1 00:00:04,430 --> 00:00:12,130 (斎藤道三)勝ったのは 道三じゃ。 2 00:00:15,080 --> 00:00:20,780 (明智十兵衛光秀)殿…。 道三様…。 3 00:00:20,780 --> 00:00:30,480 (明智光安)わしは 今日この場で 明智家の主の座を そなたに譲りたい。 4 00:00:33,360 --> 00:00:41,100 一旦 城を離れ 逃げよ。 逃げて逃げて生き延び➡ 5 00:00:41,100 --> 00:00:49,480 明智家の主として 再び城を持つ身になってもらいたい。 6 00:00:49,480 --> 00:00:53,780 構え~! 放て~! 7 00:00:56,150 --> 00:00:59,490 (明智左馬助)十兵衛様!➡ 8 00:00:59,490 --> 00:01:02,760 東門の辺りで 乱戦となっております。➡ 9 00:01:02,760 --> 00:01:07,100 なんとか敵兵を食い止めていますが あの数の差では…。 10 00:01:07,100 --> 00:01:10,000 急ぐぞ! (左馬助)いずこへ向かいますか? 11 00:01:10,000 --> 00:01:16,110 尾張を目指す。 平地を避け 山伝いに進めば追っ手の目も届かぬはず。 12 00:01:16,110 --> 00:01:19,780 (駒)十兵衛様! 13 00:01:19,780 --> 00:01:22,110 駒殿 菊丸。 14 00:01:22,110 --> 00:01:26,450 高政様は 尾張へ続く道に関を設け 見張りを増やしています。 15 00:01:26,450 --> 00:01:30,120 尾張は無理です! (菊丸)手薄なのは 北です。 16 00:01:30,120 --> 00:01:32,790 分かった! 17 00:01:32,790 --> 00:01:35,460 (牧)駒さん! (駒)奥方様! 18 00:01:35,460 --> 00:01:37,790 逃げましょう! 19 00:01:37,790 --> 00:01:41,660 母上 熙子 離れず わしのあとを! (熙子)心得ました。 20 00:01:41,660 --> 00:01:45,360 後ろを頼む! (左馬助)はっ! さあ 菊丸。 21 00:01:50,810 --> 00:01:57,480 (高政軍)エエヤアエエ! エエヤアエエ! 22 00:01:57,480 --> 00:02:01,750 光安殿は いかがなされた!? 23 00:02:01,750 --> 00:02:08,090 (左馬助)父は… 城の最期を見届けるのだと…。➡ 24 00:02:08,090 --> 00:02:11,960 そなただけは逃げろと…。 25 00:02:11,960 --> 00:02:15,970 光安殿は… ああ…➡ 26 00:02:15,970 --> 00:02:19,700 あの城に! 27 00:02:19,700 --> 00:02:22,700 行きましょう! 28 00:02:34,780 --> 00:05:15,480 ♬~ 29 00:05:17,080 --> 00:05:21,380 (雷鳴) 30 00:05:30,630 --> 00:05:34,930 捜せ~! (一同)はっ! 31 00:05:43,110 --> 00:05:46,440 (菊丸)こちらには行けません! 敵がいます! 32 00:05:46,440 --> 00:05:49,440 向こうへ! 33 00:05:57,790 --> 00:05:59,790 何者だ!? 34 00:06:02,390 --> 00:06:05,390 (伊呂波太夫)そちらにも大勢の敵が。 35 00:06:07,060 --> 00:06:09,400 (駒)太夫! 36 00:06:09,400 --> 00:06:15,740 (太夫)明智十兵衛様 尾張の帰蝶様から 明智家の方々をお助けするよう➡ 37 00:06:15,740 --> 00:06:19,610 命じられ参りました。 伊呂波太夫と申します。 38 00:06:19,610 --> 00:06:22,410 帰蝶様から? 39 00:06:22,410 --> 00:06:25,080 (太夫) もはや 逃げ道は一つしかありませぬ。 40 00:06:25,080 --> 00:06:28,750 越前へ参りましょう。 越前? 41 00:06:28,750 --> 00:06:33,420 抜け道があります。 皆様を こちらへ! 42 00:06:33,420 --> 00:06:36,090 太夫は 私の親しいお方です。 43 00:06:36,090 --> 00:06:40,390 頼りになるお方です。 参りましょう。 44 00:06:42,970 --> 00:06:45,270 参りましょう。 45 00:06:54,110 --> 00:06:57,980 明日は越前へ入ります。 46 00:06:57,980 --> 00:07:00,680 今夜は ここで休みましょう。 47 00:07:10,390 --> 00:07:16,270 駒ちゃん 皆様には休んで頂いて。 私はこの近くで食べ物を探してきます。 48 00:07:16,270 --> 00:07:20,740 (駒)はい。 