1 00:00:12,412 --> 00:00:14,348 ごめんください! 2 00:00:14,348 --> 00:00:16,350 ⚟(多賀)は~い。 3 00:00:18,118 --> 00:00:20,954 あっ お信さん。 旦那様は? 4 00:00:20,954 --> 00:00:23,991 まだです。 どうぞ お上がりになって。 5 00:00:23,991 --> 00:00:30,130 <勝家の地主 岡野孫一郎は 用人の大川丈助に帳簿を改ざんされ➡ 6 00:00:30,130 --> 00:00:33,166 家名断絶の危機に ひんしていました> 7 00:00:33,166 --> 00:00:35,302 付け掛け働いたのは分かってんだ。 8 00:00:35,302 --> 00:00:37,237 帳面よこしな! 9 00:00:37,237 --> 00:00:39,806 嫌でございます。 金を返してもらえぬ上に➡ 10 00:00:39,806 --> 00:00:42,643 ぬれぎぬまで着せられては 武士の一分が立ちませぬ。 11 00:00:42,643 --> 00:00:45,979 何が武士だ。 この悪党が! 帳面を渡せ! 12 00:00:45,979 --> 00:00:48,682 首を取られても渡しませぬ! 13 00:00:54,321 --> 00:01:06,333 ♬~ 14 00:01:09,603 --> 00:01:14,107 (孫一郎)遅い! どうなっているのだ。 15 00:01:14,107 --> 00:01:19,279 小吉殿でも 手に負えぬのでしょうか。 16 00:01:19,279 --> 00:01:23,283 私… ちょっと様子を見てまいります。 17 00:01:25,953 --> 00:01:27,988 あっ 旦那様 首尾は? 18 00:01:27,988 --> 00:01:30,791 思いのほか 肝の太え野郎だ。 19 00:01:30,791 --> 00:01:33,827 死んでも 金は取るとさ。 20 00:01:33,827 --> 00:01:36,296 やはり…。 こうまで騒ぎ立てて➡ 21 00:01:36,296 --> 00:01:39,633 ご老中まで巻き込んだとあっちゃ 世間の手前➡ 22 00:01:39,633 --> 00:01:42,302 力ずくで黙らせるわけにも いかねえや。 23 00:01:42,302 --> 00:01:44,304 何とかならないのですか? 24 00:01:44,304 --> 00:01:47,641 やりようは なくもねえが…。 25 00:01:47,641 --> 00:01:53,513 金をやらずに始末をつけるか 金をやってでも きっぱり縁を切るか➡ 26 00:01:53,513 --> 00:01:55,983 2つに1つなら どちらにします? 27 00:01:55,983 --> 00:01:59,820 もちろん 金をやらずに片づけたい。 28 00:01:59,820 --> 00:02:05,258 そっちは いささか物騒だが… それでもいいかね? 29 00:02:05,258 --> 00:02:07,961 物騒って? 30 00:02:09,763 --> 00:02:11,965 うわっ! 31 00:02:17,270 --> 00:02:20,941 丈助を斬るのですか? いけません! 32 00:02:20,941 --> 00:02:25,278 そんなことをしたら 旦那様も岡野様も ただでは済みませんよ。 33 00:02:25,278 --> 00:02:28,181 2人そろって 腹を切ることになるかねえ…。 34 00:02:28,181 --> 00:02:33,687 よせ…! しかし やりたくとも 肝心の金がないのだ。 35 00:02:35,622 --> 00:02:37,557 こうなっては しかたがありません。 36 00:02:37,557 --> 00:02:43,797 潔く覚悟を決めましょう。 37 00:02:43,797 --> 00:02:48,969 なぜ このようなことに…。 38 00:02:48,969 --> 00:02:51,438 光江様…。 39 00:02:51,438 --> 00:02:56,276 もし 339両 丈助にくれてやるつもりがあるのなら➡ 40 00:02:56,276 --> 00:02:58,211 俺に一つ思案がある。 41 00:02:58,211 --> 00:03:02,382 金の工面がつくのか? 一か八か だがな。 42 00:03:02,382 --> 00:03:05,585 ただし 一旦 引き受けたからには➡ 43 00:03:05,585 --> 00:03:07,921 今後一切 口出しは無用に願いたい。 44 00:03:07,921 --> 00:03:09,856 何をする気だ? 45 00:03:09,856 --> 00:03:12,392 まさか 斬り取りでもするのでは…。 46 00:03:12,392 --> 00:03:14,928 口出し無用と言ったはずですが。 47 00:03:14,928 --> 00:03:17,964 しかし…。 お任せします。 48 00:03:17,964 --> 00:03:20,801 小吉殿のよいように。 49 00:03:20,801 --> 00:03:23,937 いいですね。 50 00:03:23,937 --> 00:03:25,872 頼む。 51 00:03:25,872 --> 00:03:30,177 承知。 この件 確かに引き受けました。 52 00:03:33,947 --> 00:03:35,882 (銀次)ええっ! 桶屋に行って すぐに作らせてくれ。 53 00:03:35,882 --> 00:03:37,818 でも そんなもん 何に使うんです? 54 00:03:37,818 --> 00:03:39,820 いいから言うとおりにしろ。 55 00:03:39,820 --> 00:03:43,123 何だか 気味が悪いなあ…。 それと 道具市の古着屋に行って➡ 56 00:03:43,123 --> 00:03:45,625 供侍の衣装を2人分 そろえてもらってきな。 57 00:03:45,625 --> 00:03:47,561 裄丈はどんなものを? 58 00:03:47,561 --> 00:03:49,496 お前ぐれえのと 一回り大きいのだ。 59 00:03:49,496 --> 00:03:52,966 へっ? 誰が着るんです? 詳しい話はあとだ。 60 00:03:52,966 --> 00:03:55,802 いいから黙って行け! へい。 61 00:03:55,802 --> 00:04:00,140 何だか よく分かんねえなあ…。 62 00:04:00,140 --> 00:04:02,909 あら 銀次さんは? 63 00:04:02,909 --> 00:04:05,245 使いにやった。 64 00:04:05,245 --> 00:04:08,081 お信 俺は摂津に行ってくるぜ。 65 00:04:08,081 --> 00:04:11,384 えっ 摂津に? 岡野の知行地だ。 66 00:04:11,384 --> 00:04:15,255 摂津の御願塚村は 100戸ある大きな村だ。 67 00:04:15,255 --> 00:04:19,126 村高は 表向き5百石だが 実際は もっとあるだろう。 68 00:04:19,126 --> 00:04:21,128 そういうものですか。 69 00:04:21,128 --> 00:04:23,130 昔 兄貴が 信州の代官をやっていた時に➡ 70 00:04:23,130 --> 00:04:27,267 一緒に 村を回って 検見したから大体の見当はつく。 71 00:04:27,267 --> 00:04:29,269 俺は 岡野の家来と名乗って➡ 72 00:04:29,269 --> 00:04:35,609 「主家存亡の危機だ 金を都合してくれ」 と 村方に掛け合ってくるよ。 73 00:04:35,609 --> 00:04:38,512 何とかなるでしょうか? 何とかするさ。 74 00:04:38,512 --> 00:04:43,116 339両 耳をそろえて丈助の野郎に たたっ返して➡ 75 00:04:43,116 --> 00:04:46,786 二度と本所の地は踏ませねえ。 76 00:04:46,786 --> 00:04:50,957 留守中 岡野の家を頼んだぞ。 77 00:04:50,957 --> 00:04:52,959 はい。 78 00:04:54,628 --> 00:04:58,131 <2日後 小吉は 摂津・御願塚村➡ 79 00:04:58,131 --> 00:05:02,569 今の兵庫県伊丹市に向けて 出発することになりました。