1 00:00:32,912 --> 00:00:38,484 火の用心~! (遠吠え) 2 00:00:38,484 --> 00:00:43,684 火の用心~! (遠吠え) 3 00:00:46,359 --> 00:00:52,359 ≪火の用心~! (拍子木の音) 4 00:00:55,835 --> 00:01:01,835 ≪火の用心~! (拍子木の音) 5 00:01:03,576 --> 00:01:09,348 ≪火の用心~! (拍子木の音) 6 00:01:09,348 --> 00:01:12,251 くせ者だ… どうする? 7 00:01:12,251 --> 00:01:17,023 手を出して 捕らえ損なえば かえって お咎めを受けるぞ。 8 00:01:17,023 --> 00:01:19,859 ここは ひとつ 成り行きを見て…。 うむ。 9 00:01:19,859 --> 00:01:23,359 盗られて困るほどの金は 置いておらぬしな。 10 00:01:53,726 --> 00:01:56,129 ややっ これは! 11 00:01:56,129 --> 00:01:59,332 鼠小僧!? 12 00:01:59,332 --> 00:02:02,368 鼠だ! 鼠小僧が現れた! 13 00:02:02,368 --> 00:02:04,668 灯りを持て! 14 00:02:07,073 --> 00:02:13,012 <義賊と名高い 鼠小僧次郎吉が 捕らえられて処刑されたのは天保3年。➡ 15 00:02:13,012 --> 00:02:15,148 4年も前のことです。➡ 16 00:02:15,148 --> 00:02:19,685 では この2人は一体…?> 17 00:02:19,685 --> 00:02:31,685 ♬~ 18 00:02:33,633 --> 00:02:37,103 <天保7年 勝家に長女が生まれ➡ 19 00:02:37,103 --> 00:02:39,038 順と名付けられました。➡ 20 00:02:39,038 --> 00:02:42,808 今日は めでたい お食い初めの日です。➡ 21 00:02:42,808 --> 00:02:45,311 めでたいの鯛を用意したのは➡ 22 00:02:45,311 --> 00:02:48,648 彦四郎夫婦。➡ 23 00:02:48,648 --> 00:02:50,583 歯固めの石は➡ 24 00:02:50,583 --> 00:02:53,486 麟太郎が授かってきました> 25 00:02:53,486 --> 00:02:56,322 一口目は ごはんを。 (泣き声) 26 00:02:56,322 --> 00:03:00,493 一生 食べるものに困らぬように。 (泣き声) 27 00:03:00,493 --> 00:03:03,396 あ~ん。 フフフフ…。 28 00:03:03,396 --> 00:03:09,001 お順 ほら おいしそうですよ。 29 00:03:09,001 --> 00:03:13,339 何か 無理やり食べさせてるみたいだな。 まあ。 30 00:03:13,339 --> 00:03:18,010 おばば殿は 何をやっても無理があるからなあ。 31 00:03:18,010 --> 00:03:20,913 <一生 食べるものに困らぬように。➡ 32 00:03:20,913 --> 00:03:24,517 それは 誰にとっても一番の願いです。➡ 33 00:03:24,517 --> 00:03:29,689 しかし このころ 何年も続く天候不良で 凶作が続き➡ 34 00:03:29,689 --> 00:03:34,527 世は 天保の飢饉のただ中…。➡ 35 00:03:34,527 --> 00:03:37,430 その日暮らしの江戸庶民は困窮。➡ 36 00:03:37,430 --> 00:03:42,969 そこに 近郊の農村から 飢えに苦しむ農民が流れ込んできて…。➡ 37 00:03:42,969 --> 00:03:49,169 幕府は お救い小屋やお救い米の支給で 救済に当たったのです> 38 00:03:53,479 --> 00:03:55,982 <勝家の台所も苦しくて…> 39 00:03:55,982 --> 00:04:00,319 きらずには まず 塩を よくまぶしておきます。 40 00:04:00,319 --> 00:04:04,657 これを お米と一緒に炊くのですね。 41 00:04:04,657 --> 00:04:09,996 火の引き際に入れるのが おいしく作るコツなんです。 42 00:04:09,996 --> 00:04:12,498 水は 少し控えめにして。 43 00:04:12,498 --> 00:04:15,835 なるほど…。 うちでも 試してみようかしら。 44 00:04:15,835 --> 00:04:20,835 案外 おいしいものですよ。 何より 安上がりで。 45 00:04:22,608 --> 00:04:27,446 米の値が また上がったとか。 46 00:04:27,446 --> 00:04:32,318 50年前のような騒動に ならなければよいのですが…。 47 00:04:32,318 --> 00:04:34,954 50年前…。 48 00:04:34,954 --> 00:04:38,457 天明の折の飢饉ですね? 49 00:04:38,457 --> 00:04:45,331 打ち壊しが続いて 江戸は 戦場のようでした。 50 00:04:45,331 --> 00:04:48,167 此度は そうはなりますまい。 51 00:04:48,167 --> 00:04:52,638 昔のような騒ぎが起きぬよう ご公儀が動いておりますから。 52 00:04:52,638 --> 00:04:55,541 広小路に お救い小屋が出来ていました。 53 00:04:55,541 --> 00:05:02,315 うむ。 町奉行のお指図で 諸国から米を買い入れている。 54 00:05:02,315 --> 00:05:08,315 江戸で 餓死者が大勢出るようなことは まず起きぬでしょう。 55 00:05:11,023 --> 00:05:13,523 麟 どうした? 56 00:05:16,862 --> 00:05:23,336 江戸の米不足は それで乗り切れても 田舎は どうなるのでしょう? 57 00:05:23,336 --> 00:05:28,007 米が足りぬのは どこも同じでは? 58 00:05:28,007 --> 00:05:33,207 う~む それは…。 59 00:05:35,815 --> 00:05:40,453 鼠小僧が また 大名屋敷に忍び入ったそうですよ。 60 00:05:40,453 --> 00:05:43,489 細川五十二万石のお下屋敷だってね。 61 00:05:43,489 --> 00:05:47,326 さすがは 盗っ人の総本山 義賊の鑑! 62 00:05:47,326 --> 00:05:50,963 鼠小僧ってのは もう何年も前に 死罪になったんじゃねえのかい。 63 00:05:50,963 --> 00:05:55,468 だからね 4年前に首をはねられたのは あれ 身代わりなんですよ。 64 00:05:55,468 --> 00:05:58,971 ご時節柄 本物が 世直しに現れたってわけで。 65 00:05:58,971 --> 00:06:01,640 (お清)盗みに入るのは 金がうなってる大名屋敷だけ。 