左馬助 お供せよ。 はっ。 49 00:07:20,740 --> 00:07:26,040 明日 越前に入ったら 朝倉様のもとへ参ります。 50 00:07:36,750 --> 00:07:39,450 駒殿。 51 00:07:43,430 --> 00:07:49,770 一度 道三様のおられた大桑城で 擦れ違うたことがある。 52 00:07:49,770 --> 00:07:52,440 どういうお人だ? 53 00:07:52,440 --> 00:07:59,740 私が子どもの頃にいた旅の一座の頭で 私にとっては姉のようなお方です。 54 00:08:02,040 --> 00:08:07,380 (牧)どうしました? (常)奥方様 そのお手 どうされました? 55 00:08:07,380 --> 00:08:10,290 どうした? お気になされますな。 56 00:08:10,290 --> 00:08:16,060 ヤブを抜けた時 トゲに触ったのでしょう。 (常)ですが 血が…。 57 00:08:16,060 --> 00:08:18,060 ご無礼を。 58 00:08:20,730 --> 00:08:24,400 菊丸さん。 (菊丸)はい。 血止めの膏薬 ありましたよね。 59 00:08:24,400 --> 00:08:27,300 それ 下さい。 (牧)暗いであろう。 60 00:08:27,300 --> 00:08:31,070 十兵衛様 水をくんできて頂けますか? ああ 分かった。 61 00:08:31,070 --> 00:08:33,410 (木助)私も。 うむ。 62 00:08:33,410 --> 00:08:36,410 すいません 私の荷を。 (常)はい。 63 00:08:43,090 --> 00:08:45,390 ほれ。 64 00:08:53,430 --> 00:08:56,100 (菊丸)十兵衛様。 ああ。 65 00:08:56,100 --> 00:08:59,440 越前は よい国と聞きますよ。 66 00:08:59,440 --> 00:09:02,710 海があって 山もあって…。 67 00:09:02,710 --> 00:09:06,380 うむ。 (菊丸)わしは 今 駿河におります。➡ 68 00:09:06,380 --> 00:09:11,050 薬屋で仕事を見つけて。 ほう 薬屋で。 69 00:09:11,050 --> 00:09:18,390 それで お駒さんに頼まれて 店に4~5日休むと言って出てきて…➡ 70 00:09:18,390 --> 00:09:24,060 こう長くなるとは思わず そろそろ帰らなければ。 71 00:09:24,060 --> 00:09:29,930 そうか。 けれど 今 駿河に戻ると言うたら…➡ 72 00:09:29,930 --> 00:09:35,400 お駒さんに悔いが残ると思い…。 十兵衛様が一緒におられるので➡ 73 00:09:35,400 --> 00:09:37,740 案ずることはないとは思うのですが…。 74 00:09:37,740 --> 00:09:42,080 お駒さんは 怖い物知らずなところがありますので…。 75 00:09:42,080 --> 00:09:44,980 うん…。 76 00:09:44,980 --> 00:09:53,090 後で お伝え下さい。 わしは どこまでもついていきたかったと。 77 00:09:53,090 --> 00:09:58,960 分かった。 どこまでもと伝えればよいのだな? 78 00:09:58,960 --> 00:10:03,260 はい! うむ。 79 00:10:15,110 --> 00:10:17,450 (駒)こうして 様子を見ましょう。 80 00:10:17,450 --> 00:10:21,120 ありがとうございます。 81 00:10:21,120 --> 00:10:24,990 駒さん。 82 00:10:24,990 --> 00:10:30,460 駒さんは 何故 私たちを助けて下さるのですか? 83 00:10:30,460 --> 00:10:38,130 以前 美濃で 明智の方々に それはよくして頂き…。 84 00:10:38,130 --> 00:10:43,010 戦と聞いて 何かできることはないかと…。 85 00:10:43,010 --> 00:10:47,480 それに… あるお方のことも 気にかかっていて…。 86 00:10:47,480 --> 00:10:53,820 あるお方? そのお方は 私の命の恩人なのです。 87 00:10:53,820 --> 00:11:03,090 私が まだ3つだった時 戦で焼けた 家の中から… 私を救い出してくれました。 88 00:11:03,090 --> 00:11:07,960 大きな手で… 優しくて… 立派なお武家様だったそうです。 89 00:11:07,960 --> 00:11:09,970 へえ~。 その方は➡ 90 00:11:09,970 --> 00:11:14,100 私に麒麟のことを話してくれました。 (熙子)麒麟? 91 00:11:14,100 --> 00:11:18,440 (駒)麒麟というのは 戦のない穏やかな国にやってくる➡ 92 00:11:18,440 --> 00:11:22,780 不思議な生き物だそうです。 