1 00:00:03,430 --> 00:00:09,130 (正親町天皇) 実澄… 気に入ったのであろう 明智を…。 2 00:00:12,510 --> 00:00:16,810 (正親町天皇) 折を見て 連れてまいるがよい。 3 00:00:23,520 --> 00:00:27,820 (侍女)明智様の支度が 整いましてございます。 4 00:00:30,390 --> 00:00:33,530 (伊呂波太夫)フフフッ…。 5 00:00:33,530 --> 00:00:36,860 おや お似合いとは申しませんが➡ 6 00:00:36,860 --> 00:00:42,540 いかにも三条西家の御用人のようで よろしいのではありませんか? 7 00:00:42,540 --> 00:00:44,470 (三条西実澄)うむ。 8 00:00:44,470 --> 00:00:48,410 (明智十兵衛光秀)これで御所へ? 9 00:00:48,410 --> 00:00:51,550 (実澄)さよう。 10 00:00:51,550 --> 00:01:00,890 そなたは 帝が いかなるお方か 知りたいと言うて参られた。 11 00:01:00,890 --> 00:01:07,690 人を知るには 目を見 声を聞くこと。 12 00:01:07,690 --> 00:01:16,840 今日 それができるかどうかであるが ご尊顔を拝するのは無理として➡ 13 00:01:16,840 --> 00:01:22,510 お声は僅かに拝聴できるやもしれぬ。 14 00:01:22,510 --> 00:01:26,380 それゆえ お誘いしたまでじゃ。 15 00:01:26,380 --> 00:01:29,680 いかがなされる? 16 00:01:31,520 --> 00:01:34,860 お供させて頂きます。 17 00:01:34,860 --> 00:01:52,210 ♬~ 18 00:01:52,210 --> 00:01:56,880 そなたは ここに控えておれ。 19 00:01:56,880 --> 00:01:58,880 はっ。 20 00:02:16,160 --> 00:02:24,160 (鐘の音) 21 00:02:27,170 --> 00:05:08,870 ♬~ 22 00:06:21,340 --> 00:06:29,480 (実澄)「春風吹く中 川を渡り 水を看➡ 23 00:06:29,480 --> 00:06:36,820 頭上の花を看ながら いつの間にか友の家に着いていた」。 24 00:06:36,820 --> 00:06:45,830 人は水の流れや花を見る時 無心に時を過ごす。 25 00:06:45,830 --> 00:06:53,130 いつの世も そうありたいものよのう。 26 00:06:56,180 --> 00:07:03,780 この詩を読む時 ちんも そう生きたいと思うが➡ 27 00:07:03,780 --> 00:07:07,650 実澄はどうか? 28 00:07:07,650 --> 00:07:09,650 は…。 29 00:07:13,130 --> 00:07:22,140 今日は 庭に珍しき鳥が舞い降りております。 30 00:07:22,140 --> 00:07:27,810 「万葉」の歌を好む 珍しき鳥ゆえ➡ 31 00:07:27,810 --> 00:07:35,150 そのことを お聞きあそばれてみるのも 一興かと。 32 00:07:35,150 --> 00:07:39,020 かの者が参っておるのか? 33 00:07:39,020 --> 00:08:03,110 ♬~ 34 00:08:03,110 --> 00:08:08,410 珍しき庭の鳥へ。 35 00:09:01,300 --> 00:09:05,040 私も そのように生きたく存じまする。 36 00:09:05,040 --> 00:09:12,340 さりながら 迷いながらの道でございます。 37 00:09:15,680 --> 00:09:19,680 ≪(正親町天皇)目指すは いずこぞ? 38 00:09:24,120 --> 00:09:27,790 穏やかな世でございます! 39 00:09:27,790 --> 00:09:32,470 ≪(正親町天皇)その道は遠いのう…➡ 40 00:09:32,470 --> 00:09:43,470 ちんも迷う… なれど 迷わずに歩もうではないか。 41 00:09:48,820 --> 00:09:59,520 明智十兵衛 その名を胸にとどめ置くぞよ。 42 00:10:02,360 --> 00:10:04,830 は…。 43 00:10:04,830 --> 00:10:42,540 ♬~ 44 00:10:42,540 --> 00:10:52,840 [ 回想 ] (正親町天皇)ちんも迷う… なれど 迷わずに歩もうではないか。 45 00:10:56,880 --> 00:10:58,880 (熙子)殿。 46 00:11:02,490 --> 00:11:07,160 (熙子)近江より柴田勝家様と 佐久間信盛様がお着きになり➡ 47 00:11:07,160 --> 00:11:10,160 お待ちでございます。 