1 00:00:03,170 --> 00:00:07,040 <本所は 江戸の東の外れ。➡ 2 00:00:07,040 --> 00:00:12,546 小さな武家屋敷と町家が こまこまと軒を連ねる町です> 3 00:00:19,119 --> 00:00:22,422 家内円満 無病息災。 4 00:00:22,422 --> 00:00:27,794 <勝家は 代々 徳川家に仕える ご直参の家柄ですが…。➡ 5 00:00:27,794 --> 00:00:31,632 婿養子の小吉は 一度も お役目に就くことなく➡ 6 00:00:31,632 --> 00:00:36,136 既に隠居の身> 7 00:00:36,136 --> 00:00:38,639 (おならの音) よ~し。 8 00:00:38,639 --> 00:00:41,308 今日もいい調子だ。 なあ 麟! 9 00:00:41,308 --> 00:00:43,243 (麟太郎)はい 父上。 10 00:00:43,243 --> 00:00:47,814 <家督を継いだ麟太郎も 今は無役の小普請組です。➡ 11 00:00:47,814 --> 00:00:53,687 勝 海舟と名乗り 国のかじ取りをするのは まだ ず~っと先のお話> 12 00:00:53,687 --> 00:00:56,189 ⚟(鈴の音) 13 00:01:01,094 --> 00:01:03,997 なんだ お順か。 へっ。 14 00:01:03,997 --> 00:01:06,900 (鈴の音) あれ? 15 00:01:06,900 --> 00:01:09,770 (鈴の音) 16 00:01:09,770 --> 00:01:12,272 わ おばば様…! 17 00:01:12,272 --> 00:01:15,075 (鈴の音) 18 00:01:16,777 --> 00:01:20,113 <勝家を取りしきってきた おばば様が亡くなって➡ 19 00:01:20,113 --> 00:01:22,950 1年近くが過ぎましたが…> 20 00:01:22,950 --> 00:01:24,952 あら ない。 21 00:01:35,963 --> 00:01:39,266 これだけあれば まだまだ。 22 00:01:44,137 --> 00:01:50,310 <小吉の女房 お信は 相変わらず 貧乏所帯をやりくり中> 23 00:01:50,310 --> 00:02:02,322 ♬~ 24 00:02:03,857 --> 00:02:07,594 うわっ 椀の底が透けて見える。 25 00:02:07,594 --> 00:02:10,497 ごめんなさい。 ちょっと味噌が足りなくて。 26 00:02:10,497 --> 00:02:13,467 ごちゃごちゃ言うな 味噌の香りがするだけ上等だよ。 27 00:02:13,467 --> 00:02:15,469 はい。 28 00:02:18,105 --> 00:02:21,008 (咀嚼音) 29 00:02:21,008 --> 00:02:24,277 ん? この音…。 30 00:02:24,277 --> 00:02:27,781 (咀嚼音) 31 00:02:29,783 --> 00:02:31,718 似てる。 32 00:02:31,718 --> 00:02:37,424 お信 俺ぁ 近頃 お順のやつが おばば様に見える時があるんだが。 33 00:02:37,424 --> 00:02:40,127 あら そんなに目が薄くなったのなら➡ 34 00:02:40,127 --> 00:02:43,430 めがねをあつらえた方が よいのではありませんか? 35 00:02:43,430 --> 00:02:46,800 いや そういう話じゃ…。 ん? 36 00:02:46,800 --> 00:02:49,636 まあ いいや。 37 00:02:49,636 --> 00:02:52,973 旦那様 今日は うちにいてくださいね。 38 00:02:52,973 --> 00:02:55,876 おい 麟 その腕のあざは どうした? 39 00:02:55,876 --> 00:02:57,844 昨日 稽古でやられました。 40 00:02:57,844 --> 00:03:00,147 おめえは 剣術からっきしだな。 41 00:03:00,147 --> 00:03:02,749 いえ 島田先生が強すぎるのです。 42 00:03:02,749 --> 00:03:07,387 島田? ああ あの豊前中津の 虎之助とかいうやつかい。 43 00:03:07,387 --> 00:03:11,758 虎? 強そうなお名前ですね。 44 00:03:11,758 --> 00:03:14,094 虎のごとき剣豪です。 45 00:03:14,094 --> 00:03:18,965 男谷道場に入門して 1年で師範免許皆伝。 46 00:03:18,965 --> 00:03:21,401 今度 浅草・新堀に 道場を開かれるのですよ。 47 00:03:21,401 --> 00:03:23,770 田舎の剣術使いだろ? 48 00:03:23,770 --> 00:03:26,807 虎か猫か 立ち合ってみなきゃ分かんねえや。 49 00:03:26,807 --> 00:03:30,944 そうだ 今日にでも道場行って…。 旦那様! 50 00:03:30,944 --> 00:03:35,415 今日こそは 岡野のお多賀様の相談に 乗ってあげてください。 51 00:03:35,415 --> 00:03:38,318 昨日も おとといも すっぽかして。 52 00:03:38,318 --> 00:03:41,221 年寄りの愚痴は長えからなあ。 53 00:03:41,221 --> 00:03:43,156 不出来な孫を どうにかしてくれって言われても➡ 54 00:03:43,156 --> 00:03:46,059 俺は隠居だ。 力になれねえ。 55 00:03:46,059 --> 00:03:48,428 麟 お前が当主だ 何とかしてやれ。 56 00:03:48,428 --> 00:03:51,965 いえ 私のような若輩者には とても務まりません。 57 00:03:51,965 --> 00:03:54,868 いいから やれって。 いや 父上が…。 58 00:03:54,868 --> 00:03:57,771 もう お願いだからさあ…。 いや 嫌です。 59 00:03:57,771 --> 00:04:01,374 お前がや…。 2人とも! 60 00:04:01,374 --> 00:04:04,277 地主のご隠居様がお困りだというのに➡ 61 00:04:04,277 --> 00:04:07,080 あんまり不人情じゃありませんか? 62 00:04:09,750 --> 00:04:12,385 じゃあ お前に任せた。 では 母上にお任せします。 63 00:04:12,385 --> 00:04:15,288 え… 私? 64 00:04:15,288 --> 00:04:18,258 今朝は母上の負け。 65 00:04:18,258 --> 00:04:21,094 もう~。 66 00:04:21,094 --> 00:04:26,900 <勝家は 千五百石の旗本 岡野孫一郎の屋敷内に建っています。➡ 67 00:04:26,900 --> 00:04:30,103 大身の旗本屋敷は 無駄に敷地が広く➡ 68 00:04:30,103 --> 00:04:34,941 借地人を置いて 家賃を家計の足しにしていたのです> 69 00:04:34,941 --> 00:04:37,144 ⚟行ってまいります。 70 00:04:40,413 --> 00:04:44,417 (碩翁)やあ 行ってらっしゃい。 71 00:04:48,155 --> 00:04:52,159 <一見 のんきなご隠居に見えるこの人物➡ 72 00:04:52,159 --> 00:04:56,863 実は ただ者ではないのですが…> 73 00:05:02,235 --> 00:05:05,906 (銀次)いいんですかい? やっかいごとを奥様に押しつけて。 74 00:05:05,906 --> 00:05:09,743 相談に乗ったって 岡野の家は どうにもならねえよ。 75 00:05:09,743 --> 00:05:14,614 先代の殿様が道楽者で 方々に借金をこしらえたと聞いてやすが➡ 76 00:05:14,614 --> 00:05:16,616 今の殿様もいけやせんか? 77 00:05:16,616 --> 00:05:18,919 途方もねえボンクラよ。 78 00:05:18,919 --> 00:05:21,254 親父譲りで酒に目がねえ。 79 00:05:21,254 --> 00:05:24,591 とうとう勤めをしくじって お役御免で小普請入りだ。 80 00:05:24,591 --> 00:05:27,928 へえ~ 千五百石の御大身がねえ。 