そう言って➡ 93 00:11:22,780 --> 00:11:26,120 戦が怖いと言って泣く私を 慰めてくれたのです。➡ 94 00:11:26,120 --> 00:11:32,790 戦は必ず終わる 麒麟を連れてくる人が 必ず現れると言って。 95 00:11:32,790 --> 00:11:38,130 駒さん。 その話…。 96 00:11:38,130 --> 00:11:44,800 そなた… 腕に その時の傷がありますか?➡ 97 00:11:44,800 --> 00:11:50,670 逃げる途中 火の粉が飛んできて… 腕に…。 98 00:11:50,670 --> 00:11:55,440 (駒)何故… 牧様がそれを…。➡ 99 00:11:55,440 --> 00:11:58,150 これです。 100 00:11:58,150 --> 00:12:01,420 あ… ああ!➡ 101 00:12:01,420 --> 00:12:04,120 ああ…。 102 00:12:10,760 --> 00:12:18,630 亡き夫 光綱様が… 話して下さいました。 103 00:12:18,630 --> 00:12:29,450 土岐様のおそばについて京に上る折 火事に遭うたと…。 104 00:12:29,450 --> 00:12:37,120 燃え盛る家の中 小さな女の子を救い出し➡ 105 00:12:37,120 --> 00:12:43,460 旅の一座の者たちに預けたと…。➡ 106 00:12:43,460 --> 00:12:48,800 光綱様は… ずっと気にかけておられ➡ 107 00:12:48,800 --> 00:12:55,470 その後も 京に行く度に 捜しておられました。 108 00:12:55,470 --> 00:12:58,170 そなたが…。 109 00:13:00,340 --> 00:13:03,640 光綱様が…。 110 00:13:07,420 --> 00:13:12,290 亡くなられた光綱様が…。 111 00:13:12,290 --> 00:13:16,290 では… もう…! 112 00:13:27,440 --> 00:13:30,740 お会いしたかった。 113 00:13:33,780 --> 00:13:38,480 お会いして お礼を言いたかったのに…。 114 00:13:42,120 --> 00:13:48,990 大きな手の人に… またお会いできると思って…➡ 115 00:13:48,990 --> 00:13:54,130 ずっと捜してきたのに…。 116 00:13:54,130 --> 00:13:57,830 駒さん…! 117 00:13:59,800 --> 00:14:09,800 (牧)私は うれしゅうございます。 光綱様の言葉をそなたから聞けて。 118 00:14:15,750 --> 00:14:18,650 私も信じます。 119 00:14:18,650 --> 00:14:24,650 いつの日か必ず戦は終わる。 120 00:14:27,760 --> 00:14:31,630 麒麟がくると…。 121 00:14:31,630 --> 00:14:53,790 ♬~ 122 00:14:53,790 --> 00:14:58,130 [ 回想 ] (光安)一旦 城を離れ 逃げよ。➡ 123 00:14:58,130 --> 00:15:01,730 逃げて逃げて生き延び。 124 00:15:01,730 --> 00:15:03,670 えい! 125 00:15:03,670 --> 00:15:10,410 [ 回想 ] (光安)明智家の主として 再び 城を持つ身になってもらいたい。 126 00:15:10,410 --> 00:15:12,410 えい! 127 00:15:20,750 --> 00:15:26,420 光秀の一行は 北の越前へと落ち延びた。 128 00:15:26,420 --> 00:15:30,290 大大名 朝倉義景の治める越前は➡ 129 00:15:30,290 --> 00:15:37,590 畿内を中心とする勢力争いをよそに 確かな繁栄を築く国であった。 130 00:16:09,730 --> 00:16:16,430 (足音) 131 00:16:30,750 --> 00:16:36,050 (朝倉義景) この朝倉家へよう参った。 面を上げよ。 132 00:16:39,760 --> 00:16:46,100 太夫 大いに不満と顔に見ゆるな。 フフッ。 133 00:16:46,100 --> 00:16:49,970 待ちぼうけて 居眠りでもいたそうかと 思うておりました。 134 00:16:49,970 --> 00:16:53,980 近衛の姫君は 顔を出さなんだか? 135 00:16:53,980 --> 00:16:58,680 (太夫)近衛の姫君? ああ…➡ 136 00:16:58,680 --> 00:17:05,590 この芸人風情が 近衛家で育ったなどと ゆめゆめ申すでない! 137 00:17:05,590 --> 00:17:09,060 …と私に申された お方様でござりましょうか? 138 00:17:09,060 --> 00:17:13,400 その物言い よう似ておる。 ハッハッハッハ…。 