48 00:11:11,830 --> 00:11:14,730 ああ そうか。 49 00:11:14,730 --> 00:11:18,730 すっかり お待たせしてしもうたな。 50 00:11:23,840 --> 00:11:30,180 (木下藤吉郎)柴田様も佐久間様も 織田家では昔からのお重役。 51 00:11:30,180 --> 00:11:34,520 私ごとき成り上がり者が➡ 52 00:11:34,520 --> 00:11:39,390 かように申し上げるのは はなはだ無礼とは存じますが➡ 53 00:11:39,390 --> 00:11:42,400 あえて申し上げたい。 54 00:11:42,400 --> 00:11:50,540 お二方は 信長様に おもねり過ぎる。 55 00:11:50,540 --> 00:11:53,840 (柴田勝家)もうよい 黙れ! 56 00:11:56,410 --> 00:12:02,150 ただいま戻りました。 お待たせいたし申し訳ございませぬ。 57 00:12:02,150 --> 00:12:04,480 (しゃっくり) (柴田)おお! 58 00:12:04,480 --> 00:12:08,350 (佐久間信盛)我らこそ かようなお気遣い かたじけのうござる。 59 00:12:08,350 --> 00:12:10,650 いえ いえ…。 60 00:12:16,100 --> 00:12:19,830 信長様から 文で子細は承っております。 61 00:12:19,830 --> 00:12:25,710 大和の国は 松永久秀様と 筒井順慶様の争いが あちこちに広がり➡ 62 00:12:25,710 --> 00:12:28,840 河内の国にまで飛び火している由。 63 00:12:28,840 --> 00:12:32,710 私にも出陣の備えをせよとの お達しがありました。 64 00:12:32,710 --> 00:12:35,520 やっかいな話じゃ。 65 00:12:35,520 --> 00:12:41,190 殿は 公方様の強いご意向ゆえ 松永を討つと仰せられ➡ 66 00:12:41,190 --> 00:12:47,530 我らに出陣を命じられたが いつになく歯切れが悪うてな。 67 00:12:47,530 --> 00:12:51,860 そりゃ やる気がないからじゃ。 68 00:12:51,860 --> 00:12:57,740 先ほど 二条城へ参り 公方様にご挨拶をしてまいったが➡ 69 00:12:57,740 --> 00:13:04,440 なんとしても松永の首を取れと仰せられ 明智殿にもお知恵を借りて➡ 70 00:13:04,440 --> 00:13:09,350 戦支度を急げと きつく催促されました。 71 00:13:09,350 --> 00:13:12,150 (ため息) 72 00:13:12,150 --> 00:13:16,490 松永 筒井両所には 一度 和睦をして頂いたが➡ 73 00:13:16,490 --> 00:13:19,830 しょせん 水と油の仲。 74 00:13:19,830 --> 00:13:25,500 おまけに 公方様は 前の将軍で兄君の 義輝様を殺した張本人は➡ 75 00:13:25,500 --> 00:13:30,170 松永じゃと思い込んでおられる。 始末に負えぬわ! 76 00:13:30,170 --> 00:13:36,040 柴田殿 始末に負えぬとは言葉が過ぎようぞ。 77 00:13:36,040 --> 00:13:41,180 い~や! 始末に負えぬ。 78 00:13:41,180 --> 00:13:45,050 松永を討つ暇があったら 近江の浅井長政を討つべきであり➡ 79 00:13:45,050 --> 00:13:48,050 越前の朝倉も片づけるべきでござる。➡ 80 00:13:48,050 --> 00:13:54,730 公方様は ああ見えて油断のならぬお方じゃ。 81 00:13:54,730 --> 00:13:59,200 わしは 公方様が朝倉や浅井に密書を送り➡ 82 00:13:59,200 --> 00:14:02,470 上洛を促しておるのは つかんでおる。➡ 83 00:14:02,470 --> 00:14:06,340 信長様が 大和と河内に兵を送って➡ 84 00:14:06,340 --> 00:14:09,810 近江や美濃が手薄になったところへ 朝倉たちに➡ 85 00:14:09,810 --> 00:14:14,680 一気に信長様を攻めさせようとの 魂胆とにらんでおりますが いかがか! 86 00:14:14,680 --> 00:14:17,480 わしは そこまで思うておらぬ。 87 00:14:17,480 --> 00:14:20,390 それが甘いと申し上げておるのじゃ! 88 00:14:20,390 --> 00:14:25,160 何が甘い! 大~甘じゃ。 