81 00:05:27,928 --> 00:05:31,798 帳面づらの禄高はあっても 内証は火の車よ。 82 00:05:31,798 --> 00:05:34,801 嫁の来手がねえと 隠居が嘆くから➡ 83 00:05:34,801 --> 00:05:40,407 知り合いの娘を世話したが それでも 身性は改まらねえ。 84 00:05:40,407 --> 00:05:42,943 おっと! 85 00:05:42,943 --> 00:05:45,779 前向いて歩きなよ 虎一っつぁん。 86 00:05:45,779 --> 00:05:48,114 (虎一)これは勝殿。 かたじけない。 87 00:05:48,114 --> 00:05:50,417 はい。 かたじけない。 88 00:05:50,417 --> 00:05:52,953 つい夢中になって粗相をいたしました。 89 00:05:52,953 --> 00:05:54,888 よっぽど面白いことが書いてあるのかい? 90 00:05:54,888 --> 00:05:59,392 ええ そりゃあもう。 ああ では お役目の途中ですので。 91 00:06:01,661 --> 00:06:03,597 妙なもの読んでましたね。 92 00:06:03,597 --> 00:06:06,366 文字が横にのたくって。 93 00:06:06,366 --> 00:06:10,237 蘭書だよ。 オランダの書き物だ。 94 00:06:10,237 --> 00:06:13,573 花井虎一といやあ 蘭学じゃ ちょっとしたもんらしいぜ。 95 00:06:13,573 --> 00:06:16,076 蘭学ってえと お医者様ですかい? 96 00:06:16,076 --> 00:06:18,378 いや あいつはお目付の使いっ走りだ。 97 00:06:18,378 --> 00:06:22,582 学問だけが道楽の 途方もねえ堅物だ。 98 00:06:22,582 --> 00:06:26,253 ふ~ん 旦那とは大違えだ…。 99 00:06:26,253 --> 00:06:31,391 <この男 本所林町の住人で 名は 花井虎一。➡ 100 00:06:31,391 --> 00:06:38,698 幕臣ながら 僅か15俵一人扶持で 小吉に輪をかけた貧乏侍です> 101 00:06:44,771 --> 00:06:48,108 勝様 いかがでございましょう? 102 00:06:48,108 --> 00:06:51,411 どれもこれも 備前の数打ちもの。 103 00:06:51,411 --> 00:06:54,948 二束三文だな。 104 00:06:54,948 --> 00:06:57,851 これじゃ 商売になんねえな。 105 00:06:57,851 --> 00:07:02,355 <刀剣の目利きと売り買いが 小吉の収入源です。➡ 106 00:07:02,355 --> 00:07:08,228 41俵二人扶持の勝家では この副収入が頼みの綱でした> 107 00:07:08,228 --> 00:07:11,898 ん~ ああ…。 108 00:07:11,898 --> 00:07:16,903 そうだ 虎の面でも拝みに行くか。 109 00:07:24,911 --> 00:07:27,714 (多賀)どうしましょう…。 110 00:07:34,087 --> 00:07:38,959 <このご婦人が 岡野のご隠居 お多賀様です。➡ 111 00:07:38,959 --> 00:07:43,763 連れ合いと息子に先立たれ 目下の悩みの種は…➡ 112 00:07:43,763 --> 00:07:47,567 不肖の孫 孫一郎です> 113 00:07:57,777 --> 00:08:04,884 お順 ほうきはこうして 畳の目に沿って…。 114 00:08:04,884 --> 00:08:07,354 ねっ。 ⚟(多賀)お信さん おいでですか? 115 00:08:07,354 --> 00:08:09,856 あっ もういらした。 116 00:08:15,729 --> 00:08:23,069 孫一郎ときたら 酒の上の不始末で お役御免になったというのに➡ 117 00:08:23,069 --> 00:08:28,241 改心するでもなく 毎日ゴロゴロ ゴロゴロ…。 118 00:08:28,241 --> 00:08:33,380 まあ。 嫁の光江も頼りなくて。 119 00:08:33,380 --> 00:08:39,185 夫の手綱を引くのは 妻の務めだというのに。 ねえ お信さん。 120 00:08:39,185 --> 00:08:41,187 はい。 121 00:08:43,757 --> 00:08:45,959 耳が痛い。 122 00:08:47,594 --> 00:08:51,264 あの子の親も道楽者でしたが➡ 123 00:08:51,264 --> 00:08:54,934 世間には 親を悪い手本として➡ 124 00:08:54,934 --> 00:08:59,272 まっすぐ育つ子が いくらもいますのにねえ。 125 00:08:59,272 --> 00:09:02,575 ええ 本当に。 126 00:09:04,110 --> 00:09:06,813 うちのことかしら。 127 00:09:11,351 --> 00:09:17,557 家政を預かる用人も これではとても勤まらぬと➡ 128 00:09:17,557 --> 00:09:21,361 雇うはなから逃げ出すんです。 129 00:09:21,361 --> 00:09:26,566 今度 大川丈助という者を雇いましたが➡ 130 00:09:26,566 --> 00:09:29,569 いつまで続くやら…。 131 00:09:31,371 --> 00:09:36,576 <逆さのほうきは 長っ尻の客が 早く帰るおまじないです> 132 00:09:36,576 --> 00:09:41,081 まったく 頭の痛いことばかり。 133 00:09:41,081 --> 00:09:43,750 困ったものです。 134 00:09:43,750 --> 00:09:46,252 (小声で) これ お順! 135 00:09:51,624 --> 00:09:55,261 あら ほうき…。 136 00:09:55,261 --> 00:09:57,464 すいません…。 137 00:09:59,599 --> 00:10:01,634 (虎之助)うむ これでよし。 138 00:10:01,634 --> 00:10:05,105 ⚟島田先生は うちかね? 139 00:10:05,105 --> 00:10:07,607 島田は 私ですが。 140 00:10:07,607 --> 00:10:12,278 やぼな看板だなあ 字が力み返ってら。 141 00:10:12,278 --> 00:10:14,781 ご用件は? 142 00:10:14,781 --> 00:10:16,716 俺は 勝の隠居だ。 143 00:10:16,716 --> 00:10:18,651 せがれが世話になってんで挨拶に来た。 144 00:10:18,651 --> 00:10:21,421 勝… では 麟太郎の? 145 00:10:21,421 --> 00:10:23,356 親父の小吉だ。 146 00:10:23,356 --> 00:10:26,259 今は隠居で 勝夢酔だ。 147 00:10:26,259 --> 00:10:28,795 あなたが… 男谷先生から お話は伺っています。 148 00:10:28,795 --> 00:10:32,665 そうかい。 何ぞ土産をと思ったが 好きなものが分からないんで➡ 149 00:10:32,665 --> 00:10:35,435 手ぶらで来たよ。 酒はいける口かい? 150 00:10:35,435 --> 00:10:38,304 あ いえ… 修行の身ゆえ 酒は断っております。 151 00:10:38,304 --> 00:10:43,176 へえ~ 精一郎の弟子にしては 器が小っせえな。 152 00:10:43,176 --> 00:10:45,178 何を仰せです。 153 00:10:45,178 --> 00:10:49,449 そういう狭え了見じゃ 江戸で修行は無理だってこった。 154 00:10:49,449 --> 00:10:51,384 私を愚弄しに来たのですか? 155 00:10:51,384 --> 00:10:54,654 そうカッカしなさんなって。 156 00:10:54,654 --> 00:10:57,657 まあ ついておいで。 あっ ちょ…! 157 00:11:04,764 --> 00:11:07,600 小吉殿は遅いですねえ…。 158 00:11:07,600 --> 00:11:09,636 すいません。 159 00:11:09,636 --> 00:11:14,374 承って 私から伝えましょうか? 