➡ 80 00:05:02,569 --> 00:05:09,276 お供は 銀次と信用師 今で言う 詐欺師の斎藤監物です> 81 00:05:11,745 --> 00:05:15,582 麟 お前は勝家の当主だ。 しっかり守れ。 82 00:05:15,582 --> 00:05:17,918 はい お任せください。 83 00:05:17,918 --> 00:05:19,853 父上 順もおります。 84 00:05:19,853 --> 00:05:21,788 うん 頼りにしてるぞ。 85 00:05:21,788 --> 00:05:24,591 ⚟(虎之助)勝さん! 86 00:05:24,591 --> 00:05:27,093 あれ 虎。 どうしたい? 87 00:05:27,093 --> 00:05:29,029 (虎之助)麟太郎から話は聞きました。 88 00:05:29,029 --> 00:05:32,265 難しい掛け合いになるかもしれません。 私もお供します。 89 00:05:32,265 --> 00:05:35,101 難しいことがあるもんかい。 ほんの隠居の暇潰しよ。 90 00:05:35,101 --> 00:05:37,037 しかし…。 俺の留守中➡ 91 00:05:37,037 --> 00:05:40,607 たまに様子見に来てやってくれ。 92 00:05:40,607 --> 00:05:42,943 分かりました。 93 00:05:42,943 --> 00:05:46,413 道中ご無事で お早いお戻りを。 94 00:05:46,413 --> 00:05:49,316 心配いりやせんよ。 あっしらも お供いたしやすから。 95 00:05:49,316 --> 00:05:53,620 ええ もうね ちょいちょいって 片づけてまいりやすよ。 へへへ…。 96 00:05:53,620 --> 00:05:57,290 よろしくお願いします。 97 00:05:57,290 --> 00:05:59,292 じゃあな。 98 00:06:04,564 --> 00:06:07,868 あら? あれ 何かしら? 99 00:06:09,436 --> 00:06:16,576 <この包みには 小吉が桶屋に作らせた あるものが入っているのですが…。➡ 100 00:06:16,576 --> 00:06:19,913 小吉一行が旅に出て 数日が過ぎ…> 101 00:06:19,913 --> 00:06:23,783 きらずは すって 火の引き際に入れるのがコツです。 102 00:06:23,783 --> 00:06:26,253 どれくらい入れれば よいのでしょう? 103 00:06:26,253 --> 00:06:29,589 お米が足りない分を 足せばよいのですよ。 104 00:06:29,589 --> 00:06:35,462 では うちのごはんは じきに きらずだけになりそうね。 105 00:06:35,462 --> 00:06:37,464 まあ。 106 00:06:37,464 --> 00:06:39,766 ⚟(男性)殿様! うちかね? 107 00:06:39,766 --> 00:06:41,701 ⚟(男性)出てきておくんなせえ! 108 00:06:41,701 --> 00:06:43,637 何でしょう? ⚟(男性)いるのは分かってんですよ。 109 00:06:43,637 --> 00:06:47,641 ⚟(男性)出てきてくだせえよ。 ⚟(男性)何してるんですか? 110 00:06:47,641 --> 00:06:49,776 ⚟(男性)聞こえてるんでしょ? 111 00:06:49,776 --> 00:06:53,280 殿様 おられるんでしょ。 112 00:06:59,419 --> 00:07:01,421 どちら様ですか? 113 00:07:01,421 --> 00:07:03,723 こちらの奥様ですかい? 114 00:07:03,723 --> 00:07:06,626 いいえ 隣の勝家の者ですが。 115 00:07:06,626 --> 00:07:09,362 だったら 引っ込んどいてもらいやしょう。 116 00:07:09,362 --> 00:07:13,733 殿様! 酒屋の勘定を頂きに参りやした。 117 00:07:13,733 --> 00:07:16,069 吉原の使いの者です。 118 00:07:16,069 --> 00:07:19,739 揚げ代を踏み倒されちゃ 困りますよ! 119 00:07:19,739 --> 00:07:22,642 料理屋からも 取り立てを頼まれましてね。 120 00:07:22,642 --> 00:07:26,513 払ってもらわねえと あっしらも困るんでさあ。 121 00:07:26,513 --> 00:07:29,382 ああ… どうしましょう~。 122 00:07:29,382 --> 00:07:32,585 ⚟(男性)殿様 おられるんでしょ。 123 00:07:32,585 --> 00:07:35,889 ⚟(男性)出てきてくださいよ! まずい これはまずい…。 124 00:07:38,091 --> 00:07:40,593 ならず者が上がり込んできます。 125 00:07:40,593 --> 00:07:42,529 すぐに追い払ってください。 126 00:07:42,529 --> 00:07:46,099 えっ いや… 我ら 見張りが役目。 127 00:07:46,099 --> 00:07:48,768 持ち場を離れるわけにはまいりません。 128 00:07:48,768 --> 00:07:51,805 ならず者の応対は どうぞそちらで。 129 00:07:51,805 --> 00:07:54,808 そんな…。 130 00:07:57,110 --> 00:08:00,880 腰抜け侍め 縮み上がってやがる。 131 00:08:00,880 --> 00:08:03,783 ハハハハハ! 132 00:08:03,783 --> 00:08:06,052 はあ…。 133 00:08:06,052 --> 00:08:08,722 岡野の家は潰れるともっぱらの噂でえ。 134 00:08:08,722 --> 00:08:12,892 その前に 取れるだけは取っていきやすよ。 135 00:08:12,892 --> 00:08:16,363 掛け合いは 勝が戻ってからにしてください。 136 00:08:16,363 --> 00:08:18,431 待ってられるかい。 おい! 137 00:08:18,431 --> 00:08:24,104 畳でも 鍋釜でも 銭になるものは 残らず運び出せ! 138 00:08:24,104 --> 00:08:26,306 (2人)おう! 139 00:08:28,375 --> 00:08:30,443 お下がりなさい! 140 00:08:30,443 --> 00:08:34,247 武士の家に勝手に上がり込むとは無礼な。 141 00:08:34,247 --> 00:08:38,051 一歩でも進んだら 容赦はしません。 142 00:08:38,051 --> 00:08:41,755 ハハハハ…! そこをどいておくんねえ。 143 00:08:41,755 --> 00:08:45,091 邪魔すると 痛い目に遭いますぜ。 ええ? 144 00:08:45,091 --> 00:08:47,594 うお~ おお~! 145 00:08:47,594 --> 00:08:50,096 (男性)おあっ 何しやがるんじゃい! 146 00:08:50,096 --> 00:08:52,032 お前たちこそ 何をしている! 147 00:08:52,032 --> 00:08:56,403 俺たちはなあ 頼まれてツケを取りに来てんだ。 148 00:08:56,403 --> 00:08:59,606 誰だか知らねえが 引っ込んでろよ! 149 00:08:59,606 --> 00:09:02,575 勝さんに用心棒を頼まれた島田だ。 150 00:09:02,575 --> 00:09:06,346 話は 私が聞く。 乱暴はよしなさい。 151 00:09:06,346 --> 00:09:08,715 何をっ! うら~っ! 152 00:09:08,715 --> 00:09:11,351 ああっ! ああっ! 153 00:09:11,351 --> 00:09:13,286 (男性)うわっ…。 154 00:09:13,286 --> 00:09:16,556 ん? 島田って…➡ 155 00:09:16,556 --> 00:09:19,225 もしや 浅草・新堀の? 156 00:09:19,225 --> 00:09:22,729 直心影流剣術師範 島田虎之助。 157 00:09:22,729 --> 00:09:25,231 まずい… おい 帰るぞ。 158 00:09:25,231 --> 00:09:27,901 何言ってんだい。 