139 00:17:13,400 --> 00:17:22,070 朝倉に嫁いで数年になりますのに まだ子をなされぬと聞きまするが…。➡ 140 00:17:22,070 --> 00:17:26,940 義景様も いつ近衛家にお返ししたものかと➡ 141 00:17:26,940 --> 00:17:30,410 頭を悩ませているのでは? 142 00:17:30,410 --> 00:17:35,750 そなた 近衛家から探りを入れるよう 言われてまいったか? 143 00:17:35,750 --> 00:17:42,420 まさか。 この家出娘に探らせるほど 近衛家も落ちぶれてはおられますまい。 144 00:17:42,420 --> 00:17:48,100 では 別のやっかい事かな?➡ 145 00:17:48,100 --> 00:17:52,770 この者か? 明智十兵衛光秀にございます。 146 00:17:52,770 --> 00:17:57,640 (太夫)明智様を この越前に おかくまい頂きたいのです。 147 00:17:57,640 --> 00:17:59,940 う~む…。 148 00:18:21,930 --> 00:18:29,610 これは 細川藤孝様の文… ご存じでございましたか。 149 00:18:29,610 --> 00:18:35,340 (義景)藤孝殿は 同じ文を 方々にお出しになっておるそうじゃ。➡ 150 00:18:35,340 --> 00:18:40,750 明智という者 美濃より落ち延びることあらば➡ 151 00:18:40,750 --> 00:18:45,090 よしなに取り計られたいと。➡ 152 00:18:45,090 --> 00:18:51,760 わしは 余計な争いに巻き込まれたくはない。 153 00:18:51,760 --> 00:18:57,100 日々穏やかに暮らしたいのじゃ。 154 00:18:57,100 --> 00:18:59,430 ご案じなさりますな。 155 00:18:59,430 --> 00:19:06,240 明智様は 尾張織田家の奥方 帰蝶様の縁者。 156 00:19:06,240 --> 00:19:11,380 万に一つ 美濃が越前に攻め入ることがあれば➡ 157 00:19:11,380 --> 00:19:17,680 尾張は美濃を背後より刺し この越前を守りましょう。 158 00:19:39,740 --> 00:19:43,040 太夫が申したことは まことか? 159 00:19:44,610 --> 00:19:50,310 (義景)そちのために 尾張は動くと思うか? 160 00:19:55,090 --> 00:19:58,390 答えよ。 161 00:20:01,430 --> 00:20:07,430 私に 尾張を動かすほどの力はござりませぬ。 162 00:20:14,780 --> 00:20:18,080 ふむ…。 163 00:20:21,450 --> 00:20:27,790 このまま美濃へ帰すわけにもいくまい。 しばらくおればよい。➡ 164 00:20:27,790 --> 00:20:34,130 そなたは運がよいぞ。 この一乗谷は安楽の地じゃ。➡ 165 00:20:34,130 --> 00:20:37,800 のう 太夫。 (太夫)まことに。➡ 166 00:20:37,800 --> 00:20:41,140 古の都を見るような心地がいたします。 167 00:20:41,140 --> 00:20:44,810 フフッ うむ。 168 00:20:44,810 --> 00:20:51,680 で そなた 金が要るのであろう? 169 00:20:51,680 --> 00:20:54,150 は? 170 00:20:54,150 --> 00:20:59,490 さしあたって 今日の米代にも困るのであろう。 171 00:20:59,490 --> 00:21:03,360 それは…。 172 00:21:03,360 --> 00:21:06,360 くれてやろうぞ。 173 00:21:09,770 --> 00:21:15,640 それは 頂けませぬ。 (義景)ん? 174 00:21:15,640 --> 00:21:19,340 頂く理由がございませぬ。 175 00:21:22,110 --> 00:21:25,110 そうか。 176 00:21:29,790 --> 00:21:37,490 いやいや 太夫 久しぶりに酒でも酌もう。 ゆるりとしていけ。 フフッ。 177 00:21:47,140 --> 00:21:51,470 かすみを食うて生きるおつもりですか? 178 00:21:51,470 --> 00:21:54,810 くれると言うもの もろうておけばいいのに。➡ 179 00:21:54,810 --> 00:22:02,080 朝倉家は国持ちの大名でございます。 世話する家の一つや二つ増えたところで➡ 180 00:22:02,080 --> 00:22:04,990 痛くもかゆくもございませぬ。 181 00:22:04,990 --> 00:22:15,100 されど… 私が金を頂けば それは 藤孝殿や帰蝶様が頂くことと同じです。 182 00:22:15,100 --> 00:22:18,430 心苦しい限りです。 