89 00:14:25,160 --> 00:14:30,460 お育ちのよろしい方々は そういうところが手ぬるい。 90 00:14:32,030 --> 00:14:37,170 そもそも 柴田様も佐久間様も➡ 91 00:14:37,170 --> 00:14:42,170 本心で松永を討ちたいと思われますか? 92 00:14:47,510 --> 00:14:51,850 さて 厠へ行くとするか。➡ 93 00:14:51,850 --> 00:14:58,190 明日は近江へ戻って 浅井を討つ算段じゃ~! 94 00:14:58,190 --> 00:15:00,190 猿めが! 95 00:15:09,140 --> 00:15:12,470 長居をいたしました。 いえ。 96 00:15:12,470 --> 00:15:18,140 こたびは いろいろ やっかい。 何かと相談に乗って頂きたい。 97 00:15:18,140 --> 00:15:20,140 喜んで。 98 00:15:24,020 --> 00:15:29,020 一度 申し上げようと思うていたのだが…。 99 00:15:32,490 --> 00:15:40,370 比叡山を攻めた折 殿は 叡山の者は ことごとく殺せと命じられた。 100 00:15:40,370 --> 00:15:47,040 だが 明智殿は 女子と子どもを助け 戦のあとで➡ 101 00:15:47,040 --> 00:15:51,740 それを殿に はっきり申し上げたと聞きました。 102 00:15:53,510 --> 00:16:01,810 こたびの戦も 明智殿の思うところを 殿に直言して頂きたい。 103 00:16:03,320 --> 00:16:07,020 それを申し上げたかった。 104 00:16:08,790 --> 00:16:11,490 では。 105 00:16:15,470 --> 00:16:18,170 (佐久間)待たせた。 106 00:16:23,810 --> 00:16:27,150 元亀2年から元亀3年にかけ➡ 107 00:16:27,150 --> 00:16:32,490 大和の松永久秀は 筒井順慶ら近隣の幕府方と➡ 108 00:16:32,490 --> 00:16:36,160 戦を繰り広げていた。 その松永に対し➡ 109 00:16:36,160 --> 00:16:38,490 足利義昭と幕府は➡ 110 00:16:38,490 --> 00:16:41,190 鎮圧に乗り出そうと していた。 111 00:16:42,830 --> 00:16:45,500 (三淵藤英)おお 参られたか。➡ 112 00:16:45,500 --> 00:16:49,170 公方様もお待ちかねじゃ。 113 00:16:49,170 --> 00:16:52,070 広間でございますか? 114 00:16:52,070 --> 00:16:58,510 庭じゃ。 庭で これをやっておられる。 115 00:16:58,510 --> 00:17:00,810 (足利義昭)セイッ! 116 00:17:07,120 --> 00:17:09,790 (小姓)恐れ入りましてござります! 117 00:17:09,790 --> 00:17:15,130 もう音を上げるのか。 張り合いのないやつじゃ。 118 00:17:15,130 --> 00:17:21,800 公方様が… 剣術を。 119 00:17:21,800 --> 00:17:26,470 兄君の義輝様は 剣の達人におわした。 120 00:17:26,470 --> 00:17:30,140 公方様は ここのところ それを気にされていてな➡ 121 00:17:30,140 --> 00:17:34,480 戦に行くにも 多少の心得があった方がよかろうと➡ 122 00:17:34,480 --> 00:17:39,150 剣の心得がある者を捕まえては 指南を受けておられる。 123 00:17:39,150 --> 00:17:45,830 兄君は兄君。 公方様は公方様なのだが…。 124 00:17:45,830 --> 00:17:50,700 私はよいと思う。 公方様は武家の棟梁。 125 00:17:50,700 --> 00:17:54,170 諸国の大名たちに侮られるようでは困る。 126 00:17:54,170 --> 00:17:58,040 そういう心構えの表れと 拝察しておるのじゃ。 127 00:17:58,040 --> 00:18:05,740 摂津殿を追放して以来 ご自身の役割を しかと悟られたようじゃ。 128 00:18:09,450 --> 00:18:12,750 おう 十兵衛か。 129 00:18:15,790 --> 00:18:20,130 (義昭)どうじゃ 下りてきて 手合わせをしてくれぬか。➡ 130 00:18:20,130 --> 00:18:25,130 こやつらでは 相手にならぬ。 は? 131 00:18:26,800 --> 00:18:32,470 公方様 十兵衛殿は 弟 藤孝も舌を巻くほどの剣の使い手。 132 00:18:32,470 --> 00:18:35,370 あまりお勧めはいたしませぬ。 