66 00:06:01,640 --> 00:06:03,976 しかも 誰一人 殺めないってんだから➡ 67 00:06:03,976 --> 00:06:06,879 まあ 胸が すくじゃありませんか。 68 00:06:06,879 --> 00:06:11,650 あたしゃね 今の鼠は 二代目だって にらんでんですよ。 69 00:06:11,650 --> 00:06:16,122 義賊の志を継ぐ者が 名乗りを上げたんじゃないかってね。 70 00:06:16,122 --> 00:06:18,057 義賊ねえ…。 71 00:06:18,057 --> 00:06:19,992 うわっ! うう…。 おおっ! 72 00:06:19,992 --> 00:06:21,994 何だ おめえは!? 73 00:06:21,994 --> 00:06:23,996 か… 河童だ! (お清 銀次)河童!? 74 00:06:23,996 --> 00:06:26,499 おい! そこを動くな! 75 00:06:26,499 --> 00:06:28,434 わっ 来た! 逃げっぺ! 76 00:06:28,434 --> 00:06:31,470 ううっ! (女たちの悲鳴) 77 00:06:31,470 --> 00:06:33,606 何しやがんだ こら! 78 00:06:33,606 --> 00:06:35,641 こら~! うわっ! (女たちの悲鳴) 79 00:06:35,641 --> 00:06:38,477 この野郎! 80 00:06:38,477 --> 00:06:40,946 逃げっぺ! うわっ! 81 00:06:40,946 --> 00:06:43,849 おい 何やってんだよ やめろよ この野郎! 82 00:06:43,849 --> 00:06:46,285 うるせえ~! うおっ! 83 00:06:46,285 --> 00:06:48,220 やめろ! 84 00:06:48,220 --> 00:06:52,625 見な! おめえが走り回るから あっちこっち 壊れちまったじゃねえか! 85 00:06:52,625 --> 00:06:56,495 こりゃ 勝様…。 そこの二人 こっちに渡しておくんなせえ。 86 00:06:56,495 --> 00:06:58,497 おめえたち 何したんだい? 87 00:06:58,497 --> 00:07:01,797 腹が減ったから 銭を稼ごうと…。 88 00:07:03,969 --> 00:07:05,905 うわ~! うわっ! 89 00:07:05,905 --> 00:07:11,310 京は四條河原 浪速は天満天神内で ご評判にあずかりました➡ 90 00:07:11,310 --> 00:07:16,115 紀州熊野浦で生け捕りました 河童でござ~い。➡ 91 00:07:16,115 --> 00:07:18,651 さあさあ お立ち会い! 92 00:07:18,651 --> 00:07:21,320 チッ 生け捕り河童か たわいもねえ。 93 00:07:21,320 --> 00:07:24,223 見慣れねえ面だから 呼び止めたら 逃げ出しやがったんでさ。 94 00:07:24,223 --> 00:07:27,126 後ろ暗えことがあるに違えねえんだ! 95 00:07:27,126 --> 00:07:30,029 見逃してやってくんねえか 喜八親分。 ええ? 96 00:07:30,029 --> 00:07:32,765 口出しは無用に願います。 97 00:07:32,765 --> 00:07:35,601 市中取り締まりは 我らのお役目ですから。 98 00:07:35,601 --> 00:07:37,937 田舎を食い詰めた無宿者が! 99 00:07:37,937 --> 00:07:39,872 無宿者だ!? 100 00:07:39,872 --> 00:07:42,608 どこに目ぇつけてんだい! どう見たって 河童じゃねえか! 101 00:07:42,608 --> 00:07:44,543 なあ? えっ!? 102 00:07:44,543 --> 00:07:47,446 あっ… あっ 河童だ! 河童に違いねえ! 103 00:07:47,446 --> 00:07:49,782 大川にゃ こんな河童 いくらもいるぞ! 104 00:07:49,782 --> 00:07:51,717 何っ…。 知らねえのか! おう! 105 00:07:51,717 --> 00:07:54,620 おい 河童 早く川に帰りな。 106 00:07:54,620 --> 00:07:56,920 へえ! あっ…! 107 00:07:58,791 --> 00:08:02,294 皿が乾いて死んじまったら かわいそうじゃねえか。 108 00:08:02,294 --> 00:08:05,798 うわ~! きゃ~! おおっ! 109 00:08:05,798 --> 00:08:08,834 (長兵衛)この川に飛び込むんだ! 早く しな! 110 00:08:08,834 --> 00:08:10,970 うわ~! おお~! 111 00:08:10,970 --> 00:08:15,474 親分さん ハハ… 今日のところは これで。 112 00:08:15,474 --> 00:08:17,977 旦那。 113 00:08:17,977 --> 00:08:21,313 <もめ事は穏便に収めたいのが人情。➡ 114 00:08:21,313 --> 00:08:24,216 岡っ引きの中には 人の弱みにつけ込んで➡ 115 00:08:24,216 --> 00:08:28,654 袖の下を強要する輩も いたそうですが…。➡ 116 00:08:28,654 --> 00:08:32,925 時の老中 水野忠邦も この地位に出世するまでには➡ 117 00:08:32,925 --> 00:08:37,425 あちらこちらに かなりの金品を贈ってきたようで…> 118 00:08:46,071 --> 00:08:48,974 (水野)中野碩翁…。➡ 119 00:08:48,974 --> 00:08:54,780 あのような者が 公方様に取り入っておるゆえ➡ 120 00:08:54,780 --> 00:08:57,683 ご政道が乱れるのだ。 121 00:08:57,683 --> 00:09:02,955 はっ。 あの隠居 いずれ取り除かねばなりませぬ。 122 00:09:02,955 --> 00:09:10,296 ご老中 ちと お耳に入れたきことが…。 123 00:09:10,296 --> 00:09:13,332 鳥居耀蔵か…。 124 00:09:13,332 --> 00:09:19,305 フッ 嫌なやつが ウロチョロし始めた…。 125 00:09:19,305 --> 00:09:23,809 フッ フフフフ… ハハハ…。 126 00:09:23,809 --> 00:09:26,478 <この5年後 鳥居耀蔵は➡ 127 00:09:26,478 --> 00:09:33,252 水野忠邦の懐刀として 天保の改革で 強権を振るうことになるのです> 128 00:09:33,252 --> 00:09:35,187 お帰りなさいませ。 129 00:09:35,187 --> 00:09:37,122 河童 連れてきた。 130 00:09:37,122 --> 00:09:40,926 えっ? 河童を連れてきた? 131 00:09:40,926 --> 00:09:44,430 こっちが 留吉。 