183 00:22:18,430 --> 00:22:24,110 それはお受けできませぬ。 184 00:22:24,110 --> 00:22:26,810 なるほど…。 185 00:22:28,440 --> 00:22:35,780 私は 近衛の姫君のお顔を 見てまいりますので 失礼。 186 00:22:35,780 --> 00:22:38,780 太夫殿。 187 00:22:41,460 --> 00:22:44,460 かたじけのうござりました。 188 00:23:00,940 --> 00:23:03,410 うむ…。 189 00:23:03,410 --> 00:23:08,750 もっとえぐるように拭こう。 はっ。 190 00:23:08,750 --> 00:23:12,050 このまま ここまでな。 はっ。 191 00:23:24,770 --> 00:23:27,440 (熙子)ここですか? 192 00:23:27,440 --> 00:23:31,110 ここなら空いていると…。 193 00:23:31,110 --> 00:23:49,460 ♬~ 194 00:23:49,460 --> 00:23:53,330 (せきこみ) 195 00:23:53,330 --> 00:24:31,070 ♬~ 196 00:24:31,070 --> 00:24:33,000 (駒)わっ! 197 00:24:33,000 --> 00:24:38,700 ごめんなさい。 かまどから蛇が…。 198 00:24:41,110 --> 00:24:44,010 さあ 掃除をせねば。 199 00:24:44,010 --> 00:24:49,710 さりとて ほうきがございませぬ。 (木助)炭やまきも手に入れねば。 200 00:24:51,750 --> 00:24:55,460 私 質へ行ってきましょうか? 201 00:24:55,460 --> 00:24:59,790 質? 先ほど通った市場のそばにありました。 202 00:24:59,790 --> 00:25:04,090 ただ 質ぐさが要ります。 203 00:25:08,600 --> 00:25:16,900 駒殿 それは数珠ではいけませぬか? 204 00:25:20,750 --> 00:25:23,420 古い物ですが。 205 00:25:23,420 --> 00:25:27,760 それは父上の大切な…! 持っていってくれ。 206 00:25:27,760 --> 00:25:33,460 どうか お願いいたします。 207 00:25:35,630 --> 00:25:40,100 駒さん 私も連れていって下さい! 208 00:25:40,100 --> 00:25:44,770 質屋というのはどういう所か 私も知っておきたいのです。 209 00:25:44,770 --> 00:25:49,440 (駒)では 一緒に参りましょうか。 (熙子)はい。 210 00:25:49,440 --> 00:25:53,140 (左馬助)私がお二人をお守りいたします。 211 00:25:56,120 --> 00:25:58,420 (木助)片づけよう。 212 00:26:11,400 --> 00:26:15,270 あの店主 相当ケチですよ。 もう少し粘れば➡ 213 00:26:15,270 --> 00:26:18,740 あと20文くらい取れましたのに。 もう十分です。 214 00:26:18,740 --> 00:26:21,740 また お世話になるかもしれませんから。 215 00:26:23,410 --> 00:26:28,750 でも 熙子様の帯を入れてしまって… よろしかったのですか? 216 00:26:28,750 --> 00:26:37,050 帯は もう一本あるのです。 それに 帯の代わりはあっても…。 217 00:26:41,100 --> 00:26:45,770 (熙子) この数珠の代わりはありませんから。 218 00:26:45,770 --> 00:26:50,110 この数珠は 十兵衛様が亡きお義父上から受け継いだ➡ 219 00:26:50,110 --> 00:26:52,810 大切なものですから。 220 00:27:00,450 --> 00:27:04,320 私は 戦が好きではありませぬ。 221 00:27:04,320 --> 00:27:10,060 勝っても負けても 戦は戦でしかない。 222 00:27:10,060 --> 00:27:16,730 戦に赴くことは 武士の運命と思うておりました。 223 00:27:16,730 --> 00:27:28,030 田も起こさず 畑も耕さぬ 武士の生き方なのだと思うて…。 224 00:27:30,080 --> 00:27:39,780 されど 負けて全てを失うてみると…。 225 00:27:42,660 --> 00:27:46,960 己の無力さだけが残るんです。 226 00:27:52,770 --> 00:28:03,470 (牧)十兵衛 そなたの父上が 私に仰せになったことがあります。 227 00:28:07,720 --> 00:28:15,590 (牧)人には浮き沈みがある。 武士には勝ち負けがある。➡ 228 00:28:15,590 --> 00:28:24,590 沈んだ時にどう生きるか 負けた時にどう耐えるか。 