133 00:18:35,370 --> 00:18:39,350 それゆえ 太刀さばきを見てみたいのじゃ。 134 00:18:39,350 --> 00:18:44,080 十兵衛 たっての所望ぞ。 下りてまいれ。 135 00:18:44,080 --> 00:18:48,020 いえ その儀ばかりはご容赦を…。 136 00:18:48,020 --> 00:18:51,320 それを十兵衛に渡せ。 (近習)はっ。 137 00:18:56,160 --> 00:19:00,030 公方様のお望みじゃ。 お受けなされ。 138 00:19:00,030 --> 00:19:04,330 十兵衛 参れ。 139 00:19:35,470 --> 00:19:37,770 タ~ッ! 140 00:19:41,340 --> 00:19:43,340 来~い! 141 00:20:05,160 --> 00:20:10,860 (荒い息遣い) 142 00:20:19,510 --> 00:20:26,210 死にとうない… その一心で 大和を出てまいった。 143 00:20:27,850 --> 00:20:30,550 タァ~ッ! 144 00:20:34,190 --> 00:20:38,530 私がもし将軍になれば 人を救える。 145 00:20:38,530 --> 00:20:41,530 貧しい人々を…。 146 00:20:45,200 --> 00:20:47,200 わ~っ! 147 00:20:51,080 --> 00:20:55,850 美濃へ行く。 そなたを信じよう。 148 00:20:55,850 --> 00:20:59,550 公方様 ここまでにいたしましょう。 149 00:20:59,550 --> 00:21:03,160 もっとじゃ! このままでは引き下がらぬぞ! 150 00:21:03,160 --> 00:21:07,460 うわ~っ! うわ~っ うわ~っ! ああ~っ! 151 00:21:13,800 --> 00:21:17,100 さあ…。 うわ~っ! 152 00:21:20,510 --> 00:21:25,380 我らにとって ここは夢の都であった。 153 00:21:25,380 --> 00:21:29,180 その美しき都に戻さねばなりませぬ。 154 00:21:29,180 --> 00:21:31,520 (義昭)自信はあるか? 155 00:21:31,520 --> 00:21:34,220 ございます! 156 00:21:35,850 --> 00:21:43,850 (荒い息遣い) 157 00:21:46,870 --> 00:21:50,200 もう今日は ここまでで よいではありませぬか? 158 00:21:50,200 --> 00:21:53,540 さあ あちらへ参りましょう。 159 00:21:53,540 --> 00:22:14,160 ♬~ 160 00:22:14,160 --> 00:22:18,500 (熙子)白湯でも お持ちいたしましょうか? 161 00:22:18,500 --> 00:22:22,800 いや 何も要らん。 162 00:22:43,190 --> 00:22:48,530 昨日 御所へ行った。 163 00:22:48,530 --> 00:22:51,860 (熙子)御所へ? 164 00:22:51,860 --> 00:22:57,540 御所で 帝のお声を聞いた…。 165 00:22:57,540 --> 00:23:06,240 信長様が 帝を敬うておられるのが 少し分かった。 166 00:23:10,120 --> 00:23:22,160 我ら武士は 将軍の名の下に集まり 世を平らかにすべき そう思うてきた。 167 00:23:22,160 --> 00:23:32,170 だが 信長様は もはや そう思うておられぬのかもしれぬ。 168 00:23:32,170 --> 00:23:35,870 そう思うた。 169 00:23:45,520 --> 00:23:52,390 (熙子)昨日 左馬助が 近江から帰りました。➡ 170 00:23:52,390 --> 00:23:58,100 坂本城が だいぶ出来上がったと うれしそうに話していました。 171 00:23:58,100 --> 00:24:00,800 うむ…。 172 00:24:04,470 --> 00:24:10,810 そうじゃ。 一緒に城を見に行かぬか。 坂本へ…。 173 00:24:10,810 --> 00:24:15,150 は…? 城が出来たら まず誰よりも先➡ 174 00:24:15,150 --> 00:24:18,150 そなたに見せてやろうと。 175 00:24:20,820 --> 00:24:25,160 はい うれしうございます! 176 00:24:25,160 --> 00:24:27,490 うむ…。 177 00:24:27,490 --> 00:24:52,180 ♬~ 178 00:24:52,180 --> 00:24:57,520 これが 天主というものですか? 