160 00:11:14,374 --> 00:11:19,212 実は お金のことで…。 161 00:11:19,212 --> 00:11:24,784 小普請組は 実入りもないのに お金を納めなければならないでしょう。 162 00:11:24,784 --> 00:11:29,956 小普請金 うちも工面するのに ひと苦労です。 163 00:11:29,956 --> 00:11:34,827 30両なんていう大金 とても用意できません。 164 00:11:34,827 --> 00:11:37,830 まあ 30両も! 165 00:11:37,830 --> 00:11:43,303 100石につき 2両上納する決まりですから。 166 00:11:43,303 --> 00:11:45,305 お信さんところは おいくら? 167 00:11:45,305 --> 00:11:49,976 うちは 41俵ですから 年に2分で。 168 00:11:49,976 --> 00:11:55,148 ご大家はご大家で ご苦労がおありなのですね。 169 00:11:55,148 --> 00:12:00,119 何か策はないか お知恵をお借りしたいのです。 170 00:12:00,119 --> 00:12:04,591 うちの人も お金のこととなると…。 171 00:12:04,591 --> 00:12:07,594 ⚟(お順)まず お名乗りください。 172 00:12:16,769 --> 00:12:18,705 何かご用でしょうか。 173 00:12:18,705 --> 00:12:21,641 (丈助)これはこれは お初にお目にかかります。 174 00:12:21,641 --> 00:12:25,278 私は 岡野家の用人…。 ⚟(多賀)あら 丈助! 175 00:12:25,278 --> 00:12:27,213 何しに来たのです? 176 00:12:27,213 --> 00:12:29,949 お帰りが遅いので お迎えに上がりました。 177 00:12:29,949 --> 00:12:33,620 でも 私は 小吉殿に相談が…。 178 00:12:33,620 --> 00:12:36,122 何でございます? 179 00:12:36,122 --> 00:12:39,025 小普請金のことなら ご案じなさいますな。 180 00:12:39,025 --> 00:12:42,295 この丈助が ご本家に 掛け合ってまいりました。 181 00:12:42,295 --> 00:12:48,167 まあ 岡野の本家が 都合してくれるというのですか? 182 00:12:48,167 --> 00:12:53,306 孫一郎のことは とうに見限ったと 思ってましたが…。 183 00:12:53,306 --> 00:12:57,644 そこは 私が この口でうまく申しました。 184 00:12:57,644 --> 00:13:02,382 ご本家は三千石の御大身。 30両ばかり どうとでもなりましょう。 185 00:13:02,382 --> 00:13:06,753 ようございましたねえ これで ひと安心。 186 00:13:06,753 --> 00:13:12,392 ええ… ありがとう よくやってくれました。 187 00:13:12,392 --> 00:13:16,596 どういたしまして。 さあ 参りましょう。 188 00:13:32,712 --> 00:13:35,281 無礼な人。 えっ? 189 00:13:35,281 --> 00:13:39,152 名乗りもせずに 家の中をのぞいていました。 190 00:13:39,152 --> 00:13:43,623 まあ。 あれは きっと悪人です。 191 00:13:43,623 --> 00:13:47,827 お順 人を悪く言うものでは ありませんよ。 192 00:13:57,136 --> 00:14:00,740 ⚟(笑い声) 193 00:14:00,740 --> 00:14:03,776 ⚟(虎之助)いや ホント 勘弁してくださいよ。 194 00:14:03,776 --> 00:14:07,280 あれ あの声…。 195 00:14:09,082 --> 00:14:14,754 ⚟(虎之助)いや まいりましたな。 (笑い声) 196 00:14:14,754 --> 00:14:16,689 ただいま戻りました。 197 00:14:16,689 --> 00:14:18,624 お帰りなさい。 お帰り。 198 00:14:18,624 --> 00:14:21,094 島田先生 どうしてうちに? 199 00:14:21,094 --> 00:14:23,996 うっ 酒臭い。 200 00:14:23,996 --> 00:14:26,265 父上 その格好は? 201 00:14:26,265 --> 00:14:30,136 ああ 虎に挨拶に行くんでな 晴れ着をこしらえたんだ。 202 00:14:30,136 --> 00:14:32,605 うそばっかり。 ウフフ。 203 00:14:32,605 --> 00:14:37,410 島田先生を驚かせたくて わざわざ古着屋から借りたそうです。 204 00:14:37,410 --> 00:14:40,279 旦那様 いたずらが過ぎますよ。 205 00:14:40,279 --> 00:14:42,615 いけねえ 女房殿に叱られた。 206 00:14:42,615 --> 00:14:45,284 (笑い声) 207 00:14:45,284 --> 00:14:48,121 夕飯の支度をしてきます。 208 00:14:48,121 --> 00:14:51,924 何もありませんが 召し上がっていってくださいね。 209 00:14:53,926 --> 00:14:56,829 父上 島田先生と 立ち合われたのですか? 210 00:14:56,829 --> 00:14:58,831 おう 立ち合ったぞ。 211 00:14:58,831 --> 00:15:01,067 浅草奥山の矢場でな。 212 00:15:01,067 --> 00:15:03,002 矢場で? 213 00:15:03,002 --> 00:15:07,840 フフフッ 旦那 焦らないで しっかりお願いしますよ。 214 00:15:07,840 --> 00:15:10,143 (女性)しっかり! (女性)落ち着いて! 215 00:15:13,780 --> 00:15:17,517 (女性たち)当た~り~! お見事! 216 00:15:17,517 --> 00:15:19,452 勝負は引き分けだ。 217 00:15:19,452 --> 00:15:23,322 それから 見世物小屋 水茶屋に大道芸とハシゴしてな…。 218 00:15:23,322 --> 00:15:26,592 綱渡りの軽業は 見事なものでしたねえ。 219 00:15:26,592 --> 00:15:29,262 島田先生が 奥山の盛り場に…!? 220 00:15:29,262 --> 00:15:31,264 昼見世も冷やかしてきたぞ。 221 00:15:31,264 --> 00:15:34,400 吉原知らなきゃ この江戸じゃ いっぱしの男面はできねえ。 222 00:15:34,400 --> 00:15:36,769 えっ 島田先生を吉原に!? 223 00:15:36,769 --> 00:15:39,806 (虎之助)こういうところは 御免被りたいですな。 224 00:15:39,806 --> 00:15:43,643 昼見世は静かなもんだよ。 ちょっと向こうで 寿司でも食うか? 225 00:15:43,643 --> 00:15:45,778 (遊女)勝様! 226 00:15:45,778 --> 00:15:50,116 吸い付けたばこ 一服お上がりなんし。 (遊女たち)お上がりなんし。 227 00:15:50,116 --> 00:15:52,952 よせやい 助六じゃあるめえし。 228 00:15:52,952 --> 00:15:55,621 (笑い声) 229 00:15:55,621 --> 00:16:00,593 (虎之助)なんと まるで別世界…。 230 00:16:00,593 --> 00:16:03,896 美しいものはいい! 231 00:16:03,896 --> 00:16:07,366 これまで かたくなに遠ざけてきたことが 愚かに思えました。 232 00:16:07,366 --> 00:16:10,903 おかげで 何だか 身も心も軽くなった気がします。 233 00:16:10,903 --> 00:16:12,839 なっ いい修行になったろう。 234 00:16:12,839 --> 00:16:15,741 吉原に行くのが 修行ですか? 235 00:16:15,741 --> 00:16:18,644 道場で稽古するだけが修行じゃねえ。 236 00:16:18,644 --> 00:16:22,515 世の中を知ることが 何より腹の鍛錬になるんだよ。 