こっちが太助だ。 132 00:09:44,430 --> 00:09:47,066 タチの悪い 岡っ引きに 目 つけられてな。 133 00:09:47,066 --> 00:09:50,603 ひっくくられて 佐渡の金山にでも送られたら大変だ。 134 00:09:50,603 --> 00:09:53,505 ほとぼりが冷めるまで うちに置くことにした。 135 00:09:53,505 --> 00:09:55,474 2人も? 136 00:09:55,474 --> 00:09:57,776 おめえも お順の世話で忙しいだろ。 137 00:09:57,776 --> 00:09:59,812 この2人に 家のことを手伝ってもらうがいい。 138 00:09:59,812 --> 00:10:02,948 まっ 飯だけは たらふく食わせてやってくれ。 139 00:10:02,948 --> 00:10:04,883 たらふくって…。 140 00:10:04,883 --> 00:10:07,620 うちは 宿屋ではありませんよ。 141 00:10:07,620 --> 00:10:09,555 あっ…。 142 00:10:09,555 --> 00:10:12,791 また 得体の知れない者を連れてきて…。 143 00:10:12,791 --> 00:10:16,295 勝家の名に傷がついたら どうするつもりですか! 144 00:10:16,295 --> 00:10:18,230 おばば様 そんな大げさな…。 145 00:10:18,230 --> 00:10:24,637 諸物価高騰の折 大の男を2人も 養う余裕があるのですか! 146 00:10:24,637 --> 00:10:27,473 はあ それは…。 147 00:10:27,473 --> 00:10:30,809 殿様 俺たちは これで…。 148 00:10:30,809 --> 00:10:33,479 どっか潜り込めば なんとか なっがら。 149 00:10:33,479 --> 00:10:38,117 助けていただいて ありがとうごぜえやした。 150 00:10:38,117 --> 00:10:40,052 (腹が鳴る音) 151 00:10:40,052 --> 00:10:43,922 いっけねえ…。 152 00:10:43,922 --> 00:10:45,858 分かりました。 153 00:10:45,858 --> 00:10:51,130 しばらくの間でしたら… まあ なんとかなりますよ。 154 00:10:51,130 --> 00:10:53,130 ああ…。 155 00:11:04,510 --> 00:11:11,150 此度の越後米の買い付け 大儀であったのう。 156 00:11:11,150 --> 00:11:14,520 仁杉様のお力添えのおかげにございます。 うむ。 157 00:11:14,520 --> 00:11:16,520 さあ 一献。 158 00:11:19,358 --> 00:11:25,864 <年番方与力の仁杉五郎左衛門は 奉行所事務方トップの実力者です。➡ 159 00:11:25,864 --> 00:11:27,800 江戸の飢饉対策のために➡ 160 00:11:27,800 --> 00:11:32,104 諸国から米を買い付ける任に 当たっていました。➡ 161 00:11:32,104 --> 00:11:37,404 こちらは 深川佐賀町の米問屋 角屋又兵衛> 162 00:11:39,311 --> 00:11:47,052 青木様のお力で 米買い付けのお役目に お加えくださいませ。 163 00:11:47,052 --> 00:11:50,752 仁杉様にお伝えしておく。 164 00:11:56,662 --> 00:12:02,835 これは 心ばかりの お礼のカステラでございます。 165 00:12:02,835 --> 00:12:06,335 お口に合いますか どうか…。 166 00:12:09,007 --> 00:12:12,878 おお…。➡ 167 00:12:12,878 --> 00:12:15,678 頂戴する。 168 00:12:19,518 --> 00:12:24,318 青木様には これを…。 169 00:12:30,028 --> 00:12:35,228 承知した。 毎月晦日 店に寄ろう。 170 00:12:37,102 --> 00:12:40,305 あの辺りから ちょくちょく雨が漏るのです。 171 00:12:40,305 --> 00:12:43,605 んだら 上がって見てみんべ。 172 00:12:49,815 --> 00:12:52,651 あら まあ 器用なこと。 173 00:12:52,651 --> 00:12:54,987 ああ ここだ。 174 00:12:54,987 --> 00:12:56,922 穴が開いでっぺや。 175 00:12:56,922 --> 00:13:00,859 直せますか? へえ すぐに。 176 00:13:00,859 --> 00:13:05,330 奥様 この釣瓶桶は 水が漏るだな。 177 00:13:05,330 --> 00:13:10,002 ええ。 桶屋さんが回ってきたら 直してもらわないと。 178 00:13:10,002 --> 00:13:12,202 こんぐれえなら 俺が。 179 00:13:13,839 --> 00:13:15,774 まあ お見事。 180 00:13:15,774 --> 00:13:18,010 太助は 手先が器用だから➡ 181 00:13:18,010 --> 00:13:21,680 直す物があったら 何でも言いつけてくだせえ。 182 00:13:21,680 --> 00:13:24,516 では…➡ 183 00:13:24,516 --> 00:13:27,216 こちらもお願いします。 184 00:13:29,021 --> 00:13:31,957 この引き出しが 重くて開けにくくて…。 185 00:13:31,957 --> 00:13:33,957 どれ…。 186 00:13:41,099 --> 00:13:44,469 ああ 木組みが緩んでっぺや。 187 00:13:44,469 --> 00:13:49,975 ほだら ちっと たたいて ついでに 金具のさびも落としますべ。 188 00:13:49,975 --> 00:13:56,648 (お順の泣き声) (留吉)嬢様。 ほ~ら ば~っ。 ハハハ…。 189 00:13:56,648 --> 00:14:01,119 (お順の泣き声) 190 00:14:01,119 --> 00:14:05,490 留吉さんは 赤ん坊がお好きね。 へえ。 191 00:14:05,490 --> 00:14:07,526 年の離れた妹が いだがら。 192 00:14:07,526 --> 00:14:11,830 そう。 村に残してきたのね。 へえ…。 193 00:14:11,830 --> 00:14:15,667 嬢様は 元気だなあ。 194 00:14:15,667 --> 00:14:19,137 <留吉と太助。 2人の素朴な若者は➡ 195 00:14:19,137 --> 00:14:23,008 すぐに 勝家の暮らしに溶け込んでいきました> 196 00:14:23,008 --> 00:14:44,008 ♬~ 197 00:14:46,331 --> 00:14:51,031 何が始まるのですか? 見てな。 幕が開くぜ。 