34:40,946 --> 00:34:50,956 信玄も 朝倉も 浅井も 皆 公方様が上洛を促しておられる。 260 00:34:50,956 --> 00:34:54,826 わしを追い落とすつもりか? 261 00:34:54,826 --> 00:34:57,629 さようなことは断じて…! 262 00:34:57,629 --> 00:35:01,232 公方様をお支えしているのは 信長様であると➡ 263 00:35:01,232 --> 00:35:06,104 公方様もご存じのはず。 決して追い落とすなどと! 264 00:35:06,104 --> 00:35:12,110 もし さような動きがあれば この十兵衛が 食い止めてご覧に入れまする! 265 00:35:17,582 --> 00:35:20,285 ふむ…。 266 00:35:30,161 --> 00:35:36,267 以前 帰蝶が申しておった。 267 00:35:36,267 --> 00:35:43,975 十兵衛は どこまでも十兵衛じゃと。 268 00:35:50,615 --> 00:35:57,956 あの鳥を 公方様にお届けせよ。 269 00:35:57,956 --> 00:36:00,225 はっ。 270 00:36:00,225 --> 00:36:02,894 (若侍)申し上げます! ん? 271 00:36:02,894 --> 00:36:06,564 (若侍)遠江より急ぎの使者が参り 遠江の三方ヶ原において➡ 272 00:36:06,564 --> 00:36:11,569 徳川様と我が援軍が 武田の軍勢に大敗したとのこと! 273 00:36:17,208 --> 00:36:22,113 (駒)これは 徳大寺様の館へお持ちして。 これは 頂妙寺。 274 00:36:22,113 --> 00:36:25,250 (望月東庵)駒! (駒)はい。ああ…。 275 00:36:25,250 --> 00:36:33,124 今 二条城から使いのお侍が見えて これを駒に渡してくれと言うて➡ 276 00:36:33,124 --> 00:36:40,432 お帰りになった。 いや~ 随分急いでおいでで…。 277 00:36:50,275 --> 00:36:53,178 公方様からの文だ。 278 00:36:53,178 --> 00:36:58,950 今までお渡ししたお金 全部 鉄砲を買わせてくれと! 279 00:36:58,950 --> 00:37:02,654 戦に勝ったら返すって…。 280 00:37:12,897 --> 00:37:19,904 この鵠は 来るのが遅かった。 281 00:37:21,906 --> 00:37:24,242 は? 282 00:37:24,242 --> 00:37:27,912 (義昭) もはや これを受け取るわけにはいかぬ。 283 00:37:27,912 --> 00:37:30,248 何故でございますか? 284 00:37:30,248 --> 00:37:37,555 わしは信長との戦を覚悟したのじゃ。 285 00:37:39,257 --> 00:37:41,960 公方様…! 286 00:37:47,932 --> 00:37:52,804 (義昭)信長が わしによこした 十七ヶ条の異見書じゃ。 287 00:37:52,804 --> 00:37:55,273 罵詈雑言じゃ!➡ 288 00:37:55,273 --> 00:38:01,546 帝への配慮が足りぬだの 将軍の立場を利用し➡ 289 00:38:01,546 --> 00:38:05,416 金銀をため込んで まことに評判悪しきゆえ➡ 290 00:38:05,416 --> 00:38:08,119 恥ずべきであると! 291 00:38:09,888 --> 00:38:13,191 (義昭)もはや 我慢がならぬ。 292 00:38:15,560 --> 00:38:20,231 今や 武田信玄が上洛の途上にある。 293 00:38:20,231 --> 00:38:28,106 朝倉と浅井が信玄に呼応して 近江で 信長を挟み撃ちにすると伝えてきておる。 294 00:38:28,106 --> 00:38:35,246 徳川も既に敗れ 松永も敵に回った。 295 00:38:35,246 --> 00:38:39,551 信長の命運は尽きた! 296 00:38:41,586 --> 00:38:48,259 松永様を敵に回すよう はかられたのは 公方様ではありませぬか! 297 00:38:48,259 --> 00:38:51,930 はかったとは何事! あ…➡ 298 00:38:51,930 --> 00:38:55,600 申し訳ございませぬ! 明智殿。 299 00:38:55,600 --> 00:39:01,406 上洛の折は 信長殿には 一方ならぬ恩を受けた。 300 00:39:01,406 --> 00:39:10,114 しかし このところの信長殿は 帝 帝と 御所のみに顔を向けておられる。➡ 301 00:39:10,114 --> 00:39:14,886 武家の棟梁など なきもののごとく 振る舞われておる。 302 00:39:14,886 --> 00:39:21,759 明智殿にも熟慮頂き 我らと共に公方様をお支えし➡ 303 00:39:21,759 --> 00:39:27,065 新しき世のための戦に はせ参じて頂きたい。 304 00:39:32,437 --> 00:39:36,908 戦に はせ参じよと? 305 00:39:36,908 --> 00:39:41,246 誰との戦に? 306 00:39:41,246 --> 00:39:43,915 信長様と戦えと!? 307 00:39:43,915 --> 00:39:46,818 (三淵)明智殿は 今や 幕府にとって なくてはならぬお方! 308 00:39:46,818 --> 00:39:50,822 ここは なんとしてもご決心頂きたい! 309 00:39:53,258 --> 00:40:02,967 公方様 どうか いま一度… いま一度 お考え直しを…! 310 00:40:04,602 --> 00:40:07,305 決めたのじゃ。 311 00:40:09,274 --> 00:40:16,147 わしは 信玄と共に戦う!➡ 312 00:40:16,147 --> 00:40:26,858 信長から離れろ。 わしのために… そうしてくれ。 313 00:40:39,637 --> 00:40:42,540 公方様…! 314 00:40:42,540 --> 00:41:02,860 ♬~ 315 00:41:02,860 --> 00:41:06,164 それは できませぬ。 316 00:41:07,799 --> 00:41:10,501 十兵衛…。 317 00:41:12,537 --> 00:41:14,939 御免! 318 00:41:14,939 --> 00:41:18,643 十兵衛殿! 追うな! 319 00:41:28,953 --> 00:41:34,959 十兵衛は鳥じゃ。 320 00:41:36,627 --> 00:41:40,298 籠から出た鳥じゃ…。 321 00:41:40,298 --> 00:41:47,638 また 飛んで戻ってくるやもしれぬ。 322 00:41:47,638 --> 00:42:01,185 ♬~ 323 00:42:01,185 --> 00:42:12,497 (おえつ) 324 00:42:16,601 --> 00:42:21,472 将軍 足利義昭が 畿内の大名を集め➡ 325 00:42:21,472 --> 00:42:24,942 織田信長に対し兵を挙げた。 326 00:42:24,942 --> 00:42:28,246 元亀4年3月のことである。 327 00:42:30,281 --> 00:42:33,951 今や将軍はおらぬ。 我らの世でござる。 328 00:42:33,951 --> 00:42:36,621 背後に武田がいるからじゃ。 お前 寝返ったな! 329 00:42:36,621 --> 00:42:38,556 いつから裏切り者になり果てた!? 330 00:42:38,556 --> 00:42:40,491 三淵様! なぜじゃ? 331 00:42:40,491 --> 00:42:43,961 信長を討つ! たたき潰せ! 332 00:42:43,961 --> 00:42:46,631 人もまた変わるとか…。 333 00:42:46,631 --> 00:42:50,301 蘭奢待を所望と言うてまいった。 334 00:42:50,301 --> 00:42:52,637 蘭奢待…! 335 00:42:52,637 --> 00:42:55,339 これが… 蘭奢待。