237 00:16:22,515 --> 00:16:24,450 そうかなあ…。 238 00:16:24,450 --> 00:16:26,452 驚いたことが もう一つ。 239 00:16:26,452 --> 00:16:28,754 まあ 入ってくんな。 はあ。 240 00:16:32,191 --> 00:16:34,494 お帰りなさいませ。 241 00:16:37,597 --> 00:16:42,468 美しい奥方で 勝さんは 果報者ですね。 242 00:16:42,468 --> 00:16:45,271 世辞言うな。 何だい あんなおたふく。 243 00:16:45,271 --> 00:16:48,107 (笑い声) 244 00:16:48,107 --> 00:16:51,978 楽しそうに 何のお話です? 245 00:16:51,978 --> 00:16:55,281 (笑い声) ん? 246 00:16:55,281 --> 00:16:59,118 勝さんは 「夢物語」をご存じですか? 247 00:16:59,118 --> 00:17:01,554 知らねえな。 絵草紙かい? 248 00:17:01,554 --> 00:17:03,890 いえ 蘭学者が書いたもので➡ 249 00:17:03,890 --> 00:17:06,359 2年前 浦賀沖に来た異国船を➡ 250 00:17:06,359 --> 00:17:09,262 ご公儀が打ち払ったことを 批判しているのです。 251 00:17:09,262 --> 00:17:12,164 異国の船…。 252 00:17:12,164 --> 00:17:15,568 <天保8年 アメリカの商船 モリソン号が➡ 253 00:17:15,568 --> 00:17:21,374 遭難した日本人漁師7人を乗せ 浦賀沖にやって来ました。➡ 254 00:17:21,374 --> 00:17:24,744 異国船は全て打ち払う という方針のもと➡ 255 00:17:24,744 --> 00:17:29,916 幕府は 大砲を撃って モリソン号を撃退したのです> 256 00:17:29,916 --> 00:17:33,252 その本の噂 私も聞きました。 257 00:17:33,252 --> 00:17:36,155 漁師を連れ帰った船を砲撃するなんて➡ 258 00:17:36,155 --> 00:17:39,125 人として筋が通らぬように思います。 259 00:17:39,125 --> 00:17:43,262 うむ とても御仁政とは言えぬな。 260 00:17:43,262 --> 00:17:46,766 お気の毒ですね。 ん? 261 00:17:46,766 --> 00:17:53,272 船に乗っていた漁師たち 故郷を目の前にして追い返されるなんて➡ 262 00:17:53,272 --> 00:17:56,609 どれほど がっかりしたか。 263 00:17:56,609 --> 00:18:01,213 帰りを待つ親兄弟もいるでしょうに…。 264 00:18:01,213 --> 00:18:04,917 早く戻って来られるといいですね。 265 00:18:11,557 --> 00:18:16,062 (鳥居)して 小笠原 「夢物語」の作者は知れたのか? 266 00:18:16,062 --> 00:18:18,364 (小笠原)まだ しかとは。 267 00:18:18,364 --> 00:18:22,234 この者が 尚歯会と申す 蘭学者の集まりに加わり➡ 268 00:18:22,234 --> 00:18:27,106 内情を探っておりますので 間もなく判明するものと思われます。 269 00:18:27,106 --> 00:18:29,108 (石川)フン…。 270 00:18:29,108 --> 00:18:31,377 <この男は 石川太郎左衛門。➡ 271 00:18:31,377 --> 00:18:34,747 少年時代からの 小吉の天敵です> 272 00:18:34,747 --> 00:18:39,251 (鳥居)花井虎一と申したな。 見当はついているのか。 273 00:18:39,251 --> 00:18:45,391 はっ 尚歯会には田原藩士 渡辺崋山 蘭方医の高野長英➡ 274 00:18:45,391 --> 00:18:50,096 天文方蕃書和解御用の小関三英らが 出入りしております。 275 00:18:50,096 --> 00:18:53,766 例の書物も その辺りが書いたものかと…。 276 00:18:53,766 --> 00:18:56,969 やはり 崋山一味か。 277 00:18:59,105 --> 00:19:04,543 そなた 密偵であることを 勘づかれてはいまいな。 278 00:19:04,543 --> 00:19:06,879 ご懸念には及びませぬ。 279 00:19:06,879 --> 00:19:10,349 この花井は ギヤマンの製法に通じ➡ 280 00:19:10,349 --> 00:19:14,553 蘭学者の間では 名が知られて…。 ギヤマン? ほう…。 281 00:19:14,553 --> 00:19:20,226 異国を賞美し ご政道をそしる書物が出回っては➡ 282 00:19:20,226 --> 00:19:23,729 天下騒乱のもととなる。 283 00:19:23,729 --> 00:19:27,900 一日も早く ふらち者をあぶり出すのじゃ。 284 00:19:27,900 --> 00:19:30,102 ははっ。 285 00:19:32,238 --> 00:19:39,011 今日は お慰めに このようなものを持ってまいりました。 286 00:19:39,011 --> 00:19:44,817 ほお よい枝ぶりじゃ。 287 00:19:44,817 --> 00:19:46,786 近う 持ってまいれ。 288 00:19:46,786 --> 00:19:50,089 はっ。 289 00:19:50,089 --> 00:19:54,393 <家斉は 将軍職を退いた後も 大御所として➡ 290 00:19:54,393 --> 00:19:57,263 絶大な力を振るってきました。➡ 291 00:19:57,263 --> 00:20:03,969 その懐刀と言われるのが 向島の隠居こと 中野碩翁です> 292 00:20:14,280 --> 00:20:19,118 わしも年じゃ。 力が入らぬわ。 293 00:20:19,118 --> 00:20:23,989 お気の弱いことを申されまするな。 294 00:20:23,989 --> 00:20:29,829 頭の黒いねずみたちが ご政道を我がものにせんと➡ 295 00:20:29,829 --> 00:20:34,600 お城の中を駆け回っておりまするぞ。 296 00:20:34,600 --> 00:20:37,970 腹も黒いねずみたちか? 297 00:20:37,970 --> 00:20:40,806 はい。 298 00:20:40,806 --> 00:20:45,144 大御所様が にらみを利かせてくださらねば➡ 299 00:20:45,144 --> 00:20:49,448 ねずみが増えて この世は醜い➡ 300 00:20:49,448 --> 00:20:53,319 窮屈なところになってしまいまする。 301 00:20:53,319 --> 00:20:55,821 うむ…。 302 00:20:55,821 --> 00:21:01,927 一日も早い ご快癒を…。 303 00:21:01,927 --> 00:21:06,265 <ぜいたく三昧と批判される 家斉の治世は 反面➡ 304 00:21:06,265 --> 00:21:11,771 おおらかに 文化や学問が 花開いた時代でもあったのです。➡ 305 00:21:11,771 --> 00:21:14,406 ところが 天保10年5月…。➡ 306 00:21:14,406 --> 00:21:21,614 蘭学者の渡辺崋山が 北町奉行所において 取り調べを受け 後に蟄居。➡ 307 00:21:21,614 --> 00:21:26,285 翻訳家の小関三英は 追い詰められて自殺…> 308 00:21:26,285 --> 00:21:31,423 何 永牢だと!? 馬鹿な…。 309 00:21:31,423 --> 00:21:34,126 構わぬ 引っ立てい! (役人たち)はっ。 310 00:21:34,126 --> 00:21:38,964 <「夢物語」の作者 高野長英は 幕政批判の罪で➡ 311 00:21:38,964 --> 00:21:42,835 伝馬町の牢に投獄されたのです。➡ 312 00:21:42,835 --> 00:21:47,139 蛮社の獄と呼ばれる弾圧事件でした> 313 00:21:56,315 --> 00:22:00,920 あ~ 暇だ暇だ。 