198 00:14:54,306 --> 00:15:00,112 とざいと~ざい~! 199 00:15:00,112 --> 00:15:05,317 これより お目にかけまするは 田舎芝居の一幕。 200 00:15:05,317 --> 00:15:12,190 鷹揚のご見物を願い上げ奉りまする~。 201 00:15:12,190 --> 00:15:16,929 チョン! チョン チョン チョン チョン チョンチョンチョンチョンチョン➡ 202 00:15:16,929 --> 00:15:18,864 チョンチョンチョン チョン! 203 00:15:18,864 --> 00:15:20,864 ウフフ…。 204 00:15:41,153 --> 00:15:49,628 おう 忠信殿 待ちかねましたわいな。 205 00:15:49,628 --> 00:15:56,802 これはこれは 静様。 真っ平 ごめんくださりませ。 206 00:15:56,802 --> 00:16:09,502 ここは名に負う吉野山。 四方の景色もいろいろに。 207 00:16:24,329 --> 00:16:29,001 静御前が 義経公の後を追っていく場です。 208 00:16:29,001 --> 00:16:36,742 留吉の演じている家来は 実は 狐なのですよ。 209 00:16:36,742 --> 00:16:39,945 おばば様 よくご存じですね。 210 00:16:39,945 --> 00:16:44,616 若い頃は 芝居見物もしたものです。 211 00:16:44,616 --> 00:16:50,088 私は 瀬川菊之丞が大のひいきでした。 212 00:16:50,088 --> 00:16:53,959 それは美しい女形で…。 213 00:16:53,959 --> 00:16:58,797 おばば様にも 若い時があったのですねえ。 214 00:16:58,797 --> 00:17:00,997 当たり前です。 215 00:17:07,472 --> 00:17:09,408 せ~の! 216 00:17:09,408 --> 00:17:15,647 (2人)♬「ずぼんぼえ ずぼんぼえ はっ ずぼんぼならこそ 面憎い はい」 217 00:17:15,647 --> 00:17:21,987 ♬「ずぼんぼえ はっ ずぼんぼえ はい ずぼんぼならこそ 面憎い はっ」 218 00:17:21,987 --> 00:17:25,657 坊ちゃまも 一緒にやってごらんなせえ! 219 00:17:25,657 --> 00:17:34,066 せ~の ひい ふう みい ひい ふう みい ひいの ふうの ひい ふう みい。 220 00:17:34,066 --> 00:17:39,604 はい! ひい ふう みい ひい ふう みい ひいの ふうの ひい ふう みい。➡ 221 00:17:39,604 --> 00:17:41,540 もういっちょ! ずぼんぼえ。 222 00:17:41,540 --> 00:17:46,278 麟 お前 しっかりやれ! 存外 難しいのですよ。 223 00:17:46,278 --> 00:17:48,213 さあ 母上も。 224 00:17:48,213 --> 00:17:52,451 えっ? 私? ハハハハハ! 225 00:17:52,451 --> 00:17:59,624 ♬「ずぼんぼえ はっ ずぼんぼえ はい ずぼんぼならこそ 面憎い はい」 226 00:17:59,624 --> 00:18:05,964 ♬「ずぼんぼえ ずぼんぼえ よっ ずぼんぼならこそ 面憎い はっ」 227 00:18:05,964 --> 00:18:16,308 ♬~ 228 00:18:16,308 --> 00:18:22,008 <こんな にぎやかな夕べは 勝家では初めてのことでした> 229 00:18:33,592 --> 00:18:35,892 行くぞ! おう! 230 00:18:37,762 --> 00:18:40,432 おい おめえら! ≪鼠だ! 231 00:18:40,432 --> 00:18:42,367 鼠にやられた! 232 00:18:42,367 --> 00:18:44,367 鼠!? 233 00:19:00,819 --> 00:19:04,289 こんなに遅く 何をしているのです? 234 00:19:04,289 --> 00:19:07,192 あ… いや… 厠に… なあ? 235 00:19:07,192 --> 00:19:11,463 ああ… 手ぇ 洗ってて…。 236 00:19:11,463 --> 00:19:14,463 んだら おやすみなせえ。 237 00:19:17,335 --> 00:19:26,811 (お順の泣き声) 238 00:19:26,811 --> 00:19:31,249 ご存じ 鼠小僧が また現れたよ~! おお~! 239 00:19:31,249 --> 00:19:34,586 今度は 久世様の下屋敷だ! 240 00:19:34,586 --> 00:19:39,758 後には 「鼠小僧参上」の書き置きが一枚! 241 00:19:39,758 --> 00:19:42,427 な… 何すんでえ! デタラメ 書きやがって! 242 00:19:42,427 --> 00:19:47,227 おめえら つまらねえ噂 流すと 手が後ろに回るぜ! 243 00:19:48,934 --> 00:19:52,270 鼠小僧など 4年前に死んだというのに。 244 00:19:52,270 --> 00:19:56,074 こう騒ぎになっては 奉行所のお裁きに傷がつくぜ。 245 00:19:56,074 --> 00:20:00,445 実は ゆうべ ちょいと遊んだ帰り➡ 246 00:20:00,445 --> 00:20:04,316 久世様の下屋敷近くで 妙な2人組を見かけやした。 2人組? 247 00:20:04,316 --> 00:20:07,953 まさか 鼠の一味か? ひょっとすると…。 248 00:20:07,953 --> 00:20:09,955 そいつら すっ飛んで逃げてったんですがね➡ 249 00:20:09,955 --> 00:20:14,626 その走りっぷりが この前 河童のナリをしてたやつらに➡ 250 00:20:14,626 --> 00:20:17,963 よく似ていたんでさ。 道具市に逃げ込んだ無宿者か。 251 00:20:17,963 --> 00:20:20,465 ひっくくって 締め上げてやろうと 探ってみやしたが➡ 252 00:20:20,465 --> 00:20:24,970 元いたヤサからは消えちまって 居所が知れやせん。 253 00:20:24,970 --> 00:20:26,905 消えた? 254 00:20:26,905 --> 00:20:29,641 おい 河童 早く川に帰りな。 255 00:20:29,641 --> 00:20:31,641 へえ! あっ…! 256 00:20:35,113 --> 00:20:37,813 勝だな…。 257 00:20:49,494 --> 00:20:52,330 喜八の野郎 何してやがんだ? 258 00:20:52,330 --> 00:20:54,266 喜八が 俺の家を見張ってる? 259 00:20:54,266 --> 00:20:56,201 下っ引きまで駆り出していやすぜ。 260 00:20:56,201 --> 00:20:59,204 留吉たち捜すのに そこまでやるかねえ。 