179 00:24:57,520 --> 00:24:59,520 うむ。 180 00:25:09,130 --> 00:25:18,140 ここに立って外を見ると この城が 湖に浮かんでいるように思える。 181 00:25:18,140 --> 00:25:25,820 (熙子) まことに… 湖の中にいるような…! 182 00:25:25,820 --> 00:25:34,490 この城は水城。 堀は外湖に続いておる。 183 00:25:34,490 --> 00:25:40,790 そなたと子どもたちを舟に乗せ 月見に 漕ぎ出してゆくのだ。 184 00:25:42,830 --> 00:25:49,130 湖の上で 子どもたちに古き歌を教える。 185 00:25:51,510 --> 00:25:59,180 「月は舟 星は白波」…。 186 00:25:59,180 --> 00:26:07,460 「雲は海 いかに漕ぐらん桂男は」…。 187 00:26:07,460 --> 00:26:12,760 「ただ一人して」。 (笑い声) 188 00:26:21,010 --> 00:26:24,710 必ず皆をここへ呼び寄せる。 189 00:26:26,810 --> 00:26:32,810 人質として そなたたちを京に残せとは…。 190 00:26:35,820 --> 00:26:39,690 いかに公方様でも➡ 191 00:26:39,690 --> 00:26:46,690 何と仰せになろうと その儀だけは のめぬ! 192 00:26:57,510 --> 00:27:02,780 この近江の国は➡ 193 00:27:02,780 --> 00:27:15,480 美濃の国と京との ちょうど中ほどでございましょうか? 194 00:27:19,800 --> 00:27:24,500 今 どちらに心を引かれておられますか? 195 00:27:49,490 --> 00:27:52,400 どちらも大事なのだ。 196 00:27:52,400 --> 00:27:55,700 どちらも。 197 00:27:59,500 --> 00:28:02,500 ただ…。 198 00:28:04,780 --> 00:28:08,780 今のままでは済まぬやもしれぬ。 199 00:28:17,790 --> 00:28:26,130 元亀3年 春 幕府と織田の連合軍が 河内の国に向けて出陣をした。 200 00:28:26,130 --> 00:28:29,800 松永久秀と 松永に急接近してきた➡ 201 00:28:29,800 --> 00:28:35,100 三好の一党を討つための 大がかりな出陣であった。 202 00:28:37,140 --> 00:28:43,820 これより 松永を討つ! 203 00:28:43,820 --> 00:28:45,820 (一同)はっ! 204 00:28:47,490 --> 00:28:54,830 しかし 織田信長は この戦に加わらず 河内に攻め込んだ連合軍も➡ 205 00:28:54,830 --> 00:28:59,830 松永久秀を取り逃がし 戦を終えた。 206 00:29:08,770 --> 00:29:14,450 (武田信玄)このところ 信長の動きが鈍い。 207 00:29:14,450 --> 00:29:20,150 公方様との足並みにも 乱れがある。 208 00:29:22,120 --> 00:29:30,800 その公方様は わしに上洛せよと矢の催促じゃ。 209 00:29:30,800 --> 00:29:39,470 出陣の機は熟したと思うが どうじゃ? 210 00:29:39,470 --> 00:29:42,370 (一同)はっ! 211 00:29:42,370 --> 00:29:52,820 まず 遠江へ出て 浜松城の徳川家康を討つ! 212 00:29:52,820 --> 00:29:58,690 その年の10月 信玄は 京に向かって進撃を開始した。 213 00:29:58,690 --> 00:30:01,830 出陣じゃ! 214 00:30:01,830 --> 00:30:04,830 (一同)はは~っ! 215 00:30:17,380 --> 00:30:23,110 (織田信長)十兵衛が坂本にいると 便利じゃ。 呼べば翌日には来る。 216 00:30:23,110 --> 00:30:27,850 私も申し上げたき儀があり 好都合でございました。 217 00:30:27,850 --> 00:30:33,190 まず わしの話じゃ。 はっ。 218 00:30:33,190 --> 00:30:38,860 3日前 夢を見た。 219 00:30:38,860 --> 00:30:49,560 甲斐より 大入道が上洛し わしを捕らえて 公方様の前に突き出すのじゃ。 220 00:30:51,210 --> 00:31:00,550 公方様は 事もなげに 耳と鼻とをそぎ落とし➡ 221 00:31:00,550 --> 00:31:06,160 五条の橋にさらせと仰せになる。 222 00:31:06,160 --> 00:31:09,490 そこで目が覚めた。 