314 00:22:00,920 --> 00:22:02,955 ⚟(多賀)小吉殿! おお いきなり! 315 00:22:02,955 --> 00:22:07,259 私を 道具市にお連れください。 316 00:22:07,259 --> 00:22:11,597 家伝来の茶道具を売って 30両工面しないと。 317 00:22:11,597 --> 00:22:16,936 30両? 小普請金は ご本家が用意してくださったのですよね。 318 00:22:16,936 --> 00:22:21,273 そのお金を 孫一郎が使ってしまったのです。 319 00:22:21,273 --> 00:22:23,209 ええっ! 320 00:22:23,209 --> 00:22:27,947 必ず御番入りさせる 根回しの金が入り用だと言われて➡ 321 00:22:27,947 --> 00:22:31,784 30両そっくり 丈助に渡したというのです。 322 00:22:31,784 --> 00:22:34,687 あの用人に…。 323 00:22:34,687 --> 00:22:39,124 ご支配からは いまだ 何のご沙汰もなく…。 324 00:22:39,124 --> 00:22:41,060 そりゃあ そうだよ。 325 00:22:41,060 --> 00:22:43,796 30両ばかりで 御番入りがかなうはずがねえ。 326 00:22:43,796 --> 00:22:48,968 その丈助ってやつに 一杯食わされたんじゃないんですかい? 327 00:22:48,968 --> 00:22:51,870 だまされた? 328 00:22:51,870 --> 00:22:54,306 ああ おかしいと思った…。 329 00:22:54,306 --> 00:22:56,642 なぜ止めなかったんですか。 330 00:22:56,642 --> 00:22:59,545 孫が勝手にしたことです。 331 00:22:59,545 --> 00:23:05,251 近頃はもう すっかり丈助の言いなりで。 332 00:23:05,251 --> 00:23:07,186 あの人 やっぱり…。 333 00:23:07,186 --> 00:23:09,121 さあ 参りましょう。 334 00:23:09,121 --> 00:23:11,123 あれは きっと悪人です。 335 00:23:11,123 --> 00:23:14,760 お順が 悪い人だと嫌がっていたんですよ。 336 00:23:14,760 --> 00:23:18,397 お順は 妙に鋭いからなあ。 337 00:23:18,397 --> 00:23:20,766 悪いやつに引っかかりましたね。 338 00:23:20,766 --> 00:23:23,102 下手にもめて たたられてもつまらねえ。 339 00:23:23,102 --> 00:23:27,406 30両は諦めて 早く追い出してしまいなさい。 340 00:23:27,406 --> 00:23:30,609 では 一緒に来て 出ていくよう言ってください。 341 00:23:30,609 --> 00:23:32,544 え 俺が? 342 00:23:32,544 --> 00:23:34,947 私の言うことなんか 聞きませんから。 343 00:23:34,947 --> 00:23:37,983 いや あいにく今日は 御用繁多で…。 344 00:23:37,983 --> 00:23:41,287 さっきまで 暇だ暇だと 鼻毛を抜いていたくせに。 345 00:23:41,287 --> 00:23:43,289 余計なこと言ってんじゃねえよ。 346 00:23:43,289 --> 00:23:48,060 孫一郎に関わると ろくなことねえからな…。 347 00:23:48,060 --> 00:23:51,430 拝みます 小吉殿。 348 00:23:51,430 --> 00:23:53,365 大丈夫ですよ。 349 00:23:53,365 --> 00:23:58,137 旦那様は 困っている人を 見捨てるようなことはなさいませんから。 350 00:23:58,137 --> 00:24:01,040 ねえ 旦那様。 351 00:24:01,040 --> 00:24:04,243 しょうがねえなあ…。 352 00:24:04,243 --> 00:24:06,912 分かりました。 引き受けましょう。 353 00:24:06,912 --> 00:24:21,393 ♬~ 354 00:24:21,393 --> 00:24:23,395 ごめんよ! 355 00:24:31,070 --> 00:24:34,273 おい嫁女 お殿さんどこだい? 356 00:24:34,273 --> 00:24:37,176 勝様…。 357 00:24:37,176 --> 00:24:42,982 この家は 無法者の住みかにございます…。 358 00:24:42,982 --> 00:24:45,784 (泣き声) 359 00:24:47,619 --> 00:24:50,522 さあ 入りやした。 はい どうぞ 振って…。 360 00:24:50,522 --> 00:24:54,960 半だ 半! 361 00:24:54,960 --> 00:24:58,797 丁! 丁! 362 00:24:58,797 --> 00:25:03,068 昼間っから手慰みとは いいご身分だな。 363 00:25:03,068 --> 00:25:07,239 勝殿… 何か用か。 364 00:25:07,239 --> 00:25:09,575 うわあ…! 何しやがんでい! 365 00:25:09,575 --> 00:25:12,244 賭場は お開きだ! 366 00:25:12,244 --> 00:25:14,246 帰れ 帰れ! 367 00:25:17,082 --> 00:25:19,752 何の騒ぎです? 368 00:25:19,752 --> 00:25:22,254 お前が丈助か。 369 00:25:22,254 --> 00:25:24,256 聞きてえことがある。 370 00:25:27,760 --> 00:25:33,565 預かった30両の金 何に使ったんだ? 371 00:25:33,565 --> 00:25:37,770 上の方への付け届けですよ。 御番入りの根回しにね。 372 00:25:37,770 --> 00:25:40,272 どうだかなあ。 373 00:25:40,272 --> 00:25:44,143 大事な金 何だってこんなやつに 渡したりしたんだ。 374 00:25:44,143 --> 00:25:46,945 気の毒に ご隠居様は➡ 375 00:25:46,945 --> 00:25:50,282 たった一つ残った大事な茶道具まで 売ろうとなさってたんだぜ。 376 00:25:50,282 --> 00:25:54,286 御番入りがかなえば 小普請金など払わずに済むわ。 377 00:25:54,286 --> 00:25:58,991 甘い! 百両 二百両積んだって めったにお役目なんか就けるもんかい。 378 00:25:58,991 --> 00:26:03,829 第一 御番入りしたけりゃ ご支配の屋敷に日参くれえするもんだ。 379 00:26:03,829 --> 00:26:07,366 昼間っから 丁半博打にうつつ抜かすなんて➡ 380 00:26:07,366 --> 00:26:09,435 どうしようもねえや。 381 00:26:09,435 --> 00:26:14,740 お言葉ですが 当家は千五百石のお旗本。 382 00:26:14,740 --> 00:26:19,378 勝様とは 事情が違います。 フン。 383 00:26:19,378 --> 00:26:22,748 ご支配の屋敷の前に はいつくばるなど 微禄者のようなまねを➡ 384 00:26:22,748 --> 00:26:26,385 殿様にさせられません。 何…!? 385 00:26:26,385 --> 00:26:29,254 ひどい! あんなこと言うなんて…。 386 00:26:29,254 --> 00:26:31,757 そもそも 賭場を開いて何が悪いのです? 387 00:26:31,757 --> 00:26:34,593 どこのお旗本も こっそりおやりになっていますよ。 388 00:26:34,593 --> 00:26:36,929 稼いだ てら銭どうしたよ? 389 00:26:36,929 --> 00:26:39,765 30両も てら銭も てめえが懐に入れたんじゃねえのかい! 390 00:26:39,765 --> 00:26:43,101 めっそうもない。 びた一文使い込んじゃいませんよ。 391 00:26:43,101 --> 00:26:46,405 むしろ私は 身銭を切って 殿様のお世話をしているのです。 392 00:26:46,405 --> 00:26:48,340 ああ やだねえ。 