こんなサンピン1人くれえ。 159 00:09:27,901 --> 00:09:30,370 バカ野郎 かなう相手じゃねえ。 160 00:09:30,370 --> 00:09:33,239 おい おっとと…。 へへへっ おやかましゅうございました。 161 00:09:33,239 --> 00:09:35,175 へへへへ…。 162 00:09:35,175 --> 00:09:38,378 あ~…。 163 00:09:38,378 --> 00:09:41,581 よかった…。 164 00:09:41,581 --> 00:09:46,453 あれ? 母上 それ…。 165 00:09:46,453 --> 00:09:49,255 えっ? 166 00:09:49,255 --> 00:09:52,559 あら すりこ木。 167 00:09:54,127 --> 00:09:56,129 これ 麟太郎。 168 00:09:56,129 --> 00:10:00,600 すりこ木で応戦とは お信さん お勇ましい。 169 00:10:00,600 --> 00:10:04,938 (笑い声) もう 光江様まで。 170 00:10:04,938 --> 00:10:06,973 あっ… フフッ。 171 00:10:06,973 --> 00:10:15,415 (笑い声) 172 00:10:15,415 --> 00:10:18,618 何を笑ってるのです? 173 00:10:18,618 --> 00:10:24,791 (笑い声) 174 00:10:24,791 --> 00:10:31,564 <その頃 小吉たちは 岡野の家来 勝 左衛門太郎一行と名乗って➡ 175 00:10:31,564 --> 00:10:35,435 御願塚村の代官陣屋に 逗留していました> 176 00:10:35,435 --> 00:10:39,739 ふあ~。 ⚟(山田)勝殿 よろしいか。 177 00:10:46,646 --> 00:10:53,419 仰せのとおり 名主をはじめ 村役人一同 呼び寄せました。 178 00:10:53,419 --> 00:10:55,655 分かりました。 179 00:10:55,655 --> 00:10:58,992 では 早速 金策の件 掛け合うとしましょう。 180 00:10:58,992 --> 00:11:03,830 監物 銀之丞 参るぞ。 (銀次 監物)ははっ。 181 00:11:03,830 --> 00:11:07,133 では ご案内つかまつる。 182 00:11:09,402 --> 00:11:13,940 今 申し聞かせたとおり お家の一大事だ。 183 00:11:13,940 --> 00:11:18,778 苦労をかけるが 4百両ばかり 何とか都合してもらいたい。 184 00:11:18,778 --> 00:11:23,116 い~ あ~ あ~ お 恐れながら申し上げます。 185 00:11:23,116 --> 00:11:26,019 そのような大金 とても調達できませぬ~。 186 00:11:26,019 --> 00:11:29,422 お許しなされてくださりませ~。 ええ~。 187 00:11:29,422 --> 00:11:31,791 作柄の悪い年が続いて➡ 188 00:11:31,791 --> 00:11:36,296 本百姓でさえ 食うや食わずのありさまなんです。 189 00:11:38,298 --> 00:11:43,136 村方一同 娘を売り➡ 190 00:11:43,136 --> 00:11:49,008 三度の飯を一度に減らしても 金はできかねまする~。 191 00:11:49,008 --> 00:11:51,811 分かってくだされ~ 分かってくだされ~。 192 00:11:51,811 --> 00:11:54,147 何とぞ 何とぞ~。 193 00:11:54,147 --> 00:11:56,149 ふむ…。 194 00:12:01,955 --> 00:12:04,757 (監物)どうも怪しい。➡ 195 00:12:04,757 --> 00:12:06,793 食うや食わずってのは うそじゃねえか。 196 00:12:06,793 --> 00:12:09,095 みんな 貧しい身なりしてたがな。 197 00:12:09,095 --> 00:12:11,030 いや 村の者は したたかですよ。 198 00:12:11,030 --> 00:12:13,766 だまされちゃいけませんぜ。 199 00:12:13,766 --> 00:12:15,702 ボロ着てる子はいねえな。 200 00:12:15,702 --> 00:12:22,108 う~む 昼日中っから遊べるってなぁ 村が豊かな証拠ですよ。 201 00:12:22,108 --> 00:12:24,310 ⚟(銀次)旦那! 202 00:12:25,979 --> 00:12:28,881 ちょいと 名主の家 のぞいてきたんですがね➡ 203 00:12:28,881 --> 00:12:32,619 村役人たちが集まって… 何してると思いやす? 204 00:12:32,619 --> 00:12:34,554 何だよ。 もったいぶんな。 205 00:12:34,554 --> 00:12:36,789 俳諧ですよ。 206 00:12:36,789 --> 00:12:38,825 しかも 着物から こう 継ぎはぎが消えてるんで。 207 00:12:38,825 --> 00:12:40,960 (2人)はあ? 208 00:12:40,960 --> 00:12:54,140 ♬~ 209 00:12:54,140 --> 00:12:57,810 それにしても 源右衛門さん よう似合うてましたな ボロが。 210 00:12:57,810 --> 00:13:01,381 (笑い声) 何や 貧乏神が寄ってきそうだす。 211 00:13:01,381 --> 00:13:05,918 こら ええわ。 (笑い声) 212 00:13:05,918 --> 00:13:08,588 ⚟(宇市)ほな 私から…。 213 00:13:08,588 --> 00:13:16,329 「ボロを着て 風に吹かるる みの虫や」と。 214 00:13:16,329 --> 00:13:18,931 ええ~。 ハハハハ…。 215 00:13:18,931 --> 00:13:21,401 は はい。 216 00:13:21,401 --> 00:13:26,272 「ボロを着て」 か… 出来ました。 217 00:13:26,272 --> 00:13:28,274 (宇市)早っ! 218 00:13:28,274 --> 00:13:33,146 「人には見せじ 錦の裏地」。 219 00:13:33,146 --> 00:13:37,417 おっ 錦の裏地な。 こら なかなか面白い。 220 00:13:37,417 --> 00:13:39,786 (笑い声) 221 00:13:39,786 --> 00:13:41,721 代官まで混ざってやがるんですよ。 222 00:13:41,721 --> 00:13:43,656 あいつもグルか。 223 00:13:43,656 --> 00:13:46,292 しかも 聞き捨てならねえこと 言ってやしてね。 224 00:13:46,292 --> 00:13:51,130 江戸からの金の無心 どないいたしましょう? 225 00:13:51,130 --> 00:13:57,437 う~む ごねられても面倒や。 226 00:13:57,437 --> 00:13:59,972 少しでも融通したらどないや? 227 00:13:59,972 --> 00:14:02,942 いやいや 一文だってやることはありません。 228 00:14:02,942 --> 00:14:07,246 放っておけば そのうち退屈して 江戸へ戻るでしょうよ。 229 00:14:07,246 --> 00:14:09,749 この野郎… あいつ…。 230 00:14:09,749 --> 00:14:12,385 くっそ… くっ。 231 00:14:12,385 --> 00:14:14,921 けしからんやつらだ。 たたっくじいてやる。 232 00:14:14,921 --> 00:14:16,956 まあ 待ちないって。 233 00:14:16,956 --> 00:14:20,593 孫一郎がボンクラなのは 村方みんなに知れ渡ってんだ。 234 00:14:20,593 --> 00:14:24,764 めったなことじゃ バカ殿のために 一肌脱ぐ気にゃならねえだろ。 235 00:14:24,764 --> 00:14:27,667 けど 旦那…。 はるばる摂津まで来たんだ。 236 00:14:27,667 --> 00:14:30,636 しばらく のんびりするさ。 