229 00:28:26,730 --> 00:28:34,430 その時 その者の値打ちが決まると…。 230 00:28:38,750 --> 00:28:42,750 (いななき) 231 00:28:51,760 --> 00:28:59,430 幼き頃 父上と馬を走らせたことがあります。 232 00:28:59,430 --> 00:29:03,300 その時 父上は こう仰せられました。 233 00:29:03,300 --> 00:29:09,240 十兵衛 馬は誇り高き生き物ぞ。 234 00:29:09,240 --> 00:29:17,390 勝っても負けても 己の力の限り走る。 遠くへ。 235 00:29:17,390 --> 00:29:21,260 それが己の役目と知っておるのじゃ。 236 00:29:21,260 --> 00:29:24,960 我らも そうでありたい。 237 00:29:28,730 --> 00:29:31,430 誇り高く。 238 00:29:36,600 --> 00:29:39,370 誇り高く…。 239 00:29:39,370 --> 00:29:42,070 (いななき) 240 00:29:47,750 --> 00:29:53,090 世話になりました。 何とお礼を申し上げたらよいか…。 241 00:29:53,090 --> 00:29:58,760 (駒)私は ただ… 何もできなくて。 242 00:29:58,760 --> 00:30:03,630 自分の命を救ってくれたのは どなたかと…➡ 243 00:30:03,630 --> 00:30:09,100 いつかお会いできたら 恩返しをしなければと…➡ 244 00:30:09,100 --> 00:30:12,440 そう思うておりましたのに。 245 00:30:12,440 --> 00:30:16,780 何もできず 無念でなりません。 246 00:30:16,780 --> 00:30:22,650 何を言います。 あの戦の中 駒さんが来てくれたことは➡ 247 00:30:22,650 --> 00:30:26,790 どれほど心強う思えたか。 248 00:30:26,790 --> 00:30:32,460 私も 駒さんと質屋に行けて楽しかったです。 249 00:30:32,460 --> 00:30:36,130 次は もっと粘ってみます。 250 00:30:36,130 --> 00:30:42,000 本当に ありがとうございました。 251 00:30:42,000 --> 00:30:48,140 私も お会いできて うれしゅうございました。 252 00:30:48,140 --> 00:30:54,140 では 太夫が待っておりますので。 253 00:31:01,090 --> 00:31:07,430 斎藤道三の死は 尾張の情勢にも大きな変化をもたらした。 254 00:31:07,430 --> 00:31:13,730 かねてより信長に不満を抱く者たちが うごめき始めたのである。 255 00:31:17,440 --> 00:31:24,140 久々のお目通り 恐悦至極に存じまする。 256 00:31:26,780 --> 00:31:33,450 恐れながら 織田の内部に 再び謀反の兆しが…。 257 00:31:33,450 --> 00:31:39,130 (織田信長)我が弟 信勝か…。 258 00:31:39,130 --> 00:31:45,130 まことにもって 申し訳ござりませぬ! 259 00:31:46,800 --> 00:31:52,670 権六 そちは信勝の重臣であろう。 260 00:31:52,670 --> 00:32:01,320 己の言葉が 主君を斬る刃となるを 知らぬわけではあるまい。 261 00:32:01,320 --> 00:32:08,620 首をはねられてしかるべきことを 申しておるのじゃぞ。 262 00:32:10,760 --> 00:32:18,630 その覚悟で参りました。 尾張の行く末を案じ やむにやまれず! 263 00:32:18,630 --> 00:32:25,770 信勝様の背後には 美濃の斎藤高政がおりまする。 264 00:32:25,770 --> 00:32:28,440 (帰蝶)兄上が!? 265 00:32:28,440 --> 00:32:33,780 (柴田)高政といえば あの今川義元とも 通ずるお方でございます。➡ 266 00:32:33,780 --> 00:32:39,450 謀反に乗じて 双方から 尾張をのみ込もうとする構えと存じます。 267 00:32:39,450 --> 00:32:46,130 信勝様は我が主君。 さりとて これは見過ごせませぬ。 268 00:32:46,130 --> 00:32:52,000 先にも信勝はわしに背いた。 269 00:32:52,000 --> 00:33:00,300 母上が許せと仰せになり わしは折れた。 270 00:33:02,080 --> 00:33:09,380 権六… わしは愚かじゃな。 271 00:33:11,090 --> 00:33:15,960 信勝様は よほど殿が目障りなのでしょうな。 272 00:33:15,960 --> 00:33:18,760 先の戦で どれほどの兵を失うたか➡ 273 00:33:18,760 --> 00:33:21,660 お忘れなのでしょうか? 