393 00:26:48,340 --> 00:26:51,110 ぬらりくらり言い抜けるやつが 俺は大嫌えだ! 394 00:26:51,110 --> 00:26:53,779 暇やるから とっとと出てけ! 395 00:26:53,779 --> 00:26:55,814 なぜ 他人のあなたが そんな指図をするのです? 396 00:26:55,814 --> 00:26:59,118 そうだそうだ。 差し出口はよしてくれ。 397 00:26:59,118 --> 00:27:02,721 こいつが悪党だって まだ分からねえのか このボンクラ! 398 00:27:02,721 --> 00:27:06,558 ボ ボンクラ!? 丈助は身内同然だ。 399 00:27:06,558 --> 00:27:08,594 気に入らぬなら そっちが出ていけ! 400 00:27:08,594 --> 00:27:12,231 何だと? 借地人の分際で➡ 401 00:27:12,231 --> 00:27:15,901 地主のすることに文句があるなら さっさと立ち退いてもらおう! 402 00:27:15,901 --> 00:27:20,405 バカ野郎 目ぇ覚ませ! きゃっ! 403 00:27:22,774 --> 00:27:27,079 いけません 旦那様。 乱暴はおやめください。 404 00:27:27,079 --> 00:27:29,748 堪忍してくだされ 小吉殿。 405 00:27:29,748 --> 00:27:31,683 出てけ! 早く立ち退け! 406 00:27:31,683 --> 00:27:35,087 悪党め 千五百石の殿様に手を上げるとは! 407 00:27:35,087 --> 00:27:37,923 悪党はどっちだ! あっ いけません! 408 00:27:37,923 --> 00:27:40,626 この野郎! あっ! 409 00:27:42,761 --> 00:27:45,264 おばあ様! おばあ様…。 410 00:27:45,264 --> 00:27:48,567 おばあ様…。 お多賀様 お気を確かに。 411 00:27:56,275 --> 00:28:00,779 はあ… 失敗。 412 00:28:04,082 --> 00:28:09,555 父上 道場で嫌な話を耳にしました。 413 00:28:09,555 --> 00:28:14,226 「夢物語」の件 訴えたのは 花井虎一だそうです。 414 00:28:14,226 --> 00:28:19,064 蘭学の集まりに潜り込んで 内輪の話を探り出し➡ 415 00:28:19,064 --> 00:28:21,567 お目付に訴状を出したとか。 416 00:28:21,567 --> 00:28:27,239 密告など 武士のすることではないと 島田先生が憤っておいででした。 417 00:28:27,239 --> 00:28:29,241 (床を殴る音) 418 00:28:29,241 --> 00:28:32,578 虎一といい 孫一郎といい➡ 419 00:28:32,578 --> 00:28:37,082 本所の侍は 性根の腐ったやつばかりになった。 420 00:28:37,082 --> 00:28:39,751 何かあったのですか? ええ。 421 00:28:39,751 --> 00:28:41,687 お信 引っ越すぞ! 422 00:28:41,687 --> 00:28:44,089 えっ どこにです? 423 00:28:44,089 --> 00:28:47,960 どこでもいい。 岡野の地面に これ以上いられるか。 424 00:28:47,960 --> 00:28:49,962 そんな…。 425 00:28:49,962 --> 00:28:55,767 <ところが 数日後 騒動は 思わぬ方向に急展開…> 426 00:28:57,603 --> 00:29:03,408 酒屋の払い 吉原の揚げ代…。 427 00:29:05,344 --> 00:29:10,048 大工の手間賃➡ 428 00:29:10,048 --> 00:29:13,885 上の方へのお心づけ…。 429 00:29:13,885 --> 00:29:18,223 全て 私がお立て替えしております。 430 00:29:18,223 --> 00:29:23,895 しめて 339両。 431 00:29:23,895 --> 00:29:27,232 (2人)339両!? 432 00:29:27,232 --> 00:29:31,236 おいとまをいただく前に 耳をそろえてお返し願いとう存じます。 433 00:29:31,236 --> 00:29:34,740 ええ…っ! 434 00:29:40,245 --> 00:29:44,583 は~ん 丈助のやつ 自分から出ていくとぬかしやがったか。 435 00:29:44,583 --> 00:29:48,754 隣に旦那様がいては これ以上好き放題はできないと➡ 436 00:29:48,754 --> 00:29:50,689 見切りをつけたのではないでしょうか。 437 00:29:50,689 --> 00:29:54,559 しっかし 339両とは また派手に使ったなあ。 438 00:29:54,559 --> 00:29:58,930 それが そんな大金を立て替えてもらった 覚えはないと言うんです。 439 00:29:58,930 --> 00:30:02,401 だったら 手元にある帳面と 付け合わせてみりゃいいんだよ。 440 00:30:02,401 --> 00:30:05,604 勘定の帳面は 必ず控えを取ることになってんだから。 441 00:30:05,604 --> 00:30:08,640 その肝心の帳面が 消えてしまったんです! 442 00:30:08,640 --> 00:30:11,410 文箱の中に入れておいたはずが➡ 443 00:30:11,410 --> 00:30:14,780 今日になって探してみたら どこにも見当たらないと。 444 00:30:14,780 --> 00:30:18,617 帳面が歩いて逃げるわけあるめえよ。 どこかに置き忘れたんだよ。 445 00:30:18,617 --> 00:30:23,422 孫一郎様に限って マメに帳面を開いて 見るはずはありません。 446 00:30:23,422 --> 00:30:25,791 ず~っと文箱に入れっぱなしですよ。 447 00:30:25,791 --> 00:30:30,962 そうだな… となりゃあ こりゃあ まんまとやられたか? 448 00:30:30,962 --> 00:30:33,799 えっ? 付け掛けだ。 449 00:30:33,799 --> 00:30:36,301 丈助のやつ てめえの帳面には➡ 450 00:30:36,301 --> 00:30:38,637 立て替えたよりも多めの額を 書いたんだろう。 451 00:30:38,637 --> 00:30:43,809 3割増し いや 倍付けぐれえ してるかもしれねえな。 452 00:30:43,809 --> 00:30:47,612 では それを見抜かれないように…。 453 00:30:52,517 --> 00:30:55,520 帳面の控えを 始末したのでしょうか? 454 00:30:55,520 --> 00:30:57,656 まあ そんなとこだろう。 455 00:30:57,656 --> 00:31:02,260 でしたら 悪いのは丈助なのですから お金を払うことはありませんね。 456 00:31:02,260 --> 00:31:05,263 そうもいくめえ。 丈助は証拠の帳面 持ってんだよ。 457 00:31:05,263 --> 00:31:09,401 そんな… 何とかならないでしょうか。 458 00:31:09,401 --> 00:31:14,940 ほっとけよ 性根の腐った孫一郎のこった いい薬になる。 459 00:31:14,940 --> 00:31:18,610 でも このままでは 岡野様の家が…。 460 00:31:18,610 --> 00:31:23,949 そのうち 親戚連中が出てきて 何とかするだろうよ。 461 00:31:23,949 --> 00:31:29,254 <ところが そうこうするうちに 事態は更に急展開> 462 00:31:31,623 --> 00:31:33,625 はあ~。 463 00:31:49,174 --> 00:31:52,911 お願いの者にございます。 訴えの者にございます。 464 00:31:52,911 --> 00:31:54,846 無礼者 去れ! 465 00:31:54,846 --> 00:31:56,848 どうか ご老中にお取り次ぎを! 