237 00:14:30,636 --> 00:14:35,475 <しかし のんびりしていられないのが この方…> 238 00:14:35,475 --> 00:14:38,611 (彦四郎)バカ者! 239 00:14:38,611 --> 00:14:42,115 小吉が摂津に行ったと聞いた時➡ 240 00:14:42,115 --> 00:14:46,953 わしはな 首の後ろに冷たい汗をかいたぞ。 241 00:14:46,953 --> 00:14:49,255 申し訳ありません。 242 00:14:50,823 --> 00:14:55,128 昔 あいつが家出をした折➡ 243 00:14:55,128 --> 00:15:00,099 穏便に済ませるため 父上がどれほど苦労をされたか。 244 00:15:00,099 --> 00:15:02,568 はい…。 245 00:15:02,568 --> 00:15:05,371 今は あの頃のようにはいかぬ。 246 00:15:05,371 --> 00:15:08,741 お目付の取り締まりが ことのほか厳しいのだ。 247 00:15:08,741 --> 00:15:13,246 このことを 小吉には きつく言い聞かせたというのに…。 248 00:15:13,246 --> 00:15:18,117 お信さんも 知っていて なぜ止めなかったのです? 249 00:15:18,117 --> 00:15:22,588 岡野様の家が 潰れるかどうかの瀬戸際ですから…。 250 00:15:22,588 --> 00:15:26,092 よその心配などしている場合か! 251 00:15:27,760 --> 00:15:31,631 小吉の行状が上に知れ渡れば 勝家のみならず➡ 252 00:15:31,631 --> 00:15:34,634 男谷の家にまで 火の粉が降りかかるやもしれぬのだぞ! 253 00:15:34,634 --> 00:15:36,836 申し訳ございません。 254 00:15:38,471 --> 00:15:41,607 小吉など どうなっても構わぬが➡ 255 00:15:41,607 --> 00:15:45,278 麟太郎のことを思うてみよ。 256 00:15:45,278 --> 00:15:48,281 やはり わしが預かって 養育すべきであった。 257 00:15:48,281 --> 00:15:51,784 男の子は 父親に似るというが➡ 258 00:15:51,784 --> 00:15:55,988 麟太郎が 小吉のような ゴロツキになったら なんとするのだ。 259 00:15:57,957 --> 00:16:01,227 お言葉ですが… 麟太郎には➡ 260 00:16:01,227 --> 00:16:05,231 旦那様のような男になってほしいと 願っております。 261 00:16:05,231 --> 00:16:07,733 何? 262 00:16:07,733 --> 00:16:13,072 旦那様は 困っている人を助けるために 知恵を絞り➡ 263 00:16:13,072 --> 00:16:16,742 全てを請け負って 摂津に行かれたのです。 264 00:16:16,742 --> 00:16:22,081 麟太郎も いずれは 人を助ける立場になるでしょう。 265 00:16:22,081 --> 00:16:30,590 その時は 旦那様と同じように 一身を賭して事に当たり いつか…。 266 00:16:30,590 --> 00:16:33,492 (関川)このお子は よくいけば➡ 267 00:16:33,492 --> 00:16:38,097 天下を救う 大人物となりましょう。 268 00:16:38,097 --> 00:16:43,903 いつかは 天下を救うかもしれません。 269 00:16:43,903 --> 00:16:45,972 はあ? えっ? 270 00:16:45,972 --> 00:16:48,274 何を言っているのだ。 271 00:16:48,274 --> 00:16:52,612 あの… 昔 易者に言われたのです。 272 00:16:52,612 --> 00:16:58,417 ゆくゆくは 天下を救う 大人物になるかもしれないと。 273 00:16:58,417 --> 00:17:03,723 お信さん… あなた 易者の言うことを 真に受けているのですか。 274 00:17:05,224 --> 00:17:08,094 いえ そういうわけでは。 275 00:17:08,094 --> 00:17:10,363 もうよい。 276 00:17:10,363 --> 00:17:13,566 そなたでは話にならぬわ。 277 00:17:13,566 --> 00:17:16,068 申し訳ありません。 278 00:17:16,068 --> 00:17:18,004 はあ…。 279 00:17:18,004 --> 00:17:20,940 <易者の予言も バカにしたものではありません。➡ 280 00:17:20,940 --> 00:17:27,780 後年 麟太郎こと 勝 海舟は 江戸を 戦火から救うことになるのですから。➡ 281 00:17:27,780 --> 00:17:33,386 でも それはまだ ず~っと先のお話。➡ 282 00:17:33,386 --> 00:17:35,755 お信たちの知らないところで➡ 283 00:17:35,755 --> 00:17:39,392 彦四郎の懸念は 現実のものとなっていました> 284 00:17:39,392 --> 00:17:42,762 (石川)岡野家用人が ご老中に駕籠訴をした件➡ 285 00:17:42,762 --> 00:17:45,264 お聞き及びのことと存じまする。 286 00:17:45,264 --> 00:17:48,167 うむ。 287 00:17:48,167 --> 00:17:52,939 千五百石の旗本が 用人ごときに振り回されて➡ 288 00:17:52,939 --> 00:17:57,109 満天下に恥をさらすとは➡ 289 00:17:57,109 --> 00:17:59,412 不届き至極よ。 290 00:17:59,412 --> 00:18:05,718 では 岡野の借地人 勝の隠居が 騒ぎに乗じて江戸を出奔し➡ 291 00:18:05,718 --> 00:18:08,354 摂津に向かったことも ご存じでしょうか。 292 00:18:08,354 --> 00:18:13,192 何? 届けも出さずにか。 293 00:18:13,192 --> 00:18:18,731 はっ 勝は日頃から町民どもと交わり➡ 294 00:18:18,731 --> 00:18:21,934 ならず者のように ふるまっておりまして…。 295 00:18:24,236 --> 00:18:27,540 武士にあるまじき行い…。 296 00:18:29,108 --> 00:18:35,247 その方 岡野の不行跡を洗い出せ。 297 00:18:35,247 --> 00:18:40,119 次第によっては 早々に知行地を召し上げる。 298 00:18:40,119 --> 00:18:42,121 ははっ。 299 00:18:50,396 --> 00:18:55,267 小吉のやつ 岡野もろとも地獄行きだ。 300 00:18:55,267 --> 00:18:58,471 フフフフフッ…。 301 00:19:01,707 --> 00:19:04,043 (子供たち)えいっ! おい もっと腹から声出せ! 302 00:19:04,043 --> 00:19:05,978 (子供たち)はい!➡ 303 00:19:05,978 --> 00:19:09,715 えいっ! そうだ その調子だ。 304 00:19:09,715 --> 00:19:14,053 (子供たち)えいっ! えいっ! 305 00:19:14,053 --> 00:19:16,889 よ~し 出来たぞ。 おっちゃん ありがとう。 306 00:19:16,889 --> 00:19:18,891 あいよ。 307 00:19:20,559 --> 00:19:24,063 (子供たち)えいっ!➡ 308 00:19:24,063 --> 00:19:27,733 えいっ! ほら お前 手ぇ逆だよ こっちこっち。 309 00:19:27,733 --> 00:19:30,770 はい。 そう。 310 00:19:30,770 --> 00:19:32,905 えいっ! そうそう そうそう。 311 00:19:32,905 --> 00:19:35,741 勝様! 俺たちにも 稽古をつけてください。 312 00:19:35,741 --> 00:19:38,377 ああ いいよ。 じゃあ 一緒に素振りやってみろ。 313 00:19:38,377 --> 00:19:40,746 (2人)はいっ。 