223 00:31:09,490 --> 00:31:17,370 恐ろしい夢じゃ。 しかし こう思うた。 224 00:31:17,370 --> 00:31:23,040 近頃 わしは 公方様に冷たく当たったかもしれぬ。 225 00:31:23,040 --> 00:31:30,520 そなたも目を通したであろう。 公方様に送った あの文を。 226 00:31:30,520 --> 00:31:36,860 いくつもの例を挙げて 公方様をおいさめした。 227 00:31:36,860 --> 00:31:42,530 よく働いた家臣に褒美をやらず➡ 228 00:31:42,530 --> 00:31:49,870 己がかわいいと思う近習の者にのみ 金品を与える。 229 00:31:49,870 --> 00:31:59,540 わしの許しも得ず 諸国に御内書を送り 寺社の領地を没収したり➡ 230 00:31:59,540 --> 00:32:04,380 お支えするこの信長も面目が立たぬと。 231 00:32:04,380 --> 00:32:10,490 まことに手厳しい文でございました。 232 00:32:10,490 --> 00:32:19,830 後で思うた。 どうも 遠慮が足りなんだようじゃ。 233 00:32:19,830 --> 00:32:28,840 夢とはいえ あれで わしは 耳 鼻をそがれることになったのだ。 234 00:32:28,840 --> 00:32:32,180 違うか? 235 00:32:32,180 --> 00:32:36,180 そこで思いついたのじゃ。 236 00:32:41,190 --> 00:32:46,860 この鵠を差し上げ 日々のお慰みにして頂こうかと。 237 00:32:46,860 --> 00:32:52,560 公方様も 幾分 ご機嫌を直して頂けると思うてな。 238 00:32:57,500 --> 00:33:05,340 松永久秀を討てと命じられた折も すかさず兵を出した。 239 00:33:05,340 --> 00:33:09,810 わしなりに気を遣うておるのじゃ。 240 00:33:09,810 --> 00:33:13,150 そう思わぬか。 241 00:33:13,150 --> 00:33:17,020 気をお遣いになるのであれば 親しきお大名にも➡ 242 00:33:17,020 --> 00:33:20,490 いま少し お気を遣われるべきかと。 243 00:33:20,490 --> 00:33:22,830 何? 244 00:33:22,830 --> 00:33:28,500 徳川家康殿の領地に 武田信玄が 攻め込んでいるとの知らせが入りました。 245 00:33:28,500 --> 00:33:32,370 武田勢は 2万以上の兵だと聞いております。 246 00:33:32,370 --> 00:33:35,840 家康殿の軍は せいぜい7, 000~8, 000。 247 00:33:35,840 --> 00:33:42,180 3, 000の援軍では 到底 勝ち目がございますまい。 248 00:33:42,180 --> 00:33:48,520 しかたあるまい。 こちらも ギリギリでやっておる。 249 00:33:48,520 --> 00:33:54,820 越前の朝倉が 北近江に1万5, 000の兵を繰り出し…。 250 00:33:56,390 --> 00:34:01,100 明日 わしも出陣する。 251 00:34:01,100 --> 00:34:08,470 家康を助けても わしが負けたら元も子もあるまい。 252 00:34:08,470 --> 00:34:11,810 信長様には 公方様がついておられます。 253 00:34:11,810 --> 00:34:15,680 そのお声一つで 畿内の大名が はせ参じましょう。 254 00:34:15,680 --> 00:34:20,150 しかし 家康殿は違います。 家康殿は信長様を敬い➡ 255 00:34:20,150 --> 00:34:26,020 頼りにしておられます。 我らも 家康殿に どれほど助けられたか分かりませぬ。 256 00:34:26,020 --> 00:34:31,160 せめて あと3, 000。 いや 2, 000でも構いませぬ。 援軍を! 257 00:34:31,160 --> 00:34:33,500 十兵衛。 258 00:34:33,500 --> 00:34:42,170 夢の話をしたであろう。 公方様が そうまで当てになるお方と思うか? 259 00:34:42,170 --> 00:34:52,180 信玄も 朝倉も 浅井も 皆 公方様が上洛を促しておられる。 260 00:34:52,180 --> 00:34:56,050 わしを追い落とすつもりか? 261 00:34:56,050 --> 00:34:58,860 さようなことは断じて…! 262 00:34:58,860 --> 00:35:02,460 公方様をお支えしているのは 信長様であると➡ 263 00:35:02,460 --> 00:35:07,330 公方様もご存じのはず。 