261 00:20:59,204 --> 00:21:02,974 邪魔されたのを根に持って 旦那の落ち度を探ってるんじゃねえかな。 262 00:21:02,974 --> 00:21:07,512 無役とはいえ 旗本だぞ。 町方ごときに 手が出せるか。 263 00:21:07,512 --> 00:21:11,683 でも… 旦那には 落ち度が いろいろあるからなあ。 264 00:21:11,683 --> 00:21:13,618 おめえに言われたかねえ。 265 00:21:13,618 --> 00:21:16,354 ようがす! 何かあった時の用心だ。 266 00:21:16,354 --> 00:21:18,690 あっしが 向こうの弱みを探っておきやすよ。 267 00:21:18,690 --> 00:21:20,625 弱み? 268 00:21:20,625 --> 00:21:24,562 日頃から 袖の下や付け届けで 筋の悪い金をかすめ取ってる連中です。 269 00:21:24,562 --> 00:21:29,167 たたけば 埃が出るに決まってら。 一つ二つ 拾っておきやすよ。 270 00:21:29,167 --> 00:21:31,169 テヘヘヘヘ ごめんよ! 271 00:21:31,169 --> 00:21:33,171 妙だな…。 272 00:21:33,171 --> 00:21:37,971 無宿狩りにしちゃ やけに念が入ってる…。 273 00:21:44,683 --> 00:21:47,686 おお…。 (ざわめき) 274 00:21:47,686 --> 00:21:49,821 長兵衛さん。 あっ。 275 00:21:49,821 --> 00:21:54,492 何かあったのですか? 町触が出たんですよ。 ほら。 276 00:21:54,492 --> 00:21:59,364 鼠小僧の噂を流すなっていう お達しですよ。 277 00:21:59,364 --> 00:22:04,135 「鼠小僧御能拝見」 あの字は…? 278 00:22:04,135 --> 00:22:09,841 「御能拝見」の方は 本家本元の鼠小僧の自筆だそうです。➡ 279 00:22:09,841 --> 00:22:11,776 …で 右側のは➡ 280 00:22:11,776 --> 00:22:15,647 この間 久世様のお下屋敷に残していった 書き付けで。 281 00:22:15,647 --> 00:22:17,582 あ…。 282 00:22:17,582 --> 00:22:22,153 こうやって 比べてみると 確かに 別人の手ですねえ。 283 00:22:22,153 --> 00:22:27,359 私がにらんだとおり 今の鼠小僧は やっぱり 二代目で…。 284 00:22:27,359 --> 00:22:29,861 …あっ? うむ? 285 00:22:29,861 --> 00:22:33,298 まさか そんな…。 286 00:22:33,298 --> 00:22:40,638 ♬~ 287 00:22:40,638 --> 00:22:44,109 あの字は…? 右側のは この間➡ 288 00:22:44,109 --> 00:22:48,480 久世様のお下屋敷に残していった 書き付けで。 289 00:22:48,480 --> 00:22:58,123 ♬~ 290 00:22:58,123 --> 00:23:01,823 やっぱり 似てる…。 291 00:23:10,135 --> 00:23:12,935 あら? 292 00:23:17,008 --> 00:23:22,347 煤がなくなってる…。 いつの間に? 293 00:23:22,347 --> 00:23:33,291 ♬~ 294 00:23:33,291 --> 00:23:36,094 こんなに遅く 何をしているのです? 295 00:23:36,094 --> 00:23:38,963 あ… いや… 厠に… なあ? 296 00:23:38,963 --> 00:23:43,301 ああ… 手ぇ 洗ってて…。 297 00:23:43,301 --> 00:23:45,637 んだら おやすみなせえ。 298 00:23:45,637 --> 00:23:52,337 (お順の泣き声) 299 00:23:59,484 --> 00:24:02,821 嬢様 ポ~。 300 00:24:02,821 --> 00:24:04,756 ハハハハ! (泣き声) 301 00:24:04,756 --> 00:24:07,125 あ~。 あ~ アハハ! 302 00:24:07,125 --> 00:24:09,828 う~ うう~。 303 00:24:09,828 --> 00:24:13,331 ハハハ! (泣き声) ハハハハ! 304 00:24:13,331 --> 00:24:15,266 大丈夫。 フフフ! 305 00:24:15,266 --> 00:24:18,966 プ~。 アハハハハ! 306 00:24:20,672 --> 00:24:23,007 お帰りなさいませ。 307 00:24:23,007 --> 00:24:25,844 留吉たちを 外に出しちゃいけねえよ。 え? 308 00:24:25,844 --> 00:24:28,746 岡っ引きが 家の周りをうろついてる。 309 00:24:28,746 --> 00:24:32,617 あの2人 何か隠し事があるんじゃねえかな。 310 00:24:32,617 --> 00:24:35,453 隠し事…。 311 00:24:35,453 --> 00:24:37,956 ポ~。 (泣き声) あ~。 312 00:24:37,956 --> 00:24:39,956 アハハハ! 313 00:24:41,626 --> 00:24:45,626 旦那様 もしかしたら…。 うむ? 314 00:24:53,338 --> 00:24:55,538 待ちねえ。 315 00:24:58,176 --> 00:25:01,479 うかつに出ると 鼠取りに引っ掛かるぜ。 316 00:25:01,479 --> 00:25:06,651 竈の煤なんか塗って どこに行くのですか? 317 00:25:06,651 --> 00:25:10,651 鼠小僧は おめえたちかい? 318 00:25:12,323 --> 00:25:16,127 盗ったのは これだけか… 案外 少ねえな。 319 00:25:16,127 --> 00:25:23,334 これで全部だ…。 盗んだ金は 一文も使ってねえ。 320 00:25:23,334 --> 00:25:27,005 そうです…。 321 00:25:27,005 --> 00:25:30,705 二十両にも満たないわね。 322 00:25:32,277 --> 00:25:35,079 きれい事を言うようだがな➡ 323 00:25:35,079 --> 00:25:41,279 盗んだ銭金を持って帰って 田舎の親兄弟 喜ぶかい? 324 00:25:43,288 --> 00:25:47,959 親も兄弟も もういねえから…。 325 00:25:47,959 --> 00:25:51,796 野州那須郡柴田原村…。 326 00:25:51,796 --> 00:25:55,967 俺たちの村は もう なくなっちまった。 327 00:25:55,967 --> 00:25:58,636 あっ ご苦労さん。 ご苦労さん。 ご苦労さん。 