314 00:19:40,746 --> 00:19:44,383 (子供たち)えいっ!➡ 315 00:19:44,383 --> 00:19:47,586 えいっ!➡ 316 00:19:47,586 --> 00:19:49,522 えいっ! 317 00:19:49,522 --> 00:19:52,391 一体 いつまでいるつもりなのでしょう? 318 00:19:52,391 --> 00:19:55,761 そんなん分かるかい! 見たやろ。 319 00:19:55,761 --> 00:19:59,098 あないして 子供らまで手なずけて もう~。 320 00:19:59,098 --> 00:20:05,404 あ~ このまんま居座られたら ごまかしきれんようになるぞ。 321 00:20:05,404 --> 00:20:08,274 えらいことに…。 322 00:20:08,274 --> 00:20:10,276 ⚟おい! 323 00:20:11,944 --> 00:20:13,879 金は都合できたか? 324 00:20:13,879 --> 00:20:16,615 いやいやいや そんな とてもとても。 325 00:20:16,615 --> 00:20:19,118 そうか… しかたがない。 326 00:20:19,118 --> 00:20:21,420 これ以上 時を無駄に過ごすわけにはいかない。 327 00:20:21,420 --> 00:20:24,123 では 江戸にお帰りになりますか? 328 00:20:24,123 --> 00:20:27,159 今まで世話になった礼に 皆に酒を振る舞いたい。 329 00:20:27,159 --> 00:20:30,996 村人たちを集めてくれ。 酒代は俺が持つ。 330 00:20:30,996 --> 00:20:34,767 酒も肴も よいものをたっぷりと用意しろ。 331 00:20:34,767 --> 00:20:36,836 かしこまりました。 おお~。 332 00:20:36,836 --> 00:20:38,971 ⚟(襖を閉める音) 333 00:20:38,971 --> 00:20:41,006 しめた! とうとう諦めたぞ。 334 00:20:41,006 --> 00:20:44,310 ほんまやな。 ええ~。 335 00:20:44,310 --> 00:20:48,981 ♬「ア コラコラ ヨ オーオ~オイ ヨ~イヤマタ」 336 00:20:48,981 --> 00:20:53,652 ♬「チョイトカケタ」 (一同)ハ ヨ~イヨイ! 337 00:20:53,652 --> 00:21:02,261 ♬「ハセーエ エー ツウウウウウ イナア~エエ」 338 00:21:02,261 --> 00:21:05,931 ♬「ワカイ~ィ イ~シュ」 (一同)ハドシタエ! 339 00:21:05,931 --> 00:21:10,102 ♬「ハヤシ イ~オ~エ~エエ」 よっ。 340 00:21:10,102 --> 00:21:16,609 ♬「タノムー ヨオオオオオ」 (一同)コ~ラセ ヨーイセ! 341 00:21:16,609 --> 00:21:20,279 引き延ばしの策 うまくはまりましたな。 ほんまや。 342 00:21:20,279 --> 00:21:23,949 今夜の酒代 多めにもろたろ。 ハハハハ…。 343 00:21:23,949 --> 00:21:26,152 (笑い声) 344 00:21:30,122 --> 00:21:33,793 ⚟(鐘の音) ⚟(笑い声) 345 00:21:33,793 --> 00:21:40,666 (騒ぎ声) 346 00:21:40,666 --> 00:21:44,370 ⚟(監物)一同 静まりませい! 347 00:21:49,308 --> 00:21:52,178 (山田)そのお姿 どうなされた? 348 00:21:52,178 --> 00:21:55,080 今日まで 皆をだましてきたが➡ 349 00:21:55,080 --> 00:21:57,816 俺は岡野の家来じゃねえ。 350 00:21:57,816 --> 00:22:00,786 ご直参 勝家の隠居だ。 351 00:22:00,786 --> 00:22:02,788 何っ!? 352 00:22:02,788 --> 00:22:06,625 岡野の家が潰れたんじゃあ 気の毒だから➡ 353 00:22:06,625 --> 00:22:11,263 村方の力を借りようと 金策を請け負ってきたんだ。 354 00:22:11,263 --> 00:22:16,402 ところが お前らは どうあっても金は作れねえと言う。 355 00:22:16,402 --> 00:22:18,470 俺も武士だ。 356 00:22:18,470 --> 00:22:22,107 手ぶらで おめおめ 江戸に帰るわけにはいかねえ! 357 00:22:22,107 --> 00:22:24,109 (どよめき) 358 00:22:25,978 --> 00:22:28,614 お待たせいたしました。 359 00:22:28,614 --> 00:22:33,285 金が出来なきゃ 首になって帰るつもりで➡ 360 00:22:33,285 --> 00:22:37,156 江戸で首桶を作らせてきたんだ。 361 00:22:37,156 --> 00:22:40,793 おう 代官。 は はい!介錯を頼む。 362 00:22:40,793 --> 00:22:44,597 ええっ ええ~! わ わ 私が!? 363 00:22:46,298 --> 00:22:50,135 難しいことじゃねえ。 364 00:22:50,135 --> 00:22:53,439 俺が腹を突いたら➡ 365 00:22:53,439 --> 00:22:57,977 後ろからバッサリ ひと打ちでやってくれ。 366 00:22:57,977 --> 00:23:00,379 いやいや いやいや しかし…。 367 00:23:00,379 --> 00:23:02,748 無理に金を絞り取ろうってんじゃねえ。 368 00:23:02,748 --> 00:23:06,619 主家の難儀を救ってくれって 頼んでるんだぜ。 369 00:23:06,619 --> 00:23:10,089 それを聞けねえってんなら 是非もねえや。 370 00:23:10,089 --> 00:23:12,992 俺は ここで腹を切る。 371 00:23:12,992 --> 00:23:17,796 武士の腹の切りよう よくよく見ておけ! 372 00:23:20,733 --> 00:23:22,668 では 頼む! 373 00:23:22,668 --> 00:23:25,571 いやいやいや ちょっ あ… あかん あかん あかん あかん そんな…。 374 00:23:25,571 --> 00:23:28,274 勝様 死んだら嫌や! 375 00:23:28,274 --> 00:23:30,209 死なんといて。 死なんといて。 376 00:23:30,209 --> 00:23:32,144 切腹は おやめくださいまし! 377 00:23:32,144 --> 00:23:34,146 (村人たち)おやめください! 378 00:23:34,146 --> 00:23:37,283 静かにしろよ。 今 死ぬところだ。 379 00:23:37,283 --> 00:23:39,218 おい 代官 早くやれ! 380 00:23:39,218 --> 00:23:42,154 う~ へへへへ…。 381 00:23:42,154 --> 00:23:44,156 駄目だな こりゃ。 382 00:23:44,156 --> 00:23:47,993 おい 監物 俺の刀貸してやるから お前やっつくんな。 383 00:23:47,993 --> 00:23:52,298 えっ 無理ですよ。 いいからやれい! 384 00:23:52,298 --> 00:23:54,300 はっ! 385 00:24:09,248 --> 00:24:13,252 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏…。 386 00:24:22,761 --> 00:24:25,264 お待ちください! 387 00:24:27,099 --> 00:24:29,134 金は 用意いたします。 388 00:24:29,134 --> 00:24:31,270 腹を切るのは おやめください! 389 00:24:31,270 --> 00:24:33,272 何言ってんだい。 今更遅えや! 390 00:24:33,272 --> 00:24:37,609 そこを何とか おとどまりくださりませ! 391 00:24:37,609 --> 00:24:41,413 金を出せば 食うや食わずで 娘を売っ払うことになるんだろ。 