466 00:31:56,848 --> 00:32:01,253 <あろうことか 岡野孫一郎が金を返さないと➡ 467 00:32:01,253 --> 00:32:05,090 老中 太田備後守に直訴したのです> 468 00:32:05,090 --> 00:32:09,261 (彦四郎)丈助という用人 したたかな悪党だが➡ 469 00:32:09,261 --> 00:32:14,766 そもそもは 孫一郎の身持ちが悪いゆえに 起きたことだ。 470 00:32:14,766 --> 00:32:17,102 はい。 471 00:32:17,102 --> 00:32:19,938 岡野には関わるな。 472 00:32:19,938 --> 00:32:26,278 妙な義侠心など出して肩を持てば 勝家も巻き添えを食うかもしれぬぞ。 473 00:32:26,278 --> 00:32:28,613 心得ております。 474 00:32:28,613 --> 00:32:33,318 近頃は お目付の取り締まりが ことのほか厳しい。 475 00:32:36,121 --> 00:32:40,959 蛮社のお裁きの折に密訴した 花井虎一は➡ 476 00:32:40,959 --> 00:32:44,796 鳥居甲斐守の密偵だと もっぱらの噂よ。 477 00:32:44,796 --> 00:32:47,132 えっ。 それが証拠に➡ 478 00:32:47,132 --> 00:32:50,435 やつめ 学問所勤番衆に お取り上げと決まったわ。 479 00:32:50,435 --> 00:32:53,305 15俵から50俵に出世だ。 480 00:32:53,305 --> 00:32:57,142 目付の犬か くそっ 汚えまねを…。 481 00:32:57,142 --> 00:33:02,914 それ その短気が身を誤る元なのです。 482 00:33:02,914 --> 00:33:05,250 (彦四郎)くれぐれも身を慎め。 483 00:33:05,250 --> 00:33:11,756 勝家を潰すことになっては 亡くなった おばば様に面目が立たぬぞ。 484 00:33:11,756 --> 00:33:14,259 くれぐれも。 485 00:33:14,259 --> 00:33:16,928 はい。 486 00:33:16,928 --> 00:33:18,964 まったく ひどい話さ。 487 00:33:18,964 --> 00:33:22,601 まあ 勝の殿様が ほっときゃしないよ。 488 00:33:22,601 --> 00:33:24,536 おい 銀次来てねえか? 489 00:33:24,536 --> 00:33:27,472 ああ ちょうど 今 お噂をしていたところですよ。 490 00:33:27,472 --> 00:33:30,108 そろそろ勝様の出番ではないかと。 491 00:33:30,108 --> 00:33:32,043 俺が何に出んだよ。 492 00:33:32,043 --> 00:33:34,779 岡野様のもめごとですよ。 493 00:33:34,779 --> 00:33:39,284 大川丈助とかいう悪い用人を 懲らしめてやっておくんなさいまし。 494 00:33:39,284 --> 00:33:41,620 (男性)そうだ そうだ! 内輪のもめごとだ。 495 00:33:41,620 --> 00:33:43,555 俺の出る幕はねえよ。 496 00:33:43,555 --> 00:33:46,958 でも お家断絶なんてことになったら➡ 497 00:33:46,958 --> 00:33:49,794 ご隠居様がお気の毒じゃありませんか。 498 00:33:49,794 --> 00:33:52,831 これも孫一郎の不心得から出たことだ。 499 00:33:52,831 --> 00:33:54,966 是非に及ばずさ。 500 00:33:54,966 --> 00:33:57,435 ああ 銀次が来たら 俺んち来るように言ってくれ。 501 00:33:57,435 --> 00:33:59,804 いやいや…。 何だい。 502 00:33:59,804 --> 00:34:02,774 勝の殿様 案外 不人情だな おい。 503 00:34:02,774 --> 00:34:06,244 隠居して 腰抜けになっちまったかねえ。 けっ 情けねえ もう。 504 00:34:06,244 --> 00:34:13,118 勝様は そんな薄情なお人じゃないよ…。 505 00:34:13,118 --> 00:34:17,856 <数日後 吟味を終えて 岡野家に戻された丈助は➡ 506 00:34:17,856 --> 00:34:21,393 見張りをつけられ ひと間に押し込められたのですが…> 507 00:34:21,393 --> 00:34:24,930 ⚟(丈助)339両! 508 00:34:24,930 --> 00:34:29,234 立て替えた金を請求して 何が悪い! 509 00:34:32,270 --> 00:34:35,273 ⚟(丈助)私の金を 返せ! 510 00:34:35,273 --> 00:34:38,777 あいつめ…。 511 00:34:41,947 --> 00:34:45,784 ご心労続きでも しっかり召し上がらなければ➡ 512 00:34:45,784 --> 00:34:48,286 お体に障りますよ。 513 00:34:48,286 --> 00:34:53,425 お信さん 頼みがあるのです。 514 00:34:53,425 --> 00:34:55,360 何でしょう? 515 00:34:55,360 --> 00:35:00,565 光江を 里に返したいのです。 取り次ぎをお願いします。 516 00:35:00,565 --> 00:35:06,237 光江様が 離縁をお望みなのですか? 517 00:35:06,237 --> 00:35:12,110 このたびの件 近々 評定所の取り扱いとなりましょう。 518 00:35:12,110 --> 00:35:16,247 争っても勝ち目はありません。 519 00:35:16,247 --> 00:35:19,918 岡野の家が潰れる前に➡ 520 00:35:19,918 --> 00:35:22,954 離縁するのが 光江のため。 521 00:35:22,954 --> 00:35:28,593 でも 悪いのは 付け掛けをした丈助ではありませんか。 522 00:35:28,593 --> 00:35:35,367 証拠となる 帳面の控えを なくしてしまったのです。 523 00:35:35,367 --> 00:35:39,938 丈助は 口が立つ上 公事にも明るい。 524 00:35:39,938 --> 00:35:45,744 何を申し立てても 言い負かされるに違いありません。 525 00:35:45,744 --> 00:35:52,417 ⚟(丈助)返せ! 戻せ! 339両! 526 00:35:52,417 --> 00:35:58,623 はあ… 岡野の家は おしまいです。 527 00:36:00,558 --> 00:36:03,595 まだ諦めてはなりません。 528 00:36:03,595 --> 00:36:07,232 旦那様と私がついております。 529 00:36:07,232 --> 00:36:14,239 あのような悪者に 好き放題はさせません。 530 00:36:19,377 --> 00:36:23,081 まあ のんきに鼻毛なんか抜いて。 531 00:36:23,081 --> 00:36:27,252 鼻毛が伸びてちゃ 締まらねえからな。 532 00:36:27,252 --> 00:36:32,757 旦那様 岡野様の一大事を 黙って見ているおつもりですか? 533 00:36:32,757 --> 00:36:36,394 この間 兄貴に呼び出されて 釘を刺されたよ。 534 00:36:36,394 --> 00:36:41,099 岡野に手を貸して 勝の家を潰すなとさ。 535 00:36:41,099 --> 00:36:43,034 勝の家を…。 536 00:36:43,034 --> 00:36:47,405 兄上の言うとおりにするなんて 旦那様らしくもない。 537 00:36:47,405 --> 00:36:50,275 ほかに どうすりゃいいんだよ。 538 00:36:50,275 --> 00:36:54,145 俺に任せろと 引き受けたではありませんか。 539 00:36:54,145 --> 00:36:58,783 一旦 引き受けたからには やり通すのが旦那様です。 540 00:36:58,783 --> 00:37:03,354 丈助を懲らしめて 岡野様を助けてください。 541 00:37:03,354 --> 00:37:07,225 口が達者で 悪知恵の働くやつは やっかいだ。 542 00:37:07,225 --> 00:37:11,062 こっちが どんなとばっちり受けるか 知れねえ。 543 00:37:11,062 --> 00:37:16,234 勝の家 潰してみろ。 おばば様が 化けて出るぞ。 