328 00:25:58,636 --> 00:26:02,807 (留吉)俺たちの村は 米の取れ高こそ少ねえけんど➡ 329 00:26:02,807 --> 00:26:07,111 綿を作ったり 菜種油を搾ったりして 稼いでた。➡ 330 00:26:07,111 --> 00:26:10,815 毎日 汗水たらして働いて…。➡ 331 00:26:10,815 --> 00:26:15,320 楽しみは 年に一度の秋祭りだ。➡ 332 00:26:15,320 --> 00:26:19,991 祭りの日には 鎮守様の境内で 芝居をかける。➡ 333 00:26:19,991 --> 00:26:25,663 村中の者が 晴れ着 着て 芝居を見に集まってくんだ。 334 00:26:25,663 --> 00:26:39,310 ♬~ 335 00:26:39,310 --> 00:26:41,946 (留吉)だけんど…➡ 336 00:26:41,946 --> 00:26:47,819 4年前から 寒さと雨で 米が半分も出来なぐて…。 337 00:26:47,819 --> 00:26:57,295 雑穀も何も食べ尽くしちまっても 次の年もまた 米は取れねえ…。 338 00:26:57,295 --> 00:27:01,099 そこに 流行病だ…。 339 00:27:01,099 --> 00:27:05,937 弱え者から 次々と倒れてった…。➡ 340 00:27:05,937 --> 00:27:12,137 うちでは 小せえ妹が 真っ先に…。 341 00:27:15,980 --> 00:27:20,652 大勢 死んじまった…。 342 00:27:20,652 --> 00:27:26,457 生き残った者も ちりぢりに村を出て…。 343 00:27:26,457 --> 00:27:32,930 だから 俺たちの村は もうねえんです…。 344 00:27:32,930 --> 00:27:38,269 だけんど… あそこには村があったんだ…。 345 00:27:38,269 --> 00:27:41,773 野良仕事して 綿打ちして➡ 346 00:27:41,773 --> 00:27:47,078 秋祭りの日には 晴れ着 着て みんなで 芝居見る…。 347 00:27:47,078 --> 00:27:53,951 ずっと そうやって 俺たちは暮らしてきたんだっぺや…。➡ 348 00:27:53,951 --> 00:27:59,624 出稼ぎに出た者も 芝居の日には 村に帰ってきた…。 349 00:27:59,624 --> 00:28:06,424 だから 俺たち もういっぺん 芝居がやりてえ…。 350 00:28:08,332 --> 00:28:10,802 (金をつかむ音) 351 00:28:10,802 --> 00:28:17,575 この金で 舞台作って 衣装そろえて…。 352 00:28:17,575 --> 00:28:25,316 そしたら ちりぢりになった みんなも いつか 村に戻ってくるべ…。 353 00:28:25,316 --> 00:28:31,756 死んじまった妹や おっ母の魂も 戻ってきて➡ 354 00:28:31,756 --> 00:28:36,956 一緒に 芝居を見てくれっぺよ…。 355 00:28:39,497 --> 00:28:44,936 盗みが悪いことなのは よぐ分かってんだ。 356 00:28:44,936 --> 00:28:46,938 そんでも…➡ 357 00:28:46,938 --> 00:28:52,738 俺たちが金作るのに ほかに どんな道があるべ? 358 00:28:54,946 --> 00:28:59,646 どうして 大名屋敷ばかり狙ったんだい? 359 00:29:01,619 --> 00:29:05,289 だだっ広くて 人が少ねえ。 360 00:29:05,289 --> 00:29:10,161 塀を乗り越えちまえば 奥まで たやすく行げっから。 361 00:29:10,161 --> 00:29:15,967 手文庫や たんすの中には 大抵 いくらか金が入ってるし…。 362 00:29:15,967 --> 00:29:21,839 なぜ 「鼠小僧参上」などと書いた紙を 残したのです? 363 00:29:21,839 --> 00:29:25,610 わざわざ 騒ぎになるようなことを…。 364 00:29:25,610 --> 00:29:29,981 あれは 戒めに…。➡ 365 00:29:29,981 --> 00:29:35,586 鼠小僧は 盗みはしても 人は傷つけねえ。➡ 366 00:29:35,586 --> 00:29:38,923 俺たちも そうすっと決めたから。➡ 367 00:29:38,923 --> 00:29:46,798 何があっても 人は傷つけてはなんねえと 己を戒めるために…。 368 00:29:46,798 --> 00:29:50,098 ≪(お順の泣き声) 369 00:30:03,614 --> 00:30:08,085 はいはいはい 大丈夫よ。 370 00:30:08,085 --> 00:30:12,623 よしよし… はいはいはい。 (泣き声) 371 00:30:12,623 --> 00:30:16,494 (泣き声) 372 00:30:16,494 --> 00:30:21,632 お~ よしよし よしよし…。 373 00:30:21,632 --> 00:30:38,632 (お順の泣き声) 374 00:30:54,131 --> 00:30:56,131 行くべ。 375 00:30:58,002 --> 00:31:01,873 行くべ。 俺たちが この家にいたら 難儀が かかる。 376 00:31:01,873 --> 00:31:05,676 んでも 岡っ引きが見張ってっぞ。 どうすんだ? 377 00:31:05,676 --> 00:31:09,146 …なんとか 目を盗んで逃げるしかねえべ。 378 00:31:09,146 --> 00:31:11,849 だけんど もし捕まったら? 379 00:31:11,849 --> 00:31:17,049 盗っ人 匿ったとがで 殿様たちまで 罰を受けるんでねえべか? 380 00:31:21,559 --> 00:31:24,559 どうしたらいいべ…。 381 00:31:37,975 --> 00:31:40,878 旦那 いつも ご苦労さまです。 382 00:31:40,878 --> 00:31:44,849 うむ。 フッ… またな。 383 00:31:44,849 --> 00:32:01,499 ♬~ 384 00:32:01,499 --> 00:32:04,001 こんにちは。 385 00:32:04,001 --> 00:32:14,011 ♬~ 386 00:32:14,011 --> 00:32:15,947 まだ 見張りがいます。 387 00:32:15,947 --> 00:32:18,849 どうやら 鼠の尻尾をつかまれたな…。 388 00:32:18,849 --> 00:32:22,687 こう 四六時中 見張られちゃ 逃がしもできねえ。 389 00:32:22,687 --> 00:32:26,357 もし 捕まったら 留吉さんたちは どうなるでしょう? 390 00:32:26,357 --> 00:32:29,393 十両盗めば首が飛ぶってのが ご定法だ。 391 00:32:29,393 --> 00:32:35,066 でも… 気の毒な事情なのですから お裁きにも お情けがあるのでは? 