392 00:24:41,413 --> 00:24:46,251 そいつは 気の毒だ。 監物 用意はいいかい。 393 00:24:46,251 --> 00:24:49,288 …はっ! 394 00:24:49,288 --> 00:24:51,423 うおお~! 395 00:24:51,423 --> 00:24:54,293 できます! 金はすぐに調えます! 396 00:24:54,293 --> 00:24:56,228 できねえつったろ! 397 00:24:56,228 --> 00:24:58,230 それは…。 398 00:24:59,965 --> 00:25:03,936 ご先代の頃から 殿様には 幾度も金を都合してまいりました。 399 00:25:03,936 --> 00:25:08,073 その度に 放蕩のあげくに 使い果たしてしまわれるのでは➡ 400 00:25:08,073 --> 00:25:10,376 村は たまったものではありません! 401 00:25:10,376 --> 00:25:14,580 なれど 勝様を死なせては 私ら村役人は➡ 402 00:25:14,580 --> 00:25:16,915 村の者たちから恨まれまする。 403 00:25:16,915 --> 00:25:21,253 百姓同士 争い合うては 村の暮らしが立ち行きまへん。 404 00:25:21,253 --> 00:25:24,757 何とぞ おとどまりくだされ。 405 00:25:24,757 --> 00:25:28,093 (村人)お願いします。 (村人)お願いします。 406 00:25:28,093 --> 00:25:31,897 そうか 言い分はよく分かった。 407 00:25:33,766 --> 00:25:37,269 殿様の放蕩のせいで 苦労かけたな。 408 00:25:37,269 --> 00:25:41,273 だが 今度こそ心を入れ替えさせる。 409 00:25:41,273 --> 00:25:45,778 金の無心も これっきりだ。 俺が請け合う。 410 00:25:45,778 --> 00:25:48,814 今度ばかりは 力を貸してくれ。 411 00:25:48,814 --> 00:25:54,787 承知しました。 金は 明後日までに きっとご用意いたします。 412 00:25:54,787 --> 00:25:59,291 頼んだぜ。 そうと決まれば祝い酒だ。 413 00:25:59,291 --> 00:26:02,728 銀次 ありったけの酒 持ってこい! へい! 414 00:26:02,728 --> 00:26:06,231 それがよ こんなでけえんだよ。 415 00:26:06,231 --> 00:26:11,070 (村人たち)ええ~! (笑い声) 416 00:26:11,070 --> 00:26:13,906 こんなでけえんだ。 417 00:26:13,906 --> 00:26:19,378 ハッ ヘッヘッヘッヘッヘ…。 いや 旦那 大したもんだよ。 418 00:26:19,378 --> 00:26:23,916 ええ? 百姓相手の大芝居が お前 まんまと図に当たったってわけだよ。 419 00:26:23,916 --> 00:26:27,786 へっ。 芝居かねえ…。 420 00:26:27,786 --> 00:26:29,788 ええ? 421 00:26:29,788 --> 00:26:35,794 もし 金が出来なかったら ホントに 腹切ってたんじゃねえのかな。 422 00:26:38,263 --> 00:26:42,768 う~む そうかもしんねえな。 423 00:26:42,768 --> 00:26:49,942 旦那は つまらねえことにも 命を張っちまうからな。 424 00:26:49,942 --> 00:26:52,978 それがよお それがよお こんな小っちぇえんだよ。 425 00:26:52,978 --> 00:26:56,114 (笑い声) んな あほな。 426 00:26:56,114 --> 00:26:58,417 (笑い声) 427 00:26:59,985 --> 00:27:04,289 <小吉が江戸を出て ひと月半が過ぎて…> 428 00:27:05,924 --> 00:27:08,127 あっ 父上。 429 00:27:10,762 --> 00:27:13,065 お信 戻ったぜ。 430 00:27:13,065 --> 00:27:16,902 旦那様 お帰りなさいませ! 431 00:27:16,902 --> 00:27:20,572 おっ いい具合に 枯れ葉が集まってるじゃないか。 432 00:27:20,572 --> 00:27:22,508 芋でも焼くか 銀次。 へい。 433 00:27:22,508 --> 00:27:26,378 芋? お芋? 434 00:27:26,378 --> 00:27:28,447 (銀次)よいしょ。 435 00:27:28,447 --> 00:27:30,749 わあ~ こんなにたくさん! 436 00:27:30,749 --> 00:27:34,586 土産に持たされたんですよ。 あ~ 重かった! 437 00:27:34,586 --> 00:27:37,623 留守中 変わったことは なかったかい? 438 00:27:37,623 --> 00:27:41,360 ええ 何にも。 439 00:27:41,360 --> 00:27:47,266 (丈助)338 339…➡ 440 00:27:47,266 --> 00:27:49,401 確かにございます。 441 00:27:49,401 --> 00:27:51,470 これで言い分はねえだろうな。 ええ。 442 00:27:51,470 --> 00:27:53,939 金さえ返していただけたら 結構でございます。 443 00:27:53,939 --> 00:27:58,944 へっ。 じゃあ これはそちらに。 444 00:28:06,218 --> 00:28:08,720 勝様は大したお方です。 445 00:28:08,720 --> 00:28:12,057 よくぞ339両 お作りになられましたね。 446 00:28:12,057 --> 00:28:18,230 フン。 あなたも立派だが 奥様もえらいお方です。 447 00:28:18,230 --> 00:28:20,165 勝様の留守を狙って➡ 448 00:28:20,165 --> 00:28:22,734 筋の悪い取り立て屋が 乗り込んできたんですがね➡ 449 00:28:22,734 --> 00:28:26,605 奥様は一歩も引かず それは目覚ましいお働きで。 450 00:28:26,605 --> 00:28:31,243 へ~え。 あのぼんやりがねえ。 451 00:28:31,243 --> 00:28:34,246 あっ そうだ。 452 00:28:34,246 --> 00:28:38,383 丈助 言っておきたいことがある。 何でございます? 453 00:28:38,383 --> 00:28:40,752 この悪党め! 454 00:28:40,752 --> 00:28:42,688 うっ うわっ! 455 00:28:42,688 --> 00:28:46,391 俺の目の黒いうちは 二度と本所に足を踏み込むな! 456 00:28:46,391 --> 00:28:50,596 ウロチョロしやがったら たたっ斬るぞ! 457 00:28:50,596 --> 00:28:53,398 ふう~…。 458 00:28:53,398 --> 00:28:56,101 ざまあみやがれ。 459 00:29:03,208 --> 00:29:06,712 これで丈助とは すっぱり縁が切れた。 460 00:29:06,712 --> 00:29:09,748 でも 少ししゃくですね。 461 00:29:09,748 --> 00:29:13,051 付け掛けだと分かっているのに お金を取られるのは。 462 00:29:13,051 --> 00:29:16,555 あんなウジ虫と関わってちゃ こっちまで腐っちまう。 463 00:29:16,555 --> 00:29:18,490 早く切れた方がいいのさ。 464 00:29:18,490 --> 00:29:24,196 それもそうですね。 あっ そろそろ焼けたかな? 465 00:29:27,065 --> 00:29:31,270 ほら。 わあ~! 466 00:29:32,938 --> 00:29:36,775 あちっ。 おいしい~! 467 00:29:36,775 --> 00:29:41,079 うん うめえな。 痛ててててて…。 468 00:29:41,079 --> 00:29:43,382 足 痛むんですか? 469 00:29:43,382 --> 00:29:46,918 長旅がこたえたかな。 俺も年だ。 