274 00:33:21,660 --> 00:33:26,430 周りの者に おだてられ 己を見失うておるのじゃ。 275 00:33:26,430 --> 00:33:30,430 哀れな男じゃ。 276 00:33:33,110 --> 00:33:40,980 哀れなら お許しになりますのか? 277 00:33:40,980 --> 00:33:46,120 その哀れな男が起こす愚かな戦に➡ 278 00:33:46,120 --> 00:33:49,460 まだおつきあいなさるおつもりですか? 279 00:33:49,460 --> 00:33:51,390 いくら兵を失えば 気が済むのですか? 280 00:33:51,390 --> 00:33:54,390 どうしろというのだ? 281 00:33:56,330 --> 00:34:00,100 信勝様にお会いなさいませ。 会う? 282 00:34:00,100 --> 00:34:04,940 なんとしてもお会いなさいませ。 会うてどうする? 283 00:34:04,940 --> 00:34:11,640 お顔を見て どうすればよいか お決めになればよろしいのです。 284 00:34:20,420 --> 00:34:25,760 (織田信勝)兄上が病とはな。 国中の薬師 祈とう師が➡ 285 00:34:25,760 --> 00:34:28,100 清須へ集まってるというではないか。 286 00:34:28,100 --> 00:34:31,970 さような噂が 国の外に漏れるは一大事じゃ。 287 00:34:31,970 --> 00:34:35,970 清須の者は何を考えておる。 288 00:34:45,650 --> 00:34:47,950 (年長の侍女)大方様。 289 00:34:49,780 --> 00:34:53,080 こちらにございます。 290 00:35:06,070 --> 00:35:10,770 大方様 私は向こうでお待ちしております。 291 00:35:44,770 --> 00:35:47,680 (侍女頭)お越しにござります。 292 00:35:47,680 --> 00:35:53,780 兄上 お久しぶりでございます。 お加減はいかがでございますか。 293 00:35:53,780 --> 00:35:59,650 病とお聞きし 驚き とりあえず お見舞いをと 急ぎ参りました。 294 00:35:59,650 --> 00:36:02,350 それは? 295 00:36:04,060 --> 00:36:11,400 これは… 私と親しい行者が 美濃の白山より持ち帰った➡ 296 00:36:11,400 --> 00:36:15,740 霊験あらたかな湧き水でございます。➡ 297 00:36:15,740 --> 00:36:20,410 万病を鎮めると申しますので 兄上にどうかと思い➡ 298 00:36:20,410 --> 00:36:23,310 譲り受けてまいりました。 299 00:36:23,310 --> 00:36:27,080 それは ありがたい。 300 00:36:27,080 --> 00:36:33,750 病が重いと聞き及びましたが ご息災のようにお見受けいたします。 301 00:36:33,750 --> 00:36:38,430 病というのは偽りじゃ。 302 00:36:38,430 --> 00:36:40,360 は? 303 00:36:40,360 --> 00:36:46,100 そなたを呼び寄せ… 討ち果たすために偽りを申した。 304 00:36:46,100 --> 00:36:49,770 (唾を飲み込む音) 305 00:36:49,770 --> 00:36:55,440 しかし… そなたの顔を見て その気はうせた。 306 00:36:55,440 --> 00:37:00,780 そなたを殺せば 母上がお嘆きになる。 307 00:37:00,780 --> 00:37:05,080 母上の悲しむ顔を見とうはないのじゃ。 308 00:37:07,390 --> 00:37:12,730 子どもの頃より そなたは母上にかわいがられた。 309 00:37:12,730 --> 00:37:19,400 色白で 素直で賢く 誰もがそなたを褒めそやす。 310 00:37:19,400 --> 00:37:24,740 そういうそなたを 母上は いつも手元に置かれた。 311 00:37:24,740 --> 00:37:27,410 今もそうじゃ。 312 00:37:27,410 --> 00:37:31,280 わしは それが口惜しかった。 313 00:37:31,280 --> 00:37:38,050 わしは そなたに比べると醜い子であった。 314 00:37:38,050 --> 00:37:44,960 色が黒く 母上のお好きな和歌も詠めず 書も読まず➡ 315 00:37:44,960 --> 00:37:55,100 犬のように外を走り回り… 汗臭い子じゃと 母上から遠ざけられた。 316 00:37:55,100 --> 00:38:00,780 ある時 わしは そのことに気付いた。 317 00:38:00,780 --> 00:38:11,050 そなたの美しさ 賢さに 遠く及ばぬと分かった。 