392 00:32:35,066 --> 00:32:37,468 鼠小僧を名乗って 世間を騒がし➡ 393 00:32:37,468 --> 00:32:39,971 お上の面目を 潰しちまった。 394 00:32:39,971 --> 00:32:41,906 死罪は免れねえ。 そんな…! 395 00:32:41,906 --> 00:32:44,642 尻に火が付いてるのは 俺たちも同じだぞ。 396 00:32:44,642 --> 00:32:47,979 盗っ人を匿ったんだ。 ただで済むわけがねえや。 397 00:32:47,979 --> 00:32:52,483 ≪(銀次)旦那 うちにおいでですか? おう 入んな。 398 00:32:52,483 --> 00:32:54,986 (小声で)鼠の一件は 銀次には言うな。➡ 399 00:32:54,986 --> 00:32:58,686 万が一の時 巻き込みたくねえ。 (小声で)はい。 400 00:33:00,491 --> 00:33:03,828 おつなものが手に入りやしたぜ。 401 00:33:03,828 --> 00:33:08,699 青木の紙入れから ちょいと拝借してきたんでさ。 402 00:33:08,699 --> 00:33:11,702 旦那 いつも ご苦労さまです。 403 00:33:11,702 --> 00:33:13,702 うむ。 404 00:33:15,840 --> 00:33:17,775 またな。 405 00:33:17,775 --> 00:33:20,011 むちゃなことするねえ。 ヘヘヘヘ。 406 00:33:20,011 --> 00:33:23,514 あっ 紙入れは 元に戻しておきやした。 407 00:33:23,514 --> 00:33:27,685 二両二分を毎月 青木に払う? 408 00:33:27,685 --> 00:33:29,620 どういうことでしょう? 409 00:33:29,620 --> 00:33:32,523 又兵衛ってのは 深川佐賀町の米問屋ですがね➡ 410 00:33:32,523 --> 00:33:36,494 どうやら お救い米の買い付けに 一枚 噛んでいるようなんで。 411 00:33:36,494 --> 00:33:43,634 お上の御用だぞ。 深川の米問屋ごときが 請け負えるような筋の話じゃねえや。 412 00:33:43,634 --> 00:33:45,569 青木が ねじ込んだか…。 413 00:33:45,569 --> 00:33:49,106 佐賀町は 青木の旦那の持ち場ですから。 414 00:33:49,106 --> 00:33:52,643 口利きの礼に 月々二両二分…。 415 00:33:52,643 --> 00:33:57,982 それだけ払っても惜しくねえほど 米の買い付けで もうけたってわけだ。 416 00:33:57,982 --> 00:34:01,986 人を救うためのお米で金もうけを…。 ひどい! 417 00:34:01,986 --> 00:34:07,686 たたけば埃どころか とんだ悪事が出てきそうですぜ。 418 00:34:12,129 --> 00:34:16,967 この証文で 留吉さんと太助さんを助けられますか? 419 00:34:16,967 --> 00:34:19,503 無罪放免とはいかねえが➡ 420 00:34:19,503 --> 00:34:23,007 これと引き換えに 見て見ぬふりはさせられるかもしれねえ。 421 00:34:23,007 --> 00:34:25,910 でしたら…。 危ねえ橋だ。 422 00:34:25,910 --> 00:34:32,283 渡り損なったら 勝の家も もろとも 落っこちる。 423 00:34:32,283 --> 00:34:34,952 盗っ人を匿ったうえに➡ 424 00:34:34,952 --> 00:34:39,457 役人の懐から 書き付けを拝借したとなりゃ➡ 425 00:34:39,457 --> 00:34:45,096 俺たちも 鼠小僧の一味に加わったも同然だ。 426 00:34:45,096 --> 00:34:47,031 さて どうするか…。 427 00:34:47,031 --> 00:34:51,302 鼠小僧の一味…。 428 00:34:51,302 --> 00:35:00,010 ♬~ 429 00:35:00,010 --> 00:35:01,979 ウフ…。 430 00:35:01,979 --> 00:35:05,483 何だ? 何がおかしいんだ。 すいません。 431 00:35:05,483 --> 00:35:08,819 本当に鼠小僧だったら どんなだろうって 思い浮かべたら➡ 432 00:35:08,819 --> 00:35:11,722 何だか おかしくて…。 へ? 433 00:35:11,722 --> 00:35:13,691 旦那様。 434 00:35:13,691 --> 00:35:19,997 盗人というのは やはり 黒装束でなければ 様にならないものですね。 435 00:35:19,997 --> 00:35:21,999 はあ~。 436 00:35:21,999 --> 00:35:25,503 お前の のんきにゃ あきれるぜ この一大事に。 437 00:35:25,503 --> 00:35:28,839 すいません。 でも…➡ 438 00:35:28,839 --> 00:35:34,612 旦那様は もう 腹を決めていらっしゃるのでしょう? 439 00:35:34,612 --> 00:35:40,484 だって 2人を見殺しにはできませんもの。 440 00:35:40,484 --> 00:35:44,622 それじゃ 一勝負してくるぜ。 はい。 441 00:35:44,622 --> 00:35:46,957 あっ。 お待ちください。 442 00:35:46,957 --> 00:35:50,957 その証文を 私に。 443 00:36:01,972 --> 00:36:17,454 (鐘の音) 444 00:36:17,454 --> 00:36:19,390 呼び出して すまねえな。 445 00:36:19,390 --> 00:36:22,660 手合わせを ご所望とのことなら➡ 446 00:36:22,660 --> 00:36:25,996 それがしも 腕には いささかの覚えがござります。 447 00:36:25,996 --> 00:36:30,834 竹刀でやりますか? 木刀でも かまいませんが。 448 00:36:30,834 --> 00:36:33,270 いや…。 449 00:36:33,270 --> 00:36:38,770 今日の勝負は これで願いたい。 450 00:36:40,611 --> 00:36:43,280 くどくは言わねえ。 451 00:36:43,280 --> 00:36:45,783 その証文と引き換えに➡ 452 00:36:45,783 --> 00:36:49,286 家の周りにいる雑魚どもを 追っ払ってもらいてえ。 453 00:36:49,286 --> 00:37:00,297 ♬~ 454 00:37:00,297 --> 00:37:03,801 奥様… お願えがあんだども。 455 00:37:03,801 --> 00:37:05,801 はい。 456 00:37:10,307 --> 00:37:14,111 俺たちに縄かけて 突き出してくだせえ。 