470 00:29:46,918 --> 00:29:49,955 ⚟(多賀)小吉殿! 471 00:29:49,955 --> 00:29:53,091 この50両は 受け取れません。 472 00:29:53,091 --> 00:29:55,761 50両…? 473 00:29:55,761 --> 00:29:58,664 村方が都合してくれた金が4百両➡ 474 00:29:58,664 --> 00:30:03,101 丈助にやった分と 村の者に渡した酒代を引いて➡ 475 00:30:03,101 --> 00:30:05,137 残りは ちょうど50両。 476 00:30:05,137 --> 00:30:07,973 あちこちの借金を それで返しておしまいなさい。 477 00:30:07,973 --> 00:30:11,410 でも このお金は小吉殿が…。 478 00:30:11,410 --> 00:30:16,948 百姓たちが汗水垂らして稼いだ金だ。 無駄にしちゃあいけませんぜ。 479 00:30:16,948 --> 00:30:21,820 では 半分頂いて 残り半分をそちらに。 480 00:30:21,820 --> 00:30:25,290 冗談言っちゃいけねえ。 俺がもらった金じゃねえや。 481 00:30:25,290 --> 00:30:29,961 ご苦労をおかけして お礼をしないわけにはまいりませぬ。 482 00:30:29,961 --> 00:30:32,798 褒美の金が欲しくて 摂津くんだりまで 行ったわけじゃねえ。 483 00:30:32,798 --> 00:30:36,301 第一 俺がもらったんじゃあ 村の者にうそをついたことになる。 484 00:30:36,301 --> 00:30:41,807 でも それでは私の気が…。 ああ もう ごちゃごちゃうるせえな。 485 00:30:41,807 --> 00:30:47,979 まあまあ。 でしたら お礼は 別のもので頂きましょう。 486 00:30:47,979 --> 00:30:52,317 麟太郎に 着物を作ってやりたいと 思っていたんです。 487 00:30:52,317 --> 00:30:56,655 手間賃に 木綿一反頂くのは どうでしょう? 488 00:30:56,655 --> 00:31:01,927 木綿一反か…。 よし それで手を打ちましょう。 489 00:31:01,927 --> 00:31:06,264 でも…。 いいじゃありませんか。 490 00:31:06,264 --> 00:31:11,103 お芋 召し上がります? 甘くておいしいですよ。 491 00:31:11,103 --> 00:31:14,139 ねえ。 はい。 492 00:31:14,139 --> 00:31:17,976 <丈助騒動は これにて一件落着➡ 493 00:31:17,976 --> 00:31:21,747 …と 言いたいところですが> 494 00:31:21,747 --> 00:31:23,682 (彦四郎)バカ者っ! 495 00:31:23,682 --> 00:31:27,285 ひと月以上も江戸を離れたことは 既にご支配の耳にも届いておる。 496 00:31:27,285 --> 00:31:30,288 間もなく 他行留めの沙汰が下る。 497 00:31:30,288 --> 00:31:32,424 はい。 498 00:31:32,424 --> 00:31:34,793 あれほど 岡野には関わるなと 言っておいたのに。 499 00:31:34,793 --> 00:31:37,629 しかし 兄上…。 他行留め程度で済むと思うな。 500 00:31:37,629 --> 00:31:40,966 いずれ もっと重い処分が下る。 覚悟しておれ! 501 00:31:40,966 --> 00:31:45,437 ケッ お前のようなやつ やはりあの時 檻に閉じ込めるべきであった。 502 00:31:45,437 --> 00:31:47,506 そんな…。 503 00:31:47,506 --> 00:31:51,810 一歩も外に出るな。 また来る。 504 00:31:51,810 --> 00:31:54,713 送らずともよい! 505 00:31:54,713 --> 00:32:00,152 はあ~ ほっとけ。 506 00:32:00,152 --> 00:32:03,121 他行留めはしかたがねえが 兄貴に ああガミガミ言われちゃあ➡ 507 00:32:03,121 --> 00:32:05,123 たまったもんじゃねえなあ。 508 00:32:05,123 --> 00:32:09,127 ええ…。 あっ いけない。 509 00:32:14,099 --> 00:32:17,602 ええい 小吉のやつ 性根をたたき直してやる。 510 00:32:17,602 --> 00:32:21,406 男谷様。 お多賀殿。 511 00:32:21,406 --> 00:32:24,309 このたびは ありがとうございました。 512 00:32:24,309 --> 00:32:28,113 おかげさまで 岡野の家は救われました。 513 00:32:28,113 --> 00:32:33,785 ああ いや…。 でも 小吉殿には手を焼いているのです。 514 00:32:33,785 --> 00:32:35,821 あれが 何か? 515 00:32:35,821 --> 00:32:38,623 びた一文 受け取ってくださらないんです。 516 00:32:38,623 --> 00:32:42,127 礼は 木綿一反で十分だと言って。 517 00:32:42,127 --> 00:32:46,631 えっ? それでは 私の気が済みませんから。 518 00:32:46,631 --> 00:32:50,969 家伝来の茶道具 これをもらっていただこうかと…。 519 00:32:50,969 --> 00:32:52,904 ⚟兄上! 520 00:32:52,904 --> 00:32:55,807 あ~ よかった 間に合った。 521 00:32:55,807 --> 00:33:00,145 これ お渡しするのを忘れてしまって。 522 00:33:00,145 --> 00:33:04,382 摂津の村から頂いたお芋です。 お遊様に。 523 00:33:04,382 --> 00:33:07,919 芋…? お信さん。 524 00:33:07,919 --> 00:33:10,822 これだけは 受け取っていただきますよ。 525 00:33:10,822 --> 00:33:13,792 これは 大事な茶道具ではありませんか。 526 00:33:13,792 --> 00:33:16,394 いけません。 頂けません。 527 00:33:16,394 --> 00:33:19,598 では ず~っと お貸しするということで…。 528 00:33:19,598 --> 00:33:25,103 あっ そうだ。 お多賀様にも お芋を差し上げましょう。 529 00:33:26,771 --> 00:33:31,643 フッ 気になって見に来たが… ハハ➡ 530 00:33:31,643 --> 00:33:34,446 要らぬ心配であったか。 531 00:33:36,281 --> 00:33:41,953 何 小吉のやつ 摂津から戻ったか。 はい 間違いございません。 532 00:33:41,953 --> 00:33:44,856 早速 鳥居様に報告せねばな。 533 00:33:44,856 --> 00:33:51,963 フフフフ…。 あの男 確か…。 534 00:33:51,963 --> 00:33:54,666 <そして 数日後> 535 00:34:02,908 --> 00:34:06,745 (石川)鳥居様が これを目こぼしするはずはない。 536 00:34:06,745 --> 00:34:11,583 とうとう終わりだな 小吉。 フフフフ…。 537 00:34:11,583 --> 00:34:13,785 ⚟(碩翁)石川殿。 538 00:34:15,387 --> 00:34:20,926 そこもとに ちとお見せしたいものがござる。 539 00:34:20,926 --> 00:34:22,961 こちらへ。 540 00:34:22,961 --> 00:34:25,163 はい? 541 00:34:30,602 --> 00:34:33,505 これは…? 542 00:34:33,505 --> 00:34:37,475 お忘れかな? 543 00:34:37,475 --> 00:34:40,178 ほんのご挨拶代わりに…。 544 00:34:47,152 --> 00:34:49,988 蒔絵の椀にございます。 545 00:34:49,988 --> 00:34:51,990 あっ…。 