318 00:38:11,050 --> 00:38:23,050 妬んだ。 殺してやろうと 何度も思うた。 分かるか? 319 00:38:32,340 --> 00:38:42,020 私も… 兄上を妬ましく思うておりました。➡ 320 00:38:42,020 --> 00:38:48,760 いつも兄上は 私より先を走っておられる。➡ 321 00:38:48,760 --> 00:38:53,090 戦に勝ち 国を治め➡ 322 00:38:53,090 --> 00:39:00,790 私がせんと願うことを… 全て 成し遂げてしまわれる。 323 00:39:04,040 --> 00:39:11,740 兄上が疎ましい! 兄上さえいなければ…! 324 00:39:14,050 --> 00:39:21,750 それゆえ 高政と手を結んだか? 325 00:39:24,690 --> 00:39:26,690 (唾を飲み込む音) 326 00:39:31,070 --> 00:39:36,370 我らは 似た者同士ということか…。 327 00:39:40,410 --> 00:39:42,710 (唾を飲み込む音) 328 00:39:46,080 --> 00:39:53,080 信勝… そなた これを飲め。 329 00:39:54,760 --> 00:40:02,060 白山より湧きいでたる水であろう…。 ありがたき水であろう…。 330 00:40:03,760 --> 00:40:09,060 どうした? 飲んでみよ。 331 00:40:14,410 --> 00:40:18,410 申し訳ございませぬ。 332 00:40:23,120 --> 00:40:30,120 どうか… お許し下さいませ。 333 00:40:39,470 --> 00:40:42,770 そうか…。 334 00:40:47,340 --> 00:40:50,040 飲め。 335 00:40:53,810 --> 00:40:57,510 飲むんじゃ。 336 00:41:03,090 --> 00:41:06,790 飲め。 337 00:41:09,760 --> 00:41:13,100 飲め。 338 00:41:13,100 --> 00:41:20,400 飲め! お前が飲め! 339 00:41:29,450 --> 00:41:33,150 飲め。 340 00:42:10,090 --> 00:42:13,390 信勝…。 341 00:42:21,100 --> 00:42:24,400 愚か者…。 342 00:42:31,110 --> 00:42:34,450 今の世は どこかおかしい。 343 00:42:34,450 --> 00:42:37,350 信長様が。 不穏な動きがございましてな。 344 00:42:37,350 --> 00:42:41,120 不穏な動きとは? 上洛する信長殿のお命を➡ 345 00:42:41,120 --> 00:42:44,020 斎藤義龍殿の刺客が 狙っているというのです。 346 00:42:44,020 --> 00:42:46,460 何か手を打たねば…! 京へ行ってきてくれ。 347 00:42:46,460 --> 00:42:48,800 でかした! 348 00:42:48,800 --> 00:42:53,470 そなたがそばにいるだけで 私の心は穏やかではなかった…。 349 00:42:53,470 --> 00:42:56,170 信長は我が手で討ってみせる。 350 00:43:02,990 --> 00:43:06,400 福井県福井市。 351 00:43:06,400 --> 00:43:14,700 一乗谷は かつて越前の国を支配した 朝倉氏が拠点を置いた地です。 352 00:43:17,410 --> 00:43:21,080 山城の麓に広がる城下には➡ 353 00:43:21,080 --> 00:43:25,420 侍屋敷や寺院 町屋が建ち並び➡ 354 00:43:25,420 --> 00:43:30,420 最盛期には1万人が暮らしたといいます。 355 00:43:32,090 --> 00:43:38,430 城下町の中心に位置する朝倉義景の館跡。 356 00:43:38,430 --> 00:43:46,770 17棟の建物が築かれたこの場所で 政治などの諸事が行われました。 357 00:43:46,770 --> 00:43:51,440 江戸時代の記録では 明智光秀は一時期➡ 358 00:43:51,440 --> 00:43:56,140 越前の地に身を寄せたと語られています。 359 00:43:59,120 --> 00:44:04,720 光秀は 坂井市にある称念寺の門前に居を構え➡ 360 00:44:04,720 --> 00:44:08,720 住職と交流を深めたといいます。 361 00:44:10,390 --> 00:44:15,730 鎌倉時代から称念寺に安置されている この仏像は➡ 362 00:44:15,730 --> 00:44:22,070 光秀も手を合わせたものだと 寺に伝えられています。 363 00:44:22,070 --> 00:44:28,070 光秀は 越前の地で 再起の時を待つこととなるのです。 364 00:45:03,130 --> 00:45:19,630 (櫓の音)