457 00:37:14,111 --> 00:37:16,046 え? 458 00:37:16,046 --> 00:37:18,816 盗っ人をとっ捕まえたといって 差し出せば➡ 459 00:37:18,816 --> 00:37:21,118 こちら様に 累が及ぶことはあんめえ。 460 00:37:21,118 --> 00:37:24,822 何を言うのです。 そんなことはできません。 461 00:37:24,822 --> 00:37:26,757 だけんど…。 462 00:37:26,757 --> 00:37:30,327 (泣き声) 463 00:37:30,327 --> 00:37:33,063 大丈夫。 464 00:37:33,063 --> 00:37:38,563 旦那様が きっと なんとかなさいますから。 465 00:37:42,072 --> 00:37:51,282 (お順の泣き声) 466 00:37:51,282 --> 00:37:55,619 (鐘の音) 467 00:37:55,619 --> 00:37:57,955 勝負は つきましたか? 468 00:37:57,955 --> 00:38:00,457 竹刀の音が聞こえませんでしたが。 469 00:38:00,457 --> 00:38:04,295 ああ 片づいた。 470 00:38:04,295 --> 00:38:07,331 どちらが勝ったのです? 471 00:38:07,331 --> 00:38:10,634 勝ち負けはねえ。 472 00:38:10,634 --> 00:38:15,434 今日のところは 引き分けだ。 473 00:38:24,181 --> 00:38:26,183 <次の日の朝➡ 474 00:38:26,183 --> 00:38:30,321 勝家の周りから 見張りの姿は消えていました> 475 00:38:30,321 --> 00:38:32,321 大丈夫だ。 476 00:38:34,291 --> 00:38:39,029 めがね屋でござい~。 玉の取り替え~。 477 00:38:39,029 --> 00:38:43,267 富山の妙薬 反魂丹~。 478 00:38:43,267 --> 00:38:45,936 めがねいろいろ~。 479 00:38:45,936 --> 00:38:50,774 <行商人に姿を変えた2人が ふるさとの村に旅立っていくのを➡ 480 00:38:50,774 --> 00:38:54,074 怪しむ人は 誰もいません> 481 00:39:16,300 --> 00:39:18,802 おばば様。 482 00:39:18,802 --> 00:39:23,602 留吉さんたちは どこに行ったのですか? 483 00:39:27,111 --> 00:39:31,415 村に帰ったのですよ。 484 00:39:31,415 --> 00:39:35,415 寂しくなりますね…。 485 00:39:39,923 --> 00:39:43,427 2人いなくなって 急に静かになったな。 486 00:39:43,427 --> 00:39:46,627 ええ 本当に…。 487 00:39:53,937 --> 00:39:57,274 道中 くれぐれも気を付けて。 488 00:39:57,274 --> 00:40:00,177 (2人)へえ。 489 00:40:00,177 --> 00:40:03,177 これを。 490 00:40:07,918 --> 00:40:12,623 奥様… 俺たち もう決して 盗みはしねえから。 491 00:40:12,623 --> 00:40:14,558 はい。 492 00:40:14,558 --> 00:40:20,497 いつか 村芝居ができる日が来たら きっと お知らせにあがりやす。 493 00:40:20,497 --> 00:40:24,101 楽しみに待っていますよ。 494 00:40:24,101 --> 00:40:27,471 ありがとうごぜえやした! ありがとうごぜえやした…! 495 00:40:27,471 --> 00:40:31,308 とうとう 鼠小僧に手を貸しちまったな。 496 00:40:31,308 --> 00:40:37,114 これで 俺たちも れっきとした盗っ人の一味だ。 497 00:40:37,114 --> 00:40:42,486 おばば様にも麟太郎にも 口が裂けても言えませんね。 498 00:40:42,486 --> 00:40:45,989 あ~あ 大変なことをしてしまいました。 499 00:40:45,989 --> 00:40:48,492 やっちまったこった。 しかたねえよ。 500 00:40:48,492 --> 00:40:51,328 そうですね。 501 00:40:51,328 --> 00:40:55,199 ともかく 2人は無事だったのですし。 502 00:40:55,199 --> 00:40:58,001 でも…。 503 00:40:58,001 --> 00:41:02,005 私が 鼠小僧の一味だなんて。 504 00:41:02,005 --> 00:41:04,341 おんな鼠か。 505 00:41:04,341 --> 00:41:08,846 ♬~ 506 00:41:08,846 --> 00:41:12,846 「盗みハすれど 非道ハせず」。 507 00:41:14,518 --> 00:41:17,421 (ツケの音) 508 00:41:17,421 --> 00:41:20,023 フフフ! 何ですか? 509 00:41:20,023 --> 00:41:23,360 いや 何でもねえ。 ハハハハ! 510 00:41:23,360 --> 00:41:25,863 もうっ。 嫌な旦那様。 511 00:41:25,863 --> 00:41:28,165 フフフ! ウフフフ…。 512 00:41:28,165 --> 00:41:30,868 <これにて 一件落着。➡ 513 00:41:30,868 --> 00:41:34,471 …と 言いたいところですが> 514 00:41:34,471 --> 00:41:37,808 その証文を 私に。 515 00:41:37,808 --> 00:41:41,311 <この事件 実は まだ続きがあるのです。➡ 516 00:41:41,311 --> 00:41:46,311 その話は いずれまた 回を改めて…> 517 00:41:50,988 --> 00:41:54,658 吉原の仮宅が出来たのですよ。 好きな人がいるのですね。 518 00:41:54,658 --> 00:41:56,593 ようやく 御番入りが かなった。 519 00:41:56,593 --> 00:41:58,529 ご立派なお武家様には こんな小見世は似合いんせん。 520 00:41:58,529 --> 00:42:00,531 あいつは 確か…。 521 00:42:00,531 --> 00:42:02,833 わしに その身を預けてみよ。 522 00:42:02,833 --> 00:42:05,869 ご迷惑になりんせんか? 文使いをするだけですもの。 523 00:42:05,869 --> 00:42:08,005 よくも 恥辱を! 524 00:42:08,005 --> 00:42:10,908 あの文は そんなつもりでは…! 花里さん! 525 00:42:10,908 --> 00:43:25,408 ♬~