決して追い落とすなどと! 264 00:35:07,330 --> 00:35:13,330 もし さような動きがあれば この十兵衛が 食い止めてご覧に入れまする! 265 00:35:18,810 --> 00:35:21,510 ふむ…。 266 00:35:31,390 --> 00:35:37,500 以前 帰蝶が申しておった。 267 00:35:37,500 --> 00:35:45,200 十兵衛は どこまでも十兵衛じゃと。 268 00:35:51,840 --> 00:35:59,180 あの鳥を 公方様にお届けせよ。 269 00:35:59,180 --> 00:36:01,450 はっ。 270 00:36:01,450 --> 00:36:04,120 (若侍)申し上げます! ん? 271 00:36:04,120 --> 00:36:07,790 (若侍)遠江より急ぎの使者が参り 遠江の三方ヶ原において➡ 272 00:36:07,790 --> 00:36:12,790 徳川様と我が援軍が 武田の軍勢に大敗したとのこと! 273 00:36:18,440 --> 00:36:23,340 (駒)これは 徳大寺様の館へお持ちして。 これは 頂妙寺。 274 00:36:23,340 --> 00:36:26,480 (望月東庵)駒! (駒)はい。 ああ…。 275 00:36:26,480 --> 00:36:34,350 今 二条城から使いのお侍が見えて これを駒に渡してくれと言うて➡ 276 00:36:34,350 --> 00:36:41,650 お帰りになった。 いや~ 随分急いでおいでで…。 277 00:36:51,500 --> 00:36:54,410 公方様からの文だ。 278 00:36:54,410 --> 00:37:00,180 今までお渡ししたお金 全部 鉄砲を買わせてくれと! 279 00:37:00,180 --> 00:37:03,880 戦に勝ったら返すって…。 280 00:37:14,130 --> 00:37:21,130 この鵠は 来るのが遅かった。 281 00:37:23,130 --> 00:37:25,470 は? 282 00:37:25,470 --> 00:37:29,140 (義昭) もはや これを受け取るわけにはいかぬ。 283 00:37:29,140 --> 00:37:31,480 何故でございますか? 284 00:37:31,480 --> 00:37:38,780 わしは信長との戦を覚悟したのじゃ。 285 00:37:40,490 --> 00:37:43,190 公方様…! 286 00:37:49,160 --> 00:37:54,030 (義昭)信長が わしによこした 十七ヶ条の異見書じゃ。 287 00:37:54,030 --> 00:37:56,500 罵詈雑言じゃ!➡ 288 00:37:56,500 --> 00:38:02,770 帝への配慮が足りぬだの 将軍の立場を利用し➡ 289 00:38:02,770 --> 00:38:06,640 金銀をため込んで まことに評判悪しきゆえ➡ 290 00:38:06,640 --> 00:38:09,340 恥ずべきであると! 291 00:38:11,120 --> 00:38:14,420 (義昭)もはや 我慢がならぬ。 292 00:38:16,790 --> 00:38:21,460 今や 武田信玄が上洛の途上にある。 293 00:38:21,460 --> 00:38:29,330 朝倉と浅井が信玄に呼応して 近江で 信長を挟み撃ちにすると伝えてきておる。 294 00:38:29,330 --> 00:38:36,470 徳川も既に敗れ 松永も敵に回った。 295 00:38:36,470 --> 00:38:40,770 信長の命運は尽きた! 296 00:38:42,810 --> 00:38:49,490 松永様を敵に回すよう はかられたのは 公方様ではありませぬか! 297 00:38:49,490 --> 00:38:53,160 はかったとは何事! あ…➡ 298 00:38:53,160 --> 00:38:56,830 申し訳ございませぬ! 明智殿。 299 00:38:56,830 --> 00:39:02,630 上洛の折は 信長殿には 一方ならぬ恩を受けた。 300 00:39:02,630 --> 00:39:11,340 しかし このところの信長殿は 帝 帝と 御所のみに顔を向けておられる。➡ 301 00:39:11,340 --> 00:39:16,110 武家の棟梁など なきもののごとく 振る舞われておる。 302 00:39:16,110 --> 00:39:22,990 明智殿にも熟慮頂き 我らと共に公方様をお支えし➡ 303 00:39:22,990 --> 00:39:28,290 新しき世のための戦に はせ参じて頂きたい。 304 00:39:33,660 --> 00:39:38,140 戦に はせ参じよと? 305 00:39:38,140 --> 00:39:42,470 誰との戦に? 