546 00:34:51,990 --> 00:34:56,428 (碩翁)そこもとからの 頂き物を 書き抜いてみたものじゃが➡ 547 00:34:56,428 --> 00:34:59,297 いやいや 長年にわたり➡ 548 00:34:59,297 --> 00:35:04,736 まめまめしいお心遣い 痛み入る。 549 00:35:04,736 --> 00:35:07,639 いや その…。 550 00:35:07,639 --> 00:35:14,079 鳥居殿は 旗本のぜいたくを 堅く戒めておいでのようじゃが➡ 551 00:35:14,079 --> 00:35:19,384 それを見たら 何と思われるかの…。 552 00:35:19,384 --> 00:35:24,089 むむ…。 ハッハッハッハ ああ いやいやいや➡ 553 00:35:24,089 --> 00:35:27,959 余計なことは 申すまい。 554 00:35:27,959 --> 00:35:34,799 告げ口は 己の身を 滅ぼすもととなりますゆえな。 555 00:35:34,799 --> 00:35:37,502 ハッハッハッハッハ…。 はい…。 556 00:35:41,406 --> 00:35:44,909 なぜ 碩翁が邪魔するのだ…。 557 00:35:48,279 --> 00:35:52,617 くう… くっ! 558 00:35:52,617 --> 00:35:56,287 <翌天保11年の夏➡ 559 00:35:56,287 --> 00:36:01,226 小吉の外出禁止の処分が 解かれることになりました> 560 00:36:01,226 --> 00:36:03,895 ⚟あっつ…! 561 00:36:03,895 --> 00:36:07,766 我慢しないと いつまでも 足の痛みが治りませんよ。 562 00:36:07,766 --> 00:36:12,904 チチチチ… お信 俺が死んでも 火葬にはするなよ。 563 00:36:12,904 --> 00:36:15,940 何を言っているんですか。 564 00:36:15,940 --> 00:36:20,779 でも どうしたんでしょうね。 痛みが こんなに続くなんて。 565 00:36:20,779 --> 00:36:23,548 一度 お医者様に診ていただいた方が…。 566 00:36:23,548 --> 00:36:26,251 な~に そのうち治るさ。 567 00:36:26,251 --> 00:36:31,089 しかし よかったよな 兄貴が案ずるほどじゃなくて。 568 00:36:31,089 --> 00:36:35,960 他行留めは半年で解けたし 重い処分もなかったし。 569 00:36:35,960 --> 00:36:39,597 はい ようございましたね。 570 00:36:39,597 --> 00:36:42,267 ⚟父上! 571 00:36:42,267 --> 00:36:45,270 お帰りなさい。 早かったですね。 572 00:36:45,270 --> 00:36:49,040 伯父上が 倒れました。 573 00:36:49,040 --> 00:36:52,277 えっ? 倒れたって 具合はどうなんだよ? 574 00:36:52,277 --> 00:36:55,180 今 医者が診ていますが…。 575 00:36:55,180 --> 00:37:08,226 ♬~ 576 00:37:08,226 --> 00:37:13,364 (お遊)今朝までは いつもと何も変わりなかったのです。 577 00:37:13,364 --> 00:37:19,170 昼ごはんを食べている時に ふいに箸を取り落として…。 578 00:37:19,170 --> 00:37:22,373 医者は 中風だと言うのですが。 579 00:37:22,373 --> 00:37:28,747 小吉殿の他行留めが早々に解けて 喜んでいたやさきだというのに…。 580 00:37:28,747 --> 00:37:30,782 えっ…? 581 00:37:30,782 --> 00:37:34,619 これは 口止めをされているのですが…。 582 00:37:34,619 --> 00:37:38,923 旦那様は 小吉殿の処分が軽く済むよう➡ 583 00:37:38,923 --> 00:37:43,595 あちこちに頭を下げて 回っていたのですよ。 584 00:37:43,595 --> 00:37:45,930 俺のために? 585 00:37:45,930 --> 00:37:47,866 まさか…。 586 00:37:47,866 --> 00:37:51,669 私も 不思議な気がして…。 587 00:38:11,222 --> 00:38:14,559 どういう風の吹き回しですか? 588 00:38:14,559 --> 00:38:20,431 ん? 小吉殿のために 頭を下げるなんて。 589 00:38:20,431 --> 00:38:28,106 うむ… あいつにも よいところはあるな。 590 00:38:28,106 --> 00:38:31,009 えっ? 591 00:38:31,009 --> 00:38:35,747 岡野から 金を一切 受け取らなかったそうだ。 592 00:38:35,747 --> 00:38:40,251 礼は 木綿一反だけ。 593 00:38:40,251 --> 00:38:43,154 そうでしたか。 594 00:38:43,154 --> 00:38:49,360 木綿一反は きっと お信さんの思いつきですね。 595 00:38:53,398 --> 00:38:59,938 (お遊)「月は白く 風は清し」…。 596 00:38:59,938 --> 00:39:07,679 色紙を頼まれたのだが これは 初秋の言葉。 597 00:39:07,679 --> 00:39:10,181 季節が違ったわ。 598 00:39:15,353 --> 00:39:21,059 「月は白く 風は清し」…。 599 00:39:21,059 --> 00:39:26,865 欲のない すがすがしい心を表す言葉…。 600 00:39:26,865 --> 00:39:32,870 旦那様は 小吉殿のことを 書いたのかもしれませんね。 601 00:39:42,747 --> 00:39:49,087 <この数日後 意識が戻ることなく 彦四郎は息を引き取りました。➡ 602 00:39:49,087 --> 00:39:52,757 小吉が 初めて兄から認められた時が➡ 603 00:39:52,757 --> 00:39:56,261 兄弟の別れとなってしまったのです> 604 00:39:59,931 --> 00:40:03,935 <彦四郎の初七日が過ぎて…> 605 00:40:21,286 --> 00:40:25,790 旦那様… これ 書いてみました。 606 00:40:29,294 --> 00:40:33,998 「月は白く 風は清し」…。 607 00:40:35,633 --> 00:40:41,506 お遊様は 旦那様のことだと仰せでしたけど➡ 608 00:40:41,506 --> 00:40:47,312 私は 兄上が ご自身の澄んだお心持ちを➡ 609 00:40:47,312 --> 00:40:50,648 お書きになったような 気がするんです。 610 00:40:50,648 --> 00:40:54,519 ガキの頃から 叱られてばかりで➡ 611 00:40:54,519 --> 00:40:57,822 一度も褒められたこと なかったのに…。 612 00:41:01,292 --> 00:41:05,096 旦那様…。 613 00:41:05,096 --> 00:41:08,299 いい月だな…。 614 00:41:11,269 --> 00:41:13,972 はい…。 615 00:41:20,278 --> 00:41:22,213 あっ 白鬚様。 616 00:41:22,213 --> 00:41:24,148 庭をご覧になりませぬか。 617 00:41:24,148 --> 00:41:26,150 世の中は 今に大きく変わる。 618 00:41:26,150 --> 00:41:29,620 お城を下がるのに 人の手は借りぬ。 619 00:41:29,620 --> 00:41:33,291 綱紀粛正の折 不届き者こそ 取り締まるべきかと。 620 00:41:33,291 --> 00:41:36,627 旦那が本所から追ん出されるって聞いて 慌てて飛んできたんですぜ。 621 00:41:36,627 --> 00:41:40,298 しみったれた顔すんな。 婿殿! 622 00:41:40,298 --> 00:42:16,934 ♬~ 623 00:42:16,934 --> 00:42:23,808 ♬~ 624 00:42:23,808 --> 00:42:55,106 ♬~