544 00:37:16,234 --> 00:37:20,572 そなたが ほれ込んだ小吉は➡ 545 00:37:20,572 --> 00:37:23,575 筋金入りの武士。 546 00:37:27,245 --> 00:37:33,918 本物の男でした。 547 00:37:33,918 --> 00:37:39,591 いいえ 丈助ごときに 手も足も出ない旦那様を見たら➡ 548 00:37:39,591 --> 00:37:42,093 おばば様は もっと怒ります。 549 00:37:42,093 --> 00:37:45,130 だったら 見えねえように 仏壇の扉 閉めとけよ。 550 00:37:45,130 --> 00:37:48,399 まあ はぐらかさないでください! 551 00:37:48,399 --> 00:37:51,102 ガミガミうるせえなあ。 552 00:37:51,102 --> 00:37:55,940 本当に腰を上げないつもりなのですね。 553 00:37:55,940 --> 00:38:00,912 分かりました。 それでは おいとまをいただきます。 554 00:38:00,912 --> 00:38:03,548 はあ? 何言ってんだ? 555 00:38:03,548 --> 00:38:08,052 私 意気地のない旦那様の姿は 見たくありませんから。 556 00:38:08,052 --> 00:38:11,089 お順を連れて 家を出ます。 ここを出ていって どこへ行くんだよ。 557 00:38:11,089 --> 00:38:14,225 どこって…。 俺は婿養子だ。 558 00:38:14,225 --> 00:38:18,563 出るだの引くだのっつったら 俺が出ていくのが筋だろう。 559 00:38:18,563 --> 00:38:22,734 それはそうかもしれませんが 勝家といっても ここは借地だし➡ 560 00:38:22,734 --> 00:38:24,669 追い立ても食らったのですから…。 561 00:38:24,669 --> 00:38:28,606 岡野の家が召し上げられたら この家もどうなるか分かんねえな。 562 00:38:28,606 --> 00:38:31,442 ええ…。 563 00:38:31,442 --> 00:38:34,345 やっぱり 引っ越しておけばよかったかしら。 564 00:38:34,345 --> 00:38:36,748 はあ? ⚟(銀次)旦那! 565 00:38:36,748 --> 00:38:38,683 おう 銀次。 何か分かったか? 566 00:38:38,683 --> 00:38:41,252 へい 尻尾を捕まえやした。 567 00:38:41,252 --> 00:38:45,089 丈助は以前 川越の武家屋敷で 用人をしてましてね。 568 00:38:45,089 --> 00:38:47,025 よく突き止めたな。 569 00:38:47,025 --> 00:38:49,961 (銀次)巾着切り仲間の網は 疎にして漏らさず。 570 00:38:49,961 --> 00:38:52,764 悪いやつの噂なら 耳に入らねえことはありやせん。 571 00:38:52,764 --> 00:38:54,799 前の屋敷でも悪さはしてたのかい? 572 00:38:54,799 --> 00:38:56,935 家の恥だと言って 大っぴらにはしてやせんが➡ 573 00:38:56,935 --> 00:39:00,905 同じ付け掛けの手口で 二百両ばかり せびり取られたそうです。 574 00:39:00,905 --> 00:39:04,542 やっぱりな 慣れた手口だと思った。 575 00:39:04,542 --> 00:39:06,878 これで ようやく勝ち目が出てきた。 576 00:39:06,878 --> 00:39:10,715 お信 出かけるぜ。 丈助に掛け合ってくる。 577 00:39:10,715 --> 00:39:14,552 どういうことです? おや 奥様はご存じねえんで? 578 00:39:14,552 --> 00:39:18,223 あっしは 旦那に頼まれて やつの旧悪を探ってたんですよ。 579 00:39:18,223 --> 00:39:20,225 丈助のやつは したたか者だ。 580 00:39:20,225 --> 00:39:24,028 脅そうが すかそうが 付け掛けしたことは認めねえだろう。 581 00:39:24,028 --> 00:39:27,732 だが 前にも同じことをしてたとなりゃあ 話が違ってくる。 582 00:39:27,732 --> 00:39:31,069 では 丈助を放っておく気は なかったのですね? 583 00:39:31,069 --> 00:39:33,104 銀次の知らせを待っていたんだ。 584 00:39:33,104 --> 00:39:37,375 薄汚え悪党に この本所を好き勝手されてたまるかい! 585 00:39:37,375 --> 00:39:39,310 ああ よかった。 586 00:39:39,310 --> 00:39:42,247 私 てっきり旦那様が 勝家のために➡ 587 00:39:42,247 --> 00:39:44,916 できない我慢しているのかと 思ったんですよ。 588 00:39:44,916 --> 00:39:46,851 だから さっき 出ていくなんて言ったんです。 589 00:39:46,851 --> 00:39:49,087 家に縛られてほしくなくて…。 590 00:39:49,087 --> 00:39:51,122 いいって 本気じゃねえって分かってたよ。 591 00:39:51,122 --> 00:39:53,591 はい。 592 00:39:53,591 --> 00:39:58,263 あら でも どうして 打ち明けてくれなかったんですか? 593 00:39:58,263 --> 00:40:01,266 お前が うっかり口滑らせたら ご隠居のことだ➡ 594 00:40:01,266 --> 00:40:03,935 こっちの動きを 丈助に漏らしちまうかもしれねえ。 595 00:40:03,935 --> 00:40:05,970 あらあら あらあら。 596 00:40:05,970 --> 00:40:08,806 私 それほど うっかりではありませんよ。 597 00:40:08,806 --> 00:40:11,409 隠居に同情して ついってこともあるだろう。 598 00:40:11,409 --> 00:40:15,613 ありませんよ。 そんな大事なことを つい なんて…。 599 00:40:15,613 --> 00:40:18,950 ひどい。 私のこと 信用してないんですか? 600 00:40:18,950 --> 00:40:21,986 証拠をつかむまでは 誰にも言わねえって決めてたんだよ。 601 00:40:21,986 --> 00:40:24,122 銀次さんには 話したくせに…。 602 00:40:24,122 --> 00:40:26,624 銀次には 働いてもらうんだ しかたないだろ。 603 00:40:26,624 --> 00:40:29,294 今日の勝負は 引き分けです。 604 00:40:29,294 --> 00:40:31,229 はい。 はい。 605 00:40:31,229 --> 00:40:35,233 あら 死んだご隠居様に生き写し…。 606 00:40:41,806 --> 00:40:46,978 <悪知恵の働く 大川丈助との勝負の行方➡ 607 00:40:46,978 --> 00:40:50,848 果たして どうなることやら…> 608 00:40:50,848 --> 00:40:54,552 「義を見て」…。 609 00:40:58,990 --> 00:41:03,828 「せざるは➡ 610 00:41:03,828 --> 00:41:09,133 勇無きなり」。 611 00:41:14,939 --> 00:41:18,943 旦那様 しっかり。 612 00:41:20,611 --> 00:41:23,281 丈助を斬るのですか? いけません! 613 00:41:23,281 --> 00:41:25,216 俺は摂津に行ってくるぜ。 614 00:41:25,216 --> 00:41:27,285 馬鹿者! ならず者が上がり込んできます。 615 00:41:27,285 --> 00:41:31,022 お下がりなさい! 武士の家に勝手に上がり込むとは無礼な。 616 00:41:31,022 --> 00:41:33,624 四百両ばかり 都合してもらいたい。 617 00:41:33,624 --> 00:41:36,294 そのような大金 とても調達できませぬ! 618 00:41:36,294 --> 00:41:40,164 武士の腹の切りよう よくよく見ておけ! 619 00:41:40,164 --> 00:42:55,173 ♬~