306 00:39:42,470 --> 00:39:45,140 信長様と戦えと!? 307 00:39:45,140 --> 00:39:48,050 (三淵)明智殿は 今や 幕府にとって なくてはならぬお方! 308 00:39:48,050 --> 00:39:52,050 ここは なんとしてもご決心頂きたい! 309 00:39:54,490 --> 00:40:04,190 公方様 どうか いま一度… いま一度 お考え直しを…! 310 00:40:05,830 --> 00:40:08,530 決めたのじゃ。 311 00:40:10,500 --> 00:40:17,380 わしは 信玄と共に戦う!➡ 312 00:40:17,380 --> 00:40:28,080 信長から離れろ。 わしのために… そうしてくれ。 313 00:40:40,870 --> 00:40:43,770 公方様…! 314 00:40:43,770 --> 00:41:04,090 ♬~ 315 00:41:04,090 --> 00:41:07,390 それは できませぬ。 316 00:41:09,030 --> 00:41:11,730 十兵衛…。 317 00:41:13,760 --> 00:41:16,170 御免! 318 00:41:16,170 --> 00:41:19,870 十兵衛殿! 追うな! 319 00:41:30,180 --> 00:41:36,180 十兵衛は鳥じゃ。 320 00:41:37,860 --> 00:41:41,530 籠から出た鳥じゃ…。 321 00:41:41,530 --> 00:41:48,870 また 飛んで戻ってくるやもしれぬ。 322 00:41:48,870 --> 00:42:02,410 ♬~ 323 00:42:02,410 --> 00:42:13,710 (おえつ) 324 00:42:17,830 --> 00:42:22,700 将軍 足利義昭が 畿内の大名を集め➡ 325 00:42:22,700 --> 00:42:26,170 織田信長に対し兵を挙げた。 326 00:42:26,170 --> 00:42:29,470 元亀4年3月のことである。 327 00:42:31,510 --> 00:42:35,180 今や将軍はおらぬ。 我らの世でござる。 328 00:42:35,180 --> 00:42:37,850 背後に武田がいるからじゃ。 お前 寝返ったな! 329 00:42:37,850 --> 00:42:39,780 いつから裏切り者になり果てた!? 330 00:42:39,780 --> 00:42:41,720 三淵様! なぜじゃ? 331 00:42:41,720 --> 00:42:45,190 信長を討つ! たたき潰せ! 332 00:42:45,190 --> 00:42:47,860 人もまた変わるとか…。 333 00:42:47,860 --> 00:42:51,530 蘭奢待を所望と言うてまいった。 334 00:42:51,530 --> 00:42:53,860 蘭奢待…! 335 00:42:53,860 --> 00:42:56,560 これが… 蘭奢待。 336 00:43:03,810 --> 00:43:06,710 滋賀県大津市。 337 00:43:06,710 --> 00:43:13,410 坂本は 比叡山延暦寺の門前町として 栄えました。 338 00:43:16,390 --> 00:43:22,490 延暦寺の監視と 京へ通じる水陸交通の拠点として➡ 339 00:43:22,490 --> 00:43:26,790 この地に築城された坂本城。 340 00:43:28,370 --> 00:43:31,840 琵琶湖の水を引き入れた城郭には➡ 341 00:43:31,840 --> 00:43:36,170 大小2つの天守があったといいます。 342 00:43:36,170 --> 00:43:39,080 宣教師のルイス・フロイスは➡ 343 00:43:39,080 --> 00:43:46,080 信長の安土城に次ぐ 豪壮華麗な城だと書き記しています。 344 00:43:47,790 --> 00:43:53,520 渇水時に 湖中の石垣が現れ 調査の結果➡ 345 00:43:53,520 --> 00:43:59,220 沈下を防ぐための胴木が 入れられていたことも分かりました。 346 00:44:00,870 --> 00:44:03,130 聖衆来迎寺。 347 00:44:03,130 --> 00:44:07,470 光秀により保護されたこの寺の表門は➡ 348 00:44:07,470 --> 00:44:14,170 坂本城の櫓門を移築したものだと 考えられています。 349 00:44:15,810 --> 00:44:21,490 一国一城の主となった光秀は 城下町を整備し➡ 350 00:44:21,490 --> 00:44:27,490 坂本の繁栄に尽力したと 伝えられています。 351 00:45:20,850 --> 00:45:25,550 (お民)<時は 明治の初めでございます>